(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027062
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】あおり運転撃退用具、あおり運転撲滅方法
(51)【国際特許分類】
B60R 21/12 20060101AFI20240221BHJP
G09F 1/02 20060101ALI20240221BHJP
B42D 15/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B60R21/12
G09F1/02 D
B42D15/00 331Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022139551
(22)【出願日】2022-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】519021141
【氏名又は名称】丸山 芳之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 芳之
(57)【要約】
【課題】あおり運転被害に遭った際、乗車したままで加害者に対して確実に警告する用具や方法等が提案されていないため、あおり運転の被害に突如として遭遇した際に適切な対応を行うための「あおり運転撃退用具」と同用具の活用による「あおり運転撲滅方法」を提供する。
【解決手段】あおり運転撃退用具1が運転席まわりに車載してあることで、安心感を持って運転することができる。万が一、あおり運転の被害に遭遇した際は、加害者への提示面2を車内から閉めきったガラス越しに提示して警告することができ、降車による身体被害を防止できる。110番通報時の注意事項等の表示面3により、適切な110番通報と続報を行うことができる。この撃退用具1は安価で量産できるため広範な普及が期待でき、普及による波及効果、あおり運転抑止効果によって、あおり運転そのものの撲滅につながることが期待できる、あおり運転撃退用具、あおり運転撲滅方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
あおり運転の被害に遭った際に、あおり運転の加害者に提示して使用する用具であって、
警察への被害通報の状況を表示した加害者への提示面と、
運転席まわりでの車載装備が可能な形状、大きさと、
を備えたあおり運転撃退用具。
【請求項2】
あおり運転の被害状況を警察へ通報する際の注意事項、通報要領を表示した表示面を備えた、請求項1に記載のあおり運転撃退用具。
【請求項3】
現状の録画状況を示す内容を表示した、請求項1または2の何れか1項に記載のあおり運転撃退用具。
【請求項4】
自動車ガラスの内側に固定するための固定部材、及び/又は、サンバイザーへ固定するための固定部材を備えた、請求項1ないし3の何れか1項に記載のあおり運転撃退用具。
【請求項5】
あおり運転被害を予防するためのステッカーであって、
請求項1ないし4の何れか1項に記載のあおり運転撃退用具を車載装備していることを表示し、自動車外部に貼付する機能を備えたあおり運転撃退用具。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1項以上に記載のあおり運転撃退用具を使用したあおり運転撲滅方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あおり運転に伴う身体への被害を予防するためのあおり運転撃退用具、あおり運転撲滅方法に関する。
【背景技術】
【0002】
あおり運転の被害に遭い、降車した直後に交通事故によって死亡するという取り返しのつかない事件が発生し、あおり運転は重大な社会問題となった。
そこで、「あおり運転は犯罪」との改正道路交通法による厳罰化が令和2年にスタートした。
また、あおり運転撲滅に関する広報が、警察庁ホームページ(非特許文献1参照)、リーフレット(非特許文献2参照)で行われているなど、様々な対策が講じられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】警察庁ホームページ:「危険!あおり運転はやめましょう」
【非特許文献2】警察庁リーフレット:「あおり運転は犯罪!!」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のとおり、様々な対策が講じられているものの、あおり運転は跡を絶たない状況にあり、重大事故の発生が懸念される。
