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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027137
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214610
(22)【出願日】2023-12-20
(62)【分割の表示】P 2022052724の分割
【原出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】榊 航平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】石田 亮
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スプラインが意図する形状に変形をするカテーテルを提供する。
【解決手段】カテーテルは、体内に挿入されるシャフトと、シャフトの先端側に接続された複数のスプライン3と、スプライン3の先端側に接続された先端部材と、を備える。また、複数のスプライン3は、第1スプライン3aと第2スプライン3bとを含む。そして、第1スプライン3aと第2スプライン3bとは隣り合っており、かつ、第1拘束部材により互いの動作が拘束されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に挿入されるシャフトと、
前記シャフトの先端側に接続された複数のスプラインと、を備え、
複数の前記スプラインは、第1スプラインと第2スプラインとを含み、
前記第1スプラインと前記第2スプラインとは隣り合っており、かつ、第1拘束部材により互いの動作が拘束されており、
前記第1拘束部材は、ワイヤである、
カテーテル。
【請求項2】
前記第1拘束部材は、第1端と第2端とを有し、
前記第1拘束部材の第1端側の少なくとも一部は前記第1スプライン内に位置し、
前記第1拘束部材の第2端側の少なくとも一部は前記第2スプライン内に位置し、
前記第1拘束部材は、前記第1スプラインの先端および前記第2スプラインの先端よりも先端側に突出している突出部を有する、
請求項1に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、診断または治療のために体内に挿入される医療機器の一種である。一例として、シャフトと、シャフトの先端に結合されたバスケット電極組立体と、を備えるカテーテルが知られている(例えば特許文献1参照)。ここで、バスケット電極組立体は、複数のスプラインを含んでいる。そして、スプラインを変形させることで、バスケット電極組立体が収縮形状から拡張形状に変形するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-507349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したカテーテルは、体内の組織にスプラインを接触させた状態で変形させると、隣り合うスプライン同士の間隔が狭くなりすぎたり、または広くなりすぎたりするおそれがある。
【0005】
本開示は上述の事情を鑑みてなされたものであり、隣り合うスプライン同士を適切な間隔で保持して変形するカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のカテーテルは、体内に挿入されるシャフトと、シャフトの先端側に接続された複数のスプラインと、スプラインの先端側に接続された先端部材と、を備える。また、複数のスプラインは、第1スプラインと第2スプラインとを含む。そして、第1スプラインと第2スプラインとは隣り合っており、かつ、第1拘束部材により互いの動作が拘束されている。
【0007】
以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム等の間で変換したものもまた、本開示の一態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示のカテーテルは、隣り合うスプライン同士を適切な間隔で保持して変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のカテーテルの先端付近における変形状態の一例を模式的に示す斜視図である。
図2】本開示のカテーテルの先端付近における変形状態の他の例を模式的に示す斜視図である。
図3図1に示すカテーテルを構成する部材のうちスプラインを除去した斜視図である。
図4図1に示すカテーテルを構成する部材のうち先端部材を除去した斜視図である。
図5図4に示すS部における拡大図である。
