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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027109
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 9/30 20180101AFI20240221BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240221BHJP
   F21V 7/26 20180101ALI20240221BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240221BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240221BHJP
【FI】
F21V9/30
G02B5/20
F21V7/26
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132353
(22)【出願日】2023-08-15
(31)【優先権主張番号】10 2022 120 654.8
(32)【優先日】2022-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト ザイドル
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ハーゲマン
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H148AA07
2H148AA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】照射強度限界値付近での動作に最適化されている照明装置または光変換ユニットの提供。
【解決手段】照明装置(100)は、一次光(6)を放出するための光源(5)と光変換ユニット(200)とを含み、光変換ユニットは、光変換素子(1)によって形成され、光変換素子は、ランタノイドの群からの少なくとも1つの光学活性元素の成分を含む材料を含み、光変換素子は、前面と後面と前面から後面まで延在する厚さtとを有し、光変換素子は、一次光による自身の前面の照射、一次光の拡散反射、一次光の鏡面反射および一次光に対して変更された波長を有する二次光の拡散放出のために構成され、光変換ユニットは、比拡散反射率を有し、比拡散反射率は、光変換ユニットから放出された光束が、光変換ユニットの照射強度限界値において、少なくとも1つの光学活性元素の成分の変化に関連して最大で4mm-1、最大値から離れているように選択されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置(100)であって、前記照明装置(100)は、
一次光(6)を放出するための、特にレーザーまたは発光ダイオードとして形成された光源(5)と、
光変換ユニット(200)と、
を含んでおり、
前記光変換ユニット(200)は、光変換素子(1)によって形成されており、または、光変換素子(1)を含んでおり、前記光変換素子(1)は、ランタノイドの群からの、好ましくは、Ce、Eu、Pr、TbおよびSmから成る群から選択される、少なくとも1つの光学活性元素の成分を含む材料を含んでおり、前記光変換素子は、前面と、後面と、前記前面から前記後面まで延在する厚さtと、を有し、
前記光変換ユニット(200)は、任意選択的に、基板(3)によって形成されており、または、基板(3)を含んでおり、前記基板(3)は、前記光変換素子(1)の前記後面に直接的または間接的に結合されており、
前記光変換ユニット(200)は、任意選択的に、コネクタ(2)によって形成されており、または、コネクタ(2)を含んでおり、前記コネクタ(2)は、前記光変換素子(1)と前記基板(3)との間に存在しており、
前記光変換素子(1)は、一次光(I)による自身の前面の照射、一次光(IREM)の拡散反射、一次光(IFRE)の鏡面反射および前記一次光に対して変更された波長を有する二次光(IEM)の拡散放出のために構成されており、
前記光変換ユニット(200)は、比拡散反射率SDR=t-1・IREM/(I-IFRE)を有しており、前記比拡散反射率は、前記光変換ユニット(200)から放出された光束が、前記光変換ユニットの照射強度限界値において、前記少なくとも1つの光学活性元素の前記成分の変化に関連して、最大で4mm-1、好ましくは最大で3.5mm-1、特に好ましくは最大で3mm-1、最大値から離れているように選択されている、
照明装置(100)。
【請求項2】
前記光変換ユニットの前記比拡散反射率SDRは、前記光変換ユニットから放出された前記光束が、前記光変換ユニットの前記照射強度限界値において、前記少なくとも1つの光学活性元素の前記成分の変化に関連して、少なくとも0.25mm-1、好ましくは少なくとも0.5mm-1、特に好ましくは少なくとも0.75mm-1、最大値から離れているように選択されている、
請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記光変換ユニットは、0.1mm-1を超える、好適には0.3mm-1を超える、特に好ましくは0.5mm-1を超える、さらに好ましくは0.7mm-1を超える、さらに好ましくは0.8mm-1を超える比拡散反射率SDRを有する、
請求項1または2記載の照明装置。
【請求項4】
前記光変換ユニットは、7mm-1未満、好適には5mm-1未満、特に好ましくは3mm-1未満、さらに好ましくは2.5mm-1未満、さらに好ましくは2mm-1未満の比拡散反射率SDRを有する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項5】
前記光変換ユニットは、少なくとも1つの高反射性層もしくは高反射性コーティングを有し、前記高反射性層もしくは高反射性コーティングは、好適には金属層もしくは金属コーティングおよび/または金属含有層もしくは金属含有コーディングおよび/または誘電体層もしくは誘電体コーティングであり、特に好ましくはAg層もしくはAg含有層またはAgコーティングもしくはAg含有コーティングである、
請求項1から4までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項6】
前記光変換ユニットは、好適には、前記少なくとも1つの高反射性層と前記光変換素子の前記後面との間に存在する少なくとも1つの光学分離層を含み、前記少なくとも1つの光学分離層は、好適には、透明であり、かつ/または、前記光変換素子の屈折率よりも低い屈折率を有し、前記少なくとも1つの光学分離層は、好適にはSiOを含みまたはSiOから成り、
前記光学分離層は、好適には5μm未満、好ましくは0.5~1.5μmの範囲における、特に好ましくは0.8~1.2μmの範囲における厚さを有する、
請求項5記載の照明装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの高反射性層の下に、好適には、TiO、Y、La、SnOから成る群から選択される1種類または複数の種類の酸化物、好ましくはYを含むまたはそれから成る、接着促進剤層が存在する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項8】
前記コネクタは、有機接着剤、少なくとも1種類のガラス、少なくとも1種類のセラミック接着剤、少なくとも1種類の無機接着剤、少なくとも1種類の焼結された焼結ペーストおよび/または少なくとも1種類の金属はんだ化合物として形成されている、
請求項1から7までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項9】
特に剪断試験によって求めることができる、前記基板上の前記光変換素子の接着強度は、1MPaを超える、好ましくは10MPaを超える、特に好ましくは50MPaを超える、
請求項1から8までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項10】
前記光変換素子は、250μm以下、好ましくは170μm以下、特に好ましくは115μm以下、さらに好ましくは90μm以下の厚さを有する、
請求項1から9までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項11】
前記基板は、少なくとも1種類のセラミックス、少なくとも1種類の金属または少なくとも1種類のセラミックス金属複合体を含んでおり、好ましくは、金属、特に好ましくしはCuもしくはAlを含んでおり、かつ/または、30W/mKを超える、好適には100W/mKを超える、さらに好ましくは150W/mKを超える、さらに好ましくは350W/mKを超える熱伝導率を有する、
請求項1から10までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項12】
前記光変換素子は、完全にまたは大部分が、組成物(A1-y12の1つ以上の材料から成り、ここで、Aは元素Y、Lu、Gdの1つ以上から成り、Bは元素Al、Gaの1つ以上から成り、Cはランタノイドの1つ以上の光学活性元素、好適にはCeから成る、
請求項1から11までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項13】
前記光変換素子の材料は、完全にまたは部分的に、セラミックスである、
請求項1から12までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項14】
前記光変換素子は、組成物(A1-y12の1つ以上の材料から成る第1の成分を含み、Aは元素Y、Lu、Gdの1つ以上から成り、Bは元素Al、Gaの1つ以上から成り、Cはランタノイドの1つ以上の元素、好適にはCeから成り、
前記光変換素子は、第2の成分を含み、前記第2の成分は、比較的高い熱伝導率を有する材料、好適にはAlから成り、
前記光変換素子は、好適には、前記第1の成分および前記第2の成分のみから成る、
請求項1から13までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項15】
前記光変換素子の前記材料は、細孔もしくは他の光散乱作用を有する含有物または粒子を含む、
請求項1から14までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項16】
90μm以下の前記光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の、600nmの波長に対して有効な、前記光変換素子の散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の、室温に対して有効な、前記光変換素子の熱伝導率λと、
eff>0.0125at%、好ましくは0.50at%>yeff>0.0125at%、特に好ましくは0.20at%>yeff>0.0125at%の、前記光変換素子のCe含有量yと、
を特徴とする、
請求項1から15までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項17】
170μm以下の前記光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の、600nmの波長に対して有効な、前記光変換素子の散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.25at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.15at%>yeff>0.025at%の、前記光変換素子のCe含有量yと、
を特徴とする、
請求項1から16までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項18】
170μm以下の前記光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の、600nmの波長に対して有効な、前記光変換素子の散乱係数sと、
