(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002711
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】圧縮機、及び、冷媒サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F04C 29/00 20060101AFI20231228BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20231228BHJP
F04B 39/12 20060101ALI20231228BHJP
F04C 29/12 20060101ALI20231228BHJP
F25B 31/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F04C29/00 B
F04B39/00 A
F04B39/12 F
F04C29/00 U
F04C29/00 S
F04C29/12 C
F25B31/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102082
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】大西 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】梶原 幹央
(72)【発明者】
【氏名】富岡 直人
(72)【発明者】
【氏名】太田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】松浦 亮
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB04
3H003AC03
3H003BG08
3H003CD01
3H003CD05
3H003CE02
3H129AA02
3H129AA13
3H129AB03
3H129BB21
3H129BB44
(57)【要約】
【課題】圧縮機の起動・停止の繰り返しによって、アキュームレータの外表面は、温度変化、及び、空気中の水分の凍結・融解によるストレスを受けやすい。これにより、アキュームレータの外表面を覆う塗装が剥がれて、外表面全体に錆が発生しやすくなる課題がある。
【解決手段】圧縮機19は、圧縮機本体12と、アキュームレータ17と、固定部材27とを備える。圧縮機本体12は、圧縮機構12dを収納する第1ケーシング12fを有する。アキュームレータ17は、第1ケーシング12fの外側に配置される。アキュームレータ17は、圧縮機構12dと接続配管17hを介して接続される第2ケーシング17fを有する。第1ケーシング12fは、第1外表面12sを有する。第2ケーシング17fは、第2外表面17sを有する。第1外表面12sの少なくとも一部は、樹脂塗装層に覆われる。第2外表面17sの少なくとも一部は、金属溶射層に覆われる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構(12d)を収納する第1ケーシング(12f)を有する圧縮機本体(12)と、
前記第1ケーシングの外側に配置され、前記圧縮機構と配管(17h)を介して接続される第2ケーシング(17f)を有するアキュームレータ(17)と、
前記第1ケーシングに前記第2ケーシングを固定するための第1部材(27)と、
を備え、
前記第1ケーシングは、第1外表面(12s)を有し、
前記第2ケーシングは、第2外表面(17s)を有し、
前記第1外表面の少なくとも一部は、樹脂塗装層に覆われ、
前記第2外表面の少なくとも一部は、金属溶射層に覆われる、
圧縮機(19)。
【請求項2】
前記配管の外表面の少なくとも一部は、金属溶射層に覆われる、
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記金属溶射層は、アルミニウム溶射層である、
請求項1又は2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記第1ケーシング及び前記第2ケーシングの周囲に配置され、少なくとも一部が弾性部材からなる第2部材(50)をさらに備える、
請求項1又は2に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記第2部材は、
前記弾性部材からなる第1層(51a)と、
前記第1層の内側に配置され、断熱部材からなる第2層(51b)と、
前記第2層の内側に配置され、金属からなる第3層(51c)と、
を有し、
前記第3層は、前記第1外表面と接触し、かつ、前記第2外表面と接触しない、
請求項4に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記第2部材は、
前記弾性部材からなる第1層(52a)と、
前記第1層の内側に配置され、断熱部材からなる第2層(52b)と、
を有し、
前記第2層は、
前記第1外表面と接触する第1部分層(52b1)と、
前記第2外表面と接触し、前記第1部分層と接続されていない第2部分層(52b2)と、
を有する、
請求項4に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記第2部材は、
前記弾性部材からなる第1層(53a)と、
前記第1層の内側に配置され、断熱部材からなる第2層(53b)と、
