(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027273
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】装着具
(51)【国際特許分類】
A41B 11/00 20060101AFI20240222BHJP
A41B 11/12 20060101ALI20240222BHJP
A41B 11/10 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A41B11/00 D
A41B11/12 A
A41B11/10 A
A41B11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129941
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】592154411
【氏名又は名称】岡本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】吹上 正人
(72)【発明者】
【氏名】村上 佐和子
(72)【発明者】
【氏名】若井 優
【テーマコード(参考)】
3B018
【Fターム(参考)】
3B018AA02
3B018AB03
3B018AB07
3B018AB08
3B018AC01
3B018AC07
3B018AC08
3B018AD01
3B018AD02
3B018DA01
3B018DB02
3B018DB04
3B018EA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明の課題は、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することができるとともに、締め付けすぎない着用感の良い装着具を提供する。
【解決手段】本発明に係る装着具1は、被覆部120,と第1筒部130と第2筒部110とを備える。被覆部は、装着された状態において踵、膝および肘のいずれかを覆う。第1筒部は、被覆部の第1側の端から第1側に延び、筒形状を呈する。第2筒部は、被覆部の第1側と異なる第2側の端から第2側に延び、筒形状を呈し、被覆部を介して第1筒部と連続する。また、第1筒部は、第1周設部131と第1低伸縮部132とを有する。第1周設部は、第1筒部に周設され、第1表糸および第1表糸より摩擦係数が高い第1裏糸から編成される。第1低伸縮部は、第1周設部の中に編成され、第1周設部より低伸縮である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着された状態において踵、膝および肘のいずれかを覆う被覆部と、
前記被覆部の第1側の端から前記第1側に延び、筒形状を呈する第1筒部と、
前記被覆部の前記第1側と異なる第2側の端から前記第2側に延び、筒形状を呈し、前記被覆部を介して前記第1筒部と連続する第2筒部と
を備え、
前記第1筒部は、第1周設部と第1低伸縮部とを有し、
前記第1周設部は、前記第1筒部に周設され、第1表糸および前記第1表糸より摩擦係数が高い第1裏糸から編成され、
前記第1低伸縮部は、前記第1周設部の中に編成され、前記第1周設部より低伸縮である
装着具。
【請求項2】
前記第1周設部の内側は、前記被覆部の内側より摩擦係数が高く、
前記第1低伸縮部は、前記被覆部より低伸縮である
請求項1に記載の装着具。
【請求項3】
前記第1低伸縮部が、ボス糸挿入により形成されている
請求項2に記載の装着具。
【請求項4】
前記第2筒部は、第2周設部と第2低伸縮部とを有し、
前記第2周設部は、前記第2筒部に周設され、第2表糸および前記第2表糸より摩擦係数が高い第2裏糸から編成され、
前記第2低伸縮部は、前記第2周設部の中に編成され、前記第2周設部より低伸縮である
請求項1から3のいずれか1項に記載の装着具。
【請求項5】
前記第2周設部の内側は、前記被覆部の内側より摩擦係数が高く、
前記第2低伸縮部は、前記被覆部より低伸縮である
請求項4に記載の装着具。
【請求項6】
前記第2低伸縮部が、ボス糸挿入により形成されている
請求項5に記載の装着具。
【請求項7】
前記第1筒部の前記第2筒部の側の反対側に形成され、前記第1表糸より摩擦係数が高い第3表糸から編成される通し口部をさらに備える、請求項1または2に記載の装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フットウェア、膝サポータおよび肘サポータなどの装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「足首部に周設された締付部を備えた靴下であって、前記締付部は、口ゴム部を除く靴下の他の部位よりも締め付け力が強くなるように編成したことを特徴とする靴下」が提案されている(例えば、実用新案登録第3103687号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような靴下などの装着具では、踵、膝および肘のいずれかを覆う被覆部の上側の締付部の締め付け力が、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止している。一方で締め付け力が強すぎる場合、装着後肌に跡が残る、締め付けが不快などの着用感の低下につながることがある。このため、近年、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することができるとともに、締め付けすぎない着用感の良い装着具が求められている。
【0005】
