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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027106
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】不揮発性メモリ装置及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 13/00 20060101AFI20240221BHJP
   H10B 63/10 20230101ALI20240221BHJP
   H10N 70/00 20230101ALI20240221BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20240221BHJP
   H10N 99/00 20230101ALI20240221BHJP
【FI】
G11C13/00 270E
H10B63/10
H10N70/00 A
H10N70/20
H10N99/00
G11C13/00 215
G11C13/00 230
G11C13/00 480J
G11C13/00 270A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132315
(22)【出願日】2023-08-15
(31)【優先権主張番号】10-2022-0102228
(32)【優先日】2022-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】金 裕▲ミン▼
(72)【発明者】
【氏名】姜 周憲
(72)【発明者】
【氏名】金 宣浩
(72)【発明者】
【氏名】金 世潤
(72)【発明者】
【氏名】朴 可籃
(72)【発明者】
【氏名】宋 俔在
(72)【発明者】
【氏名】安 東浩
(72)【発明者】
【氏名】楊 承烈
(72)【発明者】
【氏名】禹 明勳
(72)【発明者】
【氏名】李 鎭宇
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083GA10
5F083JA37
5F083JA38
5F083JA60
(57)【要約】
【課題】不揮発性メモリ装置及びその動作方法を提供する。
【解決手段】導電性ピラー(conductive pillar)と、導電性ピラーの側面を取り囲む抵抗変化層と、抵抗変化層の側面を取り囲む半導体層と、半導体層の側面を取り囲むゲート絶縁層と、ゲート絶縁層の側面を取り囲み、かつゲート絶縁層の表面に沿って交互に配列された複数個の絶縁素子及び複数個のゲート電極と、を含む不揮発性メモリ装置である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ピラーと、
前記導電性ピラーの側面を取り囲む抵抗変化層と、
前記抵抗変化層の側面を取り囲む半導体層と、
前記半導体層の側面を取り囲むゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の側面を取り囲み、かつ前記ゲート絶縁層の表面に沿って交互に配列された複数個の絶縁素子及び複数個のゲート電極と、
前記導電性ピラーに電気的に連結され、前記導電性ピラーに第1電圧を提供する第1ビットラインと、
前記第1ビットラインとは電気的に絶縁され、かつ前記半導体層と電気的に連結され、前記半導体層に第2電圧を提供する第2ビットラインと、を含む、不揮発性メモリ装置。
【請求項2】
前記第1電圧及び前記第2電圧は、互いに異なる、請求項1に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項3】
前記第1電圧は、前記第2電圧より大きい、請求項1に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項4】
前記第1電圧と前記第2電圧との差は、前記第2電圧の絶対値より小さい、請求項1に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項5】
前記第2電圧の絶対値は、5V以下である、請求項1に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項6】
前記複数個のゲート電極のうち、選択メモリセルに対応するゲート電極には、ターンオフ電圧が印加され、
前記複数個のゲート電極のうち、非選択メモリセルに対応するゲート電極には、ターンオン電圧が印加される、請求項1に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項7】
前記ターンオフ電圧は、前記第1電圧及び前記第2電圧のうち少なくとも1つより小さい、請求項6に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項8】
前記ターンオン電圧は、前記第1電圧及び前記第2電圧のうち少なくとも1つより大きい、請求項6に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項9】
前記第1電圧と前記第2電圧との差は、前記ターンオン電圧と前記ターンオフ電圧との差より小さい、請求項6に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項10】
前記導電性ピラーの全ての領域は、前記半導体層の全ての領域と空間的に離隔配置される、請求項1に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項11】
前記抵抗変化層と前記導電性ピラーとの間に配置される絶縁層をさらに含む、請求項1に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項12】
前記導電性ピラー内に挿入された絶縁層をさらに含む、請求項1に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項13】
前記導電性ピラー内に挿入された絶縁層は、前記抵抗変化層と接する、請求項12に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項14】
導電性ピラーと、前記導電性ピラーの側面に沿って順次に配列されたメモリセルアレイとを含む不揮発性メモリ装置の動作方法において、
前記メモリセルアレイのうち選択メモリセルにターンオフ電圧を印加し、前記メモリセルアレイのうち非選択メモリセルにターンオン電圧を印加する段階と、
前記選択メモリセルを動作させるために、前記導電性ピラーに第1電圧を印加し、メモリセルアレイに前記第1電圧と異なる第2電圧を印加する段階と、を含む、不揮発性メモリ装置の動作方法。
【請求項15】
前記第1電圧は、前記第2電圧より大きい、請求項14に記載の不揮発性メモリ装置の動作方法。
【請求項16】
前記第1電圧と前記第2電圧との差は、前記第2電圧の絶対値より小さい、請求項14に記載の不揮発性メモリ装置の動作方法。
【請求項17】
前記第2電圧の絶対値は、5V以下である、請求項14に記載の不揮発性メモリ装置の動作方法。
【請求項18】
前記ターンオフ電圧は、前記第1電圧及び前記第2電圧のうち少なくとも1つより小さい、請求項14に記載の不揮発性メモリ装置の動作方法。
【請求項19】
前記ターンオン電圧は、前記第1電圧及び前記第2電圧のうち少なくとも1つより大きい、請求項14に記載の不揮発性メモリ装置の動作方法。
