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  • 特開-ウエハ生成装置 図1
  • 特開-ウエハ生成装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027232
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ウエハ生成装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240222BHJP
   B28D 5/04 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01L21/304 611Z
B28D5/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129861
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】522327359
【氏名又は名称】株式会社AC-X Tech
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】國柄 智章
(72)【発明者】
【氏名】高 楊
(72)【発明者】
【氏名】竹原 尚吾
【テーマコード(参考)】
3C069
5F057
【Fターム(参考)】
3C069AA03
3C069BA03
3C069BA08
3C069BB01
3C069BB04
3C069BC03
3C069CA04
3C069CB01
3C069EA01
5F057AA04
5F057AA33
5F057BA01
5F057BB09
5F057CA02
5F057DA19
5F057DA22
5F057DA31
5F057FA13
5F057FA15
5F057GA27
5F057GB11
(57)【要約】
【課題】簡単な構成の装置により、ウエハを生成できるようにする。
【解決手段】インゴット保持手段2により保持されたインゴット3の上端面に吸着した吸着手段4に対し、衝撃印加手段衝5a,5bによる衝撃力を剥離面9に平行な方向に数回にわたって連続的に印加することにより、剥離面9の多数の剥離容易領域を拡大させ、検出手段6によりインゴット3の上端面付近が剥離したことを検出してウエハを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インゴットを剥離してウエハを生成するウエハ生成装置において、
平坦化された上端面から所定深さ位置に多数の剥離し易い剥離容易領域を有する剥離面が形成された前記インゴットを保持するインゴット保持手段と、
前記インゴットの上端面付近に対し前記剥離面に平行な方向の衝撃力を数回にわたって連続的に印加することにより、前記剥離面の前記多数の剥離容易領域を拡大させる衝撃印加手段と、
前記衝撃印加手段による衝撃力により前記インゴットの上端面付近が剥離したかどうかを検出する検出手段と
を備えることを特徴とするウエハ生成装置。
【請求項2】
前記衝撃印加手段が少なくとも2個設けられ、これらの前記衝撃印加手段により、前記インゴットの上端面付近に対してそれぞれ異なる方向への衝撃力を順次印加することを特徴とする請求項1に記載のウエハ生成装置。
【請求項3】
少なくとも2個の前記衝撃印加手段は、前記インゴットの上端面付近を挟んで対向するように配置されて、前記インゴットの上端面付近に対してそれぞれ反対方向への衝撃力を順次印加することを特徴とする請求項2に記載のウエハ生成装置。
【請求項4】
前記衝撃印加手段を制御し前記インゴットの上端面付近に対して衝撃力を複数回印加する制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のウエハ生成装置。
【請求項5】
少なくとも2個の前記衝撃印加手段を交互に制御して前記インゴットの上端面付近に対して異なる方向から複数回ずつ衝撃力を印加する制御手段を更に備えることを特徴とする請求項2または3に記載のウエハ生成装置。
【請求項6】
前記インゴットは、SiCから成ることを特徴とする請求項1に記載のウエハ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インゴットを剥離してウエハを生成するウエハ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インゴットの平坦な端面を薄く剥離してウエハを生成する場合、インゴットの端面をワイヤソーにより切断してウエハを生成することが行われるが、ワイヤソーを使用する場合、ワイヤの線径に応じてインゴットの欠けが多数生じてインゴットにダメージが生じるという問題がある。
【0003】
