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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027243
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】破砕設備
(51)【国際特許分類】
   B02C 23/04 20060101AFI20240222BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20240222BHJP
   A62C 3/06 20060101ALI20240222BHJP
   A62C 2/12 20060101ALI20240222BHJP
   B09B 101/16 20220101ALN20240222BHJP
   B09B 101/18 20220101ALN20240222BHJP
   B09B 101/25 20220101ALN20240222BHJP
   B09B 101/75 20220101ALN20240222BHJP
【FI】
B02C23/04 ZAB
B09B3/35
A62C3/06 Z
A62C2/12
B09B101:16
B09B101:18
B09B101:25
B09B101:75
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129876
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(72)【発明者】
【氏名】中山 忠之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康弘
(72)【発明者】
【氏名】末藤 誉大
【テーマコード(参考)】
4D004
4D067
【Fターム(参考)】
4D004AA23
4D004AA46
4D004AA50
4D004CA04
4D004CA08
4D004CA09
4D004CB05
4D004CB13
4D004CB42
4D004CB43
4D004CB45
4D004CB50
4D004DA01
4D067EE04
4D067EE18
4D067EE22
4D067EE25
4D067GA20
4D067GB02
(57)【要約】
【課題】処理ガスの流速が大きい場合や排気ダクトの径が大きい場合であっても、炎検出センサにより確実に炎を検出できる破砕設備を提供する。
【解決手段】破砕機Aで破砕された軽量物を集塵機D1に向けて吸引搬送する集塵ラインC1を備える破砕設備100であって、前記集塵ラインC1は、前記破砕機Aから延在する屈曲配管部C11とその下流側に続く直線配管部C12を含み、前記屈曲配管部C11の内部から前記直線配管部C12の下流側を臨むように炎検出センサFDが設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕機で破砕された軽量物を集塵設備に向けて吸引搬送する集塵ラインを備える破砕設備であって、
前記集塵ラインは、前記破砕機から延在する屈曲配管部とその下流側に続く直線配管部を含み、
前記屈曲配管部の内部から前記直線配管部の下流側を臨むように炎検出センサが設けられている破砕設備。
【請求項2】
前記屈曲配管部に前記直線配管部の軸心方向と平行な軸心方向を有する案内筒が前記屈曲配管部の管壁を貫通して取付けられ、前記案内筒の基端側に前記炎検出センサが配置されている請求項1記載の破砕設備。
【請求項3】
前記案内筒の前記屈曲配管部から外方に延出する部分に、前記直線配管部に向けて外気を吸引する外気導入貫通孔が設けられている請求項2記載の破砕設備。
【請求項4】
前記集塵設備にバグフィルタが含まれ、前記直線配管部の下流側で前記バグフィルタの上流側に、前記炎検出センサによる炎の検知を受けて前記集塵ラインを閉鎖する弁体を備えた防火ダンパが配設されている請求項1から3の何れかに記載の破砕設備。
【請求項5】
前記バグフィルタの下流側に前記集塵ラインを吸引する排風機が設置され、
前記防火ダンパは、前記排風機により生じる負圧と前記弁体の自重で前記集塵ラインを閉鎖するように構成されている請求項4記載の破砕設備。
【請求項6】
