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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002707
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】露光装置用露光ヘッドおよび露光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
G03F7/20 501
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102070
(22)【出願日】2022-06-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 特開2021-96300号公報における出願人の意に反した公開
(71)【出願人】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】奥山 隆志
(72)【発明者】
【氏名】小林 義則
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA09
2H197AA28
2H197CC05
2H197CC11
2H197CC16
2H197DA09
2H197DB05
2H197HA02
(57)【要約】
【課題】 スループットの向上を容易にする画像分割光学系を備えた露光装置を提供する。
【解決手段】 露光装置10は、第1結像光学系25、画像分割光学系30、第2結像光学系26とを備える。画像分割光学系30は、プリズム32、反射光学系34とを備え、反射光学系34は、ガルバノミラーでそれぞれ構成されるミラー対34A、34B、ミラー対34C、34D、ミラー対34E、34F、ミラー対34G、34Hによって構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光変調素子を2次元配列させた光変調素子アレイと、
前記光変調素子アレイで反射した光を、被描画体の露光面に結像させる投影光学系とを備え、
前記投影光学系が、
前記光変調素子アレイで反射したパターン像の光を、第1結像面に結像させる第1光学系と、
前記第1結像面に形成されるパターン像を、前記第1結像面において副走査方向に沿って規定される境界ラインに従って分割し、複数の分割パターン像を形成する画像分割光学系と、
前記複数の分割パターン像の光を、前記露光面において移動させる反射光学系と、
前記反射光学系により移動した前記複数の分割パターン像の光を、前記露光面に結像させる第2光学系とを備え、
前記反射光学系が、互いに平行平面関係にある複数のミラー対を備え、
各ミラー対の少なくとも一方のミラーが、定められた複数の分割パターン像の投影位置に応じて、軸回転または平行移動することを特徴とする露光装置用露光ヘッド。
【請求項2】
前記複数のミラー対が、それぞれ、平行平面関係を維持しながら軸回転する一対のガルバノミラーから構成されることを特徴とする請求項1に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項3】
各ミラー対の一方のミラーが、その反射面に直交する方向に沿って平行移動することを特徴とする請求項1に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項4】
各ミラー対の一方のミラーが、軸回転することを特徴とする請求項1に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項5】
前記画像分割光学系によって形成される分割パターン像の投影位置を撮像する撮像部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項6】
前記画像分割光学系によって形成される分割パターン像の光の光路長を調整する光路長変調光学部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の露光装置用露光ヘッドを備えたことを特徴とする露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DMD(Digital Micro-mirror Device)などの光変調素子アレイによってパターンを直接描画するマスクレス露光装置に関し、特に、パターン像を露光面に投影する光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
DMDを備えたマスクレス露光装置では、DMDによって反射したパターン光を分割し、副走査方向に沿って複数の分割パターン像を投影することが可能である。例えば、一対の反射光学系を備えた分割光学系を備えた露光装置が知られている(特許文献1参照)。そこでは、平行平面関係にある一対のミラーを分割数だけ配置するとともに、画像分割面となる結像面(共役面)と交差しないようにミラーを配置し、分割パターン像を形成する。
【0003】
