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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027130
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】構造体に作業するための装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 57/02 20060101AFI20240221BHJP
   E02B 1/00 20060101ALI20240221BHJP
   E02D 13/00 20060101ALI20240221BHJP
   B08B 1/30 20240101ALI20240221BHJP
   B08B 9/023 20060101ALI20240221BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240221BHJP
   G01N 21/952 20060101ALN20240221BHJP
【FI】
B62D57/02 N
E02B1/00 301Z
E02D13/00 Z
B08B1/30
B08B9/023
B05C11/00
G01N21/952
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023207549
(22)【出願日】2023-12-08
(62)【分割の表示】P 2021525034の分割
【原出願日】2019-11-11
(31)【優先権主張番号】1818300.4
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521193968
【氏名又は名称】ロトテック ピーティーイー エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】ROTOTECH PTE LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハルトフ、サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス、アンドリーズ
(72)【発明者】
【氏名】クライネ、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ウェスターブリンク、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ケンドール、スチュアート
【テーマコード(参考)】
2D050
2G051
3B116
4F042
【Fターム(参考)】
2D050DB08
2G051AA90
2G051AB02
2G051AC16
2G051CA04
3B116AA41
3B116AB54
3B116BA12
4F042AA16
4F042AA19
4F042BA08
4F042DH01
4F042DH09
4F042ED10
4F042ED11
4F042ED12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マリーンサポート(海洋支持)構造体の洗浄、点検、及び塗装若しくはペンキ塗り等による作業を安全に行える装置を提供する。
【解決手段】構造体に作業するための装置であって、該構造体(30)の周りに組立てるためのフレームを有し、該フレームは、基端で該フレームに枢動可能に取付けられ、該構造体に接触するよう配置されかつ該構造体(30)に沿って該フレームを移動するよう駆動可能な回転部材(8)をそれぞれ支持する少なくとも1対の第1と第2のアーム(6)を有している装置。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に作業するための装置であって、
該構造体の周りに組立て若しくは配置するために、少なくとも1つの支持体を有しているフレームと;
基端部で該支持体に枢動可能に取付けられた少なくとも1対の第1及び第2のアームと;
該構造体と接触するように、前記第1及び第2のアームのそれぞれの先端に取付けられた、少なくとも1対の回転部材とを有し;
前記第1及び第2のアームは、対応する第1及び第2の回転部材を該構造体に向かって若しくは該構造体から離れるように移動するように、軸方向反対向きに延びていて枢動可能であることを特徴とする構造体に作業するための装置。
【請求項2】
該フレームの軸方向反対側端部に設けられた上及び下の前記支持体を有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
該フレームの軸方向反対側端部間に設けられた中間の前記支持体を有する前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記第1と第2のアームは枢動可能であり、同時に、対応する第1と第2の回転部材を該構造体に向かって若しくは該構造体から離れるよう移動するようにする前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項5】
前記第1と第2のアームの少なくとも1つは該フレームを通って配置されていて、対応する第1若しくは第2の回転部材が該構造体に接触できる前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項6】
該フレームは軸方向に延びる複数の支柱を含み、前記第1と第2のアームの少なくとも1つが、該支柱の隣接するものの間を通るように配置される請求項4の装置。
【請求項7】
第1及び/若しくは第2のアームを、該構造体に向かって枢動しかつそれぞれの回転部材を該構造体と接触させるように、駆動するための手段を含む、前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項8】
第1及び/若しくは第2のアームを駆動するための前記手段は、流体圧駆動手段を含む請求項7に記載の装置。
【請求項9】
該支持体の周りに周方向に離隔して、第1と第2のアームと第1と第2の回転部材の前記対を複数含む、前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項10】
該フレームは、該構造体の周りに組立てられるように配置された複数のフレームセグメントを含む、前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項11】
