(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027160
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】設置具、及び、設置具を用いた載置台又は足場
(51)【国際特許分類】
E04G 3/18 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
E04G3/18 B
E04G3/18 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223472
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2021070560の分割
【原出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】595091872
【氏名又は名称】饒平名 知成
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】饒平名 知成
(72)【発明者】
【氏名】永山 健二
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 勉
(57)【要約】
【課題】
載置台又は足場を簡便に設置することが可能な設置具を提供する。
【解決手段】
壁面に設置具が設置された際に水平方向に沿うように配置される基部と、基部に連続し、基部に対して直角に伸出した第一の垂直部と、第一の垂直部に連続し、第一の垂直部に対して直角に、且つ、基部に対して平行に伸出した第一の水平部と、基部に連続し、基部に対して直角に伸出した第二の垂直部と、第二の垂直部に連続し、第二の垂直部に対して直角に、且つ、基部に対して平行に伸出した第二の水平部と、第一の水平部の先端に位置する、壁面への支持部と、第二の水平部の先端に位置する、長さを調整する調整部とを備え、調整部の長さを調整して、調整部と支持部との間の距離を小さくすることで、壁面を挟んで設置することが可能な、設置具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁面に設置するための設置具であって、
前記壁面に設置具が設置された際に水平方向に沿うように配置される基部と、
基部に連続し、基部に対して直角に伸出した第一の垂直部と、
第一の垂直部に連続し、第一の垂直部に対して直角に、且つ、基部に対して平行に伸出した第一の水平部と、
基部に連続し、基部に対して直角に伸出した第二の垂直部と、
第二の垂直部に連続し、第二の垂直部に対して直角に、且つ、基部に対して平行に伸出した第二の水平部と、
第一の水平部の先端に接続された、壁面への支持部と、
第二の水平部の先端に接続された、長さを調整する調整部と
を備え、
調整部の長さを調整して、調整部と支持部との間の距離を小さくすることで、前記壁面を挟んで設置することが可能な、
設置具。
【請求項2】
第一の水平部の長さL1と、基部の長さLとの比が、0.25≦L1/L≦0.75を満たす、
請求項1に記載の設置具。
【請求項3】
少なくとも2つの請求項1又は2に記載の設置具を用いた載置台又は足場であって、
それぞれの設置具が離れた位置で、前記壁面に設置され、
設置具のそれぞれの第一の水平部に支持された被支持部材、又は、設置具のそれぞれの基部に支持された被支持部材
を備える、載置台又は足場。
【請求項4】
壁面に対して平行方向に沿うように配置され、それぞれの設置具に固定された第一の補強部材
を備える、請求項3に記載の載置台又は足場。
【請求項5】
建築物の床面に垂直に立設され、設置具のそれぞれの基部に固定された第二の補強部材を
備える、請求項3又は4に記載の載置台又は足場。
【請求項6】
室内側から室外側にわたって配置され、設置具のそれぞれの基部及び/又は第一の水平部に固定された第三の補強部材を
備える、請求項5に記載の載置台又は足場。
【請求項7】
少なくとも2つの請求項1又は2に記載の設置具を用いた載置台又は足場の設置方法であって、
それぞれの設置具を、離れた位置で、前記壁面に設置する第一設置工程と、
設置具のそれぞれの第一の水平部に支持された被支持部材、又は、設置具のそれぞれの基部に支持された被支持部材を配置する被支持部材配置工程と
を有する、載置台又は足場の設置方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の設置具を用いた荷役用装置であって、
設置具が前記壁面に設置され、
前記設置具又は前記設置具に固定された補助部材に滑車が取り付けられた、荷役用装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の設置具を用いた荷役用装置の設置方法であって、
設置具を、前記壁面に設置する設置工程と、
設置した設置具又は前記設置具に固定された補助部材に、滑車を取り付ける滑車取付工程と
を有する、荷役用装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置台又は足場の設置が可能な設置具、及び、前記設置具を用いた載置台又は足場に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の建築物の壁面を補修したり、既存の窓の外壁側に防火シャッターを設けるなどの施工を行う場合、建築物の高さによっては高所作業用の足場が必要となる。このような高所作業用の足場を地上から組み上げるには、地上を含めて、足場を組むための空間を要する。そのため、建築物がこのような空間が確保できない立地にある場合は、足場を組むことができなかった。また、足場を組むには膨大なコストがかかるという問題がある。