色温度4000K<CCT<5500Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.50at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.35at%>yeff>0.025at%の、前記光変換素子のCe含有量yと、
を特徴とする、
請求項1から17までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項19】
光変換ユニット(200)であって、
前記光変換ユニット(200)は、光変換素子(1)によって形成されており、または、光変換素子(1)を含んでおり、前記光変換素子(1)は、ランタノイドの群からの、好ましくは、Ce、Eu、Pr、TbおよびSmから成る群から選択される、少なくとも1つの光学活性元素の成分を含む材料を含んでおり、前記光変換素子は、前面と、後面と、前記前面から前記後面まで延在する厚さtと、を有し、
前記光変換ユニット(200)は、任意選択的に、基板(3)によって形成されており、または、基板(3)を含んでおり、前記基板(3)は、前記光変換素子(1)の前記後面に直接的または間接的に結合されており、
前記光変換ユニット(200)は、任意選択的に、コネクタ(2)によって形成されており、または、コネクタ(2)を含んでおり、前記コネクタ(2)は、前記光変換素子(1)と前記基板(3)との間に存在しており、
前記光変換素子(1)は、一次光(I)による自身の前面の照射、一次光(IREM)の拡散反射、一次光(IFRE)の鏡面反射および前記一次光に対して変更された波長を有する二次光(IEM)の放出のために構成されており、
前記光変換ユニット(200)は、比拡散反射率SDR=t-1・IREM/(I-IFRE)を有しており、前記比拡散反射率は、前記光変換ユニット(200)から放出された光束が、前記光変換ユニットの照射強度限界値において、前記少なくとも1つの光学活性元素の前記成分の変化に関連して、最大で4mm-1、好ましくは最大で3.5mm-1、特に好ましくは最大で3mm-1、最大値から離れているように選択されている、
光変換ユニット(200)。
【請求項20】
請求項1から18までのいずれか1項記載の照明装置(100)または請求項19記載の光変換ユニット(200)の使用であって、
前記光変換ユニットは、50%未満、好適には30%未満、特に好ましくは10%未満の、前記光変換ユニットの照射強度限界値に対する間隔で動作し、かつ/または
前記光変換ユニット(200)は、5%を超える、好適には10%を超える、特に好ましくは15%を超える、前記光変換ユニットの照射強度限界値に対する間隔で動作する、
照明装置(100)または光変換ユニット(200)の使用。
【請求項21】
光変換素子(1)と、任意選択的に基板(3)と、任意選択的にコネクタ(2)と、を有する光変換ユニット(200)の比拡散反射率SDRを決定する方法であって、前記方法は、
一次光(I)で前記光変換素子の前面を照射するステップであって、前記一次光の照射強度は、前記照射強度の変化時に、前記光変換ユニット(200)から放出された光束が厳密に線形に、前記照射強度に伴って増加するように、特に小さく選択されているステップと、
一次光(IREM)の拡散反射および一次光(IFRE)の鏡面反射を測定するステップと、
前記光変換素子の厚さtを測定するまたは決定するステップと、
前記比拡散反射率を式SDR=t-1・IREM/(I-IFRE)に従って計算するステップと、
を含んでいる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次光を放出するための光源と、一次光を受光し、一次光に対して変更された波長を有する二次光を放出する光変換素子と、を有する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以降で変換器とも称される公知の光変換素子、特に、照明装置または対応する構成要素のためのセラミック変換器もしくはセラミックコンポーネントは、通常、中程度で放射されるレーザー出力密度(中程度の放射照度)のもとで、高い有効性もしくは効率に合わせて最適化されている。典型的には、低いレーザー出力もしくは出力密度のもとで、指定された光学特性値が求められる:すなわち、効率、「放出色座標(emission color coordinates)」が求められ、白色光源の場合には「フルカラー座標(full color coordinates)」も求められる。しかし、いくつかの使用例において、これらの構成要素は格段に高いレーザー出力もしくは出力密度(放射照度)のもとで動作する。
【0003】
放出された光出力もしくは放出された光束は、照射強度(放射照度)が増すにつれて、まずは線形に増加し、その後で平坦になり、最終的には急速に降下する。可能な照射強度の最大値、すなわち照射強度限界値は、「放射照度限界値」とも称され、この点よりも高い、放出された光出力もしくは光束は不可能である。この点において構成要素が完全には動作していない場合でも、高い「放射照度限界値」は、基本的に、比較的高い照射強度まで到達することが可能であり、ひいては比較的高い「光出力」を達成することが可能であることを示している。
【0004】
しかし驚くべきことに、中程度のレーザー出力のもとで高い有効性から最適な有効性(または高い効率もしくは光出力もしくは光束から最適な効率もしくは光出力もしくは光束)までを有する変換器材料もしくは構成要素は、動作時に、「放射照度限界値」近くでは、もはや最適に作動しないことが見出された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、高い照射強度のもとでの動作、特に、照射強度限界値付近での動作に最適化されている、照明装置もしくは照明装置のための光変換ユニットを提供することである。本発明の課題の1つの態様は、高い光収率を顧慮して最適化を行うことである。本発明の課題の別の態様は、高い光収率と高い効率との良好な妥協を顧慮して最適化を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明は、一次光を放出するための、特にレーザーまたは発光ダイオードとして形成された、好ましくはレーザーとして形成された光源と、光変換ユニットと、を含んでいる照明装置を開示しており、光変換ユニットは、光変換素子によって形成されており、または光変換素子を含んでおり、任意選択的に、基板によって形成されており、または基板を含んでおり、任意選択的に、コネクタによって形成されており、またはコネクタを含んでいる。
【0007】
光変換素子は、特にランタノイドの群からの少なくとも1つの光学活性元素の成分を含む材料を含んでいる。
【0008】
好ましくは、光変換素子は、Ce、Eu、Pr、TbおよびSmから成る群から選択される少なくとも1つの要素を含む少なくとも1つの材料を含んでいる。
【0009】
光変換素子は、前面と、後面と、前面から後面まで延在する厚さtと、を有する。
【0010】
任意選択的な基板は、光変換素子の後面に直接的または間接的に結合されており、好適には冷却体として形成されている。
【0011】
任意選択的なコネクタは、光変換素子と基板との間に存在し、好適には有機接着剤、ガラス、セラミック接着剤、無機接着剤、焼結された焼結ペーストおよび/または金属はんだ化合物として、好適には金属はんだ化合物または焼結された焼結ペーストとして、好ましくは金属はんだ化合物として形成されている。
【0012】
光変換素子は、一次光(I)による自身の前面の照射、一次光(IREM)の拡散反射、一次光(IFRE)の鏡面反射および一次光に対して変更された波長を有する二次光(IEM)の拡散放出のために構成されている。
【0013】
一次光は、表面で部分的に正反射させられ、さらに、部分的に変換器内に侵入し、そこで部分的に後方散乱(反射)させられ、部分的に変換され、二次光として拡散(放出)される。二次光という用語は、特に、変換が起こったことを表す。
【0014】
つまり、指向性の正反射とも称される鏡面反射は、この関連において、ミラーリングまたはフレネル反射の現象を意味する。ここでは、入射光、すなわち一次光が、対象物(ここでは、任意選択的に反射防止コーティングが施されている光変換素子)の表面で正反射させられる。これとは対照的に、一次光の拡散反射は、一次光の非指向性の後方散乱に関連する。
【0015】
光変換ユニットは、特に、比拡散反射率SDR=t-1・IREM/(I-IFRE)を有し、この比拡散反射率は、光変換ユニットから放出された光束が、光変換ユニットの照射強度限界値において、少なくとも1つの光学活性元素の成分の変化に関連して、最大で4mm-1、好ましくは最大で3.5mm-1、特に好ましくは最大で3mm-1、最大値から離れているように選択されている。
【0016】
比拡散反射率(SDR)は、さらに以降でより詳細に説明するように、光変換ユニットの実験によって測定可能な部品特性である。比拡散反射率(SDR)は、特に、比拡散青色反射率(SDBR)とも称され得る。これらの用語は、本出願の範囲においては特に同義に使用される。
【0017】
比拡散反射率(SDR)は、特に、照射強度の変化時に、光変換ユニットから放出された光束が照射強度に伴って線形に増加する、かつ/または照射および変換と結び付けられた加熱によって吸収ならびに変換が実質的に変化しないほど小さい一次光(I)の照射強度のもとで規定されている。比拡散反射率(SDR)は、例えば、1W/mm未満または10-1W/mm未満または10-2W/mm未満の照射強度に対して規定されていてよい。したがって、比拡散反射率は、特に、低い出力に対して規定されており、照射強度限界値において規定されていない。これについては以降でより詳細に説明する。
【0018】
この課題の解決手段は、有利には、光変換ユニットの動作の様式(CWまたはパルス状の青色入射レーザービーム、ヒートシンク上の静的部品としての光変換素子または動的な用途における「ホイール上のリング」としての光変換素子)とは無関係に有効である。
【0019】
本発明の発展形態では、光変換ユニットの比拡散反射率SDRは、光変換ユニットから放出された光束が、光変換ユニットの照射強度限界値において、少なくとも1つの光学活性元素の成分の変化に関連して、少なくとも0.25mm-1、好ましくは少なくとも0.5mm-1、特に好ましくは少なくとも0.75mm-1、最大値から離れているように選択されていてよい。
【0020】
これによって、特に、以降でより詳細に説明されるように、高い光収率と高い効率との良好な妥協を顧慮して最適化を行うことができる。
【0021】
光変換ユニットは、特に、0.1mm-1を超える、好適には0.3mm-1を超える、特に好ましくは0.5mm-1を超える、さらに好ましくは0.7mm-1を超える、さらに好ましくは0.8mm-1を超える比拡散反射率SDR=t-1・IREM/(I-IFRE)を有する。
【0022】
本発明の発展形態では、光変換ユニットは、7mm-1未満、好適には5mm-1未満、特に好ましくは3mm-1未満、さらに好ましくは2.5mm-1未満、さらに好ましくは2mm-1未満の比拡散反射率SDRを有する。
【0023】
これによって同様に、特に、以降でより詳細に説明されるように、高い光収率と高い効率との良好な妥協を顧慮して最適化を行うことができる。
【0024】
光変換ユニットが、少なくとも1つの高反射性層もしくは高反射性コーティングを有し、ここで、この高反射性層もしくは高反射性コーティングが、好適には金属層もしくは金属コーティングおよび/または誘電体層もしくは誘電体コーティングであり、特に好ましくはAg層もしくはAg含有層またはAgコーティングもしくはAg含有コーティングであることが想定されていてよい。
【0025】
例えば、光変換素子が、自身の後面に、好適にはAgを有するまたはAgから構成される、特に金属製のミラーリング層を、特に、光変換素子の後面がミラーリング層でコーティングされるように有しており、ここで、ミラーリング層が、好適には、蒸着、スパッタリング(薄膜)、または印刷(厚膜)によって、光変換素子の後面に被着されていることが想定されていてよい。
【0026】