このような分割光学系を備えた露光装置では、分割パターン像が主走査方向に沿って互いに間隔を空けるように露光面上に投影される。そのため、各走査バンド(走査領域)に対するラスタデータ生成処理と、光変調素子アレイに対する露光データ生成処理を効果的に実行するため、特定の分割パターン像の投影位置を基準とし、各走査バンドに応じて順次生成される一連のラスタデータの中から、一連の分割パターン像に相当するラスタデータを抽出して統合し、露光データを生成する(特許文献2参照)。
【0004】
一方、多数の分割パターン像を形成する分割光学系として、平行平面関係にあるミラー対を分割数だけ用意し、結像面(共役面)と交差するようにミラーを配置する分割光学系が知られている(特許文献3参照)。そこでは、主走査方向、副走査方向に関して互いに所定間隔を空けるように、分割ミラーを共役面に対して傾斜し、交差するように配置する。
【0005】
さらに、投影光学系の光軸に対してそれぞれ傾斜角度の異なる複数の三角柱状光学素子を備えた分割光学系(特許文献4参照)、あるいは、DMDで反射した光を2つのミラーによって2分割する分割光学系(特許文献5参照)を備えたマスクレス露光装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5881314号公報
【特許文献2】特許第5881313号公報
【特許文献3】特許第6590638号公報
【特許文献4】特開2014-92707号公報
【特許文献5】特開2009-87995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多数の分割パターン像(例えば、4分割パターン像)を形成するとともに、光量不足なく鮮明な分割パターン像を露光面上に投影することが必要とされる場合、上記特許文献1、3を組み合わせた分割光学系を構成することが考えられる。このような場合でも、上記特許文献2に示すようなラスタデータ生成処理、露光データ生成処理を実行可能にし、スループットの向上を容易にする画像分割光学系を構成することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の露光装置用露光ヘッドは、複数の光変調素子を2次元配列させた光変調素子アレイと、光変調素子アレイで反射した光を、被描画体の露光面に結像させる投影光学系とを備え、投影光学系が、光変調素子アレイで反射したパターン像の光を、第1結像面に結像させる第1光学系と、第1結像面に形成されるパターン像を、第1結像面において副走査方向に沿って規定される境界ラインに従って分割し、複数の分割パターン像を形成する画像分割光学系と、複数の分割パターン像の光を、露光面において移動させる反射光学系と、反射光学系により移動した複数の分割パターン像の光を、露光面に結像させる第2光学系とを備える。反射光学系が、互いに平行平面関係にある複数のミラー対を備え、各ミラー対の少なくとも一方のミラーが、定められた複数の分割パターン像の投影位置に応じて、軸回転または平行移動する。
【0009】
ミラー対の構成は、様々である。軸回転可能なミラー対の構成として、例えば、複数のミラー対が、それぞれ、平行平面関係を維持しながら軸回転する一対のガルバノミラーによって構成することが可能である。また、平行移動するミラー対の構成としては、各ミラー対の一方のミラーが、その反射面に直交する方向に沿って(相対的に)平行移動する構成にすることが可能である。いずれの構成においても、分割パターン像を所定方向、例えば主走査方向、副走査方向に対して傾斜する方向に分割パターン像を移動させることが可能である。あるいは、各ミラー対の一方のミラーを軸回転させる構成にすることもできる。
【0010】
このような画像分割光学系によれば、光変調素子アレイで反射した光によるパターン像を分割し、主走査方向に沿って所定の配置間隔で並ぶとともに副走査方向に沿って位置が相違するように、複数の分割パターン像を形成することができる。例えば、露光装置において、ベクタデータであるパターンデータをラスタデータに変換し、ラスタデータに応じて各光変調素子を制御する露光動作処理部を備えている場合、露光動作処理部は、複数の分割パターン像による複数の部分投影エリアであって複数の走査バンドに沿ってそれぞれ相対移動する複数の部分投影エリアの中で1つの部分投影エリアの主走査方向に沿った位置を共通の基準位置とし、その基準位置に合わせて複数の走査バンドに対する複数のラスタデータを生成するラスタデータ生成部と、走査中に順次生成される一連の複数のラスタデータの中から、複数の部分投影エリアの位置に応じたラスタデータを抽出して統合し、光変調素子アレイ全体に対する露光データを生成する露光データ生成部とを備えることができる。
【0011】
例えば、露光データ生成部は、複数のラスタデータがそれぞれ一時的に格納される複数のメモリを有し、複数のメモリは、それぞれバッファメモリで構成されており、複数の部分投影エリアの互いの距離間隔に基づいて互いに異なるメモリ容量をそれぞれ有し、複数のメモリに対し基準位置に応じた複数のラスタデータが同時に入力されるとともに、複数の部分投影エリアの位置に対応する複数のラスタデータが複数のメモリからそれぞれ出力される。露光データ生成部は、それぞれ複数のFIFO型バッファメモリを有し、複数のFIFO型バッファメモリが、複数の部分投影エリアそれぞれの基準位置からの主走査方向に沿った距離間隔に応じて、互いに異なるメモリサイズを有する。