【0003】
このような足場の組み上げに関する問題を解決するものとして、外壁側の作業が可能な吊足場構造が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載の吊足場構造は、窓開口部の外側に設置して作業者が屋外作業するための作業用ステップを設けるものであって、ステップを支持するためのL字枠を壁面に設置した後、L字枠をレールとして滑らせながら、作業用ステップをステップ受けにセットするものである。
【0004】
特許文献1に記載の吊足場構造は、安定感はあるものの、L字枠をレールとして利用することや、カゴ状の作業用ステップを用意する必要があることから、作業上の観点からは、より簡便な吊足場構造の提案が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、載置台又は足場を設置することが可能な設置具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
[1]上端部が解放された建築物の壁面に設置するための設置具であって、前記壁面に設置具が設置された際に水平方向に沿うように配置される基部と、基部に連続し、基部に対して直角に伸出した第一の垂直部と、第一の垂直部に連続し、第一の垂直部に対して直角に、且つ、基部に対して平行に伸出した第一の水平部と、基部に連続し、基部に対して直角に伸出した第二の垂直部と、第二の垂直部に連続し、第二の垂直部に対して直角に、且つ、基部に対して平行に伸出した第二の水平部と、第一の水平部の先端に位置する、壁面への支持部と、第二の水平部の先端に位置する、長さを調整する調整部とを備え、調整部の長さを調整して、調整部と支持部との間の距離を小さくすることで、前記壁面を挟んで設置することが可能な、設置具;
[2]第一の水平部の長さL1と、基部の長さLとの比が、0.25≦L1/L≦0.75を満たす、前記[1]に記載の設置具;
[3]少なくとも2つの前記[1]又は[2]に記載の設置具を用いた載置台又は足場であって、それぞれの設置具が離れた位置で、前記壁面に設置され、設置具のそれぞれの第一の水平部に支持された被支持部材、又は、設置具のそれぞれの基部に支持された被支持部材を備える、載置台又は足場;
[4]壁面に対して平行方向に沿うように配置され、それぞれの設置具に固定された第一の補強部材を備える、前記[3]に記載の載置台又は足場;
[5]建築物の床面に垂直に立設され、設置具のそれぞれの基部に固定された第二の補強部材を備える、前記[3]又は[4]に記載の載置台又は足場;
[6]室内側から室外側にわたって配置され、設置具のそれぞれの基部及び/又は第一の水平部に固定された第三の補強部材を備える、前記[5]に記載の載置台又は足場;
[7]少なくとも2つの前記[1]又は[2]に記載の設置具を用いた載置台又は足場の設置方法であって、それぞれの設置具を、離れた位置で、前記壁面に設置する第一設置工程と、設置具のそれぞれの第一の水平部に支持された被支持部材、又は、設置具のそれぞれの基部に支持された被支持部材を配置する配置工程とを有する、載置台又は足場の設置方法;
[8]上端部が解放された建築物の壁面に設置するための設置具であって、前記壁面に設置具が固定された際に水平方向に沿うように配置される基部と、基部に連続し、基部に対して直角に伸出した第一の垂直部と、第一の垂直部に連続し、第一の垂直部に対して直角に、且つ、基部に対して平行に伸出した第一の水平部と、第一の水平部の先端に位置する、壁面への支持部とを備える、設置具;
[9]第一の水平部の長さL1と、基部の長さLとの比が、0.25≦L1/L≦0.75を満たす、前記[8]に記載の設置具;
[10]少なくとも2つの前記[8]又は[9]に記載の設置具を用いた載置台又は足場であって、建築物の床面に垂直に立設された、少なくとも2つの第二の補強部材を備え、設置具のそれぞれの支持部が前記壁面の室外側に当接し、且つ、設置具のそれぞれの基部が第二の補強部材のそれぞれに固定されることで、それぞれの設置具が、離れた位置で、前記壁面に設置され、設置具のそれぞれの第一の水平部に支持された被支持部材、又は、設置具のそれぞれの基部に支持された被支持部材を備える、載置台又は足場;
[11]少なくとも2つの前記[8]又は[9]に記載の設置具を用いた載置台又は足場の設置方法であって、設置具のそれぞれの支持部を前記壁面の室外側に当接させ、且つ、設置具のそれぞれの基部を、建築物の床面に垂直に立設された、少なくとも2つの第二の補強部材のそれぞれに固定することで、それぞれ設置具を、離れた位置で、前記壁面に設置する設置工程と、設置具のそれぞれの第一の水平部に支持された被支持部材、又は、設置具のそれぞれの基部に支持された被支持部材を配置する配置工程とを有する、載置台又は足場の設置方法;
[12]前記[1]又は[2]に記載の設置具を用いた荷役用装置であって、設置具が前記壁面に設置され、前記設置具又は前記設置具に固定された補助部材に滑車が取り付けられた、荷役用装置;
[13]前記[1]又は[2]に記載の設置具を用いた荷役用装置の設置方法であって、設置具を、前記壁面に設置する設置工程と、設置した設置具又は前記設置具に固定された補助部材に、滑車を取り付ける滑車取付工程とを有する、荷役用装置の設置方法;
[14]前記[8]又は[9]に記載の設置具を用いた荷役用装置であって、設置具の支持部を前記壁面の室外側に当接させ、且つ、設置具の基部を、建築物の床面に垂直に立設された第二の補強部材に固定することで、設置具が前記壁面に設置され、前記設置具又は前記設置具に固定された補助部材に滑車が取り付けられた、荷役用装置;