一実施形態では、光変換素子は、薄膜であるミラーリング層を有する。好適には、薄膜は、Agを含むもしくはAgから成り、かつ/または50nm~500nm、好ましくは100nm~350nm、さらに好ましくは125nm~300nm、特に好ましくは150nm~250nmの層厚を有する。いくつかの実施形態では、光変換素子は、Agを含むまたはAgから成る薄膜ならびにAuを含むまたはAuから成る、さらなる薄膜を有する。好適には、さらなる薄膜は、蒸着またはスパッタリングを用いて被着される。好適には、Auを含むまたはAuから成る薄膜は50nm~500nm、好ましくは100nm~350nm、さらに好ましくは125nm~300nm、特に好ましくは150nm~250nmの層厚を有する。Auを含むまたはAuから成る薄膜を、Agを含むまたはAgから成るミラーリング層を酸化反応から保護するために用いることができ、この酸化反応はとりわけ、例えば光変換素子を基板に結合する、例えば焼結ペーストに結合する際に占有し得る比較的高い温度で生じる。
【0027】
一実施形態では、光変換素子は、Ag含有厚膜であるミラーリング層を有する。好適には、厚膜は、1μm~25μm、好ましくは5μm~20μm、特に好ましくは10μm~15μmの層厚を有する。
【0028】
光変換素子の後面は、代替的または付加的に、特に、最大反射に合わせて最適化されている誘電体層系で鏡面化されていてよい。
【0029】
誘電体層系は、好適には外側が金属製のミラーリング層によって封止されていてよい。これに相応に、層列は、変換器素子-誘電体層系-金属製ミラー層である。
【0030】
光変換素子の後面上の高反射性コーティングに対して代替的または付加的に、光変換素子の後面はミラーに結合されていてよく、好適にはAgミラーまたは銀メッキされた基板に結合されていてよく、ここで、ミラーは、好適には高反射性層を形成する、かつ/または基板によって形成されているもしくは基板上に被着されている。
【0031】
光変換ユニットが、好適には、少なくとも1つの高反射性層と光変換素子の後面との間に存在する少なくとも1つの光学分離層を含み、ここで、少なくとも1つの光学分離層が、好適には、透明であり、かつ/または光変換素子の屈折率よりも低い屈折率を有し、ここで、少なくとも1つの光学分離層が、好適にはSiOを含むまたはSiOから成ることが想定されていてよい。
【0032】
光学分離層は、好適には5μm未満、好ましくは3μm未満、好ましくは0.5~1.5μmの範囲における、特に好ましくは0.8~1.2μmの範囲における厚さを有する。
【0033】
光学分離層を、変換器後面における、変換器後面に達する二次光の反射、場合によっては全反射を、高反射性層、特に金属製ミラーにおける、変換器後面を通過する二次光の成分の反射から分離するために用いることができる。
【0034】
少なくとも1つの高反射性層、好ましくは金属コーティングまたは金属含有コーティングと光学分離層との間に、好適には、SnO、TiO、YおよびLaから成る群から選択される1種類または複数の種類の酸化物、好ましくはYを含むまたはそれから成る、透明な接着促進剤層が存在することが想定されていてよい。接着促進剤層は、好適には、1nm以上、かつ/または100nm未満、好ましくは75nm未満、さらに好ましくは50nm未満、好ましくは35nm未満、特に好ましくは20nm未満の厚さを有する。
【0035】
コネクタは、少なくとも1種類の有機接着剤、少なくとも1種類のガラス、少なくとも1種類のセラミック接着剤、少なくとも1種類の無機接着剤、少なくとも1種類の焼結された焼結ペーストおよび/または少なくとも1種類の金属はんだ化合物であり得る。
【0036】
好適には、焼結された焼結ペースト、例えば900℃を超える融点を有する純粋なAgが想定されている。
【0037】
好適には、300℃を下回る融点を有するはんだが想定されている。
【0038】
好適には、以降でさらに詳細に説明するように、Au/Snはんだおよび/もしくはAuSn8020を含む、またはAu/Snはんだおよび/もしくはAuSn8020から成るはんだが想定されている。
【0039】
コネクタは、特に結合層として形成されていてよい。
【0040】
好ましい実施形態では、結合層は、少なくとも1種類の接着剤から形成される。適切な接着剤は、例えば、温度耐性、熱伝導率、透明性および硬化挙動に関して、各変換器の特定の用途および特定の構造に適した特性を有する有機接着剤である。
【0041】
好ましい実施形態では、これは、充填エポキシ樹脂および充填シリコーンならびに非充填エポキシ樹脂および非充填シリコーンである。接着剤ベースの結合層は、典型的には5~70μm、好ましくは10~60μm、さらに好ましくは20~50μm、特に好ましくは30~50μmの層厚を有する。
【0042】
別の好ましい実施形態では、結合層は、好ましくはソルダーガラスまたは薄板ガラスから選択されるガラスである。
【0043】
ソルダーガラスは、特に、750℃以下、好ましくは560℃以下の比較的低い軟化温度の特殊ガラスである。基本的に、ガラスはんだを様々な形態で、例えば、粉末として、液状媒体中のペーストとして、またはマトリクス中に埋設されたペーストとして使用することができ、これが変換器基板または変換器コンポーネント上に塗布される。この塗布を、ストランドの付与によって、スクリーン印刷によって、噴霧によってまたは固められていない粉末の形で行うことができる。続いて、変換器の個々のコンポーネントを継ぎ合わせる。
【0044】
好ましい実施形態では、ガラス粉末、例えば、PbOガラス、Bi2O3ガラス、ZnOガラス、SO3ガラス、B2O3ガラスまたはケイ酸塩系ガラス、特に好ましくはケイ酸塩系ガラスを含むペーストが使用される。
【0045】
本出願の趣旨での薄板ガラスは、50μm以下の最大厚さと、750℃以下、好ましくは560℃以下の軟化温度と、を有する薄板ガラスである。そのようなガラスを、変換器コンポーネントと変換器基板との間に配置し、十分に高い温度および十分に高い圧力のもとで互いに押し付けることができる。適切な薄板ガラスは、とりわけ、例えばSCHOTTのD263(登録商標)として入手されるホウケイ酸ガラスである。
【0046】
ガラスをベースとする結合層は、例えば、15~70μm、好ましくは20~60μm、特に好ましくは30~50μmの層厚を有する。
【0047】
別の実施形態では、光変換素子は、セラミック接着剤を介して基板に結合されている。
【0048】
そのようなセラミック接着剤は、典型的には有機構成要素をほぼ含まず、かつ高い温度耐性を有する。好ましくは、結果として生じる結合層の熱膨張係数および機械的特性、例えばヤング率が、基板および/または変換器の対応する特性に適合するように、セラミック接着剤が選択される。
【0049】
適切なセラミック接着剤は、例えば無機の、好ましくは粉末状の固体と、液状媒体、好ましくは水とから製造される。無機の固体は、例えば、MgOベース、SiOベース、TiOベース、ZrOベースおよび/またはAlベースの固体であり得る。好ましくは、これはSiOベースの固体および/またはAlベースの固体であり、特に好ましくはAlベースの固体である。粉末状固体は、付加的に、例えば、セラミック接着剤の凝結を促進するさらなる粉末状コンポーネントを含んでいてよい。これは、例えば、ホウ酸、ホウ酸塩またはケイ酸ナトリウムなどのケイ酸アルカリであり得る。
【0050】
セラミック接着剤は、例えば、使用直前に、粉末状固体と水とから混ぜ合わせられてよく、室温において硬化する。
【0051】
ここで、固体は、好ましくは、1~100μm、好ましくは10~50μmの平均粒径d50を有する。好ましくは、セラミック接着剤は、5~15×10-6 1/K、特に好ましくは6~10×10-6 1/Kの熱膨張係数を有する。適切なセラミック接着剤は、例えば、Resbond 920またはResbond 940 HT(Polytec PT GmbH)から製造される。
【0052】
セラミック接着剤ベースの結合層は、例えば50~500μm、好ましくは100~350μm、特に好ましくは150~300μmの層厚を有する。
【0053】
有利な実施形態では、コネクタは、好適には2つ以上の金属から成る合金を含む金属はんだである。適切な金属はんだ化合物は、光変換ユニットの個々の構成要素の融点および/もしくは分解点よりも低い融点を有する、かつ/またははんだにおいて、動作中に到達する、光変換素子の最高温度よりも高い融点を有する。金属はんだ化合物の融点は、好ましくは150℃~450℃、さらに好ましくは180℃~320℃、特に好ましくは200℃~300℃にある。適切な金属はんだコネクタは、例えば、銀はんだおよび金はんだであり、好ましくはAg/Snはんだ、Ag/AuはんだおよびAu/Snはんだ、特に好ましくはAu/Snはんだ、例えばAuSn8020である。
【0054】
コネクタは、300℃未満の融点を有する金属はんだとして形成されていてよく、ここでこのはんだは好適には、Au/Snはんだおよび/もしくはAuSn8020を含んでいるまたはそれらから成っている。
【0055】
コネクタは、焼結された焼結ペーストとして形成されていてよく、好適にはAg含有焼結ペーストとして形成されていてよい。
【0056】
好適には、焼結された焼結ペーストは、1μm~50μm、好適には5μm~40μm、好ましくは10μm~30μm、特に好ましくは15μm~25μmの層厚を有する。
【0057】
好適には、焼結された焼結ペーストは、少なくとも50W/mK、好ましくは少なくとも100W/mK、特に好ましくは少なくとも150W/mKの熱伝導率を有する。
【0058】
特に、コネクタが、焼結された焼結ペーストである実施形態では、有利には、光変換素子の表面と、相互に結合されている基板の表面とはコーティングを有する。好適には、光変換素子には、Ag含有薄膜が設けられており、任意選択的に付加的に、Au含有薄膜が設けられている、またはCu含有薄膜もしくはAg含有厚膜がコーティングされている。Ag含有薄膜およびAu含有薄膜およびAg含有厚膜の好ましい実施形態は、先に記載されており、ここで相応に当てはまる。有利な実施形態においては、基板の表面がコーティングを有し、ここでは、コーティングは、好適にはAu含有コーティングおよび/またはNiPコーティングである。好適には、基板の表面にNiP層が設けられており、ここでは、NiP層は、好適には1μm~10μm、好適には3μm~7μmの層厚を有し、かつ/またはAu層は、好適には50nm~500nm、好適には100nm~400nm、好ましくは150nm~300nmの層厚を有する。
【0059】
コネクタが焼結された焼結ペーストである実施形態では、光変換素子と基板との結合は、
a)基板と光変換素子とを提供するステップ、
b)焼結ペーストを、基板の表面の少なくとも一部上かつ/または光変換素子の表面の少なくとも一部上に被着するステップ、
c)基板の表面と光変換素子の表面とを接触させるステップであって、ここで、基板の表面の少なくとも一部および/または光変換素子の表面の少なくとも一部は焼結ペーストによって覆われている、ステップ、
d)ステップc)で得られた複合体を焼結するステップ
に従って行われる。
【0060】
この方法のステップa)では、基板と光変換素子とが提供される。好適には、基板の表面および/または光変換素子の表面は、上記でより詳細に説明されたコーティングを有する。
【0061】
ステップb)では、基板の表面の少なくとも一部上かつ/または光変換素子の表面の少なくとも一部上に焼結ペーストが被着される。好適には、基板の少なくとも一部上に焼結ペーストが塗布される。典型的には、焼結ペーストの量の計量供給は、焼結ステップd)の後に、焼結された焼結ペーストが、1μm~50μm、好適には5μm~40μm、好ましくは10μm~30μm、特に好ましくは15μm~25μmの層厚を有するように行われる。
【0062】
ステップc)では、基板の表面と光変換素子の表面とが相互に接触させられ、ここで、基板の表面の少なくとも一部および/または光変換素子の表面の少なくとも一部は焼結ペーストによって覆われている。好適には、光変換素子の表面が基板の表面の一部と接触させられ、ここで、基板の表面の一部は、少なくとも部分的に焼結ペーストによって覆われている。有利には、この接触は、好適には少なくとも15mN/mm、好ましくは30mN/mmを超える、特に好ましくは60mN/mmを超える圧力を使用して行われる。
【0063】