【請求項20】
前記第1電圧と前記第2電圧との差は、前記ターンオン電圧と前記ターンオフ電圧との差より小さい、請求項14に記載の不揮発性メモリ装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性メモリ装置及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリ装置として、不揮発性メモリ装置は、電源が切れた状態でも情報を維持しており、電源が供給されれば再び保存された情報を使用することができる多数のメモリセルを含む。不揮発性メモリ装置は、携帯電話、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、移動式コンピュータ装置、固定式コンピュータ装置及びその他装置で使用可能である。
【0003】
次世代ニューロモルフィックコンピューティング(Neuromorphic Computing)プラットホーム、あるいはニューラルネットワーク(Neural Network)を形成するチップに三次元(または、垂直型(Vertical))NAND(VNAND)を使用する研究が進められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、導電性ピラーを含む不揮発性メモリ装置及びその動作方法を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、半導体層に強度の低い電圧を印加することができる不揮発性メモリ装置及びその動作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態による不揮発性メモリ装置は、導電性ピラー(conductive pillar)と、前記導電性ピラーの側面を取り囲む抵抗変化層と、前記抵抗変化層の側面を取り囲む半導体層と、前記半導体層の側面を取り囲むゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層の側面を取り囲み、かつ前記ゲート絶縁層の表面に沿って交互に配列された複数個の絶縁素子及び複数個のゲート電極と、前記導電性ピラーに電気的に連結され、前記導電性ピラーに第1電圧を提供する第1ビットラインと、前記第1ビットラインとは電気的に絶縁され、かつ前記半導体層と電気的に連結され、前記半導体層に第2電圧を提供する第2ビットラインと、を含む。
【0007】
そして、前記第1電圧及び前記第2電圧は、互いに異なっている。
【0008】
また、前記第1電圧は、前記第2電圧よりも大きい。
【0009】
そして、前記第1電圧と前記第2電圧との差は、前記第2電圧の絶対値よりも小さい。
【0010】
また、前記第2電圧の絶対値は、5V以下でもある。
【0011】
そして、前記複数個のゲート電極のうち、選択メモリセルに対応するゲート電極には、ターンオフ電圧が印加され、前記複数個のゲート電極のうち、非選択メモリセルに対応するゲート電極には、ターンオン電圧が印加されうる。
【0012】
また、前記ターンオフ電圧は、前記第1電圧及び前記第2電圧のうち少なくとも1つよりも小さい。
【0013】
そして、前記ターンオン電圧は、前記第1電圧及び前記第2電圧のうち少なくとも1つよりも大きい。
【0014】
また、前記第1電圧と前記第2電圧との差は、前記ターンオン電圧と前記ターンオフ電圧との差よりも小さい。
【0015】
そして、前記導電性ピラーの全ての領域は、前記半導体層の全ての領域と空間的に離隔配置されうる。
【0016】
また、前記抵抗変化層と前記導電性ピラーとの間に配置される絶縁層をさらに含んでもよい。
【0017】
そして、前記絶縁層は、シリコン酸化物を含んでもよい。
【0018】
また、前記導電性ピラー内に挿入された絶縁層をさらに含んでもよい。
【0019】
そして、前記導電性ピラー内に挿入された絶縁層は、前記抵抗変化層と接することができる。
【0020】
一方、一実施形態による導電性ピラー(conductive pillar)と、前記導電性ピラーの側面に沿って順次に配列されたメモリセルアレイとを含む不揮発性メモリ装置の動作方法は、前記メモリセルアレイのうち選択メモリセルにターンオフ電圧を印加し、前記メモリセルアレイのうち非選択メモリセルにターンオン電圧を印加する段階と、前記選択メモリセルを動作させるために、前記導電性ピラーに第1電圧を印加し、メモリセルアレイに前記第1電圧と異なる第2電圧を印加する段階と、を含む。
【0021】
そして、前記第1電圧は、前記第2電圧よりも大きい。
【0022】
また、前記第1電圧と前記第2電圧との差は、前記第2電圧の絶対値よりも小さい。
【0023】
そして、前記第2電圧の絶対値は、5V以下でもある。
【0024】
また、前記ターンオフ電圧は、前記第1電圧及び前記第2電圧のうち少なくとも1つよりも小さい。
【0025】
そして、前記ターンオン電圧は、前記第1電圧及び前記第2電圧のうち少なくとも1つよりも大きい。
【0026】
また、前記第1電圧と前記第2電圧との差は、前記ターンオン電圧と前記ターンオフ電圧との差よりも小さい。
【発明の効果】
【0027】
一実施形態による半導体装置は、選択メモリセルの抵抗変化層に水平方向の電場を形成可能な導電性ピラーを含むので、半導体層に印加される電圧の絶対値を減らすことができる。
【0028】
導電性ピラー及び半導体層に独立して電圧が印加されるので、半導体装置の物性によって電圧範囲を容易に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態によるメモリシステムを示すブロック図である。
図2図1によるメモリ装置の一具現例を示すブロック図である。
図3図1によるメモリセルアレイを示すブロック図である。
図4】一実施形態によるメモリブロックに対応する物理的構造を示す図面である。
図5】一実施形態による書き込み動作時、抵抗変化層において酸素空孔の移動を示す図面である。
図6A】比較例において、導電性ピラーがない半導体装置の抵抗変化層において酸素空孔の移動を示す図面である。
図6B】比較例において、導電性ピラーがない半導体装置の抵抗変化層において酸素空孔の移動を示す図面である。
図7】一実施形態による消去動作時、抵抗変化層において酸素空孔の移動を示す図面である。
図8】一実施形態による第1絶縁層を含むメモリ装置を示す図面である。
図9】一実施形態による第2絶縁層を含むメモリ装置を示す図面である。
図10】一実施形態による第1及び第2絶縁層を含む半導体装置を示す図面である。
図11A】一実施形態による不揮発性メモリ装置を製造する方法を説明する参照図である。
図11B】一実施形態による不揮発性メモリ装置を製造する方法を説明する参照図である。
図11C】一実施形態による不揮発性メモリ装置を製造する方法を説明する参照図である。
図11D】一実施形態による不揮発性メモリ装置を製造する方法を説明する参照図である。
図11E】一実施形態による不揮発性メモリ装置を製造する方法を説明する参照図である。
図11F】一実施形態による不揮発性メモリ装置を製造する方法を説明する参照図である。
図11G】一実施形態による不揮発性メモリ装置を製造する方法を説明する参照図である。
図12】一実施形態による不揮発性メモリ装置を製造する方法を説明する参照図である。
図13】一実施形態による不揮発性メモリ装置を含む電子装置を図式的に説明するブロック図である。
図14】一実施形態による不揮発性メモリ装置を含むメモリシステムを図式的に説明するブロック図である。