フレームセグメントの隣接する対は一緒にヒンジ結合されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
該構造体に作業するために1つ若しくは複数のモジュールに該装置を取外し可能に結合するための結合手段を含む、前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項13】
第1のモジュールを有し、該第1のモジュールに直接的若しくは間接的に結合される1
つ若しくは複数の追加のモジュールを含み、該若しくは各追加のモジュールは請求項1~12の何れか1つに記載の装置を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
該若しくは各追加のモジュールは該構造体を洗浄、検査及び/又は切断用に配列されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
第1のモジュールはマスターコントローラを含み、該若しくは各追加のモジュールは該マスターコントローラに接合された若しくは接合可能なスレーブコントローラを含む、請求項13又は請求項14に記載の装置。
【請求項16】
該フレームの軸方向一端若しくはその付近で周方向に移動するように配置されたキャリッジを含み、該キャリッジは該構造体に作業するための1つ若しくは複数のツールを、支持し若しくは支持するように配置されている、請求項1~12の何れか1つに記載の装置。
【請求項17】
該キャリッジを周方向に該フレームに相対的に駆動するための手段を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
該フレームの周りに周方向に配列されたトラックを含み、該キャリッジは該トラックに係合し該キャリッジを該トラックの周りに動かすように駆動可能である駆動部材を有している、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
該トラックはギアトラックを含み、該駆動部材はギアを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
該キャリッジを周方向に案内するためのガイドレール含み、該ガイドレールは第2の支持体に取付けられている、請求項16~19の何れか1つに記載の装置。
【請求項21】
該ツールを該キャリッジに相対的に駆動するための手段を含む、請求項16~20の何れか1つに記載の装置。
【請求項22】
該キャリッジに支持された前記1つ若しくは複数のツールを含み、該1つ若しくは複数のツールは洗浄用ツール、壁厚測定用ツール、ビデオカメラ、クリアランスセンサー、塗装用ツール、包装用ツール及び切断用ツールの少なくとも1つを含む、請求項16~21の何れか1つに記載の装置。
【請求項23】
該キャリッジの周方向位置を検知するための周方向位置センサーを含む、請求項16~22の何れか1つに記載の装置。
【請求項24】
該構造体に沿って該装置が移動した距離を検出するための距離センサーを含む、前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項25】
該距離センサーは該構造体に接触するように配置されるホイールを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記駆動を制御するためのリモートコントロールを含む、請求項7,8,12,18若しくは21の何れか1つ、又はこれらに従属する請求項9,10若しくは20~25の何れか1つに記載の装置。
【請求項27】
前記駆動は前記作業を行うためにプログラム可能である、請求項7、8、12、18若
しくは21の何れか1つ、又はこれらに従属する請求項9,10若しくは20~25の何れか1つ、又は請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記構造体に沿って連続して一緒に結合可能な複数のモジュールを有し、各前記モジュールが該構造体の周りに組立てられ若しくは配置されるフレームを含む、構造体に作業するための装置。
【請求項29】
構造体に作業するための装置であって、
該構造体の周りに組立てられ若しくは配置されるフレームと;
該フレームの軸方向一端に枢動可能に取付けられ、該構造体に接触して配置される回転部材を支持し該構造体に沿って該フレームを動かすよう駆動可能なアームと;
該構造体の軸方向他端に配置されたツールキャリッジと;を含み、
該アームは該フレームを通って延びていて可動である、装置。
【請求項30】
大きさが異なる構造体に作業するための装置であって、
ある1つの構造体の周りに組立てるために大きさが異なる複数のフレーム若しくはフレーム要素を含み、
該フレームに取外し可能に取付けられ若しくは取付け可能であり、該構造体に接触するよう配置されかつ該構造体に沿って該フレームを移動するよう駆動可能な回転部材を有する少なくとも1つのアームを有し、
該構造体に作業するために1つ若しくは複数のツールを支持すべく配置されたキャリッジを有する装置。
【請求項31】
構造体に作業するための装置であって、
該構造体の周りに組立てられ若しくは配置されるフレームと;
該フレームに取付けられ、該構造体に接触するように配置された回転部材を支持し該構造体に沿って該フレームを動かすよう駆動可能なアームと;
該フレームに取付けられ該フレームに対して周方向に移動可能なツールキャリッジとを備え、
該装置は該構造体に沿って該フレームにより動かされる距離を検知すべく配置された1つ若しくは複数の距離センサーと該ツールキャリッジの周方向位置を検出すべく配置された1つ若しくは複数の周方向位置センサーとを備えてなる装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライザー、コンダクター、ケーソンパイルのような、マリーンサポート(海洋支持)構造体、マリーンプラットフォーム、桟橋若しくは埠頭用の橋脚、又はパイプを含むがこれらに限定されない、支持構造体のような構造体に作業するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マリーンサポート(海洋支持)構造体は、典型的には、例えば潮の満ち引き、波の作用及び/若しくは跳ねかかりの結果として、周期的に水に晒されたり、露出したりする構造体の部分である「水が跳ねかかるゾーン」において特に経年変化したり劣化したりする。経年変化は波の作用や衝撃を原因とする腐食や物理的損傷を含みうる。劣化は海藻や甲殻類動物等が堆積することを含んでいる。
