(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027224
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
A47B 9/14 20060101AFI20240222BHJP
F16B 12/40 20060101ALI20240222BHJP
F16B 7/14 20060101ALI20240222BHJP
A47B 91/02 20060101ALN20240222BHJP
【FI】
A47B9/14
F16B12/40 A
F16B12/40 B
F16B7/14 A
F16B7/14 C
A47B91/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129837
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】渡部 英一
【テーマコード(参考)】
3B053
3B069
3J024
3J039
【Fターム(参考)】
3B053NG01
3B053NG02
3B069AA01
3B069AA03
3B069AA09
3B069EA08
3B069HA00
3J024AA33
3J024BB04
3J024CA03
3J024CA30
3J039AA03
3J039AB01
3J039BB01
3J039CA07
3J039GA02
3J039GA06
3J039JA08
(57)【要約】
【課題】使用姿勢において什器本体の高さ位置が意図せず変更されることがある問題を解消しつつ、脚体の姿勢を変更させるための操作を簡単なものにできるようにする。
【解決手段】使用姿勢と、この使用姿勢から上下を反転させた反転姿勢(R)とをとることが可能な什器である机Dにおいて、什器本体たる天板と、天板を支持しその高さ位置を変更させるべく姿勢を変更可能な脚体2と、常時は脚体2の姿勢を位置決めしておき操作部が位置決め解除操作を受けた場合に限り脚体の姿勢変更を許容する姿勢変更制限機構4Xと、姿勢変更制限機構4Xの状態に関わらず脚体2の姿勢変更を禁止するためのロック部材461を備えた誤操作防止機構46とを具備してなり、ロック部材461を反転姿勢(R)から使用姿勢へ変化させる動作を利用して作動させ、その逆へ変化させる動作を利用して作動解除させるようにする。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用姿勢と、この使用姿勢から上下を反転させた反転姿勢とをとることが可能な什器であって、
什器本体と、
この什器本体を支持し什器本体の高さ位置を変更させるべく姿勢を変更可能な脚体と、
常時は前記脚体の姿勢を位置決めしておき操作部が位置決め解除操作を受けた場合に限り前記脚体の姿勢変更を許容する姿勢変更制限機構と、
前記姿勢変更制限機構の状態に関わらず前記脚体の姿勢変更を禁止するためのロック部材を備えた誤操作防止機構と
を具備してなり、
前記ロック部材を前記反転姿勢から前記使用姿勢へ変化させる動作を利用して作動させ、その逆へ変化させる動作を利用して作動解除させるようにしている什器。
【請求項2】
前記ロック部材が自重により作動及び作動解除するようになっている請求項1記載の什器。
【請求項3】
前記ロック部材が、前記反転姿勢で脚体から突出して作動解除状態となるとともに前記使用姿勢で脚体内に没入し作動状態となる請求項1記載の什器。
【請求項4】
前記脚体を構成する脚柱が、外筒と、この外筒に相対移動可能に嵌入される内筒と、この内筒内に配され前記外筒と当該内筒とのうち一方に設けられた挿通孔及び他方に設けられた固定孔に係合することにより位置決めを節度的に行うための突起を有し前記姿勢変更制限機構を構成する位置決め部材とを具備してなるものであって、
前記ロック部材が、前記使用姿勢において前記位置決め部材の突没動作を禁止するロック位置をとり、前記反転姿勢において前記位置決め部材の突没動作を許可するアンロック位置をとる請求項1記載の什器。
【請求項5】
