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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026986
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240221BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240221BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20240221BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240221BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
H01L29/78 658L
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652H
H01L29/78 653A
H01L29/78 652N
H01L29/78 652G
H01L29/78 652F
H01L21/265 V
H01L29/78 658F
H01L29/78 658G
H01L29/78 652K
H01L21/78 F
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129627
(22)【出願日】2022-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】波多 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】北市 幸佑
(72)【発明者】
【氏名】岡 浩偉
【テーマコード(参考)】
4M106
5F063
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106AC05
4M106BA04
4M106CA39
4M106DB02
4M106DB04
4M106DB07
5F063AA05
5F063BA13
5F063BA28
5F063BA36
5F063CA01
5F063CA04
(57)【要約】
【課題】ダイシング工程においてクラックが発生した場合に、クラックが素子領域にまで進行するのを抑制する。
【解決手段】半導体ウェハWAFの主面には、複数の素子領域EFRを規定する第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとが形成されている。第1スクライブ領域SRBFには、評価用ディープトレンチ第1部EDCFと評価用ディープトレンチ第2部EDCSとを備えた評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されている。評価用ディープトレンチ第1部EDCFは、第1領域KF内に形成されている。評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、第1領域KFと素子領域EFRとの間に位置する第2領域NKにおいて、X軸方向に幅を有し、Y軸方向に延在するように帯状に形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子が形成された半導体装置の製造方法であって、
主面を有する前記半導体基板を用意する工程と、
前記半導体基板の前記主面に、第1方向にそれぞれ延在し前記第1方向と交差する第2方向に互いに距離を隔てて配置される第1スクライブ領域を含む、複数のスクライブ領域を規定する工程と、
前記複数のスクライブ領域によってマトリクス状に規定された前記複数の素子領域のそれぞれに、前記半導体素子を形成する工程と、
ダイシングブレードにより前記複数のスクライブ領域のそれぞれを切断することにより、前記半導体素子が形成された前記素子領域を半導体チップとして取り出す工程と、
を有し、
前記半導体素子を形成する工程は、
前記素子領域に第1トレンチを形成するとともに、前記第1スクライブ領域に複数の第2トレンチからなるトレンチ群を形成する工程と、
前記トレンチ群を評価する工程と、
を含み、
前記複数の第2トレンチからなる前記トレンチ群を形成する工程は、前記ダイシングブレードによって除去されることになる前記第1スクライブ領域の第1領域に第2トレンチ第1部を形成するとともに、前記第1領域を含む前記第1スクライブ領域と隣接する前記素子領域と前記第1領域との間に位置する前記第1スクライブ領域の第2領域に第2トレンチ第2部を形成する工程を備え、
平面視において、前記第2トレンチ第2部は、前記第1スクライブ領域が延在する前記第1方向に沿って帯状に形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2トレンチ第1部は、前記第1方向に第1長さを有し、
前記第2トレンチ第2部は、前記第1方向に前記第1長さ以上の第2長さを有する態様で形成される、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記複数のスクライブ領域を規定する工程は、前記半導体基板の前記主面に、前記第2方向にそれぞれ延在し前記第1方向に互いに距離を隔てて配置される第2スクライブ領域を規定する工程を含み、
前記トレンチ群を形成する工程は、前記第1スクライブ領域のうち、前記第2スクライブ領域と交差する部分に、前記トレンチ群を形成する工程を含み、
前記半導体チップとして取り出す工程は、
前記第1スクライブ領域を前記ダイシングブレードにより切断する第1ダイシング工程と、
前記第1ダイシング工程の後に、前記第2スクライブ領域を前記ダイシングブレードにより切断する第2ダイシング工程と、
を備えた、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記複数の第2トレンチからなる前記トレンチ群を形成する工程は、前記第1スクライブ領域の前記第2領域を含む、前記ダイシングブレードによって除去されずに残されることになる前記複数のスクライブ領域の部分に、前記素子領域を環状に取り囲むように第2トレンチ第3部を形成する工程を含む、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体素子を形成する工程は、前記トレンチ群を評価する工程の後、前記トレンチ群内および前記第1トレンチ内のそれぞれに、空洞を有する態様で絶縁体を埋め込む工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記半導体素子を形成する工程では、前記トレンチ群および前記第1トレンチのそれぞれは、少なくとも1.0μmの深さを有するように形成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記トレンチ群を評価する工程では、前記トレンチ群は光学的に評価される、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体基板に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子が形成された半導体装置の製造方法であって、
主面を有する前記半導体基板を用意する工程と、
前記半導体基板の前記主面に、第1方向にそれぞれ延在し前記第1方向と交差する第2方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第1スクライブ領域、および、前記第2方向にそれぞれ延在し前記第1方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第2スクライブ領域を規定する工程と、
前記複数の第1スクライブ領域と前記複数の第2スクライブ領域とによってマトリクス状に規定された前記複数の素子領域のそれぞれに、前記半導体素子を形成する工程と、
ダイシングブレードにより、前記第1スクライブ領域と前記第2スクライブ領域とをそれぞれ切断することにより、前記半導体素子が形成された前記素子領域を半導体チップとして取り出す工程と、
を有し、
前記半導体素子を形成する工程は、
前記素子領域に第1トレンチを形成するとともに、前記第1スクライブ領域と前記第2スクライブ領域とが交差する交差領域に、複数の第2トレンチからなるトレンチ群を形成する工程と、
前記トレンチ群を評価する工程と、
を含み、
前記トレンチ群を形成する工程では、前記複数の第2トレンチのすべてが、前記交差領域のうち、前記ダイシングブレードによって除去されることになる部分に位置するように形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記トレンチ群を形成する工程では、前記複数の第2トレンチのそれぞれは、前記第1方向および前記第2方向のそれぞれと交差する第3方向にそれぞれ帯状に延在するとともに、前記第1方向、前記第2方向および前記第3方向のそれぞれと交差する第4方向に距離を隔てて形成され、
前記複数の第2トレンチの前記第3方向の長さおよび前記第4方向の長さは、前記ダイシングブレードによって除去される幅よりも長く、前記第1スクライブ領域および前記第2スクライブ領域の幅と2の平方根との積の値よりも短い、請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体素子を形成する工程は、前記トレンチ群を評価する工程の後、前記トレンチ群内および前記第1トレンチ内のそれぞれに、空洞を有する態様で絶縁体を埋め込む工程を含む、請求項8または9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記半導体素子を形成する工程では、前記トレンチ群および前記第1トレンチのそれぞれは、少なくとも1.0μmの深さを有するように形成される、請求項8または9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記トレンチ群を評価する工程では、前記トレンチ群は光学的に評価される、請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
半導体基板に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子が形成された半導体装置の製造方法であって、
主面を有する前記半導体基板を用意する工程と、
前記半導体基板の前記主面に、第1方向にそれぞれ延在し前記第1方向と交差する第2方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第1スクライブ領域、および、前記第2方向にそれぞれ延在し前記第1方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第2スクライブ領域をそれぞれ規定する工程と、
前記複数の第1スクライブ領域と前記複数の第2スクライブ領域とによってマトリクス状に規定された前記複数の素子領域のそれぞれに、前記半導体素子を形成する工程と、
ダイシングブレードにより、前記第1スクライブ領域と前記第2スクライブ領域とをそれぞれ切断することにより、前記半導体素子が形成された前記素子領域を半導体チップとして取り出す工程と、
を有し、
前記半導体素子を形成する工程は、
前記素子領域に第1トレンチを形成するとともに、前記第1スクライブ領域と前記第2スクライブ領域とが交差する交差領域に、複数の第2トレンチからなるトレンチ群を形成する工程と、
前記トレンチ群を評価する工程と、
を含み、
前記複数の第2トレンチからなる前記トレンチ群を形成する工程では、前記複数の第2トレンチのそれぞれは、前記半導体基板の劈開面に沿って環状に形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記劈開面は、
前記第1方向に平行に位置する第1劈開面と、
前記第2方向に平行に位置する第2劈開面と、
と含む、請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記劈開面は、
前記第1方向および前記第2方向のそれぞれに交差する第3方向に平行に位置する第1劈開面と、
