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特開2024-27089脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027089
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 15/02 20060101AFI20240221BHJP
   A61F 7/08 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61H15/02 A
A61F7/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097592
(22)【出願日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0102106
(32)【優先日】2022-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://doi.org/10.3389/fmedt.2022.925554
(71)【出願人】
【識別番号】510059929
【氏名又は名称】セラジェム カンパニー、リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523226332
【氏名又は名称】セラジェム クリニカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CERAGEM CLINICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】イ ギウォン
【テーマコード(参考)】
4C099
4C100
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099CA12
4C099EA08
4C099GA23
4C099PA01
4C099TA03
4C100AE12
4C100AF02
4C100BA01
4C100CA15
4C100DA05
4C100EA06
4C100EB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マッサージ装置の安全性および有効性を予測する方法に関し、より詳細には脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法を提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係る脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法は使用者身体の3次元構造データを生成する段階(S100)と、脊椎温熱機器の3次元構造データを生成する段階(S200)と、前記脊椎温熱機器の設定値を設定する段階(S300)と、設定された値で前記脊椎温熱機器が作動することによって使用者身体を加圧する過程で印加される温熱による使用者身体の熱伝導および温度変化を計算する段階(S400)と、使用者身体の温度変化値を血液循環値に変換する段階(S500)、および使用者身体の血液循環値を視角化する段階(S600)を含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを利用する脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法であって、
前記コンピュータを利用して、
使用者身体の3次元構造データを生成する段階;
脊椎温熱機器の3次元構造データを生成する段階;
前記脊椎温熱機器の設定値を設定する段階;
設定された値で前記脊椎温熱機器が作動することによって使用者身体を加圧する過程で印加される温熱による使用者身体の熱伝導および温度変化を計算する段階;
使用者身体の温度変化値を血液循環値に変換する段階;および
使用者身体の血液循環値を視角化する段階;を含む、脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【請求項2】
前記使用者身体の加圧時の温熱効果による熱伝導および温度変化を計算する段階は、
使用者身体の熱伝導および温度変化値を視角化する段階を含む、請求項1に記載の脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【請求項3】
前記使用者身体の加圧時の温熱効果による熱伝導および温度変化を計算する段階は、
前記脊椎温熱機器の陶磁が高さ方向に沿って上昇しながら使用者身体を加圧する過程で使用者の皮膚表面から3cm深さに該当する部分の温度変化を計算する段階である、請求項1に記載の脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【請求項4】
前記使用者身体の熱伝導および温度変化を計算する段階は、
下記の数学式1を通じて計算する段階である、請求項1に記載の脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【数1】
ここで、ρは組織密度(tissue density)(kg/m)、cは比熱容量(specific heat capacity)(Jkg-1-1)、Tは温度(temperature)(K)、tは時間(time)(s)、kは熱伝導率(thermal conductivity)(Wm-1-1)、bは血液の密度(density of blood)(kgm-3)、cは血液の比熱容量(specific heat capacity of blood)(Jkg-1-1)、wは血液の灌流率(perfusion rate of blood)(1/s)、Tは血液温度(blood temperature)(K)、Qは代謝熱発生率(rate of metabolic heat generation)(W/m)である。ソリューションは正常状態条件(steady state conditions)で遂行される。
【請求項5】
前記数学式1を通じて計算する段階は、
下記の数学式2を通じて使用者身体の境界で外部環境への対流熱損失を計算する段階をさらに含む、請求項4に記載の脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【数2】