[15]前記[8]又は[9]に記載の設置具を用いた荷役用装置の設置方法であって、設置具の支持部を前記壁面の室外側に当接させ、且つ、設置具の基部を、建築物の床面に垂直に立設された第二の補強部材に固定することで、設置具を、前記壁面に設置する設置工程と、設置した設置具又は前記設置具に固定された補助部材に、滑車を取り付ける滑車取付工程とを有する、荷役用装置の設置方法;
により達成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、載置台又は足場を設置することが可能な設置具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、本発明の実施の形態にかかる設置具を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施の形態にかかる設置具を壁面に設置した状態の一例を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施の形態にかかる設置具を壁面に設置した状態の一例を示す概略図である。
【
図4】本発明の実施の形態にかかる設置具の補強に用いる構造の一例を示す概略図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、本発明の実施の形態にかかる設置具を示す概略図である。
【
図6】本発明の実施の形態にかかる設置具を用いた載置台又は足場を示す概略図である。
【
図7】本発明の実施の形態にかかる設置具の補強方法の一例を示す概略図である。
【
図8】本発明の実施の形態にかかる設置具の補強方法の一例を示す概略図である。
【
図9】本発明の実施の形態にかかる設置具を壁面に設置した状態の一例を示す概略図である。
【
図10】本発明の実施の形態にかかる設置具を壁面に設置した状態の一例を示す概略図である。
【
図11】本発明の実施の形態にかかる設置具を用いた荷役用装置の設置方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下、効果に関する記載は、本発明の実施の形態の効果の一側面であり、ここに記載するものに限定されない。また、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0011】
(設置具)
図1(a)及び
図1(b)は、本発明の実施の形態にかかる設置具を示す概略図である。本実施の形態にかかる設置具1は、上端部が解放された建築物の壁面9に設置される。上端部が解放された建築物の壁面9としては、窓枠下の腰壁、ベランダの手すり壁、マンションの非常階段などの外部階段の手すり壁、パラペットと呼ばれる屋上などの低い立ち上がりの壁などが例示されるが、これらに限定されず、本実施の形態の設置具1を被設置対象に挟んで設置可能であれば適用することができる。
【0012】
本実施の形態にかかる設置具1は、少なくとも管状の構造を含むことが好ましい。少なくとも管状の構造を含むものの例としては、建築資材のスチール製の単管パイプや、アルミニウム製の単管パイプなどが挙げられる。設置具がアルミニウム製の単管からなる場合は、設置具を軽量化し、単独の作業員による設置具の設置作業をより効率的に行える点から好ましい。これらの単管パイプの外径は、特に限定されないが、他の建築用資材の規格と適合する点や、入手のしやすさからは、48.6mmの単管パイプが例示される。
【0013】
図1(a)に示すように、本実施の形態の設置具1は、壁面9に設置具が設置された際に水平方向に沿うように配置される基部2と、基部2に連続し、基部2に対して直角に伸出した第一の垂直部3と、第一の垂直部3に連続し、第一の垂直部3に対して直角に、且つ、基部2に対して平行に伸出した第一の水平部4と、基部2に連続し、基部2に対して直角に伸出した第二の垂直部5と、第二の垂直部5に連続し、第二の垂直部5に対して直角に、且つ、基部2に対して平行に伸出した第二の水平部6とを備える。第一の水平部4の先端に位置する、壁面9への支持部7と、第二の水平部6の先端に位置する、長さを調整する調整部8とを備える。このような構成により、設置具を設置する際に安全に設置作業を行うことができる。
【0014】
本実施の形態の設置具1は、調整部8の長さを調整して、調整部8と支持部7との間の距離を小さくすることで、壁面9を挟んで設置することが可能な構造である。調整部8と支持部7とを備えることで、壁面内外から設置具を挟むことができるので、設置具の脱落を防止することができる。調整部8により長さが調整できるので、作業現場に合わせての調整が可能となる。作業上の観点から、調整部8が、床面10がある室内側やベランダ床面側に設けられることが好ましい。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態にかかる設置具を壁面に設置した状態の一例を示す概略図である。
図2において、第一の設置具1a及び第二の設置具1bは、建築物の窓部12であって、上端部が解放された建築物の壁面9を挟んで設置される例を示している。
【0016】
支持部7a及び7bは、第一の水平部4の先端に位置し、壁面9に接する面が平らであれば形状は特に限定されない。例えば、正方形や円形の平板状である。支持部7a及び7bを構成する材料は、ステンレス鋼板、アルミニウム製の板材などを用いることができる。支持部7は、公知の方法で、第一の水平部4に対して所望の角度を有するように設けてもよい。このように所望の角度を付与することで、重力方向に勾配のある壁面に対しても支持部7の全面を当接させることができる。