図6】本開示のカテーテルの先端付近の構造の一例を模式的に示す側面図である。
図7図6に示すII-II線に沿った断面図である。
図8図6に示すIII-III線に沿った断面図である。
図9】本開示のカテーテルの全体構造の一例を示す摸式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、本開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
図1は、本開示のカテーテル1の先端付近における変形状態の一例を模式的に示す斜視図である。図2は、本開示のカテーテル1の先端付近における変形状態の他の例を模式的に示す斜視図である。図1および図2に示すように、本開示のカテーテル1は、体内に挿入されるシャフト2と、シャフト2の先端側に接続された複数のスプライン3と、スプライン3の先端側に接続された先端部材4と、を備える。
【0012】
シャフト2は、長尺の円管状部材であってもよい。シャフト2の長さは、例えば800mm~1800mmである。シャフト2の外径は、例えば2.0mm~5.0mmである。シャフト2を構成する材料は、可撓性および生体適合性を有する材料であればよい。例えば、シャフト2は、ポリオレフィンまたはポリアミド等といった公知の樹脂から構成される。
【0013】
スプライン3は、シャフト2と先端部材4との間を繋ぐ部材である。スプライン3は、シャフト2と同様に円管状部材であってもよい。スプライン3を直線状に伸ばした際の長さは、例えば20mm~50mmである。スプライン3の外径は、例えば0.5mm~2.0mmである。スプライン3を構成する材料は、可撓性および生体適合性を有する材料であればよい。例えば、スプライン3は、シャフト2と同様に、ポリオレフィンまたはポリアミド等といった公知の樹脂から構成される。
【0014】
スプライン3は、隣り合う第1スプライン3aと第2スプライン3bとを少なくとも含んでいる。図1および図2には、スプライン3の本数が6本である例を図示している。具体的には、第1スプライン3aおよび第2スプライン3b、第2スプライン3bおよび第3スプライン3c、第3スプライン3cおよび第4スプライン3d、第4スプライン3dおよび第5スプライン3e、第5スプライン3eおよび第6スプライン3f、第6スプライン3fおよび第1スプライン3aがそれぞれ隣り合っている例を示している。また、シャフト2の中心軸と直交する面内において、各スプライン3は互いに離間して配置されている。
【0015】
スプライン3は、シャフト2に接続されている。一例として、スプライン3の基端を含む一部(基端部)が、シャフト2の先端側に挿入されている。そして、スプライン3の基端部とシャフト2とが、溶着または接着剤による接着等の公知の接合方法によって互いに接合されている。
【0016】
スプライン3は、後述する変形操作に応じて、形状が変形する(変化する)ように構成されている。具体的には、シャフト2の中心軸に沿って各スプライン3を展開していない非展開形状(収縮形状)と、非展開形状からシャフト2の中心軸に沿って各スプライン3を展開させた展開形状(拡張形状)との間で、各スプライン3の形状が変形するようになっている。詳細は後述するが、非展開形状の一例としては、「花弁形状」(図2参照)が挙げられる。一方、展開形状の一例としては、花弁形状から各スプライン3がシャフト2の中心軸に沿って展開された「バスケット形状」(図1参照)が挙げられる。
【0017】
図3は、図1に示すカテーテル1を構成する部材のうちスプライン3を除去した斜視図である。図4は、図1に示すカテーテル1を構成する部材のうち先端部材4を除去した斜視図である。図5は、図4に示すS部における拡大図である。図3図5に示すように、第1スプライン3aと第2スプライン3bとは、第1拘束部材6aにより互いの動作が拘束されている。ここで、互いの動作が拘束されているとは、第1スプライン3aと第2スプライン3bとを変形させた際に、第1スプライン3aと第2スプライン3bとが適切な間隔を保持して変形することを意味する。なお、ここでの間隔とは、第1スプライン3aの先端側と第2スプライン3bの先端側との最短距離のことである。よって、仮に第1スプライン3aが体内の組織に接触した状態で変形操作を行ったとしても、第1拘束部材6aを介して、第1スプライン3aと第2スプライン3bとが適切な間隔を保持しながら変形する。このような構成を満足していることから、本開示のカテーテル1は、隣り合うスプライン3同士を適切な間隔で保持して、所望の形状(非展開形状または展開形状)に変形することができる。
【0018】