ここで、qは対流熱流速(convective heat flux)(Wm-2)であり、hはモデルを構成する組織に対する熱伝達係数(heat transfer coefficient)であって、5Wm-2Kであり、Tambは周辺温度(ambient temperature)(すなわち、25℃)である。組織の初期温度は37℃に設定する。陶磁温度はシミュレーション内で45~65℃範囲の値で固定される。ヒーティングマットに該当するベッドの表面と接触する皮膚の外部境界は40℃の温度に指定される。
【請求項6】
前記使用者身体の温度変化値を血液循環値に変換する段階は、
下記の数学式3を通じて計算する段階である、請求項1に記載の脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【数3】
ここで、Fは血流(blood flow)(L/min)、△Tは血管部位の温度変化(change in temperature at the site of the vessel)(℃)、Fは外因性加熱がない場合の血流(blood flow in the absence of exogenous heating)、Fmaxは心血管系の物理的限界(physical limitations of the cardiovascular system)による最大到達可能血流(maximum achievable blood flow)であり、自由モデル媒介変数(free model parameters)aとbはChiesaと同僚らが報告した経験的測定に該当モデルをフィッティングする方式で推定する。
【請求項7】
前記脊椎温熱機器の設定値を設定する段階は、
陶磁温度、陶磁の高さ、発熱体の温度を設定する段階である、請求項1に記載の脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【請求項8】
前記使用者身体の血液循環値を視角化する段階以後には、
設定された陶磁温度、陶磁の高さ、発熱体の温度の範囲内で使用者身体の最適温度または最適血液循環値が得られる設定値を導き出す段階をさらに含む、請求項1に記載の脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【請求項9】
前記使用者身体の最大温度または最大血液循環値が得られる設定値を導き出す段階は、
使用者身体の体形による構造変化により使用者体形別最適温度または最適血液循環値が得られる設定値を導き出す段階である、請求項8に記載の脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【請求項10】
前記使用者身体の温度変化値を血液循環値に変換する段階は、
使用者身体の位置別血液循環データを反映して使用者身体の温度変化値を補正する段階をさらに含む、請求項1に記載の脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【請求項11】
前記使用者身体の温度変化値を補正する段階は、
使用者の血液から受信されたレーザーを分析する段階をさらに含む、請求項10に記載の脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【請求項12】
前記使用者身体の3次元構造データは、
表皮、皮下脂肪、軟組織、筋肉、脊椎、椎間板、硬膜外脂肪、脳脊髄液、脊髄に区分される3次元構造データである、請求項1に記載の脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ装置の安全性および有効性を予測する方法に関し、より詳細には脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来には不適切な姿勢で長時間作業を継続したり、このような姿勢が習慣化することによって発生する脊椎部位の筋肉および神経組織で発生する急性または慢性的な痛みを緩和させ、身体の血液循環を改善したり瞬間的な筋肉のこりなどを解消するために、身体部位に沿って移動しながら痛み発生部位に温熱による刺激を印加して血流を改善させる脊椎温熱機器が広く使われている。
【0003】
このような脊椎温熱機器を通じての最適な温熱効果を提供するためには、標的部位(一例として、特定の筋肉グループであり得る)の血流改善のために必要な陶磁温度が何度であるかに対する定量的な情報が必要である。
【0004】
しかし、従来の脊椎温熱機器は標的部位を考慮していない状態で、使用者が選択した温度で陶磁を加熱した後に温熱マッサージを遂行するため標的部位の血流改善効果が一定でなく、血流改善効果を向上させるために陶磁温度を過度に高くする場合、使用者が火傷をする恐れもある。
【0005】
したがって、脊椎温熱機器を通じて提供される血流改善効果を最適化できる技術の開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記のような問題点を解決するためのもので、本発明の目的は、脊椎温熱機器を通じて標的部位に提供される血流改善効果を最適化できる脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法を提供することである。
【0007】
本発明の課題は以上で言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から本発明が属する技術分野の通常の技術者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によると、使用者身体の3次元構造データを生成する段階と、脊椎温熱機器の3次元構造データを生成する段階と、前記脊椎温熱機器の設定値を設定する段階と、設定された値で前記脊椎温熱機器が作動することによって使用者身体を加圧する過程で印加される温熱による使用者身体の熱伝導および温度変化を計算する段階と、使用者身体の温度変化値を血液循環値に変換する段階、および使用者身体の血液循環値を視角化する段階を含む脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法が提供される。
【0009】
この時、前記使用者身体加圧時の温熱効果による熱伝導および温度変化を計算する段階は、使用者身体の熱伝導および温度変化値を視角化する段階を含むことができる。
【0010】
この時、前記使用者身体加圧時の温熱効果による熱伝導および温度変化を計算する段階は、前記脊椎温熱機器の陶磁が高さ方向に沿って上昇しながら使用者身体を加圧する過程で使用者の皮膚表面から3cm深さに該当する部分の温度変化を計算する段階であり得る。
【0011】
この時、前記使用者身体の熱伝導および温度変化を計算する段階は、下記の数学式1を通じて計算する段階であり得る。
【0012】
【数1】
【0013】