ステップd)において、ステップc)で得られた複合体の焼結を行う。この焼結は、酸素含有雰囲気下でもしくは空気中で、または保護ガス雰囲気下で、特にN雰囲気もしくはAr雰囲気中で行われてよい。この焼結は、180℃~300℃の範囲における温度で行われる。
【0064】
好適には、焼結ペーストは、300℃以下、好適には280℃以下、好ましくは250℃以下の焼結温度を有する。好適には、焼結は、複合体を所望の焼結温度に加熱することによって行われ、ここで、有利には第1のステップにおいて、第1の温度まで、好適には少なくとも0.5K/minで、好ましくは少なくとも0.75K/minで、かつ/または3K/min以下で、好ましくは2K/min以下で加熱が行われる。好適には、第1の温度は、70℃~120℃、好適には80℃~105℃の範囲にある。好適には、第1の温度に達した後、この温度は、1分~60分にわたって、好適には5分~45分にわたって、好ましくは20分~40分にわたって保たれる。次に好適には、第2のステップにおいて、複合体が第2の温度まで、好適には少なくとも1.0K/minで、好適には少なくとも1.5K/minで、かつ/または3.5K/min以下で、好ましくは3K/min以下で加熱される。好適には、第2の温度は、180℃~300℃、好適には200℃~280℃の範囲にあり、焼結温度に相応する。好適には、第2の温度もしくは焼結温度に達した後、この温度は、少なくとも10分、好ましくは少なくとも20分もしくは少なくとも30分かつ/または60分以下、好ましくは50分以下もしくは40分以下、保たれる。続いて、複合体が好適には室温に冷却される。
【0065】
光変換素子が後面でミラーに結合されており、好適にはAgミラーまたは銀メッキされた基板に結合されており、ミラーが好適には基板によって形成されているまたは基板上に被着されている実施形態では、ミラーまたは鏡面化された基板と光変換素子との間にコネクタが存在し、コネクタが好適には、光学的に透明な有機接着剤もしくは無機接着剤を有し、または光学的に透明な有機接着剤もしくは無機接着剤から成り、かつ/または光変換素子の屈折率よりも低い屈折率を有する透明な材料、好ましくは、光変換素子の屈折率よりも低い屈折率を有する光学的に透明な有機接着剤から成り、ここで、コネクタが、好適には30μm以下の範囲、好ましくは10~20μmの範囲における厚さを有することが想定されていてよい。
【0066】
光変換素子の、入射光に面する表面に、部分的または完全に、単層または多層の反射防止コーティングが設けられていることが想定されていてよい。
【0067】
特にMIL-STD-883F、試験2019.7による剪断試験によって求めることができる、基板上の光変換素子の接着強度が、1MPaを超える、好ましくは10MPaを超える、特に好ましくは50MPaを超えることが想定されていてよい。このために、例えば有機接着剤もしくは無機接着剤、Ag焼結ペーストおよび/またははんだ付けが考慮の対象になり得る。
【0068】
特に光変換素子は、250μm以下、好ましくは170μm以下、特に好ましくは115μm以下、さらに好ましくは90μm以下の厚さを有する。厚さが80μm以下であることが想定されていてもよい。さらに、厚さが30μm以上、特に50μm以上、特に60μm以上であることが想定されてよい。
【0069】
さらに、光変換素子が、コネクタ込みで、280μm以下、好ましくは200μm以下、特に好ましくは145μm以下、さらに好ましくは120μm以下の厚さを有し、かつ/またはここでコネクタが最大で30μmの厚さを有することが想定されていてよい。
【0070】
光変換素子が、100mm以下、好ましくは25mm以下、特に16mm以下、特に9mm以下、特に4mm以下、特に1mm以下、特に0.75mm以下の面積を有することが想定されていてよい。
【0071】
光変換素子は、3未満、好ましくは2未満、特に好ましくは1未満の、長さ対幅の比率を有し得る。これは、特に、静的な用途(例えば「ヒートシンク上のダイ」)に当てはまる。
【0072】
光変換素子は、好適には20~200mm、特に好ましくは35~88mmの外径を伴って、リング状に形成されていてよい。これは、特に、動的な用途(例えば「カラーホイール」)に当てはまる。リング状に形成された光変換素子は、リング状または部分的にリング状に形成された複数のリングセグメントから成っていてもよい。
【0073】
基板は、完全にまたは大部分が、30W/mKを超える、好適には100W/mKを超える、さらに好ましくは150W/mKを超える、さらに好ましくは350W/mKを超える熱伝導率を有する材料から成っていてよい。
【0074】
好適には、基板は、少なくとも1種類のセラミックスおよび/または少なくとも1種類の金属および/または少なくとも1種類のセラミックス金属複合体を含む。特に好ましくは、基板は、好適にはCu、Al、FeまたはNiから選択される少なくとも1種類の金属、特にCu、例えばNi-PコーティングされたCuおよび/もしくはAuコーティングされたCuを含む。
【0075】
好適には、基板は、少なくとも、光変換素子のような横方向寸法を有する。
【0076】
光変換素子は、完全にまたは大部分が、組成物(A1-y12の1つ以上の材料から成ってよく、ここで、Aは元素Y、Lu、Gdの1つ以上から成り、Bは元素Al、Gaの1つ以上から成り、CはCe、Eu、Pr、TbおよびSmから成る群から選択される1つ以上の光学活性元素、好適にはCeから成る。
【0077】
光変換素子の材料は、完全にまたは部分的に、以降ではオプトセラミックスとも称されるセラミックスであってよい。
【0078】
光変換素子は、完全にまたは大部分が、組成物(A1-y12の材料から成ってよく、ここで、Aは元素Y、Lu、Gdの1つ以上から成り、Bは元素Al、Gaの1つ以上から成り、Cはランタノイドの1つ以上の元素、好適にはCeから成る。
【0079】
さらに、光変換素子が、組成物(A1-y12の1つ以上の材料から成る第1の成分を含み、ここで、Aが元素Y、Lu、Gdの1つ以上から成り、Bが元素Al、Gaの1つ以上から成り、Cがランタノイドの1つ以上の元素、好適にはCeから成り、ここで、光変換素子が第2の成分を含み、この第2の成分が、比較的高い熱伝導率を有する材料、好適にはAlから成り、ここで、光変換素子が、好適には、上述の第1の成分および第2の成分のみから成ることが想定されていてよい。
【0080】
一実施形態では、光変換素子の材料は、細孔もしくは他の光散乱作用を有する含有物または粒子を含む。
【0081】
有利には、光変換素子の材料は、単相の多孔質のオプトセラミックスであり、ここでは、オプトセラミックスの密度は、好ましくは<99%、さらに好ましくは<97%、かつ/または好ましくは>90%、さらに好ましくは>93%である。細孔、特に横断面に存在する細孔の直径の中央値は、好ましくは100nm~3000nm、好適には300nm~1500nm、特に好ましくは400nm~1200nmである。
【0082】
中央値は、データセットもしくはランダムサンプルまたは分布、この場合には例えば横断面に存在する細孔の直径を、これらの値、すなわち細孔の直径が、一方の半部において中央値より大きくなく、かつ他方の半部において中央値より小さくないように、2つの同じ大きさの部分に分割する。
【0083】
次に、いくつかの好ましい実施形態を挙げる。ここでは、光変換素子は、特に部分的または完全に、組成物(A1-y12の1つ以上の材料から成り、ここで、Aは元素Y、Lu、Gdの1つ以上から成り、Bは元素Al、Gaの1つ以上から成り、Cはランタノイドの1つ以上の元素、好適にはCeから成り、これは、光変換素子が、部分的にのみそれらから成り、特に別の部分に関しては、より高い熱伝導率を有する材料、好適にはAlから成る、またはそのような部分を含む場合である。
【0084】
特に、次の実施形態は、ガーネット材料クラスに限定されず、特に、反射させられた青色光をターゲットにしているのではなく、または反射させられた青色光をそれほどターゲットにしているのではなく、比較的長い波長を有するスペクトル成分、例えば緑色および赤色をターゲットにしている用途、すなわち、特に、投影分野での用途に対して有効である。
【0085】
一実施形態は、
90μm以下の光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の、600nmの波長に対して有効な、光変換素子の散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の、室温に対して有効な、光変換素子の熱伝導率λと、
eff>0.0125at%、好ましくは0.50at%>yeff>0.0125at%、特に好ましくは0.20at%>yeff>0.0125at%の、光変換素子のCe含有量yと
を特徴とし得る。
【0086】
「有効」Ce含有量yeffは、yeff=(1-z)・yのように計算され、ここで、zは、これが混合セラミックスである場合に、混加されたコンポーネント(例えば酸化アルミニウム)の体積分率を表している。これについての詳細は、以降で説明する。
【0087】
一実施形態は、
175μm<t<250μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.0125at%、好ましくは0.50at%>yeff>0.0125at%、特に好ましくは0.20at%>yeff>0.0125at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0088】
一実施形態は、
125μm<t<175μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.0125at%、好ましくは0.55at%>yeff>0.0125at%、特に好ましくは0.20at%>yeff>0.0125at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0089】
一実施形態は、
90μm<t<125μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.025at%、好ましくは0.60at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.20at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0090】
一実施形態は、
70μm<t<90μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.05at%、好ましくは0.65at%>yeff>0.05at%、特に好ましくは0.30at%>yeff>0.05at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0091】
一実施形態は、
50μm<t<70μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.1at%、好ましくは0.70at%>yeff>0.1at%、特に好ましくは0.50at%>yeff>0.1at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0092】
一実施形態は、
175μm<t<250μmの光変換素子の厚さtと、
550cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.0125at%、好ましくは0.40at%>yeff>0.0125at%、特に好ましくは0.10at%>yeff>0.0125at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0093】
一実施形態は、
125μm<t<175μmの光変換素子の厚さtと、
550cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.0125at%、好ましくは0.45at%>yeff>0.0125at%、特に好ましくは0.10at%>yeff>0.0125at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0094】