前記第1方向、前記第2方向および前記第3方向のそれぞれに交差する第4方向に平行に位置する第2劈開面と、
を含む、請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記半導体素子を形成する工程は、前記トレンチ群を評価する工程の後、前記トレンチ群内および前記第1トレンチ内のそれぞれに、空洞を有する態様で絶縁体を埋め込む工程を含む、請求項13~15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記半導体素子を形成する工程では、前記トレンチ群および前記第1トレンチのそれぞれは、少なくとも1.0μmの深さを有するように形成される、請求項13~15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記トレンチ群を評価する工程では、前記トレンチ群は光学的に評価される、請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、たとえば、比較的深い溝が形成される半導体装置に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、半導体基板に、たとえば、1μm以上の比較的深い溝が形成される半導体装置がある。ここで、この比較的深い溝を、ディープトレンチと称する。たとえば、特許文献1では、半導体素子が形成されている素子領域内において、ディープトレンチを介して、n型の不純物およびp型の不純物をそれぞれ注入することによって、pn接合が周期的に配置されたスーパージャンクション構造を形成する手法が提案されている。
【0003】
また、特許文献2では、素子領域内において、ディープトレンチ内に、フィールドプレート電極とゲート電極とが配置されたフィールドプレート型の電界効果トランジスタを形成する手法が提案されている。さらに、特許文献3では、素子領域内において、一のディープトレンチ内には基板コンタクトを形成し、他のディープトレンチ内には素子分離体を形成する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-33148号公報
【特許文献2】特開2019-114643号公報
【特許文献3】特開2015-37099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1では、素子領域内にスーパージャンクション構造を形成するために、ディープトレンチが形成される。特許文献2では、素子領域内にフィールドプレート型の電界効果トランジスタを形成するために、ディープトレンチが形成される。特許文献3では、素子領域内に基板コンタクトと素子分離領域とを形成するために、ディープトレンチが形成される。
【0006】
一方、本発明者は、素子領域内に形成されたディープトレンチが所望の形状に形成されているかどうかを確認するために、評価用のディープトレンチをスクライブ領域に形成することを、検討している。
【0007】
具体的には、スクライブ領域に形成された評価用ディープトレンチの深さ、寸法および角度等の形状は、たとえば、光学的手法(OCD:Optical Critical Dimension)を用いて評価される。そして、本発明者は、光学的な評価を行う際の精度を向上させるために、スクライブ領域に形成する評価用ディープトレンチを、ラインアンドスペースのパターンとして形成することを検討している。なお、ここで言う「ラインアンドスペースのパターン」とは、それぞれが一方向に延びる複数のディープトレンチ(すなわち、ライン状のパターン)を、この一方向と交差する他の方向において互いに距離を隔てるように並べて配置したパターンである。
【0008】
また、ウェハプロセスが完了した半導体ウェハは、そのスクライブ領域をダイシングブレードで切断することによって、個々の半導体チップに分割される。
【0009】
ここで、近年では、たとえば、半導体装置の製造コストを低減するために、半導体ウェハのスクライブ領域の幅を狭く(細く)することで、1枚の半導体ウェハから取得される半導体チップの数を増加させる傾向にある。これに伴い、ダイシング工程において使用するダイシングブレードの幅(太さ)も、細く(小さく)なる傾向にある。一方、素子領域内に形成されたディープトレンチが所望の形状に形成されているかどうかを確認する際の精度を向上させるためには、スクライブ領域に形成するラインアンドスペースのパターン(すなわち、評価用ディープトレンチ)のサイズは、大きいことが好ましい。
【0010】
この結果、スクライブ領域に形成されたラインアンドスペースのパターンのうち、ダイシングブレードが通過するカーフ領域に位置する部分は除去される一方、カーフ領域と素子領域との間に位置する部分は残されることになる。
【0011】
そして、このラインアンドスペースのパターンの配置の仕方によっては、カーフ領域に位置するラインアンドスペースのパターンが除去される際に、カーフ領域と素子領域との間に残されるラインアンドスペースのパターンの端部を起点として、半導体基板にクラックが発生することが、本発明者の検討により明らかとなった。なお、クラックが素子領域にまで進行すると、半導体装置(半導体チップ)が不良になるおそれがあることが想定される。
【0012】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付の図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子が形成された半導体装置の製造方法であって、以下の4つの工程を有する。主面を有する半導体基板を用意する。半導体基板の主面に、第1方向にそれぞれ延在し第1方向と交差する第2方向に互いに距離を隔てて配置される第1スクライブ領域を含む、複数のスクライブ領域を規定する。複数のスクライブ領域によって、マトリクス状に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子を形成する。ダイシングブレードにより複数のスクライブ領域のそれぞれを切断することにより、半導体素子が形成された素子領域を半導体チップとして取り出す。半導体素子を形成する工程は、以下の2つの工程を含む。素子領域に第1トレンチを形成するとともに、第1スクライブ領域に複数の第2トレンチからなるトレンチ群を形成する。トレンチ群を評価する。複数の第2トレンチからなるトレンチ群を形成する工程は、ダイシングブレードによって除去されることになる第1スクライブ領域の第1領域に第2トレンチ第1部を形成するとともに、第1領域を含む第1スクライブ領域と隣接する素子領域と第1領域との間に位置する第1スクライブ領域の第2領域に第2トレンチ第2部を形成する工程を備えている。平面視において、第2トレンチ第2部は、第1スクライブ領域が延在する第1方向に沿って帯状に形成される。
【0014】
他の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子が形成された半導体装置の製造方法であって、以下の4つの工程を有する。主面を有する半導体基板を用意する。半導体基板の主面に、第1方向にそれぞれ延在し第1方向と交差する第2方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第1スクライブ領域、および、第2方向にそれぞれ延在し第1方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第2スクライブ領域を規定する。複数の第1スクライブ領域と複数の第2スクライブ領域とによってマトリクス状に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子を形成する。ダイシングブレードにより、第1スクライブ領域と第2スクライブ領域とをそれぞれ切断することにより、半導体素子が形成された素子領域を半導体チップとして取り出す。半導体素子を形成する工程は、以下の2つの工程を含む。素子領域に第1トレンチを形成するとともに、第1スクライブ領域と第2スクライブ領域とが交差する交差領域に、複数の第2トレンチからなるトレンチ群を形成する。トレンチ群を評価する。トレンチ群を形成する工程では、複数の第2トレンチのすべてが、交差領域のうち、ダイシングブレードによって除去されることになる部分に位置するように形成される。
【0015】
さらに他の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子が形成された半導体装置の製造方法であって、以下の4つの工程を有する。主面を有する半導体基板を用意する。半導体基板の主面に、第1方向にそれぞれ延在し第1方向と交差する第2方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第1スクライブ領域、および、第2方向にそれぞれ延在し第1方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第2スクライブ領域をそれぞれ規定する。複数の第1スクライブ領域と複数の第2スクライブ領域とによってマトリクス状に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子を形成する。ダイシングブレードにより、第1スクライブ領域と第2スクライブ領域とをそれぞれ切断することにより、半導体素子が形成された素子領域を半導体チップとして取り出す。半導体素子を形成する工程は、以下の2つの工程を含む。素子領域に第1トレンチを形成するとともに、第1スクライブ領域と第2スクライブ領域とが交差する交差領域に、複数の第2トレンチからなるトレンチ群を形成する。トレンチ群を評価する。複数の第2トレンチからなるトレンチ群を形成する工程では、複数の第2トレンチのそれぞれは、半導体基板の劈開面に沿って環状に形成される。
【発明の効果】
【0016】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体装置が不良になるのを抑制することができる。
【0017】
他の実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体装置が不良になるのを抑制することができる。
【0018】
さらに他の実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体装置が不良になるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】各実施の形態に係る半導体ウェハを示す平面図である。
図2】実施の形態1に係る半導体ウェハにおけるスクライブ領域と素子領域とを示す部分平面図である。
図3】同実施の形態において、図2に示される断面線III-IIIにおける断面構造と、図2に示される点線枠内に示される平面構造とを併せて示す図である。
図4】同実施の形態において、半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
図5】同実施の形態において、図4に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図6】同実施の形態において、図5に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
図7】同実施の形態において、図6に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図8】同実施の形態において、図7に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図9】同実施の形態において、図8に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図10】同実施の形態において、図9に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図11】同実施の形態において、図10に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図12】同実施の形態において、図11に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図13】同実施の形態において、図12に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図14】同実施の形態において、図13に示す工程の後に行われる工程を示す部分拡大平面図である。