ここで、ρは組織密度(tissue density)(kg/m)、cは比熱容量(specific heat capacity)(Jkg-1-1)、Tは温度(temperature)(K)、tは時間(time)(s)、kは熱伝導率(thermal conductivity)(Wm-1-1)、bは血液の密度(density of blood)(kgm-3)、cは血液の比熱容量(specific heat capacity of blood)(Jkg-1-1)、wは血液の灌流率(perfusion rate of blood)(1/s)、Tは血液温度(blood temperature)(K)、Qは代謝熱発生率(rate of metabolic heat generation)(W/m)である。ソリューションは正常状態条件(steady state conditions)で遂行される。
【0014】
この時、前記数学式1を通じて計算する段階は、下記の数学式2を通じて使用者身体の境界で外部環境への対流熱損失を計算する段階をさらに含むことができる。
【0015】
【数2】
【0016】
ここで、qは対流熱流速(convective heat flux)(Wm-2)であり、hはモデルを構成する組織に対する熱伝達係数(heat transfer coefficient)であって、5Wm-2Kであり、Tambは周辺温度(ambient temperature)(すなわち、25℃)である。組織の初期温度は37℃に設定する。陶磁温度はシミュレーション内で45~65℃範囲の値で固定される。ヒーティングマットに該当するベッドの表面と接触する皮膚の外部境界は40℃の温度に指定される。
【0017】
この時、前記使用者身体の温度変化値を血液循環値に変換する段階は、下記の数学式3を通じて計算する段階であり得る。
【0018】
【数3】
【0019】
ここで、Fは血流(blood flow)(L/min)、△Tは血管部位の温度変化(change in temperature at the site of the vessel)(℃)、Fは外因性加熱がない場合の血流(blood flow in the absence of exogenous heating)、Fmaxは心血管系の物理的限界(physical limitations of the cardiovascular system)による最大到達可能血流(maximum achievable blood flow)であり、自由モデル媒介変数(free model parameters)aとbはChiesaと同僚らが報告した経験的測定に該当モデルをフィッティングする方式で推定する。
【0020】
この時、前記脊椎温熱機器の設定値を設定する段階は、陶磁温度、陶磁の高さ、発熱体の温度を設定する段階であり得る。
【0021】
この時、前記使用者身体の血液循環値を視角化する段階以後には、設定された陶磁温度、陶磁の高さ、発熱体の温度の範囲内で使用者身体の最適温度または最適血液循環値が得られる設定値を導き出す段階をさらに含むことができる。
【0022】
この時、前記使用者身体の最大温度または最大血液循環値が得られる設定値を導き出す段階は、使用者身体の体形による構造変化により使用者体形別最適温度または最適血液循環値が得られる設定値を導き出す段階であり得る。
【0023】
この時、前記使用者身体の温度変化値を血液循環値に変換する段階は、使用者身体の位置別血液循環データを反映して使用者身体の温度変化値を補正する段階をさらに含むことができる。
【0024】
この時、前記使用者身体の温度変化値を補正する段階は、使用者の血液から受信されたレーザーを分析する段階をさらに含むことができる。
【0025】
この時、前記使用者身体の3次元構造データは、表皮、皮下脂肪、軟組織、筋肉、脊椎、椎間板、硬膜外脂肪、脳脊髄液、脊髄に区分される3次元構造データであり得る。
【発明の効果】
【0026】
前記の構成により、本発明の実施例に係る脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法は、使用者身体の3次元構造データと脊椎温熱機器の3次元構造データを生成し、脊椎温熱機器が設定値により作動する過程で温熱による使用者身体の熱伝導および温度変化を計算した後、これを血液循環値に変換することによって標的部位に提供される血流改善効果を最適化し、これを通じて脊椎温熱機器の安全性および有効性を予測できることになる。
【0027】
本発明の効果は前記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法を図示したフローチャートである。
図2】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を図示した斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を図示した平面図である。
図4】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に組織温度と血流を予測するためにコンピュータモデルを構築したものであって、図4は本発明で開発された計算モデルを構成するのに使われたT2-加重解剖学的MRI(T2-weighted anatomical MRI)の視床スライスを図示した図面である。
図5】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に組織温度と血流を予測するためにコンピュータモデルを構築したものであって、図5はイメージ対比に基づいてボリュームを9個の組織に分割した後、外部熱源に対する生理的反応を制御する物理的特性を付与した図面である。
図6】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に組織温度と血流を予測するためにコンピュータモデルを構築したものであって、図6はPennes生体-熱方程式(Pennes bio-heat equation)を有限要素モデル(FEM)のソルバーを通じて解決してボリューム全体に対する温熱マッサージの間の温度を算出した結果を図示した図面であり、4個の陶磁の位置は表面スライス(superficial slice)のホットスポット温度を通じて確認することができる。
図7】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に組織温度と血流を予測するためにコンピュータモデルを構築したものであって、図7は組織温度を予想血流に変換するために経験的に誘導されたS字形モデル(sigmoidal model)を図示した図面である。
