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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027017
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20240221BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129695
(22)【出願日】2022-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】橋口 徹
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA11
5E021FB05
5E021FC07
5E021HA05
5E021HA07
5E021HB05
5E021HB07
5E223AB20
5E223AB45
5E223AC21
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CA17
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB25
5E223EA03
5E223EC12
5E223EC33
5E223EC42
(57)【要約】
【課題】摺動によるコンタクトと電極の摩耗を抑制する。
【解決手段】電極を有するモジュール基板とメイン基板との電気的接続を行うコネクタは、メイン基板200に搭載されるハウジング80と、接触部92とメイン基板200に接続される接続部91を有し、ハウジング80に保持されたコンタクト90と、メイン基板200に固定される平板部61と一対の側板部62を有し、一対の側板部62にカム溝と突起の一方が形成されているフレーム60と、一対の対向辺部分にカム溝と突起の他方が形成され、突起がカム溝に挿入されて一対の側板部62間に取り付けられたスライダ70と、一対の側板部62間に収容され、ハウジング80との間に挿入空間101を構成するプレート120とを備え、スライダ70は挿入空間101へのモジュール基板300の挿入方向と同じ方向にスライドすることによりプレート120を介してモジュール基板300を接触部92に押し付ける。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横に配列された複数の電極を一方の面に有するモジュール基板と、メイン基板との電気的接続を行うコネクタであって、
前記メイン基板に搭載される扁平なハウジングと、
前記ハウジングのメイン基板搭載面と反対面から突出する接触部と、前記メイン基板の電極に接続される接続部とを有し、前記モジュール基板の電極に対応して前記ハウジングに配列保持された複数のコンタクトと、
前記メイン基板の板面に固定される平板部と、前記平板部から立ち上げられた一対の側板部とを有し、前記一対の側板部にカム機構を構成するカム溝と突起の一方が形成されているフレームと、
板状をなし、一対の対向辺部分に前記カム機構を構成するカム溝と突起の他方が形成され、前記突起が前記カム溝に挿入されて前記一対の側板部間に取り付けられたスライダと、
板状をなし、4つの角部に突出部を有し、前方に位置する2つの前記突出部が前記一対の側板部の前端に形成された切欠き上に位置し、後方に位置する2つの前記突出部が前記スライダの前記一対の対向辺部分の後端に後方に突出形成された支持部上に位置して前記一対の側板部間に収容され、前記メイン基板に搭載された前記ハウジングとの間に前記モジュール基板の挿入空間を構成するプレートとを備え、
前記スライダは前記挿入空間への前記モジュール基板の挿入方向と同じ方向にスライドすることにより前記カム機構によって変位し、前記プレートを介して前記モジュール基板を前記接触部に押し付ける構造とされていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記挿入空間に挿入される前記モジュール基板の前記一方の面の幅方向の両側縁部を支持可能とされて前記挿入空間への前記モジュール基板の挿入を案内するガイド部が前記スライダの前記一対の対向辺部分に設けられ、
前記ガイド部に対する逃げが前記プレートに設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコネクタにおいて、
前記モジュール基板は挿入方向前端に切欠きを有し、
前記切欠きに嵌まって前記モジュール基板を位置決めする突出片が前記平板部に形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のコネクタにおいて、