【0003】
従って、マリーンサポート(海洋支持)構造体は、例えば、洗浄、点検、及び塗装若しくはペンキ塗り等による作業をして、長持ちさせたり、寿命を延ばす必要がある。従来、点検整備保守作業はダイバーが行っているが、これは非常に困難な作業で特に水が跳ねかかるゾーンにおいては、危険であり、時々は十分には効果的でない。
【0004】
特許文献1(米国特許公開公報第9382682号)は、パイルからマリーンデブリを洗浄するための装置であって、パイルの周りに締め付けられている2つの半分体を含むトラスケージと、垂直運動用のキャタピラー踏み面を備えたトラクションモータとを有するものを開示している。トロリーがフレームの外側の軌道に沿って進みパイル洗浄用の水ジェットを運ぶ。
【発明の説明】
【0005】
本発明の態様は添付の請求項により定義される。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、構造体に作業するための装置であって、
該構造体の周りに組立て若しくは配置するために、軸方向反対側端部に第1と第2の支持体を有するフレームと;
基端部で該第1の支持体に枢動可能に取付けられ 該構造体と接触するようにそれぞれ配置された回転部材を支持し、該構造体に沿って該フレームを移動するように駆動可能な少なくとも1対の第1及び第2の支持アームと;
周方向移動用に配置され、該構造体に作業するための1つ若しくは複数のツールを支持するキャリッジと、
を備えた装置が提供される。
【0007】
有利なことに、上記配列は、回転部材とアームとからの障害なくフレーム上にツールを装着することができるようにする。それは、これらツールがキャリッジとはフレームの反対側端に装着されるからである。
【0008】
有利なことに、上記配列は、例えば、アーム組立ての際、特にアームをフレームの上方端部に設ける場合、該アームに容易にアクセスできるようにする。
【0009】
例えば、大きさの異なる構造体に対して作業するために、アームを異なる大きさのフレームに組立てをし易くし及び/若しくは取付けることが出来るようにするために、アームを取外し可能にフレームに取付けることが出来る。
【0010】
この装置は、アームを交換可能に取付けることが出来る、大きさの異なるフレーム若しくはフレームセクションを含む部品キットとして提供することが出来る。この態様は、独立した発明と考えられる。したがって、本発明のもう1つの態様においては、大きさの異なる複数構造体に作業するための装置であって、構造体の周りに組立てるための大きさの異なるフレーム若しくはフレーム要素と、各前記フレームに交換可能に取付けられ、該構造体に接触するように配置され該構造体に沿って該フレームを移動するよう駆動可能な回転部材を有する少なくとも1つのアームと、該構造体に作業するための1つ若しくは複数のツールを支持するように配置されたキャリッジとを含む装置が提供される。
【0011】
該フレームは形状が筒状であり、径の異なる同中心の部品を必要とすることがなく、従って該フレームは比較的軽量でかつ/若しくは小形にすることが出来る。
【0012】
第1と第2のアームは、軸方向に反対向きに延在して、第1のアームはフレームの一端を超えて延び、第2のアームはフレームを通って、例えば第1と第2の支持体を結合する支柱間の開口を通って、延在することが出来る。こうして、また、装置を軽量で小型にすることを可能にしている。
【0013】
両アームは独立して第1の支持体に取付けることが出来る。アームは流体圧シリンダーにより駆動して、回転部材を支持しているアームの枢動角を、フレームが構造体に沿って動く様に変えることが出来る。このことは、予め巻き付いた複合巻付き物、パイプ付着物、或いは他の障害となるもののような、障害物を乗り越えて装置が移動する能力を改良することが出来る。この様な構造は装置が傾斜した構造体を登ることが出来るように若しくは容易にする。
【0014】
第2のアームの上記構造は、独立した発明と考えられる。
従って、本発明のもう1つの態様においては、構造体に作業するための装置であって、
該構造体の周りに組立て若しくは配置するためのフレームと、
該フレームの軸方向一端に枢動可能に取付けられ、該構造体に接触して該構造体に沿って該フレームを移動するよう駆動可能な回転部材を支持するアームと、
該構造体の軸方向他端に配置されたキャリッジとを備え、
該アームは該フレームを通って延びている、装置が提供される。
【0015】
該装置は、該構造体に対して該装置の少なくとも一部の絶対的若しくは相対的位置、例えば、該構造体に沿った該フレームの移動距離及び/若しくは該キャリッジの周方向位置を、決定すべく配置された1つ若しくは複数の距離若しくは位置センサーを含むことが出来る。この態様は、独立した発明と考えられ、本発明のもう1つの態様によれば、構造体に作業するための装置であって、
該構造体の周りに組立て若しくは配置するためのフレームと;
該フレームに取付けられ、該構造体と接触して配置された回転部材を支持し該構造体に沿って該フレームを移動するよう駆動可能なアームと;
該フレームに取付けられ、該フレームに相対的に周方向に移動可能なツールキャリッジとを備え、
該装置は該構造体に沿って該フレームによって移動する距離を検出するように配置された1つ若しくは複数の距離センサーを含んでいる、ものが提供される。
【0016】
本発明のもう1つの実施形態よれば、構造体に作業するための装置であって、
該構造体の周りに組立て若しくは配置するためのフレームであって、該フレームの軸方向中間位置に支持体を備えたものと;
該支持体に基端部が枢動可能に取付けられた少なくとも一対の第1及び第2のアームと

該構造体に接触するよう、第1と第2のアーム夫々の先端部に取付けられた少なくとも1対の第1と第2の回転部材とを有し;
該第1と第2のアームは軸方向反対向きに延びていて該構造体に向かって若しくは離れるように対応する第1と第2の回転部材を動かすように枢動可能である、装置が提供される。
【0017】
該装置は該構造体に沿って並んだ1つ若しくは複数の追加のモジュールに結合可能な第1のモジュールを有することが出来、該第1のモジュールはトラクション若しくは駆動モジュールとして構成され、該追加のモジュールは該構造体に作業するために構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
添付の図面を参照して本発明の特定の実施形態について説明する。