図8】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に陶磁が接触する部分の温度上昇を定量化したもので、(a)は65℃に設定された陶磁で温熱マッサージをする間、体積の視床切片の温度を図示した図面であり、(b)は(a)に表示された温度分布の等高線を図示した図面である。
図9】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に幅方向に沿って隣接して配置された陶磁間の温度上昇を定量化したもので、(a)は視床切片の温度を図示した図面であり、(b)は(a)に表示された温度分布の等高線を図示した図面である。
図10】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器の陶磁温度により使用者身体の深さ別温度分布を図示した図面であり、(a)は陶磁が接触する部分の温度分布を図示した図面であり、(b)は幅方向に沿って隣接して配置された陶磁間の温度分布を図示した図面である。
図11】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器の陶磁温度により使用者身体の幅方向位置別温度分布を図示した図面であり、(a)は使用者身体の2cm深さを基準として幅方向位置別温度分布を図示した図面であり、(b)は使用者身体の3cm深さを基準として幅方向位置別温度分布を図示した図面である。
図12】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に陶磁が接触する部分の血流分布を定量化したもので、(a)は65℃に設定された陶磁で温熱マッサージをする間の血流分布(温度分布と比較する時深い位置での血流増加確認される)を図示した図面であり、(b)は(a)に表示された血流分布の等高線(等高線の濃度は高い血流から低い血流への転換領域を示し、転換領域が深い深さで確認される)を図示した図面である。
図13】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に幅方向に沿って隣接して配置された陶磁間の血流分布を定量化したもので、(a)は視床切片の血流分布(血流増加が急激に減少する)を図示した図面であり、(b)は(a)に表示された血流分布の等高線(転換領域が浅い深さで確認される)を図示した図面である。
図14】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器の陶磁温度により使用者身体の深さ別血流分布を図示した図面であり、(a)は陶磁が接触する部分の血流分布(温度-循環関係のS字形特性によって深さによる血流減少(falloff)はさらに深い深さで発生し、設定値により2~4cmの間で発生し、循環が4倍が増加する深さは2~3cmと予想される)を図示した図面であり、(b)は幅方向に沿って隣接して配置された陶磁間の血流分布(血流の増加は3~4cm深さを越える深さでは確認されない)を図示した図面である。
図15】本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器の陶磁温度により使用者身体の幅方向位置別血流分布を図示した図面であり、(a)は使用者身体の2cm深さを基準として幅方向位置別血流分布を図示した図面であり、(b)は使用者身体の3cm深さを基準として幅方向位置別血流分布(陶磁と接触する部分で血流は陶磁温度が55℃であるとき3倍増加する)を図示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は多様な異なる形態で具現され得、ここで説明する実施例に限定されない。本発明を明確に説明するために図面で説明にかかわらない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似する構成要素に対しては同じ参照符号を付した。
【0030】
本明細書および請求の範囲に使われた単語と用語は通常的または辞書的な意味に限定解釈されず、自身の発明を最善の方法で説明するために発明者が用語と概念を定義できる原則に則り本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0031】
図1は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法を図示したフローチャートであり、図2は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を図示した斜視図であり、図3は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を図示した平面図であり、図4図7は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に組織温度と血流を予測するためにコンピュータモデルを構築したものであって、図4は本発明で開発された計算モデルを構成するのに使われたT2-加重解剖学的MRI(T2-weighted anatomical MRI)の視床スライスを図示した図面であり、図5はイメージ対比に基づいてボリュームを9個の組織に分割した後、外部熱源に対する生理的反応を制御する物理的特性を付与した図面であり、図6はPennes生体-熱方程式(Pennes bio-heat equation)を有限要素モデル(FEM)のソルバーを通じて解決してボリューム全体に対する温熱マッサージの間の温度を算出した結果を図示した図面であり、4個の陶磁の位置は表面スライス(superficial slice)のホットスポット温度を通じて確認することができ、図7は組織温度を予想血流に変換するために経験的に誘導されたS字形モデル(sigmoidal model)を図示した図面である。ここでX軸は長さ方向(軸方向)であって、脊椎温熱機器が使用者を温熱マッサージするために使用者身体に沿って移動する方向を意味し、Y軸は幅方向であって、使用者の左右方向を意味し、Z軸は高さ方向であって、脊椎温熱機器の陶磁が使用者を加圧するために上昇する方向を意味する。本発明を明確に説明するために説明にかかわらない部分は図面で省略する。
【0032】