本発明の課題は、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することができるとともに、締め付けすぎない着用感の良い装着具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に係る装着具は、被覆部と第1筒部と第2筒部とを備える。被覆部は、装着された状態において踵、膝および肘のいずれかを覆う。第1筒部は、被覆部の第1側の端から第1側に延び、筒形状を呈する。第2筒部は、被覆部の第1側と異なる第2側の端から第2側に延び、筒形状を呈し、被覆部を介して第1筒部と連続する。また、第1筒部は、第1周設部と第1低伸縮部とを有する。第1周設部は、第1筒部に周設され、第1表糸および第1表糸より摩擦係数が高い第1裏糸から編成される。なお、「周設される」とは、ある部の周方向に沿って形成されることを意味し、欠けがない環状になるように形成されてもよいし、1箇所以上が欠けた環状になるように形成されてもよい。第1低伸縮部は、第1周設部の中に編成され、第1周設部より低伸縮である。
【0007】
上記構成によれば、装着具がスニーカーソックス(登録商標),フットカバー等の踝までを覆う高さを有する、すなわち、踝より上の部位を覆う部位が存在しないフットウェア(以下「踝丈フットウェア」という)である場合、装着時において被覆部が踵を覆い第1筒部が足首を覆い第2筒部が足の甲側および底側を覆う。そして、装着時において、第1筒部の第1低伸縮部によって第1筒部が足首を締め付けると共に、第1筒部の第1周設部の比較的摩擦係数が高い第1裏糸によって第1筒部が足首に対して滑りにくい状態になる。また、装着具が膝サポータである場合、装着時において被覆部が膝を覆い第1筒部が膝上を覆い第2筒部が膝下を覆う。そして、装着時において、第1筒部の第1低伸縮部によって第1筒部が膝上を締め付けると共に、第1筒部の第1周設部の比較的摩擦係数が高い第1裏糸によって第1筒部が膝上に対して滑りにくい状態になる。また、装着具が肘サポータである場合、装着時において被覆部が肘を覆い第1筒部が肘上を覆い第2筒部が肘下を覆う。そして、装着時において、第1筒部の第1低伸縮部によって第1筒部が肘上を締め付けると共に、第1筒部の第1周設部の比較的摩擦係数が高い第1裏糸によって第1筒部が肘上に対して滑りにくい状態になる。なお、ここで、第1筒部の第1低伸縮部の締め付け力は、従来の装着具における締付部の締め付け力より弱くすることができる。このため、この装着具では、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することができるとともに、締め付けすぎずに着用感を良くすることができる。
【0008】
本発明の第2局面に係る装着具は、第1局面に係る装着具であって、第1周設部の内側は、被覆部の内側より摩擦係数が高い。また、第1低伸縮部は、被覆部より低伸縮である。
【0009】
上記構成によれば、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げをさらに防止することができる。
【0010】
本発明の第3局面に係る装着具は、第2局面に係る装着具であって、第1低伸縮部が、ボス糸挿入により形成されている。
【0011】
ボス糸は、伸縮性と柔軟性の高い糸であって、例えばウーリーナイロンなどを用いることが好ましい。上記構成によれば、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げをさらに防止することができる。
【0012】
本発明の第4局面に係る装着具は、第1局面から第3局面のいずれか1局面に係る装着具であって、第2筒部は、第2周設部と第2低伸縮部とを有する。第2周設部は、第2筒部に周設され、第2表糸および第2表糸より摩擦係数が高い第2裏糸から編成される。第2低伸縮部は、第2周設部の中に編成され、第2周設部より低伸縮である。
【0013】
上記構成によれば、装着具が踝丈フットウェアである場合、装着時において、第2筒部の第2低伸縮部によって第2筒部が足の甲側および底側を締め付けると共に、第2筒部の第2周設部の比較的摩擦係数が高い第2裏糸によって第2筒部が足の甲側および底側に対して滑りにくい状態になる。また、装着具が膝サポータである場合、装着時において、第2筒部の第2低伸縮部によって第2筒部が膝下を締め付けると共に、第2筒部の第2周設部の比較的摩擦係数が高い第2裏糸によって第2筒部が膝下に対して滑りにくい状態になる。また、装着具が肘サポータである場合、装着時において、第2筒部の第2低伸縮部によって第2筒部が肘下を締め付けると共に、第2筒部の第2周設部の比較的摩擦係数が高い第2裏糸によって第2筒部が肘下に対して滑りにくい状態になる。なお、ここで、第2筒部の第2低伸縮部の締め付け力は、従来の装着具における締付部の締め付け力より弱くすることができる。このため、この装着具では、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げをさらに防止することができるとともに、締め付けすぎずに着用感を良くすることができる。
【0014】
本発明の第5局面に係る装着具は、第4局面に係る装着具であって、第2周設部の内側は、被覆部の内側より摩擦係数が高い。また、第2低伸縮部は、被覆部より低伸縮である。
【0015】
上記構成によれば、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げをさらに防止することができる。
【0016】
本発明の第6局面に係る装着具は、第5局面に係る装着具であって、第2低伸縮部が、ボス糸挿入により形成されている。
【0017】
ボス糸は、伸縮性と柔軟性の高い糸であって、例えばウーリーナイロンなどを用いることが好ましい。上記構成によれば、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げをさらに防止することができる。
【0018】
本発明の第7局面に係る装着具は、第1局面または第2局面に係る装着具であって、通し口部をさらに備える。通し口部は、第1筒部の第2筒部の側の反対側に形成され、第1表糸より摩擦係数が高い第3表糸から編成される。
【0019】