前記平板部は前記メイン基板のハウジング搭載面と反対面に位置し、
前記一対の側板部は前記メイン基板の、前記ハウジングが搭載されている部分を挟むように立ち上げられていることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板と基板との電気的接続を行うコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図11~13はコネクタの従来例として特許文献1に記載されているカード用コネクタの構成及び動作を示したものであり、このカード用コネクタはカバーインシュレータ10とベースインシュレータ20とコンタクト30とイジェクト機構40とを備えている。
【0003】
コンタクト30は図13に示すようにベースインシュレータ20の下面部21に固定される固定部30aと、ICカード50のランド51に接触可能な接点部30bと、接点部30bを上方へ付勢するばね部30cと、図示しないプリント基板に接続される端子部30dとで構成されている。
【0004】
カバーインシュレータ10はICカード50の上面50aを支持するカード支持面11と、ICカード50の両側面を支持する側面部12と、ICカード50の挿入方向先端部52が突き当たる突当て部13と、ICカード50の下面50bの両側縁を支持する支持部14と、ICカード50を突当て部13へガイドするガイド面15とを備えている。カード支持面11はコンタクト30の接点部30bの上方に位置し、ベースインシュレータ20の下面部21と対向している。側面部12にはそれぞれ円柱状の突起部16,17が設けられている。
【0005】
ベースインシュレータ20の上面部22には開口23が形成され、両側面部24にはカム溝25,26が形成されている。カム溝25はカード挿入方向Dの後側に、カム溝26はカード挿入方向Dの前側にそれぞれ位置している。カム溝25の長手方向はカード挿入方向Dと平行であり、カム溝25は突起部16を案内する。カム溝26の長手方向はカード挿入方向Dに対して傾斜し、カム溝26は突起部17を斜めに案内する。これにより、カバーインシュレータ10はコンタクト30の接点部30bに接近する第1の位置とコンタクト30の接点部30bから離れる第2の位置との間で移動可能となっている。
【0006】
このカード用コネクタではICカード50を挿入する前、カバーインシュレータ10の突起部16,17はベースインシュレータ20のカム溝25の後側端部25a及びカム溝26の後側端部26aにそれぞれ位置している。この状態でベースインシュレータ20のカード挿入口27にICカード50が挿入されると、ICカード50の下面50bの両側縁はカバーインシュレータ10の支持部14に支持され、ICカード50はカード挿入方向Dと平行な状態で突当て部13へと案内される。ICカード50の下面50bはコンタクト30の接点部30bより上方に位置しており、ICカード50はコンタクト30の接点部30bと接触していない(図13A参照)。
【0007】
ICカード50が所定挿入量(カバーインシュレータ10の突当て部13に達するまでの挿入量)を越えて挿入されると、ICカード50の先端部52がカバーインシュレータ10の突当て部13に突き当たり、その後、カバーインシュレータ10の突起部17がカム溝26に沿って斜め下方へ案内され、カバーインシュレータ10のカード挿入方向先端側がベースインシュレータ20の下面部21に近付く。ICカード50の上面50aはカード支持面11によって下方へ押し付けられるのでICカード50のランド51はコンタクト30の接点部30bに接触する(図12,13B参照)。その結果、ICカード50とプリント基板とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3021370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したカード用コネクタによれば、ICカード50が挿入されると、ICカード50の先端部52がカバーインシュレータ10の突当て部13に突き当たり、その後、カバーインシュレータ10はICカード50に押され、ベースインシュレータ20のカム溝25,26に突起部16,17が案内されて第2の位置から第1の位置に移動するものとなっており、ICカード50が摺動する距離はカバーインシュレータ10が第2の位置から第1の位置へ移動するまでの短い距離となっている。
【0010】
特許文献1ではICカード50の挿入に伴い、ICカード50がコンタクト30と摺動する距離をこのように短くすることにより、ICカード50の挿入、離脱時におけるICカード50の損傷、コンタクト30の接点部30bの摩耗を抑制するものとなっている。
【0011】