図15】同実施の形態において、図14に示す工程の後に行われる工程を示す部分拡大平面図である。
図16】同実施の形態において、図15に示す工程の後に行われる工程を示す平面図である。
図17】比較例に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す部分拡大平面図である。
図18図17に示す工程の後に行われる工程を示す部分拡大平面図である。
図19】実施の形態2に係る半導体ウェハにおけるスクライブ領域とその周辺の領域とを示す部分拡大平面図である。
図20】同実施の形態において、半導体装置の製造方法の一工程を示す部分拡大平面図である。
図21】実施の形態3に係る半導体ウェハにおけるスクライブ領域とその周辺の領域とを示す部分拡大平面図である。
図22】同実施の形態において、半導体装置の製造方法の一工程を示す部分拡大平面図である。
図23】同実施の形態において、図22に示す工程の後に行われる工程を示す部分拡大平面図である。
図24】実施の形態4に係る半導体ウェハにおけるスクライブ領域とその周辺の領域とを示す部分拡大平面図である。
図25】同実施の形態において、半導体装置の製造方法の一工程を示す部分拡大平面図である。
図26】同実施の形態において、図25に示す工程の後に行われる工程を示す部分拡大平面図である。
図27】実施の形態5の第1例に係る半導体ウェハを示す平面図である。
図28】同実施の形態において、第1例に係る半導体ウェハにおけるスクライブ領域とその周辺の領域とを示す部分拡大平面図である。
図29】同実施の形態において、第1例に係る半導体ウェハを適用した半導体装置の製造方法の一工程を示す部分拡大平面図である。
図30】同実施の形態において、図29に示す工程の後に行われる工程を示す部分拡大平面図である。
図31】実施の形態5の第2例に係る半導体ウェハを示す平面図である。
図32】同実施の形態において、第2例に係る半導体ウェハにおけるスクライブ領域とその周辺の領域とを示す部分拡大平面図である。
図33】同実施の形態において、第2例に係る半導体ウェハを適用した半導体装置の製造方法の一工程を示す部分拡大平面図である。
図34】同実施の形態において、図33に示す工程の後に行われる工程を示す部分拡大平面図である。
図35】実施の形態6に係る半導体ウェハにおけるスクライブ領域と素子領域とを示す部分平面図である。
図36】同実施の形態において、半導体ウェハにおけるスクライブ領域とその周辺の領域とを示す部分拡大平面図である。
図37】同実施の形態において、半導体装置の製造方法の一工程を示す部分拡大平面図である。
図38】同実施の形態において、図37に示す工程の後に行われる工程を示す平面図である。
図39】各実施の形態において、第1変形例に係る半導体ウェハにおけるディープトレンチ内の構造を示す部分拡大断面図である。
図40】各実施の形態において、第2変形例に係る半導体ウェハにおけるディープトレンチ内の構造を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1
実施の形態1に係る、半導体装置が形成された半導体ウェハの一例と、半導体装置の製造方法の一例とについて説明する。説明の便宜上、必要に応じてX-Y直交座標を用いて説明する。
【0021】
図1および図2に示すように、半導体ウェハWAF(半導体基板SUB)の主面には、複数のスクライブ領域SRBが規定されている。なお、図2は、図1に示される点線枠SA内の平面構造を示す。複数のスクライブ領域SRBは、第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとを含む。第1スクライブ領域SRBFは、Y軸方向(第1方向)にそれぞれ延在し、X軸方向(第2方向)に互いに距離を隔てて規定されている。第2スクライブ領域SRBSは、X軸方向にそれぞれ延在し、Y軸方向に互いに距離を隔てて規定されている。第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとによって、複数の素子領域EFRがマトリクス状に規定されている。
【0022】
次に、図2に示される点線枠SB内の構造について説明する。まず、素子領域EFRについて説明する。素子領域EFRのそれぞれには、半導体素子SCEが形成されている。ここでは、半導体素子SCEの一例として、スーパージャンクション構造を備えたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effective Transistor)を挙げる。図3に示すように、半導体基板SUBは、n++型基板NPSB、n型エピタキシャル層NELおよびp型エピタキシャル層PELを含む。半導体基板SUBの主面から所定の深さにわたりp型のベース拡散層BDLが形成されている。そのベース拡散層BDLの底からn型エピタキシャル層NELに達するn型カラム層NCLが形成されている。
【0023】
半導体基板SUBの主面からベース拡散層BDLを貫通してn型カラム層NCLに達するゲートトレンチTRCが形成されている。ゲートトレンチTRC内に、ゲート絶縁膜GIFを介在させてゲート電極TGELが形成されている。ベース拡散層BDLには、半導体基板SUBの主面からベース拡散層BDLの底よりも浅い領域にわたり、n型のソース拡散層SDLが形成されている。
【0024】
半導体基板SUBの主面からベース拡散層BDLとn型カラム層NCLとを貫通して、n型エピタキシャル層NELに達する絶縁体ZOFが形成されている。絶縁体ZOFは、ディープトレンチDTC(第1トレンチ)内に形成されている。ディープトレンチDTCの深さDDTは、たとえば、数μm程度とされる。なお、この明細書では、1.0μ程度以上の深さを有する溝を、ディープトレンチと称する。
【0025】
絶縁体ZOFには、空洞AGが形成されている。絶縁体ZOFに接するように、p型カラム層PCLが形成されている。p型カラム層PCLは、n型カラム層NCLにも接している。p型カラム層PCLとn型カラム層NCLとは、スーパージャンクション構造として、交互に配置されている。
【0026】
素子領域EFRを覆うように、保護絶縁膜TPFおよび層間絶縁膜ILFが形成されている。層間絶縁膜ILFを覆うように、ソース電極SEDが形成されている。ソース電極SEDを覆うように、パッシベーション膜PVFが形成されている。ソース電極SEDは、ソース拡散層SDLと電気的に接続されている。また、ソース電極SEDは、ベース拡散層BDLと電気的に接続されている。
【0027】
次に、スクライブ領域SRBについて説明する。スクライブ領域SRBには、素子領域EFRに形成されるディープトレンチDTCを光学的に評価するための評価用ディープトレンチ群EDTG(トレンチ群)が形成されている。評価用ディープトレンチ群EDTGは、複数の評価用ディープトレンチEDC(第2トレンチ)からなる。
【0028】
複数の評価用ディープトレンチEDCからなる評価用ディープトレンチ群EDTG(トレンチ群)は、光学的な評価を行う際の精度を向上させるために、たとえば、ラインアンドスペースのパターンとして形成される。具体的には、一つの評価用ディープトレンチEDCを、たとえば、Y軸方向に延在するライン状とし、そのライン状の評価用ディープトレンチEDCを、X軸方向に互いに距離を隔ててストライプ状に複数配置したパターンとされる。
【0029】
複数の評価用ディープトレンチEDCは、評価用ディープトレンチ第1部EDCF(第2トレンチ第1部)と、評価用ディープトレンチ第2部EDCS(第2トレンチ第2部)とを備えている。評価用ディープトレンチ第1部EDCFは、スクライブ領域SRBのうち、ダイシングブレードによって除去されることになるカーフ領域KF(第1領域)内に形成されている。
【0030】
評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、評価用ディープトレンチ第1部EDCFが形成されたカーフ領域KFを含むスクライブ領域SRBと隣接する素子領域EFRと、カーフ領域KFとの間に位置するスクライブ領域SRBの部分に形成されている。すなわち、評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、ダイシングブレードによってスクライブ領域SRBを切断した後に残されることになるスクライブ領域SRBの領域NK(第2領域)に形成されている。平面視において、評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、X軸方向に幅を有し、Y軸方向に延在するように帯状に形成されている。評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、素子領域EFRの一辺に沿って形成されている。
【0031】
評価用ディープトレンチ群EDTG内のそれぞれには、絶縁体ZOFが埋め込まれている。絶縁体ZOFには、空洞AGが形成されている。また、スクライブ領域SRBでは、素子領域EFRに形成されるp型カラム層PCLに対応するp型不純物領域が、絶縁体ZOFに接するように形成されている。さらに、スクライブ領域SRBでは、素子領域EFRに形成されるn型カラム層NCLに対応するn型不純物領域が、p型不純物領域に接するように形成されている。
【0032】
実施の形態1に係る、素子領域EFRに半導体素子SCEが形成された半導体ウェハWAFは上記のように構成される。
【0033】
次に、上述した半導体ウェハWAFの製造方法と、その半導体ウェハWAFから半導体装置としての半導体チップSCP(図16参照)を取り出す製造方法とを含む、一連の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0034】
まず、n++型基板NPSB、n型エピタキシャル層NELおよびp型エピタキシャル層PELを有する半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)(図4参照)を用意する。次に、半導体基板SUBの主面に、互いに直交する第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとが規定される。半導体基板SUBの主面では、第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとによって、複数の素子領域EFRがマトリクス状に規定される(図2参照)。
【0035】
次に、素子領域EFRに、半導体基板SUB(p型エピタキシャル層PEL)の表面から所定の深さを有するゲートトレンチTRC(図4参照)が形成される。次に、熱酸化処理を行うことによって、ゲートトレンチTRC内に露出したp型エピタキシャル層PELの部分を含むp型エピタキシャル層PELの表面に、シリコン酸化膜(図示せず)が形成される。次に、ゲートトレンチTRC内を埋め込むように、ポリシリコン膜(図示せず)が形成される。
【0036】
次に、p型エピタキシャル層PELの上面上に位置するシリコン酸化膜の部分およびポリシリコン膜の部分が除去される。これにより、図4に示すように、ゲートトレンチTRC内に残されたシリコン酸化膜の部分がゲート絶縁膜GIFとして形成される。また、ゲートトレンチTRC内に残されるポリシリコン膜の部分が、ゲート電極TGELとして形成される。次に、熱酸化処理を行うことにより、p型エピタキシャル層PELの表面に、保護絶縁膜IPFが形成される。
【0037】
次に、所定の写真製版処理とエッチング処理とが行われる。これにより、図5に示すように、素子領域EFRに、深さDDTを有するディープトレンチDTCが形成される。このとき、スクライブ領域SRBでは、ディープトレンチDTCの深さ等を、光学的に評価するための評価用ディープトレンチ群EDTGが、同時に形成される。評価用ディープトレンチ群EDTGは、評価用ディープトレンチ第1部EDCFと評価用ディープトレンチ第2部EDCSとを含む。
【0038】