を有し、
前記第2層は、前記第1外表面と接触し、かつ、前記第2外表面と接触しない、
請求項4に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記第1部材は、非金属部材を有し、
前記非金属部材は、前記第1外表面と接触せず、かつ、前記第2外表面と接触する、
請求項1又は2に記載の圧縮機。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の圧縮機を備える、
冷媒サイクル装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
圧縮機、及び、冷媒サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2007-46572号公報)に記載されるように、圧縮機本体と、圧縮機本体に固定されるアキュームレータとを備え、圧縮機本体及びアキュームレータの外表面に樹脂塗装が施されている圧縮機が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
圧縮機の起動・停止の繰り返しによって、アキュームレータの外表面は、温度変化、及び、空気中の水分の凍結・融解によるストレスを受けやすい。これにより、アキュームレータの外表面を覆う樹脂塗装が剥がれて、アキュームレータの外表面全体に錆が発生しやすくなる課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の圧縮機は、圧縮機本体と、アキュームレータと、第1部材とを備える。圧縮機本体は、圧縮機構を収納する第1ケーシングを有する。アキュームレータは、第1ケーシングの外側に配置される。アキュームレータは、圧縮機構と配管を介して接続される第2ケーシングを有する。第1部材は、第1ケーシングに第2ケーシングを固定するための部材である。第1ケーシングは、第1外表面を有する。第2ケーシングは、第2外表面を有する。第1外表面の少なくとも一部は、樹脂塗装層に覆われる。第2外表面の少なくとも一部は、金属溶射層に覆われる。
【0005】
第1観点の圧縮機では、アキュームレータの外表面の少なくとも一部に金属溶射が施されている。そのため、アキュームレータの外表面で発生する、温度変化、及び、空気中の水分の凍結・融解によってアキュームレータの外表面の塗装が剥がれて錆が発生することが抑えられる。
【0006】
第2観点の圧縮機は、第1観点の圧縮機であって、配管の外表面の少なくとも一部は、金属溶射層に覆われる。
【0007】
第2観点の圧縮機では、アキュームレータの出口側と圧縮機本体の入口側とを接続する冷媒配管の外表面の少なくとも一部に金属溶射が施されている。そのため、冷媒配管の外表面で発生する、温度変化、及び、空気中の水分の凍結・融解によって冷媒配管の外表面の塗装が剥がれて錆が発生することが抑えられる。
【0008】
第3観点の圧縮機は、第1観点又は第2観点の圧縮機であって、金属溶射層は、アルミニウム溶射層である。
【0009】
第4観点の圧縮機は、第1乃至第3観点のいずれか1つの圧縮機であって、第1ケーシング及び第2ケーシングの周囲に配置される第2部材をさらに備える。第2部材は、少なくとも一部が弾性部材からなる。
【0010】
第4観点の圧縮機では、圧縮機本体の運転中に発生する振動が圧縮機の外部に伝達して発生する騒音が抑えられる。
【0011】
第5観点の圧縮機は、第4観点の圧縮機であって、第2部材は、第1層と、第1層の内側に配置される第2層と、第2層の内側に配置される第3層とを有する。第1層は、弾性部材からなる。第2層は、断熱部材からなる。第3層は、金属からなる。第3層は、第1外表面と接触し、かつ、第2外表面と接触しない。
【0012】
第5観点の圧縮機では、圧縮機本体の外表面を覆う断熱部材の内側に金属膜が貼られているので、アキュームレータの外表面に付着した水分が断熱部材を伝って圧縮機本体の外表面に到達することが抑制される。
【0013】
第6観点の圧縮機は、第4観点の圧縮機であって、第2部材は、第1層と、第1層の内側に配置される第2層とを有する。第1層は、弾性部材からなる。第2層は、断熱部材からなる。第2層は、第1外表面と接触する第1部分層と、第2外表面と接触する第2部分層とを有する。第2部分層は、第1部分層と接続されていない。
【0014】
第6観点の圧縮機では、圧縮機本体を覆う断熱部材と、アキュームレータを覆う断熱部材とが分離されているので、アキュームレータの外表面に付着した水分が断熱部材を伝って圧縮機本体の外表面に到達することが抑制される。
【0015】
第7観点の圧縮機は、第4観点の圧縮機であって、第2部材は、第1層と、第1層の内側に配置される第2層とを有する。第1層は、弾性部材からなる。第2層は、断熱部材からなる。第2層は、第1外表面と接触し、かつ、第2外表面と接触しない。
【0016】
第7観点の圧縮機では、アキュームレータは断熱部材に覆われていないので、アキュームレータの外表面に付着した水分が断熱部材を伝って圧縮機本体の外表面に到達することが抑制される。
【0017】
第8観点の圧縮機は、第1乃至第7観点のいずれか1つの圧縮機であって、第1部材は、非金属部材を有する。非金属部材は、第1外表面と接触せず、かつ、第2外表面と接触する。
【0018】
第8観点の圧縮機では、圧縮機本体の運転中に発生する振動がアキュームレータに伝達されることが抑えられる。
【0019】