あおり運転は、突如として襲ってくるため、大抵は冷静に対応することができないものと思料する。
突然の被害に遭っても、「あおり運転は犯罪」、「110番通報しよう」と冷静に判断して適切に対応することが極めて困難である。
したがって、冷静に適切に対応するための用具、及び降車せず、確実にあおり運転の加害者(以下、「加害者」という。)に警告するための用具を運転席まわりに常時車載しておく必要がある。
【0005】
そもそも、あおり運転そのものがなくならないのは、「110番通報は加害者が暴言を発してから」などや、「加害者を刺激せず、謝って立ち去って貰うのが最善策」などの加害行為を助長させるようなネット情報があげられていることが原因の一つでもあると考えられる。
さらなる原因として、「あおり運転に遭った際は、『躊躇せず110番通報する』という意識が全ドライバーに浸透していないこと」、及び「加害者に対して『警察へ通報したことを確実に伝える』用具等が提案されていないこと」などがあると考えられる。
【0006】
したがって、あおり運転の被害に突如遭遇した際、その被害に適切に対応し、さらに、降車せずに身体への重大な被害を防止するための用具の開発、その広範な普及等によるあおり運転そのものの撲滅方法が期待されるところである。
【0007】
本発明は、あおり運転の被害に遭った際、加害者や加害車両の同乗者に対して、「被害状況を警察へ通報した」との内容を車内から閉めきったガラス越しに確実に伝えることができる「あおり運転撃退用具(以下、「撃退用具」という。)」である。
本撃退用具は、安価で量産ができ、その形状、大きさから、常時、ドアポケット等の運転席まわりへ車載しておくことができ、万が一の際はすぐに使用でき、かつ、有効性が高いことを目標としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決して上記目標を達成するため、本発明に係る撃退用具は、常時運転席まわりに車載しておき、あおり運転に遭遇した際は、直ちに車内から加害者に提示して「警察へ通報したこと」などを伝え、降車することによる交通事故等での身体への重大な被害の予防を図ることが期待できることを特徴とする。
【0009】
本発明の概要を説明する。
本撃退用具は、文字・記号等を印刷等で表示できる平面を有する用具であり、加害者へ「警察へ通報したこと」を伝える内容を表示する面を1面以上備えている。
この加害者へ提示する面以外の他の面には、110番通報時の注意事項、通報要領等を表示することができる。
また、加害者へ提示する面には、「録画中」等の文字・絵柄等を表示して、現状を録画していることを伝えることで、加害者へのさらなる警告効果が期待できる。
【0010】
上記の加害者に提示する面を有していれば、その形状は、長方形、正方形、丸形等の何れでもよく、全体的な形状はシート状、プレート状でよい。
また、シート状、プレート状以外に、使用時において、三角柱、四角柱、円筒型等の立体型のものでもよく、その形状に制限はない。
【0011】
加害者へ撃退用具の提示面を提示する方法は、閉めきった窓ガラス越しに手で持って提示してもよいし、撃退用具に吸盤、両面テープ等を備えて、これにより、ガラス内側等に固定して提示してもよい。
【0012】
このように、運転者が一人で乗車の場合は、原則として停車後に加害者に対して提示することとなる。
ただし、請求項4に記載のサンバイザーへ取り付け可能な「通報中」と表示(180ポイント程度の文字)の撃退用具であれば、走行中にサンバイザーを降ろすだけで提示状態とすることができ、前方を走行中の加害車両からの視認も可能である。
また、同乗者がいる場合は、停車するまでの間に、同乗者によって後部ガラス越し等で加害者、加害車両へ提示することもできる。
【0013】
撃退用具の素材は、紙を樹脂でコーティングした「下敷き」と同種のもので、下敷きの製造方法で製造するのがコスト、耐久性等においてよいものであるが、木製、金属製等であってもよく、材質に制限はない。
また、紙製の場合は、ラミネート加工を施したものでもよい。
【0014】
撃退用具の大きさは、1面がA4版を縦半分以下にしたものが、文字の大きさ等で加害者に対する視認性を確保でき、かつ、製造費等コスト面や運転席まわりでの車載装備において扱いやすいのでよい。
ただし、折りたたみ式にしてこれより大きなものにしてもよく、逆に小さなものであってもよく、大きさ、形状に限定はない。
また、A4版を縦半分以下にしたシート状、プレート状のものの場合、縦長、横長の何れの向きとして使用してもよい。
【0015】
