(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027180
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物、硬化膜およびポリシロキサンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 59/30 20060101AFI20240221BHJP
C08G 77/20 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
C08G59/30
C08G77/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004281
(22)【出願日】2024-01-16
(62)【分割の表示】P 2022557106の分割
【原出願日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2021155227
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 英祐
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 充史
(72)【発明者】
【氏名】藤井 真実
(72)【発明者】
【氏名】鴨川 政雄
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、保存安定性に優れ、耐溶剤性に優れた硬化膜を得ることができる硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を比較的安価に提供する。また、触媒の除去工程がなくても、保存安定性が良好なポリシロキサンを製造することである。
【解決手段】本発明の硬化膜形成用樹脂組成物は、ポリシロキサンと、有機塩と、溶剤とを含有する樹脂組成物で合って、前記有機塩の1.0質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5である硬化膜形成用樹脂組成物である。また、本発明のポリシロキサンの製造方法は、原料としてアルコキシシランを用いて、加水分解および/または熱縮合の触媒として有機塩を用いるポリシロキサンの製造方法であって、前記有機塩の1.0質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5であることを特徴とするポリシロキサンの製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリシロキサンと、(b)有機塩と、(c)溶剤と、(d)感光剤を含有する樹脂組成物であって、前記(b)有機塩の1.0質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5であり、前記(d)感光剤が重合開始剤またはキノンジアジド化合物であることを特徴とする硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物。
【請求項2】
前記(b)有機塩の含有量が、前記(a)ポリシロキサン100質量部に対して、0.01~5.00質量部である請求項1記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物。
【請求項3】
前記(b)有機塩が、下記一般式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する有機酸類と、アミン類とから成る有機塩である請求項1記載の硬化膜形成用樹シロキサン脂組成物。
【化1】
一般式(1)~(2)中、R
1~R
2は、それぞれ独立して炭素数1~30の1価の有機基または炭素数1~30の2価の有機基を表す。1価の有機基としては、置換もしくは非置換の直鎖または分岐アルキル基、置換もしくは非置換の環式アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、パーフルオロアルキル基等が、2価の有機基としては、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のアルケニレン基、置換もしくは非置換のフェニレン基等が挙げられる。
一般式(3)中、nは0、1または2を表す。n=1のとき、一般式(3)中のR
3は炭素数1~30の1価の有機基または炭素数1~30の2価の有機基を表す。n=2のとき、一般式(3)中のR
3は同じであっても異なってもよく、水素、炭素数1~30の1価の有機基、または炭素数1~30の2価の有機基を表す。
【請求項4】
前記アミン類が、複素環アミン類または芳香族アミン類である請求項3記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する有機酸類が、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、トリフルオロプロパンスルホン酸、およびトリフルオロ酢酸からなる群から選ばれた有機酸類である請求項3記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物
【請求項6】
前記複素環アミン類または芳香族アミン類が、ピリジン、2,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、3,5-ジメチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジンおよびアニリンからなる群から選ばれたアミン類である請求項4記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物
【請求項7】
前記(a)ポリシロキサンが、側鎖基に芳香族基および/または置換芳香族基を有し、樹脂組成物中のベンゼン、トルエン、キシレン、アニリン、スチレンおよびナフタレンの含有量がそれぞれ1ppm未満である請求項1記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物。
【請求項8】
前記硬化膜が、永久膜である請求項1記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1~8いずれかに記載の硬化膜形成用樹脂組成物を硬化させてなる、硬化膜。
【請求項10】
走査型分析電子顕微鏡(SEM-EDX)測定によるNのSiに対する原子数比が0.005以上0.200以下であり、かつS、P、Fから選ばれる少なくとも1種の原子のSiに対する原子数比が0.005以上0.200以下である請求項9記載の硬化膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物、硬化膜およびポリシロキサンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリシロキサンを含む樹脂組成物は、耐熱性・耐候性・透明性に優れることから、固体撮像素子用マイクロレンズアレイをはじめとする光学レンズ、液晶や有機ELディスプレイのTFT用平坦化膜、タッチパネル用保護膜・絶縁膜、反射防止膜、光学フィルターなどの用途に幅広く利用されている。
【0003】
これらの用途では、一般的に、耐溶剤性等に優れた硬化膜が求められることが多く、要求特性を達成するためには、硬化膜形成時に、膜中のポリシロキサン同士の反応(シラノール基同士の縮合反応)を促進することで、膜の硬化度を上げる必要がある。
【0004】
このような反応の促進には、酸触媒や塩基触媒といったポリシロキサンの縮合触媒を樹脂組成物中に含有することが有効であるが、これらの触媒とポリシロキサンを同時に含有すると、経時でシラノール基同士の反応が進行して増粘やゲル化などの問題が発生し、保存安定性が悪化してしまう。そのため、酸発生材や塩基発生材を使用し、露光工程および/または加熱工程時に発生した酸や塩基によって、膜の硬化を促進する手法が報告されている(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
また、このように工業的に利用されるポリシロキサンは、原料としてアルコキシシラン化合物を用いたゾルーゲル法により、加水分解反応および重縮合反応を利用して合成されることが多い。一般的に、ゾルーゲル法では、酸または塩基の触媒を用いることで、加水分解および縮合反応を促進するが、反応後のポリシロキサン溶液にこれらの触媒が残存すると、前述のような経時での増粘やゲル化などの問題が発生する。そのため、実用上は、反応後に触媒の除去工程(あるいは中和反応)が必要となることが多い。しかし、これらの工程の導入は、コストが上がるだけでなく、収率の低下や不純物の増加などを引き起こす課題がある。
【0006】
触媒を除去しなくても保存安定性に優れたポリシロキサンを得るために、特許文献3では、中性の化合物であるフッ化物塩を触媒とする手法が報告されている。
【0007】
また、特許文献4では、触媒として中性塩を用いて合成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-107562号公報
【特許文献2】特開2006-154037号公報
【特許文献3】特開平7-292108号公報
【特許文献4】国際公開第2016/098596号
【特許文献5】特開2006-106311号公報
【特許文献6】特許第645892号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1、2の技術においては、有効な酸発生材や塩基発生材は、一般的に高価であることが課題として挙げられる。また、下地に金属配線がある場合には、配線腐食を起こすなどの課題もあった。
【0010】
特許文献3の技術においては、フッ化物塩の多くは、酸性水溶液中では毒性の高いフッ酸を生じることが知られており、安全面や基材腐食などに懸念があった。
【0011】
特許文献4の技術においては、中性塩の触媒としては、塩化マグネシウムや塩化ナトリウムなどが好適な例として挙げられているが、半導体用途で用いる場合には、触媒由来のアルカリ金属不純物が問題となる懸念があった。また、これらの中性塩の触媒は、強酸と強塩基の塩であるため、水溶液のpHは7程度であり、アルコキシシラン化合物の加水分解が進行しにくく、その後の重縮合反応も進行しにくくなる懸念もあった。
【0012】
本発明は、保存安定性に優れ、耐溶剤性に優れた硬化膜を得ることができる硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を比較的安価に提供することを目的とする。また、触媒の除去工程がなくても、保存安定性が良好なポリシロキサンを製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下の通りである。
[1](a)ポリシロキサンと、(b)有機塩と、(c)溶剤とを含有する樹脂組成物であって、前記有機塩(b)の1.0質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5である硬化膜形成用樹脂組成物。
[2]前記(b)有機塩の含有量が、前記(a)ポリシロキサン100質量部に対して、0.01~5.00質量部である[1]記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物。
[3]前記(b)有機塩が、後述する一般式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する有機酸類と、アミン類とから成る有機塩である[1]または[2]記載の硬化膜形成用樹シロキサン脂組成物。
[4]前記アミン類が、複素環アミン類または芳香族アミン類である[3]記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物。
[5]前記一般式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する有機酸類が、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、トリフルオロプロパンスルホン酸、およびトリフルオロ酢酸からなる群から選ばれた有機酸類である[3]または[4]記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物
[6]前記複素環アミン類または芳香族アミン類が、ピリジン、2,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、3,5-ジメチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジンおよびアニリンからなる群から選ばれたアミン類である[4]記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物
[7]さらに、(d)感光剤を含有する[1]~[6]いずれか記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物。
[8]前記(a)ポリシロキサンが、側鎖基に芳香族基および/または置換芳香族基を有し、樹脂組成物中のベンゼン、トルエン、キシレン、アニリン、スチレンおよびナフタレンの含有量がそれぞれ1ppm未満である[1]~[7]いずれか記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物。
[9]前記硬化膜が、永久膜である[1]~[8]いずれか記載の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物。
[10][1]~[9]いずれかに記載の硬化膜形成用樹脂組成物を硬化させてなる、硬化膜。
[11]走査型分析電子顕微鏡(SEM-EDX)測定によるNのSiに対する原子数比が0.005以上0.200以下であり、かつS、P、Fから選ばれる少なくとも1種の原子のSiに対する原子数比が0.005以上0.200以下である硬化膜。