第9観点の冷媒サイクル装置は、第1乃至第8観点のいずれか1つの圧縮機を備える。
【0020】
第9観点の冷媒サイクル装置では、冷媒配管の外表面に発生する錆によって冷媒配管から冷媒が漏れ出る不具合などの発生が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】空気調和装置10の冷媒回路を示す図である。
【
図2】天板71が取り外された状態の室外ユニット11の平面図である。
【
図3】右前板76及び右側板74が取り外された状態の室外ユニット11の斜視図である。
【
図5】圧縮機19の概略構成図である。第1実施形態において、樹脂塗装層又は金属溶射層に覆われる部分を示す図である。
【
図6】防音カバー50に覆われている圧縮機19の概略的な斜視図である。
【
図7】圧縮機19の鉛直方向中央付近で防音カバー50を水平面に沿って切断した場合の断面の概略図である。
【
図8】圧縮機19を覆う防音カバー50の第1の例の断面図である。
【
図9】圧縮機19を覆う防音カバー50の第2の例の断面図である。
【
図10】圧縮機19を覆う防音カバー50の第3の例の断面図である。
【
図11】圧縮機19の概略構成図である。変形例A~Cにおいて、樹脂塗装層又は金属溶射層に覆われる部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
(1)全体構成
本実施形態の圧縮機19は、冷媒サイクル装置に備えられる。冷媒サイクル装置は、冷媒が循環する冷媒回路を有する。冷媒サイクル装置では、冷媒回路内の冷媒が、圧縮され、凝縮(放熱)し、減圧され、蒸発(吸熱)した後に再び圧縮される冷凍サイクルが繰り返される。圧縮機19は、冷媒回路を流れるガス冷媒を圧縮する。
【0023】
本実施形態では、冷媒サイクル装置は、建物内の冷暖房を行なう空気調和装置10である。
図1に示されるように、空気調和装置10では、室外ユニット11と、室内ユニット20とが、液冷媒連絡配管2とガス冷媒連絡配管3とを介して接続されている。室外ユニット11は、熱源側ユニットである。室内ユニット20は、利用側ユニットである。
【0024】
空気調和装置10は、圧縮機19、四路切換弁15、室外熱交換器13、室外膨張弁14、室内膨張弁39、及び、室内熱交換器32が冷媒配管で接続されている冷媒回路を有する。冷媒回路には冷媒が封入されている。冷媒は、例えば、R410A、R32、R407C、R22、R134a、及び、二酸化炭素である。
【0025】
(2)空気調和装置10の詳細構成
(2-1)室内ユニット20
室内ユニット20は、ビル等の建物の室内に設置される。室内ユニット20は、室内の壁に壁掛けにより設置され、又は、室内の天井に埋め込み又は吊り下げにより設置される。室内ユニット20は、室内膨張弁39と、室内熱交換器32と、室内ファン30とを有する。
【0026】
(2-1-1)室内熱交換器32
室内熱交換器32は、例えば、伝熱管と多数のフィンとから構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器32は、冷房運転時には冷媒の吸熱器(蒸発器)として機能して室内空気を冷却する。室内熱交換器32は、暖房運転時には冷媒の放熱器(凝縮器)として機能して室内空気を加熱する。
【0027】
(2-1-2)室内ファン30
室内ファン30は、室内熱交換器32を流れる冷媒との間で熱交換をさせる室内空気を、室内熱交換器32に供給する。
【0028】
室内ファン30は、駆動源である室内ファンモータ30aを有する。空気調和装置10は、室内ファンモータ30aの回転数を変更して、室内熱交換器32に供給される空気の風量を変更することができる。
【0029】
(2-1-3)室内膨張弁39
室内膨張弁39は、冷房運転時に冷媒回路を流れる冷媒を減圧するための機構である。室内膨張弁39は、開度調整が可能な電動弁である。室内膨張弁39は、冷媒圧力及び冷媒流量の調節を行う。
【0030】
(2-2)室外ユニット11
室外ユニット11は、ビル等の建物の外に設置される。室外ユニット11は、液冷媒連絡配管2とガス冷媒連絡配管3とを介して室内ユニット20に接続される。
【0031】
(2-2-1)ケーシング70
室外ユニット11は、略直方体状のケーシング70を有する。
図2に示されるように、ケーシング70の内部空間は、鉛直方向に延びる仕切り板78によって送風機室R1と機械室R2とに分けられる。送風機室R1には、室外熱交換器13及び室外ファン16が設置される。機械室R2内には、圧縮機19、四路切換弁15、及び、室外膨張弁14が設置される。
【0032】
図2及び
図3に示されるように、ケーシング70は、天板71と、底板72と、送風機室R1の側板である左側板73と、機械室R2の側板である右側板74と、送風機室R1の前板である左前板75と、機械室R2の前板である右前板76とを有する。右側板74の下方には、液閉鎖弁4及びガス閉鎖弁5が配置されている。液閉鎖弁4は、液冷媒連絡配管2の端部に接続される。ガス閉鎖弁5は、ガス冷媒連絡配管3の端部に接続される。
【0033】
(2-2-2)圧縮機19
図4に示されるように、圧縮機19は、主として、圧縮機本体12とアキュームレータ17とから構成される。アキュームレータ17は、冷媒回路を流れる気液二相状態の低圧の冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離して、低圧のガス冷媒のみを圧縮機本体12に供給する。圧縮機本体12は、アキュームレータ17から供給された低圧のガス冷媒を圧縮して、高圧のガス冷媒を吐出する。