【0017】
調整部8について、
図1(a)を参照し説明する。調整部8は、
図1(a)に示すように、第二の水平部6の先端の長さを調整することができれば特に限定されないが、例えば、ジャッキ構造やスライド構造により長さを調整できる公知の材料を採用することができる。強度が高く、設置具の落下防止をより確実にする点からは、ジャッキ構造が好ましい。ジャッキ構造は、雄ねじ又は雌ねじを切ったねじ棒8aと、雌ねじ又は雄ねじであるねじ部材8bとを備え、ねじ棒8aを回転することによって長さを調節可能である構造である。
【0018】
第一の水平部4と基部とは、壁面9に設置具1が設置された際に、第一の水平部4の長さL1と、基部2の長さLとの比が、0.25≦L1/L≦0.75を満たすことが好ましい。第一の水平部4の長さL1と、基部2の長さLとの比L1/Lは、0.3以上であることがより好ましく、0.4以上であることがさらに好ましい。第一の水平部4の長さL1と、基部2の長さLとの比L1/Lは、0.6以下であることがより好ましく、0.55以下であることがさらに好ましい。
【0019】
第一の水平部4の長さL
1と、基部2の長さLとの比L
1/Lが、上記のような範囲にある場合は、壁面に対して設置具1を設置した場合に、第一の垂直部3側と第二の垂直部5側の重量のバランスがよく、設置具1を設置する際に、作業者が設置具1を保持して作業することが容易になる。また、設置具1を設置する際に、設置具のうち室外側にある部分の重量が重くなりすぎて、安全に設置作業ができなくなることを防ぐことができる。本明細書において、第一の水平部4の長さL
1とは、
図1(a)に示すように、支持部7元部から第一の垂直部3の外端までの長さをいい、基部2の長さLとは、第一の垂直部3の外端から基部2の外端までの長さをいう。
【0020】
また、
図1(a)に示す設置具1の形状として、基部2の長さLは、1200mm以上であることが好ましく、1600mm以上であることがより好ましい。基部2の長さLは、2400mm以下であることが好ましく、2000mm以下であることがより好ましい。また、第一の垂直部3の長さH
1は、400mm以上であることが好ましく、550mm以上であることがより好ましい。第一の垂直部3の長さH
1は、900mm以下であることが好ましく、750mm以下であることがより好ましい。第二の垂直部5の長さH
2は、400mm以上であることが好ましく、550mm以上であることがより好ましい。第一の垂直部3の長さH
1は、900mm以下であることが好ましく、750mm以下であることがより好ましい。
【0021】
設置具1の第一の水平部の長さL1は、600mm以上であることが好ましく、800mm以上であることがより好ましい。第一の水平部の長さL1は、1200mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがより好ましい。第二の水平部の長さL2は、600mm以上であることが好ましく、800mm以上であることがより好ましい。第二の水平部の長さL2は、1200mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがより好ましい。後述の荷役用装置として設置具1を用いる場合は、第一の水平部の長さL1と第二の水平部の長さL2とが同等であることが好ましい。
【0022】
設置具1の第一の垂直部3の長さH1と基部2の長さLとの比が、0.25≦H1/L≦0.65を満たすことが好ましい。第一の垂直部3の長さH1と基部2の長さLとの比H1/Lは、0.3以上であることがより好ましく、第一の垂直部3の長さH1と基部2の長さLとの比H1/Lは、0.5以下であることがより好ましい。
【0023】
設置具1の第二の垂直部5の長さH2と基部2の長さLとの比が、0.25≦H2/L≦0.65を満たすことが好ましい。第二の垂直部5の長さH2と基部2の長さLとの比H2/Lは、0.3以上であることがより好ましく、第二の垂直部5の長さH2と基部2の長さLとの比H2/Lは、0.5以下であることがより好ましい。
【0024】
設置具の各部の長さが上記範囲にある場合は、設置具の室内側と室外側の重量のバランスがとりやすく、設置の際の安全性を高いものとすることができる。
【0025】
設置具1の形状の一例として、アルミニウム製の単管パイプからなる設置具であって、基部2の長さLが1800mm、第一の垂直部3の長さH1と第二の垂直部5の長さH2が650mm、第一の水平部の長さL1が900mm、第二の水平部の長さL2が650mmのものが例示される。
【0026】
図3は、本発明の実施の形態にかかる設置具を壁面に設置した状態の一例を示す概略図である。本発明の設置具1を後述の載置台又は足場として用いる場合、設置具1に荷重がかかると、設置具1がたわむ場合がある。荷重を分散させて、設置具1がたわむことを防止する目的で、基部2と第一の垂直部3を接続する補助材18a、第一の垂直部3と第一の水平部4を接続する補助材18b、基部2と第二の垂直部5を接続する補助材18c、第二の垂直部5と第二の水平部6とを接続する補助材18dを設けることが好ましい。補助材としては、ステンレス製のパイプ、アルミ製のパイプ、スチール製のパイプなどを用いることができる。パイプは、丸パイプ、角パイプなどいずれの形状も採用することができる。
【0027】
各補助材18a~18dは、設置具1に対してクランプで固定することができる。
図4は、本発明の実施の形態にかかる設置具の補強に用いる構造の一例を示す概略図である。
図4に示すように、設置具1にボルト用穴21を設けて、設置具1に対して補助材をボルトで固定してもよい。
【0028】
(その他の態様)
