(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027060
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】サッシ枠の断熱方法及びサッシ枠用断熱テープキット
(51)【国際特許分類】
E06B 1/34 20060101AFI20240221BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20240221BHJP
C09J 7/26 20180101ALI20240221BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20240221BHJP
C09J 7/28 20180101ALI20240221BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240221BHJP
【FI】
E06B1/34 A
E06B5/00 C
C09J7/26
C09J7/29
C09J7/28
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022139549
(22)【出願日】2022-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】594203944
【氏名又は名称】有限会社アイ・デイ
(72)【発明者】
【氏名】石川 神兵
【テーマコード(参考)】
2E239
4J004
【Fターム(参考)】
2E239AB05
4J004AB01
4J004CA08
4J004CB04
4J004CC03
4J004DB02
4J004FA07
4J004FA08
(57)【要約】
【課題】 サッシ窓では、外気に触れて冷やされた窓枠が室内の暖かい空気に触れると結露が発生してしまうため、窓枠において室内側に露出する露出面部に、合成樹脂等で形成された断熱性カバーを取り付けたり、樹脂の発泡シートからなる断熱テープを貼り付けて、窓枠が室内空気に触れることを防止し、結露発生を抑えるようにしたものがあった。
【解決手段】 本発明の断熱テープは、少なくとも、天然木を薄くスライスした突板シートと、金属箔と、樹脂の発泡材からなる断熱シートと、耐水シートとの4層構造で構成される断熱テープであることから、最外層に位置する突板シートにより外観の意匠性の向上、中層の金属箔と断熱シートにより断熱性能の向上、下層の耐水シートによりサッシ枠部で発生する結露に対する耐水性能の向上を図れるものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製サッシ枠に貼り付ける断熱テープキットであって、少なくとも断熱シートと耐水シートとの2層からなる第1のテープと、少なくとも突板シートと金属箔との2層からなり、前記第1シートの上面に重ねて貼り付けられる第2のテープと、を有する断熱テープキット。
【請求項2】
前記第1のシートは、樹脂の発泡材からなる断熱シートと、該断熱シートの一方の面に設けられた耐水シートと、該耐水シートの表面に設けられた接着剤層とからなり、及び/又は、前記第2のシートは、天然木を薄くスライスした突板シートと、該突板シートの一方の面に設けられた金属箔と、該金属箔の表面に設けられた接着剤層とからなる、ことを特徴とする請求項1記載の断熱テープキット。
【請求項3】
前記第1のシートの接着剤層の表面には剥離紙が設けられており、及び/又は、前記第2のシートの接着剤層の表面には剥離紙が設けられている、ことを特徴とする請求項2記載の断熱テープキット。
【請求項4】
金属製サッシ枠の断熱方法であって、断熱シートと耐水シートの2層からなる第1のテープを前記金属製のサッシ枠に貼り付ける工程と、突板シートと金属箔の2層からなる第.のテープを前記第1のテープ上に貼り付ける工程と、を備えることを特徴とする金属製サッシ枠の断熱方法。
【請求項5】
金属製サッシ枠の出隅形状又は入隅形状をなす角部の断熱方法であって、前記第1のテープを角部を形成する1辺に貼り付ける工程と、当該第1のテープとは別体の前記第1のテープを角部を形成する他辺に貼り付ける工程と、前記第2のテープを当該2つの前記第1テープ上に貼り付ける工程と、を備えることを特徴とする金属製サッシ枠の断熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス窓などのサッシ枠の断熱方法及びサッシ枠に取り付けられるサッシ枠用断熱テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サッシ窓では、外気に触れて冷やされた窓枠が室内の暖かい空気に触れると結露が発生してしまうため、窓枠において室内側に露出する露出面部に、合成樹脂等で形成された断熱性カバーを取り付けたり(特許文献1を参照)、樹脂の発泡シートからなる断熱テープを貼り付けて(特許文献2)、窓枠が室内空気に触れることを防止し、結露発生を抑えるようにしたものがあった。