上記構成によれば、装着具が踝丈フットウェアである場合、装着時において、通し口部の比較的摩擦係数が高い第3表糸によって通し口部が足首(より詳細には、足首のうち第1筒部に覆われる部分の上側部分)に対して滑りにくい状態になる。また、装着具が膝サポータである場合、装着時において、通し口部の比較的摩擦係数が高い第3表糸によって通し口部が膝上(より詳細には、膝上のうち第1筒部に覆われる部分の上側部分)に対して滑りにくい状態になる。また、装着具が肘サポータである場合、装着時において、通し口部の比較的摩擦係数が高い第3表糸によって通し口部が肘上(より詳細には、肘上のうち第1筒部に覆われる部分の上側部分)に対して滑りにくい状態になる。このため、この装着具では、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げをさらに防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る踝丈フットウェアの側面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る踝丈フットウェアの平面図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係る膝サポータの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<本発明の実施の形態に係る装着具の構成>
本発明の実施の形態に係る装着具は、少なくとも足または腕に装着される装着具であって、例えば、踝丈フットウェア、膝サポータ、肘サポータ等である。
【0022】
-第1の実施形態-
本発明の第1の実施の形態に係る装着具の一例として、
図1に示される踝丈フットウェア1が挙げられる。以下、この踝丈フットウェア1について詳述する。
【0023】
本発明の第1の実施の形態に係る踝丈フットウェア1は、
図1に示されるように、側面視において鉤状を呈しており、主に、趾先被覆部100、足被覆部110、踵被覆部120、足首被覆部130および履き口部140などから形成されている。以下、これらの部位について詳述する。
【0024】
なお、説明の便宜上、
図1において上下方向および前後方向が規定されている。以下、これらの方向を用いて踝丈フットウェア1を説明する場合がある。
【0025】
(1)趾先被覆部
趾先被覆部100は、趾先を覆うための袋状の部位であって、
図1に示されるように、足被覆部110の前端から前側に延びている。また、趾先被覆部100は、伸縮性に富む編地で編成される。伸縮性に富む編地は、例えば、綿、麻、毛、絹などの天然糸、またはナイロン、ポリエステルなどの合成糸、もしくはこれらの混紡糸などから編成することができる。
【0026】
(2)足被覆部
足被覆部110は、足の甲側および底側を覆うための筒形状の部位であって、
図1に示されるように、趾先被覆部100の後端から後側に延びており(踵被覆部120の前端から前側に延びており)、踵被覆部120を介して足首被覆部130と連続している。
【0027】
また、
図1および
図2に示されるように足被覆部110には前側周設部111および前側低伸縮部112が形成され、足被覆部110のうち前側周設部111および前側低伸縮部112が形成されていない部分は、伸縮性に富む編地(上述)で編成される。前側周設部111は、
図1および
図2に示されるように、足被覆部110に周設されている。なお、前側周設部111は、欠けがない環状になるように足被覆部110に周設されてもよいし、1箇所以上が欠けた環状になるように足被覆部110に周設されてもよい。また、
図1および
図2に示されるように、前側周設部111の上部は、足首被覆部130の上側周設部131の前部と繋がっている。また、前側周設部111は、表糸および裏糸から編成される。この表糸は、例えば、例えば、綿、麻、毛、絹などの天然糸、またはナイロン、ポリエステルなどの合成糸、もしくはこれらの混紡糸などである。この裏糸は、この表糸より摩擦係数が高い糸であって、例えば、例えば、割繊糸、ポリウレタン、ナノフロント(登録商標)、クリンパル(登録商標)などである。これにより、前側周設部111の内側(肌側)は、踵被覆部120の内側(肌側)より摩擦係数が高くなる。前側低伸縮部112は、
図1および
図2に示されるように、前側周設部111の中(内領域)に編成されている。なお、前側低伸縮部112は、前側周設部111内の中央寄りに編成されてもよいし(
図1および
図2参照)、前側周設部111内の前寄りに編成されてもよいし、前側周設部111内の後寄りに編成されてもよい。また、前側低伸縮部112は、
図1および
図2に示されるように、足の甲側の箇所が欠けた環状になるように前側周設部111の中に周設されているが、足の甲側の箇所の他に1箇所以上が欠けた環状になるように前側周設部111の中に周設されてもよい。すなわち、前側低伸縮部112は、前側周設部111の中に編成されるのであれば、様々な形状・形態で編成されてもよい。また、
図1および
図2に示されるように、前側低伸縮部112の上端部(すなわち、足の甲側の欠けが形成される側の端部)は、足首被覆部130の上側低伸縮部132の前端部(すなわち、足首の前側の欠けが形成される側の端部)と繋がっている。そして、前側低伸縮部112は、表糸または裏糸にボス糸を挿入することで伸びが抑制されるように形成され、前側周設部111および踵被覆部120より低伸縮となる。表糸は、例えば、綿、麻、毛、絹などの天然糸、またはナイロン、ポリエステルなどの合成糸、もしくはこれらの混紡糸などである。裏糸は、この表糸より摩擦係数が高い糸であって、例えば、割繊糸、ポリウレタン、ナノフロント(登録商標)、クリンパル(登録商標)などである。ボス糸は、伸縮性と柔軟性の高い糸であって、例えばウーリーナイロンなどを用いることが好ましい。なお、他の編成方法として、タック編みにて編成したり、度目を小さくしたり、ゴム糸を挿入したり、もしくはこれらの方法を組み合わせたりすることで、前側低伸縮部112が前側周設部111および踵被覆部120より低伸縮となってもよい。