しかるに、この特許文献1に記載された構成ではICカード50の挿入に伴い、ICカード50とコンタクト30とが摺動する状態が存在する点で摩耗や損傷の抑制は未だ不十分と言え、改善の余地はあると言える。
【0012】
この発明の目的はこの点に鑑み、モジュール基板の挿抜に伴うコンタクトの摩耗及びコンタクトと接触するモジュール基板の電極の摩耗を従来例よりもさらに抑制することができるようにしたコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明によれば、縦横に配列された複数の電極を一方の面に有するモジュール基板とメイン基板との電気的接続を行うコネクタは、メイン基板に搭載される扁平なハウジングと、ハウジングのメイン基板搭載面と反対面から突出する接触部とメイン基板の電極に接続される接続部とを有し、モジュール基板の電極に対応してハウジングに配列保持された複数のコンタクトと、メイン基板の板面に固定される平板部と、平板部から立ち上げられた一対の側板部とを有し、一対の側板部にカム機構を構成するカム溝と突起の一方が形成されているフレームと、板状をなし、一対の対向辺部分にカム機構を構成するカム溝と突起の他方が形成され、突起がカム溝に挿入されて一対の側板部間に取り付けられたスライダと、板状をなし、4つの角部に突出部を有し、前方に位置する2つの突出部が一対の側板部の前端に形成された切欠き上に位置し、後方に位置する2つの突出部がスライダの一対の対向辺部分の後端に後方に突出形成された支持部上に位置して一対の側板部間に収容され、メイン基板に搭載されたハウジングとの間にモジュール基板の挿入空間を構成するプレートとを備え、スライダは挿入空間へのモジュール基板の挿入方向と同じ方向にスライドすることによりカム機構によって変位し、プレートを介してモジュール基板を前記接触部に押し付ける構造とされている。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、モジュール基板の挿抜に伴うコンタクトの摩耗及びコンタクトと接触するモジュール基板の電極の摩耗を従来例よりも抑制することができ、よって高寿命なコネクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】Aはこの発明によるコネクタの実施例1がメイン基板に取り付けられた状態を示す正面図、Bはその側面図、Cはその前方から見た斜視図、Dはその後方から見た斜視図。
図2】メイン基板及びモジュール基板を併せて示した図1に示したコネクタの分解斜視図。
図3】Aは図1におけるスライダの前方から見た斜視図、Bは図1におけるスライダを後方から見た斜視図。
図4図2におけるコンタクトを保持したハウジングの拡大斜視図。
図5】Aは図1に示したコネクタにモジュール基板が挿入された状態を示す正面図、Bはその側面図、Cはその前方から見た斜視図、Dはその後方から見た斜視図。
図6】Aは図1AのE-E線拡大断面図、Bは図5AのE-E線拡大断面図。
図7】Aはこの発明によるコネクタの実施例2がメイン基板に取り付けられた状態を示す正面図、Bはその側面図、Cはその前方から見た斜視図、Dはその後方から見た斜視図。
図8】メイン基板及びモジュール基板を併せて示した図7に示したコネクタの分解斜視図。
図9】Aは図7に示したコネクタにモジュール基板が挿入された状態を示す正面図、Bはその側面図、Cはその前方から見た斜視図、Dはその後方から見た斜視図。
図10】Aは図7AのE-E線拡大断面図、Bは図9AのE-E線拡大断面図。
図11】従来のカード用コネクタを示す斜視図。
図12図11に示したカード用コネクタの側面図。
図13】Aは図11に示したカード用コネクタのカード挿入完了前の状態を示す縦断面図、Bは図11に示したカード用コネクタのカード挿入完了時の状態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
【実施例0017】
図1はこの発明によるコネクタの実施例1の外観を示したものであり、図1ではコネクタ100がメイン基板200に取り付けられた状態として示している。なお、メイン基板200はコネクタ100が取り付けられている部分のみを示し、他の部分の図示は省略している。
【0018】
コネクタ100はフレーム60とスライダ70とハウジング80と多数のコンタクト90と4つのねじ110とプレート120とリアプレート130とによって構成されている。図2図1に示した構成を各部に分解して示したものであり、コネクタ100によりメイン基板200と電気的に接続されるモジュール基板300も併せて示している。まず、各部の構成を説明する。
【0019】