前記位置決め部材の動きを制限又は解放して前記位置決め状態を保持又は解除する固定部材をさらに備え、この固定部材に設けられた操作部を押圧することによって前記挿通孔及び固定孔と前記突起との間の係合状態を一時的に解除できるようにしている請求項4記載の什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校等において好適に使用される机、椅子等の什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学校等において使用される机、椅子等の什器において、什器本体と、この什器本体を支持し什器本体の高さ位置を変更させるべく姿勢を変更可能な脚体とを備える構成が種々考えられてきている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ここで、脚体の姿勢を変更させるための操作は、簡単であることが望まれている。しかし、使用姿勢において脚体の姿勢を変更させるための操作を行うための操作部に触れると脚体の姿勢すなわち什器本体の高さ位置が意図せず変更されることがあるという問題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上に着目してなされたもので、使用姿勢において什器本体の高さ位置が意図せず変更されることがある問題を解消しつつ、脚体の姿勢を変更させるための操作を簡単なものにできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る什器は、使用姿勢と、この使用姿勢から上下を反転させた反転姿勢とをとることが可能な什器であって、什器本体と、この什器本体を支持し什器本体の高さ位置を変更させるべく姿勢を変更可能な脚体と、常時は前記脚体の姿勢を位置決めしておき操作部が位置決め解除操作を受けた場合に限り前記脚体の姿勢変更を許容する姿勢変更制限機構と、前記姿勢変更制限機構の状態に関わらず前記脚体の姿勢変更を禁止するためのロック部材を備えた誤操作防止機構とを具備してなり、前記ロック部材を前記反転姿勢から前記使用姿勢へ変化させる動作を利用して作動させ、その逆へ変化させる動作を利用して作動解除させるようにしているものである。
【0007】
請求項2記載の発明に係る什器は、前記ロック部材が自重により作動及び作動解除するようになっている請求項1記載のものである。
【0008】
請求項3記載の発明に係る什器は、前記ロック部材が、前記反転姿勢で脚体から突出して作動解除状態となるとともに前記使用姿勢で脚体内に没入し作動状態となる請求項1記載のものである。
【0009】
請求項4記載の発明に係る什器は、前記脚体を構成する脚柱が、外筒と、この外筒に相対移動可能に嵌入される内筒と、この内筒内に配され前記外筒と当該内筒とのうち一方に設けられた挿通孔及び他方に設けられた固定孔に係合することにより位置決めを節度的に行うための突起を有し前記姿勢変更制限機構を構成する位置決め部材とを具備してなるものであって、前記ロック部材が、前記使用姿勢において前記位置決め部材の突没動作を禁止するロック位置をとり、前記反転姿勢において前記位置決め部材の突没動作を許可するアンロック位置をとる請求項1記載のものである。
【0010】
請求項5記載の発明に係る什器は、前記位置決め部材の動きを制限又は解放して前記位置決め状態を保持又は解除する固定部材をさらに備え、この固定部材に設けられた操作部を押圧することによって前記挿通孔及び固定孔と前記突起との間の係合状態を一時的に解除できるようにしている請求項4記載のものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用姿勢において什器本体の高さ位置が意図せず変更されることがある問題を解消しつつ、脚体の姿勢を変更させるための操作の簡単化を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る什器である机を示す正面図。
【
図7】同実施形態に係る脚柱及び固定部材を示す分解斜視図。
【
図8】同実施形態に係る脚柱及び固定部材の作動説明図。
【
図9】同実施形態に係る脚柱及び固定部材の作動説明図。
【
図16】本発明の他の実施形態に係る什器の脚体の要部を示す平断面図。
【
図17】同実施形態に係る什器の脚体の要部を示す正断面図。
【
図18】同実施形態に係る什器の脚柱及び固定部材を示す分解斜視図。
【
図19】本発明の他の実施形態に係る什器の脚体の要部を示す平断面図。
【
図20】同実施形態に係る什器の脚体の要部を示す正断面図。
【
図21】同実施形態に係る什器の脚柱及び固定部材を示す分解斜視図。
【
図22】同実施形態に係る什器の脚体の要部を示す正断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について、
図1~