【0034】
圧縮機本体12は、圧縮機用モータ12aによって駆動される圧縮機構12dを有する密閉式圧縮機である。圧縮機構12dは、ガス冷媒を圧縮する。圧縮機構12dは、例えば、ロータリー式の圧縮機構、及び、スクロール式の圧縮機構である。圧縮機構12dは、インバータ制御によって、圧縮されるガス冷媒の容量を変化させることができる。圧縮機本体12は、第1ケーシング12fを有する。第1ケーシング12fは、圧縮機用モータ12a及び圧縮機構12dなどを収容する金属製の容器である。第1ケーシング12fの上面には、上方に延びる吐出管12gが取り付けられる。吐出管12gは、例えば、銅管である。
【0035】
アキュームレータ17は、圧縮機本体12の第1ケーシング12fの外側に配置される。アキュームレータ17は、第2ケーシング17fを有する。第2ケーシング17fは、内部において気液二相状態の冷媒がガス冷媒と液冷媒とに分離される金属製の容器である。第2ケーシング17fの上面には、上方に延びる吸入管17gが取り付けられる。吸入管17gは、例えば、銅管である。第2ケーシング17fの下面には、下方に延びる2本の接続配管17hが取り付けられる。接続配管17hは、第2ケーシング17fの下方において水平方向に延びるように曲がっているL字形状を有する。接続配管17hの水平方向に延びる部分の端部は、第1ケーシング12fの側面を貫通して圧縮機構12dに連結されている。接続配管17hは、例えば、銅管である。接続配管17hは、第2ケーシング17fの内部空間において、第2ケーシング17fの鉛直方向の中心より上方の位置まで延びている。第2ケーシング17fの下面には、1本の接続配管17hのみが取り付けられてもよい。
【0036】
冷媒回路を流れる気液二相状態の冷媒は、吸入管17gを流れて、アキュームレータ17の第2ケーシング17f内に供給される。第2ケーシング17f内において、気液二相状態の冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とに分離される。分離された液冷媒は、第2ケーシング17f内に貯留される。分離された低圧のガス冷媒は、接続配管17hを流れて、圧縮機本体12の第1ケーシング12f内の圧縮機構12dに供給される。圧縮機構12dは、低圧のガス冷媒を圧縮して、高圧のガス冷媒を生成する。高圧のガス冷媒は、圧縮機構12dから、第1ケーシング12fの内部空間に吐出され、吐出管12gを流れて冷媒回路に供給される。
【0037】
圧縮機本体12及びアキュームレータ17は、第1ケーシング12f及び第2ケーシング17fが互いに離れるように配置されている。圧縮機本体12及びアキュームレータ17は、固定部材27によって互いに連結されている。固定部材27は、第1ケーシング12fに第2ケーシング17fを固定するための部材である。固定部材27は、例えば、第1ケーシング12f及び第2ケーシング17fをクランプする金属製の部材である。固定部材27の材質は、例えば、ステンレス鋼である。
【0038】
(2-2-3)室外熱交換器13
室外熱交換器13は、例えば、伝熱管と多数のフィンとから構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室外熱交換器13は、冷房運転時には冷媒の放熱器(凝縮器)として機能する。室外熱交換器13は、暖房運転時には冷媒の吸熱器(蒸発器)として機能する。室外熱交換器13の一端は、四路切換弁15と接続されている。室外熱交換器13の他端は、室外膨張弁14と接続されている。
【0039】
(2-2-4)室外膨張弁14
室外膨張弁14は、暖房運転時に冷媒回路を流れる冷媒を減圧するための機構である。室外膨張弁14は、開度調整が可能な電動弁である。室外膨張弁14は、冷媒圧力及び冷媒流量の調節を行う。
【0040】
(2-2-5)四路切換弁15
四路切換弁15は、4つのポートを有する。第1ポートP1は、圧縮機19の吐出側(吐出管12g)に接続される。第2ポートP2は、圧縮機19の吸入側(吸入管17g)に接続される。第3ポートP3は、室外熱交換器のガス側に接続される。第4ポートP4は、ガス閉鎖弁5に接続される。
【0041】
四路切換弁15は、第1状態(
図1の実線で示される状態)と第2状態(
図1の破線で示される状態)とを切り替え可能である。第1状態の四路切換弁15では、第1ポートP1と第3ポートP3とが連通し、かつ、第2ポートP2と第4ポートP4とが連通する。第2状態の四路切換弁15では、第1ポートP1と第4ポートP4とが連通し、かつ、第2ポートP2と第3ポートP3とが連通する。
【0042】
(2-2-6)室外ファン16
室外ファン16は、送風機室R1において、室外熱交換器13と対向するように配置される。室外ファン16は、室外熱交換器13を流れる冷媒との間で熱交換をさせる室外空気を、室外熱交換器13に供給する。室外ファン16は、送風機室R1に室外空気を導き、熱交換された室外空気をケーシング70の外部に吹き出す。
【0043】
室外ファン16は、駆動源である室外ファンモータ16aを有する。空気調和装置10は、室外ファンモータ16aの回転数を変更して、室外熱交換器13に供給される空気の風量を変更することができる。
【0044】
(3)空気調和装置10の動作
空気調和装置10は、冷房運転及び暖房運転を行う。冷房運転及び暖房運転が開始すると、圧縮機構12d、室内ファン30、及び、室外ファン16は、停止状態から運転状態に移行する。