フレーム60は金属板よりなり、方形枠状をなす平板部61と、平板部61の左右方向両端から立ち上げられた一対の側板部62とを有する。平板部61の前端部分の中央には上方に切り起こされて互いに対向する一対の突出片63が形成されており、さらに平板部61には4つの穴64が図2に示したように形成されている。
【0020】
一対の側板部62にはそれぞれカム溝65が2つ前後方向に配列されて形成されている。カム溝65は側板部62を貫通する穴として形成されており、平板部61の板面と平行に延伸し、上下方向にずれて位置する2つの長穴65a,65bが、平板部61の板面に対し傾斜した長穴65cによって互いに連結された形状を有する。カム溝65の前側をなす長穴65aは後側をなす長穴65bよりも平板部61寄りに位置している。なお、一対の側板部62の互いに対向する内側面には側板部62の上端から長穴65bに至る凹部66がそれぞれ形成されており、さらに一対の側板部62の前端にはそれぞれ切欠き67が形成されている。
【0021】
スライダ70は金属板よりなり、方形の板部71を有して板状をなす。板部71の左右方向両端に位置する一対の対向辺部分には互いに外向きに突出する突起72が各2つ形成されており、さらにガイド部73がそれぞれ形成されている。
【0022】
ガイド部73は図3Bに示したように板部71の裏面71aと対向して前後方向に延伸された細長い支持片73aと、板部71から折り曲げ延長されて支持片73aに至る2つの延長片73bとよりなる。支持片73aの後端には板部71の裏面71aから遠ざかる方向に延長されて誘い込み片73cが形成されている。
【0023】
さらに、スライダ70にはガイド部73が形成されている一対の対向辺部分の後端に誘い込み片73cと同様、後方に突出するように支持部74がそれぞれ形成されている。支持部74は図3Bに示すように2つの延長片73bのうち、後側に位置する延長片73bからその板面が延長されて形成されている。
【0024】
ハウジング80は樹脂製とされ、扁平な形状をなす。ハウジング80には多数のコンタクト90が縦横に配列されて保持されている。なお、図2及び図2を拡大した図4ではコンタクト90はハウジング80の左右方向両端部分に位置するもののみ示し、中間部分に位置するコンタクト90の図示は省略している。これらコンタクト90はモジュール基板300の一方の面に縦横に配列された多数の電極(図2では隠れて見えない)と対応して配列されている。
【0025】
プレート120は略方形の板状をなし、金属板よりなる。4つの角部には突出部121がそれぞれ突出形成され、中央部には下面側に方形の島状に突出するように段部122が形成されている。また、前端にはフレーム60の一対の突出片63に対する逃げ123が切り欠かれて形成され、左右両端にはスライダ70のガイド部73に対する逃げ124が切り欠かれて形成されている。
【0026】
方形板状をなすリアプレート130は金属板よりなり、4隅にはそれぞれねじ穴131を有するものとなっている。
【0027】
コネクタ100が取り付けられるメイン基板200には図2では隠れて見えないがコンタクト90が接続される電極が多数配列されて形成されている。なお、メイン基板200にはフレーム60の4つの穴64と対応する4つの穴201が形成されている。
【0028】
次に、コネクタ100の組立て及びメイン基板200への取付けについて説明する。
【0029】
まず、コンタクト90を保持したハウジング80がメイン基板200に表面実装されて搭載される。コンタクト90とメイン基板200の電極ははんだ付けされて接続される。
【0030】
次に、フレーム60の平板部61をメイン基板200上に搭載し、リアプレート130をメイン基板200の背面(下面)側に配して、4つのねじ110をフレーム60の穴64、メイン基板200の穴201及びリアプレート130のねじ穴131に通し、メイン基板200にフレーム60及びリアプレート130をねじ止め固定する。メイン基板200はフレーム60の平板部61とリアプレート130によって挟み込まれた状態となり、ハウジング80はフレーム60の平板部61の枠内に位置する。
【0031】
次に、プレート120の上にスライダ70を重ね、プレート120の後方に位置する2つの突出部121の下にスライダ70の支持部74をそれぞれもぐり込ませた状態としてスライダ70とプレート120とを組み立て、その状態でスライダ70をフレーム60に取り付ける。取付けは、スライダ70の一対の対向辺部分に形成されている各2つの突起72をフレーム60の一対の側板部62に形成されているカム溝65に凹部66からそれぞれ挿入することによって行われる。
【0032】
以上により、コネクタ100の組立て及びメイン基板200への取付けが完了し、図1に示した構成となる。プレート120は前方に位置する2つの突出部121が一対の側板部62の前端の切欠き67上にそれぞれ位置し、後方に位置する2つの突出部121がスライダ70の支持部74上にそれぞれ位置して一対の側板部62間に位置される。