図15を参照しつつ説明する。
【0014】
本実施形態に係る固定部材44を含む什器である机Dは、
図1~
図4に示すように、什器本体たる天板1と、天板1を支持する脚体2とを備えており、左右対称な形状を有している。
【0015】
脚体2は、
図1~
図4に示すように、脚ベース3と、脚ベース3から起立する左右1対の脚柱4と、これら脚柱4の上方に設けられ天板1を下方から支持する天板受け5とを有する。
【0016】
脚ベース3は、金属製パイプ等の部材によりにより作られたものであり、
図1~
図4に示すように、左右に延びる後フレーム31と、後フレーム31の両端から前方に向かって伸びる側フレーム32とを一体に備えている。
【0017】
脚柱4は、
図1、
図3及び
図4に示すように、脚ベース3の側フレーム32の中間部から起立しており、上端が天板受け5に接続されている。また、この脚柱4は、
図4~
図7に示すように、外筒41と、この外筒41に相対移動可能に嵌入される内筒42と、この内筒42内に配され外筒41と当該内筒42との位置決めを節度的に行う位置決め部材43と、この位置決め部材43の動きを制限又は解放して位置決め状態を保持又は解除する本発明の固定部材44と、外筒41と内筒42との間に配されるスペーサ47とを具備してなる。
【0018】
さらに詳述すると、外筒41は、
図1に示すように、下端が脚ベース3の側フレーム32に固定されており、断面視長円形状をなす金属製パイプ部材を利用して形成されている。この外筒41は、
図4~
図7に示すように、前壁411と、内側壁412と、外側壁413と、背壁414とを有しており、前壁411及び背壁414は半円筒状をなしている。また、この外筒41の内側壁412には、奥行き方向に伸びる細長い矩形状の固定孔41aを上下方向に離間させて2つ設けており、これら固定孔41aの中間に固定部材44を挿通させるための円形状の固定部材挿通孔41bを設けている。そして、前述したように、この外筒41に内筒42が相対移動可能に嵌入されるようになっている。
【0019】
内筒42は、断面視長円形状をなす金属製パイプ部材を利用して形成されており、
図5~
図7に示すように、前壁421と、内側壁422と、外側壁423と、背壁424とを有しており、前壁421及び背壁424は半円筒状をなしている。また、この内筒42の内側壁422には、
図6及び
図7に示すように、長手方向に定間隔で複数、本実施形態では下から順に第1~第9の挿通孔42a~42iが設けられているとともに、これら挿通孔42a~42iを連通しつつ長手方向に延伸するスリット42sが設けられており、このスリット42s内を固定部材44が挿通するようになっている。ここで、第2~第8の挿通孔42b~42hは、いずれも、位置決め部材43の後述する突出部436に係合可能な矩形状の位置決め部42b1~42h1と、固定部材44を挿通させるための円形状の固定部42b2~42h2とを連通させて設けている。
図4~
図11に示すように、この内筒42の内側には位置決め部材43が配されており、挿通孔42b~42hのいずれかが外筒41の固定孔41aに合致した位置をとった状態で、位置決め部材43により外筒41との相対位置が節度的に決定されるようになっている。すなわち本実施形態では、第1及び第3の挿通孔42a、42cと外筒41の固定孔41aとが合致した状態から第7及び第9の挿通孔42g、42iと外筒41の固定孔41aとが合致した状態まで7段階の状態をとることができ、天板1の高さ位置を7段階に調整できる。
【0020】
位置決め部材43は、
図5~
図11に示すように、弾性部材である圧縮コイルばね433によって付勢されて挿通孔42a~42iと固定孔41aに係合する突出部436を有したものである。より具体的には、この位置決め部材43は、
図4~
図11に示すように、突出部436を有する平面視コ字状のラッチプレート431と、このラッチプレート431に向かう側に開口した平面視コ字状のバックプレート432と、これらラッチプレート431とバックプレート432との間に配される圧縮コイルばね433とを備えている。ラッチプレート431は、内筒42の内側壁422に添接可能な面板部434と、この面板部434の前後両端から側方に伸びる側板部435とを備えている。その上で、面板部434の上下両端部に、外筒41及び内筒42に向かう方向に突出する矩形状の突出部436を例えば板金加工により形成しており、この突出部436を外筒の固定孔41a、及び内筒42の挿通孔42a~42iの位置決め部42a1~42i1に係合させるようになっている。