一実施形態は、
90μm<t<125μmの光変換素子の厚さtと、
550cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.025at%、好ましくは0.50at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.10at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0095】
一実施形態は、
70μm<t<90μmの光変換素子の厚さtと、
550cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.05at%、好ましくは0.55at%>yeff>0.05at%、特に好ましくは0.20at%>yeff>0.05at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0096】
一実施形態は、
50μm<t<70μmの光変換素子の厚さtと、
550cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
5Wm-1-1<λ<15Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.1at%、好ましくは0.60at%>yeff>0.1at%、特に好ましくは0.40at%>yeff>0.1at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0097】
一実施形態は、
175μm<t<250μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
15Wm-1-1<λ<30Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.0125at%、好ましくは1.0at%>yeff>0.0125at%、特に好ましくは0.40at%>yeff>0.0125at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0098】
一実施形態は、
125μm<t<175μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
15Wm-1-1<λ<30Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.0125at%、好ましくは1.1at%>yeff>0.0125at%、特に好ましくは0.40at%>yeff>0.0125at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0099】
一実施形態は、
90μm<t<125μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
15Wm-1-1<λ<30Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.025at%、好ましくは1.2at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.40at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0100】
一実施形態は、
70μm<t<90μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
15Wm-1-1<λ<30Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.05at%、好ましくは1.3at%>yeff>0.05at%、特に好ましくは0.60at%>yeff>0.05at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0101】
一実施形態は、
50μm<t<70μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
15Wm-1-1<λ<30Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.1at%、好ましくは1.4at%>yeff>0.1at%、特に好ましくは1.0at%>yeff>0.1at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0102】
一実施形態は、
175μm<t<250μmの光変換素子の厚さtと、
550cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
15Wm-1-1<λ<30Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.0125at%、好ましくは0.80at%>yeff>0.0125at%、特に好ましくは0.20at%>yeff>0.0125at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0103】
一実施形態は、
125μm<t<175μmの光変換素子の厚さtと、
550cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
15Wm-1-1<λ<30Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.0125at%、好ましくは0.90at%>yeff>0.0125at%、特に好ましくは0.20at%>yeff>0.0125at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0104】
一実施形態は、
90μm<t<125μmの光変換素子の厚さtと、
550cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
15Wm-1-1<λ<30Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.025at%、好ましくは1.0at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.20at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0105】
一実施形態は、
70μm<t<90μmの光変換素子の厚さtと、
550cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
15Wm-1-1<λ<30Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.05at%、好ましくは1.1at%>yeff>0.05at%、特に好ましくは0.40at%>yeff>0.05at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0106】
一実施形態は、
50μm<t<70μmの光変換素子の厚さtと、
550cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
15Wm-1-1<λ<30Wm-1-1の(室温に対して有効な)熱伝導率λと、
eff>0.1at%、好ましくは1.2at%>yeff>0.1at%、特に好ましくは0.80at%>yeff>0.1at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0107】
次に、いくつかの好ましい実施形態を挙げる。ここでは、光変換素子は、特に部分的または完全に、組成物(A1-y12の1つ以上の材料から成り、ここで、Aは元素Y、Lu、Gdの1つ以上から成り、Bは元素Al、Gaの1つ以上から成り、Cはランタノイドの1つ以上の元素、好適にはCeから成り、これは、光変換素子が、部分的にのみそれらから成り、特に別の部分に関しては、より高い熱伝導率を有する材料、好適にはAlから成る、またはそのような部分を含む場合である。
【0108】
特に、次の実施形態は、ガーネット材料クラスに限定されず、特に、反射させられた青色光が使用される用途、すなわち、特に、所定の色温度CCT[K]のいわゆる白色光源のための用途に対して有効である。
【0109】
一実施形態は、
170μm以下の光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の、600nmの波長に対して有効な、光変換素子の散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.25at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.15at%>yeff>0.025at%の、光変換素子のCe含有量yと
を特徴とし得る。
【0110】
一実施形態は、
170μm以下の光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の、600nmの波長に対して有効な、光変換素子の散乱係数sと、
色温度4000K<CCT<5500Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.50at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.35at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0111】
本発明は、さらに、光変換素子と、任意選択的に基板と、任意選択的にコネクタとによって形成される光変換ユニット、または光変換素子と、任意選択的に基板と、任意選択的にコネクタと、を含む光変換ユニットに関する。
【0112】
「有効」Ce含有量yeffは、yeff=(1-z)・yのように計算され、ここで、zは、これが混合セラミックスである場合に、混加されたコンポーネント(例えば酸化アルミニウム)の体積分率を表している。これについての詳細は、以降で説明する。
【0113】
一実施形態は、
175μm<t<250μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.25at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.15at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0114】
一実施形態は、
125μm<t<175μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.30at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.15at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0115】
一実施形態は、
90μm<t<125μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.05at%、好ましくは0.35at%>yeff>0.05at%、特に好ましくは0.15at%>yeff>0.05at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0116】
一実施形態は、
70μm<t<90μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.08at%、好ましくは0.40at%>yeff>0.08at%、特に好ましくは0.20at%>yeff>0.08at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0117】
一実施形態は、
50μm<t<70μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.1at%、好ましくは0.45at%>yeff>0.1at%、特に好ましくは0.25at%>yeff>0.1at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0118】