[12]走査型分析電子顕微鏡(SEM-EDX)測定によるNのSiに対する原子数比が0.005以上0.200以下であり、かつS、P、Fから選ばれる少なくとも1種の原子のSiに対する原子数比が0.005以上0.200以下である[10]記載の硬化膜。
[13]原料としてアルコキシシランを用いて、加水分解および/または熱縮合の触媒として有機塩を用いるポリシロキサンの製造方法であって、前記有機塩の1.0質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5であることを特徴とするポリシロキサンの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、保存安定性に優れ、耐溶剤性に優れた硬化膜を得ることができる硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を提供する。また、本発明は、耐溶剤性に優れた硬化膜を提供する。さらに、触媒の除去工程がなくても、保存安定性が良好なポリシロキサンを製造するポリシロキサンの製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物、硬化膜、およびポリシロキサンの製造方法の好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
【0016】
本発明の硬化膜形成用樹脂組成物は、(a)ポリシロキサンと、(b)有機塩と、(c)溶剤とを含有する。
【0017】
(a)ポリシロキサン
(a)ポリシロキサンは、アルコキシシラン化合物の加水分解・脱水縮合物である。(a)ポリシロキサンは、少なくとも下記一般式(4)で表される繰り返し単位および/または下記一般式(5)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。膜厚10μm以上の厚膜を形成する場合は、一般式(4)で表される2官能アルコキシシラン化合物由来の繰り返し単位を含むことが好ましい。一般式(4)で表される2官能アルコキシシラン化合物由来の繰り返し単位を含むことにより、加熱によるポリシロキサンの過剰な熱重合(縮合)を抑制し、硬化膜のクラック耐性を向上させることができる。また、一般式(5)で表される3官能アルコキシシラン化合物由来の繰り返し単位を含むことにより、製膜後にポリシロキサンの架橋密度が高くなり、硬化膜の硬化度を向上させることができる。
【0018】
【0019】
上記一般式(4)中、R4およびR5は、それぞれ同じでも異なってもよく、炭素数1~20の1価の有機基を表す。R4およびR5は、一部がラジカル重合性基により置換されていてもよい。この場合、樹脂組成物の硬化物中においては、ラジカル重合性基はラジカル重合されていてもよい。ラジカル重合性基としては、ビニル基、(メタ)アクリル基、スチリル基などが挙げられる。また、ポリシロキサン中に、異なるR4およびR5を有する一般式(4)で表される繰り返し単位を2種類以上含んでもよい。
【0020】
上記一般式(5)中、R6は炭素数1~20の1価の有機基を表す。R6は、一部がラジカル重合性基により置換されていてもよい。この場合、樹脂組成物の硬化物中においては、ラジカル重合性基はラジカル重合されていてもよい。ラジカル重合性基としては、ビニル基、(メタ)アクリル基、スチリル基などが挙げられる。また、ポリシロキサン中に、異なるR6を有する一般式(5)で表される繰り返し単位を2種類以上含んでもよい。
【0021】
上記一般式(4)および(5)で表される繰り返し単位は、それぞれ下記一般式(6)および(7)で表されるアルコキシシラン化合物に由来する。すなわち、前記一般式(4)および(5)で表される繰り返し単位を含むポリシロキサンは、下記一般式(6)および(7)で表されるアルコキシシラン化合物を含むアルコキシシラン化合物を加水分解および重縮合することによって得ることができる。さらに他のアルコキシシラン化合物を用いてもよい。
【0022】
【0023】
上記一般式(6)および(7)中、R4~R6は、それぞれ一般式(4)および(5)における、R4~R6と同じ基を表す。R7は、同じでも異なってもよく、水素または炭素数1~20の1価の有機基を表し、水素または炭素数1~6のアルキル基が好ましい。
【0024】
一般式(6)で表されるアルコキシシラン化合物としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルメチルジメトキシシラン、エチルメチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、スチリルメチルジメトキシシラン、スチリルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、3-ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピオン酸、3-ジメチルエトキシシリルプロピオン酸、3-ジメチルメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、5-ジメチルメトキシシリル吉草酸、5-ジメチルエトキシシリル吉草酸、3-ジメチルメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルフタル酸無水物、4-ジメチルメトキシシリル酪酸、4-ジメチルエトキシシリル酪酸、ビス(トリフルオロメチル)ジメトキシシラン、ビス(トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、ビス(トリフルオロプロピル)ジエトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ジフェニルシランジオール等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0025】
一般式(7)で表されるアルコキシシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシランなどの3官能アルコキシシラン化合物;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-エチル-3-{[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタンなどのエポキシ基またはオキセタン基含有アルコキシシラン化合物:フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、1-ナフチルトリメトキシシラン、2-ナフチルトリメトキシシラン、2-ナフチルトリメトキシシラン、2-ナフチルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、1-フェニルエチルトリメトキシシラン、1-フェニルエチルトリエトキシシラン、2-フェニルエチルトリメトキシシラン、2-フェニルエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルフタル酸無水物などの芳香環含有アルコキシシラン化合物;スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロイルプロピルトリエトキシシランなどのラジカル重合性基含有アルコキシシラン化合物;3-トリメトキシシリルプロピオン酸、3-トリエトキシシリルプロピオン酸、4-トリメトキシシリル酪酸、4-トリエトキシシリル酪酸、5-トリメトキシシリル吉草酸、5-トリエトキシシリル吉草酸、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-トリメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルフタル酸無水物などのカルボキシル基含有アルコキシシラン化合物;トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロペンチルトリメトキシシラン、パーフルオロペンチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどのフッ素基含有アルコキシシラン化合物等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0026】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物が、光硬化性を有する場合、一般式(6)および/または(7)で表されるアルコキシシラン化合物として、少なくとも1種のラジカル重合性基含有アルコキシシラン化合物を含有することが好ましい。また、本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物が、ネガ型感光性を有する場合、一般式(6)および/または(7)で表されるアルコキシシラン化合物として、少なくとも1種のラジカル重合性基含有アルコキシシラン化合物と、少なくとも1種のカルボキシル基含有アルコキシシラン化合物を含有することが好ましい。ラジカル重合性基含有アルコキシシラン化合物を含有することで、露光部で発生したラジカルで架橋反応が進行し、露光部の硬化度を高めることができる。また、カルボキシル基含有アルコキシシラン化合物を含有することで、未露光部の溶解性が向上し、パターン加工時に解像度を向上させることができる。
【0027】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物がポジ型感光性を有する場合、一般式(6)および/または(7)で表されるアルコキシシラン化合物として、少なくとも芳香族性基含有アルコキシシラン化合物を含有することが好ましい。芳香族性基含有アルコキシシラン化合物を含有することで、(a)ポリシロキサンと感光剤の相溶性を高めることができる。
【0028】
その他のアルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、シリケート51(テトラエトキシシランオリゴマー)などの4官能アルコキシシラン化合物;トリメチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリメチルシラノール、トリフェニルシラノールなどの単官能アルコキシシラン化合物等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0029】
(a)ポリシロキサンの質量平均分子量(Mw)は、塗布性の観点から、1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましい。一方、現像性の観点から、ポリシロキサンのMwは、200,000以下が好ましく、150,000以下がより好ましい。ここで、本発明におけるポリシロキサンのMwとは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算値を言う。
【0030】
(a)ポリシロキサンは、前述のアルコキシシラン化合物を加水分解した後、該加水分解物を脱水縮合反応させることによって得ることができる。
【0031】
加水分解における各種条件は、反応スケール、反応容器の大きさ、形状などを考慮して、目的とする用途に適した物性に合わせて設定することができる。各種条件としては、例えば、酸濃度、反応温度、反応時間などが挙げられる。
【0032】
加水分解反応および脱水縮合反応を促進するために、触媒を添加することが好ましい。触媒としては、塩酸、酢酸、蟻酸、硝酸、蓚酸、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、多価カルボン酸やその無水物などの酸や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3,3-ジメチルブチルアミン、メチルペンチルアミン、n-ブチルエチルアミン、ジブチルアミン、n-ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジメチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、N,N--ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチル-n-オクチルアミンなどの塩基や、メタンスルホン酸ピリジン塩、エタンスルホン酸ピリジン塩、プロパンスルホン酸ピリジン塩、ベンゼンスルホン酸ピリジン塩、p-トルエンスルホン酸ピリジン塩、キシレンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロメタンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロエタンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロプロパンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロ酢酸ピリジン塩、p-トルエンスルホン酸2,4,6-トリメチルピリジン塩、p-トルエンスルホン酸アニリン塩、テトラメチルアンモニウムp-トルエンスルホナート、テトラエチルアンモニウムp-トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機塩が使用される。
【0033】
これらの中でも、1.0質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5である有機塩を使用することが好ましい。すなわち、本発明のポリシロキサンの製造方法は、原料としてアルコキシシラン化合物を用いて、加水分解および/または熱縮合の触媒として有機塩を用いるポリシロキサンの製造方法であって、前記有機塩の1.0重量質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5である。
【0034】