図15】実施形態によるメモリ装置を含むニューロモルフィック装置を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書で多様なところに表される「一部実施形態において」または「一実施形態において」などの語句は、必ずしも全て同一実施形態を示すものではない。
【0031】
本発明の一部実施形態は、機能的なブロック構成及び多様な処理段階でも表される。そのような機能ブロックの一部または全部は、特定機能を行う多様な個数のハードウェア及び/またはソフトウェア構成によっても具現される。例えば、本発明の機能ブロックは、マイクロプロセッサによって具現されてもよく、所定の機能のための回路構成によって具現されてもよい。本発明の機能ブロックは、多様なプログラミング言語またはスクリプティング言語によっても具現される。機能ブロックは、プロセッサで実行されるアルゴリズムによっても具現される。また、本発明は、電子的な環境設定、信号処理、及び/またはデータ処理などのために従来技術を採用することができる。「メカニズム」、「要素」、「手段」及び「構成」などの用語は、広く使用され、機械的かつ物理的な構成として限定されるものではない。
【0032】
また、図面に示した構成要素間の連結線または連結部材は、機能的な連結、及び/または物理的または回路的連結を例示的に表すものである。実際の装置では、代替可能であったり追加されたりする多様な機能的な連結、物理的な連結または回路的な連結により構成要素間の連結が表される。
【0033】
本明細書で使用される「構成される」または「含む」などの用語は、明細書上に記載された多くの構成要素または多くの段階を必ずしも全て含むものと解釈されてはならず、そのうち一部構成要素または一部段階は含まなくてもよく、更なる構成要素または段階をさらに含んでもよいというものと解釈されなければならない。
【0034】
以下、「上部」や「上」と記載されたものは、接触してすぐ上下左右にあるものだけでなく、非接触で上下左右にあるものも含む。以下、添付された図面を参照して、例示のための実施形態について詳細に説明する。
【0035】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されるが、構成要素は、用語によって限定されてはならない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的にのみ使用されている。
【0036】
以下、添付された図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
【0037】
図1は、一実施形態によるメモリシステムを示すブロック図である。
【0038】
図1を参照すれば、メモリシステム10は、メモリコントローラ100及びメモリ装置200を含むものでもある。メモリコントローラ100は、メモリ装置200に対する制御動作を行い、一例として、メモリコントローラ100は、メモリ装置200にアドレスADD及びコマンドCMDを提供することにより、メモリ装置200に対する書き込み、読み取り及び消去動作を行うことができる。また、書き込み動作のためのデータと読み取られたデータとが、メモリコントローラ100とメモリ装置200との間で送受信される。
【0039】
メモリ装置200は、メモリセルアレイ210及び電圧発生部220(例えば、電源回路)を含むものでもある。メモリセルアレイ210は、複数本のワードラインと複数本のビットラインとが交差する領域に配置される複数個のメモリセルを含む。メモリセルアレイ210は、データを不揮発性であるように保存する不揮発性メモリセルを含み、不揮発性メモリセルとして、メモリセルアレイ210は、NANDフラッシュメモリセルアレイまたはNORフラッシュメモリセルアレイなどのフラッシュメモリセルを含む。以下、メモリセルアレイ210がフラッシュメモリセルアレイを含み、これにより、メモリ装置200が不揮発性メモリ装置であることを仮定して、本発明の実施形態について詳述する。
【0040】
メモリコントローラ100は、書き込み/読み取り(WR/RD)制御部110、電圧制御部120及びデータ判別部130を含むものでもある。
【0041】
書き込み/読み取り制御部110は、メモリセルアレイ210に対する書き込み/読み取り及び消去動作を行うためのアドレスADD及びコマンドCMDを生成することができる。また、電圧制御部120は、不揮発性メモリ装置200内で利用される電圧レベルを制御する電圧制御信号を生成することができる。一例として、電圧制御部120は、メモリセルアレイ210からデータを読み取るか、あるいはメモリセルアレイ210にデータを書き込むためのワードラインの電圧レベルを制御するための電圧制御信号を生成することができる。
【0042】
一方、データ判別部130は、メモリ装置200から読み取られたデータに対する判別動作を行うことができる。例えば、メモリセルから読み取られたデータを判別し、メモリセルのうちオンセル(on cell)及び/またはオフセル(off cell)の個数を判別することができる。一動作例として、複数のメモリセルに対して書き込みが行われれば、所定の読み取り電圧を利用してメモリセルのデータの状態を判別することにより、全てのセルに対して正常に書き込みが完了したか否かが判別される。
【0043】
一方、メモリ装置200は、メモリセルアレイ210及び電圧発生部220を含むものでもある。前述のように、メモリセルアレイ210は、不揮発性メモリセルを含み、一例として、メモリセルアレイ210は、フラッシュメモリセルを含む。また、フラッシュメモリセルは、多様な形態にも具現され、例えば、メモリセルアレイ210は、三次元(または、垂直型)NAND(VNAND)メモリセルを含んでもよい。
【0044】
図2は、図1によるメモリ装置の一具現例を示すブロック図である。
【0045】
図2に示されたように、メモリ装置200は、ロウデコーダ230及び制御ロジック250をさらに含んでもよい。
【0046】
メモリセルアレイ210は、ストリング選択ラインSSL、複数本のワードラインWL1~WLm(ノーマルワードライン及びダミーワードラインを含む)及び共通ソースラインCSLsに連結され、かつ複数本のビットラインBL1~BLnにも連結される。
【0047】
電圧発生部220は、ワードライン電圧V1~Viを発生させることができ、ワードライン電圧V1~Viは、ロウデコーダ230に提供される。ビットラインを介して、書き込み/読み取り/消去動作のための信号がメモリセルアレイ210に印加される。
【0048】
また、書き込まれるデータは、入出力回路240を介してメモリセルアレイ210に提供され、読み取られたデータは、入出力回路240を介して外部(例えば、メモリコントローラ100)に提供される。制御ロジック250は、メモリコントローラ100の制御下でメモリ動作と関連した各種制御信号をロウデコーダ230及び電圧発生部220に提供することができる。
【0049】
ロウデコーダ230のデコーディング動作によって、ワードライン電圧V1~Viは、各種ラインSSLs、WL1~WLm、CSLsに提供される。例えば、ワードライン電圧V1~Viは、ストリング選択電圧、ワードライン電圧及び接地選択電圧を含み、ストリング選択電圧は、ストリング選択ラインSSLsに提供され、ワードライン電圧は、ワードラインWLに提供され、接地選択電圧は、共通ソースラインCSLsに提供される。
【0050】
図3は、図1によるメモリセルアレイ210を示すブロック図である。
【0051】