【0012】
画像分割光学系によって形成される分割パターン像の投影位置を撮像する撮像部をさらに備えるように構成してもよい。また、画像分割光学系によって形成される分割パターン像の光の光路長を調整する光路長変調光学部材を備えるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スループットの向上を容易にする画像分割光学系を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態である露光装置を模式的に示した斜視図である。
図2】露光ヘッドの内部構成を模式的に示した図である。
図3】画像分割光学系30の構成を示した図である。
図4】反射光学系のミラー対の構成を示した図である。
図5】DMD22における反射面を示した図である。
図6】分割パターン像の投影位置を示した図である。
図7】露光装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態である露光装置を模式的に示した斜視図である。
【0017】
露光装置10は、フォトレジストなどの感光材料を塗布した(あるいは貼り付けた)基板Wへパターン光を直接照射するマスクレス露光装置であって、ゲート状構造体12、基台14を備える。基台14には、描画テーブル18を支持するX-Yステージ駆動機構56が搭載され、描画テーブル18上に基板Wが設置される。
【0018】
ゲート状構造体12には光源20a、20bが備えられており、また、パターン形成用の露光ヘッド201、202が基板Wの上方に並んで配設されている。露光ヘッド20は、DMD(Digital Micro-mirror Device)、投影光学系(ここでは図示せず)を備え、光源20aから放射される光に基づいてパターン像を基板Wに投影する。露光ヘッド202も同様の構成であり、光源20bの光によってパターン像を投影する。
【0019】
矩形状の基板Wは、例えばプリント基板、ドライフィルム、ガラス基板などの電子回路用基板であり、プリベイク処理、感光材料の塗布/貼り付け処理等が施されたブランクスの状態で描画テーブル18に搭載される。基板W(描画テーブル18)には、互いに直交するX-Y-Z座標系が規定されており、描画テーブル18はX、Y方向に沿って移動可能であり、さらに、Z軸周りに回転可能である。ここでは、X方向を主走査方向、Y方向を副走査方向と規定する。
【0020】
露光装置10は、露光動作を制御する描画制御部(ここでは図示せず)を備える。描画制御部には、ここで図示しないモニタ、キーボードなどが接続されており、オペレータの操作に従って描画処理に関するセッティングが行われる。突出部31に設けられたCCD19は、基板Wの変形状態を検出し、アライメントが調整された後に露光動作が行われる。
【0021】
図2は、露光ヘッド20の内部構成を模式的に示した図である。露光ヘッド20も同様の内部構成になっている。
【0022】
図1に示す光源20a、20bから放射された照明光は、照明光学系(図示せず)を介してDMD22に導かれる。DMD22は、数μm~数十μmの微小矩形状マイクロミラーをマトリクス状に2次元配列させた光変調デバイスであり、例えば1024×768のマイクロミラーによって構成される。
【0023】
DMD22では、メモリセルに格納される制御信号(露光データ)に基づいて、各マイクロミラーがそれぞれ選択的にON/OFF制御される。ON状態のマイクロミラーで反射した光は投影すべきパターンに応じた光束であり、ミラー(図示せず)を介して投影光学系24へ導かれる。
【0024】
投影光学系24は、第1結像光学系25、第2結像光学系26、そして画像分割光学系30を備え、DMD22からの光を基板Wの露光面に結像させる。第1結像光学系25は、DMD22からのパターンに応じた光を、焦点位置にある結像面CS(第1結像面)に結像させるとともに、パターン像全体を所定倍率で拡大する。
【0025】
画像分割光学系30は、第1結像光学系25の結像面に形成されるパターン像を複数に分割する。ここでは、4つに分割したパターン像(以下、分割パターン像という)を形成する。画像分割光学系30によって形成された分割パターン像の光は、第2結像光学系26によって、基板Wの露光面に結像する。
【0026】
第2結像光学系26の前側焦点位置にある結像面は、第1結像光学系25の結像面(焦点位置)に一致し、また、後側焦点位置にある結像面は、基板Wの露光面と一致する。以下では、第1結像光学系25の結像面を、必要に応じて共役面という。
【0027】
基板Wが主走査方向Xに沿って移動するのに伴い、DMD22による投影エリア(露光エリア)は基板Wに対して相対的に移動する。投影エリアの位置に応じたパターン光を照射するように露光動作が定められた露光ピッチに従って実行される。これにより、パターンが主走査方向に沿って形成されていく。
【0028】