第1拘束部材6aは、第1スプライン3aと第2スプライン3bとの互いの動作を拘束できる部材あれば、どのような形状、構造、材質であっても構わない。一例として、第1拘束部材6aは、ワイヤである。また、ワイヤの第1拘束部材6aを構成する材料は、ニッケル-チタン合金等の形状記憶合金であればよい。
【0019】
第1拘束部材6aは、第1端と第2端とを有していてもよい。また、第1拘束部材6aの第1端側の少なくとも一部は第1スプライン3a内に位置し、第1拘束部材6aの第2端側の少なくとも一部は第2スプライン3b内に位置していてもよい。そして、第1拘束部材6aは、第1スプライン3aの先端および第2スプライン3bの先端よりも先端側に突出している突出部15aを有していてもよい。ここで、第1端側の少なくとも一部とは、第1拘束部材6aにおいて、突出部15aの第1端側から連続した一定の長さを有する部分のことである。また、第2端側の少なくとも一部とは、第1拘束部材6aにおいて、突出部15aの第2端側から連続した一定の長さを有する部分のことである。
【0020】
第1拘束部材6aの第1端は、第1スプライン3aの基端よりも基端側に位置していてもよい。一方、第1拘束部材6aの第2端は、第2スプライン3bの基端よりも基端側に位置していてもよい。このような構成を満足するならば、第1拘束部材6aが第1スプライン3aおよび第2スプライン3bの形状を保つ骨格の役割を果たす。
【0021】
第1拘束部材6aがワイヤである場合には、突出部15aはU字状に屈曲した形状であってもよい。第1スプライン3aまたは第2スプライン3bを変形させる際、第1拘束部材6aも連動して変形する。この際、変形に伴い生じる応力は突出部15aに集中する。突出部15aがU字状に屈曲した形状あれば、上述の応力を効果的に緩和することができ、繰り返し変形を行っても突出部15aが破断するおそれが低くなる。
【0022】
前述した実施の形態では、第1スプライン3aと第2スプライン3bとを例に挙げて説明したが、他のスプライン3に関しても同様であってもよい。つまり、隣り合うスプライン3同士は、それぞれ1つの拘束部材6により互いの動作が拘束されていてもよい。具体的には、第2スプライン3bと第3スプライン3cとは、第2拘束部材6bにより互いの動作が拘束されていてもよい。また、第3スプライン3cと第4スプライン3dとは、第3拘束部材6cにより互いの動作が拘束されていてもよい。また、第4スプライン3dと第5スプライン3eとは、第4拘束部材6dにより互いの動作が拘束されていてもよい。また、第5スプライン3eと第6スプライン3fとは、第5拘束部材6eにより互いの動作が拘束されていてもよい。また、第6スプライン3fと第1スプライン3aとは、第6拘束部材6fにより互いの動作が拘束されていてもよい。
【0023】
図6は、本開示のカテーテル1の先端付近の構造の一例を模式的に示す側面図である。図7は、図6に示すII-II線に沿った断面図である。図7に示すように、第1スプライン3aは、マルチルーメン構造を有していてもよい。具体的には、第1スプライン3aは、第1スプライン3aの中心軸に沿って、先端から基端にかけて延在する4つのルーメン7(7a1、7b1、7c1、7d1)を有する。ここで、ルーメン7a1、7b1は、ルーメン7c1、7d1と比べて、シャフト2の中心軸側に位置している。また、ルーメン7b1、7c1は、ルーメン7a1、7d1と比べて、第2スプライン3b側に位置している。
【0024】
第2スプライン3bは、第1スプライン3aと同様に、マルチルーメン構造を有していてもよい。具体的には、第2スプライン3bは、第2スプライン3bの中心軸に沿って、先端から基端にかけて延在する4つのルーメン7(7a2、7b2、7c2、7d2)を有する。ここで、ルーメン7a2、7b2は、ルーメン7c2、7d2と比べて、シャフト2の中心軸側に位置している。また、ルーメン7a2、7d2は、ルーメン7a2、7b2と比べて、第1スプライン3a側に位置している。
【0025】
第1拘束部材6aの第1端側は、第1スプライン3aのルーメン7c1に挿入されていてもよい。一方、第1拘束部材6aの第2端側は、第2スプライン3bのルーメン7d2に挿入されていてもよい。このように、第1スプライン3aと第2スプライン3bとにおける各ルーメン7の内、シャフト2の中心軸側から離れて位置し、かつ、最も近接するルーメン7c1、7d2に第1拘束部材6aが挿入されていることで、第1スプライン3aと第2スプライン3bとがより適切な間隔で保持される。
【0026】
前述した実施の形態では、第1スプライン3a、第2スプライン3bおよび第1拘束部材6aを例に挙げて説明したが、他のスプライン3および拘束部材6に関しても同様であってもよい。
【0027】