図3を参照すれば、メモリセルアレイ210は、複数個のメモリブロックBLK1~BLKzを含む。各メモリブロックBLKは、三次元構造(または、垂直構造)を有する。例えば、各メモリブロックBLKは、第1ないし第3方向に沿って延びた構造物を含む。
【0052】
各セルストリングCSは、ビットラインBL、ストリング選択ラインSSL、ワードラインWLs及び共通ソースラインCSLに連結される。すなわち、各メモリブロックBLK1~BLKzは、複数本のビットラインBLs、複数本のストリング選択ラインSSLs、複数本のワードラインWLs、及び複数本の共通ソースラインCSLsに連結されるであろう。
【0053】
図4は、一実施形態によるメモリブロックに対応する物理的構造を示す図面である。
【0054】
図4を参照すれば、基板501が提供される。基板501は、第1型不純物でドーピングされたシリコン物質を含む。例えば、基板501は、p型不純物でドーピングされたシリコン物質を含んでもよい。以下、基板501は、p型シリコンであるものと仮定する。しかし、基板501は、p型シリコンに限定されない。
【0055】
基板501上に、共通ソース領域510が提供される。例えば、共通ソース領域510は、基板501と異なる第2型を有することができる。例えば、共通ソース領域510は、n型を有することができる。以下、共通ソース領域510は、n型であるものと仮定する。しかし、共通ソース領域510は、n型に限定されない。
【0056】
基板501上には、複数個のゲート電極531及び複数個の絶縁素子532が交互に配列される。複数個のゲート電極531及び複数個の絶縁素子532は、基板501の厚み方向に交差して順次に積層される。ゲート電極531は、例えば、金属物質(例えば、銅、銀など)を含み、複数個の絶縁素子532は、シリコン酸化物を含むが、それに制限されない。各ゲート電極531は、ワードラインWL及びストリング選択ラインSSLのうち1本と連結される。
【0057】
交互に配列された複数個のゲート電極531及び複数個の絶縁素子532を垂直方向に貫通するチャネル構造体520が提供される。チャネル構造体520は、複数個のゲート電極531と複数個の絶縁素子532により定義されたチャネルホールCHを介して延びる。チャネルホールCHは、基板501の上面に垂直に延びる。
【0058】
チャネル構造体(ピラー)520は、複数層を含む。一実施形態において、チャネル構造体520の最外郭層は、ゲート絶縁層521でもある。例えば、ゲート絶縁層521は、シリコン酸化物を含んでもよい。ゲート絶縁層521は、チャネル構造体520にコンフォーマルに蒸着されうる。ゲート絶縁層521は、約1nmないし約15nmの厚みを有することができる。
【0059】
また、ゲート絶縁層521の内部側面に沿って、半導体層522がコンフォーマルに蒸着されうる。一実施形態において、半導体層522は、シリコン物質を含む。または、半導体層522は、Ge、IGZO、GaAsなどの物質を含むこともできる。半導体層522は、ドーパントがドーピングされない。ゲート電極531に印加された電圧によって、半導体層522のフェルミレベルが変更されるが、それに限定されない。半導体層522は、第1型にドーピングされたシリコン物質を含んでもよい。半導体層522は、基板501と同一型にドーピングされたシリコン物質を含み、例えば、基板501がp型にドーピングされたシリコン物質を含む場合、半導体層522もp型にドーピングされたシリコン物質を含む。半導体層522は、約1nmないし約15nmの厚みを有することができる。
【0060】
半導体層522の内部側面に沿って、抵抗変化層523が配置されうる。抵抗変化層523は、半導体層522にコンフォーマルに蒸着されうる。一実施形態において、抵抗変化層523は、印加された電圧によって抵抗が変わる物質でも形成される。抵抗変化層523は、ゲート電極531に印加された電圧によって、高抵抗状態から低抵抗状態に、または低抵抗状態から高抵抗状態に変わりうる。抵抗変化は、抵抗変化層523の酸素空孔(Oxygen vacancies)による現状でもある。
【0061】
抵抗変化層523は、ヒステリシス(hysteresis)特性を有する物質でも形成される。例えば、抵抗変化層523は、遷移金属酸化物または遷移金属窒化物を含んでもよい。具体的には、抵抗変化層523は、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、クロム(Cr)、ストロンチウム(Sr)、ランタン(La)、マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)及びプラセオジム(Pr)からなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物または窒化物を含む。また、抵抗変化層523は、GeSbTeを含むこともできる。抵抗変化層523は、約1nmないし約15nmの厚みを有することができる。
【0062】
抵抗変化層523の内部面に沿って、導電性ピラー524が配置されうる。導電性ピラー524は、抵抗変化層523と接することができる。導電性ピラー524は、抵抗変化層523にコンフォーマルに蒸着されうる。導電性ピラー524は、電気的導電性に優れた物質でも形成される。例えば、導電性ピラー524は、W、Ti、TiN、Ru、RuO、Ta及びTaNのうち少なくとも1つを含んでもよい。導電性ピラー524は、ゲート電極531と同一物質でも形成される。
【0063】
導電性ピラー524の全ての領域は、抵抗変化層523により半導体層522の全ての領域と空間的に離隔配置されうる。導電性ピラー524と半導体層522とは、電気的に絶縁されているので、導電性ピラー524と半導体層522には、独立して電圧が印加される。
【0064】
半導体層522及び抵抗変化層523は、共通ソース領域510と接することができる。
【0065】
第1半導体層522上には、第1ドレイン541が提供され、導電性ピラー524上には、第2ドレイン542が提供される。第1ドレイン541と第2ドレイン542とは、電気的に絶縁される。例えば、第1ドレイン541と第2ドレイン542とは、空間的に離隔配置され、第1ドレイン541と第2ドレイン542との間には、空気または絶縁物質が充填される。
【0066】
第1ドレイン541及び第2ドレイン542のうち少なくとも1つは、第2型にドーピングされたシリコン物質を含む。例えば、第1ドレイン541と第2ドレイン542とは、n型にドーピングされたシリコン物質を含んでもよい。
【0067】
第1ドレイン541には、第1ビットライン551が提供され、第2ドレイン542には、第2ビットライン552が提供される。第1ドレイン541及び第1ビットライン551、第2ドレイン542及び第2ビットライン552それぞれは、コンタクトプラグ(contact plug)を介して連結されうる。第1ビットライン551と第2ビットライン552とは、金属物質を含んでもよい。1つのセルストリングにおいて、第1及び第2ビットライン551、552は、セットとしてビットラインBLにもなる。
【0068】
すなわち、一実施形態によるセルストリング形態のメモリ素子は、導電性ピラー524と、導電性ピラー524の側面を取り囲む抵抗変化層523と、抵抗変化層523の側面を取り囲む半導体層522と、半導体層522の側面を取り囲むゲート絶縁層521と、ゲート絶縁層521の側面を取り囲み、かつゲート絶縁層の表面に沿って交互に配列された複数個のゲート電極531及び複数個の絶縁素子532と、を含む。また、メモリ素子は、導電性ピラー524に電気的に連結され、導電性ピラーに電圧を提供する第1ビットライン551、及び第1ビットライン551とは電気的に絶縁され、かつ半導体層522と電気的に連結され、半導体層522に電圧を提供する第2ビットライン552を含む。
