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特開2024-27112有機半導体ポリマーおよびそれを含む有機光電子デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027112
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】有機半導体ポリマーおよびそれを含む有機光電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 85/10 20230101AFI20240221BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20240221BHJP
   C07D 421/04 20060101ALI20240221BHJP
   C07D 409/04 20060101ALI20240221BHJP
   C07D 417/04 20060101ALI20240221BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20240221BHJP
   H10K 50/11 20230101ALI20240221BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240221BHJP
   H10K 30/60 20230101ALI20240221BHJP
   H10K 30/30 20230101ALI20240221BHJP
   H10K 101/30 20230101ALN20240221BHJP
【FI】
H10K85/10
C07D513/04 301
C07D421/04
C07D409/04
C07D417/04
C08G61/12
H10K50/11
H10K59/10
H10K30/60
H10K30/30
H10K101:30
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132523
(22)【出願日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】63/398,465
(32)【優先日】2022-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/373,108
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514238696
【氏名又は名称】レイナジー テック インコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】リン-チェ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ユ-タン シァオ
(72)【発明者】
【氏名】チュア-イ リァオ
(72)【発明者】
【氏名】ファン-ニン リ
(72)【発明者】
【氏名】クェン-ウェイ サイ
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
4C072
4J032
5F149
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107AA03
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC04
3K107CC07
3K107CC45
3K107DD53
3K107DD60
3K107DD66
3K107FF06
3K107FF13
3K107FF19
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC92
4C063DD34
4C063DD68
4C063DD69
4C063EE05
4C072AA01
4C072BB02
4C072BB06
4C072CC04
4C072CC16
4C072EE12
4C072FF08
4C072GG01
4C072HH06
4C072JJ02
4C072JJ03
4J032BA04
4J032BA12
4J032BA18
4J032BB03
4J032BB05
4J032BC03
4J032BC12
4J032BD02
5F149AA03
5F149AB11
5F149BA01
5F149BA05
5F149BA09
5F149CB05
5F149CB11
5F149FA02
5F149FA03
5F149FA04
5F149FA05
5F149GA02
5F149LA01
5F149XA01
5F149XA33
5F149XA53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好な吸収波長域および光学応答性能を有する有機半導体ポリマー等を提供する。
【解決手段】下記式で表される有機半導体ポリマー。

X、Yは、それぞれ、式I、式IIで表される繰返し単位であり、A基およびA基は、電子吸引基であり、D基およびD基は、電子供与基である。


A2基は、下記を含まない。

【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式で表される有機半導体ポリマー:
【化1】

式中、Xは、式Iで表される第1の繰返し単位であり;
【化2】

Yは、式IIで表される第2の繰返し単位であり;
【化3】

基およびA基は、電子吸引基であり、前記A基は前記A基とは異なり、前記A基は、
【化4】

を含まず;
基およびD基は、電子供与基であり;
sp~spは、非置換アリーレン基、置換アリーレン基、非置換ヘテロアリーレン基、および置換ヘテロアリーレン基からなる群から独立して選択され;
aおよびbは実数であり、0<a<1、0<b<1、a+b=1であり;
c、d、e、およびfは、それぞれ、0~5から選択される整数であり、互いに独立しており;ならびに
前記第1の繰返し単位Xの吸収波長は1000nmより長く、前記第2の繰返し単位Yの吸収波長は1000nm未満である。
【請求項2】
基およびD基は、以下からなる群から独立して選択される、請求項1に記載の有機半導体ポリマー:
【化5】

式中、R~Rは、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、C3~C30ケト基含有炭化水素基、およびC5~C20環式炭化水素基、C5~C20ヘテロ環式炭化水素基、C5~C20アリール基、およびC5~C20ヘテロアリール基からなる群から独立して選択され、前記環式炭化水素基、前記ヘテロ環式炭化水素基、前記アリール基、および前記ヘテロアリール基は、非置換であるかもしくはR~Rのうちの少なくとも1つで置換されており、且つ単環式、多環式、または縮合環であり;ならびに
~Rは、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、およびC3~C30ケト基含有炭化水素基からなる群から独立して選択される。
【請求項3】
基は、以下からなる群から選択される、請求項1に記載の有機半導体ポリマー:
【化6】

式中、Xは、酸素(O)、硫黄(S)、またはセレン(Se)から選択され;
10およびR11は、水素原子、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、C3~C30ケト基含有炭化水素基、およびC5~C20環式炭化水素基、C5~C20ヘテロ環式炭化水素基、C5~C20アリール基、およびC5~C20ヘテロアリール基からなる群から独立して選択され、前記環式炭化水素基、前記ヘテロ環式炭化水素基、前記アリール基、および前記ヘテロアリール基は、非置換であるかもしくはR13~R17のうちの少なくとも1つで置換されており、且つ単環式、多環式、または縮合環であり;ならびに
13~R17は、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、およびC3~C30ケト基含有炭化水素基からなる群から独立して選択される。
【請求項4】
基は、以下からなる群から選択される、請求項1に記載の有機半導体ポリマー;
【化7】

式中、Xは、酸素(O)、硫黄(S)、またはセレン(Se)から選択され;
18~R19は、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、およびC3~C30ケト基含有炭化水素基からなる群から独立して選択され;
20~R21は、水素原子、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、C3~C30ケト基含有炭化水素基、およびC5~C20環式炭化水素基、C5~C20ヘテロ環式炭化水素基、C5~C20アリール基、およびC5~C20ヘテロアリール基からなる群から独立して選択され、前記環式炭化水素基、前記ヘテロ環式炭化水素基、前記アリール基、および前記ヘテロアリール基は、非置換であるかもしくはR22~R26のうちの少なくとも1つで置換されており、且つ単環式、多環式、または縮合環であり;ならびに
22~R26は、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、およびC3~C30ケト基含有炭化水素基からなる群から独立して選択される。
【請求項5】
sp~spは、以下からなる群から独立して選択される、請求項1に記載の有機半導体ポリマー:
【化8】