次に、評価用ディープトレンチ群EDTGが、光学的手法(OCD)によって評価される。図6に示すように、評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されたスクライブ領域SRB(半導体基板SUB)に所定の光を照射し、反射した光を受光することによって、評価用ディープトレンチ群EDTGの深さ等の形状が測定される。測定された評価用ディープトレンチ群EDTGの深さ等の形状に関する情報は、ディープトレンチDTCの深さ等の形状に対応する情報として扱われる。この測定結果に基づいて、所望のディープトレンチDTCが形成されたか否かが判断される。なお、評価用ディープトレンチ群EDTGの評価手法としては、ディープトレンチDTCの形状に対応する情報が取得できれば、光学的手法に限られず、他の評価手法を用いてもよい。
【0039】
次に、図7に示すように、保護絶縁膜IPFおよびディープトレンチDTC等を介して、n型の不純物を斜め注入し、熱処理を行うことによって、素子領域EFRには、n型カラム層NCLが形成される。スクライブ領域SRBでは、n型の不純物領域が形成される。次に、図8に示すように、ディープトレンチDTC等を介して、p型の不純物を斜め注入し、熱処理を行うことによって、素子領域EFRには、p型カラム層PCLが形成される。スクライブ領域SRBでは、p型の不純物領域が形成される。
【0040】
次に、図9に示すように、ディープトレンチDTCおよび評価用ディープトレンチEDCを埋め込むように、たとえば、シリコン酸化膜等の絶縁膜ZOFFが形成される。このとき、ゲートトレンチTRCの深さよりも十分に深いディープトレンチDTCおよび評価用ディープトレンチEDCでは、空洞AGが形成されることになる。
【0041】
次に、化学的機械研磨処理(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を行うことによって、ディープトレンチDTC内および評価用ディープトレンチEDC内のそれぞれに位置する絶縁膜ZOFFの部分を残して、半導体基板SUBの上面上に位置する絶縁膜ZOFFの部分が除去される。これにより、図10に示すように、素子領域EFRでは、ディープトレンチDTC内に、空洞AGを有する絶縁体ZOFが形成される。スクライブ領域SRBでは、評価用ディープトレンチ群EDTG内に、空洞AGを有する絶縁体ZOFが形成される。
【0042】
次に、熱酸化処理を行うことにより、半導体基板SUBの表面が酸化されて、保護絶縁膜TPF(図11参照)が形成される。次に、写真製版処理を行うことにより、ベース拡散層BDLを形成するための所定のフォトレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのフォトレジストパターン(図示せず)を注入マスクとして、p型の不純物が注入される。これにより、図11に示すように、p型のベース拡散層BDLが形成される。ベース拡散層BDLは、半導体基板SUBの表面から、ゲートトレンチTRCの底よりも浅い位置にわたり形成される。その後、そのフォトレジストパターンが除去される。
【0043】
次に、写真製版処理を行うことにより、ソース拡散層SDLを形成するための所定のフォトレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのフォトレジストパターンを注入マスクとして、n型の不純物が注入される。これにより、素子領域EFRでは、ソース拡散層SDLが形成される。ソース拡散層SDLは、ベース拡散層BDLの表面から、ベース拡散層BDLの底よりも浅い位置にわたり形成される。その後、そのフォトレジストパターンが除去される。
【0044】
次に、半導体基板SUB(保護絶縁膜TPF)を覆うように、層間絶縁膜ILF(図12参照)が形成される。次に、層間絶縁膜ILFに、所定の写真製版処理およびエッチング処理が行われる。これにより、図12に示すように、ソース拡散層SDLおよびベース拡散層BDLを露出する開口部CHEが形成される。
【0045】
次に、たとえば、スパッタ法等によって、層間絶縁膜ILFを覆うようにアルミニウム膜(図示せず)が形成される。次に、アルミニウム膜に、所定の写真製版処理およびエッチング処理が行われる。これにより、図13に示すように、ソース電極SEDが形成される。次に、ソース電極SED等を覆うように、パッシベーション膜PVF(図3参照)を形成することにより、図1図3に示す半導体ウェハWAFが完成する。
【0046】
次に、半導体ウェハWAFから、半導体素子SCEが形成された素子領域EFRを半導体チップSCP(図16参照)として取り出すダイシング工程が行われる。図14に示すように、ダイシングが行われるスクライブ領域SRBのうち、第1スクライブ領域SRBFには、絶縁体ZOF(図3参照)が形成された評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されている。
【0047】
スクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)のうち、ダイシングブレードによって除去されることになるカーフ領域KFには、複数の評価用ディープトレンチ第1部EDCFが位置している。その評価用ディープトレンチ第1部EDCFが形成されたカーフ領域KFを含むスクライブ領域SRBと隣接する素子領域EFRと、カーフ領域KFとの間に位置するスクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)の領域NKには、評価用ディープトレンチ第2部EDCSが位置している。評価用ディープトレンチ第2部EDCSのY軸方向の長さTL2は、評価用ディープトレンチ第1部EDCFのY軸方向の長さTL1とほぼ同じ長さとされる。
【0048】
まず、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第1スクライブ領域SRBFが順次ダイシング(切断)される。これにより、図15に示すように、カーフ領域KFに位置していた評価用ディープトレンチ第1部EDCFが除去される。一方、評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、カーフ領域KFと素子領域EFRとの間に位置する、ダイシングブレードによって除去されずに残されるスクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)の領域NKに残されることになる。
【0049】
次に、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第2スクライブ領域SRBSが順次ダイシング(切断)される。このダイシング工程により、図16に示すように、半導体ウェハWAF(図1参照)における、半導体素子が形成された素子領域EFRが、半導体チップSCPとして取り出される。こうして、半導体装置としての半導体チップSCPが完成する。
【0050】
上述した半導体装置の一連の製造方法では、スクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)に、絶縁体ZOFが形成された評価用ディープトレンチ第2部EDCSが形成されている。これにより、ダイシング工程において、たとえ、クラックが発生したとしても、そのクラックが素子領域EFRにまで進行するのを阻止することができる。これについて、比較例に係る半導体装置の製造方法と比べて説明する。
【0051】
図17に示すように、比較例に係る半導体装置の製造方法に適用される半導体ウェハWAFでは、スクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)に、複数の評価用ディープトレンチEDCからなる評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されている。評価用ディープトレンチ群EDTGでは、一つの評価用ディープトレンチEDCをX軸方向に延在するライン状とし、その評価用ディープトレンチEDCがY軸方向に互いに距離を隔ててストライプ状に複数配置されている。
【0052】
その半導体ウェハWAFに対して、ダイシング工程が行われる。まず、ダイシングブレードによって、複数の第1スクライブ領域SRBF(図17参照)が順次ダイシングされる。このダイシングにより、図18に示すように、評価用ディープトレンチ群EDTGでは、カーフ領域KFに位置していた評価用ディープトレンチEDCの部分が除去される。カーフ領域KFと素子領域EFRとの間に位置するスクライブ領域SRBの領域NKでは、評価用ディープトレンチEDCの端部を含む部分が残されることになる。
【0053】
図18に示すように、このダイシングブレードによる切断の際に、評価用ディープトレンチEDCの端部にクラックCKSが発生し、そのクラックCKSが素子領域EFRへ向かって進行することがある。その結果、半導体素子SCEが形成された素子領域EFR(半導体チップ)が不良品となってしまうことが想定される。
【0054】
比較例に係る半導体装置の製造方法に対して、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法では、図15に示すように、ダイシング工程によって残されるスクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)の領域NKには、スクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)が延在するY軸方向に沿って帯状に延在する評価用ディープトレンチ第2部EDCSが形成されている。
【0055】
これにより、ダイシング工程の際に、カーフ領域KFに位置する評価用ディープトレンチ第1部EDCFからクラックが発生したとしても、そのクラックが、評価用ディープトレンチ第2部EDCSによって、隣接する素子領域EFR(半導体チップ)へ向かって進行するのを阻止することができる。その結果、半導体素子SCEが形成された素子領域EFR(半導体チップ)が不良品となってしまうのを抑制することができる。
【0056】
特に、評価用ディープトレンチEDC内に埋め込まれる絶縁体ZOFが空洞AGを有する場合には、空洞AGを有していない構造と比較して、強度的に不利になり、クラックが発生しやすくなる。上述した半導体装置の製造方法では、ダイシング工程によりクラックが発生しやすい状況でも、評価用ディープトレンチ第2部EDCSによって、クラックが、素子領域EFR(半導体チップ)へ向かって進行するのを効果的に阻止することができる。
【0057】
実施の形態2
実施の形態2では、スクライブ領域SRBに形成される評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンのバリエーションの第1例について説明する。
【0058】
図19に示すように、実施の形態2に半導体装置の製造方法の製造対象とされる半導体ウェハWAFでは、スクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)に、複数の評価用ディープトレンチEDCからなる評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されている。評価用ディープトレンチ群EDTGは、評価用ディープトレンチ第1部EDCFと評価用ディープトレンチ第2部EDCSとを備えている。評価用ディープトレンチ群EDTG内には、空洞AGを有する絶縁体ZOFが形成されている。
【0059】
評価用ディープトレンチ第1部EDCFは、X軸方向に延在するライン状とされ、Y軸方向に互いに距離を隔ててストライプ状に複数配置されている。評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、評価用ディープトレンチ第1部EDCFが形成されたカーフ領域KFを含むスクライブ領域SRBと隣接する素子領域EFRと、カーフ領域KFとの間に位置するスクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)の領域NKに形成されている。
【0060】