【0045】
(3-1)冷房運転
冷房運転では、四路切換弁15は、
図1の実線で示される状態となる。これにより、冷媒回路では、室外熱交換器13が凝縮器となり、室内熱交換器32が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
【0046】
具体的には、圧縮機本体12で圧縮された冷媒は、室外熱交換器13を通過して室外空気と熱交換される。室外熱交換器13では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器13で放熱した冷媒は、室内ユニット20へ送られる。
【0047】
室内ユニット20では、冷媒は、室内膨張弁39で減圧された後、室内熱交換器32を通過して、室内ファン30から供給される室内空気と熱交換される。室内熱交換器32では、冷媒は室内空気から吸熱して蒸発し、室内空気は冷媒によって冷却される。
【0048】
室内熱交換器32で冷却された空気は、室内空間へ供給される。室内熱交換器32で蒸発した冷媒は、室外ユニット11へ送られて、圧縮機本体12に吸入されて再び圧縮される。
【0049】
(3-2)暖房運転
暖房運転では、四路切換弁15は、
図1の破線で示される状態となる。これにより、冷媒回路では、室内熱交換器32が凝縮器となり、室外熱交換器13が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
【0050】
具体的には、圧縮機本体12で圧縮された冷媒は、室内ユニット20の室内熱交換器32を通過して、室内ファン30から供給される室内空気と熱交換される。室内熱交換器32では、冷媒は室内空気へ放熱して凝縮し、室内空気は冷媒によって加熱される。
【0051】
室内熱交換器32で加熱された空気は、室内空間へ供給される。室内熱交換器32で放熱した冷媒は、室外ユニット11へ送られて、室外膨張弁14で減圧された後、室外熱交換器13を通過して室外空気と熱交換される。室外熱交換器13では、冷媒は室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器13で蒸発した冷媒は、圧縮機本体12に吸入されて再び圧縮される。
【0052】
(4)第1ケーシング12f及び第2ケーシング17fの説明
圧縮機本体12の第1ケーシング12fは、外側の表面である第1外表面12sを有する。アキュームレータ17の第2ケーシング17fは、外側の表面である第2外表面17sを有する。
【0053】
第1外表面12sには、樹脂塗装が施されている。これにより、第1外表面12sの少なくとも一部は、樹脂塗装層に覆われている。樹脂塗装層の厚みは、10μm~1000μmである。樹脂塗装層の厚みは、好ましくは10μm~100μmである。
【0054】
第2外表面17sには、金属溶射が施されている。これにより、第2外表面17sの少なくとも一部は、金属溶射層に覆われている。金属溶射層の厚みは、100μm~3000μmである。金属溶射層の厚みは、好ましくは300μm~1000μmである。
【0055】
第2外表面17sの金属溶射に用いられる金属は、第2ケーシング17fの材質である金属よりも、イオン化傾向が大きいことが好ましい。例えば、第2ケーシング17fの材質が鉄である場合、第2外表面17sの金属溶射に用いられる金属は、アルミニウムである。本実施形態では、アルミニウムの溶射により、第2外表面17sの少なくとも一部が、アルミニウム溶射層に覆われている。アルミニウムの代わりにアルミニウム合金が、第2外表面17sの金属溶射に用いられてもよい。
【0056】
本実施形態では、第1外表面12sの全体が樹脂塗装層に覆われる。本実施形態では、第2外表面17sの全体が金属溶射層に覆われている。
図5には、樹脂塗装層に覆われている第1外表面12sが、破線でハッチングされた領域として示され、金属溶射層に覆われている第2外表面17sの範囲が、実線でハッチングされた領域として示されている。
【0057】
(5)特徴
(5-1)
空気調和装置10の運転(冷房運転又は暖房運転)が行われている間、アキュームレータ17の第2ケーシング17f内には、圧縮機本体12で圧縮される前の低温低圧の冷媒が吸入管17gから流入する。そのため、空気調和装置10の運転が開始されると、アキュームレータ17の第2外表面17sの温度は低下する。第2外表面17sの温度が氷点下まで低下すると、アキュームレータ17の周囲の空気中の水分が凍結して第2外表面17sに氷が付着する。その状態で、空気調和装置10の運転を停止させると、第2外表面17sの温度が上昇して、第2外表面17sに付着した氷が融解する。このように、空気調和装置10の運転の開始及び停止の繰り返しにより、アキュームレータ17の第2外表面17sは、温度変化、及び、空気中の水分の凍結・融解による冷熱ストレスを受けやすい。第2外表面17sにおける錆の発生を抑制する目的で、第2外表面17sに樹脂塗装が施されても、樹脂は冷熱ストレスに弱く、樹脂塗装層が第2外表面17sから剥がれ落ちやすい課題がある。
【0058】
本実施形態の圧縮機19では、圧縮機本体12の第1外表面12sに樹脂塗装が施され、かつ、アキュームレータ17の第2外表面17sに金属溶射が施されている。第2外表面17sを覆う金属溶射層は、樹脂塗装層と比較して冷熱ストレスに強い。そのため、空気調和装置10の運転の開始及び停止の繰り返しにより、アキュームレータ17の第2外表面17sから金属溶射層が剥がれ落ちにくい。
