IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 宮崎 寛の特許一覧

<>
  • 特開-オオスズメバチ防護具 図1
  • 特開-オオスズメバチ防護具 図2
  • 特開-オオスズメバチ防護具 図3
  • 特開-オオスズメバチ防護具 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027059
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】オオスズメバチ防護具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/34 20110101AFI20240221BHJP
【FI】
A01M29/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022139547
(22)【出願日】2022-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】522347597
【氏名又は名称】宮崎 寛
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 寛
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA12
2B121BB30
2B121DA62
2B121EA22
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】 蜜蜂巣箱をオオスズメバチ(以下、敵と記述)から守るゾーンディフェンス(巣門を遠巻きに敵が通れない網などで囲う)の弱点三つを解消し、敵の索餌偵察が執拗な集団攻撃に発展するのを防止する。
第一は、蜜蜂の網の通過に際し、交通渋滞をなくす。
第二は、前述の網の穴越しに透けて見える巣門周辺を敵が視認し難くする。
第三は、前述の網の上を、敵にとって狩りがしにくい場所にする。
【解決手段】 蜜蜂は通過できて敵が通過できない穴の集合体のシート上に、大きな開口端と、シートの穴よりやや大きな小径開口端とから成るラッパ多数を密に、かつ、大径端をシートから大きく突出させ、小径端はシートを少し貫通して配置した機械的障壁と、ラッパの外表面およびシートのラッパの突出している表面(使用状態で表側)は明るい色(白色、黄色など)に、ラッパの内側およびシートの反対側(裏側)は、暗い色(黒色など)の配色から成るオオスズメバチ防護具である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蜜蜂は通過できてオオスズメバチが通過できない穴の集合体から成るシート上に、前述の穴より少し大きいが依然としてオオスズメバチは通さない小径開口端と、大きく開口した大径端とから成るラッパ多数を、密に、大径端をシートから大きく突出させ、小径端はシートを少し貫通させて配置したことを特徴とするオオスズメバチの通過と、そこでの狩りを邪魔する障壁である。
【請求項2】
前記シートの前記ラッパの突出している表面(使用状態では表側)および前記ラッパの外表面は、明るい色(白、黄色など)にし、ラッパの内側および前記シートの裏面は、暗い色(黒など)にする配色としたことを特徴とする請求項1に記載の障壁である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、養蜂箱などで飼育する蜜蜂を天敵のオオスズメバチ被害(執拗な来襲や集団攻撃)から守る防護具にかかわる。
巣箱に飛来したオオスズメバチ(以下、敵と記述)から巣門を隠し、かつ、接近を阻む筐体(懐)と、出入りする蜜蜂の渋滞が発生せず、敵の狩りを邪魔する障壁とから成る巣箱防護具である。
【背景技術】
【0002】
日本の養蜂環境において、蜂群の存亡にかかわる天敵は、オオスズメバチである。夏から晩秋にかけては、集団で蜜蜂の巣(箱)を襲い、蜂群の壊滅または弱群化被害が頻発する。
【0003】
現在まで様々な防禦手段(被害低減策)が考案され実施されてきたが、いずれも決め手とはなり得ず、オオスズメバチ対策は、養蜂家にとって頭痛の種であり続けている。
【0004】
まず、オオスズメバチの巣箱内侵入を許さない最後の砦として、巣門の開口高さや穴などを蜜蜂は通れるが敵は通れない設定にする方法が普及しているが、これは巣箱内への進入を防ぐだけで、巣門にまとわりつかれることで発生する被害は防げない。
【0005】
巣門にまとわりつく敵に対し、セイヨウミツバチ群は徹底抗戦を挑み、玉砕の憂き目にあう。ニホンミツバチ群は、籠城してして無駄な犠牲を避ける。しかし、籠城によるストレスと生産活動(蜂蜜生産、産卵子育て)の停滞は、越冬成功率の低下を招く。
【0006】
少しでも巣門に到達する敵を減らそうと、巣箱めがけて飛来する敵を捕捉すべく、囮を付けた粘着板、誘引液を入れた容器(入ったら出られない)などのトラップの併用も普及しているが、数を間引く効果しかない。敵は1000匹近いコロニーである。
【0007】
前述の敵の巣門へのアクセスを止められない弱点に対する対策として、巣門から距離をとって巣門を遠巻きに敵が通れない網や柵を設置する方法(ゾーンディフェンス)が試みられている。蜂群へのストレス緩和、犠牲者の低減効果はあるが、下記の2点で不十分である。
【0008】
第一には、巣門が網や柵越しに透けて見え、巣門周辺の蜜蜂の出入りやたむろが敵の関心を引く。
【0009】
第二には、設置した網や柵は、蜜蜂にもある程度の通り難さは残る。通過するためのもがき(タイムロス)は網や柵の近傍での交通渋滞となり敵の攻撃に晒される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第20170126号
【特許文献2】特許第20160428号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願の発明は、従来の巣門から距離をとって巣門を遠巻きに敵が通れない網や柵を設置する方法(ゾーンディフェンス)に残る弱点三つを解消し、敵の索餌偵察が、執拗な攻撃や集団攻撃に発展するのを防止することである。