1.0質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5である有機塩としては、ベンゼンスルホン酸ピリジン塩、メタンスルホン酸ピリジン塩、p-トルエンスルホン酸ピリジン塩、キシレンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロメタンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロエタンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロプロパンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロ酢酸ピリジン塩、p-トルエンスルホン酸2,4,6-トリメチルピリジン塩、p-トルエンスルホン酸アニリン塩などが挙げられる。1.0質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5である有機塩を使用することで、後述する触媒の除去あるいは中和工程がなくても、保存安定性が良好なポリシロキサンを製造することができる。有機塩の1.0質量%水溶液におけるpH値は3.0~5.0が好ましく、3.0~4.5がより好ましい。
【0035】
加水分解反応および脱水縮合反応において、触媒を用いる場合、触媒の添加量は、反応をより速やかに進行させる観点から、反応に使用される全アルコキシシラン化合物100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。一方、反応の進行を適度に調整する観点から、触媒の添加量は、全アルコキシシラン化合物100質量部に対して、5.00質量部以下が好ましく、3.00質量部以下がより好ましい。ここで、全アルコキシシラン化合物量とは、アルコキシシラン化合物、その加水分解物およびその縮合物の全てを含む量のことを言う。以下同じとする。
【0036】
加水分解反応および脱水縮合反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒は、樹脂組成物の安定性、濡れ性、揮発性などを考慮して、適宜選択することができる。また、加水分解反応によって溶媒が生成する場合には、無溶媒で加水分解を行うことも可能である。樹脂組成物に用いる場合には、加水分解反応終了後に、さらに溶媒を添加することにより、樹脂組成物を適切な濃度に調整することも好ましい。また、加水分解後に加熱および/または減圧下により生成アルコール等の全量あるいは一部を留出、除去し、その後好適な溶媒を添加することも可能である。
【0037】
加水分解反応に溶媒を使用する場合、溶媒の添加量は、過反応によるゲルの生成を抑制する観点から、全アルコキシシラン化合物100質量部に対して、20質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましい。一方、溶媒の添加量は、加水分解をより速やかに進行させる観点から、全アルコキシシラン化合物100質量部に対して、500質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましい。
【0038】
また、加水分解反応に用いる水としては、イオン交換水が好ましい。水の量は任意に設定することができるが、全アルコキシシラン化合物1モルに対して、1.0~4.0モルが好ましい。
【0039】
脱水縮合反応の方法としては、例えば、アルコキシシラン化合物の加水分解反応により得られたシラノール化合物溶液をそのまま加熱する方法などが挙げられる。加熱温度は、50℃以上、溶媒の沸点以下が好ましく、加熱時間は、1~100時間が好ましい。また、目的に応じて、脱水縮合反応後に、生成アルコールなどの適量を加熱および/または減圧下にて留出、除去し、その後好適な溶媒を添加してもよい。
【0040】
樹脂組成物の保存安定性の観点から、必要に応じて触媒の除去あるいは中和工程を行ってもよい。触媒除去方法としては、操作の簡便さと除去性の観点から、水洗浄、イオン交換樹脂による処理などが好ましい。水洗浄とは、ポリシロキサン溶液を適当な疎水性溶媒で希釈し、水で数回洗浄した後、得られた有機層をエバポレーター等で濃縮する方法である。イオン交換樹脂による処理とは、ポリシロキサン溶液を適当なイオン交換樹脂に接触させる方法である。 (b)有機塩
(b)有機塩は、酸と塩基からなる有機の塩化合物である。(b)有機塩は、ポリシロキサン中に残存するシラノール基の縮合反応を促進する縮合触媒として作用する。樹脂組成物中に(a)ポリシロキサンと(b)有機塩を含有することで、ポリシロキサン中のシラノール基同士の反応が促進されて膜中の架橋密度が高くなり、硬化膜の硬化度を向上させ、膜の耐溶剤性を向上することができる。
【0041】
なお、特許文献5に、有機塩であるp-トルエンスルホン酸ピリジン塩をレジスト組成物に使用する例があるが、これは光酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することを目的として加えられており、本発明のように、永久膜を形成するために使用する硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物中における(b)有機塩の役割とは明確に異なる。
【0042】
樹脂組成物中への(b)有機塩の導入方法としては、前述のように(a)ポリシロキサンを製造する工程で触媒として(b)有機塩を使用し触媒除去工程を行わずに得られたポリシロキサン溶液を使用する方法と、触媒を除去した後の(a)ポリシロキサンに、後添加で(b)有機塩を添加する方法が挙げられる。工程簡便性の観点から、前者の方法が好ましい。
【0043】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物において、(b)有機塩は、1.0質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5である。pH値をこの範囲とすることで、樹脂組成物の保存安定性と膜の硬化度向上を両立することができる。1.0質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5である有機塩としては、前述の好適な触媒として記述した有機塩が挙げられる。(b)有機塩の1.0質量%水溶液におけるpH値は3.0~5.0が好ましく、3.0~4.5がより好ましい。
【0044】
本発明の硬化膜形成用樹脂組成物中の(b)有機塩の含有量は、膜の硬化度を向上する観点から、(a)ポリシロキサン100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上がさらに好ましい。一方、保存安定性向上と膜の黄変抑制の観点から、本発明の硬化膜形成用樹脂組成物中の(b)有機塩の含有量は、(a)ポリシロキサン100質量部に対して、5.00質量部以下が好ましく、3.00質量部以下がより好ましい。
【0045】
(b)有機塩は、1.0質量%水溶液におけるpH値を先述の好ましい範囲にするため、強酸と弱塩基から成る塩であることが好ましい。従って、(b)有機塩は、下記一般式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する有機酸類と、アミン類とから成る有機塩であることが好ましい。
【0046】
【0047】
一般式(1)~(2)中、R1~R2は、それぞれ独立して炭素数1~30の1価の有機基または炭素数1~30の2価の有機基を表す。1価の有機基としては、置換もしくは非置換の直鎖または分岐アルキル基、置換もしくは非置換の環式アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、パーフルオロアルキル基等が、2価の有機基としては、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のアルケニレン基、置換もしくは非置換のフェニレン基等が挙げられる。
【0048】
一般式(3)中、nは0、1または2を表す。n=1のとき、一般式(3)中のR3は炭素数1~30の1価の有機基または炭素数1~30の2価の有機基を表す。n=2のとき、一般式(3)中のR3は同じであっても異なってもよく、水素、炭素数1~30の1価の有機基、または炭素数1~30の2価の有機基を表す。
【0049】
一般式(1)で表される有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸などが挙げられる。
【0050】
一般式(2)で表される有機酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、m-トルエンスルホン酸、o-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、10-カンファ-スルホン酸、マジック酸、タウリン、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、トリフルオロプロパンスルホン酸などが挙げられる。
【0051】
一般式(3)で表される有機酸としては、例えば、リン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、シクロヘキシルホスホン酸、ヘプチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ノニルホスホン酸、デシルホスホン酸、イコシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ビニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスホン酸、リン酸ジエチル、リン酸ジプロピル、リン酸ジブチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジフェニルなどが挙げられる。
【0052】
これらの中でも、塩の形成しやすさと入手容易性の観点から、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、トリフルオロプロパンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸が好ましい。
【0053】
前記アミン類は、構造は特に限定されないが、先述の通り弱塩基性のアミン化合物であることが好ましい。前記アミン類は、複素環アミン類または芳香族アミン類であることが好ましい。
【0054】
複素環アミン類としては、例えば、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3-チアジアゾール、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、プリン、プテリジン、2,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、3,5-ジメチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジンなどが挙げられる。
【0055】
芳香族アミン類としては、例えば、アニリン、o-トルイジン、2,4,6-トリメチルアニリン、アニシジン、3-(トリフルオロメチル)アニリンなどが挙げられる。
【0056】
これらの中でも、塩の形成しやすさと入手容易性の観点から、ピリジン、2,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、3,5-ジメチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、アニリンが好ましい。
【0057】
(b)有機塩は、上述した好ましい有機酸類と、好ましいアミン類とから成る有機塩であることが好ましい。これらの中でも、塩の形成しやすさと入手容易性の観点から、メタンスルホン酸ピリジン塩、エタンスルホン酸ピリジン塩、プロパンスルホン酸ピリジン塩、ベンゼンスルホン酸ピリジン塩、p-トルエンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロメタンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロプロパンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロ酢酸ピリジン塩、キシレンスルホン酸ピリジン塩、p-トルエンスルホン酸、2,4,6-トリメチルピリジン塩が好ましい。これらの中でも、硬化膜の着色を低減する観点から、メタンスルホン酸ピリジン塩、ベンゼンスルホン酸ピリジン塩、p-トルエンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロメタンスルホン酸ピリジン塩またはトリフルオロ酢酸が好ましく、メタンスルホン酸ピリジン塩が特に好ましい。また、本発明のシロキサン樹脂組成物を、低屈折率膜用途に用いる場合には、屈折率を下げられる観点から、トリフルオロメタンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロエタンスルホン酸ピリジン塩、トリフルオロプロパンスルホン酸ピリジン塩、またはトリフルオロ酢酸ピリジン塩が好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸ピリジン塩またはトリフルオロ酢酸ピリジン塩が特に好ましく使用される。
【0058】
(b)有機塩は、市販のものを用いてもよいし、合成したものを用いてもよい。合成方法としては、例えば、前記有機酸類と脱水THFとを窒素下で撹拌し、氷冷しながら前記アミン類を滴下することにより析出した塩を、濾過して得た後に真空乾燥することにより得られる。 (c)溶剤
(c)溶媒は、樹脂組成物の粘度を塗布に適した範囲に調整し、塗布均一性を向上させる機能を有する。
【0059】
溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類;トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。塗布性の観点から、大気圧下の沸点が150℃を超えて250℃以下の溶媒と、150℃以下の溶媒を組み合わせることが好ましく、大気圧下の沸点が150℃を超えて250℃以下の溶媒としてジアセトンアルコールと、150℃以下の溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを組み合わせることが好ましい。
【0060】
溶媒の含有量は、塗布方法などに応じて任意に設定することができる。例えば、スピンコーティングにより膜形成を行う場合には、溶媒の含有量は、本発明の硬化膜形成用樹脂組成物中、50質量%以上、95質量%以下とすることが一般的である。
【0061】
(d)感光剤
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物は、感光性を必要とする場合、(d)感光剤を有することが好ましい。ネガ型感光性を付与する場合は、(d)感光剤として光重合開始剤を含有することが好ましく、高精細なパターンを形成することができる。ネガ型感光性を付与する場合は、さらに、光重合性化合物を含有することが好ましい。一方、ポジ型感光性を付与する場合は(d)感光剤としてキノンジアジド化合物を含有することが好ましい。
【0062】
光重合開始剤は、光(紫外線、電子線を含む)の照射によって分解および/または反応し、ラジカルを発生させるものであればどのようなものでもよい。例えば、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1などのα-アミノアルキルフェノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(2,4,4-トリメチルペンチル)-フォスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド化合物;1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、1-フェニル-1,2-ブタジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)などのオキシムエステル化合物;ベンジルジメチルケタールなどのベンジルケタール化合物;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトンなどのα-ヒドロキシケトン化合物;ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4,4-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,3-ジエトキシアセトフェノン、4-t-ブチルジクロロアセトフェノン、ベンザルアセトフェノン、4-アジドベンザルアセトフェノンなどのアセトフェノン化合物;2-フェニル-2-オキシ酢酸メチルなどの芳香族ケトエステル化合物;4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(2-エチル)ヘキシル、4-ジエチルアミノ安息香酸エチル、2-ベンゾイル安息香酸メチルなどの安息香酸エステル化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0063】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物中における光重合開始剤の含有量は、ラジカル硬化を効果的に進める観点から、固形分中、0.01質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。一方、残留した光重合開始剤の溶出等を抑制させる観点から、光重合開始剤の含有量は、固形分中、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0064】
本発明における光重合性化合物とは、分子中に2つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物をいう。ラジカル重合性のしやすさを考えると、光重合性化合物は、(メタ)アクリル基を有することが好ましい。
【0065】
光重合性化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、テトラペンタエリスリトールノナアクリレート、テトラペンタエリスリトールデカアクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカアクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、テトラペンタエリスリトールノナメタクリレート、テトラペンタエリスリトールデカメタクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカメタクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカメタクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレートなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0066】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物中における光重合性化合物の含有量は、ラジカル硬化を効果的に進める観点から、固形分中、1質量%以上が好ましい。一方、ラジカルの過剰反応を抑制し解像度を向上させる観点から、光重合性化合物の含有量は、固形分中、50質量%以下が好ましい。
【0067】
キノンジアジド化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物にナフトキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合した化合物が好ましい。ここで用いられるフェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、BIs-Z、TekP-4HBPA(テトラキスP-DO-BPA)、TrIsP-HAP、TrIsP-PA、BIsRS-2P、BIsRS-3P(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIR-PC、BIR-PTBP、BIR-BIPC-F(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、4,4’-スルホニルジフェノール、BPFL(商品名、JFEケミカル(株)製)などが挙げられる。キノンジアジド化合物としては、これらフェノール性水酸基を有する化合物に、4-ナフトキノンジアジドスルホン酸または5-ナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル結合で導入したものが好ましく、例えば、THP-17、TDF-517(商品名、東洋合成工業(株)製)、SBF-525(商品名、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)などが挙げられる。
【0068】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物中におけるキノンジアジド化合物の含有量は、感度を向上させる観点から、固形分中、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。一方、キノンジアジド化合物の含有量は、解像度を向上させる観点から、固形分中、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
【0069】
また、本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、重合禁止剤、界面活性剤、密着性改良剤、ナノ粒子、顔料などを含有してもよい。
【0070】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物中に紫外線吸収剤を含有することにより、耐光性を向上させることができる。紫外線吸収剤としては、透明性および非着色性の観点から、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;2-(4,6-ジフェニル-1,3,5トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノールなどのトリアジン系化合物などが好ましく用いられる。
【0071】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物中に重合禁止剤を含有することにより、解像度をより向上させることができる。重合禁止剤としては、例えば、ジ-t-ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、4-メトキシフェノール、1,4-ベンゾキノン、t-ブチルカテコールが挙げられる。また、市販の重合禁止剤としては、“IRGANOX”(登録商標)1010、1035、1076、1098、1135、1330、1726、1425、1520、245、259、3114、565、295(以上、商品名、BASFジャパン(株)製)などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0072】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物中に界面活性剤を含有することにより、塗布時のフロー性を向上させることができる。界面活性剤としては、例えば、“メガファック”(登録商標)F142D、F172、F173、F183、F445、F470、F475、F477(以上、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、NBX-15、FTX-218(以上、商品名、(株)ネオス製)などのフッ素系界面活性剤;“BYK”(登録商標)-333、301、331、345、307(以上、商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)などのシリコーン系界面活性剤;ポリアルキレンオキシド系界面活性剤;ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0073】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物中に密着性改良剤を含有することにより、下地基板との密着性を向上することができる。密着性改良剤としては、例えば、脂環式エポキシ化合物や、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点から、脂環式エポキシ化合物が好ましい。
【0074】
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3’,4’-エポキシシクロヘキシメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物、ε-カプロラクトン変性3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールEジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、水添ビスフェノールAビス(エチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0075】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物中における密着性改良剤の含有量は、下地基板との密着性をより向上させる観点から、固形分中の0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。一方、密着性改良剤の含有量は、パターン加工性の観点から、固形分中の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0076】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物中にナノ粒子を含有することにより、硬化膜の屈折率を調整することができる。ナノ粒子としては、例えば、シリカ粒子、フッ化マグネシウム粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。屈折率を下げる場合は、シリカ粒子、フッ化マグネシウム粒子を含有することが好ましく、屈折率を上げる場合は、チタニア粒子、ジルコニア粒子を含有することが好ましい。
【0077】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物中に顔料を含有することにより、硬化膜の反射性や遮光性を調整することができる。
【0078】
硬化膜の反射性を向上したい場合は、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、これらの複合化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0079】
硬化膜の特定の波長の遮光性を向上したい場合は、赤色顔料、青色顔料、黒色顔料、緑色顔料、黄色顔料等の遮光顔料を含有することが好ましい。また、反射性と遮光性を両立したい場合は、白色顔料と遮光顔料を両方含有することが好ましい。
【0080】
赤色顔料としては、例えば、ピグメントレッド(以下PRと略す)PR177、PR179、PR180、PR192、PR209、PR227、PR228、PR240、PR254などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0081】