【0069】
ゲート電極531、ゲート絶縁層521及び半導体層522は、トランジスタの一構成要素となり、抵抗変化層523は、抵抗ともなる。トランジスタの半導体層522と抵抗変化層523とが直接接合され、抵抗変化層523は、高抵抗状態または低抵抗状態を有することができる。各メモリセルMCは、トランジスタの半導体層522と抵抗変化層523とが並列連結されており、そのような並列構造が垂直方向に連続して配列されることにより、セルストリングCSが構成される。
【0070】
セルストリングCSの両端にそれぞれ共通ソースラインCSL、第1及び第2ビットライン551、552が連結される。そして、第1及び第2ビットライン551、552に電圧が印加されることにより、複数個のメモリセルMCsに書き込み、読み取り及び消去動作が行われる。
【0071】
本発明によれば、相変化(phase change)物質を利用してメモリブロックを構成する代わりに、抵抗変化層523を利用してメモリブロックを構成することにより、相変化物質を利用することによる熱発生及び応力(圧力)問題を解決することができる。また、前述のようにメモリブロックを構成し、メモリブロックを動作させることにより、メモリブロックに含まれたメモリセルMCを反復して動作させる場合にも、隣接メモリセル間のイオン移動及びそれによる漏れ電流、動作失敗を防止することができる。また、本発明によるメモリブロックは、次世代VNANDにおけるメモリセル間のスケーリング問題(scaling issue)を解決することができるので、集積度(density)を飛躍的に増大させることができる。
【0072】
一方、本発明によるメモリブロックは、チップ形態に具現され、ニューロモルフィックコンピューティング(Neuromorphic Computing)プラットホームとしても使用される。また、本発明によるブロックは、チップ形態に具現され、ニューラルネットワーク(Neural Network)を構成するのにも利用される。
【0073】
メモリコントローラ100は、書き込み、読み取り及び消去のうち少なくとも1つで動作するようにメモリセルMCを制御することができる。
【0074】
図5は、一実施形態による書き込み動作時、抵抗変化層523において酸素空孔の移動を示す図面である。
【0075】
図5に示されたように、基板501(図示せず)上には、ゲート電極531、絶縁素子532、ゲート絶縁層521、半導体層522、抵抗変化層523及び導電性ピラー524を含む。ゲート絶縁層521、半導体層522、抵抗変化層523及び導電性ピラー524は、第1方向に沿って延びる。ゲート電極531と絶縁素子532とは、交互に第1方向と垂直な第2方向に沿って延びる。
【0076】
一方、ゲート電極531、ゲート絶縁層521及び半導体層522は、トランジスタの一構成要素となり、抵抗変化層523は、抵抗にも対応する。
【0077】
制御ロジック250は、選択メモリセル710のゲート電極531aにターンオフ電圧Voffを印加し、非選択メモリセル720のゲート電極531bにターンオン電圧Vonを印加するように制御することができる。ターンオフ電圧Voffは、トランジスタをターンオフさせる電圧であって、選択メモリセル710に含まれたトランジスタの半導体層522aに電流が流れないようにする電圧である。ターンオン電圧Vonは、トランジスタをターンオンさせる電圧であって、非選択メモリセル720に含まれたトランジスタの半導体層522bに電流が流れるようにする電圧である。したがって、選択メモリセル710のゲート電極531aに対応する半導体層522aは、絶縁特性を有し、非選択メモリセル720のゲート電極531bに対応する半導体層522bは、導体特性を有することができる。
【0078】
ターンオフ電圧Voff及びターンオン電圧Vonは、ゲート電極531、ゲート絶縁層521、半導体層522、抵抗変化層523及び導電性ピラー524を構成する物質の種類、厚みなどによっても変わる。例えば、ターンオフ電圧Voffが負の電圧である場合、ターンオフ電圧Voffは、-10V以上かつ-2V以下でもある。ターンオン電圧Vonが正の電圧である場合、ターンオン電圧Vonは、0V以上かつ10V以下でもある。非選択メモリセル720には、同一値のターンオン電圧Vonが印加されてもよく、互いに異なる値のターンオン電圧Vonが印加されてもよい。
【0079】
書き込み動作時、メモリコントローラ100は、第1ビットライン551を介して導電性ピラー524に第1電圧Vを印加し、第2ビットライン552を介して半導体層522に第2電圧Vを印加することができる。メモリコントローラ100は、第1電圧V及び第2電圧Vを順次に1つずつ印加してもよく、同時に印加してもよい。
【0080】
第1電圧V及び第2電圧Vは、ゲート電極531、ゲート絶縁層521、半導体層522、抵抗変化層523及び導電性ピラー524を構成する物質の種類、厚みなどによっても変わる。第1電圧Vは、第2電圧Vと互いに異なっている。または、第1電圧Vは、第2電圧V以上でもある。または、第1電圧Vは、第2電圧Vよりも大きい。第1電圧Vと第2電圧Vとの差は、第2電圧Vの絶対値よりも小さく、第2電圧Vの絶対値は、約5V以下でもある。
【0081】
選択メモリセル710に対応する抵抗変化層523aの内部には、第1電圧V、第2電圧V及びターンオフ電圧Voffによって水平方向の電場Eが発生し、第2電圧Vによって垂直方向の電場Eが発生する。垂直方向の電場Eの強度及び方向は、第2電圧Vによって決定され、水平方向の電場Eの方向及び強度は、ターンオフ電圧Voff、第1電圧V及び第2電圧Vによって決定される。水平方向の電場Eは、導電性ピラー524から半導体層522に向かうように、ターンオフ電圧Voff、第1電圧V及び第2電圧Vが設定される。ターンオフ電圧Voffが負の電圧であり、第1電圧V及び第2電圧Vが正の電圧でもある。例えば、第1電圧Vが第2電圧V以上である場合、水平方向の電場Eの強度はさらに強い。
【0082】
水平方向の電場E及び垂直方向の電場Eにより、選択メモリセル710に対応する抵抗変化層523aの内部の酸素空孔は、半導体層522aと抵抗変化層523aとの界面に集中され、半導体層522aと抵抗変化層523aとの界面で酸素空孔の密度が増加しうる。したがって、半導体層522と抵抗変化層523との界面で導電性フィラメントが容易に形成可能である。導電性フィラメントは、抵抗変化層523aを低抵抗状態に変化させ、抵抗変化層523aに第2電圧Vによる電流が流れるので、選択メモリセル710は、書き込み動作が行われる。
【0083】
前述のように、一実施形態による選択メモリセル710の抵抗変化層523aには、水平方向の電場Eと垂直方向の電場Eとが形成され、酸素空孔を、特定領域、すなわち、半導体層522aと抵抗変化層523aとの界面に集中させるので、第2電圧Vが小さくても書き込み動作が容易に行われる。また、水平方向の電場Eの強度は、ターンオフ電圧Voff、第1電圧V及び第2電圧Vの調節により容易に調節可能である。例えば、第1電圧V及び第2電圧Vそれぞれは、第1ビットライン551及び第2ビットライン552を介して独立して印加されるので、半導体層522及び抵抗変化層523の物性を考慮して第1電圧V及び第2電圧Vの調節が容易である。
【0084】