【0059】
従って、本実施形態の圧縮機19では、アキュームレータ17の第2外表面17sの錆の発生が抑えられる。また、第2外表面17sの錆が原因で第2外表面17sに穴が形成され、第2ケーシング17fの内部空間から冷媒が漏れ出るなどの不具合の発生が抑制される。
【0060】
(5-2)
本実施形態の圧縮機19が、冷凍トラックなどに装着される冷凍機に用いられる場合、吸入管17gから第2ケーシング17f内に流入する冷媒の温度は、例えば、-15℃以下と非常に低温になることがある。その場合、空気調和装置10の運転の開始及び停止の繰り返しにより、アキュームレータ17の第2外表面17sは、強い冷熱ストレスを受けやすい。そのため、アキュームレータ17の第2外表面17sに金属溶射を施すことで、第2外表面17sから金属溶射層が剥がれ落ちることが抑制される。
【0061】
従って、本実施形態の圧縮機19は、圧縮機本体12で圧縮される前の冷媒の温度が非常に低くなる冷媒サイクル装置の不具合の発生の抑制に効果的である。
【0062】
(5-3)
本実施形態の圧縮機19では、圧縮機本体12の第1外表面12sには樹脂塗装が施されている。圧縮機本体12の第1ケーシング12f内には、アキュームレータ17の第2ケーシング17f内で分離されたガス冷媒のみが供給される。アキュームレータ17内で分離されて第1ケーシング12f内に供給されるガス冷媒の温度は、アキュームレータ17内で分離される前の冷媒の温度よりも高い。そのため、圧縮機本体12の第1外表面12sが受ける冷熱ストレスは、アキュームレータ17の第2外表面17sが受ける冷熱ストレスよりも小さい。
【0063】
従って、圧縮機本体12の第1外表面12sを覆う樹脂塗装層は、空気調和装置10の運転の開始及び停止の繰り返しによる冷熱ストレスによって剥がれ落ちにくい。金属溶射は、樹脂塗装よりもコストが高いので、圧縮機本体12の第1外表面12sに樹脂塗装を施すことで、第1外表面12sに金属塗装を施す場合よりも、コストを抑えることができる。また、第1外表面12sに樹脂塗装を施すことで、第1外表面12sの錆の発生が抑えられる。
【0064】
(5-4)
本実施形態の圧縮機19では、第2外表面17sの少なくとも一部は、アルミニウム溶射層に覆われている。アルミニウムを用いる溶射は、亜鉛などの他の金属を用いる溶射と比較して、低コストであり、かつ、第2外表面17sへの密着性が高い。
【0065】
また、例えば、第2ケーシング17fの材質が鉄である場合、鉄よりもイオン化傾向が大きいアルミニウムを第2外表面17sに溶射することで、金属溶射層は犠牲防食作用を発揮する。そのため、金属溶射層が剥がれ落ちて、第2外表面17sの一部が外気に露出しても、露出した箇所よりも周囲の金属溶射層が先に溶出しやすいので、第2ケーシング17fの錆の発生が抑えられる。
【0066】
<第2実施形態>
本実施形態の圧縮機19及び空気調和装置10は、第1実施形態の圧縮機19及び空気調和装置10と、基本的な構成及び動作が共通する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
(1)防音カバー50の全体構成
本実施形態の圧縮機19は、防音カバー50によって覆われている。具体的には、
図3において、液閉鎖弁4及びガス閉鎖弁5が取り付けられている閉鎖弁取り付け板90の背面側に、圧縮機19を覆う防音カバー50が配置されている。これにより、圧縮機本体12の振動が圧縮機19の外部に伝達することで発生する騒音が抑えられる。
【0068】
図6に示されるように、防音カバー50の上部から吐出管12g及び吸入管17gが突き出ている。本実施形態では、
図7に示されるように、防音カバー50は、圧縮機本体12及びアキュームレータ17の周囲に巻き付けられるように配置される。この場合、防音カバー50は、例えば、圧縮機本体12、アキュームレータ17、接続配管17h、吐出管12gの一部、及び、吸入管17gの一部を覆う1枚のシートから構成される。
【0069】
防音カバー50は、複数の部材から構成されてもよい。例えば、防音カバー50は、第1方向から圧縮機19を覆う部材と、第1方向とは異なる第2方向から圧縮機19を覆う部材とが互いに接着されて構成されてもよい。
【0070】
防音カバー50は、圧縮機本体12の第1ケーシング12f、及び、アキュームレータ17の第2ケーシング17fとの間に空気層が形成されるように配置されることが好ましい。これにより、防音カバー50が圧縮機本体12と接触する部分を小さくできるので、圧縮機本体12の振動が防音カバー50に伝達されにくくなり、空気調和装置10の運転中の騒音が抑えられる。
【0071】
防音カバー50は、少なくとも一部が弾性部材からなる。弾性部材は、例えば、ゴム及び樹脂などのポリマーである。これにより、圧縮機本体12の振動の一部が防音カバー50に吸収されるので、空気調和装置10の運転中の騒音が抑えられる。
【0072】
(2)防音カバー50の具体例
次に、防音カバー50の構成の具体例について、
図8~11を参照しながら説明する。
図8~11は、
図7と同様の断面図である。
【0073】
防音カバー50の以下の3つの例では、防音カバー50の少なくとも一部は、複数種類の材質が積層される層状構造を有する。この場合、防音カバー50は、例えば、所定の材質を積層させて得られるシート状の部材を、高温の金型内で圧力を加えて所定の形状に成形したものである。
【0074】