青色顔料としては、例えば、ピグメントブルー(以下PBと略す)15、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB22、PB60、PB64などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0082】
黒色顔料としては、例えば、黒色有機顔料、混色有機顔料、黒色無機顔料等が挙げられる。黒色有機顔料としては、例えば、カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック、ベンゾフラノン系顔料などが挙げられる。これらは、樹脂で被覆されていてもよい。混色有機顔料としては、例えば、赤、青、緑、紫、黄色、マゼンダおよびシアン等から選ばれた2種以上の顔料を混合して疑似黒色化したものが挙げられる。これらの中でも、適度に高いOD値とパターン加工性を両立する観点から、赤色顔料と青色顔料との混合顔料が好ましい。混合顔料における赤色顔料と青色顔料の質量比は、20/80~80/20が好ましく、30/70~70/30がより好ましい。黒色無機顔料としては、例えば、グラファイト;チタン、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、ジルコニウム、亜鉛、カルシウム、銀、金、白金、パラジウム等の金属の微粒子;金属酸化物;金属複合酸化物;金属硫化物;金属窒化物;金属酸窒化物;金属炭化物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0083】
緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン(以下PGと略す)7、PG36、PG58、PG37、PG59などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0084】
黄色顔料としては、例えば、ピグメントイエロー(以下PYと略す)PYPY150、PY153、PY154、PY166、PY168、PY185などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0085】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物は、ポリシロキサン以外の樹脂を含有してもよい。ポリシロキサン以外の樹脂することにより、例えば、プリベーク後のタックレス性を向上するなど、ポリシロキサンでは不足する膜特性を補完することができる。ポリシロキサン以外の樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール前駆体、(メタ)アクリルポリマ、カルド系樹脂などが挙げられる。
【0086】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物は、含有する(a)ポリシロキサンが、側鎖基に芳香族基および/または置換芳香族基を有する場合、樹脂組成物中のベンゼン、トルエン、キシレン、アニリン、スチレンおよびナフタレンの含有量がそれぞれ1ppm未満であることが好ましい。
【0087】
従来、側鎖基に芳香族基および/または置換芳香族基を含むポリシロキサンを、リン酸などの強酸性触媒や強塩基性触媒を用いて縮合反応して得た場合、もしくは、強酸・強塩基を発生する酸発生材・塩基発生材と共に使用した場合、ポリシロキサン中のSi原子と側鎖基の結合の一部が切断され、側鎖基由来の微量の不純物が発生する課題があった。すなわち、例えば、側鎖基にフェニル基、トリル基、キシリル基、フェニルアミノ基、スチリル基またはナフチル基を側鎖基に有するポリシロキサンをリン酸触媒で縮合反応して得た場合、それぞれ、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニリン、スチレンまたはナフタレンを、不純物として1ppm以上含有してしまう課題があった。
【0088】
一方、本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物は、触媒として、1.0質量%水溶液におけるpH値が3.0~5.5である(b)有機塩を用いて縮合したポリシロキサンを使用するか、もしくは、酸発生材・塩基発生材の代わりに(b)有機塩を使用するため、上述した側鎖基の切断反応が起こらず、当該不純物の含有量を1ppm未満に抑制することができる。
【0089】
本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物は、硬化膜が永久膜であること、すなわち、永久膜形成用樹脂組成物であることが好ましい。永久膜とは、一般的なレジスト層のような製造工程中に除去される膜ではなく、永久に製品に残存する硬化膜を指す。
【0090】
次に、本発明の硬化膜について説明する。
【0091】
本発明の硬化膜は、本発明の硬化膜形成用樹脂組成物を硬化させてなる。また、本発明の硬化膜は、永久膜として使用することが好ましい。
【0092】
本発明の硬化膜の別の態様は、走査型分析電子顕微鏡(SEM-EDX)測定によるNのSiに対する原子数比が0.005以上0.200以下であり、かつS、P、Fから選ばれる少なくとも1種の原子のSiに対する原子数比が0.005以上0.200以下である硬化膜である。原子数比がこれらの範囲内であることで、膜の耐溶剤性と透過性を両立することができる。NのSiに対する原子数比およびS、P、Fから選ばれる少なくとも1種の原子のSiに対する原子数比は、0.010以上0.150以下が好ましく、0.015以上0.100以下がより好ましい。
【0093】
本発明の硬化膜は、前述の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を後述の方法で硬化して得ることができる。
【0094】
本発明の硬化膜は、タッチパネルの保護膜などの各種ハードコート膜の他、タッチセンサー用絶縁膜、液晶や有機ELディスプレイのTFT用平坦化膜、金属配線保護膜、絶縁膜、反射防止膜、光学フィルター、カラーフィルター用オーバーコート、柱材などに好適に用いられる。
【0095】
硬化膜の厚みは、用途に依って異なるが、0.1~100μmが好ましく、0.5~50μmがさらに好ましい。
【0096】
次に、本発明の硬化膜の形成方法について、例を挙げて説明する。
【0097】
本発明の硬化膜の形成方法は、下地基板上に本発明の硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を塗布し、乾燥して乾燥膜を得る製膜工程、乾燥膜を加熱することにより硬化させる加熱工程を有することが好ましい。製膜工程後に、得られた乾燥膜を露光する露光工程を有してもよい。
【0098】
前記製膜工程における硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、スリットコート法、スピンコート法、スプレーコート法などが挙げられる。乾燥装置としては、例えば、熱風オーブンやホットプレートなどが挙げられる。乾燥時間は80~130℃が好ましく、乾燥時間は1~30分間が好ましい。
【0099】
露光工程時に用いる露光装置としては、例えば、プロキシミティ露光機が挙げられる。露光工程において照射する活性光線としては、例えば、近赤外線、可視光線、紫外線が挙げられ、紫外線が好ましい。また、その光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが挙げられ、超高圧水銀灯が好ましい。
【0100】
露光条件は露光する乾燥膜の厚さにより適宜選択することができる。一般的に、1~100mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて、1~10,000mJ/cm2の露光量で露光することが好ましい。
【0101】
加熱工程は、膜を加熱硬化させる工程である。加熱装置としては、例えば、ホットプレート、オーブン等が挙げられる。加熱工程時の加熱温度は、加熱する膜のクラック発生を抑制する観点から、250℃以下が好ましく、240℃以下がより好ましい。一方、硬化膜の硬化度の観点から、100℃以上が好ましく、120℃以上がさらに好ましい。加熱時間は15分間~2時間が好ましい。
【実施例0102】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されない。なお、用いた化合物のうち略語を使用しているものについて、名称を以下に示す。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
DAA:ジアセトンアルコール
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン。
【0103】
合成例1~26におけるポリシロキサン溶液の固形分濃度は、以下の方法により求めた。アルミカップにポリシロキサン溶液を1.0g秤取し、ホットプレートを用いて250℃で30分間加熱して液分を蒸発させた。加熱後のアルミカップに残った固形分の質量を秤量して、加熱前の質量に対する割合から固形分濃度を求めた。
【0104】
合成例1~26におけるポリシロキサン溶液の重量平均分子量は、以下の方法でポリスチレン換算の値を求めた。
装置: Waters社製 RI検出器付きGPC測定装置(2695)
カラム: PLgelMIXED-Cカラム(ポリマーラボラトリーズ社製,300mm)×2本(直列連結)
測定温度:40℃
流速:1mL/min
溶媒:テトラヒドロフラン(THF) 0.5質量%溶液
標準物質:ポリスチレン
検出モード:RI。
【0105】
合成例1~26におけるポリシロキサン中の各繰り返し単位の含有比率は、以下の方法により求めた。ポリシロキサン溶液を直径10mmの“テフロン”(登録商標)製NMRサンプル管に注入して29Si-NMR測定を行い、オルガノシランに由来するSi全体の積分値に対する、特定のオルガノシランに由来するSiの積分値の割合から各繰り返し単位の含有比率を算出した。29Si-NMR測定条件を以下に示す。
装置:核磁気共鳴装置(JNM-GX270;日本電子(株)製)
測定法:ゲーテッドデカップリング法
測定核周波数:53.6693MHz(29Si核)
スペクトル幅:20000Hz
パルス幅:12μs(45°パルス)
パルス繰り返し時間:30.0秒
溶媒:アセトン-d6
基準物質:テトラメチルシラン
測定温度:23℃
試料回転数:0.0Hz。
【0106】
合成例1 ポリシロキサン(A-1)溶液
1000mlの三口フラスコに、ジフェニルジメトキシシランを203.13g(0.831mol)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを76.06g(0.306mol)、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランを21.56g(0.088mol)、ジメチルジメトキシシランを42.08g(0.350mol)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を45.91g(0.175mol)、BHTを1.475g、およびPGMEAを308.45g仕込み、40℃で撹拌しながら水76.39gにp-トルエンスルホン酸ピリジン塩3.887g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を30分間かけて添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液温度(内温)が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100~110℃)、ポリシロキサン溶液を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素95体積%、酸素5体積%の混合気体を0.05リットル/分流した。反応中に副生成物であるメタノールおよび水が合計173.99g留出した。得られたポリシロキサン溶液に、固形分濃度が50質量%となるようにPGMEAを追加し、特に触媒を除去することなく、ポリシロキサン(A-1)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-1)の重量平均分子量は5,000であった。また、ポリシロキサン(A-1)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0107】
合成例2 ポリシロキサン(A-2)溶液
触媒水溶液として、水76.39gにメタンスルホン酸ピリジン塩3.887g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を用いた以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-2)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-2)の重量平均分子量は5,000であった。また、ポリシロキサン(A-2)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0108】
合成例3 ポリシロキサン(A-3)溶液
触媒水溶液として、水76.39gにトリフルオロメタンスルホン酸ピリジン塩3.887g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を用いた以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-3)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-3)の重量平均分子量は5,000であった。また、ポリシロキサン(A-3)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0109】
合成例4 ポリシロキサン(A-4)溶液