図5(a)及び
図5(b)は、本発明の実施の形態にかかる設置具を示す概略図である。支持部7と調整部8とは、調整部8と支持部7との間の距離を小さくすることで、壁面9を挟んで設置することが可能であれば、
図1(a)に示すような、基部2に対して直角に伸出した第一の垂直部3の長さが、基部に対して直角に伸出した第二の垂直部5の長さとが同一であって、支持部7と調整部8とが対向する位置関係にある場合に限られず、支持部7と調整部8とが正面で対抗する位置関係になくてもよい。
【0029】
例えば、
図5(a)に示すように、基部2に対して直角に伸出した第一の垂直部3の長さが、基部に対して直角に伸出した第二の垂直部5の長さよりも短い場合や、
図5(b)に示すように、基部2に対して直角に伸出した第一の垂直部3の長さが、基部に対して直角に伸出した第二の垂直部5の長さよりも長い場合も本発明の範囲に含まれる。
図5(a)に示す形状の設置具1は、例えば、ベランダの腰壁の室内側に洗濯物干し用の器具が設置されている場合などに好適であり、
図5(b)に示す形状の設置具1は、例えば、出窓など室外側に壁面よりも凸である部分がある場合などに好適である。
【0030】
(設置具の他の形状)
図1(b)は、本発明の実施の形態にかかる設置具を示す概略図である。
図1(b)に示すように、本実施の形態の設置具1は、別の態様として、上端部が解放された建築物の壁面に設置するための設置具1であって、壁面に設置具が設置された際に水平方向に沿うように配置される基部2と、基部2に連続し、基部に対して直角に伸出した第一の垂直部3と、第一の垂直部3に連続し、第一の垂直部3に対して直角に、且つ、基部に対して平行に伸出した第一の水平部4と、第一の水平部4の先端に位置する、壁面への支持部7とを備えるものであってもよい。
【0031】
図1(b)に示す態様の設置具において、第一の水平部4と基部とは、壁面9に設置具1が設置された際に、第一の水平部4の長さL
1と、基部2の長さLとの比が、0.25≦L
1/L≦0.75を満たすことが好ましい。第一の水平部4の長さL
1と、基部2の長さLとの比L
1/Lは、0.3以上であることがより好ましく、0.4以上であることがさらに好ましい。第一の水平部4の長さL
1と、基部2の長さLとの比L
1/Lは、0.6以下であることがより好ましく、0.55以下であることがさらに好ましい。
【0032】
図1(b)に示す態様の設置具において、第一の水平部4の長さL
1と、基部2の長さLとの比L
1/Lが、上記のような範囲にある場合は、壁面に対して設置具1を設置した場合に、設置具のうち室外側にある部分の重量が重くなりすぎて、安全に設置作業ができなくなることを防ぐことができる。本態様において、第一の水平部4の長さL
1とは、
図1(b)に示すように、支持部7元部から第一の垂直部3の外端までの長さをいい、基部2の長さLとは、第一の垂直部3の外端から基部2の外端までの長さをいう。
【0033】
図1(b)に示す設置具1の形状として、基部2の長さLは、1200mm以上であることが好ましく、1600mm以上であることがより好ましい。基部2の長さLは、2400mm以下であることが好ましく、2000mm以下であることがより好ましい。また、第一の垂直部3の長さH
1は、400mm以上であることが好ましく、550mm以上であることがより好ましい。第一の垂直部3の長さH
1は、900mm以下であることが好ましく、750mm以下であることがより好ましい。
【0034】
また、設置具1の第一の水平部の長さL1は、600mm以上であることが好ましく、800mm以上であることがより好ましい。第一の水平部の長さL1は、1200mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがより好ましい。
【0035】
図1(b)に示す設置具1の第一の垂直部3の長さH
1と基部2の長さLとの比が、0.25≦H
1/L≦0.65を満たすことが好ましい。第一の垂直部3の長さH
1と基部2の長さLとの比H
1/Lは、0.3以上であることがより好ましく、第一の垂直部3の長さH
1と基部2の長さLとの比H
1/Lは、0.5以下であることがより好ましい。
【0036】
設置具の各部の長さが上記範囲にある場合や、基部と第一の垂直部の長さの比が上記範囲にある場合は、設置具の室内側と室外側の重量のバランスがとりやすく、設置の際の安全性を高いものとすることができる。
【0037】
(設置具の製造方法)
設置具1は、市販の建築用資材のスチール製単管パイプや、アルミニウム製単管パイプを、公知のパイプベンダーにより、所望の角度に曲げ加工を施すことで、
図1に示すような所望の形状に製造することができる。この場合、一本の単管パイプから接手部分なしで製造することが好ましい。このように一本の単管パイプから製造する場合は、接手部分に係る荷重による破損などのリスクを低減することができる。
【0038】
所望の形状とした単管パイプの一端に、壁面9に接する面が平らでる正方形や円形の平板を設けることで、支持部7とすることができる。また、所望の形状とした単管パイプの他端にジャッキ構造を備えるにより調整部8を設けることができる。
【0039】
(載置台又は足場:
図1(a)に示す態様の設置具1の場合)
本実施の形態の設置具1は、載置台又は足場として用いることができる。本実施の形態における載置台又は足場について、
図1及び
図6を参照して説明する。本実施の形態における載置台又は足場は、少なくとも2つの上記設置具1を用いた載置台又は足場であって、それぞれの設置具1が離れた位置で、壁面9に設置され、設置具1のそれぞれの第一の水平部4に支持された被支持部材13b、又は、設置具のそれぞれの基部2に支持された被支持部材13aを備える。