そこで近年、例えば特許文献1に記載のように、インゴットの平坦な端面から所定深さにレーザ光を集光するように照射し、集光点近傍に剥離し易い改質層を形成し、この改質層から伸長するクラックが成す剥離面を含むインゴット端面を水に浸漬させた状態で超音波を印加し、インゴットの剥離層を破砕してウエハを生成し、或いは、インゴット端面に押圧部材を押し付け、或いはインゴット端面を吸着した状態で、インゴットにねじり力を与えて剥離層でインゴット端面を剥離してウエハを生成することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-170607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したように、インゴット端面を水に浸漬させた状態で超音波を印加し、インゴットの剥離層を破砕してウエハを生成する手法の場合、インゴット端面を水に浸漬させる手段に加えて、超音波を印加する手段や周辺に対する防水構造が必要になり、装置が大掛かりで大型化するという問題がある。さらに、インゴット端面にねじり力を与えてウエハを生成する手法の場合も、インゴット本体部分を固定する手段、インゴット端面を加圧する手段或いは吸着する手段に加えて、インゴット本体に対してインゴット端面にねじる力を加える手段が必要になり、やはり装置が大型化する。
【0006】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成の装置により、ウエハを生成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明に係るウエハ生成装置は、インゴットを剥離してウエハを生成するウエハ生成装置において、平坦化された上端面から所定深さ位置に多数の剥離し易い剥離容易領域を有する剥離面が形成された前記インゴットを保持するインゴット保持手段と、前記インゴットの上端面付近に対し前記剥離面に平行な方向の衝撃力を数回にわたって連続的に印加することにより、前記剥離面の前記多数の剥離容易領域を拡大させる衝撃印加手段と、前記衝撃印加手段による衝撃力により前記インゴットの上端面付近が剥離したかどうかを検出する検出手段とを備えることを特徴としている。なお、インゴットは、SiCから成るのが望ましい。
【0008】
このような構成によれば、インゴット保持手段により保持されたインゴットの上端面付近に対し、衝撃印加手段衝による衝撃力を剥離面に平行な方向に数回にわたって連続的に印加することにより、剥離面の多数の剥離容易領域が拡大し、検出手段によりインゴットの上端面付近が剥離したかどうかが検出されるため、例えば岩の亀裂箇所にハンマーによる打撃力を数回にわたり連続的に印加することにより亀裂を拡大して岩を割るのと同様、衝撃印加手段による剥離面に平行な方向の衝撃力を、数回にわたって連続的にインゴットの上端面付近に対し印加することにより、インゴットの剥離面での割れを徐々に拡大できて、インゴットの上端面付近を剥離しウエハを生成することができ、SiCインゴットの剥離に好適である。このとき、衝撃印加手段による衝撃力は1回の衝撃でインゴットの上端面付近を剥離できるほどの大きなものである必要はなく、比較的小さな衝撃力を印加できればよい。
【0009】
また、前記衝撃印加手段が少なくとも2個設けられ、これらの前記衝撃印加手段により、前記インゴットの上端面付近に対してそれぞれ異なる方向への衝撃力を順次印加するものであってもよい。このとき、少なくとも2個の前記衝撃印加手段は、前記インゴットの上端面付近を挟んで対向するように配置されて、前記インゴットの上端面付近に対してそれぞれ反対方向への衝撃力を順次印加するものであるのが好ましい。
【0010】
このように、衝撃印加手段が少なくとも2個設け、より具体的にはインゴットの上端面付近を挟んで対向するように2個の衝撃印加手段を配置し、インゴットの上端面付近に対してそれぞれ異なる方向への衝撃力を順次印加するため、インゴットの剥離面の多数の剥離容易領域を効率よく拡大することができ、インゴットの上端面付近を精度よく剥離してウエハを生成することができる。特に、2個の衝撃印加手段を、インゴットの上端面付近を挟んで対向するように配置する場合には、インゴットの上端面付近に対して反対方向の衝撃力を順次印加すればよく、より効率よく剥離面の多数の剥離容易領域を拡大することができる。
【0011】
また、前記衝撃印加手段を制御し前記インゴットの上端面付近に対して衝撃力を複数回印加する制御手段を更に備えるとよい。さらに、制御手段は、少なくとも2個の前記衝撃印加手段を交互に制御して前記インゴットの上端面付近に対して異なる方向から複数回ずつ衝撃力を印加するものであるとよい。この場合、剥離するウエハの厚み等に応じて印加する衝撃力の回数を制御することにより、インゴットの剥離面の多数の剥離容易領域を効率的に拡大してインゴットの上端面付近を精度よく剥離することが可能になる。
【0012】
ここで、衝撃印加手段は、シリンダと、シリンダ内に設けられたピストンと、空気圧または液圧を前記ピストンに加えてシリンダ内を移動させる加圧部と、ピストンの移動によりシリンダ外部のインゴットの上端部に衝撃力を印加すべく作動する作動部とを備えるのが望ましい。これに限らず、衝撃印加手段は、カムとスプリングを組み合わせ、スプリングを圧縮して重りを持ち上げたのち、スプリングの圧縮を解放して重りを落下させることで衝撃力を印加するものや、振り子の先に重りを付けて衝撃力を印加するものなどであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、衝撃印加手段による剥離面に平行な方向の衝撃力を、インゴットを吸着した吸着手段に対し数回にわたって連続的に印加することにより、簡単な構成により、インゴットの上端面付近を剥離してウエハを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のウエハ生成装置の一実施形態の側面図である。