また、特許文献3には、天然木を薄くスライスした突板シートと、金属箔と、樹脂の発泡材からなる断熱シートと、耐水シートとからなる断熱テープについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-247532号公報
【特許文献2】特開2001-55871号公報
【特許文献3】実用新案登録第3216722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の合成樹脂等で形成された断熱性カバーは窓枠の形状に合わせる必要があることから、既設のサッシ窓すべてに対応することは難しかった。また、発泡シートからなる断熱テープはどのような形状の窓枠にも対応することはできるものの、発泡シートのみの断熱性を利用していることから断熱性能の向上には限度があった。
また特許文献3に記載された技術は、突板シートと、金属箔と、発泡材からからなる断熱シートと、耐水シートとの4層からなる断熱テープであることから、断熱性能及び耐水性能の向上だけではなく外観の意匠性の向上をも図れるものであった。しかしながら、平坦部ではない角部(入隅部や出隅部)に貼り付ける場合は、4層構造で厚みがあることから(特に発泡材からなる断熱シートは他の層と比して厚みがある)、内層と外層間に周差が生じたり、各層の弾性や剛性の相違等により十分に密着できなかったり、各層の間に隙間が生じたりすることがあるために、サッシ枠に十分に(密接に)接着することができないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では、金属製サッシ枠に貼り付ける断熱テープキットであって、少なくとも断熱シートと耐水シートとの2層からなる第1のテープと、少なくとも突板シートと金属箔との2層からなり、前記第1シートの上面に重ねて貼り付けられる第2のテープと、を有する断熱テープキットを提供する。
本発明における断熱テープキットにおいて、前記第1のシートは、樹脂の発泡材からなる断熱シートと、該断熱シートの一方の面に設けられた耐水シートと、該耐水シートの表面に設けられた接着剤層からなり、及び/又は、前記第2のシートは、天然木を薄くスライスした突板シートと、該突板シートの一方の面に設けられた金属箔と、該金属箔の表面に設けられた接着剤層を設けることができる。
本発明における断熱テープキットにおいて、前記第1のシートの接着剤層の表面には剥離紙が設けられており、及び/又は、前記第2のシートの接着剤層の表面には剥離紙が設けることができる。
また上記課題を解決するために、本発明では、金属製サッシ枠の断熱方法において、断熱シートと耐水シートの2層からなる第1のテープを前記金属製のサッシ枠に貼り付ける工程と、突板シートと金属箔の2層からなる第2のテープを前記第1のテープ上に貼り付ける工程と、を備えることを特徴とする金属製サッシ枠の断熱方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
上述の様に、本発明の断熱テープキットは、天然木を薄くスライスした突板シートと、金属箔と、樹脂の発泡材からなる断熱シートと、耐水シートとの4層構造で構成される断熱テープキットであることから、最外層に位置する突板シートにより外観の意匠性の向上、中層の金属箔と断熱シートにより断熱性能の向上、下層の耐水シートによりサッシ枠部で発生する結露に対する耐水性能の向上を図れるものである。また、本発明の断熱テープキットは、断熱シートと耐水シートとの2層からなる第1のテープと、突板シートと金属箔との2層からなる第2のテープとから構成されており、先ず第1のテープをサッシ枠に貼り付けて、その上面に第2のテープを貼り付けることにより、サッシ枠に対する断熱テープ(キット)の密着性を高めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】本発明に係る断熱テープの使用状況を模式的に説明する側面図
【
図4】本発明に係る断熱テープをサッシ枠角部(出隅部)に施工する状況を説明する模式的側面図
【
図5】本発明に係る断熱テープをサッシ枠角部(入隅部)に施工する状況を説明する模式的側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明におけるサッシ枠用断熱テープは、使用状態においては、天然木を薄くスライスした突板シートと、金属箔と、樹脂の発泡材からなる断熱シートと、耐水シートとの少なくとも4層構造からなる断熱テープである。使用前の状態においては、少なくとも断熱シートと耐水シートの2層からなる第1のテープと、少なくとも突板シートと金属箔の2層からなる第2のテープとの2部材からなっている。金属製のサッシ枠の断熱施工方法は、先ずは前記第1のテープを窓枠に接着剤等で貼り付けて、その後、前記貼り付けた第1のテープの上面に前記第2のテープを接着剤等で貼り付けることで施工を完了させる。これにより、サッシ枠に、最外層の突板シートから金属箔、断熱シート、耐水シートの順に積層された断熱構造体が形成される。耐水シートは主にサッシ枠で発生する結露からの水分を遮断する効果、断熱シートは主に断熱性能の効果、金属箔は主に遮熱性能の効果、突板シートは主に意匠性能の向上効果が期待される。