【0040】
上記載置台又は足場は、第一の設置具1と第二の設置具1とを、所定の距離を設けて、それぞれの設置具が壁面を挟むように設置する第一設置工程と、第一の設置具1の第一の水平部4と第二の設置具1の第一の水平部4に支持された被支持部材13b、又は、第一の設置具1の基部2と第二の設置具1の基部2とに支持された被支持部材13aを配置する配置工程とを備えることで、設置することができる。以下、
図2及び
図3を参照して、
図1(a)に示す態様の設置具1を用いた載置台又は足場の設置方法について詳細に説明する。
【0041】
図2に示すように、第一の設置具1aを、調整部と支持部とが壁面9を挟むように配置し、調整部の長さを調整して壁面9に固定する。壁面9の上面と基部2とは保護板を挟んで当接するように設置してもよい。次に第二の設置具1bを、第一の設置具と壁面の水平方向に所定の距離を設けて、調整部と支持部とが壁面9を挟むように配置し、調整部の長さを調整して壁面9に固定する。いずれの設置具も調整部8が床面10が存在する室内側として配置することが好ましい。保護板は、壁面との間隔を埋めるものであれば、一枚で用いても、複数枚を重ねて用いてもよい。
【0042】
このとき、第一の設置具1aの支持部7a及び第二の設置具1bの7bと壁面9との間には、壁面9を保護する目的で、支持材11a及び11bを挟むようにすることが好ましい。支持材11a及び11bとしては、ベニヤ板、ウレタン製の板材など、既存の建築物を損傷しない材料のものを用いることができる。
【0043】
図6は、本発明の実施の形態にかかる設置具を用いた載置台又は足場を示す概略図であって、第二の設置具側からみた概略図である。
図6に示すように、第一の設置具1aの第一の水平部4aと第二の設置具の第一の水平部4bとに支持されるように被支持部材13を配置、又は、第一の設置具1aの基部2aと第二の設置具2bの基部2aとに支持されるように被支持部材13を配置する。各設置具の基部上に被支持部材13aを支持させる場合は、例えば、窓の横側や上側などの作業を行う場合や載置台として資材などを積載する場合に好適である。各設置具の第一の水平部上に被支持部材13bを支持させる場合は、例えば、窓下の作業を行う場合や載置台として資材などを積載する場合に好適である。
【0044】
被支持部材13a及び被支持部材13b(ステージ)としては、載置台として利用する場合と足場として利用する場合とでは求められる耐荷重が異なるので、用途に合わせて被支持部材を選択すればよい。例えば、載置台として利用する場合は、被支持部材13として板材で十分であるが、その他、スチール製やアルミ製の布板などを用いることができる。足場として利用する場合は、スチール製やアルミ製の布板などを用いることが好ましい。
【0045】
被支持部材13が板材の場合は、第一の水平部や基部に番線(針金)で固定することができる。また、被支持部材13が布板の場合は、第一の水平部や基部に公知の足場用のゴムバンドで固定することで、安全性を高めることができる。
【0046】
(補強方法:
図1(a)に示す態様の設置具1の場合)
設置具1の耐荷重を強化するために、各設置具に補強用の部材を設ける補強工程を備えることが好ましい。補強工程の例として、壁面に対して平行方向に沿うように配置され、それぞれの設置具に固定された第一の補強部材を備える方法が挙げられる。具体的には、第一の設置具と第二の設置具の第一の垂直部3同士や、第二の垂直部5同士、第一の水平部4同士、第二の水平部6同士に補強部材を固定する方法である。
【0047】
図7は、本発明の実施の形態にかかる設置具の補強方法の一例を示す概略図である。
図7においては、設置具1a及び設置具1bの第二の水平部6同士に補強部材15bを固定した状態を示している。補強部材15bは、公知のクランプ16a及びクランプ16bなどにより、各水平部に固定することができる。
【0048】
他の補強工程としては、建築物の床面に垂直に立設され、設置具のそれぞれの基部に固定された第二の補強部材を備える方法が挙げられる。具体的には、
図3に示すように、基部2の第二の垂直部5側と第二の水平部6とを結ぶ垂直方向に沿うように補強部材15aをクランプ16a及び16bなどで固定することで、第一の垂直部3側に荷重がある場合の荷重を分散させる補強方法である。補強部材15aは、壁面を保護する目的で、壁面9aとの間に保護板14a及び14bを挟んで設けることが好ましい。補強部材15aは、床面10に接地して設けることが好ましい。
【0049】
また、別の補強工程として、室内側から室外側にわたって配置され、設置具のそれぞれの基部及び/又は第一の水平部に固定された第三の補強部材を備える方法が挙げられる。具体的には、
図3に示すように、第二の水平部6と基部2の第二の垂直部5側とを補強部材15aに加えて、該補強部材15aと基部2と第一の水平部4とを他の補強部材17aをクランプ16b、16c及び16dで固定することにより補強することができる。このような補強を施すことで、さらに第一の垂直部側に荷重がある場合の荷重を分散させることが可能となる。
【0050】
さらに他の補強工程を
図8を参照して説明する。
図8は、本発明の実施の形態にかかる設置具の補強方法の一例を示す概略図である。この例においては、まず、基部2の第二の垂直部5側と第二の水平部6とを結ぶ垂直方向に沿うように補強部材15aをクランプ16a及び16bなどで固定することで、第一の垂直部3側に荷重がある場合の荷重を分散させる。補強部材15aは、床面10に接地して設ける。次に、補強部材15aと基部2とを他の補強部材17aをクランプ16c及び16dで固定することにより補強する。さらに、基部2の第一の垂直部3側と第二の水平部6とを結ぶ垂直方向に沿うように補強部材19を設ける。