図1図1は本発明の第一実施形態における装置を上から見た斜視図である。
図2図2は第一実施形態の装置の第1側立面図である。
図3図3は第一実施形態の装置の第2側立面図であり、第1側立面図に直角である。
図4図4図2の面A-Aの横断面図であり、支持構造体の位置を示している。
図5図5は第一実施形態の装置の頂部の図である。
図6図6は本発明の第二実施形態における装置を上から見た斜視図である。
図7図7は第二実施形態の装置を下から見た斜視図である。
図8図8は第二実施形態における装置の第1側立面図である。
図9図9は第二実施形態における装置の第2側立面図であり、第1側立面図に直角である。
図10図10図9の面A-Aの横断面図である。
図11図11図9の面B-Bの横断面図である。
図12図12は第二実施形態の装置の頂部の図である。
図13図13は第一又は第二実施形態による装置を形成する組立用の部品キットの図である。
図14図14は本発明の実施形態における装置の作動のダイアグラム図である。
図15図15は本発明の実施形態における装置の流体圧システムの部分ダイアグラム図である。
図16図16は本発明の実施形態における装置を操作するためのリモートコントロールシステムを例示するダイアグラム図である。
図17図17は本発明の第三実施形態における装置の第1側立面図である。
図18図18は第三実施形態における装置の第2側立面図であり、第1側立面図に直角である。
図19図19は第三実施形態の装置を上から見た斜視図である。
図20図20は第三実施形態の装置の底面図である。
図21図21は第三実施形態の装置の頂部を示す図である。
図22図22図21の面A-Aにおける部分横断面図である。
図23図23はトラクションモジュールを備えた、第三実施形態の異なる構成(複数)を示すダイアグラムである。
図24図24は、図23の構成における2つのモジュール間の連結システムの詳細図ある。
【0019】
以下の説明において、装置の向きは、垂直に延びる支持構造体30を取巻いて組立てられるものとして説明される。「周方向」及び「接線方向」は仮想中央垂直軸線周りの周方向についてであり、「径方向」は当該軸線に直角な方向である。
【0020】
図面に寸法が示される場合、これらはミリメートル(mm)についてであるが、これら寸法は特定実施形態の大きさについて限定するものではなく、純粋に例示的なものである。
【0021】
明瞭化のために、ある特定部分の全ての場合ではないが、図面中参照符号を付して示してある。図面を見れば、全体としてどの部分が言及されているか理解されるであろう。異なる実施形態間の類似の部分については、同じ参照符号を付している。
【0022】
以下に、図1図5を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。ケージ若しくはフレーム1はケージ若しくはフレームのセグメント若しくはセクション1a,1b,1cであって、例えば取外し可能なピンを使ってフレーム結合点2a,2b,2cにおいて取り外し可能に結合されているものを含む。使用に際し、フレームセグメント1a,1b,1cは、作業対象となる支持構造体30の周りに組立てられる。フレームセグメント1a,1b,1cは、これらフレームセグメント1a,1b,1cを所望位置に持ち上げ、及び/若しくは使用後にそれらを回収するための、ケーブル等の取付け用のリフティングポイント23を含んでいる。好ましくは、フレームセグメント1a,1b,1cの各々は、手で所望位置に持ち上げられる程に十分に軽いものである。
【0023】
フレーム1は、支柱5により接続された、上支持体3と下支持体4とを含む。この実施形態において、上下支持体3,4とは円形で同軸である。支柱5は上下支持体3,4間を概ね垂直に延在している。上支持体3、下支持体4と支柱5は剛体であり、互いに結合されて、組立てられた際、フレーム1は実質的に剛体になっている。
【0024】
複数対(本件の場合3対)の上下アーム6,7が異なる周方向位置で、好ましくは、上支持体3の周りに周方向に等間隔、例えば本実施形態においては、120°離間して、上支持体3に結合されている。
【0025】
各アーム6,7は、接線方向、水平方向の枢軸線周りに、例えば、夫々の軸即ちスピンドルによって、上支持体3に枢動可能に支持されている。本実施形態において、アーム6,7は上支持体3の上側と下側でそれぞれの軸線の周りに枢動可能であるが、これに代えて同じ軸線周りに枢動可能にしても良い。上及び下アーム6,7は互いに反対方向に枢動可能であり、その結果これらは同時に支持構造体30に向かう方向に又は支持構造体30から離れる方向に移動することが出来る。上下アーム6,7は互いに独立して枢動可能であり上下アーム6,7間の角度が変わるようにすることが出来る。
【0026】
各アーム6,7は、支持構造体30に接触するように配置されたそれぞれのホイール、ローラ、若しくは他の回転部材8,9を備えている。ホイール8,9は支持構造体30に対してトラクションを高め、そして/若しくはホイール8,9への摩耗を減らすように配設された接触面を有すると良い。ホイール8,9の各対は、対応するアーム対6,7に支持されて、互いに独立して回転可能であると良い。
【0027】
複数対のアーム6,7の少なくとも1つは支持構造体30に向かい、及びそれから離れる方向に枢動するように往復駆動可能であり、その結果対応ホイール8,9がそれぞれ支持構造体30を締め付けたり釈放したりすることが出来る。好ましくは、アーム6,7のこの対はそれぞれの流体圧シリンダ10,11により駆動される。流体圧シリンダ10,11の制御は、相互接続されてアーム対が同期して駆動されるようにできる。流体圧シリンダ10,11は、ホースクランプ24に取り付けられる流体圧用ホース(図示無し)それぞれにより駆動される。
【0028】
アーム6,7の他の対は、例えば長さ調節可能な棒若しくはボトルねじ12,13によって、作業を受ける支持構造体30の径に応じて、枢動位置に調節可能に保持される。
【0029】
下アーム7は支柱5の間を通って対応するホイール9が支持構造体30に接触できるようになっている。
【0030】
ホイール8,9の少なくとも1つは反対方向(即ち、前向き及び後向きに)のいずれの方向にも往復駆動可能で、装置を支持構造体30の上及び下にそれぞれ動かすことが出来る。好ましくは、駆動可能なホイール8,9は往復駆動可能なアーム6,7上に設けられる。他のホイール8,9は駆動を受けないで、好ましくは互いに独立に、自由に回転して、支持構造体30の上及び下への装置の移動の案内として作用するようにすることが出来る。