面板部434の突出部436を設けた面と反対側の面には、圧縮コイルばね43の自由端を保持するためのリテーナ439が設けられている。側板部435は、高さ方向中央部にのみ設けられている。バックプレート432は、内筒42の外側壁423に添接する面板部437と、この面板部437の前後両端から側方に伸びる側板部438とを備えている。面板部437のラッチプレート431に向かう側の面には、圧縮コイルばね43の固定端を保持するためのリテーナ430が設けられている。側板部438の前後両端からは案内板438aを互いに離間するように延出しており、この案内板438aの高さ方向中央部にはラッチプレート431の側板部435に左右方向に移動可能に係合しラッチプレート431との相対移動の方向を案内するための案内凹部43aが設けられている。また、この位置決め部材43は、係合状態を強制的に一時解除できる一時解除機能を備えている。具体的には、ラッチプレート431が固定部材44からバックプレート432に向かう方向に作用する操作力の伝達を受け、圧縮コイルばね43の付勢力に抗してバックプレート432に向かって移動することにより突出部436が挿通孔42a~42i及び固定孔41aから抜脱し、外筒41と内筒42との間の相対移動可能が許可されるようになっている。この位置決め部材43のラッチプレート431における両突出部436間に形成した雌ネジ442を利用して、固定部材44が形成されている。
【0021】
しかして本実施形態の固定部材44は、
図4~
図11に示すように、雌ネジ442と雄ネジ部材441の頭部との間で緊締力を利用して部材すなわち外筒41及び内筒42を固定するものであって、ラッチプレート431に設けられた雌ネジ442と、この雌ネジ442に螺合し外筒41の固定部材挿通孔41bを通過する雄ネジ部材441とを備えている。この固定部材44の雌ネジ442は、円錐台状の突起440の中心部に設けられている。固定部材44の雌ネジ442を設ける突起の形状は、外筒41の固定部材挿通孔41bに係合可能であれば任意に設定してよい。また、雄ネジ部材441の頭部は、当該雄ネジ部材441を雌ネジ442に螺着しまたは螺着状態を解除するための操作力を受け付けるつまみ443としている。また、この固定部材44、より具体的にはこの固定部材44のつまみ443は、突出部436と挿通孔42a~42i及び固定孔41aとの係合状態を強制的に一時解除するための押圧操作力を受け付ける。
【0022】
ここで、本実施形態では、位置決め部材43と固定部材44とが協働して、常時は脚体2の姿勢を位置決めしておき操作部たる固定部材44のつまみ443が位置決め解除操作を受けた場合に限り脚体2の姿勢変更を許容する姿勢変更制限機構4Xとして機能する。
【0023】
さらに本実施形態では、姿勢変更制限機構4Xすなわち位置決め部材43及び固定部材44の状態に関わらず脚体2の姿勢変更を禁止するためのロック部材461を備えた誤操作防止機構46をさらに具備している。この誤操作防止機構46は、ロック部材461を反転姿勢(R)から使用姿勢(N)へ変化させる動作を利用して作動させ、その逆へ変化させる動作を利用して作動解除させるようにしている。
【0024】
具体的には、ロック部材461は、位置決め部材43のバックプレート432に設けた軸受け43xに軸支される回動軸462と、この回動軸462から一方向に伸びる板状のロック部材本体463とを備えている。ロック部材本体463は、その両側縁から当該ロック部材本体463の厚み方向に伸びる側板464を備えている。このロック部材461は、机Dが使用姿勢(N)にあるときには、ロック部材本体463が回動軸461からラッチプレート431に向かって伸び略水平となるロック位置(L)をとり、ロック部材本体463の回動端はラッチプレート431近傍に達する。このとき、側板464はバックプレート432に対向し、ロック部材本体463の回動を規制している。この状態で固定部材44のつまみ443が押圧操作力を受け付けても、ラッチプレート431とロック部材461とが干渉し、ラッチプレート431のバックプレート432に向かう方向の移動が禁止されるので、突出部436と挿通孔42a~42i及び固定孔41aとの係合状態が解除されることはない。一方、机Dが反転姿勢(R)にあるときには、ロック部材本体463が回動軸461から略鉛直に垂下するアンロック位置(U)をとる。この状態で固定部材44のつまみ443が押圧操作力を受け付けた際には、ラッチプレート431とロック部材461とが干渉せず、ラッチプレート431のバックプレート432に向かう方向の移動が許可されるので、突出部436と挿通孔42a~42i及び固定孔41aとの係合状態が解除されるようになっている。その上で、机Dを使用姿勢(N)と反転姿勢(R)との間で移動させると、ロック部材461のロック部材本体463がその自重により回動軸462周りに回動してロック位置(L)とアンロック位置(U)との間で移動するようになっている。