他の露光ヘッド20も同様であり、ラスタ走査をしながら露光動作が行われ、基板全体にパターンが形成されていく。描画処理が終了すると、現像処理、エッチング又はメッキ、レジスト剥離処理などが施され、パターンの形成された基板が製造される。
【0029】
ここでは基板Wの移動方向を主走査方向に一致させているが、基板Wを主走査方向Xに対し微小傾斜した状態で描画テーブル18に配置してもよい。この場合、描画テーブル18が主走査方向Xに沿って移動するとき、露光エリアは基板Wの長手方向(X方向)に対し傾斜した状態で相対移動する。露光方式としては、ステップ&リピート方式あるいは連続移動方式による多重露光方式が適用可能である。
【0030】
次に、図3、4を用いて、画像分割光学系について説明する。図3は、画像分割光学系30の構成を示した図である。図4は、反射光学系のミラー対の構成を示した図である。
【0031】
画像分割光学系30は、プリズム32、反射光学系34、光路長調整光学部材36とを備える。図2では、プリズム32を上方側(第1結像光学系25側)から見た図を示しており、4つの矩形状光学部材32A、32B、32C、32Dから構成され、側面側から見ると略台形状になっている。また、光学部材32A、32Bと光学部材32C、32Dは、中央ラインCに対して対称的である。
【0032】
光学部材32A、32B、32C、32Dは、上記特許文献1に示すように、それぞれ平行平面関係にある反射面を有する。また、第1結像光学系25の結像面であって、光学部材32A、32B、32C、32Dの表面で構成されるプリズム32の平面(図2参照)では、上記特許文献1と同じように、第1結像光学系26の結像面に形成されるパターン像が分割される。ここでは、パターン像が4つに分割され、4つの分割パターン像の光が、反射光学系34へ導かれる。
【0033】
反射光学系34は、それぞれ対となって構成されるミラー34A、34B、ミラー34C、34D、ミラー34E、34F、ミラー34G、34Hを備える。各ミラー対は、互いに平行であり、4つの分割パターン像の光は、光路長調整光学部材36へ導かれる。
【0034】
図4では、ミラー対34A、34Bを示している。ミラー対34A、34Bは、例えば特開平5-100434号公報などに開示されるガルバノミラーによって構成され、それぞれ軸回転可能である。ミラー対34A、34Bは、互いに反射面を平行平面関係に維持しながら軸回転し、露光面に向けた光軸方向を変えることなく、分割パターン像の光の光路を変更させることができる。すなわち、分割パターン像の投影位置を変更することができる。他のミラー対34C、34D、ミラー対34E、34F、ミラー34G、34Hも同様に構成されている。
【0035】
図5は、DMD22における反射面を示した図である。画像分割光学系30に従い、DMD22の反射面には、(主走査方向に応じた)横方向に4等分した部分領域DM1、DM2、DM3、DM4が規定される。DMD22全体によるパターン像は、画像分割光学系30によって部分領域DM1、DM2、DM3、DM4ごとに異なる位置へ投影される。
【0036】
図6は、分割パターン像の投影位置を示した図である。ミラー対34A、34B、ミラー対34C、34D、ミラー対34E、34F、ミラー34G、34Hをそれぞれ軸回転させない位置で位置決めした場合、4つの分割パターン像DA1~DA4は、図6の破線で示す位置に投影される。
【0037】
分割パターン像DA1~DA4は、それぞれ、部分領域DM1、DM2、DM3、DM4に応じたパターン像となる。ここでは、パターン像を分割しないとき(分割光学系を備えないとき)の露光エリアの中心点、すなわちDMD22の中心位置の投影点を、主走査方向X、副走査方向YとしたときのX-Y座標系の原点と定め、説明している。
【0038】
本実施形態では、反射光学系34の各ミラー対34A、34B、ミラー対34C、34D、ミラー対34E、34F、ミラー34G、34Hの位置(傾斜角度)を調整することにより、4つの分割パターン像DA1~DA4が、実線で表す位置に投影される。4つの分割パターン像DA1~DA4は、主走査方向に関して互いに等間隔に位置し、また、投影位置は、原点に関して対称的である。また、副走査方向Yに沿って連なった走査バンドSB1、SB2、SB3、SB4の位置に合わせて、4つの分割パターン像DA1~DA4が投影される。なお、各ミラー対34A、34B、ミラー対34C、34D、ミラー対34E、34F、ミラー34G、34Hの配置角度は、X-Y座標系が規定される露光面、および露光面に対する垂直方向(Z軸)に対し、図6に示すような分割パターン像の斜め方向移動可能なように、各反射面の傾斜角度が定められている。
【0039】
このように反射光学系34を構成することにより、上記特許文献2で示すようなラスタデータ生成処理、露光データ生成処理を、同様に実行することが容易となる。
【0040】
なお、反射光学系34については、ガルバノミラーで構成する代わりに、各ミラー対の一方のミラーを、平行平面関係を維持しながら、その反射面に垂直な方向(法線方向)に移動させる構成に代替することができる。ミラーの移動手段については公知の機構を用いることが可能であり、例えば平1-049015号公報に開示されたミラー移動機構を利用することが可能である。