評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、X軸方向に幅を有し、Y軸方向に延在するように帯状に形成されている。評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、Y軸方向に長さTL2を有している。評価用ディープトレンチ群EDTGは、Y軸方向に長さTL1を有している。長さTL2は、長さTL1よりも長いことが望ましい。
【0061】
なお、これ以外の、素子領域EFRに形成される半導体素子SCP等を含む構造については、図3等に示す半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)の構成と同様なので、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。
【0062】
次に、上述した半導体ウェハWAFを適用した半導体装置の製造方法について説明する。半導体装置の一連の製造方法は、評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンが実施の形態1の場合と異なるだけで、実施の形態1において説明した製造工程と同様である。ここでは、特に、ダイシング工程について説明する。
【0063】
半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)に半導体素子SCEを形成する一連の製造工程を経た後、半導体ウェハWAFから、半導体素子SCEが形成された素子領域EFRを半導体チップSCP(図16参照)として取り出すダイシング工程が行われる。
【0064】
まず、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第1スクライブ領域SRBFが順次ダイシング(切断)される。これにより、図20に示すように、カーフ領域KFに位置していた複数の評価用ディープトレンチ第1部EDCFが除去される。一方、評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、カーフ領域KFと素子領域EFRとの間に位置する、除去されなかったスクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)の領域NKに残されることになる。また、この除去されなかった領域NKには、評価用ディープトレンチ第1部EDCFにおける端部を含む部分が残されることになる。
【0065】
次に、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第2スクライブ領域SRBS(図2参照)が順次ダイシング(切断)される。このダイシング工程により、半導体ウェハWAF(図1参照)における、半導体素子が形成された素子領域EFRが、半導体チップSCP(図16参照)として取り出される。こうして、半導体装置としての半導体チップSCPが完成する。
【0066】
上述した半導体装置の製造方法では、評価用ディープトレンチ群EDTG内には、空洞AGを有する絶縁体ZOFが形成されている。ダイシング工程の際に残されるスクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)の領域NKには、スクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF)が延在するY軸方向に沿って帯状に延在する評価用ディープトレンチ第2部EDCSが形成されている。また、その領域NKには、評価用ディープトレンチ第1部EDCFの端部を含む部分も残されることになる。
【0067】
これにより、ダイシング工程の際に、評価用ディープトレンチ第1部EDCFの端部等からクラックが発生したとしても、そのクラックが、評価用ディープトレンチ第2部EDCSによって、隣接する素子領域EFR(半導体チップ)へ向かって進行するのを効果的に阻止することができる。その結果、半導体素子SCEが形成された素子領域EFR(半導体チップ)が不良品となってしまうのを抑制することができる。
【0068】
実施の形態3
実施の形態3では、スクライブ領域SRBに形成される評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンのバリエーションの第2例について説明する。
【0069】
図21に示すように、実施の形態3に係る半導体装置の製造方法の製造対象とされる半導体ウェハWAFでは、第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとが交差する交差領域に、複数の評価用ディープトレンチEDCからなる評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されている。評価用ディープトレンチ群EDTGは、評価用ディープトレンチ第1部EDCF(第2トレンチ第1部)と評価用ディープトレンチ第2部EDCS(第2トレンチ第2部)とを備えている。評価用ディープトレンチ群EDTG内には、空洞AGを有する絶縁体ZOF(図3参照)が形成されている。
【0070】
評価用ディープトレンチ第1部EDCFは、Y軸方向に延在するライン状とされ、X軸方向に互いに距離を隔ててストライプ状に複数配置されている。評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、カーフ領域KFの外側に位置するスクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF、第2スクライブ領域SRBS)の領域NKに形成されている。評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、X軸方向に幅を有し、Y軸方向に延在するように帯状に形成されている。評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、Y軸方向に長さTL2を有している。評価用ディープトレンチ第1部EDCFは、Y軸方向に長さTL1を有している。長さTL2は、長さTL1とほぼ同じ長さとされる。
【0071】
なお、これ以外の、素子領域EFRに形成される半導体素子SCP等を含む構造については、図3等に示す半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)の構成と同様なので、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。
【0072】
次に、上述した半導体ウェハWAFを適用した半導体装置の製造方法について説明する。半導体装置の一連の製造方法は、評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンが実施の形態1の場合と異なるだけで、実施の形態1において説明した製造工程と同様である。ここでは、特に、ダイシング工程について説明する。
【0073】
半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)に半導体素子SCEを形成する一連の製造工程を経た後、半導体ウェハWAFから、半導体素子SCEが形成された素子領域EFRを半導体チップSCP(図16参照)として取り出すダイシング工程が行われる。
【0074】
このダイシング工程では、評価用ディープトレンチ第2部EDCSが延在する方向と平行に位置する第1スクライブ領域SRBFからダイシング(切断)が行われる。次に、第2スクライブ領域SRBSがダイシング(切断)される。
【0075】
まず、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第1スクライブ領域SRBFが順次ダイシング(切断)される。これにより、図22に示すように、カーフ領域KFに位置していた評価用ディープトレンチ第1部EDCFが除去される。一方、評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、カーフ領域KFの外側に位置する、除去されなかったスクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF、第2スクライブ領域SRBS)の領域NKに残されることになる。
【0076】
次に、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第2スクライブ領域SRBSが順次ダイシング(切断)される。これにより、図23に示すように、半導体ウェハWAFにおける、半導体素子が形成された素子領域EFRが、半導体チップSCP(図16参照)として取り出される。こうして、半導体装置としての半導体チップSCPが完成する。
【0077】
上述した半導体装置の製造方法では、評価用ディープトレンチ第2部EDCSが延在する方向と平行に位置する第1スクライブ領域SRBFが最初にダイシング(切断)され、次に、第2スクライブ領域SRBSがダイシング(切断)される。
【0078】
これにより、第1スクライブ領域SRBFをダイシング(切断)する際に、評価用ディープトレンチ第1部EDCFの端部等からクラックが発生したとしても、そのクラックが、評価用ディープトレンチ第2部EDCSによって、素子領域EFR(半導体チップ)へ向かって進行するのを効果的に阻止することができる。
【0079】
また、第2スクライブ領域SRBSをダイシング(切断)する際には、第2カーフ領域KF2に位置する評価用ディープトレンチ第2部EDCSの部分が除去される一方で、除去されなかったスクライブ領域SRBの領域NKには、評価用ディープトレンチ第2部EDCSの端部を含む部分が残されることになる。
【0080】
このとき、第2スクライブ領域SRBSをダイシング(切断)する際に、残される評価用ディープトレンチ第2部EDCSの端部からクラックが発生するようなケースを想定する。そうすると、評価用ディープトレンチ第2部EDCSは、第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとが交差する交差領域に形成されていることで、評価用ディープトレンチ第2部EDCSの端部から素子領域EFRまでの距離が、評価用ディープトレンチ第2部EDCSが交差領域に形成されていない場合と比べて長くなる。これにより、評価用ディープトレンチ第2部EDCSの端部から発生したクラックが、素子領域EFRへ進行するのを抑制することができる。
【0081】
これらの結果、半導体素子SCEが形成された素子領域EFR(半導体チップ)が不良品となってしまうのを抑制することができる。
【0082】
実施の形態4
実施の形態4では、スクライブ領域SRBに形成される評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンのバリエーションの第3例について説明する。
【0083】
図24に示すように、実施の形態4に係る半導体装置の製造方法の製造対象とされる半導体ウェハWAFでは、第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとが交差する交差領域に、複数の評価用ディープトレンチEDCからなる評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されている。評価用ディープトレンチ群EDTG内には、空洞AGを有する絶縁体ZOF(図3参照)が形成されている。
【0084】
複数の評価用ディープトレンチEDCのそれぞれは、幅を有し、X軸方向とY軸方向との双方の方向に交差する方向に延在するように帯状に形成されている。ここでは、複数の評価用ディープトレンチEDCのそれぞれは、X軸方向とY軸方向との双方に対し、約45°で交差する方向に延在する。また、複数の評価用ディープトレンチEDCのそれぞれは、延在する方向と交差する方向に互いに距離を隔てて形成されている。さらに、複数の評価用ディープトレンチEDCは、ダイシングブレードによって最終的に除去されることになるカーフ領域KF内に形成されている。
【0085】
ここで、評価用ディープトレンチEDCが延在する方向(第3方向)の長さを長さTL3とし、評価用ディープトレンチEDCが延在する方向と交差する方向(第4方向)の長さを長さTL4とする。長さTL3および長さTL4は、カーフ領域KFの幅WKよりも長い。また、長さTL3および長さTL4は、スクライブ領域SRBの幅WSと2の平方根(√2)との積の値(長さ)よりも短い。