一実施形態は、
175μm<t<250μmの光変換素子の厚さtと、
450cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.35at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.25at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0119】
一実施形態は、
125μm<t<175μmの光変換素子の厚さtと、
450cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.40at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.25at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0120】
一実施形態は、
90μm<t<125μmの光変換素子の厚さtと、
450cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.05at%、好ましくは0.45at%>yeff>0.05at%、特に好ましくは0.25at%>yeff>0.05at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0121】
一実施形態は、
70μm<t<90μmの光変換素子の厚さtと、
450cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.08at%、好ましくは0.50at%>yeff>0.08at%、特に好ましくは0.30at%>yeff>0.08at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0122】
一実施形態は、
50μm<t<70μmの光変換素子の厚さtと、
450cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度CCT>5500Kと、
eff>0.1at%、好ましくは0.55at%>yeff>0.1at%、特に好ましくは0.35at%>yeff>0.1at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0123】
一実施形態は、
175μm<t<250μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度5500K>CCT>4000Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.45at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.35at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0124】
一実施形態は、
125μm<t<175μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度5500K>CCT>4000Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.50at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.35at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0125】
一実施形態は、
90μm<t<125μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度5500K>CCT>4000Kと、
eff>0.05at%、好ましくは0.55at%>yeff>0.05at%、特に好ましくは0.35at%>yeff>0.05at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0126】
一実施形態は、
70μm<t<90μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度5500K>CCT>4000Kと、
eff>0.08at%、好ましくは0.60at%>yeff>0.08at%、特に好ましくは0.40at%>yeff>0.08at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0127】
一実施形態は、
50μm<t<70μmの光変換素子の厚さtと、
150cm-1<s<550cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度5500K>CCT>4000Kと、
eff>0.1at%、好ましくは0.65at%>yeff>0.1at%、特に好ましくは0.45at%>yeff>0.1at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0128】
一実施形態は、
175μm<t<250μmの光変換素子の厚さtと、
450cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度5500K>CCT>4000Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.55at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.45at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0129】
一実施形態は、
125μm<t<175μmの光変換素子の厚さtと、
450cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度5500K>CCT>4000Kと、
eff>0.025at%、好ましくは0.60at%>yeff>0.025at%、特に好ましくは0.45at%>yeff>0.025at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0130】
一実施形態は、
90μm<t<125μmの光変換素子の厚さtと、
450cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度5500K>CCT>4000Kと、
eff>0.05at%、好ましくは0.65at%>yeff>0.05at%、特に好ましくは0.45at%>yeff>0.05at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0131】
一実施形態は、
70μm<t<90μmの光変換素子の厚さtと、
450cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度5500K>CCT>4000Kと、
eff>0.08at%、好ましくは0.70at%>yeff>0.08at%、特に好ましくは0.50at%>yeff>0.08at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0132】
一実施形態は、
50μm<t<70μmの光変換素子の厚さtと、
450cm-1<s<950cm-1の(600nmの波長に対して有効な)散乱係数sと、
色温度5500K>CCT>4000Kと、
eff>0.1at%、好ましくは0.75at%>yeff>0.1at%、特に好ましくは0.55at%>yeff>0.1at%の(変換器における光変換コンポーネントに関する)Ce含有量yと
を特徴とし得る。
【0133】
光変換素子は、ランタノイドの群からの少なくとも1つの光学活性元素の成分を含む材料を含んでいる。
【0134】
光変換素子は、前面と、後面と、前面から後面まで延在する厚さtと、を有する。
【0135】
任意選択的な基板は、光変換素子の後面に直接的または間接的に結合されており、例えば冷却体として形成されている。
【0136】
任意選択的なコネクタは、光変換素子と基板との間に存在し、好適には有機接着剤、ガラス、セラミック接着剤、無機接着剤、焼結された焼結ペーストおよび/または金属はんだ化合物として、好適には金属はんだ化合物または焼結された焼結ペーストとして、好ましくは金属はんだ化合物として形成されている。
【0137】
光変換素子は、一次光(I)による自身の前面の照射、一次光(IREM)の拡散反射、一次光(IFRE)の鏡面反射および一次光に対して変更された波長を有する二次光(IEM)の拡散放出のために構成されている。
【0138】
光変換ユニットは、特に、比拡散反射率SDR=t-1・IREM/(I-IFRE)を有し、この比拡散反射率は、光変換ユニットから放出された光束が、光変換ユニットの照射強度限界値において、ランタノイドの群からの少なくとも1つの光学活性元素の成分の変化に関連して、最大で4mm-1、好ましくは最大で3.5mm-1、特に好ましくは最大で3mm-1、最大値から離れているように選択されている。
【0139】
本発明はさらに、上記で説明したような照明装置または光変換ユニットの使用に関し、ここで、光変換ユニットは、50%未満、好適には30%未満、特に好ましくは10%未満の、光変換ユニットの照射強度限界値に対する間隔で動作する。
【0140】
この使用の際に、光変換ユニットは、さらに、5%を超える、好適には10%を超える、特に好ましくは15%を超える、光変換ユニットの照射強度限界値に対する間隔で動作し得る。
【0141】
比拡散反射率SDRは、上記で説明したように、光変換ユニットの、実験によって決定可能な変数である。
【0142】
光変換素子と、任意選択的に基板と、任意選択的にコネクタと、を有する光変換ユニットの比拡散反射率SDRを決定する方法は、特に、(a)一次光(I)で光変換素子の前面を照射するステップであって、ここで、一次光の照射強度は、照射強度の変化時に、光変換ユニットから放出された光束が厳密に線形に、照射強度に伴って増加するように、特に小さく選択されている、ステップと、(b)一次光(IREM)の拡散反射および一次光(IFRE)の鏡面反射を測定するステップと、(c)光変換素子の厚さtを測定する、または決定するステップと、(d)比拡散反射率を式SDR=t-1・IREM/(I-IFRE)に従って計算するステップとを想定している。
【0143】
本発明を、以降で、次の図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0144】
図1】光変換ユニットの概略的な断面を示す図である。
図2】照明装置と検出器とを有する測定構造の概略的な断面を示す図である。
図3】表1に示した14個の試料に関する、照射強度に対する、放出された光束のグラフを示す図であり、このグラフは実験測定に基づいている。
図4】表2に示した4個の試料に関する、照射強度に対する、放出された光束のグラフを示す図であり、このグラフは数値シミュレーションに基づいている。
図5】表2に示した4個の試料に関する、照射強度に対する、放出された光束のグラフを示す図であり、このグラフは実験測定に基づいている。
図6a】照射強度限界値での、照射強度に対してプロットされた、光変換素子の種々のCe含有量に対する、照射強度限界値での放出された光束のグラフを示す図である。
図6b】照射強度限界値での、照射強度に対してプロットされた、光変換素子の種々のCe含有量に対する、照射強度限界値での放出された光束のグラフを示す図である。
図6c】照射強度限界値での、照射強度に対してプロットされた、光変換素子の種々のCe含有量に対する、照射強度限界値での放出された光束のグラフを示す図である。
図6d】照射強度限界値での、照射強度に対してプロットされた、光変換素子の種々のCe含有量に対する、照射強度限界値での放出された光束のグラフを示す図である。
図6e】照射強度限界値での、照射強度に対してプロットされた、光変換素子の種々のCe含有量に対する、照射強度限界値での放出された光束のグラフを示す図である。