【0031】
下支持体4はフレーム1の下方部分周りを周方向にキャリッジ15を案内するためのガイドレール14を支持している。キャリッジ15は駆動ギア16を有し、この駆動ギアはフレーム1の下方部分周りに周方向及び水平方向に配置されたギアトラック17に係合している。駆動ギア16は、キャリッジ15がガイドレール14の周方向周りに動くように駆動される。キャリッジ15は周方向に略360度にわたり駆動可能であるが、キャリッジ15の移動は、図4に示すように、ガイドレール14付近に設けられたキャリッジストッパ18によって完全な1回転に制限されることが好ましい。
【0032】
キャリッジ15は、支持構造体30上の蓄積物がキャリッジ15の進行の妨げになるので、支持構造体30に接触しないことが好ましい。その代わりに、キャリッジ15はガイドレール14の内側に接触する1対の内部ローラ19と、ガイドレール14の外側に接触する1対の外部ローラ20とにより支持される。内部ローラ19は、キャリッジ15のいずれの側にも水平方向に延びるキャリッジアーム21上にそれぞれ装着されていて安定性を改良している。
【0033】
代替実施形態においては、ガイドレール14とギアトラック17との機能を結合することが出来る。例えば、ギアトラック17とドライブギア16を省略し、内部若しくは外部ローラ19,20の1つ若しくは複数を駆動してキャリッジ15をガイドレール14の周りに駆動しても良い。これに代えて、ガイドレール14を省略してギアトラック17を変形してガイド機能を持たせるようにしても良い。ギア/ギアトラック又はラックアンドピ
ニオン装置に代えて、ローラピニオン又は摩擦駆動のような、リニア駆動装置で代替しても良い。
【0034】
キャリッジ15は支持構造体30に作業するために1つ若しくは複数のツール22を支持するよう構成されている。駆動可能なホイール8,9を使用し、そして支持構造体30の周方向周りにキャリッジ15を動かすことにより、フレーム1を支持構造体30の上下に動かすことにより、少なくともスプラッシュ領域内で流体圧ライン等により何らかの制限を受けて、ツール22は支持構造体30の外側表面の実質上どの部分も到達できる。
【0035】
ツール22は、キャリッジ15に移動可能に装着されておりキャリッジ15に対してツール22を動かすことができるようになっている。例えば、ツール22は、支持構造体30に向かって及びそれから離れる方向に、例えば径方向に往復動可能に駆動可能である。
【0036】
ツールは単数若しくは複数でキャリッジ15に装着できるが、交換可能であり、
― 支持構造体30の表面洗浄用の高圧水ノズル、
― 例えば超音波を使って、支持構造体30の壁厚測定用の壁厚測定プローブ、
― 作業サイト点検用のビデオカメラ27、
― 支持構造体の表面からのクリアランス検知用のクリアランスセンサー、
― 支持構造体30の表面塗装用の、塗装ローラやブラシのような、塗装用ツール、
― 支持構造体30に保護用ラッピングを付けるためのラッピングツール、
― 例えば、高圧摩耗切断を使って、支持構造体30の一部を切断するための切断具、等の例がある。
【0037】
第2実施形態において、キャリッジ15は、クリーニングツール22に加えて、ビデオカメラのようなカメラ27を支持している。
【0038】
装置は1つ若しくは複数の距離センサーを有して、支持構造体30に沿って移動した距離を測定できる。距離センサーは、例えばホイール8,9の回転数を、例えば1つ若しくは複数の磁気角度位置センサーを使って、決定するようにできる。
【0039】
キャリッジ15は、1つ若しくは複数の回転位置センサー(例えば、光学若しくは磁気センサー)を有して、フレーム1に対するキャリッジ15の絶対的若しくは相対的周方向位置を、例えばガイドレール14若しくはギアトラック17に付した基準位置マークを検出することにより、決定するようにすれば良い。
【0040】
距離センサー及び/若しくは回転位置センサーを使って支持構造体30上の、ツール22、キャリッジ15若しくは装置の他の部品の位置を決めることが出来る。これは、例えば異常や矛盾が検知された場合に、装置を所定の絶対的位置に移動し、又は以前に通った位置に戻すことを可能にする。
【0041】
装置を支持構造体30上の基準マークの1つ若しくは複数に整列させて基準マークに対して以前通った位置に戻すように出来る。一例として、1つの水平及び/若しくは垂直な可視マークを、支持構造体30上に、上支持体3の垂直位置及び支柱5の所定の1つの周方向位置のような、装置の1つの部品若しくは複数部品の初期位置に対応して、例えば目立つペイントマーキングのようなマーキングにより識別させて、作る。距離センサーはゼロにセットする。キャリッジ15は(時計方向若しくは反時計方向の何れかで)最大周方向位置にあるようにし、回転位置センサーはゼロにセットする。装置が支持構造体30に沿って移動する時、距離センサーと回転位置センサーは軸方向及び周方向に初期位置に対して移動した距離を測定する。このようにして、支持構造体30上の異常若しくは矛盾位置のマップを作り、必要な場合、戻すようにできる。
【0042】
第1実施形態は、22~36インチ(0.56~0.91メートル)の範囲の径を有する支持構造体30に対して作業するように設計されている。異なる大きさ及び/若しくは数のフレームセグメント1a,1b,1cの別の実施形態は、他の径の支持構造体に対して作業するようにすることが出来る。例えば、図6図12は第2実施形態を示しており、これは構造においては第1実施形態と同様であるが、(9+5/8)~22インチ(0.24~0.56メートル)の範囲の径を有する支持構造体30に対して作業するように設計された小さな径のフレーム1を有している。このフレーム1は2つのフレームセグメント1a、1bから成り、これらは半筒状体であり、組み合わされて筒状フレーム1を形成している。
【0043】
第2実施形態は、第1実施形態同様、3対の上、下アーム6,7を、上支持体3の周りに等間隔配置で有している。他の実施形態、特により大きな径の支持構造体に対して作業するためには、3対よりも多い対のアーム6,7を有するようにすると良い。
【0044】
アーム6,7は、ホイール8,9、流体圧シリンダ10,11、および長さ調節可能なバー12,13とともに、フレームセグメント1a,1b,1cに取り外し可能に取り付