加害者への提示面の表示内容は、「警察へ通報したこと」、「警察へ通報中であること」が伝わる内容であればよく、表示内容に制限はない。
文字、絵柄等を組み合わせたものでもよい。文字、背景等は、白黒、カラーの何れでもよい。
なお、普及するなどして、認知度が高まるなどとなれば、「通報済み」、「通報中」など、加害者に対する警告の目的が達せられる最低限の表示内容でもよい。
文字の大きさは、加害者が読み取りやすい文字の大きさとし、60ポイント以上を目安とするのがよい。
【0016】
110番通報時の注意事項、通報要領等の表示面の内容は、「あわてず、ためらわず、110番通報する」、「先ず、あおり運転被害に遭っていることを申告する」などでよい。
表示は、横書き、縦書き、また、その混在であってもよい。
【0017】
次に、あおり運転に関する課題についてまとめて説明する。
先ず、あおり運転の被害に遭った際の対応方法を身につけている人は少ないと思料される。
例えば、どのタイミングで110番通報するか、どのような内容を申告するか、停車したところへ加害者が近づいて来た際にどう対応するか等をシミュレーションできる人は少ないと思料する。
また、そもそも、あおり運転に遭った際は、躊躇せずに110番通報するという心構えを持っている人が少ないのではないだろうか。
このような状況から、あおり運転撲滅に関しては、「被害に遭遇すれば110番通報する」という毅然とした気構えを全ドライバーが堅持するための方策を確立することが最大の課題であると考える。
また、降車せず、窓を閉めきったままで、110番通報したことを確実に伝える用具、手段、方法が提案されていないことも重要な課題である。
そこで、これらの課題を解決するために、本撃退用具を提供するものである。
【0018】
以上のとおり、本発明と類似する撃退用具等に関する提案はこれまでのところ、当業者(あおり運転対策関係行政機関、同団体、カー用品販売事業者等)からも提案されていない。
また、本撃退用具は、安価に量産できるため、広範な普及が期待でき、ドライバー等の安心感の醸成と、万が一の際の適切な対応が可能となる用具である。
さらに、広範に普及することによって、「あおり運転に対しては110番通報する」との意識が高まり、あおり運転そのものの抑止効果、撲滅効果が期待できる撃退用具である。
【0019】
本発明について、請求項1から順に説明する。
請求項1の発明は、あおり運転の加害者、加害車両同乗者に対して、「警察へ通報したこと」、「警察へ通報中であること」を伝える内容を表示した提示面を備え、常時運転席まわりに車載しておける形状、大きさの撃退用具により構成する。
【0020】
従来から、あおり運転の被害に遭い、加害者が降車して近づいてくれば、仕方なく降車することとなり、降車したことで他車による交通事故の被害に遭ったり、加害者から身体に暴行を受けるなどの生命、身体に重大な被害を受ける事件が発生している。
このような事件が跡を絶たないのは、加害者に対して警察へ通報したことを車内から確実に伝えることのできる用具が提案されていなかったことが主たる原因であると考える。
また、あおり運転の被害に遭うことは、緊急事態であり、110番通報の対象事件であるという意識が形成されていないことが課題であると考える。
要するに、あおり運転という緊急的な被害は、誰であっても遭遇し得るものであるのに、これに対する十分な備えが出来ていないことが根本的な課題ではないかと考えるのである。
【0021】
本発明は、このようないくつかの課題を効率よく解決する撃退用具を開発し、さらに、撃退用具を広範に普及させることで、その波及効果、抑止効果により、あおり運転そのものを撲滅しようとするあおり運転撲滅方法である。
【0022】
請求項1に記載の撃退用具の材質は、紙を樹脂でコーティングした「下敷き」と同種のものがコスト面等でよいものであるが、樹脂製、紙製、木製、金属製等からなる成形品としてもよい。
また、上記のとおり、下敷きと同様に異種の材質を組み合わせたものでもよいし、上記材質等の単独の材質によるものでもよい。
【0023】
大きさ等は、提示面の1面の大きさは、長方形のシート状、プレート状の撃退用具とすれば10センチメートル×28センチメートル程度(A4サイズの縦半分以下)のものがよい。
厚みは、シート状、プレート状のものであれば、下敷きと同様の1ミリメートル以下のものが、製造等のコスト面でも優位であってよい。
ただし、使用する際の形状は、三角柱、四角柱等の立方体であってもよく、この場合、上記大きさ、厚みにとらわれない。
なお、三角柱等の撃退用具にすれば、表示面が3面以上と多くなることで多くの内容を表示することができてよい。また、平時は折りたたんでおく構造とすればドアポケット等への保管も容易である。ただし、製造等のコストが割高となることなどから検討を要する。