前記防火ダンパは、前記弁体を揺動自在に支持する揺動軸と、前記揺動軸と一体に揺動する揺動アームと、前記揺動アームの揺動を阻止する揺動阻止状態と前記揺動アームの揺動を許容する揺動許容状態との間で状態切替可能なストッパー部材と、前記炎検出センサによる炎の検知を受けて前記ストッパー部材を前記揺動許容状態に切り替える状態切替機構と、を備え、前記状態切替機構により前記ストッパー部材を前記揺動許容状態に切り替えることで、前記弁体が自重で開放状態から閉鎖状態に揺動するように構成されている請求項5記載の破砕設備。
【請求項7】
前記防火ダンパは、前記閉鎖状態から前記開放状態に前記弁体を復帰させる復帰機構を備え、
前記復帰機構は、前記開放状態から前記閉鎖状態に向けて揺動する前記弁体の動作を妨げない退避位置に設置されている請求項6記載の破砕設備。
【請求項8】
前記揺動アームは、前記弁体を挟んで前記揺動軸の両端部に一対設けられ、前記揺動アームの一端側に前記弁体の自重による閉鎖を促進するカウンターウェイトが設けられ、前記揺動アームの他端側に前記復帰機構の作用部が設けられている請求項7記載の破砕設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕設備に関し、詳しくは破砕機で破砕された軽量物を集塵機に向けて吸引搬送する集塵ラインを備える破砕設備に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の産業廃棄物を資源としてリサイクルするべく、破砕機と破砕機で破砕された破砕物を金属、非鉄金属、樹脂、ダストなどに分別回収する分別回収機構を備えたリサイクルシステムが構築されている。
【0003】
破砕機で破砕された破砕物に混入するダストなどの軽量物は、集塵ラインを介してサイクロンに吸引搬送されて粒径の大きなダストが遠心分離された後に、下流側のバグフィルタで粒径の小さなダストが除去される。バグフィルタの下流側には排風機が設けられ、集塵ラインが負圧下で吸引搬送され、サイクロンおよびバグフィルタによって除塵された後に排気される。
【0004】
産業廃棄物には、雑品、スクラップなど金属類に樹脂を含む雑多なごみが混ざっている。近年、そのような廃棄物にリチウムイオン電池が混入している場合も多く、破砕の衝撃により発火する虞があり、小型家電など電化製品が混入している場合にも、破砕により火花が発生する虞がある。そのような火種がバグフィルタに到達すると、ろ布に燃え移り火災が発生する虞があった。
【0005】
特許文献1には、排気道等の内部を流通する煤煙によって火災検知器が汚染され、これが原因で火災検出器としての検出能力が失われ、適正な火災検出がなされなくなるという課題に対処可能な乾燥処理室の火災防止装置が開示されている。
【0006】
当該乾燥処理室の火災防止装置は、長尺布帛を連続的に乾燥処理する乾燥処理室と、該乾燥処理室の内部に通じる排気ダクトを有し、該排気ダクトの適宜個所に、そのダクト内を流通する炎を検知する紫外線式炎検出器を配置した乾燥処理室において、上記排気ダクトの内壁面にダクト外方へ突設される凹壁を形成し、この凹壁の周囲に外気吸気孔を穿設すると共に、この凹壁内部に紫外線式炎検出器を位置せしめたことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-284542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、紫外線式炎検出器が、排気ダクトに流れる処理ガスの流れに直交する方向に指向方向が設定されているため、排気ダクトに充満した埃の発火を検出する場合には、十分な検出能を備えていると解されるが、処理ガスの流速が大きい場合や排気ダクトの径が大きい場合、或いは集塵物の密度がそれほど高くない場合には検出漏れが発生する可能性が高いという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、処理ガスの流速が大きい場合や排気ダクトの径が大きい場合であっても、炎検出センサにより確実に炎を検出できる破砕設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による破砕設備の第一の特徴構成は、破砕機で破砕された軽量物を集塵設備に向けて吸引搬送する集塵ラインを備える破砕設備であって、前記集塵ラインは、前記破砕機から延在する屈曲配管部とその下流側に続く直線配管部を含み、前記屈曲配管部の内部から前記直線配管部の下流側を臨むように炎検出センサが設けられている点にある。