図6A及び図6Bは、比較例において、導電性ピラーがない半導体装置の抵抗変化層において酸素空孔の移動を示す図面である。
【0085】
図6A及び図6Bのセルストリングは、導電性ピラーを含まない。例えば、セルストリングは、基板501(図示せず)上には、ゲート電極531、絶縁素子532、ゲート絶縁層521、半導体層522、抵抗変化層523及び絶縁層610を含む。ゲート絶縁層521、半導体層522、抵抗変化層523及び絶縁層610は、第1方向に沿って延びる。ゲート電極531と絶縁素子532とは、交互に第1方向と垂直な第2方向に沿って延びる。セルストリングCSには、半導体層522に電圧を印加する第2ビットライン552のみが存在しうる。
【0086】
書き込み動作時、メモリコントローラ100は、選択メモリセル710のゲート電極531aにターンオフ電圧Voffを印加し、非選択メモリセル720のゲート電極531bにターンオン電圧Vonを印加するように制御することができる。
【0087】
選択メモリセル710に電気的に連結された第2ビットライン552を介して、第2電圧Vが印加される。選択メモリセル710に対応する抵抗変化層523aには、垂直方向の電場Eが形成される。選択メモリセル710に対応する抵抗変化層523aの内部において、酸素空孔は、垂直方向に移動するだけであり、水平方向に移動することが困難である。図6Aに示されたように、垂直方向に酸素空孔の密度が低いので、垂直方向に導電性フィラメントが形成されない。
【0088】
一方、垂直方向に導電性フィラメントを形成するために、図6Bに示されたように、第2ビットライン552を介して、第2電圧Vより大きい電圧V22が選択メモリセル710に印加される。第2電圧より大きい電圧V22は、選択メモリセル710に対応する抵抗変化層523aの内部に酸素空孔の密度を増加させ、垂直方向に導電性フィラメントを形成することができる。導電性フィラメントは、抵抗変化層523を低抵抗状態にするので、抵抗変化層523aに電流が流れる。したがって、メモリ装置は、強度が高い電圧ではじめて書き込み動作を行い、強度が低い電圧では書き込み動作を行いがたい。
【0089】
導電性ピラー524がないメモリ装置も、書き込み動作を行うことができる。しかし、選択メモリセル710の抵抗変化層523aに提供される垂直方向の導電性フィラメントを形成するためには、酸素空孔の密度を増加させなければならない。酸素空孔の密度を増加させるために、相対的に大きい動作電圧が第2ビットライン552に印加されなければならない。一般的に、導電性ピラー524がない半導体装置には、約10V以上の書き込み電圧が印加される。これは、半導体層522の劣化を起こし、半導体装置の誤動作を誘発しうる。
【0090】
一方、一実施形態による半導体装置は、導電性ピラー524を含んでおり、導電性ピラー524にも独立して電圧が印加される。導電性ピラー524と選択メモリセル710のゲート電極531との間の電場により、選択メモリセル710には水平方向に力が発生しうる。当該力は、酸素空孔を半導体層522と抵抗変化層523との界面に集中させることができる。したがって、選択メモリセル710に対応する半導体層522に印加される第2電圧の絶対値が小さくても、導電性フィラメントの形成が容易である。また、第2電圧の絶対値が小さいため、半導体層522の劣化を防止することができる。
【0091】
図7は、一実施形態による消去動作時、抵抗変化層において酸素空孔の移動を示す図面である。
【0092】
メモリコントローラ100は、選択メモリセル710のゲート電極531aにターンオフ電圧Voffを印加し、非選択メモリセル720のゲート電極531bにターンオン電圧Vonを印加するように制御することができる。したがって、選択メモリセル710のゲート電極531aに対応する半導体層522aは、絶縁特性を有し、非選択メモリセル720のゲート電極531bに対応する半導体層522bは、導体特性を有することができる。
【0093】
消去動作時、メモリコントローラ100は、第1ビットライン551を介して導電性ピラー524に第3電圧Vを印加し、第2ビットライン552を介して半導体層522に第4電圧Vを印加することができる。メモリコントローラ100は、第3電圧V及び第4電圧Vを順次に1つずつ印加してもよく、同時に印加してもよい。
【0094】
第3電圧V及び第4電圧Vは、ゲート電極531、ゲート絶縁層521、半導体層522、抵抗変化層523及び導電性ピラー524を構成する物質の種類、厚みなどによっても変わる。例えば、第4電圧Vは、第2電圧Vと絶対値は同一であり、符号が反対でもある。第2電圧Vが+3Vである場合、第4電圧Vは-3Vでもある。第3電圧Vと第4電圧Vとの差は、第4電圧Vの絶対値よりも小さく、第4電圧Vの絶対値は、約5V以下でもある。
【0095】
第3電圧Vは、第4電圧Vと同一であってもよく、異なってもよい。例えば、第3電圧Vは、第4電圧V以上でもある。第3電圧Vと第4電圧Vとの差は、第1電圧Vと第2電圧Vとの差と同一である。
【0096】
導電性ピラー524に第3電圧Vが印加され、半導体層522に第4電圧Vが印加されれば、選択メモリセル710に対応する抵抗変化層523aの内部には、第3電圧V、第4電圧V及びターンオフ電圧Voffによって水平方向の電場Eが発生し、第4電圧Vによって垂直方向の電場Eが発生する。
【0097】
消去動作時の垂直方向の電場Eに係わる方向は、書き込み動作時の垂直方向の電場Eに係わる方向と反対でもある。
【0098】
消去動作時の水平方向の電場Eに係わる方向は、書き込み動作時の水平方向の電場Eに係わる方向と同一であってもよく、異なってもよい。例えば、ターンオフ電圧Voff及び第4電圧Vが負であり、第3電圧Vが第4電圧V以上であれば、消去動作時の水平方向の電場Eに係わる方向は、書き込み動作時の水平方向の電場Eに係わる方向と同一である。しかし、消去動作時の水平方向の電場Eに係わる強度は、書き込み動作時の水平方向の電場Eに係わる強度よりも低い。したがって、消去動作における酸素空孔には、書き込み動作における酸素空孔より、相対的に半導体層522から導電性ピラー524の方向に変更された力が作用されうる。または、第3電圧Vが第4電圧V未満である場合、消去動作時の水平方向の電場Eに係わる方向は、書き込み動作時の水平方向の電場Eに係わる方向と異なっている。したがって、酸素空孔には、半導体層522から導電性ピラー524の方向に力が作用されうる。
【0099】
消去動作において、水平方向の電場E及び垂直方向の電場Eにより、抵抗変化層523aの内部の酸素空孔は、書き込み動作における移動方向と異なる方向に移動することができる。したがって、形成された導電性フィラメントが切れることにより、選択メモリセル710は、消去動作を行うことができる。
【0100】
消去動作において、選択メモリセル710の抵抗変化層523aには、水平方向の電場Eと垂直方向の電場Eとが形成されるので、酸素空孔の移動方向が多様になり、導電性フィラメントを容易に切断することができる。したがって、半導体層522に印加される第4電圧Vの大きさを減らすことができる。また、導電性ピラー524及び半導体層522に独立して第3電圧V及び第4電圧Vが印加されるので、メモリ装置の物性を考慮して第3電圧V及び第4電圧Vの調節が容易である。
【0101】
図8は、一実施形態による第1絶縁層525を含むメモリ装置を示す図面である。図4及び図8を比較すれば、図8のメモリ装置は、抵抗変化層523と導電性ピラー524との間に第1絶縁層525をさらに含んでもよい。第1絶縁層525は、導電性ピラー524の側面及び下部面を取り囲むことができる。