【0086】
なお、これ以外の、素子領域EFRに形成される半導体素子SCP等を含む構造については、図3等に示す半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)の構成と同様なので、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。
【0087】
次に、上述した半導体ウェハWAFを適用した半導体装置の製造方法について説明する。半導体装置の一連の製造方法は、評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンが実施の形態1の場合と異なるだけで、実施の形態1において説明した製造工程と同様である。ここでは、特に、ダイシング工程について説明する。
【0088】
半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)に半導体素子SCEを形成する一連の製造工程を経た後、半導体ウェハWAFから、半導体素子SCEが形成された素子領域EFRを半導体チップSCP(図16参照)として取り出すダイシング工程が行われる。
【0089】
まず、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第1スクライブ領域SRBFが順次ダイシング(切断)される。これにより、図25に示すように、カーフ領域KFに位置していた評価用ディープトレンチEDCの部分が除去される。このとき、この除去されなかったスクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF、第2スクライブ領域SRBS)の領域NKには、評価用ディープトレンチEDCにおける端部を含む部分が残されることになる。
【0090】
次に、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第2スクライブ領域SRBSが順次ダイシング(切断)される。これにより、図26に示すように、残された評価用ディープトレンチEDCにおける端部を含む部分が除去されて、半導体ウェハWAFにおける、半導体素子が形成された素子領域EFRが、半導体チップSCP(図16参照)として取り出される。こうして、半導体装置としての半導体チップSCPが完成する。
【0091】
上述した半導体装置の製造方法では、評価用ディープトレンチ群EDTGが、第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとが交差する交差領域に形成されている。しかも、評価用ディープトレンチ群EDTGは、ダイシングブレードによって最終的に除去されることになるカーフ領域KF内に形成されている。また、評価用ディープトレンチ群EDTGでは、評価用ディープトレンチEDCのそれぞれは、X軸方向とY軸方向との双方に対し、約45°で交差する方向に延在する。
【0092】
これにより、第1スクライブ領域SRBFのダイシングによって残される評価用ディープトレンチEDCにおける端部から素子領域EFRまでの距離が、評価用ディープトレンチEDCが、X軸方向またはY軸方向に平行に配置されている場合と比べて、より長くなる。このため、第1スクライブ領域SRBFをダイシング(切断)する際に、残される評価用ディープトレンチEDCにおける端部を含む部分からクラック発生したとしても、そのクラックが素子領域EFRにまで進行するのを抑制することができる。
【0093】
さらに、残された評価用ディープトレンチEDCにおける端部を含む部分も、第2スクライブ領域SRBSのダイシングによって、最終的に除去されることになる。これらの結果、半導体素子SCEが形成された素子領域EFR(半導体チップ)が不良品となってしまうのをより確実に抑制することができる。
【0094】
また、評価用ディープトレンチ群EDTGでは、長さTL3および長さTL4は、カーフ領域KFの幅WKよりも長い。また、長さTL3および長さTL4は、スクライブ領域SRBの幅WSと2の平方根(√2)との積の値(長さ)よりも短い。これにより、評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンのサイズを、評価用ディープトレンチ群EDTGをX軸方向またはY軸軸方向に対して傾けない場合と比較して、より大きくすることができる。その結果、光学的に評価用ディープトレンチ群EDTGを評価する際の精度を向上させることができる。
【0095】
実施の形態5
実施の形態5では、スクライブ領域SRBに形成される評価用ディープトレンチEDCのパターンのバリエーションの第4例について説明する。ここでは、評価用ディープトレンチが延在する方向が半導体ウェハWAFの劈開面に平行な場合について、2つのケースに分けて説明する。
【0096】
(ケース1)
ケース1では、半導体ウェハWAFのノッチの方向が[011]である場合について説明する。
【0097】
図27および図28に示すように、半導体装置の製造方法の製造対象とされる半導体ウェハWAFでは、第1劈開面CVS1がY軸方向に平行に位置する。第2劈開面CVS2がX軸方向に平行に位置する。第1劈開面CVS1と第2劈開面CVS2とは直交する。
【0098】
第1スクライブ領域SRBFは、第1劈開面CVS1(Y軸方向)に平行に位置し、第2スクライブ領域SRBSは、第2劈開面CVS2(X軸方向)に平行に位置する。その第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとが交差する交差領域に、評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されている。評価用ディープトレンチ群EDTG内には、空洞AGを有する絶縁体ZOFが形成されている(図3参照)。
【0099】
評価用ディープトレンチ群EDTGでは、X軸方向(第2劈開面CVS2)に平行に延在する部分と、Y軸方向(第1劈開面CVS1)に平行に延在する部分とが互いに繋がった環状の一つの評価用ディープトレンチEDCが、交差する領域の中央部から周囲に、互いに距離を隔てて矩形状に広がる態様で、複数形成されている。ここで、評価用ディープトレンチ群EDTGのX軸方向の長さを長さTL5とし、評価用ディープトレンチ群EDTGの軸方向の長さを長さTL6とする。長さTL5および長さTL6は、カーフ領域KFの幅WKよりも長い。
【0100】
なお、これ以外の、素子領域EFRに形成される半導体素子SCP等を含む構造については、図3等に示す半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)の構成と同様なので、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。
【0101】
次に、上述した半導体ウェハWAFを適用した半導体装置の製造方法について説明する。半導体装置の一連の製造方法は、評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンが実施の形態1の場合と異なるだけで、実施の形態1において説明した製造工程と同様である。ここでは、特に、ダイシング工程について説明する。
【0102】
半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)に半導体素子SCEを形成する一連の製造工程を経た後、半導体ウェハWAFから、半導体素子SCEが形成された素子領域EFRを半導体チップSCP(図16参照)として取り出すダイシング工程が行われる。
【0103】
まず、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第1スクライブ領域SRBFが順次ダイシング(切断)される。これにより、図29に示すように、カーフ領域KFに位置していた評価用ディープトレンチ群EDTGの部分が除去される。このとき、除去されなかったスクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF、第2スクライブ領域SRBS)の領域NKには、評価用ディープトレンチ群EDTGの一部が残される。その評価用ディープトレンチ群EDTGの一部は、X軸方向に延在する評価用ディープトレンチEDCの部分と、Y軸方向に延在する評価用ディープトレンチEDCの部分とが繋がった態様で残される。
【0104】
次に、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第2スクライブ領域SRBSが順次ダイシング(切断)される。これにより、図30に示すように、矩形状で環状の評価用ディープトレンチ群EDTGの四隅に位置する部分を残して、評価用ディープトレンチ群EDTGの部分がさらに除去される。評価用ディープトレンチ群EDTGの四隅に位置する部分は、X軸方向に延在する評価用ディープトレンチEDCの部分と、Y軸方向に延在する評価用ディープトレンチEDCの部分とが繋がった態様で残される。
【0105】
こうして、半導体ウェハWAFにおける、半導体素子が形成された素子領域EFRが、半導体チップSCP(図16参照)として取り出されて、半導体装置としての半導体チップSCPが完成する。
【0106】
上述した半導体装置の製造方法では、第1劈開面CVS1(Y軸方向)と平行に位置する第1スクライブ領域SRBFと、第2劈開面CVS2(X軸方向)に平行に位置する第2スクライブ領域SRBSとが交差する領域に、評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されている。
【0107】
その評価用ディープトレンチ群EDTGでは、X軸方向(第2劈開面CVS2)に平行に延在する評価用ディープトレンチEDCの部分と、Y軸方向(第1劈開面CVS1)に平行に延在する評価用ディープトレンチEDCの部分とが互いに繋がった環状の一つの評価用ディープトレンチEDCが、交差領域の中央部から周囲に、互いに距離を隔てて矩形状に広がる態様で、複数形成されている。
【0108】
これにより、第1スクライブ領域SRBFをダイシング(切断)する際に、X軸に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCの部分から第2劈開面CVS2(X軸方向)に沿ってクラックが発生したとしても、そのX軸に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCの端部に、Y軸に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCが繋がっていることで、クラックが素子領域EFRへ向かって進行するのを阻止することができる。
【0109】
また、第2スクライブ領域SRBSをダイシング(切断)する際に、Y軸に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCの部分から第1劈開面CVS1(Y軸方向)に沿ってクラックが発生したとしても、そのY軸に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCの端部に、X軸に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCが繋がっていることで、クラックが素子領域EFRへ向かって進行するのを阻止することができる。
【0110】
これらの結果、半導体素子SCEが形成された素子領域EFR(半導体チップ)が不良品となってしまうのを抑制することができる。
【0111】
また、評価用ディープトレンチ群EDTGのX軸方向の長さTL5およびY軸方向の長さTL6が、カーフ領域KFの幅WKよりも長いことで、評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンのサイズが大きくなる。その結果、光学的に評価用ディープトレンチ群EDTGを評価する際の精度を向上させることができる。
【0112】
(ケース2)
ケース2では、半導体ウェハWAFのノッチの方向が[001]である場合について説明する。