【0051】
図9は、本発明の実施の形態にかかる設置具を壁面に固定した状態の一例を示す概略図である。上記補強工程において、補強部材15aは天井19側の壁面9bには力を分散させる接点を必ずしも設けなくともよいが、
図8に示すように、補強部材15aを、壁面9aとの間に保護板14cを挟んで壁面9bに当接するように設けてもよい。このように床面10側の壁面9aと天井19側の壁面9bとを補強部材15aで連結するように補強する場合は、他の補強部材を設けなくとも荷重を分散させることができ、補強工程を簡略化できることから好ましい。
【0052】
上記の各補強工程において、それぞれの設置具1に設けた床面に垂直な補強部材15a同士を、壁面に対して平行方向に沿うように配置され、それぞれの補強部材15aに固定される補強部材を備えてもよい。窓枠などにおいて載置台又は足場を設ける際に、このような補強部材を用いる場合、補強部材は窓枠の上側壁面に支持されるように配置するか、補強部材の長さが窓枠12の開口部の水平方向の長さよりも長いものを配置することが好ましい。設置具だけでなく、垂直方向の補強部材同士をさらに補強部材で固定することで、載置台又は足場としての安全性を高めることができる。
【0053】
上述の補強部材15aに固定される補強部材を備える態様について、
図7を参照し説明する。
図7に示すように、床面に垂直に設けられた補強部材15aが、設置具1a及び設置具1bのそれぞれに公知のクランプ16e及びクランプ16fなどにより固定される。垂直に設けられた補強部材15aのそれぞれに、補強部材15cが固定される。補強部材15cは、公知のクランプ16c及びクランプ16dなどにより補強部材15aに固定することができる。補強部材15cは窓枠12開口部の横幅よりも長く、窓枠横の壁面に保護板などを介して当接される。このような態様とすることで、天井が低い建築物に、設置具及び補強部材15aを設置した場合の荷重の分散を良好なものとすることができる。補強部材15cは、窓枠開口部にかかるように設ける態様に限られず、例えば、窓枠上部の壁面に対して平行方向に沿うように配置されてもよい。
【0054】
(載置台又は足場:
図1(b)に示す態様の設置具の場合)
図10は、本発明の実施の形態にかかる設置具を壁面に設置した状態の一例を示す概略図である。
図10に示す設置具を壁面に設置した状態において、
図1(b)に示す態様の設置具を用いる場合の載置台又は足場は、少なくとも2つの設置具を用いた載置台又は足場であって、建築物の床面10に垂直に立設された、少なくとも2つの第二の補強部材15aを備え、設置具20のそれぞれの支持部7が壁面9aの室外側に当接し、且つ、設置具20のそれぞれの基部2が第二の補強部材15aのそれぞれに固定されることで、それぞれの設置具20が、離れた位置で、壁面9aに設置され、設置具20のそれぞれの第一の水平部4に支持された被支持部材、又は、設置具20のそれぞれの基部2に支持された被支持部材を備える。
【0055】
この場合、
図10に示すように、補強部材15aが床面10側の壁面9aと天井19側の壁面9bとに当接することが好ましい。補強部材15aは、壁面9a及び壁面9bとに保護板14a、14cを介して当接させることが、壁面保護の点から好ましい。
【0056】
図1(b)に示す態様の設置具を用いる場合の載置台又は足場は、まず、少なくとも2つの設置具のそれぞれの支持部を壁面の室外側に当接させ、且つ、設置具のそれぞれの基部を、建築物の床面に垂直に立設された、少なくとも2つの第二の補強部材のそれぞれに固定することで、それぞれ設置具を、離れた位置で、壁面に設置する。次いで、設置具のそれぞれの第一の水平部に支持された被支持部材、又は、設置具のそれぞれの基部に支持された被支持部材を配置する配置工程とにより設置することができる。被支持部材としては、
図1(a)に示す態様の設置具を用いる場合の載置台又は足場の場合と同様のものを用いればよい。
【0057】
第二の補強部材15aは、
図10に示すように、基部2と交わる部分をクランプ16aなどで固定する。また、第二の補強部材15aは、壁面9a及び9bに保護板14a及び14cを介して当接させて壁面との距離を調整することができる。
【0058】
図1(a)及び
図1(b)のいずれにおいても、補強部材15a、15b、15c、17a及び19としては、設置具を構成する建築資材のスチール製の単管パイプや、アルミニウム製の単管パイプを用いることができる。補強部材15a、17a及び19の材料としては、上記のものに限られず、公知の材料で載置台や足場としての安全性基準を満たすものを用いることができる。
【0059】
載置台として利用する場合の積載物の落下を防ぐ目的や、足場として利用する場合の作業員の落下を防ぐ目的で、さらに、安全柵を設ける工程を備えることもできる。安全柵は、第一の設置具と第二の設置具のそれぞれの第一の垂直部3に板材や柵を渡すことや、各設置具の基部2の第一の垂直部3延長上に安全柵を固定することで設けることができる。
【0060】
(荷役用装置)
本実施の形態の設置具1は、荷役用装置として用いることができる。荷役用装置は、設置具が壁面に設置され、設置具又は設置具に固定された補助部材に滑車が取り付けられた構成である。以下、
図11を参照して、
図1(a)に示す設置具に固定された補助部材に滑車が取り付けられた場合の荷役用装置の設置方法について詳細に説明する。
【0061】