また、ボス糸を挿入する場合、ボス糸を前側低伸縮部112の内側すなわち肌側に渡らせることが好ましく、肌側を渡るボス糸の長さは、着用時に指がボス糸に引っかからない程度の長さが好ましい。なお、ボス糸の長さは、着用者の年齢、性別、体格等に合わせて適宜調節される。ボス糸が肌側を渡っている箇所でカットされていない場合、より伸びが抑制され、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを好適に防止することができる。ボス糸が肌側を渡っている箇所でカットされる場合、伸縮性が適度に維持されるため、程よい締め付けで履き心地がよくなるとともに、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することができる。また、ボス糸の長さが指の幅よりも長い場合は、ボス糸を渡っている箇所でカットすることで、指がボス糸に引っ掛かることを防ぐことが出来る。また、ボス糸周辺の度目を詰めることで、伸びが抑制され、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを好適に防止するとともに、ボス糸の抜け落ちを防ぐことが出来る。
【0028】
(3)踵被覆部
踵被覆部120は、踵を覆うための部位であって、
図1に示されるように足被覆部110の後端から後側に延びており(膨らんでおり)、伸縮性に富む編地(上述)で編成される。また、上述の通り、踵被覆部120の内側(肌側)は、前側周設部111の内側(肌側)より摩擦係数が低くなり、踵被覆部120は、前側低伸縮部112より高伸縮となる。また、後述するが、踵被覆部120の内側(肌側)は、上側周設部131の内側(肌側)より摩擦係数が低くなり、踵被覆部120は、上側低伸縮部132より高伸縮となる。
【0029】
(4)足首被覆部
足首被覆部130は、足首を覆うための筒形状の部位であって、
図1に示されるように、踵被覆部120の上端から上側に延び、踵被覆部120を介して足被覆部110と連続している。
【0030】
また、
図1および
図2に示されるように足首被覆部130には上側周設部131および上側低伸縮部132が形成され、足首被覆部130のうち上側周設部131および上側低伸縮部132が形成されていない部分は、伸縮性に富む編地(上述)で編成される。上側周設部131は、
図1および
図2に示されるように、足首被覆部130に周設されている。なお、上側周設部131は、欠けがない環状になるように足首被覆部130に周設されてもよいし、1箇所以上が欠けた環状になるように足首被覆部130に周設されてもよい。上述したように、上側周設部131の前部は、足被覆部110の前側周設部111の上部と繋がっている。そして、上側周設部131は、表糸および裏糸から編成される。この表糸は、例えば、例えば、綿、麻、毛、絹などの天然糸、またはナイロン、ポリエステルなどの合成糸、もしくはこれらの混紡糸などである。この裏糸は、この表糸より摩擦係数が高い糸であって、例えば、例えば、割繊糸、ポリウレタン、ナノフロント(登録商標)、クリンパル(登録商標)などである。これにより、上側周設部131の内側(肌側)は、踵被覆部120の内側(肌側)より摩擦係数が高くなる。上側低伸縮部132は、
図1および
図2に示されるように、上側周設部131の中(内領域)に編成されている。なお、上側低伸縮部132は、上側周設部131内の中央寄りに編成されてもよいし(
図1および
図2参照)、上側周設部131内の上寄りに編成されてもよいし、上側周設部131内の下寄りに編成されてもよい。また、上側低伸縮部132は、
図1および
図2に示されるように、足首の前側の箇所が欠けた環状になるように上側周設部131の中に周設されているが、足首の前側の箇所の他に1箇所以上が欠けた環状になるように上側周設部131の中に周設されてもよい。すなわち、上側低伸縮部132は、上側周設部131の中に編成されるのであれば、様々な形状・形態で編成されてもよい。また、上述の通り、上側低伸縮部132の前端部(すなわち、足首の前側の欠けが形成される側の端部)は、足被覆部110の前側低伸縮部112の上端部(すなわち、足の甲側の欠けが形成される側の端部)と繋がっている。そして、上側低伸縮部132は、表糸または裏糸にボス糸を挿入することで伸びが抑制されるように形成され、上側周設部131および踵被覆部120より低伸縮となる。表糸は、例えば、綿、麻、毛、絹などの天然糸、またはナイロン、ポリエステルなどの合成糸、もしくはこれらの混紡糸などである。裏糸は、この表糸より摩擦係数が高い糸であって、例えば、割繊糸、ポリウレタン、ナノフロント(登録商標)、クリンパル(登録商標)などである。ボス糸は、伸縮性と柔軟性の高い糸であって、例えばウーリーナイロンなどを用いることが好ましい。なお、他の編成方法として、タック編みにて編成したり、度目を小さくしたり、ゴム糸を挿入したり、もしくはこれらの方法を組み合わせたりすることで、上側低伸縮部132が上側周設部131および踵被覆部120より低伸縮となってもよい。また、ボス糸を挿入する場合、ボス糸を上側周設部131の内側すなわち肌側に渡らせることが好ましく、肌側を渡るボス糸の長さは、着用時に指がボス糸に引っかからない程度の長さが好ましい。なお、ボス糸の長さは、着用者の年齢、性別、体格等に合わせて適宜調節される。ボス糸が肌側を渡っている箇所でカットされていない場合、より伸びが抑制され、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを好適に防止することができる。ボス糸が肌側を渡っている箇所でカットされる場合、伸縮性が適度に維持されるため、程よい締め付けで履き心地がよくなるとともに、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することができる。また、ボス糸の長さが指の幅よりも長い場合は、ボス糸を渡っている箇所でカットすることで、指がボス糸に引っ掛かることを防ぐことが出来る。また、ボス糸周辺の度目を詰めることで、伸びが抑制され、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを好適に防止するとともに、ボス糸の抜け落ちを防ぐことが出来る。