【0113】
図31および図32に示すように、半導体装置の製造方法の製造対象とされる半導体ウェハWAFでは、第1劈開面CVS1が、X軸方向およびY軸方向の双方と45°で交差する方向(第3方向)に平行に位置する。第2劈開面CVS2が、X軸方向およびY軸方向の双方と45°で交差する方向(第4方向)に平行に位置する。第1劈開面CVS1と第2劈開面CVS2とは直交する。
【0114】
第1スクライブ領域SRBFは、第1劈開面CVS1(Y軸方向)および第2劈開面CVS2(X軸方向)と45°で交差する方向に平行に位置する。第2スクライブ領域SRBSは、第1劈開面CVS1(Y軸方向)および第2劈開面CVS2(X軸方向)と45°で交差する方向に平行に位置する。その第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとが交差する交差領域に、評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されている。評価用ディープトレンチ群EDTG内には、空洞AGを有する絶縁体ZOFが形成されている(図3参照)。
【0115】
評価用ディープトレンチ群EDTGでは、第1劈開面CVS1に平行に延在する部分と第2劈開面CVS2に平行に延在する部分とが、互いに繋がった環状の一つの評価用ディープトレンチEDCが、交差する領域の中央部から周囲に、互いに距離を隔てて矩形状に広がる態様で、複数形成されている。ここで、評価用ディープトレンチ群EDTGの第1劈開面CVS1に平行な方向の長さを長さTL7とし、評価用ディープトレンチ群EDTGの第2劈開面CVS2に平行な方向の長さを長さTL8とする。長さTL7および長さTL8は、カーフ領域KFの幅WKよりも長い。
【0116】
なお、これ以外の、素子領域EFRに形成される半導体素子SCP等を含む構造については、図3等に示す半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)の構成と同様なので、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。
【0117】
次に、上述した半導体ウェハWAFを適用した半導体装置の製造方法について説明する。半導体装置の一連の製造方法は、評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンが実施の形態1の場合と異なるだけで、実施の形態1において説明した製造工程と同様である。ここでは、特に、ダイシング工程について説明する。
【0118】
半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)に半導体素子SCEを形成する一連の製造工程を経た後、半導体ウェハWAFから、半導体素子SCEが形成された素子領域EFRを半導体チップSCP(図16参照)として取り出すダイシング工程が行われる。
【0119】
まず、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第1スクライブ領域SRBFが順次ダイシング(切断)される。これにより、図33に示すように、カーフ領域KFに位置していた評価用ディープトレンチ群EDTGの部分が除去される。このとき、除去されなかったスクライブ領域SRB(第1スクライブ領域SRBF、第2スクライブ領域SRBS)の領域NKには、評価用ディープトレンチ群EDTGの一部が残される。その評価用ディープトレンチ群EDTGの一部は、第1劈開面CVS1に平行に延在する評価用ディープトレンチEDCの部分と、第2劈開面CVS2に平行に延在する評価用ディープトレンチEDCの部分とが繋がった態様で残される。
【0120】
次に、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第2スクライブ領域SRBSが順次ダイシング(切断)される。これにより、図34に示すように、第1劈開面CVS1に平行に延在する評価用ディープトレンチ群EDTGの部分と、第2劈開面CVS2に平行に延在する評価用ディープトレンチ群EDTGの部分とを残して、評価用ディープトレンチ群EDTGの部分がさらに除去される。
【0121】
こうして、半導体ウェハWAFにおける、半導体素子が形成された素子領域EFRが、半導体チップSCP(図16参照)として取り出されて、半導体装置としての半導体チップSCPが完成する。
【0122】
上述した半導体装置の製造方法では、第1スクライブ領域SRBFと第2スクライブ領域SRBSとが交差する交差領域に、評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されている。その評価用ディープトレンチ群EDTGでは、第1劈開面CVS1に平行に延在する評価用ディープトレンチEDCの部分と、第2劈開面CVS2に平行に延在する評価用ディープトレンチEDCの部分とが、互いに繋がった環状の一つの評価用ディープトレンチEDCが、交差領域の中央部から周囲に、互いに距離を隔てて矩形状に広がる態様で、複数形成されている。
【0123】
これにより、第1スクライブ領域SRBFをダイシング(切断)する際に、第1劈開面CVS1に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCの部分から第1劈開面CVS1に沿ってクラックがたとえ発生したとしても、クラックが発生したその評価用ディープトレンチEDCの端部に、第2劈開面CVS2に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCが繋がっていることで、クラックが素子領域EFRへ向かって進行するのを阻止することができる。
【0124】
また、第1スクライブ領域SRBFをダイシング(切断)する際に、第2劈開面CVS2に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCの部分から第2劈開面CVS2に沿ってクラックがたとえ発生したとしても、クラックが発生したその評価用ディープトレンチEDCの端部に、第1劈開面CVS1に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCが繋がっていることで、クラックが素子領域EFRへ向かって進行するのを阻止することができる。
【0125】
さらに、第2スクライブ領域SRBSをダイシング(切断)する際に、第1劈開面CVS1に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCの部分から第1劈開面CVS1に沿ってクラックがたとえ発生したとしても、クラックが発生したその評価用ディープトレンチEDCの途中から先は、最初のダイシングによってすでに除去されている。これにより、クラックが素子領域EFRへ向かって進行することはない。
【0126】
また、第2劈開面CVS2に平行に位置する評価用ディープトレンチEDCの部分から第2劈開面CVS2に沿ってクラックがたとえ発生したとしても、クラックが発生したその評価用ディープトレンチEDCの途中から先も、最初のダイシングによってすでに除去されている。これにより、クラックが素子領域EFRへ向かって進行することはない。
【0127】
また、評価用ディープトレンチ群EDTGを構成する評価用ディープトレンチEDCは、第1劈開面CVS1に平行に延在する部分と第2劈開面CVS2に平行に延在する部分とが、互いに繋がった環状の矩形状とされ、X軸方向とY軸方向との双方に45°で交差する態様で形成されている。
【0128】
これにより、実施の形態4において説明したのと同様に、評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンのサイズを、ケース1の場合よりも大きくすることができる。その結果、光学的に評価用ディープトレンチ群EDTGを評価する際の精度を向上させることができる。
【0129】
実施の形態6
実施の形態6では、スクライブ領域SRBに形成される評価用ディープトレンチEDCのパターンのバリエーションの第5例について説明する。
【0130】
図35および図36に示すように、実施の形態6に係る半導体装置の製造方法の製造対象とされる半導体ウェハWAFでは、第1スクライブ領域SRBFに、複数の評価用ディープトレンチEDCからなる評価用ディープトレンチ群EDTGが形成されている。
【0131】
複数の評価用ディープトレンチEDCは、Y軸方向に所定の長さをもって延在する評価用ディープトレンチEDCに加えて、素子領域EFRを連続的に取り囲む評価用ディープトレンチ第3部EDCT(第2トレンチ第3部)を有する。素子領域EFRを取り囲む評価用ディープトレンチ第3部EDCTは、ダイシングブレードによって最終的に除去されることになるカーフ領域KFと素子領域EFRとの間に位置するスクライブ領域SRBの領域NKに、素子領域EFRを連続的に取り囲むように形成されている。
【0132】
なお、これ以外の、素子領域EFRに形成される半導体素子SCP等を含む構造については、図3等に示す半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)の構成と同様なので、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。
【0133】
次に、上述した半導体ウェハWAFを適用した半導体装置の製造方法について説明する。半導体装置の一連の製造方法は、評価用ディープトレンチ群EDTGのパターンが実施の形態1の場合と異なるだけで、実施の形態1において説明した製造工程と同様である。ここでは、特に、ダイシング工程について説明する。
【0134】
半導体基板SUB(半導体ウェハWAF)に半導体素子SCEを形成する一連の製造工程を経た後、半導体ウェハWAFから、半導体素子SCEが形成された素子領域EFRを半導体チップSCP(図16参照)として取り出すダイシング工程が行われる。
【0135】
まず、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第1スクライブ領域SRBFが順次ダイシング(切断)される。これにより、図37に示すように、カーフ領域KFに位置していた評価用ディープトレンチEDCが除去される。このとき、除去されなかった第1スクライブ領域SRBFの領域NKには、素子領域EFRを連続的に取り囲む評価用ディープトレンチ第3部EDCTが残されることになる。
【0136】
次に、ダイシングブレード(図示せず)によって、複数の第2スクライブ領域SRBS(図35参照)が順次ダイシング(切断)される。これにより、除去されなかった第2スクライブ領域SRBSの領域NKには、素子領域EFRを連続的に取り囲む評価用ディープトレンチ第3部EDCTが残されることになる。こうして、図38に示すように、半導体素子が形成された素子領域EFRが、半導体チップSCPとして取り出されて、半導体装置としての半導体チップSCPが完成する。
【0137】
上述した半導体装置の製造方法では、最終的に残されるスクライブ領域SRBの領域NKに、素子領域EFRを連続的に取り囲むように評価用ディープトレンチ第3部EDCTが形成されている。
【0138】
これにより、ダイシング工程の際に、カーフ領域KFに位置する評価用ディープトレンチ第1部EDCFからクラックが発生したとしても、そのクラックが評価用ディープトレンチ第3部EDCTによって、素子領域EFR(半導体チップ)へ向かって進行するのを阻止することができる。その結果、半導体素子SCEが形成された素子領域EFR(半導体チップSCP)が不良となってしまうのを抑制することができる。
【0139】
(変形例) 上述したように、各実施の形態では、素子領域に形成される半導体素子として、スーパージャンクション構造を備えたMOSFETを一例に挙げた。この場合には、素子領域EFRに形成されるディープトレンチDTC(図3参照)内には、空洞AGを有する絶縁体ZOFが形成される。これに伴い、スクライブ領域に形成される評価用ディープトレンチ群EDTGを構成する評価用ディープトレンチEDC内にも、空洞AGを有する絶縁体ZOFが形成される。
【0140】