また、折りたたむ、又は、巻き取るなどの構造機能を付加して、運転席まわりのドアポケット等への常時保管が可能な形状、大きさのものとする。
このように、1面の大きさ、使用時の形状等に制限、限定はない。
【0024】
加害者への提示面の表示内容は、「あおり運転被害の状況を警察に通報したこと」、「通報中であること」を表す内容とする。
例として、「110番通報済み」、「警察へ通報中です」などである。
文字、背景の色に限定はなく、何れも、白黒、カラーのどちらでもよい。
また、文字は、POLICE等の外国語であってもよい。
文字の他、パトカー、警察官等のイラスト、マーク、記号等であってもよい。
さらに、文字、イラスト等を際立たせるための縁取り等のデザインがあってもよい。
【0025】
次に、請求項2の発明について説明する。
この発明は、撃退用具の加害者への提示面とは別の面に、110番通報時の注意事項等を表示したものを提供する。
【0026】
材質、形状、大きさ等は、請求項1のものと同じである。
【0027】
表示内容は、適切な110番通報をするために参考となる表示とし、例えば、「あわてず、ためらわず、車内から110番通報」等である。
その他、110番につながった際は先ず、「あおり運転の被害に遭っていること」、「警察官の臨場を求めていること」を申告することなどの内容でよい。
なお、表示は、縦書き、横書き、これらの混在であってよい。
【0028】
請求項3の発明は、請求項1または2の撃退用具の加害者への提示面に、現状を録画している内容の表示を加えた撃退用具を提供する。
【0029】
請求項4の発明は、撃退用具を自動車のガラス内側に固定するための吸盤、両面テープ等の固定用部材を付した撃退用具、及び/又は、サンバイザーに固定するためのクリップ、ゴム、紐等の固定用部材を備えた撃退用具を提供する。
予め、サンバイザーへ撃退用具を固定しておけば、走行中でも、サンバイザーを降ろすだけで提示することができて効果的である。
【0030】
請求項5の発明は、請求項1ないし4の何れかの撃退用具を車載装備していることを表示したステッカーを車体後部等へ貼付して、あおり運転を防止する用具となるステッカーを提供する。
【0031】
請求項6の発明は、請求項1ないし4に記載の撃退用具を車載して備え、また、請求項5のステッカーを貼付することで、撃退用具の広範な普及による波及効果によって、あおり運転そのものを抑止し、あおり運転の撲滅を図るための方法を提供する。
【0032】
以上のとおり、本発明は、あおり運転の被害に遭った際に加害者へ提示して使用するための撃退用具を常に運転席まわりに車載しておくことでの安心感と危機対応力の醸成、あおり運転の被害に遭った際の適切な対応、加害者への確実な警告による身体への重大被害の予防、さらには撃退用具の波及効果、抑止効果によるあおり運転そのものの撲滅効果が期待できる。
撃退用具は、下敷き様のシート状、プレート状であってもよく、使用時に三角柱等の立方体であってもよい。いずれにしても、安価に量産できることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0033】
請求項1の発明は、車内から閉めきったガラス越しに加害者に対して警告的な伝達ができるため、身体への被害の予防を図ることができる。
また、コロナ禍においては、感染防止対策上も大いに有効である。
請求項2の発明は、110番通報のタイミング、申告時の注意事項、申告内容等を確認することができ、適切な110番通報を行うことができる。
請求項3の発明は、録画中であることを加害者に伝達することで被害拡大等を予防することができる。
請求項4の発明は、撃退用具を手で持たずにガラス内側、サンバイザーに固定することができる。
なお、自動車の浸水等で自動車を放置する場合にも使用できる。
請求項5の発明は、撃退用具を車載装備していることを表示したステッカーを車体に貼付することで、あおり運転の抑止効果が期待できる。
請求項6の発明は、安価で量産できる撃退用具が広範に普及すれば波及効果、抑止効果により、あおり運転そのものの撲滅効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】 1-1は、提示面が縦長で「110番通報済み」の文字を横書き・縦書き混在で表示した請求項1ないし4に共通の概略図である。1-2は、提示面が縦長で「警察へ通報中です」の文字を縦書きで表示した請求項1ないし4に共通の概略図である。
【