式中、Xは、酸素(O)、硫黄(S)、またはセレン(Se)から選択され;
2728は、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、およびC3~C30ケト基含有炭化水素基からなる群から独立して選択される。
【請求項6】
薄いフィルムの形態における前記有機半導体ポリマーの光学バンドギャップEgoptは、0.9eV未満である、請求項1に記載の有機半導体ポリマー。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に配置され、第1の電極および第2の電極とから構成される、電極モジュールと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、請求項1に記載の有機半導体ポリマーのうちの少なくとも1種を含む、活性層と、
を備え、
前記第1の電極および前記第2の電極を含む前記電極のうちの少なくとも1つは、透明材料または半透明材料から作製される、
有機光電子デバイス。
【請求項8】
前記第1の電極、前記活性層および前記第2の電極は、前記基板上に下から上に順に配置される、請求項7に記載の有機光電子デバイス。
【請求項9】
前記第2の電極、前記活性層および前記第1の電極は、前記基板上に下から上に順に配置される、請求項7に記載の有機光電子デバイス。
【請求項10】
前記活性層は、少なくとも1種のp型有機半導体ポリマーと、少なくとも1種のn型有機半導体化合物とを含み、前記p型有機半導体ポリマーは、請求項1に記載のポリマーを含む、請求項7に記載の有機光電子デバイス。
【請求項11】
n型半導体化合物のうちの少なくとも1種の光学バンドギャップE optは、2.0eV以下である、請求項7に記載の有機光電子デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ポリマーおよびそれを含む有機光電子デバイスに関し、特に、良好な物理的および化学的特性を有する有機半導体ポリマーおよびそれを含む有機光電子デバイスに関する。有機半導体ポリマーは、環境に優しい有機溶媒によって処理することができ、生産に便利であり、且つ環境への影響がより少なく、それを含む有機光電子コンポーネントは、赤外線領域において優れた応答を有する。
【背景技術】
【0002】
近年、より一般的な電子機器をより低コストで製造するために、有機半導体化合物に対する要求が高まっている。従来の半導体材料と比較して、有機半導体化合物は、より広い吸収域、より高い吸収係数、および調整可能な構造を有する。その吸収域、エネルギーギャップおよび溶解性もまた、使用者の要求に応じて調節することができる。さらに、有機材料は、コスト、柔軟性、より低い毒性、および大面積製造において利点を有する。有機オプトエレクトロニクス材料は、種々の用途において良好な競争力を有する。用途には、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)、有機光検出器(OPD)、有機太陽光(OPV)電池、トランスデューサ、メモリコンポーネントおよび論理回路のそれぞれのコンポーネントおよびアセンブリなどが含まれる。上記の用途のコンポーネントまたはアセンブリにおいて、有機半導体材料は、50nm~1μmの範囲の厚さを有する薄いフィルムの形態である。
【0003】
近年、有機光検出器(OPD)は、環境中の異なる波長を有する光を検出することにおいて、有機オプトエレクトロニクスにおける新規かつ開発中の分野の1つである。それは、医療、健康管理、インテリジェントドライブ、ドローンまたはデジタルホームに適用することができる。対応する用途に応じて異なる材料のニーズがある。さらに、有機材料の利用は、デバイスを柔軟にする。材料科学の開発下で、OPDは、特定の波長応答性を有する薄いフィルムとして動作することができる。市販されている製品は、対応する波長を有する種々の材料に関して異なる動作ニーズを有する。構造の変更は有機材料の光吸収域を調整可能にしながら、有機材料は各用途のための異なる要件を満たすために良好な柔軟性を有する。有機材料の特定の波長吸収は、ノイズの低減に有効である。有機材料の高い減衰係数はまた、応答性を改善する。検出能は、光検出器の品質を評価するための性能指数である。良好な検出能は、高い応答性および低い暗電流と密接に関連している。
【0004】
さらに、OPDの応答領域は、近年、UV-VISから近赤外線(NIR)へと徐々に赤方偏移している。NIR光は、低分散、高透過率を特徴とし、インテリジェントドライブ、ドローン、および暗視デバイスとして適用された。波長1300nmを超える検出を伴うOPDは、長距離検出、低光損失、および光通信において積極的に使用されているより良好な透過率のために、大きな注目を集めている。
【0005】
OPDにおいて、性能に直接対応する活性層(ATL)の材料が、デバイスにおける重要な役割を果たす。これらの物質は、ドナーおよびアクセプターに分けられる。ドナーは、有機ポリマー、オリゴマー、または限定された分子量を有する小分子であり得る。ここで、D-A型共役ポリマーは、最も一般的なドナー材料の1つである。D-A型ポリマーのエネルギー準位およびエネルギーギャップは、ポリマー中の電子リッチ(D)単位と電子欠乏(A)単位との間の相互作用および結果として生じるプッシュプル電子効果に起因して制御可能である。ATLにおいて使用されるアクセプターは、400~600nmの吸収を有するフラーレン誘導体、グラフェン、金属酸化物および量子ドットなどを含む。最近の市場ニーズに関して、NIR材料に対する需要が高まっている。特に、より長い波長吸収および良好な応答性を有する共役ポリマーが、最も実現可能なドナー材料である。1300nm以上で実用的であるためには、物質の光学バンドギャップ(E opt)が0.9eV未満でなければならない。さらに、OPDの動作において、バイアス電圧が印加される。しかし、ドナー材料として現在利用可能な有機ポリマーは、オプトエレクトロニクス用途に有害である-2V以上のバイアス下での高い暗電流に悩まされている。
【0006】
各国の環境規制および良好な加工性の必要性のために、環境にやさしい溶媒で加工できる材料が必須であり、湿式プロセスに有益である。特に、溶液プロセスにおけるハロゲン化有機溶媒の使用は避けるべきである。結論として、新しい有機半導体ポリマーのニーズがある。それは、赤外領域における吸収域がより優れていなければならない。有機半導体ポリマーに基づくデバイスは、バイアス電圧下で動作可能かつ耐久性であるべきである。さらに、デバイスの製造は、非ハロゲン化有機溶媒中で処理されるべきである。
【発明の概要】
【0007】
上述の利用可能な材料の欠点によれば、本発明の主な目的は、従来の材料の欠点を克服することができるp型半導体ポリマーである有機半導体ポリマーを提供し、且つ上述の特徴の少なくとも1つを提供することである。それは、大量生産において合成することができる。それは、1300nm以上の波長で光応答を有する。ポリマーは、デバイス製造中に良好な加工性および環境に優しい溶媒への溶解性を示し、これは大規模製造における溶液プロセスに有益である。
【0008】
本発明の別の目的は、本発明の有機半導体ポリマーを含む光電子デバイスが、1300nm以上の波長での光学応答性および優れた外部量子効率を提供することである。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る有機半導体ポリマーは、下記式で表される:
【化1】

式中、Xは、式Iで表される第1の繰返し単位であり;
【化2】

Yは、式IIで表される第2の繰返し単位であり;
【化3】

基およびA基は、互いに独立した電子吸引基であり、前記A基は前記A基とは異なり、前記A基は、
【化4】

を含まず;
基およびD基は、互いに独立した電子供与基であり;
sp~spは、非置換アリーレン基、置換アリーレン基、非置換ヘテロアリーレン基、および置換ヘテロアリーレン基からなる群から独立して選択され;
aおよびbは実数であり、0<a<1、0<b<1、a+b=1であり;
c、d、e、およびfは、それぞれ、0~5から選択される整数であり、互いに独立しており;ならびに
前記第1の繰返し単位Xの吸収波長は1000nmより長く、前記第2の繰返し単位Yの吸収波長は1000nm未満である。
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る有機光電子デバイスは、基板と、当該基板上に配置された第1の電極と、当該第1の電極上に配置され、且つ上記の有機半導体ポリマーの少なくとも1種を含む活性層と、当該活性層上に配置された第2の電極と、を備える。2つの電極、前記第1の電極および前記第2の電極、のうちの少なくとも1つは、透明または半透明である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明に係る有機光電子デバイスの実施形態の構造を示す概略図である。
図1B】本発明に係る有機光電子デバイスの実施形態の構造を示す概略図である。
図1C】本発明に係る有機光電子デバイスの実施形態の構造を示す概略図である。
図1D】本発明に係る有機光電子デバイスの実施形態の構造を示す概略図である。
図1E】本発明に係る有機光電子デバイスの実施形態の構造を示す概略図である。
図1F】本発明に係る有機光電子デバイスの実施形態の構造を示す概略図である。
図2A】本発明に係る有機半導体ポリマーの光吸収特性を示すグラフである。
図2B】本発明に係る有機半導体ポリマーの光吸収特性を示すグラフである。
図3A】本発明に係る有機光電子デバイスの実施形態の試験結果を示すグラフである。
図3B】本発明に係る有機光電子デバイスの実施形態の試験結果を示すグラフである。
図3C】本発明に係る有機光電子デバイスの実施形態の試験結果を示すグラフである。
【0012】
〔発明の詳細な説明〕
本発明に係る有機半導体ポリマーは、ドナー単位と、異なる電子吸引能力を有する2つのアクセプター単位との共重合によって合成されるランダムコポリマーである。予想されるエネルギーギャップ、エネルギー準位、および溶解性を有する有機半導体ポリマーは、ポリマー中のアクセプターの構造の変更によって取得することができる。
【0013】
本発明における用語「ランダムコポリマー」は、2つ以上の繰返し単位を含むコポリマーとして理解されるべきであり、当該2つ以上の繰返し単位は、ランダムな順序でコポリマー中に現れる。
【0014】
本発明における用語「ドナー」は、別の化合物または化合物中の原子団に電子を供与する化学物質である電子供与体として理解されるべきである。用語「アクセプター」は、別の化合物または化合物中の原子団からそれに移動した電子を受容する化学物質である電子受容体として理解されるべきである。
【0015】
本発明に係る有機半導体ポリマーは、以下の特徴を有する。
【0016】
1.有機半導体ポリマーは、それぞれ第1の繰返し単位および第2の繰返し単位を形成する、ドナー単位と、異なる電子吸引能力を有する2つのアクセプター単位との重合によって形成される。第1の繰返し単位および第2の繰返し単位は、それぞれ、1000nmを超える吸収極大波長および1000nm未満の吸収極大波長を有する。
【0017】
2.有機半導体ポリマーの光学バンドギャップは0.9eV未満であり、有機半導体ポリマーは波長1300nm以上で光学応答を有する。
【0018】
3.有機半導体ポリマーのLUMOはより低く、フラーレン系材料および非フラーレン系材料と適合性がある。
【0019】
4.有機半導体ポリマーのエネルギー準位は、第2の繰返し単位の変更によって効果的に調節することができる。これは、異なるn型非フラーレン材料との組合せにおいて使用するための大きな可能性を示す。
【0020】
5.高暗電流および低検出性能は、OPDにおける0.9eV未満のE optを有する材料の主な課題である。本発明における第2の繰返し単位は、暗電流を効果的に抑制し、検出能を向上させることができる。
【0021】
6.有機半導体ポリマーは、環境に優しい非ハロゲン化溶媒を用いた湿式プロセスにおいて実用的である。
【0022】
本発明に係る有機半導体ポリマーは、既に公知の文献に記載された方法を用いて、当業者によって調製することができる。有機半導体ポリマーの調製は、以下の実施形態においてさらに説明される。
【0023】
本発明に係る有機半導体ポリマーは、下記式で表される:
【化5】