【0033】
プレート120は一対の側板部62に挟まれて左右方向に位置決めされ、前後方向の2つの突出部121が図1に示したように側板部62を挟むことでフレーム60に前後方向に位置決めされる。なお、左右方向及び前後方向の位置決めは多少のガタを有して位置決めされる。
【0034】
図5は上述したコネクタ100にモジュール基板300が挿入されてモジュール基板300とメイン基板200が電気的に接続された状態を示したものであり、以下、このコネクタ100におけるモジュール基板300の挿入、接続の動作について説明する。
【0035】
図6Aはモジュール基板300挿入前の断面(図1に示した状態の断面)を示したものであり、スライダ70はフレーム60のカム溝65に挿入されている突起72がカム溝65の後端側即ち長穴65bに位置した状態となっている。スライダ70の板部71はハウジング80やメイン基板200と平行となっている。プレート120は図6Aに示したように傾斜した状態(斜め)になっており、プレート120とハウジング80との間にモジュール基板300の挿入空間101が構成されている。
【0036】
ハウジング80に保持されているコンタクト90は一端がメイン基板200の電極(図示省略)に接続される接続部91とされ、接続部91はメイン基板200の電極にはんだ接続されている。コンタクト90の他端は挿入空間101に挿入されるモジュール基板300の電極と接触する接触部92とされ、ハウジング80の上面(メイン基板搭載面と反対面)から突出している。なお、この例ではコンタクト90はU字状に曲げ返されたばね部93を有し、ばね部93の遊端側が接触部92とされている。接触部92はモジュール基板300の挿入方向に延伸している。
【0037】
モジュール基板300はスライダ70の板部71とガイド部73との間に挿入される。モジュール基板300は電極が配列されている一方の面(下面)の幅方向(左右方向)の両側縁部がそれぞれガイド部73に支持され、挿入空間101への挿入が案内される。モジュール基板300はこのようにガイド部73に支持、案内されることによりコンタクト90と接触することなく、挿入される。
【0038】
挿入空間101に挿入されたモジュール基板300は挿入方向前端に形成されている2つの切欠き301にフレーム60の平板部61の前端に設けられている2つの突出片63が嵌まることで左右方向(幅方向)に位置決めされると共に、2つの突出片63に突き当たることで、それ以上の挿入が規制される。
【0039】
モジュール基板300挿入後、スライダ70をモジュール基板300の挿入方向と同じ方向にスライドさせる。スライダ70の突起72はフレーム60のカム溝65を移動してカム溝65の前端側即ち長穴65aに至る。スライダ70はハウジング80に近付く方向に変位し、挿入空間101に挿入されているモジュール基板300をプレート120を介してコンタクト90の接触部92に押し付ける。これによりモジュール基板300の電極とコンタクト90とが接触して電気的に接続される。図6Bはこの状態を示したものである。
【0040】
以上、この発明によるコネクタの実施例1について説明したが、上述したコネクタ100によれば下記の効果を得ることができる。
【0041】
(1)スライダ70には従来例と異なり、挿入されたモジュール基板300が突き当たる突当て部はなく、即ちモジュール基板300はスライダ70と一体にスライドするのではなく、モジュール基板300を所定位置まで挿入完了後、スライダ70をスライドさせてモジュール基板300をコンタクト90の接触部92に押し付けることができるものとなっている。よって、モジュール基板300とコンタクト90とは従来例と異なり、モジュール基板300の挿入に伴って摺動することはなく、その点でコンタクト90やモジュール基板300の電極の摩耗を従来例よりも抑制することができ、摩耗による接触抵抗の増大を抑制することができるため、その分、従来例よりもコネクタの高寿命化を図ることができる。
【0042】
(2)コネクタ100からのモジュール基板300の抜去はスライダ70を挿入時と反対方向にスライドさせ、モジュール基板300をコンタクト90から離れる方向に移動させて行うが、スライダ70とモジュール基板300との間にはプレート120が介在しているため、スライダ70のスライドに伴いモジュール基板300が一緒に移動するといったことは発生しにくく、この点でモジュール基板300の抜去時においてもコンタクト90やモジュール基板300の電極の摩耗を抑制することができる。
【0043】