【0009】
以下、添付図面に従って本発明の詳細を説明する。
図1は、本発明の第1のテープの模式的側面図である。この第1のテープ10は、樹脂の発泡材からなる断熱シート11と、耐水シート12と、接着剤13と剥離紙14から構成される。断熱シート11は、ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等)やポリウレタン、ポリスチレン等の発泡プラスチックを薄くシート状に形成したものである(例えば、商品名「トーレペフ(登録商標)」東レ株式会社所製)。施工時には、剥離紙14をはがすことで、サッシ枠の表面に張り付けることができる。なお、接着剤13と剥離紙14は必ずしも必須の構成とするものではなく、断熱シート11と耐水シート12とからなる第1のテープ10を、両面テープを使ったり、接着剤を塗布しながら貼付け施工することも可能である。
図2は、本発明の第2のテープの模式的側面図である。この第2のテープ20は、天然木を薄くスライスした突板シート21と、金属箔22と、接着剤23と剥離紙24から構成される。突板シート21は、桐や杉、ヒノキ等の天然木を薄くスライスしたものであり、強度を出すためにスライスした天然木に紙やフィルムで裏打ちを施したものであってもよい。金属箔22はアルミニウム等の金属を薄く圧延したものである。施工時には、剥離紙24をはがすことで、既にサッシ枠の表面に貼り付けられた前記第1のテープの上面に張り付けることができる。なお、接着剤23と剥離紙24は必ずしも必須の構成とするものではなく、突板シート21と金属箔22とからなる第2のテープ20を、両面テープを使ったり、接着剤を塗布しながら貼付け施工することも可能である。
なお、断熱シート11は発泡プラスチックから形成されるが、断熱性能を保持するためにはある程度の厚みを必要とするものであり、耐水シート12や突板シート21、金属箔22と比べると厚みを有している。
図3は、本発明に係る断熱テープの使用状況を模式的に説明する側面図である。サッシ枠2の表面に、第1のテープ10を貼り付けて、更にその上面に第2のテープ20を貼り付けることで、断熱部1が形成されている。断熱部1の最外層に位置する突板シート21、その下層には金属箔22、その下層には断熱シート11、その下層には耐水シート12が位置し、接着剤によりサッシ枠の表面に取り付けられている。
【0010】
図4は、本発明に係る断熱テープをサッシ枠角部(出隅部)に施工する状況を説明する模式的側面図である。図中の2は出隅形状の角部をなすサッシ枠である。このような状況において、角部の両辺を1枚の第1のテープ10で施工しようとすると、断熱シート11が相対的に厚みを有しかつ剛性を有することから、角部の頂点付近で第1のテープがサッシ枠2に密着することができずに浮いてしまうことがある。そのために、角部の両辺をそれぞれ1枚の第1のテープ10を貼り付けるようにする。
図4(a)に示すように、出隅角部をなす1辺に第1のテープ10を、他方の1辺にも別体の第1のテープを貼り付けて段差を生じることなく新たな角部を形成するようにするものである。更に
図4(b)に示すように、2枚の第1のテープ10で形成された角部の上面に1枚の第2のテープ20を貼り付けることで断熱部1を形成するものである。この施工方法により、出隅形状をなす角部においても断熱部1が浮き上がって形成されることなく、また施工表面においては分割部を生じることなく連続した1枚の滑らかな断熱部1が形成されることとなる。
【0011】
図5は、本発明に係る断熱テープをサッシ枠角部(入隅部)に施工する状況を説明する模式的側面図である。図中の2は入隅形状の角部をなすサッシ枠である。このような状況において、角部の両辺を1枚の第1のテープ10で施工しようとすると、断熱シート11が相対的に厚みを有しかつ剛性を有することから、角部の頂点付近で第1のテープがサッシ枠2に密着することができずに浮いてしまうことがある。そのために、角部の両辺をそれぞれ1枚の第1のテープ10を貼り付けるようにする。
図5(a)に示すように、出隅角部をなす1辺に第1のテープ10を、他方の1辺にも別体の第1のテープを貼り付けて段差を生じることなく新たな角部を形成するようにするものである。更に
図5(b)に示すように、2枚の第1のテープ10で形成された角部の上面に1枚の第2のテープ20を貼り付けることで断熱部1を形成するものである。この施工方法により、入隅形状をなす角部においても断熱部1が浮き上がって形成されることなく、また施工表面においては分割部を生じることなく連続した1枚の滑らかな断熱部1が形成されることとなる。
【符号の説明】
【0012】
1 断熱部
2 サッシ枠
10 第1のテープ
11 断熱シート
12 耐水シート
13 接着剤
14 剥離紙
20 第2のテープ
21 突板シート
22 金属箔
23 接着剤
24 剥離紙