素子領域に形成される半導体素子として、スーパージャンクション構造を有する半導体素子の他に、たとえば、フィールドプレート型の電界効果トランジスタがある(特許文献2)。この場合には、素子領域に形成されるディープトレンチ内には、フィールドプレートとゲート電極とが形成される(図示せず)。
【0141】
これに伴い、図39に示すように、スクライブ領域SRBでは、評価用ディープトレンチ群EDTGを構成する評価用ディープトレンチEDC内には、フィールドプレートに対応する第1導電体FDBと、ゲート電極に対応する第2導電体SDBとが形成されることになる。第1導電体FDBと第2導電体SDBとは、絶縁体ZOFによって電気的に絶縁されている。この場合、評価用ディープトレンチEDCの深さDDTは、たとえば、数μm程度とされる。
【0142】
また、素子領域に形成される半導体素子として、一のディープトレンチ内に、基板コンタクトが形成され、他のディープトレンチ内に、素子分離体が形成される半導体素子がある(特許文献3)。この場合には、一のディープトレンチ内には、タングステン等の金属が形成され、他のディープトレンチ内には、空洞を有する絶縁体が形成される(いずれも図示せず)。
【0143】
これに伴い、図40に示すように、スクライブ領域SRBでは、評価用ディープトレンチ群EDTGを構成する評価用ディープトレンチEDC内には、絶縁体ZOFを介在させてタングステン等の金属に対応する導電体CLDが形成されることになる。この場合、評価用ディープトレンチEDCの深さDDTは、たとえば、十数μm程度とされる。また、他の評価用ディープトレンチ内には、空洞を有する絶縁体が形成されることになる(図示せず)。
【0144】
なお、各実施の形態において説明した半導体装置の製造法または半導体ウェハについては、必要に応じて種々組み合わせることが可能である。
【0145】
各実施の形態に係る半導体ウェハは、以下の態様を含む。
【0146】
[付記1]
半導体基板に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子が形成された半導体ウェハであって、
主面を有する前記半導体基板と、
前記半導体基板の前記主面に規定され、第1方向にそれぞれ延在し前記第1方向と交差する第2方向に互いに距離を隔てて配置される第1スクライブ領域を含む、複数のスクライブ領域と、
前記半導体基板の前記主面に、前記複数のスクライブ領域によってマトリクス状に規定され、第1トレンチが形成された前記複数の素子領域と、
前記複数の素子領域のそれぞれに形成された前記半導体素子と、
前記第1スクライブ領域に形成され、複数の第2トレンチからなるトレンチ群と、
を有し、
前記複数の第2トレンチからなる前記トレンチ群は、
前記第1スクライブ領域の第1領域に形成された第2トレンチ第1部と、
前記第1領域を含む前記第1スクライブ領域と隣接する前記素子領域と、前記第1領域との間に位置する前記第1スクライブ領域の第2領域に形成された第2トレンチ第2部と、
を備え、
平面視において、前記第2トレンチ第2部は、前記第1スクライブ領域が延在する前記第1方向に沿って帯状に形成された、半導体ウェハ。
【0147】
[付記2]
前記第2トレンチ第1部は、前記第1方向に第1長さを有し、
前記第2トレンチ第2部は、前記第1方向に前記第1長さ以上の第2長さを有する、付記1記載の半導体ウェハ。
【0148】
[付記3]
前記複数のスクライブ領域は、前記半導体基板の前記主面に、前記第2方向にそれぞれ延在し前記第1方向に互いに距離を隔てて配置される第2スクライブ領域を含み、
前記トレンチ群は、前記第1スクライブ領域のうち、前記第2スクライブ領域と交差する交差領域に形成された、付記1記載の半導体ウェハ。
【0149】
[付記4]
前記複数の第2トレンチからなる前記トレンチ群は、前記スクライブ領域の前記第2領域に、前記素子領域を環状に取り囲むように形成された第2トレンチ第3部を含む、付記1記載の半導体ウェハ。
【0150】
[付記5]
前記トレンチ群内および前記第1トレンチ内のそれぞれには、空洞を有する絶縁体が形成された、付記1~4のいずれか1項に記載の半導体ウェハ。
【0151】
[付記6]
前記トレンチ群および前記第1トレンチのそれぞれは、少なくとも1.0μmの深さを有する、付記1~4のいずれか1項に記載の半導体ウェハ。
【0152】
[付記7]
半導体基板に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子が形成された半導体ウェハであって、
主面を有する前記半導体基板と、
前記半導体基板の前記主面に規定され、第1方向にそれぞれ延在し前記第1方向と交差する第2方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第1スクライブ領域、および、前記第2方向にそれぞれ延在し前記第1方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第2スクライブ領域と、
前記半導体基板の前記主面に、前記複数の第1スクライブ領域と前記複数の第2スクライブ領域とによってマトリクス状に規定され、第1トレンチが形成された前記複数の素子領域と、
前記第1スクライブ領域と前記第2スクライブ領域とが交差する交差領域に形成された、複数の第2トレンチからなるトレンチ群と、
前記複数の素子領域のそれぞれに形成された前記半導体素子と、
を有し、
第1スクライブ領域および第2スクライブ領域のそれぞれは、
第1領域と、
前記第1スクライブ領域または前記第2スクライブ領域に隣接する前記素子領域と、前記第1領域との間に位置する第2領域と、
を含み、
前記複数の第2トレンチからなる前記トレンチ群は、前記複数の第2トレンチのすべてが、前記交差領域において前記第1領域内に位置するように形成された、半導体ウェハ。
【0153】
[付記8]
前記トレンチ群における前記複数の第2トレンチのそれぞれは、前記第1方向および前記第2方向のそれぞれと交差する第3方向にそれぞれ帯状に延在するとともに、前記第1方向、前記第2方向および前記第3方向のそれぞれと交差する第4方向に距離を隔てて形成され、
前記複数の第2トレンチの前記第3方向の長さおよび前記第4方向の長さは、前記第1領域の幅よりも長く、前記第1スクライブ領域および前記第2スクライブ領域の幅と2の平方根との積の値よりも短い、付記7記載の半導体ウェハ。
【0154】
[付記9]
前記トレンチ群内および前記第1トレンチ内のそれぞれには、空洞を有する絶縁体が形成された、付記7または8に記載の半導体ウェハ。
【0155】
[付記10]
前記トレンチ群および前記第1トレンチのそれぞれは、少なくとも1.0μmの深さを有する、付記7または8に記載の半導体ウェハ。
【0156】
[付記11]
半導体基板に規定された複数の素子領域のそれぞれに、半導体素子が形成された半導体ウェハであって、
主面を有する前記半導体基板と、
前記半導体基板の前記主面に規定され、第1方向にそれぞれ延在し前記第1方向と交差する第2方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第1スクライブ領域、および、前記第2方向にそれぞれ延在し前記第1方向に互いに距離を隔てて配置される複数の第2スクライブ領域と、
前記半導体基板の前記主面に、前記複数の第1スクライブ領域と前記複数の第2スクライブ領域とによってマトリクス状に規定され、第1トレンチが形成された前記複数の素子領域と、
前記第1スクライブ領域と前記第2スクライブ領域とが交差する交差領域に形成された、複数の第2トレンチからなるトレンチ群と、
前記複数の素子領域のそれぞれに形成された前記半導体素子と、
を有し、
前記トレンチ群では、前記複数の第2トレンチのそれぞれは、前記半導体基板の劈開面に沿って環状に形成された、半導体ウェハ。
【0157】
[付記12]
前記劈開面は、
前記第1方向に平行に位置する第1劈開面と、
前記第2方向に平行に位置する第2劈開面と、
と有する、付記11記載の半導体ウェハ。
【0158】
[付記13]
前記劈開面は、
前記第1方向および前記第2方向のそれぞれに交差する第3方向に平行に位置する第1劈開面と、
前記第1方向、前記第2方向および前記第3方向のそれぞれに交差する第4方向に平行に位置する第2劈開面と、
を有する、付記11記載の半導体ウェハ。
【0159】
[付記14]
前記トレンチ群内および前記第1トレンチ内のそれぞれには、空洞を有する絶縁体が形成された、付記11~13のいずれか1項に記載の半導体ウェハ。
【0160】
[付記15]
前記トレンチ群および前記第1トレンチのそれぞれは、少なくとも1.0μmの深さを有する、付記11~13のいずれか1項に記載の半導体ウェハ。
【0161】
[付記16]
(a)平面視において、一辺を有する素子領域、および前記素子領域の前記一辺に沿って設けられたスクライブ領域を有する半導体基板を準備する工程と、
(b)前記(a)の後、前記素子領域に第1トレンチを形成すると共に、前記スクライブ領域に複数の第2トレンチを形成する工程と、
(c)前記(b)の後、前記複数の第2トレンチを評価する工程と、
(d)前記(c)の後、前記スクライブ領域に沿ってダイシングブレードを走行させることにより前記半導体基板を切断し、前記素子領域を有する半導体チップを取得する工程と、を含み、
前記スクライブ領域は、平面視において、
前記(d)工程において前記ダイシングブレードにより除去される第1領域と、
前記スクライブ領域に隣接する前記素子領域と前記第1領域との間に位置し、かつ、前記(d)工程において前記ダイシングブレードにより除去されない第2領域と、
を有し、
前記(b)工程により形成された前記複数の第2トレンチは、平面視において、
前記第1領域に形成された複数の第2トレンチ第1部と、
前記第2領域に形成され、かつ、前記複数の第2トレンチ第1部の隣に位置する第2トレンチ第2部と、
を有し、
前記(b)工程では、前記第2トレンチ第2部を、平面視において前記素子領域の前記一辺に沿うように形成する、半導体装置の製造方法。
【0162】
[付記17]
前記(b)工程では、前記第2トレンチ第1部を、平面視において前記素子領域の前記一辺に沿うように形成する、付記16記載の半導体装置の製造方法。
【0163】
[付記18]
前記(b)工程では、前記第2領域のうち、前記第2トレンチ第2部と前記素子領域との間に、第2トレンチ第3部を、平面視において前記素子領域の前記一辺に沿うように、形成する、付記17記載の半導体装置の製造方法。
【0164】
[付記19]
前記(b)工程では、前記第2トレンチ第1部を、平面視において、前記素子領域の前記一辺が延在する第1方向と交差する第2方向に沿うように形成する、付記16記載の半導体装置の製造方法。
【0165】
[付記20]
前記(c)工程では、前記複数の第2トレンチを評価することにより、前記第1トレンチの形状を評価する、付記16記載の半導体装置の製造方法。
【0166】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0167】
WAF 半導体ウェハ、SUB 半導体基板、NPSB n++型基板、NEL N型エピタキシャル層、PEL p型エピタキシャル層、SRB スクライブ領域、SRBF 第1スクライブ領域、SRBS 第2スクライブ領域、EDTG 評価用ディープトレンチ群、EDC 評価用ディープトレンチ、EDCF 評価用ディープトレンチ第1部、EDCS 評価用ディープトレンチ第2部、EDCT 評価用ディープトレンチ第3部、DDT 深さ、FDB 第1導電体、SDB 第2導電体、CLD 埋め込み導電体、EFR 素子領域、SCE 半導体素子、SCP 半導体チップ、DTC ディープトレンチ、ZOFF 絶縁膜、ZOF 絶縁体、AG 空洞、NCL n型カラム層、PCL p型カラム層、TRC ゲートトレンチ、GIF ゲート絶縁膜、TGEL ゲート電極、BDL ベース拡散層、SDL ソース拡散層、IPF、TPF 保護絶縁膜、ILF 層間絶縁膜、CHE 開口部、SEL ソース電極、PVF パッシベーション膜、KF カーフ領域、NK 領域、TL1、TL2、TL3、TL4、TL5、TL6、TL7、TL8 長さ、WS、WK 幅、CVS1 第1劈開面、CVS2 第2劈開面、SA、SB 点線枠。
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