各スプライン3は、図6に示すように、1または複数の電極5を有していてもよい。電極5とは、電位測定用または焼灼用のリング状の電極のことである。同一のスプライン3が有する各電極5は、スプライン3の長手方向に沿って、互いに離間して配置されている。この場合、隣り合う電極5同士の間隔は一定であってもよく、異なっていてもよい。また、各スプライン3が有する電極5の個数は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0028】
電極5は、導電性を有する材料で構成されている。例えば、電極5は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス、金(Au)、白金(Pt)等の電気伝導性が良好な金属により構成されている。電極5の長さは、例えば0.5mm~2.0mmである。電極5の外径は、スプライン3の外径と同等であればよく、例えば0.5mm~1.6mmである。
【0029】
電極5には、導線が個別に電気的に接続されている。また、導線は、スプライン3内からシャフト2内および後述するハンドル8内を通り、ハンドル8を介して外部の給電装置に接続される。一例として、第1スプライン3aの各電極5に接続された各導線は、互いに電気的に絶縁された状態で第1スプライン3aのルーメン7a1またはルーメン7b1内を通る。なお、第1スプライン3a以外の各スプライン3に関しても同様である。
【0030】
先端部材4は、図2および図4に示すように、第1スプライン3aの先端を含む一部(先端部)、第2スプライン3bの先端を含む一部(先端部)および第1拘束部材6aの突出部15aを覆っていてもよい。言い換えれば、第1スプライン3aの先端部、第2スプライン3bの先端部および第1拘束部材6aの突出部15aには、先端部材4が被せられていてもよい。先端部材4は、どのような形状であっても構わないが、一例としてキャップ状である。また、先端部材4は、どのような材料で構成されていても構わないが、一例として、ナイロン、ナイロンエラストマー、ポリカーボネート等といった公知の樹脂、もしくはステンレススチール等といった公知の金属から構成される。なお、先端部材4は、各スプライン3の先端部および各拘束部材6の突出部15を全て覆っていてもよい。
【0031】
図8は、図6に示すIII-III線に沿った断面図である。図8に示すように、先端部材4の下面の平面視において、先端部材4の内面を構成する壁部は、隣り合う第1凹部9aと第2凹部9bとを有していてもよい。そして、第1スプライン3aの先端部の少なくとも一部が第1凹部9a内に位置し、第2スプライン3bの先端部の少なくとも一部が第2凹部9b内に位置していてもよい。ここで、第1スプライン3aの先端部の少なくとも一部が第1凹部9a内に位置するとは、先端部材4の下面の平面視において、第1凹部9aの領域に第1スプライン3aが重なる部分を有することを言う。一方、第2スプライン3bの先端部の少なくとも一部が第2凹部9b内に位置するとは、先端部材4の下面の平面視において、第2凹部9bの領域に第2スプライン3bが重なる部分を有することを言う。このような構成を満足するならば、第1スプライン3aと第2スプライン3bとを変形させる際、第1スプライン3aの先端部と第2スプライン3bの先端部との位置がずれることを第1凹部9aと第2凹部9bとにより防止できる。
【0032】
第1凹部9aおよび第2凹部9bの形状は、一例として、先端部材4の下面の平面視において半円状である。また、第1凹部9aを構成する壁部と第1スプライン3aとは、接触していてもよく、接触していなくてもよい。同様に、第2凹部9bを構成する壁部と第2スプライン3bとは、接触していてもよく、接触していなくてもよい。なお、図8には、先端部材4の内面を構成する壁部が6個の凹部9を有する例を図示している。このように、先端部材4の内面を構成する壁部は、各スプライン3に対応する凹部9をそれぞれ有していてもよい。
【0033】
先端部材4の内部は、接着剤により充填されていてもよい。このような構成を満足するならば、接着剤により第1スプライン3a、第2スプライン3bおよび第1拘束部材6aがそれぞれ強固に接合されるため、第1スプライン3aと第2スプライン3bとがより適切な間隔で保持される。
【0034】
先端部材4は、図5に示すように、第1拘束部材6aの突出部15aを束ねる結束部材10を内部に備えていてもよい。ここで、突出部15aを束ねるとは、シャフト2の中心軸と直交する面方向に突出部15aが動かないように拘束することを意味する。このような構成を満足するならば、結束部材10により第1拘束部材6aの捻じれが抑制されるため、第1拘束部材6aを介して、第1スプライン3aと第2スプライン3bとの変形を効果的に連動させやすくなる。なお、結束部材10は、全ての拘束部材6の突出部15をそれぞれ束ねていてもよい。