式中、Xは、式Iで表される第1の繰返し単位であり;
【化6】

Yは、式IIで表される第2の繰返し単位であり;
【化7】

基およびA基は電子吸引基であり、前記A基は前記A基とは異なり、前記A基は、
【化8】

を含まず;
基およびD基は、互いに独立した電子供与基であり;
sp~spは、非置換アリーレン基、置換アリーレン基、非置換ヘテロアリーレン基、および置換ヘテロアリーレン基からなる群から独立して選択され;
aおよびbは実数であり、0<a<1、0<b<1、a+b=1であり;
c、d、e、およびfは、それぞれ、0~5から選択される整数であり、互いに独立しており;ならびに
前記第1の繰返し単位Xの吸収波長は1000nmより長く、前記第2の繰返し単位Yの吸収波長は1000nm未満である。
【0024】
本発明の文脈において言及されるポリマーまたは繰返し単位におけるアスタリスク(*)は、ポリマー主鎖と、隣り合う単位または末端基との間の化学結合として理解されるべきである。
【0025】
本発明の文脈において使用される用語「繰返し単位」は、化合物の構成繰返し単位(CRU)として理解されるべきである。CRUは、化合物の最小構成単位である。CRUの繰り返しは、規則的な高分子、規則的なオリゴマー分子、規則的なブロックまたは規則的な鎖を形成する。用語「単位」は、繰返し単位そのものまたはCRUを形成するための他の単位との組合せとして使用することができる構成単位として理解されるべきである。
【0026】
好ましい実施形態において、有機半導体ポリマーのD基およびD基は、以下からなる群から独立して選択される:
【化9】

式中、R~Rは、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアン基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、C3~C30ケト基含有炭化水素基、およびC5~C20環式炭化水素基、C5~C20ヘテロ環式炭化水素基、C5~C20アリール基、およびC5~C20ヘテロアリール基からなる群から独立して選択され、前記環式炭化水素基、前記ヘテロ環式炭化水素基、前記アリール基、および前記ヘテロアリール基は、非置換であるかもしくはR~Rのうちの少なくとも1つで置換されており、且つ単環式、多環式、または縮合環であり;ならびに
~Rは、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、およびC3~C30ケト基含有炭化水素基からなる群から独立して選択される。
【0027】
本発明の文脈において使用される用語「炭化水素基」は、アルキル基、アルケン基、アルキン基および芳香族炭化水素基を含む、炭素および水素を含有する有機基として理解されるべきである。
【0028】
本発明の文脈において使用される用語「ヘテロ原子」は、ホウ素(B)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)、リン(P)、ケイ素(Si)、セレン(Se)、ヒ素(As)、テルル(Te)、およびゲルマニウム(Ge)などの、有機化合物中の水素(H)または炭素(C)ではない任意の原子として理解されるべきである。
【0029】
好ましい実施形態において、有機半導体ポリマーのA基は、以下からなる群から選択される:
【化10】

式中、Xは、酸素(O)、硫黄(S)、またはセレン(Se)から選択され;
10およびR11は、水素原子、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、C3~C30ケト基含有炭化水素基、およびC5~C20環式炭化水素基、C5~C20ヘテロ環式炭化水素基、C5~C20アリール基、およびC5~C20ヘテロアリール基からなる群から独立して選択され、前記環式炭化水素基、前記ヘテロ環式炭化水素基、前記アリール基、および前記ヘテロアリール基は、非置換であるかもしくはR13~R17のうちの少なくとも1つで置換されており、且つ単環式、多環式、または縮合環であり;ならびにR13~R17は、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、およびC3~C30ケト基含有炭化水素基からなる群から独立して選択される。
【0030】
好ましい実施形態において、A基は、以下からなる群から選択される:
【化11】

式中、Xは、酸素(O)、硫黄(S)、またはセレン(Se)から選択され;
18およびR19は、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、およびC3~C30ケト基含有炭化水素基からなる群から独立して選択され;
20およびR21は、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、C3~C30ケト基含有炭化水素基、およびC5~C20環式炭化水素基、C5~C20ヘテロ環式炭化水素基、C5~C20アリール基、およびC5~C20ヘテロアリール基からなる群から独立して選択され、前記環式炭化水素基、前記ヘテロ環式炭化水素基、前記アリール基、および前記ヘテロアリール基は、非置換であるかもしくはR22~R26のうちの少なくとも1つで置換されており、且つ単環式、多環式、または縮合環であり;ならびに
22~R26は、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、およびC3~C30ケト基含有炭化水素基からなる群から独立して選択される。
【0031】
好ましい実施形態において、sp~spは、以下からなる群から独立して選択される:
【化12】

式中、Xは、酸素(O)、硫黄(S)、またはセレン(Se)から選択され;
2728は、水素原子、ハロゲン、シアノ基、C1~C30直鎖アルキル基、C3~C30分岐アルキル基、C1~C30シリル基、C2~C30エステル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30チオアルキル基、C1~C30ハロアルキル基、C2~C30アルケン基、C2~C30アルキン基、C2~C30シアノ基含有炭化水素基、C1~C30ニトロ基含有炭化水素基、C1~C30ヒドロキシ基含有炭化水素基、およびC3~C30ケト基含有炭化水素基からなる群から独立して選択される。
【0032】
以下の実施形態において、本発明における有機半導体ポリマーの合成方法が提供される。
【0033】
モノマーC13の調製
【化13】

250mLの三つ口丸ビン中で、C1(20.0g、169mmol)を100mLの無水テトラヒドロフラン(THF)に溶解し、窒素下で15℃に冷却した。n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M)(45.0mL、113mmol)を溶液中にゆっくりと滴下した。溶液を1時間撹拌した。次いで、C3(39.8g、113mmol)を、15℃で、溶液中に滴下した。反応物を室温まで温め、20時間撹拌した。その後、50mLの水を添加して反応を停止させ、有機溶媒を回転濃縮して除去した。ヘプタンを添加し、有機層を水で3回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、回転濃縮によって溶媒を除去して、粗生成物(約60g)を得た。真空蒸留(0.25torr、170~200℃)を利用して、粗生成物中の出発物質および不純物を除去した。残留物を回収し、溶離剤としてヘプタンを用いてフラッシュシリカゲルカラムによって精製した。化合物C5を黄色油状物として得た(16g、収率41.3%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.09 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 6.85 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 2.72 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 1.68 (m, 1H), 1.27 (m, 24H), 0.88 (m, 6H)。
【0034】
【化14】

500mLの三つ口丸ビン中で、C5(21.2g、61.8mmol)を160mLの無水THFに溶解し、アルゴン下で10℃に冷却した。n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M)(24.7mL、61.8mmol)を溶液中にゆっくりと滴下した。溶液を1時間撹拌した。臭化銅(I)(CuBr)(8.9g、61.8mmol)、臭化リチウム(LiBr)(5.4g、61.8mmol)、および160mLの無水THFを、アルゴン下で、第2の500mLの三つ口丸ビンに充填した。その後、第1の三つ口丸ビン中の溶液を、10℃で、二重先端針を通して、第2の三つ口丸ビン中の混合物に添加した。混合物をさらに1時間撹拌した。次いで、二塩化オキサリル(3.6g、28.1mmol)を、10℃で、上述の混合物に添加した。反応物を室温まで温め、20時間撹拌した。その後、水を添加して反応を停止させ、有機溶媒を回転濃縮して除去した。次いで、ヘプタンを添加し、有機層を水で3回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、回転濃縮によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタン(Hep)/ジクロロメタン(DCM)(v/v 9/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C7を黄色油状物として得た(16.3g、収率81.4%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.88 (s, 2H), 2.80 (d, J = 7.0 Hz, 4H), 1.76 (m, 2H), 1.29 (m, 48H), 0.88 (m, 12H)。
【0035】
【化15】