けることが出来る。これらの要素は第1実施形態のフレームセグメント1a,1b,1c及び第2実施形態のフレームセグメント1a,1bとともに交換して使うことが出来る。第1及び第2実施形態用に、曲率半系が異なるために、異なるキャリッジ15を必要としても良い。又は、単一の調節可能なキャリッジ15を、第1及び第2実施形態との間で、例えば調節可能なキャリッジアーム21を備えて、交換して使っても良い。
【0045】
図17図22は、第3実施形態における装置を示しており、この装置は第1及び第2実施形態とは異なり、ケージ即ちフレーム1が中間支持体33を有しており、この中間支持体にホイール8,9を対応して有する2対の上及び下アーム6,7が連結されている。したがって、ケージ1は3つの環状の水平部片(下支持体3と中間支持体33と上支持体4)を有していて、これらは垂直に延びる支柱5により接続されて概ね筒状の構造体を形成している。したがって、第3の実施形態は、中間支持体33が第1及び第2実施形態の上支持体4と類似の機能を演じる第1及び第2実施形態の発展した形態とも考えることが出来、そして第3実施形態の上支持体4は上アーム6を超えて延長している追加の構造部分である。
【0046】
ケージ1は、2つの半筒状セクション1a,1bを含み、これらセクションは連結点2a,2bで一緒にヒンジ結合されていて、第2実施形態同様、一緒に揺動可能である。この例においてケージは、22~36インチ(0.56~0.91メートル)の範囲の径を有する構造体30の周囲に取り付けるためのより大きなバージョンに設計するか、又は8~22インチ(0.20~0.56メートル)の範囲の径を有する構造体30用のより小さいバージョンに設計しても良い。
【0047】
1対のアーム6,7は対応して対をなす駆動シリンダ10,11を有しており、他方他の対のアームは対応して対をなす長さ調節可能なバー12,13を有している。少なくとも1対のアーム6,7のホイール8,9は、装置が構造体30上を上下に動く様に往復駆動可能である。
【0048】
この実施形態において、装置にはガイドレール14又はツール22支持用のキャリッジ15が無い。したがって、重心(COG)は図17図18に示すように、ケージ1の幾何学的中心に近い。図23図24に示すように、装置は、例えばクリーニングモジュール、NDT(非破壊試験)モジュール及び/若しくは切断モジュールのような作業用モジュール34の1つ若しくは複数に、構造体30に沿ってかつその周りに並んで接続するためのトラクションモジュールとして構成される。追加のモジュールの各々は、トラクションモジュールの構造と類似の構造をしているケージ若しくはフレームを有しており、2つ若しくはもっと多くの対のアーム6,7と対応したホイール8,9を有しているが、追加モジュールのホイール8,9はどれも非駆動であることが異なっている。作業用モジュール34は、トラクションモジュールにより構造体30に沿って駆動される。これとは異なり、1つ若しくは複数の作業用モジュールを、構造体30若しくはプラットフォームに取付けた1つ若しくは複数のウインチのような他の幾つかの手段によって、構造体30に沿って動かすようにしても良い。
【0049】
構造体30に沿って動いた距離は、フレーム1に、例えば中間支持体33により、支持されていて、構造体30に接触するよう枢動可能な測定用ホイール43により測定される。測定用ホイールは、光学的及び/若しくは電気的に移動距離を測定できるエンコーダホイールとすると良い。
【0050】
図24に示すように、隣り合う第1と第2のモジュールは、第1のモジュール上の1つ若しくは複数の第1の合体部品を第2のモジュール上の対応する1つ若しくは複数の合体部品により互いに結合することが出来、例えば、第1の合体部品は1つ若しくは複数の雄
合体プローブ35を有し、第2の合体部品は1つ若しくは複数の受容体36として、対応する雄合体プローブ35が嵌合するようにすることが出来る。この結合は雄合体プローブと受容体とを通る迅速に緩めることが出来るクイックレリースボルト37のようなロック手段により確保できる。これとは異なる合体及び/若しくは締付機構を用いても良い。
【0051】
トラクションモジュールは下支持体4に取り付けられた複数の足42を有すると良い。足42は、トラクションモジュールの下に追加のモジュールを接合できるように取り外し可能であることが好ましい。
【0052】
トラクションモジュールはマスターコントローラ38を有しており、このマスターコントローラはリード線40によって1つ若しくは複数の追加のモジュール上に1つ若しくは複数の対応するスレーブコントローラ39に取り外しできるように接合可能である。マスターコントローラ38は、リモートコントロールユニット25によって地表から制御され、通信信号及び/若しくは電力をスレーブコントローラ39に通す。
【0053】
図13は、第1もしくは第2実施形態のいずれもの装置が組み立てられるように提供される部品キット示しており、少なくとも、第1実施形態のフレームセグメント1a,1b,1cと、第2実施形態のフレームセグメント1a,1bと、アーム6,7と、これと共にホイール8,9、流体圧シリンダ10,11、長さ調節可能なバー12,13と(ここでは第2実施形態のフレームセグメント1a,1bに取付けられて図示されている)、第1及び第2実施形態用のキャリッジ15と、流体用のホース29のセットと、流体動力供給源28とを有している。この実例において、部品キットは作業台31を含む運搬可能なコンテナ32の形で提供されて、支持構造体30の周りに組み立てる前に装置の部分的組み立てをやり易くしている。
【0054】
直径が1つのみ、あるいは直径範囲が小さい複数直径の支持構造体30用に設計された実施形態において、駆動を受けない、アーム6,7とホイール8,9の幾つかの対は、固定半径位置のローラ若しくはホイールのような、他のタイプのガイドにより置き換えることが出来る。
【0055】
図14は、上述した実施形態のような、本発明の実施形態における装置の駆動可能な機能の例を示している:
i. 駆動可能枢動可能な上下アーム6,7を駆動して径方向外向き/内向き夫々に枢動するようにクランプ開閉する;
ii. 支持構造体30の表面に接触して駆動可能ホイール8,9を前進/後進方向夫々に
駆動して上下動させる;
iii. 駆動ギア16を前進/後進方向夫々に駆動してキャリッジを時計方向/反時計方向に回転させる;
iv. キャリッジ15に関して、径方向前進/後進方向夫々にツール22を駆動して前進
/後進方向のツールの調整をする。
【0056】
駆動可能機能は、装置に接続された流体用ホース及び/若しくは電気ケーブルにより、流体圧源若しくは電源により各々動力付与され、及び/若しくは制御することが出来る。流体圧式動力が、少なくとも幾つかの用途に、例えば、装置の重量を減らし、及び/若しくはマリーン環境において電気の使用を避けるために、好ましい。流体圧式動力ユニットはプラットフォーム上に載置して可撓性の流体圧ホースにより装置に接続すると良い。