図1に図示された通り、本発明の実施例によると、コンピュータを利用する脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法であって、このようなコンピュータを利用して、使用者身体の3次元構造データを生成する段階(S100)と、脊椎温熱機器10の3次元構造データを生成する段階(S200)と、前記脊椎温熱機器10の設定値を設定する段階(S300)と、設定された値で前記脊椎温熱機器10が作動することによって使用者身体を加圧する過程で印加される温熱による使用者身体の熱伝導および温度変化を計算する段階(S400)と、使用者身体の温度変化値を血液循環値に変換する段階(S500)、および使用者身体の血液循環値を視角化する段階(S600)を含む脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法が提供される。
【0033】
この時、コンピュータはウェブブラウザ(WEB Browser)が搭載されたノートパソコン、ラップトップ(laptop)、タブレットPC、スレートPCなどを含むことができ、コンピュータには前記のそれぞれの段階を遂行するための制御部と、使用者の命令を入力するための入力部と、使用者に結果を見せるための出力部が備えられ得る。
【0034】
制御部はプロセッサ(Processor)、制御プログラムが保存されたロム(ROM)および入力される信号またはデータを保存したり、遂行される多様な作業に対応する保存領域として使われるラム(RAM)を含むことができる。
【0035】
また、制御部と電気的に連結される別個の回路基板にプロセッサ、ラムまたはロムを含むプロセッシングボード(graphic processing board)を含むことができる。プロセッサ、ラムおよびロムは内部バス(bus)を通じて相互に連結され得る。
【0036】
また、制御部はプロセッサ、ラムおよびロムを含む構成要素を指称する用語で使われ得る。また、制御部はプロセッサ、ラム、ロム、およびプロセッシングボードを含む構成要素を指称する用語で使われてもよい。
【0037】
入力部はコンピュータの制御のために使用者から所定の指示や命令が入力される。例えば、入力部はキーボード(keyboard)、マウス(mouse)、トラックボール(trackball)、TGC(Time Gain Compensation)制御ノブ、LGC(Lateral Gain Compensation)制御ノブ、またはパドル(paddle)などのような使用者インターフェースを含むことができる。
【0038】
出力部は一つ以上のディスプレイ領域に結果を表示することができる。使用者はディスプレイ領域を通じて視角化された結果を確認することができる。
【0039】
この時、使用者身体に関連したデータは予め保有している使用者身体データであり得、これはCT(Computed Tomography)やMRI(magnetic resonance imaging)データであり得る。また、使用者身体データは表皮、皮下脂肪、軟組織、筋肉、脊椎、椎間板、硬膜外脂肪、脳脊髄液、脊髄に区分される3次元構造データであり得る。このように使用者身体データをモデリングしてシミュレーションを遂行すれば標的部位に提供される血流改善効果を最適化することができ、これを通じて脊椎温熱機器の安全性および有効性予測が可能となる。
【0040】
CP Spineアレイコイルが装着された3T Siemens MAGNETOM Prismaスキャナを使って健康的な成人男性(BMI:25kg/m、年齢:42才)のT2-加重MRI(T2-weighted MRI)を遂行(アメリカ、ペンシルバニア州シーメンスヘルスケア、Siemens Healthineers、PA、USA)し、図4には使用者の視床スライスが図示されている。イメージ収集媒介変数は、TE=99ms、TR=7040ms、フリップ角度=130°、FOV=256mm、SNR=1、面内解像度=256×256、スライス厚さ=1mm、ボクセル大きさ:1×1×1mmに設定された。
【0041】
MRIは映像強度により皮膚、皮下脂肪、軟組織、筋肉、椎間板、脊椎、硬膜外脂肪、脳脊髄液、脊髄の9個の組織マスクに分割された。手動組織分割はまずイメージ臨界値を指定して遂行した後、フルードフィル(flood fill)、膨張(dilation)および侵食(erosion)のような形態学的フィルタリングをSimpleware ScanIP(Synopsys Inc.,CA、USA)で遂行した。組織連続性を保障して分割正確度を改善するために、組織マスクを手動で調整する間データを広範囲に視角化して対象の脊椎解剖学と比較した。分割結果により映像化された領域を構成する組織の厚さは(皮膚)1.1mm、(皮下脂肪)13mm、(筋肉)42mm、(軟組織)2.8mm、(硬膜外脂肪)2.2mm、(CSF)2.9mm、(脊髄)1.9mmと測定された。したがって、筋肉(すなわち、温熱マッサージの推定対象)は表面で約1.5-5.5cm領域を占めた。
【0042】
脊椎温熱機器10の3次元構造データ生成に関連して、分割過程で生成された組織マスクは腰椎の有限要素モデル(FEM)を構成するのに使われた。このために四面体ボクセル基盤メッシングアルゴリズム(tetrahedral voxel-based meshing algorithm)を実行するSimpleware Scan IPソフトウェアを使って338万個以上の四面体要素で構成されたFEMを生成した。その後、結果モデルは脊椎温熱機器10の位置、方向および形状をキャプチャする別途のドメインと統合された。一例として、脊椎温熱機器10はCGM MB-1901マッサージベッド(CERAGEM Co.Ltd.,チョナン、韓国)のモデリングであり得る。このマッサージベッドは二つの類型の熱源を備えている。ベッドの表面は熱の拡散層を提供し、さらに強い熱刺激を提供するために身体と直接接触する4個の陶磁11が提供される。脊椎温熱機器10は長方形の頂点位置に配列された4個の陶磁11を含む。陶磁11間の幅方向Yの距離aは56mmであり、上端および下端の陶磁11間の長さ方向Xの距離は32mmである。具体的には、Solidworks(Dassault Systems、MA、USA)で4個の陶磁11に対する幅cは65mm、円形終端の直径dは45mm、二つの円形終端の間の間隔eは30mmに陶磁11の断面をモデリングし、位置指定およびメッシングのためにSimpleware ScanIPに構成要素を持ってきた。
【0043】
脊椎温熱機器10には陶磁11の長さ方向Xの位置を調整する駆動部12が備えられ得、陶磁11を支持するための支持部13が備えられ得る。支持部13は長さ方向Xの一側に配置される陶磁11を支持する第1支持部材13aと、長さ方向Xの他側に配置される陶磁11を支持する第2支持部材13bを含むことができる。
【0044】
前記のように、脊椎温熱機器10の3次元構造データを生成した後に脊椎温熱機器10の設定値を設定することになる。このような設定値は使用者が選択した温熱マッサージモードによる陶磁11温度、陶磁11の高さ、発熱体の温度などであり得る。