【0011】
屈曲配管部の下流側に延在する直線配管部の長手方向を指向するように炎検出センサが配置されるので、集塵ラインを流下する軽量物に火種が混入している場合でも、流下方向に沿う長い領域で監視することができ、その流速が大きい場合でも十分に火種の存在を検出することができるようになる。
【0012】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記屈曲配管部に前記直線配管部の軸心方向と平行な軸心方向を有する案内筒が前記屈曲配管部の管壁を貫通して取付けられ、前記案内筒の基端側に前記炎検出センサが配置されている点にある。
【0013】
案内筒の基端側に炎検出センサを設置することにより、集塵ラインを流下する軽量物などが炎検出センサに直接接触するようなことが回避され、炎検出センサの破損や汚濁が防止できる。また、案内筒の軸心方向が直線配管部の軸心方向と平行となるので、直線配管部を流下する火種を見逃すことがない。
【0014】
同第三の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、前記案内筒の前記屈曲配管部から外方に延出する部分に、前記直線配管部に向けて外気を吸引する外気導入貫通孔が設けられている点にある。
【0015】
集塵ラインを流れる吸引流に起因するエジェクタ効果により、外気導入貫通孔から案内筒に外気が流入することで、炎検出センサへの汚濁物質の付着がよくせいされ、クリーンな状態に維持される。
【0016】
同第四の特徴構成は、上述した第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記集塵設備にバグフィルタが含まれ、前記直線配管部の下流側で前記バグフィルタの上流側に、前記炎検出センサによる炎の検知を受けて前記集塵ラインを閉鎖する弁体を備えた防火ダンパが配設されている点にある。
【0017】
炎検出センサにより炎が検知されると、直線配管部とバグフィルタとの間に配設した防火ダンパに備えた弁体が閉鎖され、バグフィルタの火災発生を未然に防止することができる。
【0018】
同第五の特徴構成は、上述した第四の特徴構成に加えて、前記バグフィルタの下流側に前記集塵ラインを吸引する排風機が設置され、前記防火ダンパは、前記排風機により生じる負圧と前記弁体の自重で前記集塵ラインを閉鎖するように構成されている点にある。
【0019】
防火ダンパに備えた弁体に、排風機により生じる負圧と弁体の自重が作用することで、火種がバグフィルタに到達するまでに、迅速に集塵ラインが閉鎖される。
【0020】
同第六の特徴構成は、上述した第五の特徴構成に加えて、前記防火ダンパは、前記弁体を揺動自在に支持する揺動軸と、前記揺動軸と一体に揺動する揺動アームと、前記揺動アームの揺動を阻止する揺動阻止状態と前記揺動アームの揺動を許容する揺動許容状態との間で状態切替可能なストッパー部材と、前記炎検出センサによる炎の検知を受けて前記ストッパー部材を前記揺動許容状態に切り替える状態切替機構と、を備え、前記状態切替機構により前記ストッパー部材を前記揺動許容状態に切り替えることで、前記弁体が自重で開放状態から閉鎖状態に揺動するように構成されている点にある。
【0021】
ストッパー部材により揺動アームの揺動が阻止されることで弁体が開放状態に維持される。炎検出センサにより火種が検知されると、状態切替機構によりストッパー部材が揺動許容状態に切り替えられる。ストッパー部材の状態切替という極めて簡単な構造で、弁体が自重で開放状態から閉鎖状態に揺動するようになる。このとき、排風機により生じる負圧が作用して弁体が瞬時に閉塞状態に切り替わる。
【0022】
同第七の特徴構成は、上述した第六の特徴構成に加えて、前記防火ダンパは、前記閉鎖状態から前記開放状態に前記弁体を復帰させる復帰機構を備え、前記復帰機構は、前記開放状態から前記閉鎖状態に向けて揺動する前記弁体の動作を妨げない退避位置に設置されている点にある。
【0023】
復帰機構が作動することにより弁体が閉鎖状態から開放状態に復帰する。復帰機構は弁体の動作を妨げない退避位置に設置されているので、弁体が開放状態から閉鎖状態へ揺動する際であっても、当該揺動動作を阻止するような不都合な事態が生じることはない。
【0024】