【0102】
第1絶縁層525は、絶縁物質でも形成される。例えば、第1絶縁層525は、シリコン酸化物を含んでもよい。抵抗変化層523が形成された後、抵抗変化層523の内部に第1絶縁層525がコンフォーマルに蒸着されうる。第1絶縁層525は、導電性ピラー524と半導体層522との電位差によって、抵抗変化層523への酸素空孔の移動を防止することができる。また、第1絶縁層525は、導電性ピラー524とゲート電極531との電位差によって、抵抗変化層523が永久的にブレークダウン(breakdown)されることを防止することができる。
【0103】
図9は、一実施形態による第2絶縁層526を含むメモリ装置を示す図面である。図4及び図9を比較すれば、図9のメモリ装置は、導電性ピラー524内に埋め込まれた(embedded)第2絶縁層526をさらに含んでもよい。第2絶縁層526は、導電性ピラー524の内部壁面上に配置されうる。第2絶縁層526の底面は、抵抗変化層523と接することができる。導電性ピラー524が形成された後、導電性ピラー524の内部に第2絶縁層526がコンフォーマルに蒸着されうる。
【0104】
第2絶縁層526は、絶縁物質でも形成される。例えば、第2絶縁層526は、シリコン酸化物を含んでもよい。第2絶縁層526は、導電性ピラー524と、抵抗変化層523、特に、抵抗変化層523のうち共通ソース領域510上に配置された領域との接触面積を減らすことができる。第2絶縁層526は、導電性ピラー524と共通ソース領域510との電位差によって、抵抗変化層523への酸素空孔の移動を防止することができ、導電性ピラー524と共通ソース領域510との電位差によって、抵抗変化層523が永久的にブレークダウンされることを防止することができる。
【0105】
図10は、一実施形態による第1及び第2絶縁層を含む半導体装置を示す図面である。図4及び図10を比較すれば、半導体装置は、抵抗変化層523と導電性ピラー524との間に、第1絶縁層525、及び導電性ピラー524内に埋め込まれた第2絶縁層526をさらに含んでもよい。第1絶縁層525及び第2絶縁層526の特性は前述したので、具体的な説明は省略する。
【0106】
図11Aないし図11G及び図12は、一実施形態による不揮発性メモリ装置を製造する方法を説明する参照図である。
【0107】
図11Aに示されたように、基板501に第1絶縁物質層810及び第2絶縁物質層820を交互に積層することができる。第1絶縁物質層810及び第2絶縁物質層820は、基板501の表面に対して垂直な方向に交互に積層される。第1及び第2絶縁物質層810、820は、互いに異なる物質でも形成される。第1及び第2絶縁物質層810、820は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物などを含むが、それらに限定されるものではない。
【0108】
図11Bに示されたように、第1及び第2絶縁物質層810、820を貫通するようにホール830を形成する。ここで、ホール830は、基板501の表面に対して垂直な方向に延びるように形成される。当該ホール830は、円形の断面を有するように形成される。当該ホール830は、第1絶縁物質層810及び第2絶縁物質層820を異方性エッチングすることによっても形成される。チャネルホールにより、基板501の表面が露出されうる。
【0109】
図11Cに示されたように、ホール830の内壁にゲート絶縁層521、半導体層522、抵抗変化層523及び導電性ピラー524を順次に形成することができる。ゲート絶縁層521は、基板501の表面に対して垂直な方向に延びるように形成される。ゲート絶縁層521は、第1及び第2絶縁物質層810、820と接するようにホール830の内壁に形成される。半導体層522は、ゲート絶縁層521の内部側面に接するように形成される。抵抗変化層523は、半導体層522の内部側面と、ホール830により露出された基板501の上部表面上に形成される。抵抗変化層523内に導電性ピラー524がさらに形成されてもよい。図11Cにおいて、導電性ピラー524が形成されるものと示しているが、それに限定されない。導電性ピラー524は、後述するゲート電極531の形成時に共に形成されることも可能である。
【0110】
図11Dに示されたように、第1及び第2絶縁物質層810、820を貫通する開口840を形成し、第2絶縁物質層820を除去して、ゲート絶縁層521を露出させることができる。第2絶縁物質層820は、ウェットエッチング工程によってもエッチングされる。
【0111】
図11Eに示されたように、第2絶縁物質層820が除去された領域にゲート電極531を形成することができる。ゲート電極531の形成時、導電性ピラー524も共に形成可能である。残っている第1絶縁物質層810は、絶縁素子532にもなる。ゲート電極531の形成時、導電性ピラー524も形成可能である。
【0112】
図11Fに示されたように、開口840により露出された基板501の上部に共通ソース領域510を形成することができる。共通ソース領域510は、例えば、リン(P)のようなn型不純物をドーピングすることによっても形成される。
【0113】
図11G及び図12に示されたように、導電性ピラー524上に第1ドレイン541を形成し、半導体層522上に第2ドレイン542を形成し、第1ドレイン541及び第2ドレイン542に接する第1ビットライン551及び第2ビットライン552を形成することができる。
【0114】
一実施形態によるメモリ装置は、選択メモリセル710の抵抗変化層523に水平方向の電場を形成することができる導電性ピラー524を含むので、半導体層522に印加される電圧の絶対値を減らすことができる。導電性ピラー524及び半導体層522に独立して電圧が印加されるので、メモリ装置の物性によって、印加される電圧を容易に調節することができる。
【0115】
図13は、一実施形態による不揮発性メモリ装置を含む電子装置1000を図式的に説明するブロック図である。
【0116】
図13を参照すれば、一実施形態による電子装置1000は、PDA、ラップトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、ウェブタブレット、無線電話機、携帯電話、デジタル音楽プレーヤー(digital music player)、有無線電子機器、またはそれらのうち少なくとも2つを含む複合電子装置のうち1つでもある。電子装置1000は、バス1010を介して互いに結合した制御器1020、キーパッド、キーボード、画面(display)のような入出力装置1030、メモリ1040及び無線インターフェース1050を含む。
【0117】
制御器1020は、例えば、1以上のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、またはそれと類似したものを含む。メモリ1040は、例えば、制御器1020により実行される命令語を保存するのにも使用される。
【0118】
メモリ1040は、ユーザデータを保存するのにも使用される。メモリ1040は、一実施形態による不揮発性メモリ装置のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0119】