触媒水溶液として、水76.39gにトリフルオロ酢酸ピリジン塩3.887g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を用いた以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-3)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-4)の重量平均分子量は5,000であった。また、ポリシロキサン(A-4)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0110】
合成例5 ポリシロキサン(A-5)溶液
触媒水溶液として、水76.39gにベンゼンスルホン酸ピリジン塩3.887g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を用いた以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-5)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-5)の重量平均分子量は5,000であった。また、ポリシロキサン(A-5)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0111】
合成例6 ポリシロキサン(A-6)溶液
触媒水溶液として、水76.39gにベンゼンスルホン酸アニリン塩3.887g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を用いた以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-6)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-6)の重量平均分子量は5,000であった。また、ポリシロキサン(A-6)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0112】
合成例7 ポリシロキサン(A-7)溶液
触媒水溶液として、水76.39gにp-トルエンスルホン酸テトラエチルアンモニウム3.887g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を用いた以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-7)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-7)の重量平均分子量は1,200であった。また、ポリシロキサン(A-7)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0113】
合成例8 ポリシロキサン(A-8)溶液
1000mlの三口フラスコに、ジフェニルジメトキシシランを213.82g(0.875mol)、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランを43.12g(0.175mol)、テトラエトキシシランを68.86g(0.263mol)、メチルトリメトキシシランを59.59g(0.438mol)、BHTを1.413g、およびPGMEAを298.06g仕込み、40℃で撹拌しながら水76.39gにp-トルエンスルホン酸ピリジン塩3.887g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を30分間かけて添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液温度(内温)が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100~110℃)、ポリシロキサン溶液を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素95体積%、酸素5体積%の混合気体を0.05リットル/分流した。反応中に副生成物であるメタノールおよび水が合計282.58g留出した。得られたポリシロキサン溶液に、固形分濃度が50質量%となるようにPGMEAを追加し、ポリシロキサン(A-8)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-8)の重量平均分子量は8,000であった。また、ポリシロキサン(A-8)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシランに由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ50mol%、10mol%、15mol%、および25mol%であった。
【0114】
合成例9 ポリシロキサン(A-9)溶液
触媒水溶液として、水76.39gにリン酸3.887g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を用いた以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-9)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-9)の重量平均分子量は4,200であった。また、ポリシロキサン(A-9)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0115】
合成例10 ポリシロキサン(A-10)溶液
ポリシロキサン(A-9)溶液100gに、弱塩基性イオン交換樹脂(“アンバーライト”(登録商標)A21、オルガノ(株)製(以下「A21」))2.00gと、弱酸性イオン交換樹脂(“アンバーライト”(登録商標)15JWET、オルガノ(株)製(以下「15J」))2.00gを添加して室温で12時間撹拌した。その後、濾過をすることでイオン交換樹脂を除去し、ポリシロキサン(A-10)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-10)の重量平均分子量は4,500であった。また、ポリシロキサン(A-10)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0116】
合成例11 ポリシロキサン(A-11)溶液
触媒水溶液として、水76.39gにp-トルエンスルホン酸ピリジン塩0.389g(仕込みモノマーに対して0.1質量%)を溶かした触媒水溶液を用いて、PGMEAの添加量を311.95gとした以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-11)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-11)の重量平均分子量は2,500であった。また、ポリシロキサン(A-11)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0117】
合成例12 ポリシロキサン(A-12)溶液
触媒水溶液として、水76.39gにp-トルエンスルホン酸ピリジン塩11.66g(仕込みモノマーに対して3.0質量%)を溶かした触媒水溶液を用いて、PGMEAの添加量を300.68gとした以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-12)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-12)の重量平均分子量は6,500であった。また、ポリシロキサン(A-12)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0118】
合成例13 ポリシロキサン(A-13)溶液
触媒水溶液として、水76.39gにp-トルエンスルホン酸ピリジン塩0.039g(仕込みモノマーに対して0.01質量%)を溶かした触媒水溶液を用いて、PGMEAの添加量を312.30gとした以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-13)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-13)の重量平均分子量は6,500であった。また、ポリシロキサン(A-13)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0119】
合成例14 ポリシロキサン(A-14)溶液
触媒水溶液として、水76.39gにp-トルエンスルホン酸ピリジン塩21.38g(仕込みモノマーに対して5.5質量%)を溶かした触媒水溶液を用いて、PGMEAの添加量を290.96gとした以外は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-14)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-14)の重量平均分子量は6,500であった。また、ポリシロキサン(A-14)における、ジフェニルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%および10mol%であった。
【0120】
合成例15 ポリシロキサン(A-15)溶液
1000mlの三口フラスコに、メチルトリメトキシシランを47.67g(0.350mol)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを152.11g(0.613mol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシランを152.74g(0.700mol)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を22.95g(0.088mol)、BHTを1.282g、およびPGMEAを275.65g仕込み、40℃で撹拌しながら水96.08gにp-トルエンスルホン酸ピリジン塩3.755g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を30分間かけて添加した。以降は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-15)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-15)の重量平均分子量は4,500であった。また、ポリシロキサン(A-15)における、メチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ35mol%、20mol%、40mol%および5mol%であった。
【0121】
合成例16 ポリシロキサン(A-16)溶液
触媒水溶液として、水96.08gにトリフルオロ酢酸ピリジン塩3.755g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を用いた以外は、合成例15と同様にして、ポリシロキサン(A-16)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-16)の重量平均分子量は4,500であった。また、ポリシロキサン(A-16)における、メチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ35mol%、20mol%、40mol%および5mol%であった。
【0122】
合成例17 ポリシロキサン(A-17)溶液
1000mlの三口フラスコに、p-トリルトリメトキシシランを176.49g(0.831mol)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを76.06g(0.306mol)、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランを21.56g(0.088mol)、ジメチルジメトキシシランを42.08g(0.350mol)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を45.91g(0.175mol)、BHTを1.245g、およびPGMEAを267.12g仕込み、40℃で撹拌しながら水91.35gにメタンスルホン酸ピリジン塩3.621g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を30分間かけて添加した。以降は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-17)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-17)の重量平均分子量は4,500であった。また、ポリシロキサン(A-17)における、p-トリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%、10mol%および5mol%であった。
【0123】
合成例18 ポリシロキサン(A-18)溶液
1000mlの三口フラスコに、3,5-ジメチルフェニルトリメトキシシランを188.15g(0.831mol)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを76.06g(0.306mol)、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランを21.56g(0.088mol)、ジメチルジメトキシシランを42.08g(0.350mol)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を45.91g(0.175mol)、BHTを1.245g、およびPGMEAを278.67g仕込み、40℃で撹拌しながら水91.35gにメタンスルホン酸ピリジン塩3.738g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を30分間かけて添加した。以降は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-18)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-18)の重量平均分子量は4,000であった。また、ポリシロキサン(A-18)における、3,5-ジメチルフェニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%、10mol%および5mol%であった。