【0041】
さらに、各ミラー対に対して、新たなミラー対を組み合わせて設けることも可能である。これにより、X-Y座標系に対して分割パターン像DA1~DA4の位置を自在に調整することが可能である。あるいは、特開2001-215718号公報、特開2001-042223号公報、特表2012-524988号公報、などに開示された角度調整可能な光学部材を設けることにより、分割パターン像DA1~DA4の位置を調整してもよい。あるいは、特開2009-244446号公報に示すように、楔プリズムの互いの距離間隔を調整するによって像位置の調整を行ってもよい。
【0042】
光路長変調光学部材36に関しては、上記特許文献1に記載された光学部材、あるいは、特許第4244156号公報に記載されているような楔形プリズムを用いて焦点位置を調整するようにすればよい。
【0043】
図7は、露光装置のブロック図である。
【0044】
描画制御部50は、外部のワークステーション(図示せず)と接続され、モニタ50B、キーボード50Cが接続される露光制御部52を備える。露光制御部52は、露光動作処理を制御し、露光データ生成部76、タイミングコントロール回路73、描画テーブル制御回路53、光源制御部61などの回路へ制御信号を出力する。露光動作処理を制御するプログラムは、露光制御部52内のROM(図示せず)に格納されている。
【0045】
ワークステーション(図示せず)から露光制御部52に入力されるパターンデータは、描画パターンの位置情報(輪郭位置情報)をもつベクタデータ(CAD/CAMデータ)であり、X-Y座標系に基づいた位置座標データとして表される。
【0046】
第1、第2、第3、第4ラスタデータ生成部72A、72B、72C、72Dは、ベクタデータを変換し、それぞれ、走査バンドSB1、SB2、SB3、SB4に描画すべきパターンのラスタデータを順次生成する。生成されたラスタデータは、それぞれ第1、第2、第3、第4バッファメモリ74A、74B、74C、74Dに一時的に格納される。
【0047】
各バッファメモリに一時的に格納されるラスタデータは、露光ピッチにあわせて出力される。すなわち、露光ピッチ分だけ部分投影エリアが移動して次の露光動作を実行可能となったとき、ラスタデータ出力が行なわれる。第1、第2、第3、第4ラスタデータ生成部72A、72B、72C、72Dにおけるラスタデータの出力制御は、露光制御部52に設けられたアドレス制御回路(図示せず)から出力される制御信号に基づいて行われる。
【0048】
ラスタデータが露光データ生成部76へ送られると、露光データ生成部76ではラスタデータが統合され、DMD22の各マイクロミラーをON/OFF制御する信号が、DMD22全体に対する1つの露光データとして生成される。DMD22では、露光データ生成部76から出力される露光データに基づき、マイクロミラーがON/OFF制御される。
【0049】
タイミングコントロール回路73は、バッファメモリ74A、74B、74C、74D、露光データ生成部76等に対し、タイミング調整のためクロックパルス信号を同期信号として出力する。また、CCDセンサ19から出力される画像信号に基づき、画像処理部62は基板Wに形成されたアライメントマークの位置を検出する。
【0050】
描画テーブル制御回路53は、駆動回路54を介してモータ(図示せず)を備えたX-Yステージ駆動機構56を制御し、これによって描画テーブル18の移動速度、基板送り方向等が制御される。位置検出センサ55は、描画テーブル18に対する相対的位置を検出する。露光ヘッド202に対しても、同様にラスタデータ変換処理、DMD駆動処理等に関する回路(図示せず)が設けられており、同様の露光動作処理が行われる。
【0051】
バッファメモリの構造と、ラスタデータ生成処理および露光データ生成処理については、上記特許文献1、2と同様のデータ処理が実行される。これにより、スループットの優れたデータ処理を行いながら、高解像度の分割パターン像を形成することができる。
【0052】
画像分割に関しては、パターン像を5つ以上に分割してもよい。分割パターン像については、副走査方向に沿って互いにオーバラップするように副走査方向に沿って配列させることも可能であり、あるいは、副走査方向に沿って互いに間隔が設けられるように投影位置を移動させることも可能である。
【0053】
バッファメモリについては、入力タイミングと出力タイミングを非同期にするFIFO型バッファメモリを代わりに使用することにより、複数のラスタデータの出力タイミングをそれぞれ調整することも可能である。また、特開2012-15718号公報に示すように、分割パターン像の位置をカメラなどの撮像部を設けて観察、検出し、調整するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 露光装置
22 DMD(光変調素子アレイ)
24 投影光学系
25 第1結像光学系
26 第2結像光学系
30 画像分割光学系
32 プリズム
34 反射光学系
36 光路長変調光学部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7