電子装置1000は、RF信号で通信する無線通信ネットワークにデータを伝送するか、あるいはネットワークからデータを受信するために、無線インターフェース1050を使用することができる。例えば、無線インターフェース1050は、アンテナ、無線トランシーバなどを含んでもよい。電子装置1000は、CDMA、GSM、NADC、E-TDMA、WCDAM、CDMA2000のような三世代通信システムのような通信インターフェースプロトコルで使用可能である。
【0120】
図14は、一実施形態による不揮発性メモリ装置を含むメモリシステム1100を図式的に説明するブロック図である。
【0121】
図14を参照すれば、一実施形態による不揮発性メモリ装置は、メモリシステムを具現するために使用される。メモリシステム1100は、大容量のデータを保存するためのメモリ1110及びメモリコントローラ1120を含む。メモリコントローラ1120は、ホスト1130の読み取り/書き込み要請に応答して、メモリ1110から保存されたデータを読み取るか、あるいはメモリ1110にデータを書き込むようにメモリ1110を制御する。メモリコントローラ1120は、ホスト1130、例えば、モバイル機器またはコンピュータシステムから提供されるアドレスをメモリ1110の物理的なアドレスにマッピングするためのアドレスマッピングテーブル(Address mapping table)を構成することができる。メモリ1110は、一実施形態による半導体メモリ装置のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0122】
これまで説明した実施形態による不揮発性メモリ装置は、チップ形態に具現され、ニューロモルフィックコンピューティングプラットホームとしても使用される。例えば、図15は、実施形態によるメモリ装置を含むニューロモルフィック装置を概略的に示す。図15を参照すれば、ニューロモルフィック装置1200は、プロセッシング回路1210及び/またはメモリ1220を含む。ニューロモルフィック装置1200のメモリ1220は、実施形態によるメモリシステムを含む。
【0123】
プロセッシング回路1210は、ニューロモルフィック装置1200を駆動させるための機能を制御するように構成される。例えば、プロセッシング回路1210は、ニューロモルフィック装置1200のメモリ1220に保存されたプログラムを実行させることにより、ニューロモルフィック装置1200を制御することができる。
【0124】
プロセッシング回路1210は、論理回路のようなハードウェア、ソフトウェアを実行させるプロセッサのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、またはそれらの結合を含む。例えば、プロセッサは、中央処理ユニット(CPU:central processing unit)、グラフィック処理ユニット(GPU:graphics processing unit)、ニューロモルフィック装置1200内のアプリケーションプロセッサ(AP:application processor)、算術論理ユニット(ALU:arithmetic logic unit)、デジタルプロセッサ、マイクロコンピュータ、FPGA(field programmable gate array)、SoC(System-on-Chip)、プログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、ASIC(application-specific integrated circuit)などを含んでもよい。
【0125】
また、プロセッシング回路1210は、外部装置1230で多様なデータを読み書きし、そのデータを利用してニューロモルフィック装置1200を実行させることができる。外部装置1230は、外部のメモリ及び/またはイメージセンサ(例えば、CMOSイメージセンサ回路)を具備したセンサアレイを含んでもよい。
【0126】
図15に示されたニューロモルフィック装置1200は、マシンラーニングシステムにも適用される。マシンラーニングシステムは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:convolutional neural network)、逆畳み込みニューラルネットワーク(deconvolutional neural network)、長短期メモリ(long short-term memory:LSTM)及び/またはGRU(gated recurrent unit)を選択的に含む、リカレントニューラルネットワーク(RNN:recurrent neural network)、SNN(stacked neural network)、SSDNN(state-space dynamic neural network)、DBN(deep belief network)、GANs(generative adversarial networks)及び/またはRBM(restricted Boltzmann machines)などを含む多様な人工ニューラルネットワーク組織と処理モデルを活用することができる。
【0127】
そのようなマシンラーニングシステムは、例えば、線形回帰分析(linear regression)及び/またはロジスティクス回帰分析(logistic regression)、統計的クラスタリング(statistical clustering)、ベイズ分類(Bayesian classification)、決定木(decision trees)、主成分分析(principal component analysis)のような次元削減(dimensionality reduction)、及び専門家システムのような他の種類のマシンラーニングモデル、及び/またはランダムフォレスト(random forest)のようなアンサンブル技法を含むそれらの組み合わせを含む。そのようなマシンラーニングモデルは、例えば、映像分類サービス、生体情報または生体データに基づいたユーザ認証サービス、先進運転支援システム(ADAS:advanced driver assistance system)、音声アシスタントサービス(voice assistant service)、自動音声認識(ASR:automatic speech recognition)サービスのような多様なサービスを提供するのに使用され、他の電子装置に装着されて実行可能である。
【0128】
前述の不揮発性メモリ装置は、図面に示された実施形態を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当該分野において通常の知識を有する者であれば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。前述の説明において多くの事項が具体的に記載されているが、それらは、発明の範囲を限定するというより、具体的な実施形態の例示として解釈されなければならない。本発明の範囲は、前述の実施形態によって決まるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想によって決まらなければならない。
【符号の説明】
【0129】
501 基板
510 共通ソース領域
520 チャネル構造体
521 ゲート絶縁層
522 半導体層
523 抵抗変化層
524 導電性ピラー
525 第1絶縁層
526 第2絶縁層
531 ゲート電極
532 絶縁素子
541 第1ドレイン
542 第2ドレイン
551 第1ビットライン
552 第2ビットライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図12
図13
図14
図15