(2-1)防音カバー50の第1の例
図8に示されるように、防音カバー50の第1の例は、第1層51aと第2層51bと第3層51cとを有する。第2層51bは、第1層51aの内側に配置される。第3層51cは、第2層51bの内側に配置される。第1層51aは、弾性部材からなる。第1層51aは、防音カバー50の最外層であり、圧縮機19の全周に配置されている。第2層51bは、断熱部材からなる。断熱部材は、例えば、フェルト及びグラスウールである。第2層51bは、圧縮機19の全周に配置されている。第3層51cは、金属からなり、例えば、アルミニウム膜である。第3層51cは、圧縮機19の周囲の一部に配置されている。
【0075】
第2層51bは、第1層51aの内側の面の全体と接触している。第3層51cは、第2層51bの内側の面の一部と接触している。第3層51cは、圧縮機本体12の第1外表面12sと接触し、かつ、アキュームレータ17の第2外表面17sと接触しない。そのため、第1外表面12sは、第3層51cと接触し、かつ、第2外表面17sは、第2層51bと接触している。
【0076】
防音カバー50の第1の例では、圧縮機本体12の第1外表面12sを覆う断熱部材(第2層51b)の内側に金属膜(第2層51b)が貼られている。そのため、アキュームレータ17の第2外表面17sに付着した水分が、断熱部材に吸収されてアキュームレータ17側から圧縮機本体12側に伝達しても、断熱部材内の水分が圧縮機本体12の第1外表面12sに付着することが金属膜によって抑制される。従って、圧縮機本体12の第1外表面12sに水分が付着することによる、第1外表面12sの錆の発生が抑えられる。
【0077】
なお、上述したように、第1外表面12sと第3層51cとの間、及び、第2外表面17sと第2層51bとの間に空気層が形成されるように、防音カバー50が配置されることが好ましい。
【0078】
(2-2)防音カバー50の第2の例
図9に示されるように、防音カバー50の第2の例は、第1層52aと第2層52bとを有する。第2層52bは、第1層52aの内側に配置される。第1層52aは、弾性部材からなる。第1層52aは、防音カバー50の最外層であり、圧縮機19の全周に配置されている。第2層52bは、断熱部材からなる。断熱部材は、例えば、フェルト及びグラスウールである。第2層52bは、圧縮機19の周囲の一部に配置されている。
【0079】
第2層52bは、第1層52aの内側の面の一部と接触している。具体的には、第2層52bは、第1部分層52b1と、第2部分層52b2とを有する。第1部分層52b1は、第2部分層52b2と接続されていない。言い換えると、第1部分層52b1と、第2部分層52b2との間には、断熱部材が存在しない隙間が形成されている。
【0080】
第1部分層52b1は、圧縮機本体12の第1外表面12sと接触し、かつ、第2部分層52b2は、アキュームレータ17の第2外表面17sと接触している。そのため、第1外表面12s及び第2外表面17sは、第2層52bと接触している。
【0081】
防音カバー50の第2の例では、圧縮機本体12を覆う断熱部材(第1部分層52b1)と、アキュームレータ17を覆う断熱部材(第2部分層52b2)とが分離されている。そのため、アキュームレータ17の第2外表面17sに付着した水分が断熱部材に吸収されても、アキュームレータ17側から圧縮機本体12側に断熱部材内の水分が伝達することが抑制されるので、圧縮機本体12の第1外表面12sに水分が付着することが抑制される。従って、圧縮機本体12の第1外表面12sに水分が付着することによる、第1外表面12sの錆の発生が抑えられる。
【0082】
なお、上述したように、第1外表面12sと第1部分層52b1との間、及び、第2外表面17sと第2部分層52b2との間に空気層が形成されるように、防音カバー50が配置されることが好ましい。
【0083】
(2-3)防音カバー50の第3の例
図10に示されるように、防音カバー50の第3の例は、第1層53aと第2層53bとを有する。第2層53bは、第1層53aの内側に配置される。第1層53aは、弾性部材からなる。第1層53aは、防音カバー50の最外層であり、圧縮機19の全周に配置されている。第2層53bは、断熱部材からなる。断熱部材は、例えば、フェルト及びグラスウールである。第2層53bは、圧縮機19の周囲の一部に配置されている。
【0084】
第2層53bは、第1層53aの内側の面の一部と接触している。第2層53bは、圧縮機本体12の第1外表面12sと接触し、かつ、アキュームレータ17の第2外表面17sと接触しない。そのため、第1外表面12sは、第2層53bと接触し、かつ、第2外表面17sは、第1層53aと接触している。
【0085】
防音カバー50の第3の例では、アキュームレータ17は断熱部材(第2層53b)に覆われていない。そのため、アキュームレータ17の第2外表面17sに付着した水分は断熱部材に吸収されないので、アキュームレータ17側から圧縮機本体12側に断熱部材内の水分が伝達して圧縮機本体12の第1外表面12sに水分が付着することが抑制される。従って、圧縮機本体12の第1外表面12sに水分が付着することによる、第1外表面12sの錆の発生が抑えられる。
【0086】
なお、上述したように、第1外表面12sと第2層53bとの間、及び、第2外表面17sと第1層53aとの間に空気層が形成されるように、防音カバー50が配置されることが好ましい。
【0087】
<変形例>
以下の変形例A~Cに関する