100mLの二つ口丸ビン中で、C8(2.0g、5.2mmol)および40mLの酢酸(AcOH)を混合し、室温で撹拌した。窒素下で、5.8gの鉄粉末を溶液に添加した。次いで、混合物を80℃に加熱し、一晩撹拌した。反応が完了すると、混合物を室温に冷却した。次に、150mLの氷水を混合物に注いで、反応を停止させた。不溶物をろ過し、水で洗浄し、カーキ色の固体として回収した。その後、カーキ色の固体を、150mLのTHFに溶解し、次いで、灰色の残留物をろ過によって除去した。ろ液を回収し、回転濃縮し、真空下で乾燥させた。化合物C9を褐色がかった緑色固体として得た(1.44g、収率86%)。250mLの一つ口丸ビン中で、C9(1.1当量、1.03g、3.2mmol)、C7(1.0当量、2.1g、2.9mmol)および30mLの酢酸を混合した。混合物を、窒素下で120℃まで加熱し、窒素下で一晩撹拌した。その後、混合物を室温に冷却した。混合物を100mLの氷水に注いで、反応を停止させた。次いで、生成物をDCMで3回抽出した。有機層を水で3回洗浄して、酢酸を除去した。有機溶媒をMgSOで乾燥させ、回転濃縮によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタン/DCM(v/v 4/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C10を赤色固体として得た(1.98g、収率66.9%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.45 (s, 2H), 2.83 (d, J = 7.0 Hz, 4H), 1.83 (m, 2H), 1.30 (m, 48H), 0.89 (m, 12H)。
【0036】
【化16】

100mLの二つ口丸ビン中で、C10(2.0g、1.95mmol)およびC11(1.6g、4.28mmol)を40mLのTHFに溶解した。溶液をアルゴンで15分間パージした。次いで、Pddba(71.2mg、0.0778mmol)およびP(o-tol)(94.8mg、0.3113mmol)を溶液に添加した。混合物を66℃まで加熱し、2時間撹拌した。反応が終了すると、混合物を冷却し、セライトパッドを通してろ過し、パッドをヘプタンで洗浄した。その後、ろ液を回収し、回転濃縮した。得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタン/DCM(v/v 5/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C12を暗褐色の固体として得た(1.85g、収率91.9%)。1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.88 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 7.43 (s, 2H), 7.34 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.85 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 1.83 (m, 2H), 1.30 (m, 48H), 0.88 (m, 12H)。
【0037】
【化17】

250mLの一つ口丸ビン中で、C12(1.85g、1.788mmol)を50mLのTHFに溶解した。次いで、N-ブロモスクシンイミド(NBS)(653mg、3.666mmol)を氷浴中の溶液に添加した。混合物を室温まで温め、20時間撹拌した。反応が完了した後に、ヘプタンおよび水を添加して、生成物を抽出した。有機層を回収し、水で2回洗浄した。有機溶媒をMgSOで乾燥させ、回転濃縮によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタン/DCM(v/v 95/5)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C13を黒色の粘稠液として得た(1.96g、収率92.1%)。1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.73 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 7.38 (s, 2H), 7.21 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 2.88 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 1.87 (m, 2H), 1.29 (m, 48H), 0.85 (m, 12H)。
【0038】
モノマーC30の調製
【化18】

500mLの三つ口丸ビン中で、C15(5.0g、13.7mmol)を150mLの無水THFに溶解し、窒素下で-60℃に冷却した。n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M)(5.76mL、14.4mmol)を溶液中にゆっくりと滴下した。反応物を-60℃で1時間撹拌した。その後、C17(2.9g、14.4mmol)を5mLの無水THFに溶解した。次いで、C17溶液を、-60℃でゆっくりとC15リチオ化溶液中に滴下した。次いで、反応物を室温までゆっくりと温め、さらに20時間撹拌した。その後、水を添加して反応を停止させ、有機溶媒を回転濃縮によって除去した。ヘプタンを添加し、有機層をブラインで3回洗浄した。有機溶剤をMgSOで乾燥させた。生成物は、さらに精製することなく、真空下で有機溶媒を除去した後に得られた。化合物C19を淡黄色液体として得た(196.7g、収率92.5%)。1H NMR (600 MHz, CDCl3) C19: δ 7.23 (s, 1H), 7.05 (s, 1H), 2.68 (m, 2H), 1.69 (m, 1H), 1.35 (m, 32H), 0.98 (m, 6H), and 0.44 (m, 9H)。
【0039】
【化19】

500mLの三つ口丸ビン中で、C26(5g、15.22mmol)を75mLのエタノール(EtOH)および125mLのTHFの混合物に溶解し、氷浴中で冷却した。次いで、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)(11.5g、304mmol)を氷浴中で少しずつゆっくりと反応物に添加した。混合物を氷浴中でさらに30分間撹拌し、次いで室温まで温め、1時間撹拌した。反応が完了した後に、混合物を吸引ろ過して、固体を除去した。ろ液を回収し、回転濃縮した。得られた粗生成物を酢酸エチル(EA)に溶解し、水で3回洗浄した。有機層を回収し、MgSOで水分を除去し、回転濃縮した。真空で溶媒を除去した後に、化合物C27をさらに精製することなく白色固体として得た(4.5g、収率98%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) of the 化合物 C27: δ 7.12 (s, 1H), 4.11 (m, 2H), 3.83 (m, 2H)。
【0040】
【化20】

250mL三つ口丸ビン中で、C27(4.5g、14.98mmol)およびSeO(2g、17.98mmol)を135mLエタノールと混合した。混合物を75℃まで温め、20時間撹拌した。反応が完了した後に、混合物を冷却した。生成物を氷浴中でゆっくりと沈殿させた。沈殿物、白色固体、を吸引ろ過によって回収し、エタノールで洗浄し、真空で溶媒を除去した。化合物C28を白色固体として得た(4.9g、収率87%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.89 (s, 1H)。
【0041】
【化21】

100mLの三つ口丸ビン中で、C28(1.0g、2.66mmol)およびC19(3.1g、5.86mmol)を30mLのTHFに溶解した。溶液をアルゴンでパージした。次いで、Pddba(196mg、0.214mmol)およびP(o-tol)(260mg、0.852mmol)をアルゴン下で溶液に添加した。混合物を66℃まで加熱し、24時間撹拌した。反応が終了すると、混合物をシリカゲルおよびセライトパッドを通してろ過し、パッドをTHFで洗浄した。その後、ろ液を回収し、回転濃縮した。得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタン/DCM(v/v 2/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C29を淡橙色固体として得た(0.5g、収率19%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.86 (s, 1H), 7.84 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.13 (J = 1.0 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 2.63 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 2.62 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 1.67 (m, 2H), 1.31-1.25 (m, 64 Hz), 0.88-0.85 (m, 12 Hz)。
【0042】
【化22】

100mLの二つ口丸ビン中で、C29(1.9g、2.02mmol)を57mLのTHFに溶解した。次いで、NBS(897mg、5.04mmol)を室温で溶液に添加した。混合物を室温で2時間攪拌した。反応が完了した後に、生成物を水/ヘプタンで3回抽出した。有機層を回収し、水を除去し、回転濃縮した。その後、得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタン/DCM(v/v 9/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C30を淡橙色固体として得た(1.70g、収率77%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.80 (s, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.39 (s, 1H), 2.57 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 2.56 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 1.72 (m, 2H), 1.25 (m, 64H), 0.86 (m, 12H)。
【0043】
モノマーC44の調製
【化23】

250mLの三つ口丸ビン中で、C40(3g、9.09mmol)を45mLのEtOHおよび45mLのTHFの混合物に溶解し、氷浴中で冷却した。次いで、NaBH(6.9g、182mmol)を、氷浴中で、反応物に少しずつゆっくりと添加した。混合物を氷浴中でさらに30分間撹拌し、次いで室温まで温め、1時間撹拌した。反応が完了した後に、混合物を吸引ろ過して固体を除去した。ろ液を回収し、回転濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物を酢酸エチルに溶解し、水で3回洗浄した。有機層は、MgSOで水分を除去し、回転濃縮した。真空で溶媒を除去した後、化合物C41をさらに精製することなく白色固体として得た(2.1g、収率76%)。
【0044】
【化24】