【0031】
ところで、従来のタック編みやゴム糸挿入などによる締め付け力だけで装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げが防止される場合、着圧が強くなりすぎたり装着後肌に跡が残ったりするため、締め付けが不快などの着用感の低下につながることがある。本発明に係る踝丈フットウェア1は、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止するために伸縮性と高摩擦に着目している。比較的摩擦係数が高い裏糸で編成された前側周設部111の中に前側低伸縮部112をゴム糸挿入で形成する場合や、比較的摩擦係数が高い裏糸で編成された上側周設部131の中に上側低伸縮部132をゴム糸挿入で形成する場合は、ゴム糸の送り量を調整することで、タック編みで形成する場合はタックする目数を調整することで、締め付け力だけで装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止する従来の設計とは異なり、締め付けすぎることなく装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することが出来る。このため、体質的に肌が弱い方や皮膚が薄い子どもなどこれまで以上に幅広い方が、本発明に係る踝丈フットウェア1を安心して着用することができる。
【0032】
(5)履き口部
履き口部140は、
図1に示されるように足首被覆部130の上側に形成されており、表糸から編成される。この表糸は、上側周設部131を編成する表糸より摩擦係数が高く、例えば、割繊糸、ポリウレタン、ナノフロント(登録商標)、クリンパル(登録商標)などである。また、履き口部140は、編地を折り返してから縫合する等して二重構造になっている。なお、履き口部140にはゴム糸が挿入されてもよい。
【0033】
<本発明の第1の実施の形態に係る踝丈フットウェアの特徴>
(1)
本発明の第1の実施の形態に係る踝丈フットウェア1では、上側周設部131が足首被覆部130に周設され、上側低伸縮部132が上側周設部131の中に編成される。また、上側周設部131を編成する裏糸は、上側周設部131を編成する表糸より摩擦係数が高く、上側周設部131の内側は、踵被覆部120の内側より摩擦係数が高い。また、上側低伸縮部132は、上側周設部131および踵被覆部120より低伸縮である。このため、この踝丈フットウェア1では、装着時において、上側低伸縮部132によって足首被覆部130が足首を締め付けると共に、上側周設部131によって足首被覆部130が足首に対して滑りにくい状態になる。したがって、この踝丈フットウェア1では、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することができるとともに、締め付けすぎずに着用感を良くすることができる。
【0034】
(2)
本発明の第1の実施の形態に係る踝丈フットウェア1では、前側周設部111が足被覆部110に周設され、前側低伸縮部112が前側周設部111の中に編成される。また、前側周設部111を編成する裏糸は、前側周設部111を編成する表糸より摩擦係数が高く、前側周設部111の内側は、踵被覆部120の内側より摩擦係数が高い。また、前側低伸縮部112は、前側周設部111および踵被覆部120より低伸縮である。このため、この踝丈フットウェア1では、装着時において、前側低伸縮部112によって足被覆部110が足の甲側および底側を締め付けると共に、前側周設部111によって足被覆部110が足の甲側および底側に対して滑りにくい状態になる。したがって、この踝丈フットウェア1では、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げをさらに防止することができるとともに、締め付けすぎずに着用感を良くすることができる。
【0035】
(3)
本発明の第1の実施の形態に係る踝丈フットウェア1では、履き口部140は、足首被覆部130の上側に形成されており、上側周設部131を編成する表糸より摩擦係数が高い表糸から編成される。このため、この踝丈フットウェア1では、装着時において、履き口部140が足首(より詳細には、足首のうち足首被覆部130に覆われる部分の上側部分)に対して滑りにくい状態になる。したがって、この踝丈フットウェア1では、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げをさらに防止することができる。
【0036】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る踝丈フットウェア1では言及しなかったが、履き口部140を編成する表糸は、前側周設部111を編成する表糸より摩擦係数が高くてもよい。
【0037】
(B)
先の実施の形態に係る踝丈フットウェア1では言及しなかったが、前側周設部111および前側低伸縮部112が足被覆部110に形成されなくてもよい。
【0038】
(C)
先の実施の形態に係る踝丈フットウェア1では言及しなかったが、上側周設部131の内側または前側周設部111の内側に滑り止めの役目担う天然樹脂(例えば天然ゴムなど)または合成樹脂(シリコンゴムやウレタンゴムなど)などが塗着されてもよいし、上側周設部131または前側周設部111が、表糸および裏糸から編成されるのではなく天然樹脂または合成樹脂などから形成されてもよい。
【0039】
(D)
先の実施の形態に係る踝丈フットウェア1では言及しなかったが、履き口部140は形成されなくてもよい。また、履き口部140は、二重構造でなくてもよく、例えば一重構造、三重以上の多重構造であってもよい。