同第八の特徴構成は、上述した第七の特徴構成に加えて、前記揺動アームは、前記弁体を挟んで前記揺動軸の両端部に一対設けられ、前記揺動アームの一端側に前記弁体の自重による閉鎖を促進するカウンターウェイトが設けられ、前記揺動アームの他端側に前記復帰機構の作用部が設けられている点にある。
【0025】
揺動アームの一端側に設けたカウンターウェイトの重みで弁体の自重による閉鎖姿勢への動作が促進される。また、復帰機構の作動により揺動アームの他端側に設けた作用部が押圧されることで、カウンターウェイトの重みおよび弁体の自重に抗して弁体が開放姿勢に切替わる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した通り、本発明によれば、処理ガスの流速が大きい場合や排気ダクトの径が大きい場合であっても、炎検出センサにより確実に炎を検出できる破砕設備を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】破砕設備の説明図
図2】(a)は破砕設備の要部の平面図、(b)は破砕設備の要部の側面図
図3】屈曲配管部に設置された案内筒と炎検出センサの配置状態の説明図
図4】(a)は防火ダンパの平面図、(b)は防火ダンパの正面図、(c)は防火ダンパの左側面図
図5】(a)は図4(b)のA-A線断面図、(b)は図5(a)のB-B矢示説明図、(c)は図4(b)のC-C線断面図
図6】防火ダンパの動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明による破砕設備を図面に基づいて説明する。
図1には、破砕設備による被処理物の処理フローが示されている。破砕設備100は、竪型破砕機Aと、竪型破砕機Aで破砕された破砕物を金属、非鉄金属、樹脂、ダストなどに分別回収する分別回収機構Bを備えている。
【0029】
竪型破砕機Aは、コンベア機構を介して上方から投入される被処理物を、縦軸心周りに高速回転するブレーカで粗破砕し、筒状の内壁との隙間で細破砕するグラインダと、下方に落下した破砕物を排出するディスチャージリングなどを備えている。
【0030】
分別回収機構Bは、竪型破砕機Aにより破砕され、ディスチャージリングから排出され、破砕物搬送コンベヤで搬送された破砕物に対して、鉄を選別回収する磁選機B1と、磁選機B1鉄が回収された破砕物を粒径で分別する振動ふるいB2と、振動ふるいB2で分別された粒径の大きな破砕物から磁性物を回収する高磁力選別機B3と、磁性物を除く破砕物から非鉄金属を回収する非鉄選別機B4と、非鉄金属を除く破砕物から粒径により樹脂を選別する樹脂選別機B5などを備えている。
【0031】
さらに破砕機Aから排出される樹脂屑や粉塵などの軽量物を吸引搬送する第1の集塵ラインC1、破砕物搬送コンベヤから振動フィーダに供給される破砕物から舞い上がる粉塵を吸引搬送する第2の集塵ラインC2を備えている。
【0032】
第1の集塵ラインC1および第2の集塵ラインC2には、其々サイクロンCF1,CF2、バグフィルタBF1,BF2からなる集塵機D1,D2が搬送方向に沿って順に設置され、バグフィルタBF1,BF2の下流側に其々排風機F1,F2が設けられている。排風機F1,F2による吸引により第1の集塵ラインC1および第2の集塵ラインC2は負圧に維持され、樹脂屑や粉塵などの軽量物が吸引搬送される。
【0033】
図2(a),(b)および図3に示すように、本発明の破砕設備100は、破砕機Aで破砕された軽量物を集塵機D1に向けて吸引搬送する集塵ラインC1を備える破砕設備である。集塵ラインC1は、断面が円形の金属製の筒状体で構成され、破砕機Aから延在する屈曲配管部C11とその下流側に続く直線配管部C12を含み、屈曲配管部C11の内部から直線配管部C12の下流側を臨むように炎検出センサFDが設けられている。
【0034】
詳述すると、屈曲配管部C11に屈曲配管部C11の内外に貫通して案内筒GTが取付けられ、案内筒GTの基端側に炎検出センサFDが配置されるとともに、案内筒GTの屈曲配管部C11の外方に延出する部分に、案内筒GTを介して直線配管部C12に外気を吸引する外気導入部Hが設けられている(図3参照。)。また案内筒GTの軸心方向は、直線配管部C12の軸心方向と同一であり、炎検出センサFDにより直管配管部C12の全長に亘って炎を検出可能となっている。
【0035】