【0057】
装置用の流体圧駆動システムの一例が、図15に示されており、この装置においてアーム6,7の対の1つの枢動、対応するホイール8,9の回転、及び第1及び第2実施形態の場合における駆動ギア16の回転とツール22の往復駆動は流体動力源ユニット(図示
無し)に接続された別の流体圧ラインにより駆動される。
【0058】
例えば図16に示されるように、装置はリモートコントロールユニット25により制御するのが好ましく、このユニットにおいては上述した機能の幾つか若しくは全ての機能の制御を、好ましくは対応するユーザ作動可能な制御により、行うことが出来る。リモートコントロールユニット25は、上述の機能のコントローラ26にワイヤ若しくはワイヤレスにより接続することが出来る。諸機能駆動用の動力は、コントローラ26の制御の下にある、動力源28により供給することが出来る。
【0059】
ホイール8,9と駆動ギア16との駆動速度は必要とする作業用に独立して制御可能にすることが好ましい。これとは別に、若しくは追加的に、リモートコントロールユニット25若しくはコントローラ26は、異なる機能を統一的に制御することにより、任意的には距離センサーにより検出される移動距離及び/若しくは周方向位置センサーにより検出したキャリッジ15の周方向位置に応答して、或る特定の作業を行うためにプログラム可能であるか若しくはプログラムすることが出来る。こうして支持構造体30の所定位置に作業することを可能にする。
【0060】
アーム6,7の枢動角は、例えば装置がスロープのある若しくはカーブした支持部材を上下に駆動されるように、使用中に変えることが出来る。
【0061】
動力を与えるホイール8,9の数は、装置により行われる負荷に応じて、或いは装置の作動条件に応じて、変えることが出来る。必要とされる調節可能性若しくはクランプ力に応じて、アーム6,7の複数対の枢動に動力付与することが出来る。
【0062】
本発明の実施形態は、装置が支持構造体を上下動する際に径を調節するようアーム6,7の枢動の度合い変えることによりテーパのある支持構造体に作業するために使用することが出来る。
【0063】
代替実施形態において、アーム6,7を下支持体4上に装着し、ガイドレール14を上支持体3上に装着しても良い。
【0064】
フレームセグメント1a,1b,1cはアルミニウムチューブで作り軽量化することが好ましい。例えば、装置の質量は、流体圧若しくは電気ラインを除いて、200~300kgの範囲とすると良い。
【0065】
より大きな実施形態の場合、取外し可能なピンにより閉じる方法に代えて、流体圧式に閉じる方法にすることも出来る。この場合、ケージ又はフレームセグメント1a,1b,1cの2つ若しくはそれ以上を、例えば図17に示したような流体圧式ラム若しくはシリンダ41により作動されるヒンジ結合により結合する。セグメント1a,1b,1cは、浮遊式ポンツーンやはしけのような適切な面上で結合することが出来、例えば足42により支持される。ヒンジ結合を開いて作業すべき支持構造体30の周りにフィットするようにし、次いでフレーム1を構造体30周りに取付けるように閉じることが出来る。セグメント1a,1b,1cは、1つ若しくは複数のロック機構、例えばロックシリンダ44により取付けることが出来る。
【0066】
上記実施形態はパイルのような円筒状の支持構造体30に作業するために設計されており、従ってフレーム1は支持構造体30の直径よりも僅かに大きい内径を有する略円形の筒状である。別の実施形態では、支持構造体30のタイプに合わせて別の形状とサイズを持つようにして作業する構造体にあわせて設計するようにしても良い。例えば、正方形若しくは長方形状筒状支持構造体30に作業するように設計された実施形態においては、正
方形若しくは長方形状の筒状フレーム1を、好ましくは4側面の各面に1対のアーム5,6を備えて、使うことが出来る。
【0067】
上記実施形態は海の若しくは水の跳ねかかる地域、或いは水面下、10メートルほどの、浅い深さで使用すると良い。10メートルを超える深さで作業するには、例えば適切なシールを用いることにより、変形することが出来る。実施形態は、パイプ補修用に、パイプの支持構造体により妨げられない限り、使用することが出来る。
【0068】
本発明の別の実施形態は、海のものではない、すなわち、風力タービン若しくは無線マストのような、陸上の支持構造体に使用することが出来る。これらの適用に対しては、フレームセグメント1a,1b,1cには、フレームセグメントが地面に沿って支持構造体の周りを移動させられるようにするために或いは運搬部材用に、取り外し可能若しくは永久的に取り付けた1つ若しくは複数のホイールを設けると良い。例えば、フレームセグメント1a,1b,1cの各々には各側に取り付けた1つ若しくは複数のホイールを備え、フレーム1上とフレームの外側との2つのホイールで形成される三角形の頂点のトラスに追加の取り外し可能なホイールを設けると良い。次いで、セグメント1a,1b,1cを、例えば取外し可能なピン若しくは上述した油圧式ラムにより支持構造体20の周りに組付けあるいは閉じることが出来る。
【0069】
上述の記載を読んで当業者にとって明らかな代替実施形態は添付請求項に規定される本発明の範囲内にあり得る。

部品及び対応する符号のリスト
【0070】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線に沿って延在する構造体に対して洗浄、点検、測定、切断、塗装、ラッピング又はペンキ塗布作業をするための1つ若しくは複数のツール(22)を支持するための装置であって、
該構造体の周りに組立て若しくは配置するためのフレーム(1)であって、該フレーム(1)は、軸線方向で該フレームの両端部に、軸線方向に延在する複数本の支柱(5)により一緒に接続された、第1及び第2の支持体(3,4)を含み、該第1及び第2の支持体(3,4)は前記構造体を取巻いて、概ね筒状の構造を形成するフレーム(1)と;
それぞれ基端で第1の支持体(3)に枢動可能に取付けられた少なくとも1対の第1及び第2のアーム(6,7)と;
該構造体と接触するように、前記第1及び第2のアーム(6,7)のそれぞれの先端に取付けられた、少なくとも1対の回転部材(8,9)とを有し;