図7】照明装置と検出器とを有する測定構造の概略的な断面を示す図である。
図8】光変換素子の厚さtを求めるための測定装置の概略的な断面を示す図である。
図9a】比拡散反射率に対してプロットされた、光変換素子の種々のCe含有量に対する、照射強度限界値での放出された光束のグラフを示す図である。
図9b】比拡散反射率に対してプロットされた、光変換素子の種々のCe含有量に対する、照射強度限界値での放出された光束のグラフを示す図である。
図9c】比拡散反射率に対してプロットされた、光変換素子の種々のCe含有量に対する、照射強度限界値での放出された光束のグラフを示す図である。
図9d】比拡散反射率に対してプロットされた、光変換素子の種々のCe含有量に対する、照射強度限界値での放出された光束のグラフを示す図である。
図9e】比拡散反射率に対してプロットされた、光変換素子の種々のCe含有量に対する、照射強度限界値での放出された光束のグラフを示す図である。
図10a】比拡散反射率に対してプロットされた、図9aに示されているのと同じバリエーションに対する、照射強度限界値での効率のグラフを示す図である。
図10b】比拡散反射率に対してプロットされた、図9bに示されているのと同じバリエーションに対する、照射強度限界値での効率のグラフを示す図である。
図10c】比拡散反射率に対してプロットされた、図9cに示されているのと同じバリエーションに対する、照射強度限界値での効率のグラフを示す図である。
図10d】比拡散反射率に対してプロットされた、図9dに示されているのと同じバリエーションに対する、照射強度限界値での効率のグラフを示す図である。
図10e】比拡散反射率に対してプロットされた、図9eに示されているのと同じバリエーションに対する、照射強度限界値での効率のグラフを示す図である。
図11a】比拡散反射率に対してプロットされた、図9aに示されているのと同じバリエーションに対する、照射強度限界値での効率的な光束(ELF)のグラフを示す図である。
図11b】比拡散反射率に対してプロットされた、図9bに示されているのと同じバリエーションに対する、照射強度限界値での効率的な光束(ELF)のグラフを示す図である。
図11c】比拡散反射率に対してプロットされた、図9cに示されているのと同じバリエーションに対する、照射強度限界値での効率的な光束(ELF)のグラフを示す図である。
図11d】比拡散反射率に対してプロットされた、図9dに示されているのと同じバリエーションに対する、照射強度限界値での効率的な光束(ELF)のグラフを示す図である。
図11e】比拡散反射率に対してプロットされた、図9eに示されているのと同じバリエーションに対する、照射強度限界値での効率的な光束(ELF)のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0145】
「放射照度限界値」に近い動作のために最適化された、変換器材料の特性は、一方では、所期の実験(相応する試料の製造および測定)を用いて、他方では、材料および材料の特性の数値シミュレーションによって、YAG:Ceベースの変換器材料、GYAG:Ceベースの変換器材料およびLuAG:Ceベースの変換器材料のケースに対して、吸収、散乱、熱伝導率および厚さを変えることによって見出された。
【0146】
「放射照度限界値」を実験的に決定するために、様々な材料の、4×4mmの大きさの、特定の厚さの、両面が研磨され、前面がARコーティングされたダイの後面に銀コーティングが施され、後面に銀焼結ペーストによって銅ヒートシンクが結合された。励起を、ファイバから出射された、約490μmの直径の、ほぼ均一なビームプロファイル(「トップハット」)を有するレーザービーム(450nm)を用いて行った。放出されたビームが、光出力が低下するまで、励起出力の増加に伴って求められた。
【0147】
図1a)~図1c)は、光変換ユニット200を示す。図1aおよび図1bに示された光変換ユニット200は、光変換素子1と、基板3と、任意選択的にコネクタ2と、を含む。光変換素子1は、特に、セラミック変換器として形成されていてよい。コネクタは、例えばはんだ、接着剤、または焼結された焼結ペーストとして形成されていてよい。基板は、例えばヒートシンク(「heatsink」)として、例えば銅によってもしくは銅から形成されていてよく、またはいわゆる「ホイール」としてアルミニウムによってもしくはアルミニウムから形成されていてよい。
【0148】
図1cに示された光変換ユニット200は、同様に、光変換素子1と、基板3と、任意選択的にコネクタ2と、を含む。この図面は、特に、光変換素子1が、自身の前面に、任意選択的にコーティング、例えば「ARコーティング」11を有し得ることを説明するものである。光変換素子1は、自身の後面にも、任意選択的にコーティング12、例えば「HRコーティング」および/または「光学分離層」および/または接着促進剤を有し得る。代替的または付加的に、光変換素子1のミラーリング層を形成し、例えば接着促進剤層12上に被着されているコーティング13が設けられていてよい。
【0149】
基板3も、自身の、光変換素子1もしくはコネクタ2に面する側に、任意選択的に、例えばAu、NiP/Auおよび/もしくはAgを有するまたはそれから成るコーティング31を有し得る。
【0150】
図2は、照明装置100および検出器10を有する測定構造を示す。他に説明がない限り、個々の構成要素および参照符号に対しては、図1a)~図1c)に関連して挙げられた説明が当てはまる。照明装置100は、光変換ユニット200であって、このケースでは変換器1と、コネクタ2と、基板3と、を含み、ここで、基板3は、例えば調整可能な温度を有することができる載置部4上に被着されている、光変換ユニット200と、一次光源5、例えば青色レーザービーム源と、を含んでおり、これは特に、変換器1の前面に入射するレーザービーム6を放出するように構成されているビーム形成部を有しており、これによって、拡散反射させられた一次光と拡散放出された二次光とから構成される、放出されたビーム7が生じる。
【0151】
図1における変換器部品の原理的な構造は、測定に用いられる上述の変化形態に限定されていない。むしろ、これは、多くの可能な実施形態のうちの1つである。このことは相応に、図2における原理的な測定構造に当てはまる。
【0152】
基本的に、光変換特性(放出された光出力もしくは放出された光束のレベル、放射照度限界値)は、実質的に、変換器材料の次の特性および他の境界条件に関連することに留意されたい:
・入射する青色レーザービームの特性:波長、出力、出力密度、ビームプロファイル
・変換器材料の特性:入射する青色レーザービームとより長い波長の変換されたビームとに対する吸収係数および散乱係数、量子効率、ストークスシフト、屈折率、熱伝導率ならびに厚さであって、これらの特性(厚さtを除く)は、多かれ少なかれ温度に関連する
・変換器表面もしくは境界面の特性:入射側および出射側(前面)の反射率、後面の反射率、能動的もしくは受動的に冷却されるホイール(「動的」な場合)または能動的もしくは受動的に冷却されるヒートシンク(「静的」な場合)への、後面における熱伝達ならびに変換器セラミックスの表面の質(通常は研磨されている)
【0153】
数値シミュレーションは、原則として、V. Hagemann, A. Seidl, G. Weidmann: Static ceramic phosphor assemblies for high power high luminance SSL-light sources for digital projection and specialty lighting. Proc. of SPIE Vol. 11302 113021N-11, SPIE OPTO, San Francisco 2020(以降では[1])に記載されているように実行された。いくつかのシミュレーションでは、一方では実験による測定を再現して、シミュレーション自体を検証することができ、他方では、パラメータ空間を拡張するために、既存の試料ではカバーされていない別の材料特性をシミュレートすることができた。
【0154】
表1に挙げた材料は、実験による研究のために提供された。これは、YAG:Ce、GYAG:CeおよびLuAG:Ceの領域からの材料である。xおよびyは、結晶格子中のYサイトもしくはLuサイトにおけるGdまたはCeの成分を表している。tは、変換器材料の厚さである。混合セラミックス(複合体料)である場合、zは、混加されたコンポーネント(例えば酸化アルミニウム)の体積分率を表す。この場合、Ce含有量に比例する吸収体特性に関しては、Ce含有量yを、yeff=(1-z)・yのように計算される「有効」Ce含有量yeffによって置き換えることが重要である。したがって、「純相」変換器材料(z=0)の場合には、yeffはyに等しい。混合セラミックスの複数のコンポーネントの散乱特性が著しく異なっている場合には、ここでも有効値が求められる。場合によっては、熱伝導率および屈折率について同じことが当てはまる。
【0155】
測定された最大の光出力のもとで達成されたレーザービーム出力密度は、「放射照度限界値」である。決定の精度は、「放射照度限界値」の範囲におけるレーザー出力の増加がどの程度細かく段階付けられているかに関連する。このことは、実験についてもシミュレーションについても当てはまる。
【0156】
図3には、下記の表1からの14個の試料に関する、レーザー出力の増加に伴う、放出された光束の経過が示されている。
【0157】
【表1】
【0158】
数値シミュレーションを検証するために、試料#2、#4、#7および#14の実験データを使用した。このために、[1]に挙げられている材料パラメータ(YAG:Ceの場合)が、LuAG:Ceに対する材料パラメータによって置き換えられた。#7の場合、付加的に、混合セラミックスLuAG-Alが存在するため、高くなった熱伝導率が考慮され、吸収は、有効Ce含有量yeffから生じる。
【0159】
図4は、結果として、挙げられた4個の試料に対する放射照度の増加時の、放出される光束のシミュレーションデータを示している。
【0160】
図5には、比較のために、実験によって求められた経過、すなわち4個の異なる試料に対する、放射照度の増加時の、測定された、放出される光束がそれぞれ示されている。下記の表2にも示されているように、経過、特に限界値は、実験結果と良好に一致する。
【0161】
【表2】
【0162】
図6aは、それぞれ、種々の厚さtのもとでの、ここではat%における種々のCe含有量yに対する、散乱係数s=350cm-1を有するLuAG:Ceに関する、計算された、放射照度限界値での放出された光束(luminous flux)を示している。したがって、シミュレーションを用いて求められた最大光束(変換された、放射照度限界値での放出された光の光束、すなわち図4に示されているような様式の計算された経過の最大値)が、Ce含有量yに関連して、変換器の3つの異なる厚さに対して示されており、これは例えば、350cm-1の例示的な散乱係数を有するLuAG:Ceの場合である。調べられた範囲において、比較的薄い変換器が、比較的高い可能な光束をもたらすこと、またそれぞれ、Ce含有量に対する最適な範囲(可能な限り高い光束の範囲)が存在することも認識される。
【0163】
図6bは、種々の散乱係数sのもとでの、ここではat%における種々のCe含有量yに対する、厚さt=80μmを有するLuAG:Ceに関する、散乱係数の例示的なバリエーションに対する、すなわち、それぞれ計算された、放射照度限界値での放出された光束(luminous flux)に対する相応の比較を示している。
【0164】
YAG:CeまたはLuAG:Ceへの酸化アルミニウムの例示的な混加は、変換器厚さの減少と類似の効果を有している。酸化アルミニウムは、YAGまたはLuAGよりも約3倍高い熱伝導率を有するため、これによって、(Alの体積分率に相応に)変換器材料の熱伝導率が全体的に高められる。代替的に、比較的高い熱伝導率を有する他のコンポーネント、例えば窒化アルミニウムが、変換された光の領域における低い吸収のもとで混加されてもよいだろう。
【0165】