【0025】
また、本実施形態では、
図5~
図15に示すように、雄ネジ部材441を雌ネジ442に完全に締着していない状態でその一部又は全部が外部から視認可能である締め忘れ防止具45を具備している。本実施形態では、この締め忘れ防止具45は、外筒41の固定部材挿通孔41bの近傍、すなわち雌ネジ442の近傍に設けられている。さらに詳述すると、前記固定部材挿通孔41bは、内側壁412から突出するボス415の中心部に設けられており、このボス415に締め忘れ防止具45としての機能を備えさせている。その上で、固定部材44のつまみ443は、雄ネジ部材441が雌ネジ442に螺着された状態で閉め忘れ防止具45が入り込む隙間44sを備えている。ボス415の外周面415aは固定部材44のつまみ443と異なる色に着色されている。
図7~
図9では、ボス415の外周面415aが着色されていることをわかりやすくすべく、当該箇所にパターンを付している。
【0026】
そして、この脚柱4の上端に天板受け5が接続されている。
【0027】
天板受け5は、天板1の下面に取り付けられ、当該天板1を下方から支持する。より具体的には、この天板受け5は、金属製パイプ部材により作られたものであり、天板1の反使用端近傍を下方から支持し左右に伸びる後天板受け部51と、この後天板受け部51の左右両端からそれぞれ前方に伸び天板1の両側端部をそれぞれ下方から支持する側天板受け部52とを一体に有する。そして、側天板受け部52の中間部が脚柱4の上端に接続されている。
【0028】
次いで、この机Dの天板1の高さ位置を変更すべく脚柱4を伸縮させる際の各部の作動について述べる。
【0029】
図6に示す状態では、第1及び第3の挿通孔42a、42cが外筒41の固定孔41aに合致し、突出部436がこれら挿通孔42a、42c及び固定孔41aに係合しているとともに、固定部材44の雄ネジ部材441が雌ネジ442に締着されているので、外筒41と内筒42との相対移動が禁止されている。机Dを反転姿勢(R)とすると、
図10に示すように、ロック部材461がその自重によりロック位置(L)からアンロック位置(U)に移動し、誤操作防止機構46の作動が解除される。その状態から固定部材44のつまみ443を回動させ、
図11に示すように締着状態を解除するとともにつまみ443を外筒41から離間させる。次いで、
図12に示すように圧縮コイルばね433の付勢力に抗してつまみ443を外筒41に向けて押圧する。このとき、位置決め部材43の突出部436を設けたラッチプレート431がバックプレート432に向けて押し込まれ、突出部436が挿通孔42a、42c及び固定孔41aから抜脱する。その際、ラッチプレート431はロック部材461と干渉しない。それから、内筒42を外筒41に対して相対移動させることにより天板1を所望の高さ位置となるように昇降させる。天板1を移動させる途中の状態を
図13に示す。そして、天板1が次の高さ位置に達した際、
図14に示すようにすなわち第2及び第4の挿通孔42a、42cが外筒41の固定孔41aに合致した際に圧縮コイルばね433の付勢力により突出部436が挿通孔42b、42d及び固定孔41aを通過してこれらに係合し、外筒41と内筒42とが互いに位置決めされる。これを繰り返すことにより、天板1の高さ位置を所望の高さ位置に設定できる。そして、天板1の高さ位置が所望の高さ位置となった際に固定部材44の雄ネジ441を雌ネジ442に締着してつまみ443が外筒41に密着した状態とし、内筒42と外筒41との相対移動を再び禁止する。その後、机Dを使用姿勢(N)に戻し、
図6に示すようにロック部材461をロック位置(L)として誤操作防止機構46を再び作動させる。
【0030】
一方、机Dを使用姿勢(N)としたまま固定部材44のつまみ443を回動させて
図15に示すように外筒41から離間させ、そのつまみ443を外筒41に向けて押圧しても、ロック部材461によりラッチプレート431のバックプレート432に向かう方向の移動が規制されるので、突出部436が挿通孔42a、42c及び固定孔41aから抜脱しえず、従って脚柱4を伸縮することはできない。