【0040】
なお、上述の各変形例は単独で採用されてもよいし、矛盾がない範疇で適宜組み合わせて採用されてもよい。
【0041】
-第2の実施形態-
本発明の第2の実施の形態に係る装着具の一例として、
図3に示される膝サポータ2が挙げられる。以下、この膝サポータ2について詳述する。
【0042】
本発明の第2の実施の形態に係る膝サポータ2は、
図3に示されるように、側面視において鉤状を呈しており、主に、下側口部200、下側被覆部210、中央被覆部220、上側被覆部230および上側口部240などから形成されている。なお、本発明の第2の実施の形態に係る膝サポータ2と本発明の第1の実施の形態に係る踝丈フットウェア1との主な違いは、本発明の第2の実施の形態に係る膝サポータ2では両側が開口していることである。以下、これらの部位について詳述する。
【0043】
なお、説明の便宜上、
図3において上下方向および前後方向が規定されている。以下、この方向を用いて膝サポータ2を説明する場合がある。
【0044】
(1)下側口部
下側口部200は、
図3に示されるように、下側被覆部210の下側に形成されており、表糸から編成される。この表糸は、上側周設部231(後述)を編成する表糸より摩擦係数が高く、例えば、割繊糸、ポリウレタン、ナノフロント(登録商標)、クリンパル(登録商標)などである。また、下側口部200は、編地を折り返してから縫合する等して二重構造になっている。なお、下側口部200にはゴム糸が挿入されてもよい。
【0045】
(2)下側被覆部
下側被覆部210は、膝下を覆うための筒形状の部位であって、
図3に示されるように、下側口部200の上端から上側に延びており(中央被覆部220の下端から下側に延びており)、中央被覆部220を介して上側被覆部230と連続している。
【0046】
また、
図3に示されるように下側被覆部210には下側周設部211および下側低伸縮部212が形成され、下側被覆部210のうち下側周設部211および下側低伸縮部212が形成されていない部分は、伸縮性に富む編地(上述)で編成される。下側周設部211は、
図3に示されるように、下側被覆部210に周設されている。なお、下側周設部211は、欠けがない環状になるように下側被覆部210に周設されてもよいし、1箇所以上が欠けた環状になるように下側被覆部210に周設されてもよい。また、
図3に示されるように、下側周設部211の後部は、上側被覆部230の上側周設部231の後部と繋がっている。また、下側周設部211は、表糸および裏糸から編成される。この表糸は、例えば、例えば、綿、麻、毛、絹などの天然糸、またはナイロン、ポリエステルなどの合成糸、もしくはこれらの混紡糸などである。この裏糸は、この表糸より摩擦係数が高い糸であって、例えば、例えば、割繊糸、ポリウレタン、ナノフロント(登録商標)、クリンパル(登録商標)などである。これにより、下側周設部211の内側(肌側)は、中央被覆部220の内側(肌側)より摩擦係数が高くなる。下側低伸縮部212は、
図3に示されるように、下側周設部211の中(内領域)に編成されている。なお、下側低伸縮部212は、下側周設部211内の中央寄りに編成されてもよいし(
図3参照)、下側周設部211内の上寄りに編成されてもよいし、下側周設部211内の下寄りに編成されてもよい。また、下側低伸縮部212は、
図3に示されるように、膝下の後側の箇所が欠けた環状になるように下側周設部211の中に周設されているが、膝下の後側の箇所の他に1箇所以上が欠けた環状になるように下側周設部211の中に周設されてもよい。すなわち、下側低伸縮部212は、下側周設部211の中に編成されるのであれば、様々な形状・形態で編成されてもよい。また、
図3に示されるように、下側低伸縮部212の後端部(すなわち、膝下の後側の欠けが形成される側の端部)は、上側被覆部230の上側低伸縮部232の後端部(すなわち、膝上の後側の欠けが形成される側の端部)と繋がっている。そして、下側低伸縮部212は、表糸または裏糸にボス糸を挿入することで伸びが抑制されるように形成され、下側周設部211および踵被覆部120より低伸縮となる。表糸は、例えば、綿、麻、毛、絹などの天然糸、またはナイロン、ポリエステルなどの合成糸、もしくはこれらの混紡糸などである。裏糸は、この表糸より摩擦係数が高い糸であって、例えば、割繊糸、ポリウレタン、ナノフロント(登録商標)、クリンパル(登録商標)などである。ボス糸は、伸縮性と柔軟性の高い糸であって、例えばウーリーナイロンなどを用いることが好ましい。なお、他の編成方法として、タック編みにて編成したり、度目を小さくしたり、ゴム糸を挿入したり、もしくはこれらの方法を組み合わせたりすることで、下側低伸縮部212が下側周設部211および踵被覆部120より低伸縮となってもよい。また、ボス糸を挿入する場合、ボス糸を下側周設部211の内側すなわち肌側に渡らせることが好ましく、肌側を渡るボス糸の長さは、着用時に指がボス糸に引っかからない程度の長さが好ましい。なお、ボス糸の長さは、着用者の年齢、性別、体格等に合わせて適宜調節される。ボス糸が肌側を渡っている箇所でカットされていない場合、より伸びが抑制され、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを好適に防止することができる。ボス糸が肌側を渡っている箇所でカットされる場合、伸縮性が適度に維持されるため、程よい締め付けで履き心地がよくなるとともに、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することができる。また、ボス糸の長さが指の幅よりも長い場合は、ボス糸を渡っている箇所でカットすることで、指がボス糸に引っ掛かることを防ぐことが出来る。また、ボス糸周辺の度目を詰めることで、伸びが抑制され、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを好適に防止するとともに、ボス糸の抜け落ちを防ぐことが出来る。