図6cは、それぞれ、LuAG-Al混合セラミックスと比較したLuAG:Ceに関する、厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1に対する、ここではat%における種々の(有効)Ce含有量yeffに対する、計算された、放射照度限界値での放出された光束(luminous flux)を示している。これは、酸化アルミニウムの例示的な混加の場合の、80μmの例示的な変換器厚さのもとでのLuAG:Ce-Alの例での効果を、熱伝導率が比較において2倍高められているように示している。(両方のコンポーネントに対する)例示的な散乱係数は、ここでも350cm-1である。
【0166】
図6dでは、LuAG:CeがYAG:Ceと比較されており、それぞれ、YAG:Ceと比較したLuAG:Ceに関する、厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1、ここではat%における種々のCe含有量yに対する、計算された、放射照度限界値での放出された光束(luminous flux)が示されている。
【0167】
(変換された光の波長範囲に対する)後面ミラーリングの反射率Rも、生じ得る光束に影響を及ぼす。なぜなら、後面において光束が多かれ少なかれ吸収されるからである。
【0168】
図6eでは、例示的にこの反射率が変えられ、したがって、厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1を有するLuAG:Ceに関する、種々の後面反射率Rのもとでの、ここではat%における種々のCe含有量yに対する、計算された、放射照度限界値での放出された光束(luminous flux)が示されている。
【0169】
しかし、放射照度限界値の、実験による決定には手間がかかり、照射点における過熱による破壊の危険性をもたらす。
【0170】
これに対して、低出力のもとでの比拡散青色反射率(low power specific diffuse blue remission,low power SDBR,単位mm-1)は、完成した構成要素における非破壊測定を介して求めることが可能である。
【0171】
低出力SDBRを求めるために、変換器材料は、比較的低い出力もしくは出力密度(放射照度)の(青色)レーザービームで、部品の重大な加熱が生じないように、例えば約1mW/mm(10-3W/mm)で照射される。そのように低い放射照度では、変換されたビームの放出された光束は、厳密に線形に、放射照度の増加に伴って増加する。すなわち、有効性もしくは効率(レーザー出力に関連する光束)は、放射照度に関連していない。すなわち、ここで意図されている意味における「低出力」とは、「放射された放射照度に伴う放出された光束の線形の増加」を意味する。しかし、決して、放射されたすべての青色光が吸収されることはない。(青色)レーザー光の一部は、表面において直接的に鏡面反射させられる(フレネル反射)。侵入した成分のうちの一部分が吸収される(さらにこの一部分のうちの一部分が変換される)が、別の一部分は、吸収が行われずに再び拡散後方散乱(反射)させられる。この拡散後方散乱させられた、侵入する(フレネル反射させられていない)(青色)レーザービームの吸収されない成分が、「拡散(青色)反射率」DBRであり、SDBRは、変換器の厚さtに関するこのような値であり、
SDBR=DBR/t
である。
【0172】
図7は、拡散(青色)反射率DBRを求めるための測定原理を示している。他に説明がない限り、個々の構成要素および参照符号には、図1a)~図1c)および図2に関連して挙げられた説明が当てはまる。照射強度を有する一次光(I)が、光変換素子1の前面に入射する。一次光(IREM)の拡散反射、一次光(IFRE)の鏡面反射および一次光に対して変更された波長を有する二次光(IEM)の拡散放出が生じる。これらのコンポーネントは、検出器9,10によって検出され、ここで検出器9は、正反射させられたビーム用に形成されており、検出器10は、拡散反射させられた(青色)ビームおよび拡散放出された、変換されたビーム用に形成されている。
【0173】
図8は、変換器の厚さtを求めるための測定原理を示しており、ここでは、51は、例えばノギスを用いた機械的な厚さ測定を示しており、52は、超音波センサシステムを用いた厚さ測定を示しており、53は、NIRレーザードップラ干渉法を用いた厚さ測定を示しており、54は、測定子を用いた機械的な厚さ測定(コネクタのおおよその厚さが一緒に測定される)を示している。他に説明がない限り、個々の構成要素および参照符号には、図1a)~図1c)および図2に関連して挙げられた説明が当てはまる。
【0174】
これによって、基板に結合された変換器の厚さtが、変換器のコーティングおよび結合の前に求められ、したがって既知である、または部品の直径が十分に大きい場合には、厚さtを、完成した部品の片面で、非破壊的に、例えば音響的に(超音波センサシステム)または光学的に(NIRレーザードップラ干渉法)求めることが可能である。完成した部品における迅速かつ容易な測定は、ヒートシンク表面に対する表面の相対的な距離測定として、「測定子」を用いても行われるが、この場合はさらに、コネクタの典型的な厚さに対する、既知のおおよその値(一般に10~30μmのオーダにある)が減算されなければならない。
【0175】
図9a~図9eは、図6a~図6eに対応し、ここでは、放射照度限界値が、低出力SDBRの値にわたってプロットされている。
図9a:種々の厚さtのもとでの、ここではat%における種々のCe含有量yに対する、散乱係数s=350cm-1を有するLuAG:Ceに関する、計算された、放射照度限界値での放出された光束(luminous flux)
図9b:厚さt=80μmを有するLuAG:Ceに関する、種々の散乱係数sのもとでの、ここではat%における種々のCe含有量yに対する、計算された、放射照度限界値での放出された光束(luminous flux)
図9c:LuAG-Al混合セラミックスと比較したLuAG:Ceに関する、厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1に対する、ここではat%における種々の(有効)Ce含有量yeffに対する、計算された、放射照度限界値での放出された光束(luminous flux)
図9d:YAG:Ceと比較したLuAG:Ceに関する、厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1に対する、ここではat%における種々のCe含有量yに対する、計算された、放射照度限界値での放出された光束(luminous flux)
図9e:厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1を有するLuAG:Ceに関する、種々の後面反射率Rのもとでの、ここではat%における種々のCe含有量yに対する、計算された、放射照度限界値での放出された光束(luminous flux)
【0176】
可能な光束を最大にするために、特に3~6の低出力SDBRが好ましい。
【0177】
しかし、有効性もしくはより良好には「効率」(lm/W)が、性能に対して同様に重要であるということに留意されるべきである。「放射照度限界値での効率」は、放射されたレーザー出力に関連して放出された光束である。
【0178】
図10a~図10eは、図9a~図9eと同じバリエーションに対する、放射照度限界値での効率の関連性を示している。
図10a:種々の厚さtのもとでの、種々のCe含有量yに対する、散乱係数s=350cm-1を有するLuAG:Ceに関する、計算された、放射照度限界値での効率
図10b:厚さt=80μmを有するLuAG:Ceに関する、種々の散乱係数sのもとでの、種々のCe含有量yに対する、計算された、放射照度限界値での効率
図10c:LuAG-Al混合セラミックスと比較したLuAG:Ceに関する、厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1に対する、種々の(有効)Ce含有量yeffに対する、計算された、放射照度限界値での効率
図10d:YAG:Ceと比較したLuAG:Ceに関する、厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1に対する、種々のCe含有量yに対する、計算された、放射照度限界値での効率
図10e:厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1を有するLuAG:Ceに関する、種々の後面反射率Rのもとでの、種々のCe含有量yに対する、計算された、放射照度限界値での効率
【0179】
変換器構成要素の性能に対しては、可能な限り高い光束Φも可能な限り高い効率ηも重要であり得る。これは、2つの変数からの積によって表され、「効率的な光束」(efficient luminous flux)
ELF=Φ*η
である。
【0180】
図11a~図11eには、これまでの図と同じバリエーションに対する、放射照度限界値での効率的な光束の関連性が示されている。
図11a:種々の厚さtのもとでの、種々のCe含有量yに対する、散乱係数s=350cm-1を有するLuAG:Ceに関する、計算された、放射照度限界値でのELF
図11b:厚さt=80μmを有するLuAG:Ceに関する、種々の散乱係数sのもとでの、種々のCe含有量yに対する、計算された、放射照度限界値でのELF
図11c:LuAG-Al混合セラミックスと比較したLuAG:Ceに関する、厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1に対する、種々の(有効)Ce含有量yeffに対する、計算された、放射照度限界値でのELF
図11d:YAG:Ceと比較したLuAG:Ceに関する、厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1に対する、種々のCe含有量yに対する、計算された、放射照度限界値でのELF
図11e:厚さt=80μm、散乱係数s=350cm-1を有するLuAG:Ceに関する、種々の後面反射率Rのもとでの、種々のCe含有量yに対する、計算された、放射照度限界値でのELF
【0181】
比拡散(青色)反射率SDR(SDBR)を、光変換ユニットにおいて容易にかつ非破壊的に求めることができる。これは、組成、厚さ、散乱特性などとは実質的に無関係である。SDRは、光変換ユニットの調整可能なパラメータである。
【0182】
好ましくは、SDRは、0<SDR<3mm-1、さらに好ましくは0.5<SDR<2.5mm-1、さらに好ましくは0.8<SDBR<2mm-1の範囲にある。
【0183】
例として、表3は、測定された試料#1~#14を、それぞれ図8に従って求められた拡散青色反射率DBR、変換器厚さtおよびそこから生じる比拡散青色反射率SDBR(low power SDBR)と共に示す。
【0184】
【表3】
【0185】
これらの試料を製造するために、それぞれ、所望の化合物#1~#14の組成に従って、純粋な酸化物である酸化イットリウム、酸化ルテチウム、酸化アルミニウム、酸化ガドリニウムおよび酸化セリウムの粉末を混合し、エタノール、分散剤および圧縮助剤の添加後、これにボールミルを混ぜ、ローラ台を用いてバレル内でこれを微細に粉砕した。次に、この泥漿を、回転蒸発器を用いて乾燥させ、続いて一軸で円筒形の生成形体に圧縮した。生成形体に約600℃で脱バインダ処理を施し、次に約1600℃で空気中での反応焼結を行った(数時間)。焼結体をワイヤーソーイングによってウェハに鋸断し、続いて所望の厚さまで研削および研磨を行った。次に、ウェハの後面に、スクリーン印刷を用いて、ソルダーガラス含有Ag厚膜ペーストを印刷した。ペーストの焼成を、約900℃で行った。ウェハの前面に、約97nmの薄い、SiOから成るAR層を蒸着させた。このように両面でコーティングされたウェハを、ダイシングによって4x4mmのサイズのダイに個別化した。Auクラッド型Cuヒートシンク(サイズ20×20×3)との結合のために、ヒートシンクの中央に、ディスペンサによってAg焼結ペーストを塗布し、そこにそれぞれ1つのダイを押し付け、続いてこの結合体を、空気中で、約200℃で、約2時間、焼結した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
【外国語明細書】