【0031】
本実施形態において、固定部材44の雄ネジ部材441を雌ネジ442に締着する場合には、
図8に示すような状態から、雄ネジ部材441を雌ネジ442に一部螺合させて
図9に示すような状態とし、さらに雄ネジ部材441を締め付けて
図3のような状態とするようにしている。ここで、雄ネジ部材441を雌ネジ442に完全に締着していない状態では、締め忘れ防止具45の外周面すなわちボス415の外周面415aの一部または全部が外部から視認可能である。このことと、ボス415の外周面415aがつまみ443と異なる色に着色されていることにより、雄ネジ部材441が雌ネジ442に完全に締め付けられていない場合に、このことを使用者に容易に認識させることができるようになっている。
【0032】
また、外筒41と内筒42との相対位置を変更する場合には、
図10に示す状態から
図11に示す状態となるように雄ネジ部材441を緩め、上述したような操作を行った後、雄ネジ部材441を再び締め付け、
図3に示す状態とするようにしている。この場合も、雄ネジ部材441を雌ネジ442に完全に締着していない状態では、ボス415の外周面415aの一部または全部が外部から視認可能であるので、このことを使用者に容易に認識させることができるようになっている。
【0033】
ここで、
図1は本実施形態に係る机Dを示す正面図である。
図2は
図1におけるA-A線に沿った断面図である。
図3は
図1におけるB部近傍すなわち固定部材44近傍を拡大して示す図である。
図4は
図2におけるC部近傍すなわち固定部材44近傍を拡大して示す図である。
図5は
図3におけるX-X線に沿った断面図である。
図6は
図4におけるY-Y線に沿った断面図である。
図7は、机Dの脚柱4の分解斜視図である。
図8は、固定部材44の雄ネジ部材441(及びつまみ443)を完全に取り外した状態を示す図であり、
図9は、固定部材44の雄ネジ部材441(及びつまみ443)を一部だけ雌ネジ442に螺着した状態を示す図である。
図10~
図15は本実施形態に係る位置決め部材43、固定部材44及び誤操作防止機構46の作動を示す説明図である。特に、
図10は
図6に示す状態から机Dを水平軸周りに180度回転させて反転姿勢(R)とした状態、
図11は固定部材44のつまみ443を緩めた状態、
図12は固定部材44及びラッチプレート431を押圧した状態、
図13は
図12に示す状態から内筒42を外筒41に対して相対移動させた状態の図、
図14は
図13に示す状態から内筒42を外筒41に対してさらに相対移動させ突出部436と挿通孔42b、42d及び固定孔41aとを係合させた状態の図である。
図15は机Dを使用姿勢(N)としたまま固定部材44のつまみ443を緩めた状態である。また、
図6及び
図10~
図15において、内筒42のスリット42sのうち、挿通孔42a~42iと重ならない部位にパターンを付している。
【0034】
以上に述べたように、本実施形態の構成によれば、姿勢変更制限機構4Xすなわち位置決め部材43及び固定部材44の状態に関わらず脚体2の姿勢変更を禁止するためのロック部材461を備えた誤操作防止機構46を具備し、ロック部材461を反転姿勢(R)から使用姿勢(N)へ変化させる動作を利用して作動させ、その逆へ変化させる動作を利用して作動解除させるようにしている。従って、利用者による特別な操作を伴わず、机Dが使用姿勢(N)にあるときには脚体2の姿勢変更を禁止して天板1の高さ位置の意図しない変更を防止しつつ、机Dを反転姿勢(R)とすることにより、利用者によるそれ以上の操作を伴わず、固定部材44のつまみ443を緩めて押圧操作することによって脚体2の姿勢を変更可能な状態とする、すなわち天板1の高さ位置を変更可能な状態とすることを許可できる。
【0035】
また、ロック部材461が自重により作動及び作動解除するようになっているので、バネ等の付勢手段を利用するものと比べて、構造を簡単なものとし、部品点数の削減を図ることもできる。
【0036】
さらに、ロック部材461が、使用姿勢(N)において位置決め部材43の突没動作を禁止するロック位置(L)をとり、反転姿勢(R)において位置決め部材43の突没動作を許可するアンロック位置(U)をとるものであるので、脚柱4の外筒41と内筒42との間の相対移動を直接規制するものと比較して、部品の小型化や構造の簡単化を図ることができる。