【0045】
以後、設定された値で脊椎温熱機器10が作動することによって使用者身体を加圧する過程で印加される温熱による使用者身体の熱伝導および温度変化を計算することになる。この時、使用者の表皮、筋肉、脊椎、椎間板の熱伝導および温度変化を計算することができる。
【0046】
脊椎温熱機器10の3次元構造データを生成した後、結果モデルをCOMSOL Multiphysics 5.5(COMSOL Inc.,MA、USA)に持ってきて温熱マッサージ中に加熱を制御するPennesの生体-熱伝達方程式(Pennes’ bio-heat transfer equation)を次の数学式1のように解いた。これを通じて使用者身体の熱伝導および温度変化を計算することができる。
【0047】
【数4】
【0048】
ここで、ρは組織密度(tissue density)(kg/m)、cは比熱容量(specific heat capacity)(Jkg-1-1)、Tは温度(temperature)(K)、tは時間(time)(s)、kは熱伝導率(thermal conductivity)(Wm-1-1)、bは血液の密度(density of blood)(kgm-3)、cは血液の比熱容量(specific heat capacity of blood)(Jkg-1-1)、wは血液の灌流率(perfusion rate of blood)(1/s)、Tは血液温度(blood temperature)(K)、Qは代謝熱発生率(rate of metabolic heat generation)(W/m)である。ソリューションは正常状態条件(steady state conditions)で遂行される。
【0049】
すなわち、使用者身体を加圧して印加される温熱による熱伝導および温度変化を計算することであり、使用者身体加圧および温熱印加時に安全性があるかを確認できることになる。
【0050】
モデル組織の物理的および熱的特性は下記の表1(温熱マッサージ中に温度勾配を推定するために前記の計算モデルを構成する組織およびソースの熱特性)に羅列された値により割り当てられた。
【0051】
【表1】
【0052】
前記の生体-熱方程式(数学式1)を解くためにモデルの外部境界温度はコア体温(37℃)で固定され、すべての内部組織の境界に対流勾配がないと仮定した。モデル境界(使用者身体の境界)から環境への対流熱損失は下記の数学式2を通じて次のように計算された。
【0053】
【数5】
【0054】
ここで、qは対流熱流速(convective heat flux)(Wm-2の単位)であり、hはモデルを構成する組織に対する熱伝達係数(heat transfer coefficient)であって、5Wm-2Kであり、Tambは周辺温度(ambient temperature)(すなわち、25℃)である。組織の初期温度は37℃に設定する。陶磁温度はシミュレーション内で45~65℃範囲の値で固定される。ヒーティングマットに該当するベッドの表面と接触する皮膚の外部境界は40℃の温度に指定される。
【0055】
温熱マッサージの間生成される血流の大きさと分布を推定するために導き出された血流にインサイチュ(in situ)組織温度をマッピングするための非線形モデルを開発した。このモデルはChiesaと同僚らが遂行した熱的ストレスが印加される間使用者の足の温度と血流に対する同時経験的測定によって導き出された。ここで開発されたモデルの一般的な形式は次の数学式3の通りであり、これを通じて使用者身体の温度変化値を血液循環値に変換することができる。
【0056】
【数6】
【0057】
ここで、Fは血流(blood flow)(L/min)、△Tは血管部位の温度変化(change in temperature at the site of the vessel)(℃)、Fは外因性加熱がない場合の血流(blood flow in the absence of exogenous heating)、Fmaxは心血管系の物理的限界(physical limitations of the cardiovascular system)による最大到達可能血流(maximum achievable blood flow)であり、自由モデル媒介変数(free model parameters)aとbはChiesaと同僚らが報告した経験的測定に該当モデルをフィッティングする方式で推定する。
【0058】
すなわち、次のような(T、F)測定対が報告された。ここでTは足の筋肉の温度(すなわち、最も深い位置と血管部位に最も近い位置での測定)であり、Fは中心大腿動脈(central femoral artery、CFA)の経験的血流であり、(T、F)測定対は(34.9℃、0.31L/min)、(36.2℃、0.53L/min)、(37.0℃、0.86L/min)、(37.6℃、1.24L/min)および(38.3℃、1.22L/min)である。
【0059】
このような経験的測定でF=0.31L/minおよびFmax=1.22L/min値をそれぞれ基準線および最大血流に割り当てた。その後、Matlab(Mathworks、MA、USA)関数lsqcurvefitを使って既存の最小-自乗フィッティング(least-squares fitting)を遂行した。図7に図示された通り、最小化手続きはa=-2.67およびb=4.88の値を算出して基準線から最大の流れへのS字形転換をキャプチャして経験的測定に対する卓越した適合性を生成した。その後、結果モデルを使って局所温度を該当血流に変換した。
【0060】
図5および図6に図示された通り、接触加熱は腰全体を覆う40℃の輪郭平面(「マット」)および直径4.5cm、高さ1cmを有し、長方形の頂点位置に配列された4個の陶磁11である。陶磁11温度は45℃から65℃まで5℃ずつ増加した。各強度に対して腰椎部位の温度分布を数値的に計算した。その後、算出された結果を予測された血流の変化と結合した。これを通じて組織深さと陶磁11温度の関数で循環が増加する大きさを確認することができる。
【0061】