【0124】
合成例19 ポリシロキサン(A-19)溶液
1000mlの三口フラスコに、M-アミノフェニルトリメトキシシランを177.31g(0.831mol)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを76.06g(0.306mol)、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランを21.56g(0.088mol)、ジメチルジメトキシシランを42.08g(0.350mol)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を45.91g(0.175mol)、BHTを1.249g、およびPGMEAを267.94g仕込み、40℃で撹拌しながら水91.35gにメタンスルホン酸ピリジン塩3.629g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を30分間かけて添加した。以降は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-19)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-19)の重量平均分子量は5,000であった。また、ポリシロキサン(A-19)における、M-アミノフェニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%、10mol%および5mol%であった。
【0125】
合成例20 ポリシロキサン(A-20)溶液
1000mlの三口フラスコに、p-スチリルトリメトキシシランを186.45g(0.831mol)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを76.06g(0.306mol)、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランを21.56g(0.088mol)、ジメチルジメトキシシランを42.08g(0.350mol)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を45.91g(0.175mol)、BHTを1.295g、およびPGMEAを276.98g仕込み、40℃で撹拌しながら水91.35gにメタンスルホン酸ピリジン塩3.721g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を30分間かけて添加した。以降は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-20)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-20)の重量平均分子量は6,600であった。また、ポリシロキサン(A-20)における、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%、10mol%および5mol%であった。
【0126】
合成例21 ポリシロキサン(A-21)溶液
1000mlの三口フラスコに、1-ナフチルトリメトキシシランを206.44g(0.831mol)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを76.06g(0.306mol)、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランを21.56g(0.088mol)、ジメチルジメトキシシランを42.08g(0.350mol)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を45.91g(0.175mol)、BHTを1.396g、およびPGMEAを296.77g仕込み、40℃で撹拌しながら水91.35gにメタンスルホン酸ピリジン塩3.920g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を溶かした触媒水溶液を30分間かけて添加した。以降は、合成例1と同様にして、ポリシロキサン(A-21)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-21)の重量平均分子量は3,000であった。また、ポリシロキサン(A-21)における、1-ナフチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%、10mol%および5mol%であった。
【0127】
合成例22 ポリシロキサン(A-22)溶液
触媒水溶液として、水91.35gにリン酸3.621g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を加えた触媒水溶液を用いた以外は、合成例17と同様にして反応を行った。得られた溶液100gに、イオン交換樹脂としてA21を2.00gと、15JWETを2.00g添加して室温で12時間撹拌した。その後、濾過をすることでイオン交換樹脂を除去し、ポリシロキサン(A-22)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-22)の重量平均分子量は4,500であった。また、ポリシロキサン(A-22)における、p-トリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%、10mol%および5mol%であった。
【0128】
合成例23 ポリシロキサン(A-23)溶液
触媒水溶液として、水91.35gにリン酸3.621g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を加えた触媒水溶液を用いた以外は、合成例18と同様にして反応を行った。得られた溶液100gに、イオン交換樹脂としてA21を2.00gと、15JWETを2.00g添加して室温で12時間撹拌した。その後、濾過をすることでイオン交換樹脂を除去し、ポリシロキサン(A-23)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-23)の重量平均分子量は4,500であった。また、ポリシロキサン(A-23)における、3,5-ジメチルフェニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%、10mol%および5mol%であった。
【0129】
合成例24 ポリシロキサン(A-24)溶液
触媒水溶液として、水91.35gにリン酸3.621g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を加えた触媒水溶液を用いた以外は、合成例19と同様にして反応を行った。得られた溶液100gに、イオン交換樹脂としてA21を2.00gと、15JWETを2.00g添加して室温で12時間撹拌した。その後、濾過をすることでイオン交換樹脂を除去し、ポリシロキサン(A-23)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-24)の重量平均分子量は4,500であった。また、ポリシロキサン(A-24)における、M-アミノフェニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%、10mol%および5mol%であった。
【0130】
合成例25 ポリシロキサン(A-25)溶液
触媒水溶液として、水91.35gにリン酸3.621g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を加えた触媒水溶液を用いた以外は、合成例20と同様にして反応を行った。得られた溶液100gに、イオン交換樹脂としてA21を2.00gと、15JWETを2.00g添加して室温で12時間撹拌した。その後、濾過をすることでイオン交換樹脂を除去し、ポリシロキサン(A-23)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-25)の重量平均分子量は6,500であった。また、ポリシロキサン(A-25)における、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%、10mol%および5mol%であった。
【0131】
合成例26 ポリシロキサン(A-26)溶液
触媒水溶液として、水91.35gにリン酸3.621g(仕込みモノマーに対して1.0質量%)を加えた触媒水溶液を用いた以外は、合成例21と同様にして反応を行った。得られた溶液100gに、イオン交換樹脂としてA21を2.00gと、15JWETを2.00g添加して室温で12時間撹拌した。その後、濾過をすることでイオン交換樹脂を除去し、ポリシロキサン(A-23)溶液を得た。なお、得られたポリシロキサン(A-26)の重量平均分子量は3,000であった。また、ポリシロキサン(A-26)における、1-ナフチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物に由来する各繰り返し単位のモル比は、それぞれ47.5mol%、17.5mol%、5mol%、20mol%、10mol%および5mol%であった。
【0132】
合成例1~26の組成をまとめて表1~表4に示す。
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
実施例1 硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-1)
黄色灯下にて、有機塩としてp-トルエンスルホン酸ピリジン塩を含有するポリシロキサン(A-1)溶液を65.7g、感光剤(光重合開始剤)として1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(o-ベンゾイルオキシム)(“イルガキュア”(登録商標)OXE-01、BASFジャパン(株)製(以下「OXE-01」))を0.750g、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(“イルガキュア”819、BASFジャパン(株)製(以下「IC-819」))0.250g、光重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(“KAYARAD”(登録商標)DPHA、新日本薬業(株)製(以下「DPHA」))15.0g、添加剤としてエチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート](“イルガノックス”(登録商標)1010、BASFジャパン(株)製(以下「IRGANOX1010」))を0.150g、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-5103、信越化学工業株式会社製(以下「KBM-5103」))を1.00g、およびアクリル系界面活性剤(“BYK”(登録商標)352、ビックケミージャパン(株)製(以下「BYK-352」))のPGMEA10質量%希釈溶液0.300g(濃度300ppmに相当)を、溶剤PGMEA6.90gとDAA10.0gに溶解させ、室温で撹拌した。得られた混合物を、0.45μmのフィルターでろ過し、硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-1)を得た。
【0138】
実施例2~6 硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-2)~(P-6)
前記ポリシロキサン(A-1)溶液を、それぞれポリシロキサン(A-2)溶液~ポリシロキサン(A-6)溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-2)~(P-6)を得た。
【0139】
実施例7 硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-7)
黄色灯下にて、有機塩としてp-トルエンスルホン酸ピリジン塩を含有するポリシロキサン(A-8)溶液を92.9g、感光剤(キノンジアジド化合物)としてTHP-17(商品名、東洋合成工業(株)製)を2.50g、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM-303、信越化学工業株式会社製(以下「KBM-303」))を1.00g、およびアクリル系界面活性剤(“BYK”(登録商標)352、ビックケミージャパン(株)製(以下「BYK-352」))のPGMEA10質量%希釈溶液0.300g(濃度300ppmに相当)を、溶媒PGMEA0.258gとDAA3.00gに溶解させ、室温で撹拌した。得られた混合物を、0.45μmのフィルターでろ過し、硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-7)を得た。
【0140】
実施例8 硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-8)