炎検出センサFDとして、物体の燃焼時に放射される紫外線を検出する紫外線検出管を受光部に配した紫外線センサが用いられ、先端側には集光及び防汚用の光学素子OEが配されている。そして、炎検出センサFDの指向方向の中心が直線配管部C12の軸心に沿うように配されている。
【0036】
屈曲配管部C11の内部から直線配管部C12の下流側を臨むように炎検出センサFDを設けることで、集塵ラインC1を流下する軽量物に火種が混入した場合でも、流下方向に沿う直線配管部C12の長い領域で監視することができ、その流速が大きい場合でも十分に火種の存在を検出することができるようになる。
【0037】
また、屈曲配管部C11に取付けた案内筒GTの基端側に炎検出センサFDを設置することにより、集塵ラインC1を流下する軽量物などが案内筒GTによって保護される炎検出センサFDに接触することがなく、従って接触による炎検出センサFDの破損や汚濁が回避できる。図3で、符号FLは案内筒GTの支持部材を示し、符号STは炎検出センサFDの支持部材を示す。
【0038】
案内筒GTの基端側であって屈曲配管部C11の外方には炎検出センサFDとの間に空隙が形成され、また炎検出センサFDより先端側周部に複数の微小な開孔が形成されている。当該空隙および開孔が外気導入部Hとして機能する。集塵ラインC1を流れる吸引流に対するエジェクタ効果により、外気導入部Hから案内筒GTに流入して直線配管部C12に流れる外気により、長期に亘って炎検出センサFDがクリーンな状態に維持される。
【0039】
直線配管部の下流側でバグフィルタBFの上流側、本実施形態ではサイクロンCFの下流側に、炎検出センサFDによる炎の検知を受けて集塵ラインC1を閉鎖する弁体3を備えた防火ダンパDPが配設されている。炎検出センサFDにより炎が検知されると、防火ダンパDPに備えた弁体3を閉鎖することで、バグフィルタBFの火災発生を未然に防止することができる。
【0040】
図4(a),(b),(c)、図5(a),(b),(c)、及び図6には、防火ダンパDPが示されている。防火ダンパDPは、サイクロンCF1からバグフィルタBF1に接続される略鉛直姿勢の排風路C13(図2参照。)に設けられている。排風路C13も断面が円形の金属製の筒状体で構成されている。
【0041】
防火ダンパDPは、筒状のケーシング1と、ケーシング1の下部に備えた平面視円形の弁座2と、揺動軸4周りに揺動可能に取付部材3Aを介して取り付けられた平面視円形の弁体3を備えている(図5(a)参照。)。弁体3は、排風機F1により生じる負圧と弁体3の自重で集塵ラインC1を閉鎖可能に構成されている。以下に説明する。
【0042】
揺動軸4の両端には、ケーシング1の側部で揺動軸4と一体に揺動する揺動アーム5が取付けられている(図4(a)参照。)。揺動アーム5は中央部が揺動軸4と一体に連結された略二等辺三角形状の金属片で構成され、揺動アーム5の一端側には其々カウンターウェイト6が取付けられ、他端側はカウンターシャフト7で連結されている。従って、開放状態にある弁体3は、カウンターウェイト6によって閉鎖方向に揺動付勢されている。図4(c)、図5(a)、図6に実線で示す弁体3および揺動アーム5は開放状態を示し、二点鎖線で示す弁体3および揺動アーム5は閉鎖状態を表している。
【0043】
各揺動アーム5には、カウンターウェイト6の取付端部と揺動軸4の取付位置との間に内側に突出するように姿勢保持部5Aが取り付けられている。また、ケーシング1の両側部にはエアシリンダ8が取付けられ、エアシリンダ8により出退駆動されるストッパー部材として機能するストッパーピン8Aが設けられている。
【0044】
弁体3が開放状態にあるときに、エアシリンダ8により進出駆動されたストッパーピン8Aと姿勢保持部5Aとが当接することで、揺動アーム5の揺動を阻止する揺動阻止状態となる。エアシリンダ8によりストッパーピン8Aが引退駆動されると、弁体3が閉鎖状態となるように揺動アーム5の揺動を許容する揺動許容状態となる。
【0045】