図2図1の平面図である。
図3図1の異なる状態における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るウエハ生成装置の一実施形態について、図1ないし図3を参照して説明する。
【0016】
(装置構成)
図1図2は本実施形態のウエハ生成装置1を示し、水平状態で設置された円板状のインゴット保持手段2と、このインゴット保持手段2に固定保持されたインゴット3の上端面に吸着した吸着手段4と、吸着手段4を挟んで対向する位置に設けられ吸着手段4に衝撃力を数回にわたって連続的に印加する2個の衝撃印加手段5a,5bと、衝撃印加手段5a,5bによる衝撃力によりインゴット3の上端面付近が剥離したかどうかを検出する検出手段6とを備える。なお、吸着手段4に代えて、接着手段その他のインゴット3の上端面を動かないように固定保持する手段を設けてもよく、衝撃印加手段5a,5bによる衝撃力を、これらインゴット3の上端面を固定保持する手段を介して、或いは、直接にインゴット3の上端面付近に印加するようにしてもよい。
【0017】
インゴット3は、SiC(炭化ケイ素)から成り、インゴット保持手段2の上面に載置されて例えば日化精工株式会社製の固体ワックス等の固定材8により固定状態に保持されている。そして、インゴット3にはその上端面から所定深さ位置に多数の剥離し易い剥離容易領域を有する剥離面9が形成されている。この剥離面9は、周知のレーザ照射技術により形成することができ、具体的にはインゴット3の平坦な上端面から所定深さ位置にレーザ光を集光するように照射されることにより、集光点近傍の結晶構造を改質して成る多数の剥離容易領域が形成されて剥離面9が形成される。
【0018】
吸着手段4は、周知の真空吸着技術によってインゴット保持手段2に保持されたインゴット3の上端面に吸着するものであり、インゴット3の上端面に真空吸着する板状の吸着体4aと、吸着体4aの上面に一体的に設けられた吸着体4aより大きい寸法を有する2層構造の本体部4bとを備える。吸着体4aの内部は空洞で、下面に内部の空洞に連通する複数の吸着孔が形成され、吸着体4a内部の空洞が減圧されることにより当該空洞の内外の圧力差によって吸着体4aがインゴット3の上端面に吸着する。
【0019】
吸着手段4の本体部4bは、図2に示すように、平面視において円形の上下左右の円弧部分をそれぞれ直線状に切り取った外形を有し、本体部4bの直線状の左右の端面に衝撃印加手段5a,5bがそれぞれ取り付けられている。
【0020】
ここで、衝撃印加手段5a,5bはいずれも図示は省略されているが、シリンダと、このシリンダ内に設けられたピストンと、空気圧または液圧をピストンに加えてシリンダ内を移動させる加圧部と、ピストンの移動によりシリンダ外部の吸着手段4に衝撃力を印加すべく作動する作動部とを備える周知の構成であり、ここでは圧縮空気の圧力により内部のピストンを駆動し吸着手段4の本体部4bに剥離面9に平行な方向であるせん断方向に0.6~2.0kg・m/sの衝撃力を印加し、剥離面9の多数の剥離容易領域を拡大させるようになっている。
【0021】
また、衝撃印加手段5a,5bは、数回にわたってせん断方向に連続的に衝撃力を印加するように制御手段(図示せず)により制御されるようになっており、剥離面9の剥離容易領域の個数や大きさ等に応じて予め実験より最適な衝撃力の大きさ、印加回数を求めてメモリ等に記憶しておくことで、実際に剥離すべきインゴット3の剥離面9に合致する最適な衝撃力の大きさ、印加回数がメモリから読み出され、読み出された最適な衝撃力の大きさ及び印加回数に衝撃印加手段5a,5bが制御される。
【0022】
さらに、衝撃印加手段5a,5bは一方のみが駆動されてせん断方向である一方向に衝撃力を印加するほか、剥離対象のインゴット3のサイズなどに応じて、衝撃印加手段5a,5bが交互などの異なるタイミングで駆動されることにより、剥離面9に平行なせん断方向であって互いに反対方向への衝撃力を順次印加することもある。
【0023】
インゴット3の上端面付近が剥離したかどうかを検出する検出手段6は、吸着手段4の本体部4bの上面ほぼ中央部に配置されて固定され吸着手段4と一緒に移動する直方体状の可動部6aと、可動部6aの上方に浮いた状態で配置され図外の固定部材を介しインゴット保持手段2に連結され、可動部6aと同じ外形寸法で厚みが可動部6aよりも厚い直方体状を有する固定部6bと、可動部6aの前側に取り付けられて可動部6aと共に吸着手段4と一緒に移動可能な上向きコ字状を成す取付部6cと、取付部6cの相対向する左右の対向片にそれぞれ取り付けられた2個の接触式センサ6d1,6d2と、固定部6bにボルトにより固定され両センサ6d1,6d2の間に配置された移動可能な感知体6eとを備える。
【0024】