250mLの三つ口丸ビン中で、C1(20.0g、169mmol)を100mLの無水テトラヒドロフラン(THF)に溶解し、窒素下で15℃に冷却した。n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M)(45.0mL、113mmol)を溶液中にゆっくりと滴下した。溶液を1時間撹拌した。次いで、15℃で、C2(33.3g、112mmol)を溶液中に滴下した。反応物を室温まで温め、20時間撹拌した。その後、水を加えて反応を停止させ、有機溶媒を回転濃縮によって除去した。ヘプタンを添加し、有機層を水で3回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、回転濃縮によって溶媒を除去して粗生成物を得た。真空蒸留(0.25torr、150℃)を利用して、粗生成物中の出発物質および不純物を除去した。残留物を回収し、溶離剤としてヘプタンを用いたフラッシュシリカゲルカラムによって精製した。化合物C4を淡黄色油状物として得た(17.5g、収率54.3%)。
【0045】
【化25】

500mLの三つ口丸ビン中で、C4(17.4g、60.7mmol)を140mLの無水THFに溶解し、アルゴン下で10℃に冷却した。n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M)(24.3mL、60.7mmol)を溶液中にゆっくりと滴下した。溶液を1時間撹拌した。臭化銅(I)(CuBr)(8.7g、60.7mmol)、臭化リチウム(LiBr)(5.3g、60.7mmol)、および140mLの無水THFを、アルゴン下で、第2の500mLの三つ口丸ビンに充填した。その後、第1の三つ口丸ビン中の溶液を、10℃で、二重先端針を通して、第2の三つ口丸ビン中の混合物中に添加した。混合物をさらに1時間撹拌した。次いで、10℃で、二塩化オキサリル(3.5g、27.6mmol)を混合物中に添加した。反応物を室温まで温め、20時間撹拌した。その後、水を添加して反応を停止させ、有機溶媒を回転濃縮によって除去した。ヘプタンを添加し、有機層を水で3回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、回転濃縮によって溶媒を除去して、粗生成物を得た。得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタン/DCM(v/v 9/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C6を黄色油状物として得た(13.3g、収率76.6%)。
【0046】
【化26】

250mL丸ビン中で、C41(2.1g、6.96mmol)、C6(4.6g、7.65mmol)および63mLの酢酸を混合した。反応物を120℃まで加熱し、窒素下で18時間撹拌した。反応が完了すると、混合物を室温に冷却し、次いで生成物をDCM/水で3回抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を回転濃縮によって除去した。得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタン/DCM(v/v 2/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C42を赤色固体として得た(3.2g、収率51%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.35 (m, 2H), 2.18 (d, J = 7.2 Hz, 4H), 1.78 (m, 2H), 1.36-1.28 (m, 32H), 0.91-0.86 (m, 12H)。
【0047】
【化27】

100mLの三つ口丸ビン中で、C42(2.4g、2.67mmol)およびC11(2.5g、6.72mmol)を72mLのTHFに溶解した。溶液をアルゴンで30分間パージした。次いで、Pddba(98mg、0.107mmol)およびP(o-tol)(130mg、0.426mmol)をアルゴン下で溶液に添加した。混合物を66℃まで加熱し、24時間撹拌した。反応が終了すると、混合物をシリカゲルおよびセライトパッドを通してろ過し、パッドをTHFで洗浄した。その後、ろ液を回収し、回転濃縮によって溶媒を除去した。得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタン/トルエン(v/v 7/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C43を赤色油状物として得た(1.4g、収率58%)。1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 7.99 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 7.65 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 7.35 (s, 1H), 7.25 (m, 2H), 2.82 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 1.79 (m, 2H), 1.38-1.24 (m, 32H), 0.94-0.88 (m, 12H)。
【0048】
【化28】

100mLの二つ口丸ビン中で、C43(1.3g、1.44mmol)を39mLのTHFに溶解した。次いで、NBS(565mg、3.18mmol)を溶液に添加した。混合物を40℃まで加熱し、18時間撹拌した。反応が完了した後に、生成物をヘプタン/水で3回抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、回転濃縮によって溶媒を除去した。その後、得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタン/DCM(v/v 3/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C44を赤色油状物として得た(1.4g、収率92%)。1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 7.75 (d, J = 4.2 Hz, 2H), 7.34 (s, 2H), 7.18 (d, J = 4.2 Hz, 2H), 2.84 (d, J = 6.6 Hz, 4H), 1.83 (m, 2H), 1.40-1.26 (m, 32H), 0.91 (t, J = 6.6 Hz, 6H), 0.87 (t, J = 6.6 Hz, 6H)。
【0049】
モノマーC51の調製
【化29】

250mLの三つ口丸ビン中で、C37(2.0g、6.80mmol)およびC19(9.0g、17.01mmol)を60mLのTHFに溶解した。溶液をアルゴンでパージした。次いで、Pddba(249mg、0.272mmol)およびP(o-tol)(331mg、1.089mmol)をアルゴン下で溶液に添加した。混合物を66℃まで加熱し、18時間撹拌した。反応が終了すると、混合物をシリカゲルおよびセライトパッドを通してろ過し、パッドをTHFで洗浄した。その後、ろ液を回収し、回転濃縮によって溶媒を除去した。得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタン/DCM(v/v 3/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C50を淡橙色固体として得た(4.5g、収率77%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 8.10 (d, J = 1.5 Hz, 1H) 7.87 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.08 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 2.63 (m, 4H), 1.68 (m, 2H), 1.38-1.21 (m, 64H), 0.87 (m, 12H)。
【0050】
【化30】

250mLの二つ口丸ビン中で、C50(4.5g、5.22mmol)を135mLのTHFに溶解した。次いで、NBS(2.05g、11.49mmol)を室温で前記溶液に添加した。混合物を2時間攪拌した。反応が完了した後に、生成物をヘプタン/水で3回抽出した。水を有機層から除去し、溶媒を回転蒸発によって除去した。その後、得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C51を淡橙色固体として得た(4.8g、収率87%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) of the 化合物 C51: δ 7.85 (s, 1H), 7.80 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.12 (s, 1H), 2.57 (m, 4H), 1.73 (m, 2H), 1.38-1.21 (m, 64H), 0.87 (m, 12H)。
【0051】
モノマーC54の調製
【化31】

100mLの三つ口丸ビン中で、C42(1.5g、1.68mmol)およびC52(1.5g、3.69mmol)を45mLのTHFに溶解した。溶液をアルゴンでパージした。次いで、Pddba(61mg、0.067mmol)およびP(o-tol)(82mg、0.269mmol)をアルゴン下で溶液に添加した。混合物を66℃まで加熱し、3時間撹拌した。反応が終了すると、混合物をシリカゲルおよびセライトパッドを通してろ過し、パッドをTHFで洗浄した。その後、ろ液を回収し、回転濃縮によって溶媒を除去した。得られた粗生成物を、溶離剤としてヘプタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C53を赤色油状物として得た(1.9g、収率92%)。1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 7.85 (s, 2H), 7.35 (s, 2H), 7.24 (s, 2H), 2.81 (d, J = 7.2 Hz, 4H), 2.71 (t, J = 7.8 Hz, 4H), 1.79 (m, 2H), 1.71 (m, 4H), 1.42-1.26 (m, 68H), 0.91 (t, J = 6.6 Hz, 6H), 0.89-0.86 (m, 12H)。
【0052】
【化32】

100mLの二つ口丸ビン中で、C53(1.9g、1.54mmol)を57mLのTHFに溶解した。次いで、NBS(601mg、3.74mmol)を溶液に添加した。混合物を室温で2.5時間撹拌した。反応が完了した後に、生成物をヘプタン/水で3回抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、回転濃縮によって溶媒を除去した。その後、得られた粗生成物を溶離剤としてヘプタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。化合物C54を赤色油状物として得た(1.8g、収率84%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.70 (s, 2H), 7.34 (s, 2H), 2.83 (d, J = 7.0 Hz, 4H), 2.65 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 1.82 (m, 2H), 1.65 (m, 4H), 1.38-1.26 (m, 68H), 0.91-0.85 (m, 18H)。
【0053】
ポリマー1の合成は、以下の式で表される:
【化33】