図2】 2-1は、提示面が横長で「110番通報済み」の文字を横書きで表示した請求項1ないし4に共通の概略図である。2-2は、提示面が横長で「通報中」の文字を横書きで表示した請求項1ないし4に共通の概略図である。
【
図3】 3-1は、表示面が縦長で「あわてず」等の横書きの110番通報時の注意事項を表示した請求項2ないし4に共通のイメージ図である。3-2は、表示面が縦長で110番通報時の申告内容を表示した請求項2ないし4に共通のイメージ図である。
【
図4】 4-1は、提示面が縦長で「通報済み」と縦書きで表示の請求項1ないし4に共通の概略図である。4-2は、提示面が縦長で「録画中」の文字・絵柄を加えた請求項3、4に共通の概略図である。
【
図5】 5-1は、自動車ガラス越しに撃退用具を手でガラスに押さえて提示した状況の請求項1ないし4に共通の写真である。5-2は、運転席側窓に撃退用具をはさんで固定し提示した状況の請求項1ないし4に共通の写真である。
【
図6】 6-1は、使用時に三角柱の形状の撃退用具の概略図である。6-2は、使用時に三角柱の撃退用具を広げた状況の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態、本発明の技術的範囲については、以下の実施形態及び図示に限定されるものではない。
まず、請求項1について、実施例を
図1、2、4-1、5により説明する。
【0036】
図1、2は、撃退用具1の加害者への提示面2の概略図である。
図1は、加害者への提示面2を縦長に使用し、「110番通報済み」、「警察へ通報中です」の文字を表示している。
表示の文字は、上記に限定するものでなく、「110番」、「警察」、「通報」等の「警察へ通報した」、「警察へ通報中」と分かる内容であればよい。
文字、背景の色は、黒色、白色、カラーを問わない。
文字の周囲を囲む線等のデザインを施してもよい。
また、文字以外に、パトカー、警察官等のイラスト等を表示してもよい。
提示面は、A4を縦半分にした大きさ程度が加害者からの視認性、コスト面等からしてよいと思われる。
厚みは、下敷きと同様に1ミリメートル未満で良いが、木製等であれば1ミリメートル以上であってもよい。
使用時の全体的な形状は、プレート状でもよく、三角柱、四角柱等の立方体等であってもよい。
また、紙製等の巻物式で、使用時に伸ばして広げるタイプのものであってもよい。
【0037】
図2は、加害者への提示面2を横長にして、「110番通報済み」、「通報中」の文字を表示している。
図1同様、表示の文字等に限定はない。
なお、
図2の2-2の文字は、実物では180ポイント大となり、サンバイザーへ固定して提示した場合、前車からでも読み取り可能な大きさである。
【0038】
図4の4-1は、「通報済み」とのみ表示したものである。撃退用具1の普及、認知が進むなどすれば、「通報済み」「通報中」のみでも加害者への警告目的は達成できるものと思料する。
【0039】
図5の5-1は、停車した自動車5の運転席にて、運転手が手で撃退用具1を押さえて提示している状況である。
5-2は、運転席側窓のガラスと窓枠の間に撃退用具1をはさんで固定し提示している状況である。
【0040】
請求項2について、
図3、6で説明する。
図3の3-1は、110番通報時の注意事項等の表示面3のイメージ図である。
【0041】
3-2は、110番した際の申告内容を表示した状況のイメージ図である。
【0042】
なお、110番通報時の注意事項等の表示面3には、多くの内容を簡潔に表示するのがよい。
加えて、第2報、第3報の110番通報、いわゆる続報のタイミング・続報の申告内容等も表示しておくのがよい。
【0043】
図6は、三角柱の撃退用具1の概略図である。
6-1の図示のように、3面の表示面を、加害者への提示面2、110番通報時の注意事項等の表示面3に振り分けて、それぞれ必要事項を表示すればよい。図示では、110番通報時の注意事項等の表示面3が2面であるが、1面であってもよい。
6-2は、三角柱の撃退用具1を広げて一枚のシート状にした概略図である。固定部分6に両面テープを貼付するなどして、6-1の図示のとおり、使用時に三角柱を形成すればよい。
なお、平時の車載時には、折れ線に沿って折りたたんで小さくして車載しておくのがよい。
また、図示の三角柱を参考として、四角柱、円筒型等の実施例に応用できる。
【0044】
請求項3について
図4の4-2で説明する。
これは、ドライブレコーダー、スマートフォン等で被害状況を録画していることを加害者に伝えて警告し、被害の拡大を予防するための録画中の表示4である。