【0035】
結束部材10は、突出部15aを束ねられる部材あれば、どのような形状、構造、材質であっても構わない。一例として、結束部材10の形状は、第1面(上面)と第1面の裏面である第2面(下面)とを有する板状である。そして、第2面は、第1スプライン3aの先端面と第2スプライン3bの先端面とに面している。さらに、結束部材10には、第1拘束部材6aの突出部15aが挿入される、第1面から第2面にかけて貫通する貫通孔16aが設けられている。また、結束部材10の第1面と第2面とを繋ぐ第3面(側面)は、先端部材4の内面を構成する壁部に対応する形状であればよい。具体的には、先端部材4の各凹部9に対応する凸部を有する形状であればよい。また、結束部材10を構成する材料は、高い剛性を有する材料であればよい。例えば、結束部材10は、ステンレススチール等といった公知の金属から構成される。なお、結束部材10には、各拘束部材6の突出部15にそれぞれ対応する貫通孔16が設けられていてもよい。
【0036】
貫通孔16aは、第1拘束部材6aの突出部15aが挿入できれば、どのような形状であってもよい。一例として、貫通孔16aの形状は、結束部材10の第1面側から視た平面視において、楕円形状である。なお、他の貫通孔16も同様であってもよい。
【0037】
図9は、本開示のカテーテル1の全体構造の一例を示す摸式図である。図9に示すように、カテーテル1は、シャフト2の基端側に接続されたハンドル8を備えていてもよい。ハンドル8は、カテーテル1の使用時に、操作者(医師)が掴む(握る)部分である。ハンドル8は、シャフト2の基端側に装着されたハンドル本体11と、回転操作部12と、スライド部材13とを有していてもよい。
【0038】
ハンドル本体11は、操作者が実際に握る部分に相当する。ハンドル本体11は、どのような形状であっても構わない。ハンドル本体11は、一例として、シャフト2の中心軸に沿って延びる形状である。また、ハンドル本体11は、例えば、ポリカーボネート、ポリアセタール、ABS等といった公知の樹脂から構成される。
【0039】
回転操作部12は、シャフト2の先端付近を双方向に曲げる(撓ませる)動作の際に操作(回転操作)される部分である。回転操作部12には、ハンドル本体11内において一対のプルワイヤの基端が固定されている。一対のプルワイヤの先端は、ハンドル本体11内からシャフト2内を通り、シャフト2の先端側に固定されている。よって、回転操作部12を操作(回転操作)すると、プルワイヤが基端側へ引っ張られ、プルワイヤの先端が固定されているシャフト2の先端側が曲がる(撓む)。
【0040】
スライド部材13は、スプライン3の形状を、前述した非展開形状(収縮形状)および展開形状(拡張形状)の間で変形させる(変化させる)際に、操作者によって変形操作(スライド操作)される部分である。スライド部材13は、ハンドル本体11において、シャフト2の中心軸に沿ってスライド可能となっている。
【0041】
スライド部材13には、変形用部材14の基端が固定されている。変形用部材14の先端は、ハンドル本体11内からシャフト2内を通り、先端部材4内に固定されている。そして、スライド部材13は、ハンドル本体11において、シャフト2の中心軸に沿った任意の位置に、移動可能となっている。したがって、スライド部材13の位置に応じて、スプライン3の形状を、前述した非展開形状(収縮形状)、展開形状(拡張形状)または非展開形状および展開形状の間の任意の中間形状に変形可能となっている。
【0042】
変形用部材14は、長尺であれば、どのような形状、構造、材質であっても構わない。一例として、変形用部材14は、拘束部材6よりも太いワイヤである。
【0043】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。各実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【符号の説明】
【0044】
1:カテーテル
2:シャフト
3、3a、3b、3c、3d、3e、3f:スプライン
4:先端部材
5:電極
6、6a、6b、6c、6d、6e、6f:拘束部材
7、7a1、7b1、7c1、7d1、7a2、7b2、7c2、7d2:ルーメン
8:ハンドル
9、9a、9b:凹部
10:結束部材
11:ハンドル本体
12:回転操作部
13:スライド部材
14:変形用部材
15、15a、15b、15c、15d、15e、15f:突出部
16、16a:貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9