【0037】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0038】
例えば、上述した実施形態では本発明を机に適用しているが、椅子や、その他机以外の什器の全般に本発明を適用してもよい。
【0039】
さらに、上述した実施形態では脚柱ごとにロック部材を1つずつ配して誤操作防止機構を構成しているが、
図16~
図18を参照しつつ以下に述べるように、脚柱ごとにロック部材を2つずつ配して誤操作防止機構を構成する態様も考えられる。なお、以下の説明において、前述した実施形態に対応する部位には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
図16~
図18に示すものは、前述した実施形態に係る机Dの脚柱4に代えて用いられ得る脚柱A4であって、前述した実施形態のものとは次の点で異なっている。
【0041】
この脚柱A4は、前述した脚柱と同様に、外筒41と、この外筒41に相対移動可能に嵌入される内筒42と、この内筒42内に配され外筒41と当該内筒42との位置決めを節度的に行う位置決め部材43と、この位置決め部材43の動きを制限又は解放して位置決め状態を保持又は解除する固定部材44とを具備してなるが、外筒41及び内筒42は断面視略矩形状をなす金属製パイプ部材を利用して形成されている。
【0042】
また、位置決め部材43のラッチプレート431における側板部435の高さ方向中央部には、バックプレート432との相対移動の方向を案内するための案内凸部43aが設けられているとともに、バックプレート432における側板部438の高さ方向中央部には、ラッチプレート431の案内凸部43aに左右方向に移動可能に係合しラッチプレート431との相対移動の方向を案内するための案内凹部43bが設けられている。
【0043】
加えてこの態様の脚柱A4は、以下に示すようなロック部材461を2つ備えた誤操作防止機構46をさらに具備している。このロック部材461は、位置決め部材43のバックプレート432に設けた軸受け43xに軸支される回動軸462と、机Dが使用姿勢(N)をとる際に脚柱A4内において先端部がラッチプレート431に達するロック位置(L)をとる板状のロック部材本体463と、これら回動軸462とロック部材本体463とを接続する接続部465を備えている。その上で、この態様では、位置決め部材43のバックプレート432の2箇所に軸受け43xを高さ方向に離間させて設けている。
【0044】
この態様のロック部材461も、机Dを使用姿勢(N)から反転姿勢(R)に反転させると、図示は省略するが、自重により回動軸462周りに回動してアンロック位置(U)に移動するとともに、机Dを反転姿勢(R)から使用姿勢(N)に反転させると、自重により回動軸462周りに回動してロック位置(L)に移動する。
【0045】
【0046】
この態様においても、ロック部材461を反転姿勢(R)から使用姿勢(N)へ変化させる動作を利用して作動させ、その逆へ変化させる動作を利用して作動解除させるようにしているので、前述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
さらに、
図19~
図21に示すような脚柱B4に、上述したような脚柱ごとにロック部材を2つずつ配して誤操作防止機構を構成する態様を採用してもよい。なお、以下の説明において、前述した実施形態に対応する部位には同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
図19~
図21に示す脚柱B4は、前述した実施形態のものと次の点で異なっている。
【0049】
この脚柱B4も、前述した脚柱と同様に、外筒41と、この外筒41に相対移動可能に嵌入される内筒42と、この内筒42内に配され外筒41と当該内筒42との位置決めを節度的に行う位置決め部材43と、この位置決め部材43の動きを制限又は解放して位置決め状態を保持又は解除する固定部材44とを具備してなるが、外筒41及び内筒42は断面視略矩形状をなす金属製パイプ部材を利用して形成されている。
【0050】