C49(162.6mg、0.263mmol)、C13(156.8mg、0.132mmol)、C30(145.0mg、0.132mmol)、Pddba(2.41mg、0.0026mmol)、およびP(o-tol)(3.21mg、0.0105mmol)を、100mLの二つ口丸ビン中で混合した。系を30分間真空にし、アルゴンで埋め戻した。11.4mLのクロロベンゼンをアルゴンでパージし、次いで、混合物に添加した。混合物を130℃まで加熱し、2.5時間撹拌した。反応が完了した後に、ポリマーをメタノール中で沈殿させ、ろ過した。固体をアセトンで洗浄し、真空下で乾燥させた。次いで、ポリマーを、メタノールおよびジクロロメタンを順に用いたソックスレー抽出によって精製した(各ステップは18時間)。その後、残留固体を回収した。残留固体をクロロベンゼンに溶解し、120℃で1時間撹拌し、MeOH中で沈殿させ、ろ過した。固体を回収し、アセトンで洗浄し、真空で溶媒を除去した。ポリマー1を黒色固体として得た(285mg、収率85%)。
【0054】
ポリマー2の合成は、以下の式で表される:
【化34】

ポリマー3の合成は、以下の式で表される:
【化35】

C49(147.5mg、0.239mmol)、C13(142.2mg、0.120mmol)、C33(108.5mg、0.120mmol)、Pddba(8.75mg、0.0096mmol)、およびP(o-tol)(11.64mg、0.0382mmol)を、100mLの二つ口丸ビン中で混合した。系を30分間真空にし、アルゴンで埋め戻した。10.3mLのトルエンをアルゴンでパージし、次いで、混合物に添加した。混合物を90℃まで加熱し、45分間撹拌した。反応が完了した後に、ポリマーをメタノール中で沈殿させ、ろ過した。固体をアセトンで洗浄し、真空下で乾燥させた。次いで、ポリマーを、メタノールおよびジクロロメタンを順に用いたソックスレー抽出によって精製した(各ステップは18時間)。その後、残留固体を回収した。残留固体をクロロベンゼンに溶解し、120℃で1時間撹拌し、MeOH中で沈殿させ、ろ過した。固体を回収し、アセトンで洗浄し、真空で溶媒を除去した。ポリマー3を黒色固体として得た(250mg、収率72%)。
【0055】
ポリマー4の合成は、以下の式で表される:
【化36】

C49(152.7mg、0.247mmol)、C13(147.3mg、0.124mmol)、C36(146.5mg、0.124mmol)、Pddba(2.27mg、0.0025mmol)、およびP(o-tol)(3.01mg、0.0099mmol)を、100mLの二つ口丸ビン中で混合した。系を30分間真空にし、アルゴンで埋め戻した。10.7mLのクロロベンゼンをアルゴンでパージし、次いで、混合物に添加した。混合物を130℃まで加熱し、2.5時間撹拌した。反応が完了した後に、ポリマーをメタノール中で沈殿させ、ろ過した。固体をアセトンで洗浄し、真空下で乾燥させた。次いで、ポリマーを、メタノールおよびジクロロメタンを順に用いたソックスレー抽出によって精製した(各ステップは18時間)。その後、残留固体を回収した。残留固体をクロロベンゼンに溶解し、120℃で1時間撹拌し、MeOH中で沈殿させ、ろ過した。固体を回収し、アセトンで洗浄し、真空で溶媒を除去した。ポリマー4を黒色固体として得た(240mg、収率73%)。
【0056】
ポリマー5の合成は、以下の式で表される:
【化37】

ポリマー6の合成は、以下の式で表される:
【化38】

C49(150.0mg、0.243mmol)、C13(144.5mg、0.122mmol)、C44(120.1mg、0.122mmol)、Pddba(2.23mg、0.0024mmol)、およびP(o-tol)(2.96mg、0.0097mmol)を、100mLの二つ口丸ビン中で混合した。系を30分間真空にし、アルゴンで埋め戻した。10.5mLのクロロベンゼンをアルゴンでパージし、次いで、混合物に添加した。混合物を130℃まで加熱し、22分間撹拌した。反応が完了した後に、ポリマーをメタノール中で沈殿させ、ろ過した。固体をアセトンで洗浄し、真空下で乾燥させた。次いで、ポリマーを、メタノールおよびジクロロメタンを順に用いたソックスレー抽出によって精製した(各ステップは18時間)。その後、残留固体を回収した。残留固体をクロロベンゼンに溶解し、120℃で1時間撹拌し、MeOH中で沈殿させ、ろ過した。固体を回収し、アセトンで洗浄し、真空で溶媒を除去した。ポリマー6を黒色固体として得た(260mg、収率85%)。
【0057】
ポリマー7の合成は、以下の式で表される:
【化39】

ポリマー8の合成は、以下の式で表される:
【化40】

100mLの二つ口丸ビン中で、C49(150.3mg、0.245mmol)、C13(173.9mg、0.146mmol)、C51(102.6mg、0.097mmol)、Pddba(8.92mg、0.0097mmol)、およびP(o-tol)(11.86mg、0.0390mmol)を100mLの二つ口丸ビン中で混合した。系を30分間真空にし、アルゴンで埋め戻した。10.5mLのトルエンをアルゴンでパージし、次いで、混合物に添加した。混合物を90℃まで加熱し、2時間撹拌した。反応が完了した後に、ポリマーをメタノール中で沈殿させ、ろ過した。固体をアセトンで洗浄し、真空下で乾燥させた。次いで、ポリマーを、メタノールおよびジクロロメタンを順に用いたソックスレー抽出によって精製した(各ステップは18時間)。その後、残留固体を回収した。残留固体をトルエンに溶解し、120℃で1時間撹拌し、MeOH中で沈殿させ、ろ過した。固体を回収し、アセトンで洗浄し、真空で溶媒を除去した。ポリマー8を黒色固体として得た(240mg、収率79%)。
【0058】
ポリマー9の合成は、以下の式で表される:
【化41】

C49(147.4mg、0.239mmol)、C13(142.2mg、0.119mmol)、C54(166.6mg、0.119mmol)、Pddba(2.19mg、0.0024mmol)、およびP(o-tol)(2.91mg、0.0096mmol)を、100mLの二つ口丸ビン中で混合した。系を30分間真空にし、アルゴンで埋め戻した。10.3mLのクロロベンゼンをアルゴンでパージし、次いで、混合物に添加した。混合物を130℃まで加熱し、18時間撹拌した。反応が完了した後に、ポリマーをメタノール中で沈殿させ、ろ過した。固体をアセトンで洗浄し、真空下で乾燥させた。次いで、ポリマーを、メタノールおよびジクロロメタンを順に用いたソックスレー抽出によって精製した(各ステップは18時間)。その後、残留固体を回収した。残留固体をクロロベンゼンに溶解し、120℃で1時間撹拌し、MeOH中で沈殿させ、ろ過した。固体を回収し、アセトンで洗浄し、真空で溶媒を除去した。ポリマー9を黒色固体として得た(285mg、収率84%)。
【0059】
ポリマーPC1の合成は、以下の式で表される:
【化42】

C49(150mg、0.243mmol)、C13(290mg、0.243mmol)、Pddba(2.23mg、0.00243mmol)、およびP(o-tol)(2.99mg、0.00972mmol)を、100mLの二つ口丸ビン中で混合した。系を30分間真空にし、アルゴンで埋め戻した。21.0mLのクロロベンゼンをアルゴンでパージし、次いで、混合物に添加した。混合物を130℃まで加熱し、15分間撹拌した。反応が完了した後に、ポリマーをメタノール中で沈殿させ、ろ過した。固体をアセトンで洗浄し、真空下で乾燥させた。次いで、ポリマーを、メタノールおよびジクロロメタンを順に用いたソックスレー抽出によって精製した(各ステップは18時間)。その後、残留固体を回収した。残留固体をクロロベンゼンに溶解し、120℃で1時間撹拌し、MeOH中で沈殿させ、ろ過した。固体を回収し、アセトンで洗浄し、真空で溶媒を除去した。比較ポリマーPC1を黒色固体として得た(103mg、収率31%)。
【0060】
本発明の式における用語「n」は、整数且つn>1を意味する。
【0061】
本発明に係る有機半導体ポリマーの実施形態を表1に示す。
【0062】
【表1】