【0047】
(3)中央被覆部
中央被覆部220は、膝を覆うための部位であって、
図3に示されるように下側被覆部210の上端から上側に延びており、伸縮性に富む編地(上述)で編成される。また、上述の通り、中央被覆部220の内側(肌側)は、下側周設部211の内側(肌側)より摩擦係数が低くなり、中央被覆部220は、下側低伸縮部212より高伸縮となる。また、後述するが、中央被覆部220の内側(肌側)は、上側周設部231の内側(肌側)より摩擦係数が低くなり、中央被覆部220は、上側低伸縮部232より高伸縮となる。
【0048】
(4)上側被覆部
上側被覆部230は、膝上を覆うための筒形状の部位であって、
図3に示されるように、中央被覆部220の上端から上側に延びており、中央被覆部220を介して下側被覆部210と連続している。
【0049】
また、
図3に示されるように上側被覆部230には上側周設部231および上側低伸縮部232が形成され、上側被覆部230のうち上側周設部231および上側低伸縮部232が形成されていない部分は、伸縮性に富む編地(上述)で編成される。上側周設部231は、
図3に示されるように、上側被覆部230に周設されている。なお、上側周設部231は、欠けがない環状になるように上側被覆部230に周設されてもよいし、1箇所以上が欠けた環状になるように上側被覆部230に周設されてもよい。また、上述の通り、上側周設部231の後部は、下側被覆部210の下側周設部211の後部と繋がっている。また、上側周設部231は、表糸および裏糸から編成される。この表糸は、例えば、例えば、綿、麻、毛、絹などの天然糸、またはナイロン、ポリエステルなどの合成糸、もしくはこれらの混紡糸などである。この裏糸は、この表糸より摩擦係数が高い糸であって、例えば、例えば、割繊糸、ポリウレタン、ナノフロント(登録商標)、クリンパル(登録商標)などである。これにより、上側周設部231の内側(肌側)は、中央被覆部220の内側(肌側)より摩擦係数が高くなる。上側低伸縮部232は、
図3に示されるように、上側周設部231の中(内領域)に編成されている。なお、上側低伸縮部232は、上側周設部231内の中央寄りに編成されてもよいし(
図3参照)、上側周設部231内の上寄りに編成されてもよいし、上側周設部231内の下寄りに編成されてもよい。また、上側低伸縮部232は、
図3に示されるように、膝上の後側の箇所が欠けた環状になるように上側周設部231の中に周設されているが、膝上の後側の箇所の他に1箇所以上が欠けた環状になるように上側周設部231の中に周設されてもよい。すなわち、上側低伸縮部232は、上側周設部231の中に編成されるのであれば、様々な形状・形態で編成されてもよい。また、上述の通り、上側低伸縮部232の後端部(すなわち、膝上の後側の欠けが形成される側の端部)は、下側被覆部210の下側低伸縮部212の後端部(すなわち、膝下の後側の欠けが形成される側の端部)と繋がっている。そして、上側低伸縮部232は、表糸または裏糸にボス糸を挿入することで伸びが抑制されるように形成され、上側周設部231および踵被覆部120より低伸縮となる。表糸は、例えば、綿、麻、毛、絹などの天然糸、またはナイロン、ポリエステルなどの合成糸、もしくはこれらの混紡糸などである。裏糸は、この表糸より摩擦係数が高い糸であって、例えば、割繊糸、ポリウレタン、ナノフロント(登録商標)、クリンパル(登録商標)などである。ボス糸は、伸縮性と柔軟性の高い糸であって、例えばウーリーナイロンなどを用いることが好ましい。なお、他の編成方法として、タック編みにて編成したり、度目を小さくしたり、ゴム糸を挿入したり、もしくはこれらの方法を組み合わせたりすることで、上側低伸縮部232が上側周設部231および踵被覆部120より低伸縮となってもよい。また、ボス糸を挿入する場合、ボス糸を上側周設部231の内側すなわち肌側に渡らせることが好ましく、肌側を渡るボス糸の長さは、着用時に指がボス糸に引っかからない程度の長さが好ましい。なお、ボス糸の長さは、着用者の年齢、性別、体格等に合わせて適宜調節される。ボス糸が肌側を渡っている箇所でカットされていない場合、より伸びが抑制され、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを好適に防止することができる。ボス糸が肌側を渡っている箇所でカットされる場合、伸縮性が適度に維持されるため、程よい締め付けで履き心地がよくなるとともに、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することができる。また、ボス糸の長さが指の幅よりも長い場合は、ボス糸を渡っている箇所でカットすることで、指がボス糸に引っ掛かることを防ぐことが出来る。また、ボス糸周辺の度目を詰めることで、伸びが抑制され、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを好適に防止するとともに、ボス糸の抜け落ちを防ぐことが出来る。
【0050】
ところで、従来のタック編みやゴム糸挿入などによる締め付け力だけで装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げが防止される場合、着圧が強くなりすぎたり装着後肌に跡が残ったりするため、締め付けが不快などの着用感の低下につながることがある。本発明に係る膝サポータ2は、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止するために伸縮性と高摩擦に着目している。比較的摩擦係数が高い裏糸で編成された下側周設部211の中に下側低伸縮部212をゴム糸挿入で形成する場合や、比較的摩擦係数が高い裏糸で編成された上側周設部231の中に上側低伸縮部232をゴム糸挿入で形成する場合は、ゴム糸の送り量を調整することで、タック編みで形成する場合はタックする目数を調整することで、締め付け力だけで装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止する従来の設計とは異なり、締め付けすぎることなく装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することが出来る。このため、体質的に肌が弱い方や皮膚が薄い子どもなどこれまで以上に幅広い方が、本発明に係る膝サポータ2を安心して着用することができる。