図8は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に陶磁が接触する部分の温度上昇を定量化したもので、(a)は65℃に設定された陶磁で温熱マッサージをする間、体積の視床切片の温度を図示した図面であり、(b)は(a)に表示された温度分布の等高線を図示した図面であり、図9は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に幅方向に沿って隣接して配置された陶磁間の温度上昇を定量化したもので、(a)は視床切片の温度を図示した図面であり、(b)は(a)に表示された温度分布の等高線を図示した図面であり、図10は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器の陶磁温度により使用者身体の深さ別温度分布を図示した図面であり、(a)は陶磁が接触する部分の温度分布を図示した図面であり、(b)は幅方向に沿って隣接して配置された陶磁間の温度分布を図示した図面であり、図11は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器の陶磁温度により使用者身体の幅方向位置別温度分布を図示した図面であり、(a)は使用者身体の2cm深さを基準として幅方向位置別温度分布を図示した図面であり、(b)は使用者身体の3cm深さを基準として幅方向位置別温度分布を図示した図面である。
【0062】
温度が65℃で設定された一対の陶磁11が接触する部分の視床切片で温度の空間的分布は図8の(a)に図示された通りであり、温度分布の等高線は図8の(b)に図示された通りである。すなわち、温度上昇の空間的力学は明白であり、刺激部位付近で等高線の密度がさらに高いことを考慮する時、最も大きい変化が発生することを確認することができる。
【0063】
陶磁11温度に対する組織深さの影響を定量化するために、深さの関数として陶磁11中心直前の温度を分析した。図10(色相は陶磁温度を示し、マーカーは1、2、3および4cmの深さを示す)に図示された通り、組織温度は深さにより幾何級数的に減少するものと示された。図10の(a)に図示された通り、陶磁11温度が45℃である場合、組織1、2および3cm深さの温度はそれぞれ42.2℃、39.6℃および38.0℃であった。65℃の増加した陶磁11温度で該当温度は54.9℃、45.5℃および40.6℃であった。したがって、2cm深さでの温度勾配は3~8℃の範囲であり、3cm深さでの温度勾配は1~3℃である。
【0064】
次に、陶磁11と接触する部分で幅方向Yに沿って側面に位置した組織に対する手動加熱の影響を考慮した。図9は正中線(すなわち、一対の陶磁の間、陶磁中心から6cm、最側面の縁から3.75cm)に位置した視床スライスの空間分布を示す。図10の(b)に図示された通り、45℃の陶磁11温度で組織温度は深さ1、2および3cmでそれぞれ39.1℃、37.9℃および37.5℃に計算された。陶磁11温度が65℃である場合、該当温度は39.3℃、38.3℃および37.8℃と少しだけより高く、これは陶磁11温度が増加しても幅方向Yに沿って側面には温熱が伝達されないことを示す。
【0065】
組織温度に対する温熱マッサージの効果をさらによく特性化するために、背中の全体の側面範囲に亘って温度を分析したし、この時、使用者身体の深さは2cm(図11の(a))と3cm(図11の(b))であった。
【0066】
幅方向Yに沿って配列された一対の陶磁11と一致する高さ方向Zの垂直位置を考慮した。結果温度プロファイルは温度が正中線で略平均体温(図11の(a)のように、2cm深さでは37.9℃であり、図11の(b)のように、3cm深さでは37.5℃である)に下がったので陶磁11の局部的な作用を確認した。
【0067】
図11の(a)の青色実線のように、陶磁11温度が45℃である場合、2cm深さでの温度分布は39.3℃のピークから中央線に向かって1cm移動した位置は38.9℃であり、2cm移動した位置は37.9℃に下がった。そして3cm移動した位置は36.4Cまで下降する。図11の(a)の緑色実線のように、陶磁11温度が65℃に上昇した場合、該当値は44.6℃(ピーク)、43.8℃(1cm移動した位置)、41.6℃(2cm移動した位置)および38.3℃(3cm移動した位置)である。図11の(b)に図示された通り、陶磁11温度を65℃に設定した時、3cm深さの温度分布はピーク温度が38.0℃であり、1、2、3cm横に移動した時に37.7℃、37.1℃、35.2℃にそれぞれ下がった。陶磁11温度が65℃に上昇した場合、1、2および3cm横に移動した時に40.5℃のピーク温度がそれぞれ40.2℃、39.2℃および36.7℃に減少した。
【0068】
図12は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に陶磁が接触する部分の血流分布を定量化したもので、(a)は65℃に設定された陶磁で温熱マッサージをする間の血流分布(温度分布と比較する時深い位置での血流増加確認される)を図示した図面であり、(b)は(a)に表示された血流分布の等高線(等高線の濃度は高い血流から低い血流への転換領域を示し、転換領域が深い深さで確認される)を図示した図面であり、図13は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器を通じての温熱マッサージ中に幅方向に沿って隣接して配置された陶磁間の血流分布を定量化したもので、(a)は視床切片の血流分布(血流増加が急激に減少する)を図示した図面であり、(b)は(a)に表示された血流分布の等高線(転換領域が浅い深さで確認される)を図示した図面であり、図14は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器の陶磁温度により使用者身体の深さ別血流分布を図示した図面であり、(a)は陶磁が接触する部分の血流分布(温度-循環関係のS字形特性によって深さによる血流減少(falloff)はさらに深い深さで発生し、設定値により2~4cmの間で発生し、循環が4倍が増加する深さは2~3cmと予想される)を図示した図面であり、(b)は幅方向に沿って隣接して配置された陶磁間の血流分布(血流の増加は3~4cm深さを越える深さでは確認されない)を図示した図面であり、図15は本発明の一実施例に係る脊椎温熱機器の陶磁温度により使用者身体の幅方向位置別血流分布を図示した図面であり、(a)は使用者身体の2cm深さを基準として幅方向位置別血流分布を図示した図面であり、(b)は使用者身体の3cm深さを基準として幅方向位置別血流分布(陶磁と接触する部分で血流は陶磁温度が55℃であるとき3倍増加する)を図示した図面である。
【0069】
温熱マッサージの間増加した血流の大きさを予測するために、インサイチュ(in situ)組織温度と血流の間の関係に対する簡単な非線形モデルを開発した。このモデルは温熱ストレスの間使用者の足の温度と血流に対する同時経験的測定を基盤としたのであり、ここで流れは基準値0.31L/minで最大値1.22L/minまで非線形的に増加するものと示された。結果的なS字形モデルを使って計算的に派生された組織温度値は図8図11に図示された通りであり、これを温熱マッサージの間腰の血流推定値に変換した。