さらに、本発明の有機半導体ポリマーは、光学デバイスもしくはシステム、光電子デバイスもしくはシステム、電子デバイスもしくはシステム、エレクトロルミネセンスデバイスもしくはシステム、または光電デバイスもしくはシステムにおける、電荷輸送、半導体、伝導性、光学伝導性または発光材料であり得る。本発明の有機半導体ポリマーは、通常、前記デバイスにおける薄層またはフィルムの形態で操作される。
【0063】
本発明に係る有機半導体ポリマーは、有機光電子デバイスにおける電子供与体またはp型半導体として適用することができる。それは、有機光検出器におけるn型およびp型の有機半導体ブレンドの形成において実現可能である。n型またはn型有機半導体という用語は、正孔密度よりも大きい伝導電子密度を有する外因性半導体として理解され、一方、p型またはp型有機半導体という用語は、電子密度よりも大きい伝導正孔密度を有する外因性半導体として理解される(J. Thewlis, Concise Dictionary of Physics, Pergamon Press, Oxford, 1973にも示されている)。
【0064】
有機オプトエレクトロニクスの適用において、本発明の有機半導体ポリマーは、コンポーネントを調製するために、電荷輸送、半導体、電気伝導性、光学伝導性、正孔ブロッキング、および電子ブロッキングを含む以下の特徴の少なくとも1つを有する1つ以上の小分子化合物またはポリマーを選択的に添加される。
【0065】
さらに、有機光電子デバイスの適用において、混合し、コンポーネントを調製するために、本発明の有機半導体ポリマーならびに/または電荷輸送、半導体、電気伝導性、光学伝導性、正孔ブロッキング、および電子ブロッキングなどの特性を有する1種以上の小分子化合物もしくはポリマーと、1種以上の有機溶媒(好ましくは、溶媒が、例えば、トルエン、o-キシレン、p-キシレン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3,5-トリメチルベンゼン、または1,2,4-トリメチルベンゼンなどの、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エーテルおよびそれらの混合物である)と、が随意に含まれる。
【0066】
本発明に係る有機半導体ポリマーは、上述のデバイスの活性層において使用することができる。マイクロエレクトロニクス用途のために、コスト(単位面積当たり、より多くのデバイス)および電力消費を低減するために、小構造またはパターニング構造を製造する必要がある。電子デバイスまたは光電子デバイスにおいて薄層または薄いフィルムとして処理するために、本発明の有機半導体ポリマーから構成されるコンポーネントは、任意の適切な方法で堆積され得る。前記デバイスにおいて、溶液プロセスの技術は、真空蒸着よりも優れている。
【0067】
好ましい堆積方法は、限定されないが、ディップコーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、ノズル印刷、レリーフ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、ブレードコーティング、ローラー印刷、リバースロールコーティング、平版印刷、ドライオフセット印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷、スプレーコーティング、カーテンコーティング、ブラシコーティング、スロットダイコーティングまたはパッド印刷を含む。
【0068】
本発明は、本発明の有機半導体ポリマーから構成されるコンポーネント、または本発明の有機半導体ポリマーから構成される前記コンポーネントを含む光電子デバイスを具現化する。
【0069】
本発明の第1の実施形態において、図1Aを参照すると、有機光電子デバイス10は、基板100と、電極モジュール110と、活性層120とを含む。電極モジュール110は、基板100上に配置され、電極モジュール110は、第1の電極112および第2の電極114を含み、活性層120は、第1の電極112と第2の電極114との間に配置される。第1の電極112は、基板100と活性層120との間に配置される。第2の電極114は、活性層120の上に位置する。
【0070】
この実施形態において、活性層120は、本発明に係る有機半導体ポリマーの少なくとも1種を含む。第1の電極112および第2の電極114の少なくとも一方は、透明または半透明である。
【0071】
本発明の第2の実施形態において、図1Bを参照すると、有機光電子デバイス10は、基板100と、電極モジュール110と、活性層120とを含む。電極モジュール110は、基板100上に配置され、電極モジュール110は、第1の電極112および第2の電極114を含み、活性層120は、第1の電極112と第2の電極114との間に配置される。第2の電極114は、基板100と活性層120との間に配置され、第1の電極112は、活性層120の上に位置する。
【0072】
基板100は、機械的強度、熱強度、および透明性を有する、ガラス基板または透明軟質基板であることが好ましい。透明軟質基材材料は、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、ポリフッ化ビニル、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオリド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミドなどを含む。
【0073】
第1の電極112は、好ましくは、酸化インジウム、酸化スズ、およびフッ素ドープ酸化スズ(FTO)などの透明金属酸化物、または酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの複合金属酸化物である。
【0074】
第2の電極114は、金属酸化物、金属(銀、アルミニウム、金)、導電性ポリマー、炭素系導体、金属化合物、または上述の材料のうちの2種以上から構成される導電性フィルムから選択され得る。
【0075】
好ましい実施形態において、有機光電子デバイス10の活性層120は、少なくとも1種のp型有機半導体ポリマー(例えば、上述の本発明の有機半導体ポリマー)、および少なくとも1種のn型有機半導体化合物を含む。
【0076】
好ましい実施形態において、有機光電子デバイス10のn型有機半導体化合物は、次の化合物からなる群から選択される:
【化43】



図1Cに示される第3の実施形態において、有機光電子デバイス10のコンポーネントは、前記第1の実施形態と同じ順序で配置されるが、有機光電子デバイス10は、第1の電極112と活性層120との間に配置された第1のキャリア輸送層130と、第2の電極114と活性層120との間に配置された第2のキャリア輸送層140とをさらに含む。
【0077】
図1Dに示される第4の実施形態において、有機光電子デバイス10のコンポーネントは、前記第1の実施形態と同じ順序で配置されるが、有機光電子デバイス10は、第2の電極114と活性層120との間に配置された第1のキャリア輸送層130と、第1の電極112と活性層120との間に配置された第2のキャリア輸送層140とをさらに含む。
【0078】
図1Eに示される第5の実施形態において、有機光電子デバイス10のコンポーネントは、前記第2の実施形態と同じ順序で配置されるが、有機光電子デバイス10は、第2の電極114と活性層120との間に配置された第1のキャリア輸送層130と、第1の電極112と活性層120との間に配置された第2のキャリア輸送層140とをさらに含む。
【0079】
図1Fに示される第6の実施形態において、有機光電子デバイス10のコンポーネントは、前記第2の実施形態と同じ順序で配置されるが、有機光電子デバイス10は、第1の電極112と活性層120との間に配置された第1のキャリア輸送層130と、第2の電極114と活性層120との間に配置された第2のキャリア輸送層140をさらに含む。
【0080】
上述の第3~第6の実施形態において、第1のキャリア輸送層130のための材料は、以下から選択される:共役ポリマー電解質(例えば、PEDOT:PSS)、ポリマー酸(例えば、ポリアクリレート)、共役ポリマー(例えば、ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン](PTAA))、絶縁ポリマー(例えば、ナフィオンフィルム、ポリエチレンイミンおよびポリスチレンスルホネート)、MoOx、NiOx、WOx、SnOxを含む金属酸化物でドープされたポリマー、金属酸化物(例えば、MoOx、NiOx、WOx、SnOx)、有機小分子化合物(例えば、N,N’-ジフェニル-N,N’-bis-(1-ナフチル)(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPB)、N,N’-ジフェニル-N,N’-(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD))、またはそれらの組合せ。
【0081】
上述の第3~第6の実施形態において、第2のキャリア輸送層140のための材料は、以下から選択される:共役ポリマー電解質(例えば、ポリエチレンイミン)、共役ポリマー(例えば、ポリ[3-(6-トリメチルアンモニウムヘキシル)チオフェン]、ポリ[9,9-ビス(2-エチルヘキシル)フルオレン]-b-ポリ[3-(6-トリメチルアンモニウムヘキシル)チオフェン]、またはポリ[(9,9-ビス(3’-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル)-2,7-フルオレン)-alt-2,7-(9,9-ジオクチルフルオレン)])、有機小分子化合物(例えば、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(III)(Alq)、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、金属酸化物(例えば、ZnOx、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、TiOxおよびそれらのナノ粒子)、塩(例えば、LiF、NaF、CsF、およびCsCO)、およびアミン(例えば、第一級アミン、第二級アミン、および第三級アミン)。
【0082】
本発明における有機半導体ポリマーの有機光電子デバイスにおいて有益な作用を発揮するために、本有機半導体ポリマーを含む光電子デバイスを作製し、対応する性能を試験し、収集した。結果を以下に示す:
有機半導体ポリマーのUV-VIS吸収特性
有機半導体ポリマーの吸収スペクトルは、UV-VIS分光光度計を用いて測定した。溶液UV-VIS吸収測定のために、試料の全てをクロロベンゼンに溶解し、次いで測定した。固体UV-VIS吸収測定のために、試料を薄いフィルムの形態に調製した。フィルム試料は、7~14mg/mLの固形分濃度を有する、o-キシレン中のそれらの溶液をスピンコーティングによってガラスプレート上に調製し、次いで測定した。吸収スペクトルを図2Aおよび図2Bに示し、測定結果を表2に示す。
【0083】
【表2】