図11は、本発明の実施の形態にかかる設置具を用いた荷役用装置の設置方法を示す概略図である。載置台又は足場の設置方法と同様に、まず、設置具1を、調整部8と支持部7とが壁面を挟むように設置する。設置具1の基部2と第一の水平部4とにL字の補助部材24をクランプ16a及び16bにより固定する。L字の補助部材24のそれぞれの辺を、さらに別の補強部材17bをクランプ16e及び16fで固定する。補助部材24及び補強部材17bは、補強部材15a及び17bと同様の材料のものを用いることができる。
【0062】
補助部材24の基部2と平行な辺の先端に、市販の滑車部材21を設ける。滑車部材22はボルトなどにより補助部材24に固定されることが好ましい。滑車部材21としては、市販の滑車や電動のウインチを用いればよい。固定した滑車部材22にロープ23をかける。ロープ23に資材や荷物をつるし、荷役用装置として利用する。
【0063】
図1(b)に示す設置具も、荷役用装置に用いることができる。この場合の荷役用相違は、設置具の支持部を壁面の室外側に当接させ、且つ、設置具の基部を、建築物の床面に垂直に立設された第二の補強部材に固定することで、設置具が壁面に設置され、設置具又は設置具に固定された補助部材に滑車が取り付けられた構成である。補助部材と滑車は、上記
図1(a)に示す設置具を用いた荷役用装置と同様のものを採用することができる。
【0064】
図1(b)に示す設置具を用いた荷役用装置は、設置具の支持部を壁面の室外側に当接させ、且つ、設置具の基部を、建築物の床面に垂直に立設された第二の補強部材に固定することで、設置具を、壁面に設置する設置工程と、設置した設置具又は設置具に固定された補助部材に、滑車を取り付ける滑車取付工程とにより設置することができる。
【0065】
本発明の設置具1を荷役用装置として用いる場合、1つの設置具を壁面に固定して滑車を設けてもよく、上述の載置台又は足場を構成する設置具の一部に荷役用装置を備えるようにしてもよい。また、
図4に示すような設置具1のボルト用穴21に、簡易滑車をボルトで固定することにより取り付けて、荷役用装置としても用いることもできる。
【0066】
本明細書において、設置具1として、第一の垂直部3と第二の垂直部5とは、基部2と第一の水平部4又は第二の水平部6とそれぞれ垂直なものについて説明したが、例えば、基部2と第一の垂直部3とのなす角が90度を超え、第一の垂直部3と第一の水平部4とのなす角が90度未満であって、基部2と第二の垂直部5とのなす角が90度を超え、第二の垂直部5と第二の水平部6とのなす角が90度未満であって台形のような形状のものなど、本発明の効果を奏する範囲で変形して適用することができる。
【0067】
本発明の設置具1は、簡易な構造により、壁面に対して簡便に設置及び固定することができる。設置及び固定を簡便にできることから、例えば、単独の作業員によっても載置台及び足場、並びに、荷役用装置を設置することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1、1a、1b、20 設置具、2 基部、3 第一の垂直部、4 第一の水平部、5 第二の垂直部、6 第二の水平部、7 支持部、8 調整部、8a ねじ棒、8b ねじ部材、9 壁面、10 床面、11a、11b 支持材、12 窓部、13a、13b 被支持部材、14a、14b、14c 保護板、15a、15b、15c、17a、17b 補強部材、16a~16f クランプ、18a~18d 補助材、19 天井、21 ボルト用穴、22 滑車部材、23 ロープ、24 補助部材
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁面に設置するための設置具であって、
前記壁面に設置具が設置された際に水平方向に沿うように配置される基部と、
基部に連続した第一の接続部と、
第一の接続部に連続し、基部に対して平行な第一の水平部と、
基部に連続した第二の接続部と、
第一の接続部に連続し、基部に対して平行な第二の水平部と、
第一の水平部に接続された、壁面への支持部と、
第二の水平部に接続された、長さを調整する調整部と
を備え、
調整部の長さを調整して、調整部と支持部との間の距離を小さくすることで、前記壁面を挟んで設置することが可能な、
設置具。
【請求項2】
支持部が、第一の水平部の先端に接続され、
調整部が、第二の水平部の先端に接続された、
請求項1に記載の設置具。
【請求項3】
少なくとも2つの請求項1又は2に記載の設置具を用いた載置台又は足場であって、
それぞれの設置具が離れた位置で、前記壁面に設置され、
設置具のそれぞれの第一の水平部に支持された被支持部材、又は、設置具のそれぞれの基部に支持された被支持部材
を備える、載置台又は足場。
【請求項4】
少なくとも2つの請求項1又は2に記載の設置具を用いた載置台又は足場の設置方法であって、
それぞれの設置具を、離れた位置で、前記壁面に設置する第一設置工程と、
設置具のそれぞれの第一の水平部に支持された被支持部材、又は、設置具のそれぞれの基部に支持された被支持部材を配置する被支持部材配置工程と
を有する、載置台又は足場の設置方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の設置具を用いた荷役用装置であって、
設置具が前記壁面に設置され、
前記設置具又は前記設置具に固定された補助部材に滑車が取り付けられた、荷役用装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の設置具を用いた荷役用装置の設置方法であって、
設置具を、前記壁面に設置する設置工程と、
設置した設置具又は前記設置具に固定された補助部材に、滑車を取り付ける滑車取付工程と
を有する、荷役用装置の設置方法。