【0051】
(5)上側口部
上側口部240は、
図3に示されるように、上側被覆部230の上側に形成されており、表糸から編成される。この表糸は、上側周設部231を編成する表糸より摩擦係数が高く、例えば、割繊糸、ポリウレタン、ナノフロント(登録商標)、クリンパル(登録商標)などである。また、上側口部240は、編地を折り返してから縫合する等して二重構造になっている。なお、上側口部240にはゴム糸が挿入されてもよい。
【0052】
<本発明の実施の形態に係る膝サポータの特徴>
(1)
本発明の第2の実施の形態に係る膝サポータ2では、上側周設部231が上側被覆部230に周設され、上側低伸縮部232が上側周設部231の中に編成される。また、上側周設部231を編成する裏糸は、上側周設部231を編成する表糸より摩擦係数が高く、上側周設部231の内側は、中央被覆部220の内側より摩擦係数が高い。また、上側低伸縮部232は、上側周設部231および中央被覆部220より低伸縮である。このため、この膝サポータ2では、装着時において、上側低伸縮部232によって上側被覆部230が膝上を締め付けると共に、上側周設部231によって上側被覆部230が膝上に対して滑りにくい状態になる。したがって、この膝サポータ2では、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げを防止することができるとともに、締め付けすぎずに着用感を良くすることができる。
【0053】
(2)
本発明の第2の実施の形態に係る膝サポータ2では、下側周設部211が下側被覆部210に周設され、下側低伸縮部212が下側周設部211の中に編成される。また、下側周設部211を編成する裏糸は、下側周設部211を編成する表糸より摩擦係数が高く、下側周設部211の内側は、中央被覆部220の内側より摩擦係数が高い。また、下側低伸縮部212は、下側周設部211および中央被覆部220より低伸縮である。このため、この膝サポータ2では、装着時において、下側低伸縮部212によって下側被覆部210が膝下を締め付けると共に、下側周設部211によって下側被覆部210が膝下に対して滑りにくい状態になる。したがって、この膝サポータ2では、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げをさらに防止することができるとともに、締め付けすぎずに着用感を良くすることができる。
【0054】
(3)
本発明の第2の実施の形態に係る膝サポータ2では、下側口部200は、下側被覆部210の下側に形成されており、上側周設部231を編成する表糸より摩擦係数が高い表糸から編成される。また、上側口部240は、上側被覆部230の上側に形成されており、上側周設部231を編成する表糸より摩擦係数が高い表糸から編成される。このため、この膝サポータ2では、装着時において、下側口部200が膝下に対して滑りにくい状態になり、上側口部240が膝上に対して滑りにくい状態になる。したがって、この膝サポータ2では、装着時の歩行・運動等の動きにおけるズレ・脱げをさらに防止することができる。
【0055】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る膝サポータ2では言及しなかったが、下側口部200または上側口部240を編成する表糸は、下側周設部211を編成する表糸より摩擦係数が高くてもよい。
【0056】
(B)
先の実施の形態に係る膝サポータ2では言及しなかったが、下側周設部211および下側低伸縮部212が下側被覆部210に形成されなくてもよい。
【0057】
(C)
先の実施の形態に係る膝サポータ2では言及しなかったが、上側周設部231の内側または下側周設部211の内側に滑り止めの役目担う天然樹脂または合成樹脂などが塗着されてもよいし、上側周設部231または下側周設部211が、表糸および裏糸から編成されるのではなく天然樹脂または合成樹脂などから形成されてもよい。
【0058】
(D)
先の実施の形態に係る膝サポータ2では言及しなかったが、上側口部240または下側口部200は形成されなくてもよい。また、上側口部240または下側口部200は、二重構造でなくてもよく、例えば一重構造、三重以上の多重構造であってもよい。
【0059】
(E)
先の実施の形態では本発明が膝サポータ2に適用されたが、本発明は肘サポータに適用されてもよい。かかる場合、肘サポータの下側被覆部は肘下を覆うこととなり、肘サポータの中央被覆部は肘を覆うこととなり、肘サポータの上側被覆部は肘上を覆うこととなる。
【0060】
なお、上述の各変形例は単独で採用されてもよいし、矛盾がない範疇で適宜組み合わせて採用されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 踝丈フットウェア(装着具)
110 足被覆部(第2筒部)
111 前側周設部(第2周設部)
112 前側低伸縮部(第2低伸縮部)
120 踵被覆部(被覆部)
130 足首被覆部(第1筒部)
131 上側周設部(第1周設部)
132 上側低伸縮部(第1低伸縮部)
140 履き口部(通し口部)
2 膝サポータ(装着具)
210 下側被覆部(第2筒部)
211 下側周設部(第2周設部)
212 下側低伸縮部(第2低伸縮部)
220 中央被覆部(被覆部)
230 上側被覆部(第1筒部)
231 上側周設部(第1周設部)
232 上側低伸縮部(第1低伸縮部)
240 上側口部(通し口部)