本有機半導体ポリマーP1~P9および比較ポリマーPC1の溶液およびフィルム形態の吸収スペクトルを、図2Aおよび図2Bに示す。比較ポリマーPC1は、交互コポリマーである。π-π*軌道遷移によるものである、本発明の全てのポリマーにおける500nmでの吸収ピークは別として、ポリマーPC1は、600~900nmでの吸収ピークを欠き、1000nmを超える吸収ピークのみを有する。一方、ポリマー1~9の吸収スペクトルは、2つの吸収ピークを有し、それぞれ1000nm未満および1000nmを超える。ポリマー1~9の全ては、1000nm~1400nmの領域において良好な吸収を示した。
【0084】
材料の電気化学的特性の測定
酸化特性は、サイクリックボルタンメトリー(CV)によって測定した。最高被占軌道(HOMO)は、式HOMO=-|4.71+Eox-Eferroncene|に従って計算した。光吸収開始(λonset)を、フィルム紫外-可視-近赤外(UV-Vis-NIR)吸収スペクトルで測定した。次に、光エネルギーギャップを、式E=1240/λonsetに従って計算した。最低空軌道(LUMO)は、式LUMO=HOMO+E optに従って計算した。エネルギー準位を表2に示した。ポリマー1~9のエネルギー準位は、異なる第2の繰返し単位との共重合によって調整することができることは明らかである。結果は、本発明におけるポリマーが、電子-正孔対の解離のための十分な駆動力を提供することによって、種々の非フラーレンアクセプター(NFA)と適合する可能性を有することを示唆した。
【0085】
OPDデバイスの製造
シート抵抗が約15Ω/sqである、パターン化ITO(酸化インジウムスズ)で被覆したガラスを基板とした。当該基板を、水性界面活性剤溶液、脱イオン水、メタノール、アセトン、およびイソプロパノール中で、順次的な超音波処理をすることによって洗浄した(各ステップは15分間)。次に、ITO基板を、UV/オゾンクリーナーで30分間、さらに処理した。ITO基板に、3000rpmで40秒間、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)溶液をスピンコーティングし、空気中で、120℃で5分間焼きなましした。上記のN型およびP型の有機半導体材料をo-キシレンに溶解し、100℃で4時間撹拌することによって、活性層溶液を調製した。室温に冷却した後に、溶液を1.0μmの孔径の膜を通してろ過した。その後、基板上に溶液をスピンコートして活性層を形成した。活性層を100℃で5分間焼きなましし、次いで熱蒸発コーターに移した。PC1の活性層溶液を、ポリマー:N1=1:1の重量比で、o-キシレン中で調製する。P1、P4、P6およびP8の活性層溶液を、ポリマー:N1=1:1.5の重量比で、o-キシレン中で調製する。最後に、正孔輸送層としての8nmのMoOと、電極としての100nmのAgとを、3×10-6Torrでの蒸発によって順に堆積させ、デバイスを、グローブボックス内でエポキシ樹脂を用いて封入した。ガラス/ITO/AZO/活性層/MoO/Agの構造体を用いて、上述の有機光電子デバイスを研究した。
【0086】
OPD性能の測定
暗条件下(J,バイアス-8V)での電流密度-電圧(J-V)特性を、KeithleyTM 2400ソースメーターを用いて測定した。デバイスの光電流(Iph)特性を、大気中、室温、AM1.5G(100mWcm-2)下で、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルター付きキセノンランプを有する)によって測定した。ここでは、KG5フィルターを有する標準的なシリコンダイオードを参照セルとして使用して、光強度を較正し、スペクトルのミスマッチ部分を一致させた。外部量子効率(EQE)を外部量子効率測定器で測定し、測定域は300~1800nm(バイアス0約-4V)であった。光源較正はケイ素(300~1100nm)およびゲルマニウム(1100~1800nm)を使用する。応答性(R)および検出能(D)は、以下の式に従って計算した:
【数1】

ここで、λは波長、qは電子電荷、hはプランク定数、cは光速、Jは暗電流である。
【0087】
暗条件下での対応するOPDの電流-電圧特性を図3Aに示した。対応するOPDデバイスの検出能を図3Bに示す。対応するOPDデバイスのEQE曲線を図3Cに示す。対応するOPDデバイスおよび比較例の性能を表3および表4に示す。
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】

ここで、文献における比較例は、Small 2022, 2200580から選択され、ここで、使用される化合物構造は以下の通りである:
【化44】

表3によれば、P1、P4、P6、およびP8ならびにN1のHOMOおよびLUMOオフセットは、電子-正孔対に解離した励起子を動作させるのに十分であった。P1、P4、P6、およびP8に基づくデバイスは、-2Vバイアス電圧下で、1600nmまで光電応答(EQE検出を伴う)を示し、1300nmでのそれらの検出能はすべて1×1010Jonesを上回った。
【0090】
暗電流性能の比較:異なるバイアス下で、提示された有機半導体ポリマーP1、P4、P6、およびP8に基づくデバイスは、ただ1つの繰返し単位を有する比較例PC1よりもより良好な暗電流性能を有する。暗電流密度の1~1万倍の低下が達成された。デバイスの中で、最も低い暗電流密度は、1×10-6A/cmであった。図3Aに示されるように、PC1に基づくデバイスは、バイアス変化に対してより敏感であり、暗電流の漏れは、バイアスが増加するにつれて、P1、P4、P6、およびP8よりもより深刻である。結果は、本有機半導体ポリマーの第2の繰返し単位がデバイス暗電流を効果的に抑制することを示した。
【0091】
EQE性能の比較:P4およびP6に基づくデバイスは、PC1よりもより良好なEQEを示した。P4およびP6デバイスは、1300~1400nmで、5%を超えるEQEを有する。特に、実施形態におけるP6デバイスは、1300nmで20%までのEQEを有する。これらの結果は、ポリマーの第2の繰返し単位は、暗電流を抑制しながら、対応するデバイスのEQE性能を犠牲にしないことを示した。
【0092】
検出性能の比較:提示された有機半導体ポリマーP1、P4、P6、およびP8に基づくデバイスは、比較例PC1と比較して、検出能が100倍増加している。良好な検出性能は、半導体ポリマー中に第2の繰返し単位を添加することによって、EQEを犠牲にすることなく暗電流を抑制した結果であった。
【0093】
結論として、光学バンドギャップが0.8eV未満の場合、本発明における有機半導体ポリマーは、-2V下で、交互コポリマーPC1と比較して、暗電流および検出能の両方においてより良好な対応するデバイス性能を有する。
【0094】
さらに、表4に示されるように、実施形態におけるP4およびP6から構成されるコンポーネントを、スピンコーティング活性層のために、非ハロゲン化o-キシレンで処理した。P4およびP6に基づくOPDデバイスは、文献における比較例1および2よりも、1200nmでより良好な応答性および検出能を示した。特に、文献における比較例1および2の応答性および検出能は、1200nmから1400nmに減少したが、本発明の性能は維持された。
【0095】
当業者であれば、追加の利点および変更を容易に思い付くであろう。したがって、本発明はその広範な態様において、本明細書に示され且つ説明された特定の詳細、および代表的なデバイスに限定されない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって規定された一般的な発明概念の主旨または範囲から逸脱することなく、様々な変更を行なうことができる。
【0096】
まとめると、本発明の有機半導体ポリマーの環境に優しい溶媒への溶解性は良好であり、大量生産における溶液処理に有益である。さらに、本発明の有機半導体ポリマーに基づく有機光電子デバイスは、波長1300nm以上で優れた光応答および対応するデバイス性能を有する。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C