【0012】
第一には、蜜蜂の網や柵の通過に際し、逡巡やもがきに起因する交通渋滞をなくす。
【0013】
第二には、巣門を遠巻きにした網や柵の穴越しに見える巣門周辺の蜜蜂の出入りやたむろを敵が視認し難くする。
【0014】
第三には、前述の網や柵の上を、敵にとって狩りがしにくい場所にする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の課題は、本願の特許請求の範囲の各請求項に記載された次のような発明により解決される。
すなわち請求項1に記載された発明は、蜜蜂は通過できてオオスズメバチが通過できない穴の集合体から成るシート上に、前述の穴より少し大きいが依然としてオオスズメバチは通さない小径開口端と、大きく開口した大径端とから成るラッパ多数を、密に、大径端をシートから大きく突出させ、小径端はシートを少し貫通させて配置したことを特長とするオオスズメバチの通過を阻み、かつ、そこでの狩りを邪魔する障壁である。
【0016】
また、その請求項2に記載された発明は、前記シートの前記ラッパの突出している表面(使用状態では表側)および前記ラッパの外表面は、明るい色(白、黄色など)にし、ラッパの内側および前記シートの裏面は、暗い色(黒など)にする配色としたことを特長とする請求項1に記載の障壁である。
【発明の効果】
【0017】
本願の発明は、前記のように構成されているので、次のような効果をもたらす。
帰巣してくる蜜蜂(減速しており、積み荷の花蜜で身重なため飛行俊敏性に欠け敵に捕捉されやすい)はラッパを優先して通り、吸い込まれるように姿を隠したのちに、膨張した身体を配慮した大きめの穴を通る。仮に、通過に手間取ったとしても敵の眼には晒されない。
【0018】
帰巣してくる蜜蜂がラッパを優先通過するのは次の理由による。内部が暗い巣箱に住む蜜蜂は、巣門は暗い所にあると認識しているため、内面が暗黒色のラッパをめがけてアプローチするからである。また、膨張した身体を配慮した大きめの穴の通りやすさとの相乗効果で、若干の学習の後は、ほぼ100%ラッパを通るようになる。
【0019】
出巣して行く蜜蜂(空荷でスリムで身軽)はシートの穴を優先して通り、穴から姿を現すや躊躇なく外界へ向け離陸、あっという間に敵の視界から消える。
【0020】
出巣して行く蜜蜂がシートの穴を優先して通るのは次の理由による。シートの内側は、暗い色であるので、蜜蜂からは透けて外界が見やすい、穴は空荷の蜜蜂の通過は容易である、穴数がラッパの(穴の)数より桁違いに多いなどによる。
【0021】
また、敵が、障壁に降り立ったとしても、それがラッパの内側であれば、着陸した途端に周囲の視界が遮られ、アプローチ降下中の蜜蜂からはラッパの中の敵はよく見え、事前察知して回避するので狩りがままならない。
【0022】
あるいは、ラッパやシートの外表面に降り立ったとしても、突出しているラッパ多数に視界と動作の自由を妨げられ狩りがままならない。しかし、外へ向かう蜜蜂からは敵の待ち伏せが透けて見えるので敵を回避して通過する。
【0023】
また、シート外表面の明るい配色と巣門付近の薄暗さとの大きな明暗差により、敵からはシートの奥(巣門付近)が良く視認できない。
【0024】
かくして、障壁近傍では蜜蜂の渋滞が発生せず、かつ、敵は狩りがままならず、索餌偵察に飛来した敵の関心を強くは引かない。敵は長居せず飛び去り、帰巣して仲間に格好の狩場として宣伝することも起こりにくく、執拗な攻撃や集団攻撃に発展せず、巣箱の蜂群は、日常の平穏を大きくは攪乱されない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】 本願の発明の一実施例のオオスズメバチ防護具の平面視図面で、蜜蜂巣箱の巣門のある面に装着した状態を示す。
図2図1のx-xにおける縦断面図で、筐体と障壁で囲われた巣門前方の防禦された空間を示す。
図3】 同オオスズメバチ防護具の正面視図で、障壁の正面から見た概要を示す。
図4図1のy-yにおける縦断面視図で、障壁の裏側の概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に本願の発明のオオスズメバチ防護具の一実施例を、図面を参照して、詳細に説明する。
【実施例0027】
その防護具の構成は、あらまし、図1図4に示されるように、大きくは巣箱巣門に通じる開口部を持つ筐体1と、その前方開口部を覆う障壁2とで構成される。
【0028】
障壁2は、蜜蜂は通れて敵は通れないサイズの穴(約8mmの升目)の集合体で変形可能、かつ、敵が噛み破れない樹脂製のシート3の外表面に樹脂製のラッパ4が、大端が外へ突出し小端がシートを少し貫通する姿勢で、多数、密に配置されている。そして、シート3の外表面とラッパ4の外表面は明るい黄色、ラッパ4の内表面は黒色である。
【0029】
シート3の内面は黒色で、ラッパ4の小端の穴(直径約9mm)が開口している。
【0030】
(変形例)
本願の発明のオオスズメバチ防護具は、以上の実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲に置いて、数々の変形が可能である。
例えば、筐体1の前方の庇形状は円弧に限らず矩形をはじめ自由である。従って、障壁2は、それに倣う形状であればよい。
【0031】
シート3の穴やラッパ4の穴の形状も、丸、楕円、矩形など多様な選択肢やその組み合わせが考えられる。
【0032】
シート3の穴やラッパ4の小端の穴の寸法も、蜜蜂が通れてオオスズメバチが通れない範囲で選択できる。
【0033】
配色についても、黄色と黒色の組み合わせに限らず、明暗が際立つ組み合わせであればよい。
【0034】
各構成部品の材質についても、木質、樹脂、金属など多様な選択肢とその組み合わせが可能である。
【符合の説明】
【0035】
1・・・筐体、2・・・障壁、3・・・シート、4・・・ラッパ
図1
図2
図3
図4