そして、インゴット3の上端面付近が剥離面9で剥離すると、剥離したインゴット3の上端面付近のウエハ10が、吸着手段4と共にインゴット3に対して相対的に移動するため、吸着手段4の移動により、検出手段6の移動不可能な固定部6b及び感知体6eに対して、吸着手段4と共に検出手段6の可動部6a及び取付部6cが相対的に移動し、図3に示すように、取付部6cの移動により一方のセンサ6d1に感知体6eの側面が接触して一方のセンサ6d1が作動することによって、ウエハ10の生成が検知されるようになっている。
【0025】
(ウエハ生成工程)
まず、剥離面9の形成工程として、インゴット3の平坦な上端面から所定深さにレーザ光を集光するように照射することを繰り返し、集光点近傍のインゴット3の結晶構造を改質して成る多数の剥離容易領域を形成し、インゴット3の上端面から所定深さの位置に剥離面9を形成する。
【0026】
続いて、インゴット3の固定工程として、インゴット保持手段2の上面に固定材8を配置し、剥離面9が形成されたインゴット3の下面を、固定材8を介してインゴット保持手段2の上面に固定保持する。なお、固定材8は上記した固体ワックスに限るものではなく、液体ワックスや接着剤、その他インゴット3をインゴット保持手段2に固定できるものであればよい。
【0027】
そして、剥離工程として、インゴット3の上面に吸着手段4の吸着体4aを真空吸着させた状態で、制御手段により振動印加手段5a,5bを異なるタイミングで駆動し、予め実験的に求めた剥離対象のインゴット3に応じた最適な回数だけ最適な衝撃力を数回にわたり連続的にインゴット3の上端面付近に対して印加する。このとき、両衝撃印加手段5a,5bによる衝撃力は剥離面9に平行なせん断方向であって互いに反対の2方向に同時ではないタイミングで印加される。
【0028】
このように、衝撃印加手段5a,5bによる衝撃力により、剥離面9の改質された多数の剥離容易領域が拡大していき、インゴット3の上端面付近が剥離面9で剥離すると、例えば図3に示すように、検出手段6の一方のセンサ6d1により感知体6eの接触が検出され、インゴット3の上端面付近の剥離によるウエハ10の生成が検知されて衝撃印加手段5a,5bの駆動及び吸着手段4の吸着が停止され、生成されたウエハ10が回収される。
【0029】
したがって、上記した実施形態によれば、例えば岩の亀裂箇所にハンマーによる打撃力を数回にわたり印加することにより亀裂を拡大して岩を割るのと同様、衝撃印加手段5a,5bによる剥離面9に平行なせん断方向への衝撃力を、数回にわたって連続的に吸着手段4を介してインゴット3の上端面付近に印加することにより、インゴット3の剥離面9での割れを徐々に拡大することができ、インゴット3の上端面付近を剥離してウエハ10を生成することができる。
【0030】
このとき、衝撃印加手段5a,5bによる衝撃力は、1回の衝撃でインゴット3の上端面付近を剥離できるほどの大きなものである必要はないため、比較的小さな衝撃力を印加できる程度の小型の衝撃印加手段で十分であるため、装置が大掛かりにならず簡単な構成で済む。具体的には、シリンダと、このシリンダ内に設けられたピストンと、空気圧または液圧をピストンに加えてシリンダ内を移動させる加圧部と、ピストンの移動によりシリンダ外部の吸着手段4に衝撃力を印加すべく作動する作動部とを備える周知の構成でよく、市販の衝撃印加装置を利用することもできる。
【0031】
また、衝撃印加手段5a,5bを、吸着手段4を挟んで対向して配置し、吸着手段4を介してインゴット3の上端面付近それぞれせん断方向であって互いに反対の2方向への衝撃力を数回にわたって同時ではないタイミングで印加するため、インゴット3の剥離面9の改質された多数の剥離容易領域を効率よく拡大することが可能になり、インゴット3の上端面付近を精度よく剥離してウエハ10を生成することができる。
【0032】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0033】
例えば、上記した実施形態では、衝撃印加手段5a,5bを、吸着手段4を挟んで対向する位置に配置した例を示したが、2個以上の衝撃印加手段をそれぞれ吸着手段4の周囲の異なる位置に配置し異なる方向への衝撃力をそれぞれ印加するようにしてもよい。
【0034】
また、衝撃印加手段は1個であってもよく、比較的小さな衝撃力を数回にわたって連続的に印加できるものであればよい。
【0035】
また、上記した実施形態では、インゴット3の上端面付近の剥離を検出する検出手段4に接触式センサ6d1,6d2を設けた例を示したが、これら接触式センサに代えて非接触式センサを設けてもよい。
【0036】
また、上記した実施形態では、インゴット3の上端面付近を剥離面で剥離する例を示したが、本発明のウエハ生成装置は、インゴットを横向きに固定保持して上下のせん断方向に衝撃力を数回にわたって連続的に印加する構成も含むものである。
【0037】
そして、本発明は、インゴットを剥離してウエハを生成するウエハ生成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 …ウエハ生成装置
2 …インゴット保持手段
3 …インゴット
5a,5b …衝撃印加手段
6 …検出手段
9 …剥離面
10 …ウエハ
図1
図2
図3