【0070】
陶磁11温度が65℃であるとき、予測された血流の空間的分布は一対の陶磁11が接触する部分の視床切片に対して図12の(a)および(b)に表示され、幅方向Yに沿って隣接して配置された陶磁11間の中間視床切片の血流の空間的分布は図13の(a)および(b)に表示される。すなわち、血流が深さによりさらに有利な減衰を示すことが明らかである。
【0071】
図14の(a)の青色実線のように、陶磁11温度が45℃である場合、予測された血流は1、2、3および4cm深さでそれぞれ1.22L/min、1.11L/min、0.41L/minおよび0.33L/minであった。図14の(a)の緑色実線のように、陶磁11温度が65℃に上昇した場合、予測の流れは最大3cm(1.22L/min)深さで飽和された後、4cm深さで0.56L/minに急激に減少する。温度と血流間の関係の非線形性が低い基本流れと大きい飽和流れ間の突然の転換につながることを確認することができる。実際に、急激なS字形転移(図7)は陶磁11温度が55℃であるときに3cm深さで血流(1.03L/min)が大きく増加(図14の(a)の黄色実線)するということを予測できるようにする。
【0072】
図15の(a)に図示された通り、陶磁11中心で側面変位の関数で血流を考慮する時、十分に高い入力温度(すなわち、55℃)が与えられれば2cm深さの血流が大きな側面範囲に亘って飽和されることを確認することができ、図15の(b)に図示された通り、3cm深さでも55℃の陶磁11温度によって生成された予測された流れは陶磁11と接触した位置で3倍増加することを確認することができる。すなわち、全般的に熱源からの距離に対する血流の効果的な強度は温度で確認されたものより低いことを意味する。
【0073】
この時、前記使用者身体加圧時の温熱効果による熱伝導および温度変化を計算する段階(S400)は、使用者身体の熱伝導および温度変化値を視角化する段階を含むことができる。このような使用者身体は計算された表皮、筋肉、脊椎、椎間板等の使用者身体のいずれか一つ以上の部位であり得る。
【0074】
また、前記使用者身体加圧時の温熱効果による熱伝導および温度変化を計算する段階(S400)は、前記脊椎温熱機器10の陶磁11が高さ方向Zに沿って上昇しながら使用者身体を加圧する過程で使用者の皮膚表面から3cm深さに該当する部分の温度変化を計算する段階であり得る。すなわち、皮膚表面から3cm深さに該当する部分は使用者の脊椎およびこれを囲む筋肉(一例として、脊柱起立筋)が位置するためこのような部分の血液循環(血流改善)を最大化させることができるようになり、3cm深さ部分の血液循環が最大化される状況で使用者に火傷の危険があるかを事前に確認することによって安全性を確保することができる。
【0075】
この時、前記脊椎温熱機器10の設定値を設定する段階は、陶磁11温度、陶磁の高さ、発熱体の温度を設定する段階であり得、使用者が選択した温熱マッサージモードにより変更され得る。
【0076】
一方、前記使用者身体の血液循環値を視角化する段階(S600)以後には、設定された陶磁11温度、陶磁11の高さ、発熱体の温度の範囲内で使用者身体の最適温度または最適血液循環値が得られる設定値を導き出す段階をさらに含むことができる。すなわち、使用者身体の血液循環値を視角化することによって使用者に適合した最適な温度または最適な血液循環値が得られるように設定値を導き出すことである。
【0077】
この時、前記使用者身体の最大温度または最大血液循環値が得られる設定値を導き出す段階は、使用者身体の体形による構造変化により使用者体形別最適温度または最適血液循環値が得られる設定値を導き出す段階であり得る。すなわち、BMI数値により熱伝導および温度変化が変わり、これとともに火傷をする危険があるかどうかが変わるためBMI数値により最適な温度および血液循環値を導き出す必要があり、これを脊椎温熱機器10に反映すれば多様な使用者に最適な温熱マッサージが可能となるだけでなく温熱マッサージ過程で使用者が火傷を避けることができるように注意事項の伝達も可能となる。
【0078】
この時、前記使用者身体の温度変化値を血液循環値に変換する段階(S500)は、使用者身体の位置別血液循環データを反映して使用者身体の温度変化値を補正する段階をさらに含むことができる。一例として、使用者身体の位置別血液循環データはレーザードップラーイメージング技術を通じて確保することができ、このような方式で使用者身体の温度変化値を補正する場合、さらに正確な血流分布の導出が可能となって使用者に適合した脊椎温熱機器10の設定値の導出が可能となる。
【0079】
また、前記使用者身体の温度変化値を補正する段階は、使用者の血液から受信されたレーザーを分析する段階をさらに含むことができ、一例として、前記レーザードップラーイメージング技術を活用して使用者の血液から受信されたレーザーを分析し、このような分析結果を反映して使用者身体の温度変化値を補正するように構成され得る。
【0080】
前記にて詳察した通り、本発明の実施例に係る脊椎温熱機器の安全性および有効性予測方法は、使用者身体の3次元構造データと脊椎温熱機器10の3次元構造データを生成し、脊椎温熱機器10が設定値により作動する過程で温熱による使用者身体の熱伝導および温度変化を計算した後、これを血液循環値に変換することによって標的部位に提供される血流改善効果を最適化し、これを通じて脊椎温熱機器の安全性および有効性を予測できることになる。
【0081】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明の思想は本明細書に提示される実施例によって制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同じ思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などによって他の実施例を容易に提案できるであろうが、これもまた本発明の思想範囲内に入るものと言える。
【符号の説明】
【0082】
10:脊椎温熱機器
11:陶磁
12:駆動部
13:支持部
13a:第1支持部材
13b:第2支持部材
X:長さ方向
Y:幅方向
Z:高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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