また、位置決め部材43のラッチプレート431における側板部435は、位置決め部材43の高さ方向中央部にのみ設けられており、この側板部435と係合してバックプレート432との相対移動の方向を案内させるべく、バックプレート432における側板部438の高さ方向中央部に、案内凹部43bが設けられている。さらに詳述すると、側板部438の上下両端側に、前後方向に突出する対をなすガイド板438aを設けており、これらガイド版438a間に案内凹部43bを形成している。また、前後の側板部438の高さ方向中央部には、これら前後の側板438が相寄るようにして凹部438aを設けている。
【0051】
加えてこの態様の脚柱B4は、以下に示すようなロック部材461を2つ備えた誤操作防止機構46をさらに具備している。このロック部材461は、前述した脚柱4内に設けたものと同様の構成を有する。すなわちこのロック部材461は、位置決め部材43のバックプレート432に設けた軸受け43xに軸支される回動軸462と、この回動軸462から一方向に伸びる板状のロック部材本体463とを備えている。ロック部材本体463は、その両側縁から当該ロック部材本体463の厚み方向に伸びる側板464を備えている。その上で、この態様では、位置決め部材43のバックプレート432の2箇所に軸受け43xを高さ方向に離間させて設けている。
【0052】
この態様のロック部材461も、机Dを使用姿勢(N)から反転姿勢(R)に反転させると、図示は省略するが、自重により回動軸462周りに回動してアンロック位置(U)に移動するとともに、机Dを反転姿勢(R)から使用姿勢(N)に反転させると、自重により回動軸462周りに回動してロック位置(L)に移動する。
【0053】
【0054】
この態様においても、ロック部材461を反転姿勢(R)から使用姿勢(N)へ変化させる動作を利用して作動させ、その逆へ変化させる動作を利用して作動解除させるようにしているので、前述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、自重により作動及び作動解除するロック部材は、脚体ごと(誤動作防止機構ごと)に任意の個数設けてもよい。すなわち、脚体にこのようなロック部材を1個だけ設けてもよく、ロック部材を2個あるいは3個以上設けてもよい。さらに、脚体ごとに同じ個数ずつロック部材を設ける必要もない。
【0056】
また、上述した実施形態では、ロック部材が自重により作動及び作動解除するようになっているが、例えば、ロック部材が、反転姿勢で脚体から突出して作動解除状態となるとともに使用姿勢で脚体内に没入し作動状態となる構成のものであってもよい。このようなものの具体的な構成の一例として、
図22に示すように、接地検知要素C463と、規制要素C462と、これら接地検知要素C463及び規制要素C462を接続する接続要素C464とを備えるロック部材C461を利用した誤操作防止機構C46が挙げられる。接地検知要素C463は、反転姿勢(R)で脚体4から突出し使用姿勢(N)で脚体4内に没入する板状の部材である。規制要素C462は、接続要素C464を介して接地検知要素C463に接続され、使用姿勢(N)において位置決め部材43のラッチプレート431とバックプレート432との間に介在し脚体4の姿勢を変更するための操作部44の作動を規制する。ここで、接地検知要素C463は、付勢手段C465により脚体4から突出する方向に付勢されている。付勢手段C465は、脚体4の外筒41内に設けられたリテーナC419に固定端が接続されるとともに自由端が接地検知要素C463に接続され、その接地検知要素C463を脚体4から突出する方向に付勢するコイルばねである。そして、使用姿勢(N)では、付勢手段C465による付勢手段に抗して規制要素C462がリテーナC419側に押し込まれ設置床面Fに密接するようになっている。なお、
図22の(a)は反転姿勢(R)、同図の(b)は使用姿勢(N)における脚体4の要部の正断面図である。
【0057】
そして、上述した実施形態では、脚体の姿勢を節度的に変更することができるようにしているが、脚体の姿勢を無段階で変更可能な什器に本発明を適用してももちろんよく、脚体の姿勢を節度的に変更するものであっても、脚体を構成する各部材を位置決めするための位置決め部材の構成は任意のものを採用してよい。
【0058】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0059】
D…什器(机)
1…什器本体(天板)
2…脚体
4…脚柱
41…外筒
42…内筒
43…位置決め部材
44…固定部材
4X…姿勢変更制限機構
46…誤操作防止機構
461…ロック部材
(N)…使用姿勢
(R)…反転姿勢
(L)…ロック位置
(U)…アンロック位置