前記第1及び第2のアーム(6,7)は、対応する第1及び第2の回転部材(8,9)を該構造体に向かって若しくは該構造体から離れるように移動するように、枢動可能及び駆動可能であり;
前記第1及び第2のアーム(6,7)は、それぞれ前記基端から前記先端へ軸線方向で反対向きに延在していて、前記第2のアームは、前記少なくとも1対の第1及び第2のアーム(6,7)に平行な、隣り合う支柱(5)の間を径方向に通って、第2の回転部材が該構造体に接触でき、該構造体に沿って該構造体の軸線方向に該フレームを駆動するように構成されており; 及び
キャリッジ(15)が前記第2の支持体(4)に若しくはその付近に配置され、該キャリッジ(15)は前記構造体の周りに周方向に動いて前記1つ若しくは複数のツール(22)を支持しているか、若しくは支持するように配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記キャリッジ(15)を周方向に案内するためのガイドレール(14)を含み、該ガイドレール(14)は前記第2の支持体(4)に取付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
軸線に沿って延在する構造体に対して洗浄、点検、測定、切断、塗装、ラッピング又はペンキ塗布作業するための1つ若しくは複数のツール(22)を支持するための装置
であって、
該構造体の周りに組立て若しくは配置するためのフレーム(1)であって、該フレーム(1)は、軸線方向で該フレームの両端部に設けられた第1及び第2の支持体(3,4)と、前記第1及び第2の支持体(3,4)の間に設けられた中間の支持体(33)とを含み、該中間の支持体(33)は軸線方向に延在する複数本の支柱(5)により前記第1および第2の支持体(3,4)に結合されており、前記第1、第2及び中間の支持体(3,4,33)は前記構造体を取巻いていて、概ね筒状の構造を形成している、フレーム(1)と;
それぞれ基端で該中間の支持体(33)に枢動可能に取付けられた少なくとも1対の第1及び第2のアーム(6,7)と;
該構造体と接触するように、前記第1及び第2のアーム(6,7)のそれぞれの先端に取付けられた、少なくとも1対の回転部材(8,9)とを有し;
前記第1及び第2のアーム(6,7)は、対応する第1及び第2の回転部材(8,9)を該構造体に向かって若しくは該構造体から離れるように移動するように、枢動可能かつ駆動可能であり;
前記第1及び第2のアーム(6,7)の少なくとも1対は、それぞれ前記基端から前記先端へ、軸線方向で反対向きに延在していて、前記少なくとも1対の第1及び第2のアーム(6,7)に平行な、隣り合う支柱(5)の間を径方向に通って、対応する第1及び第2の回転部材(8,9)が該構造体に接触して、該構造体に沿って該構造体の軸線方向に該フレームを駆動するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項4】
軸線方向で前記フレーム(1)の一端部若しくはその付近に配置されたキャリッジ(15)を含み、該キャリッジ(15)は前記構造体の周りに周方向に動いて1つ若しくは複
数のツール(22)を支持しているか、若しくは支持するように配置されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記構造体に前記作業するための1つ若しくは複数のツール(22)を支持するための1つ若しくは複数のモジュール(34)に取り外し可能に接続するための接続手段(35)を含む、請求項3又は請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記フレーム(1)の周りに周方向に配置されたトラック(17)を含み、前記キャリッジ(15)は、該トラック(17)に係合し該キャリッジ(15)を該トラック(17)の周りに動かすように駆動可能である駆動部材(16)を有している、請求項1若しくは2又は4若しくは5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ若しくは複数のツール(22)を前記キャリッジ(15)に相対的に駆動するための手段を含む、請求項1若しくは2又は請求項4乃至6の何れか一項に乃至7記載の装置。
【請求項8】
前記キャリッジ(15)に支持された前記1つ若しくは複数のツール(22)を含み、該1つ若しくは複数のツール(22)は洗浄用ツール、壁厚測定用ツール、ビデオカメラ、クリアランスセンサー、塗装用ツール、包装用ツール及び切断用ツールの少なくとも1つを含む、請求項1若しくは2又は請求項4乃至7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記キャリッジの周方向位置を検知するための周方向位置センサーを含む、請求項1若しくは2又は請求項4乃至8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
第1及び/若しくは第2のアーム(6,7)は少なくとも1つの流体圧シリンダ(10,11)により駆動可能である請求項1乃至9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
第1及び/若しくは第2のアーム(6,7)は少なくとも1つの電動モータにより駆動可能である請求項1乃至9の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記アーム(6,7)が取り付けられた前記支持体(3,33)の1つの周りに周方向に離隔して、第1と第2のアーム(6,7)と第1と第2の回転部材(8,9)の前記対を複数有する、前記請求項の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記フレーム(1)は、前記構造体の周りに組立てられるように配置される複数のフレームセグメント(1a、1b、1c)を含む、前記請求項1乃至12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
フレームセグメント(1a、1b、1c)の隣接する対は一緒にヒンジ結合されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記構造体に沿って前記装置が移動した距離を検出するための距離センサーを含む、請求項1乃至14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記距離センサーは前記該構造体に接触するように配置されるホイール(43)を含む、請求項15に記載の装置。
【外国語明細書】