図11では、樹脂塗装層に覆われている第1外表面12sが、破線でハッチングされた領域として示され、金属溶射層に覆われている第2外表面17sの範囲が、実線でハッチングされた領域として示されている。
【0088】
(1)変形例A
アキュームレータ17に取り付けられる吸入管17gに、金属溶射が施されてもよい。この場合、
図11に示されるように、吸入管17gの外表面の一部は、金属溶射層に覆われている。金属溶射層は、例えば、アルミニウム溶射層である。金属溶射層に覆われている部分は、アキュームレータ17の第2ケーシング17fと吸入管17gとの接続部を含む所定の範囲である。
【0089】
吸入管17gは、内部を低温低圧の冷媒が流れるので、冷熱ストレスを受けやすい。そのため、吸入管17gの外表面に金属溶射を施すことで、吸入管17gの外表面の錆の発生が抑えられる。これにより、吸入管17gから冷媒が漏れ出るなどの不具合の発生が抑制される。
【0090】
(2)変形例B
アキュームレータ17に取り付けられる接続配管17hの外表面に、金属溶射が施されてもよい。この場合、
図11に示されるように、接続配管17hの外表面の一部は、金属溶射層に覆われている。金属溶射層は、例えば、アルミニウム溶射層である。金属溶射層に覆われている部分は、アキュームレータ17の第2ケーシング17fと接続配管17hとの接続部を含む所定の範囲である。
【0091】
接続配管17hは、内部を低温低圧の冷媒が流れるので、冷熱ストレスを受けやすい。そのため、接続配管17hの外表面に金属溶射を施すことで、接続配管17hの外表面の錆の発生が抑えられる。これにより、接続配管17hから冷媒が漏れ出るなどの不具合の発生が抑制される。
【0092】
また、接続配管17hの外表面に、樹脂塗装がさらに施されてもよい。この場合、
図11に示されるように、接続配管17hの外表面の一部は、樹脂塗装層に覆われている。樹脂塗装層に覆われている部分は、圧縮機本体12の第1ケーシング12fと接続配管17hとの接続部を含む所定の範囲である。樹脂塗装層は、金属溶射層から離れた範囲に形成されている。
【0093】
(3)変形例C
圧縮機本体12に取り付けられる吐出管12gの外表面に、樹脂塗装がさらに施されてもよい。この場合、
図11に示されるように、吐出管12gの外表面の一部は、樹脂塗装層に覆われている。樹脂塗装層に覆われている部分は、圧縮機本体12の第1ケーシング12fと吐出管12gとの接続部を含む所定の範囲である。
【0094】
(4)変形例D
実施形態では、アキュームレータ17の第2ケーシング17fの第2外表面17sは、金属溶射層に覆われている。この場合、金属溶射層の厚みが第2外表面17s上の位置に応じて異なるように、第2外表面17sに金属溶射が施されてもよい。
【0095】
例えば、金属溶射層の厚みが鉛直方向に沿って変化するように、第2外表面17sに金属溶射が施されてもよい。第2ケーシング17fの内部空間の下部には、液冷媒が貯留されるので、空気調和装置10の運転中、第2外表面17sの下部の温度は、第2外表面17sの上部の温度よりも低くなる傾向を示す。そのため、第2外表面17sの下部の金属溶射層の厚みが、第2外表面17sの上部の金属溶射層の厚みよりも大きくなるように、第2外表面17sに金属溶射が施されてもよい。第2外表面17sの下部は、例えば、第2ケーシング17fの鉛直方向の中心よりも下方の部分である。第2外表面17sの上部は、例えば、第2ケーシング17fの鉛直方向の中心よりも上方の部分である。
【0096】
また、金属溶射層の厚みが、下方に行くに従って徐々に増加するように、又は、下方に行くに従って段階的に増加するように、第2外表面17sに金属溶射が施されてもよい。
【0097】
第2外表面17sを覆う金属溶射層の厚みが大きいほど、金属溶射層は冷熱ストレスによって第2外表面17sから剥がれ落ちにくくなる。第2ケーシング17fの第2外表面17sが受ける冷熱ストレスは、鉛直方向に沿って下方に行くほど強くなる傾向を示す。従って、金属溶射層の厚みが鉛直方向に沿って変化するように、第2外表面17sに金属溶射を施すことで、アキュームレータ17の第2外表面17sの錆の発生が抑えられる。
【0098】
(5)変形例E
固定部材27が、第1ケーシング12f及び第2ケーシング17fをクランプする金属製の部材である場合、固定部材27と第1ケーシング12fとの間に非金属部材が配置されてもよい。非金属部材は、例えば、ゴムなどの弾性部材である。これにより、空気調和装置10の運転中において、圧縮機本体12の振動が固定部材27を介してアキュームレータ17に伝達されることが抑えられる。従って、圧縮機本体12の振動が圧縮機19の外部に伝達することで発生する騒音が抑えられる。
【0099】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0100】
10 :空気調和装置(冷媒サイクル装置)
12 :圧縮機本体
12d :圧縮機構
12f :第1ケーシング
12s :第1外表面
17 :アキュームレータ
17f :第2ケーシング
17h :接続配管(配管)
17s :第2外表面
19 :圧縮機
27 :固定部材(第1部材)
50 :防音カバー(第2部材)
51a,52a,53a :第1層
51b,52b,53b :第2層
51c :第3層
52b1:第1部分層
52b2:第2部分層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】