つまり、揺動アーム5の揺動を阻止する揺動阻止状態と揺動アーム5の揺動を許容する揺動許容状態との間で状態切替可能なストッパーピン8Aと、ストッパーピン8Aを揺動許容状態に切り替える状態切替機構として機能するエアシリンダ8を備えている。エアシリンダ8によりストッパーピン8Aを揺動許容状態に切り替えることで、カウンターウェイト6及び弁体3の自重により弁体3が開放状態から閉鎖状態に揺動する。揺動アーム5に取り付けられたカウンターウェイト6が下方に向けて揺動して最下点に到達する際に、揺動アーム5に作用する応力を受けるべく、最下点に到達したカウンターウェイト6を受け止めるゴム製の緩衝部材10が設けられている。なお、状態切替機構はエアシリンダ8に限るものではなく、油圧シリンダや、電磁的に駆動可能なソレノイドコイル機構などで構成することも可能である。
【0046】
ストッパーピン8Aと姿勢保持部5Aとが当接することにより揺動アーム5の揺動が阻止されることで常時弁体3が開放状態に維持される。炎検出センサFDにより火種が検知されたことが制御装置に入力されると、制御装置によりエアシリンダ8が引退駆動されてストッパーピン8Aが揺動許容状態に切り替えられる。ストッパーピン8Aの状態切替という極めて簡単な構造で、弁体3が自重で開放状態から閉鎖状態に揺動するようになる。
【0047】
炎検出センサFDにより検知された火種がバグフィルタBF1に流入するまでに、弁体3が自重と排風機F1の吸引作用とにより瞬時に閉鎖状態に切り替わる必要がある。そのため、少なくとも開放状態にある弁体3が閉鎖状態に移行するまでに要する時間T秒よりも以前に炎検出センサFDにより火種が検出される必要がある。
【0048】
つまり、集塵ラインC1を流下する軽量物などの搬送速度Vm/秒とすると、防火ダンパDPの設置位置より少なくとも距離V・Tmよりも上流側で火種が検出可能な位置に炎検出センサFDの検知範囲が設定されていればよく、集塵ラインC1の搬送速度に応じて炎検出センサFDの検知範囲および防火ダンパDPの設置位置を設定すればよい。
【0049】
このようにして弁体3が瞬時に閉鎖状態に移行した後、再度開放状態に復帰させるため、防火ダンパDPには復帰機構を備えている。防火ダンパDPのケーシング1の正面には、エアシリンダ9が取付けられている。弁体3が閉鎖状態にあり、揺動アーム5が揺動軸4周りに揺動し、カウンターシャフト7が上方に位置した状態で、エアシリンダ9が進出駆動されるとピストン9Aがカウンターシャフト7を押し下げ駆動する。カウンターシャフト7がピストン9Aの作用部として機能する。
【0050】
この動きに連動して揺動アーム5が揺動軸4の周りに揺動することで、弁体3を開放状態に復帰させる。その後、エアシリンダ8を進出駆動してストッパーピン8Aを揺動阻止状態に切り替えることにより、弁体3の開放状態が維持される。
【0051】
ストッパーピン8Aを揺動阻止状態に切り替えた後に、エアシリンダ9を引退駆動することで、ピストン9Aが元の位置に復帰する。ピストン9Aは、その後、弁体3開放状態から閉鎖状態に向けて揺動する弁体3の動作を妨げない退避位置に位置する。つまり、エアシリンダ9が復帰機構として機能する。
【0052】
エアシリンダ9のピストン9Aの進出位置および引退位置を検知する近接センサ、揺動アーム5に備えたカウンターシャフト7の位置を検知する引接センサが其々設けられ、制御装置に入力されている。
【0053】
制御装置は、弁体3の閉鎖状態および開放状態を切替制御する。炎検出センサFDにより集塵ラインC1に火種が検知されると、エアシリンダ8を引退駆動してストッパーピン8Aを揺動許容状態に切り替える。その後、復帰状態起動スイッチが操作されると、エアシリンダ9を進出駆動してカウンターシャフト7を押し下げ駆動し、カウンターシャフト7が最下点に移動したことを近接スイッチで検知すると、エアシリンダ8を進出退駆動してストッパーピン8Aを揺動阻止状態に切り替える。さらにエアシリンダ9を引退駆動してピストン9Aが退避位置に復帰したことを近接スイッチで検知するとエアシリンダ9を停止する。
【0054】
上述した実施形態は、本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1:ケーシング
2:弁座
3:弁体
4:揺動軸
5:揺動アーム
6:カウンターウェイト
7.カウンターシャフト
8:状態切替機構(エアシリンダ)
9:復帰機構(エアシリンダ)
10:緩衝部材
100:破砕設備
A:竪型破砕機
B:分別回収機構
C1,C2:集塵ライン
C11:屈曲配管部
C12:直線配管部
D1,D2:集塵機構
DP:防火ダンパ
CF1,CF2:サイクロン
BF1,BF2:バグフィルタ
GT:案内筒
FD:炎検出センサ
H:外気導入部
図1
図2
図3
図4
図5
図6