加害者への提示面2に、文字、マーク等で表示する。
表示内容は、「録画中」、「録画しています」等でよい。
表示位置、表示文字等のサイズ等に制限はない。
【0045】
請求項4について説明する。
撃退用具1の形状は、シート状、プレート状、三角柱等の立方体のものであってもよいが、
図5の5-1のとおり、手で持って(押さえて)提示が可能なものとする。
また、撃退用具1の端辺の厚みが1ミリメートル以下のものであれば、
図5の5-2のとおり、車種によってはガラスと窓枠との間に端辺をはさんで固定することが可能である。
しかし、フロントガラス、後部ガラス等へ固定して提示するのが効果的な場合に、同部へ固定するための吸盤、両面テープ等を備えた撃退用具1を提供する。
吸盤は、撃退用具1へ接着等の方法で取り付ける。
【0046】
また、長方形の横長としたシート状、プレート状の撃退用具1をサンバイザーにクリップ、ゴム輪等で固定し、サンバイザーを降ろした状態にして提示する実施例を提供する。
これは、平時からサンバイザーへ撃退用具1をクリップ等で固定しておけば、走行中でもサンバイザーを降ろすだけで加害者への提示面2を提示状態にすることができる。
ただし、110番通報時の注意事項等の表示面3を見ることができないため、表示面3を活用することはできない。
【0047】
請求項1ないし4に記載の撃退用具1に共通する、その他の実施例について説明する。
一つは、浸水被害等で車両が動かなくなり、その場に放置せざるを得ない状況で警察へ通報した後、撃退用具1をガラス内側、サンバイザー等へ固定しておけば、警察へ通報済みであることが周囲等に分かることとなる。
一つは、金融機関、ATM等で特殊詐欺の被害者らしき人に説得等する際、警察へ通報した人などが、加害者への提示面2をその人に示すことで説得の補助用具とすることができ、また、周囲の人には、警察へ通報済みであることが分かるなどの活用ができる。
一つは、交通事故、事件等の際、110番通報した後に加害者への提示面2を周囲に提示すれば、無用な110番通報の輻輳を抑えることにつながる。
【0048】
請求項5について説明する。
これは、あおり運転そのものの被害を予防するため、請求項1ないし4の何れかの撃退用具1を車載して、あおり運転に物理的な準備を講じていることを表示したステッカーを車体後部等に貼付しておくことを提供する。
表示内容は、「通報プレート車載中」などとし、表示内容、文字の大きさ等に制限はない。
ステッカーの材質は、耐久性、耐水性を備えているものがよい。
【0049】
請求項6について説明する。
請求項1ないし4に記載の撃退用具1は、1台に1つの車載でよいが、2つ以上を車載し、運転席まわりの他、後部座席まわりに車載しておくのがなおよい。
例えば、
図2の2-2の大文字の撃退用具1をサンバイザーへ、
図4の4-2の撃退用具1を運転席窓ガラスへ固定して提示すれば、加害者の他、周囲のドライバー等にも気付いてもらいやすくなる。
また、請求項5のステッカーを車体後部等へ貼付しておくのがさらによい。
これら撃退用具1、ステッカーは安価で量産できるため、車載、貼付が容易であり広範な普及も可能である。
このように、撃退用具1が普及すれば、あおり運転に対する被害者以外の人からの適切な被害通報も増え、加害者の摘発につながることが期待でき、あおり運転そのものの撲滅が期待できる。
【0050】
本発明のあおり運転撃退用具は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に表示の範囲で種々の変更ができる。
あおり運転被害に遭うということは緊急事態である。
本発明の基本は、緊急事態であるあおり運転に遭った際、安全な場所へ停車して、あわてず、ためらわず、ドアロックした車の中から、110番通報することを確実に支援、補助し、誰もが安全な対応策を実践できることにある。
あおり運転に限らず、事件・事故の緊急事態に直面した際に頼りになるのは110番であり警察官である。
万が一の際、躊躇せず、適切に110番通報することが、身体への被害予防上の最重要事項である。
正しい110番通報、及び適切な加害者対応に役立つ撃退用具1を耐久性の高い下敷き製造方法により安価に製造し、普及することができれば、半永久的に車載装備しておくことが可能である。
したがって、本発明は、特許請求の範囲において、撃退用具1が多くの自動車に車載され、あおり運転による身体、精神的被害等の根絶、あおり運転の撲滅に活用されるのがよい。
【符号の説明】
【0051】
1 あおり運転撃退用具
2 加害者への提示面
3 110番通報時の注意事項等の表示面
4 録画中の表示
5 自動車
6 固定部分