(3)プレート120に方形の島状に突出するように設けた段部122はスライダ70によって押されるプレート120とモジュール基板300の接触範囲を限定し、モジュール基板300への押圧力を集中させるものであって、これによりモジュール基板300の接続完了状態でのモジュール基板300の反りを抑制すると共にモジュール基板300の電極とコンタクト90との良好な接触力を得られるものとなっている。
【実施例0044】
図7はこの発明によるコネクタの実施例2の外観を図1と同様に示したものであり、図8図7に示した構成を図2と同様に各部に分解して示したものである。実施例1と対応する部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
この実施例2のコネクタ100’は実施例1のコネクタ100と比べ、フレーム60’の配置構成が異なるものとなっており、図7に示したようにフレーム60’の平板部61はメイン基板200のハウジング80の搭載面と反対面に位置し、一対の側板部62はメイン基板200の、ハウジング80が搭載されている部分を挟むように位置する。
【0046】
フレーム60’の平板部61は枠形状ではなく、板状をなし、平板部61にはこの例では上面側に方形の島状に突出するように段部68が形成されている。なお、このようにフレーム60’の平板部61がメイン基板200の背面(下面)側に位置することにより、この例ではリアプレート130はない。
【0047】
メイン基板200はフレーム60’の平板部61上に搭載され、2つのねじ110がメイン基板200の2つの穴201を通って平板部61に形成されている2つのねじ穴69に螺合されることによりメイン基板200は平板部61にねじ止め固定される。なお、メイン基板200の前端には切欠き202が2つ形成されており、これら切欠き202にフレーム60’の一対の突出片63が嵌まることでメイン基板200はフレーム60’に位置決めされる。
【0048】
図9はコネクタ100’にモジュール基板300が挿入されてモジュール基板300とメイン基板200が電気的に接続された接続完了状態を示したものであり、図10Aはモジュール基板300の挿入前の断面(図7に示した状態の断面)、図10Bは接続完了状態の断面をそれぞれ示したものである。
【0049】
このコネクタ100’におけるモジュール基板300の挿入、接続の動作は前述の実施例1のコネクタ100の動作と同じである。
【0050】
なお、フレーム60’の平板部61に設けた段部68はプレート120の段部122と対応するものであって、メイン基板200の、ハウジング80が搭載されている部分に平板部61の接触範囲を限定するものであり、これら段部68と122でメイン基板200とハウジング80とモジュール基板300とが挟み込まれることにより、モジュール基板300の電極とコンタクト90との良好な接触力が得られ、メイン基板200やモジュール基板300の撓みを良好に抑制することができるものとなっている。
【0051】
以上、この発明の実施例について説明したが、カム機構を構成するカム溝と突起は実施例1,2の構成に限らず、スライダにカム溝を設け、フレームに突起を設けてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 カバーインシュレータ 11 カード支持面
12 側面部 13 突当て部
14 支持部 15 ガイド面
16,17 突起部 20 ベースインシュレータ
21 下面部 22 上面部
23 開口 24 側面部
25,26 カム溝 25a,26a 後側端部
27 カード挿入口 30 コンタクト
30a 固定部 30b 接点部
30c ばね部 30d 端子部
40 イジェクト機構 50 ICカード
50a 上面 50b 下面
51 ランド 52 先端部
60,60’ フレーム 61 平板部
62 側板部 63 突出片
64 穴 65 カム溝
65a,65b,65c 長穴 66 凹部
67 切欠き 68 段部
69 ねじ穴 70 スライダ
71 板部 71a 裏面
72 突起 73 ガイド部
73a 支持片 73b 延長片
73c 誘い込み片 74 支持部
80 ハウジング 90 コンタクト
91 接続部 92 接触部
93 ばね部 100,100’ コネクタ
101 挿入空間 110 ねじ
120 プレート 121 突出部
122 段部 123,124 逃げ
130 リアプレート 131 ねじ穴
200 メイン基板 201 穴
202 切欠き 300 モジュール基板
301 切欠き
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図2
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