前記ポリシロキサン(A-1)溶液を、ポリシロキサン(A-10)溶液に変更し、有機塩としてp-トルエンスルホン酸ピリジン塩を0.657g添加した以外は、実施例1と同様にして硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-8)を得た。
【0141】
実施例9~12 硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-9)~(P-12)
前記ポリシロキサン(A-1)溶液を、それぞれポリシロキサン(A-11)溶液~ポリシロキサン(A-14)溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-9)~(P-12)を得た。
【0142】
実施例13~19 硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-13)~(P-19)
前記ポリシロキサン(A-1)溶液を、それぞれポリシロキサン(A-15)溶液~ポリシロキサン(A-21)溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-13)~(P-19)を得た。
【0143】
実施例20 隔壁用樹脂組成物(P-20)
二酸化チタン白顔料(CR-97;石原産業(株)製(以下「CR-97」))50.0gを、合成例1により得られたポリシロキサン(A-1)溶液50.0gと混合した後、ジルコニアビーズが充填されたミル型分散機を用いて分散し、顔料分散液(MW-1)を得た。次に、黄色灯下にて、前記顔料分散液(MW-1)40.25g、有機塩としてp-トルエンスルホン酸ピリジン塩を含有するポリシロキサン(A-1)溶液15.70g、感光剤(光重合開始剤)としてOXE-01を0.755g、IC-819を0.252g、光重合性化合物としてDPHAを15.1g、添加剤としてIRGANOX1010を0.151g、KBM-5103を1.01g、およびアクリル系界面活性剤BYK-352のPGMEA10質量%希釈溶液0.302g(濃度300ppmに相当)を、溶剤PGMEA17.02gとDAA10.1gに溶解させ、室温で撹拌した。得られた混合物を、5.0μmのフィルターでろ過し、硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-20)を得た。
【0144】
実施例21 隔壁用樹脂組成物(P-21)
二酸化チタン白顔料CR-97を50.0gと、合成例2により得られたポリシロキサン(A-2)溶液50.0gと混合した後、ジルコニアビーズが充填されたミル型分散機を用いて分散し、顔料分散液(MW-2)を得た。顔料分散液MW-1の代わりに前記顔料分散液(MW-1)40.25gを添加し、ポリシロキサン(A-1)溶液の代わりにメタンスルホン酸ピリジン塩を含有するポリシロキサン(A-2)溶液15.70gを添加した以外は、実施例20と同様にして、硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-21)を得た。
【0145】
比較例1 硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-22)
前記ポリシロキサン(A-1)溶液を、ポリシロキサン(A-7)溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-22)を得た。
【0146】
比較例2 硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-23)
前記ポリシロキサン(A-1)溶液を、リン酸を含有するポリシロキサン(A-9)溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-23)を得た。
【0147】
比較例3 硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-24)
前記ポリシロキサン(A-1)溶液を、ポリシロキサン(A-10)溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-24)を得た。
【0148】
比較例4 硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-25)
特許文献6を参考に、黄色灯下にて、事前にリン酸誘導体化合物2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(商品名「P-1M」、共栄社化学(株)製)とモノエタノールアミンを9.5:0.5の質量割合で反応させて得られた反応物の濃度20質量%PGMEA溶液を調製した。この溶液を2.47g、ポリシロキサン(A-1)溶液を65.0g、感光剤(光重合開始剤)としてOXE-01を0.742g、IC-819を0.247g、光重合性化合物としてDPHAを14.8g、添加剤としてIRGANOX1010を0.148g、KBM-5103を0.990g、およびBYK-352のPGMEA10質量%希釈溶液0.300g(濃度300ppmに相当)を、溶剤PGMEA5.25gとDAA10.0gに溶解させ、室温で撹拌した。得られた混合物を、0.45μmのフィルターでろ過し、硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-25)を得た。
【0149】
比較例5~9 硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-26)~(P-30)
前記ポリシロキサン(A-10)溶液を、それぞれポリシロキサン(A-22)溶液~ポリシロキサン(A-26)溶液に変更した以外は、比較例3と同様にして硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物(P-26)~(P-30)を得た。
【0150】
実施例1~21および比較例1~9の組成をまとめて表5~表7に示す。
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
実施例22~42および比較例10~18における評価方法を以下に示す。
【0155】
<保存安定性>
各実施例および比較例により得られた硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物について、調合終了後に粘度(保管前粘度)を測定した。粘度測定は、E型回転粘度計(VISCOMETER TV-25(TOKI SANGYO社製))をもちいて23℃で行った。また、各実施例および比較例により得られた硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を密封容器に入れ、室温(23℃)で7日保管後および室温(40℃)で3日保管後の粘度を同様に測定した。粘度変化率({|保管後粘度-保管前粘度|/保管前粘度}×100)から、各保管条件について、以下の基準により保存安定性を評価した。
A:粘度変化率5%未満
B:粘度変化率5%以上10%未満
C:粘度変化率10%以上。
【0156】
<パターン加工性>
各実施例および比較例により得られた硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を、スピンコーター(商品名1H-360S、ミカサ(株)製)を用いて、素ガラス基板上にスピンコートし、ホットプレート(商品名SCW-636、大日本スクリーン製造(株)製)を用いて、100℃で2分間プリベークし、膜厚10μmの膜を作製した。
【0157】
作製した膜を、パラレルライトマスクアライナー(商品名PLA-501F、キヤノン(株)製)を用いて、超高圧水銀灯を光源とし、100μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μmの各幅のライン&スペースパターンを有するグレースケールマスクを介して、100μmのギャップで露光量100mJ/cm2の条件で露光した。その後、自動現像装置(ミカサ(株)製「AD-1200(商品名)」)を用いて、2.38質量%TMAHで60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。
【0158】
露光、現像後の最小パターン寸法を解像度とした。また、現像後のパターンを倍率50~100倍に調整した顕微鏡により観察し、未露光部の溶け残り程度により、以下の基準により現像残渣を評価した。
A : 50μm以下の微細パターンも残渣が認められない。
B : 50μm超のパターンには残渣が認められないが、50μm以下のパターンには残渣が認められる。
C : 50μm超のパターンに残渣が認められる。
【0159】
<耐溶剤性>
各実施例および比較例により得られた硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を、スピンコーター(商品名1H-360S、ミカサ(株)製)を用いて、素ガラス基板上にスピンコートし、ホットプレート(商品名SCW-636、大日本スクリーン製造(株)製)を用いて、100℃で2分間プリベークし、膜厚11μmの膜を作製した。
【0160】
作製した膜を、パラレルライトマスクアライナー(商品名PLA-501F、キヤノン(株)製)を用いて、超高圧水銀灯を光源として露光量100mJ/cm2の条件で露光した。その後、自動現像装置(ミカサ(株)製「AD-1200(商品名)」)を用いて、2.38質量%TMAHで60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。現像後の膜をオーブン(商品名IHPS-222、エスペック(株)製)を用いて、空気中180℃で1時間キュアし、膜厚10μmの硬化膜を作製した。
【0161】
耐溶剤性試験用の溶剤として、レジスト剥離液であるTOK106(東京応化工業(株)製)を選び、これに70℃で5分間、硬化膜を浸漬することで耐溶剤性試験を行った。耐溶剤性試験前後の膜厚を測定し、膜厚変化率({|耐溶剤性試験後の膜厚-耐溶剤性試験前の膜厚|/耐溶剤性試験前の膜厚}×100)から、以下の基準により耐溶剤性を評価した。
A:膜厚変化率1%未満
B:膜厚変化率1%以上5%未満
C:膜厚変化率5%以上。
【0162】
<透過性>
各実施例および比較例により得られた硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を用いて、<基板密着性>の評価と同様に硬化膜を作製した。得られた硬化膜を有するガラス基板について、分光光度計(U-4100(日立ハイテクサイエンス社製))を用いて、使用したガラス基板をリファレンスとして、紫外光および可視光(300nm~800nm)の透過率を測定した。波長400nmの透過率の値から、以下の基準により硬化膜の透過性を評価した。
A:透過率90%以上
B:透過率90%未満。
【0163】
<屈折率>
各実施例および比較例により得られた硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を用いて、それぞれシリコンウェハ上に、<基板密着性>の評価と同様に、厚み2μmの硬化膜を作製した。得られた硬化膜を有するシリコンウェハについて、プリズムカプラー(PC-2000(Metricon(株)製))を用いて、大気圧下、20℃の条件で、硬化膜面に対し垂直方向から波長550nmの光を照射して、屈折率を測定し、小数点以下第三位を四捨五入した。なお、実施例41および実施例42については、硬化膜が白色であり、照射した光を反射して測定ができなかったため、表中には「-」と記載した。
【0164】
<b*値>
各実施例および比較例により得られた硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を用いて、<基板密着性>の評価と同様に硬化膜を作製した。得られた硬化膜を有するガラス基板について、分光測色計(商品名CM-2600d、コニカミノルタ(株)製)を用いて、硬化膜側からSCIモードで色度(b*値)を測定した。なお、b*値が大きいほど硬化膜の黄色みが大きいことを表す。
【0165】
<SEM-EDX測定>
各実施例および比較例により得られた硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物を用いて、キュア温度を150℃にした以外は、<基板密着性>の評価と同様に硬化膜を作製した。得られた硬化膜について、走査型分析電子顕微鏡による観察を行い、15kVの加速電圧で、EDX分析を行った。ZAF補正計算によって半定量計算を行い、NのSiに対する原子数比としてN(モル%)/Si(モル%)、SのSiに対する原子数比としてS(モル%)/Si(モル%)、PのSiに対する原子数比としてP(モル%)/Si(モル%)およびFのSiに対する原子数比としてF(モル%)/Si(モル%)を算出した。
【0166】
<不純物分析>
各実施例および比較例により得られた硬化膜形成用シロキサン樹脂組成物について、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)によって、樹脂組成物中のベンゼン、トルエン、キシレン、アニリン、スチレンおよびナフタレンの含有量を分析し定量した。なお、前処理方法については、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびスチレンの分析においては、米国環境保護庁(EPA)指定のEPA5021Aメソッドに準拠した方法を行った。また、アニリンの分析においては、欧州・一般試験法EN14362-1に準拠した方法を行った。さらに、ナフタレンの分析においては、ドイツ連邦リスク評価研究所のAfPS GS 2019:01PAKに準拠した方法を行った。検出値を表中にまとめた。検出限界(1ppm)以下であった場合には「<1」と記載した。
【0167】
各実施例および比較例評価結果を表8~表9に示す。
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】