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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027274
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】封じ込めブース
(51)【国際特許分類】
   E21F 1/14 20060101AFI20240222BHJP
   E21F 5/20 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
E21F1/14
E21F5/20
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129942
(22)【出願日】2022-08-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】391061646
【氏名又は名称】株式会社流機エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 章
(72)【発明者】
【氏名】山口 章
(57)【要約】
【課題】トンネル工事用機械を稼働した際にその機械の周囲に発生する粉塵がトンネル坑内に拡散することを防止する封じ込めブースを提供すること。
【解決手段】トンネル工事においてトンネル坑内100に設置され、トンネル工事に用いるトンネル工事用機械20を内部に収容し、前記トンネル工事用機械20の稼働により生じる粉塵を内部に封じ込める封じ込めブース1であって、前記封じ込めブース1は、トンネル坑内100の切羽側FSの一部の空間を、仕切りシート7を用いて囲うことにより形成されたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル工事においてトンネル坑内に設置され、トンネル工事に用いるトンネル工事用機械を内部に収容し、前記トンネル工事用機械の稼働により生じる粉塵を内部に封じ込める封じ込めブースであって、
前記封じ込めブースは、
トンネル坑内の切羽側の一部の空間を、仕切りシートを用いて囲うことにより形成されたものであることを特徴とする封じ込めブース。
【請求項2】
前記仕切りシートには、
前記封じ込めブースの内部の汚染空気を吸引し、粉塵を除去した浄化空気を前記封じ込めブースの外部に排出して、前記封じ込めブースの内部を負圧にする集塵機が連結されている請求項1記載の封じ込めブース。
【請求項3】
前記仕切りシートの端部にその端部に沿って延在するバルーンが設けられている請求項1記載の封じ込めブース。
【請求項4】
前記封じ込めブースを形成する一部の面にトンネル壁面が用いられ、
前記仕切りシートの端部が前記トンネル壁部と連結されている請求項1記載の封じ込めブース。
【請求項5】
前記仕切りシートは、
前記トンネル坑内の切羽側に設けられ、トンネルの幅方向一方側の壁部からトンネルの幅方向他方側へ向かって延在する前方仕切りシートと、
前記トンネル坑内の坑口側に設けられ、トンネルの幅方向一方側の壁部からトンネルの幅方向他方側へ向かって延在する後方仕切りシートと、
前記前方仕切りシートの幅方向他方側部分と前記後方仕切りシートの幅方向他方側部分の間を繋ぐ、トンネルの前後方向に延在する側方仕切りシートと、
を有する請求項1記載の封じ込めブース。
【請求項6】
前記封じ込めブースの内部にズリを搬入するための開口部が前記側方仕切りシートの一部に設けられ、
下部に切り欠きを有する飛散防止シートが前記開口部に設けられている請求項5記載の封じ込めブース。
【請求項7】
トンネル上壁面にトンネルの前後方向に延在するレールが設けられ、
前記側方仕切りシートの上部は前記レールに連結されており、
前記側方仕切りシートは前記レールに沿ってトンネルの前後方向に開閉可能である請求項5記載の封じ込めブース。
【請求項8】
トンネルの前後方向に所定の間隔を空けて複数の支保工が設けられており、
前記レールは磁石を介して前記支保工に連結される請求項7記載の封じ込めブース。
【請求項9】
前記側方仕切りシートの下端部に錘が設けられ、
前記錘によって、前記側方仕切りシートの下端部がトンネルの路面に密接する請求項7記載の封じ込めブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル工事中のトンネル坑内に設けられる、トンネル工事用機械を収容する封じ込めブースに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル工事用機械を稼働するとその機械の周囲に粉塵が発生する。
【0003】
例えば山岳トンネル工事におけるずり処理においては、従来ダンプを用いてずりを搬送していたが、近年はクラッシャー付きのコンベア(クラッシャー付きの長尺コンベアのほか、クラッシャー付きの長尺でないコンベアも含む。以下の説明では、「クラッシャー付きコンベア」と略す。)を用いるようになっている。ダンプを用いないことによって、(1)ダンプの損料や燃料費や維持費がかからない、(2)ダンプの運転手が不要のため人件費が浮く、(3)ダンプが坑内を走行することに起因する事故の可能性がない、(4)ダンプが走行する際に生じる地面の上の粉塵の巻き上げがない、(5)ダンプ走行時の有害ガスの発生がなく、かつ二酸化炭素の排出量も削減できる、等の様々な利点がある。
【0004】
しかし、前記クラッシャー付きコンベアを用いることは利点ばかりでない。例えば、クラッシャー付きコンベアを用いたずり処理(ずり出し)では、発破後の大きな岩塊をクラッシャーで破砕した後、破砕物(破砕されて小さくなったずり)をコンベアで坑口側へ搬送する。この岩塊をクラッシャーで破砕するときに大量の粉塵が発生するため、トンネル坑内の環境が汚染されて現場作業員の健康が損なわれてしまう危険性がある。
【0005】
しかも、クラッシャー付きコンベアにおける粉塵の発生箇所はそれだけではない。すなわち、クラッシャーの上部(破砕部上部)だけに粉塵が発生するのではなく、(1)粗大岩塊の投入部分(ずり受け入れ口、ホッパー、グリズリフィーダーなど)、(2)破砕されたずりの排出部分(排出口など)、(3)一次コンベアの排出口、(4)エクステンション乗り継ぎ部、(5)長尺コンベア乗り継ぎ部、などでも粉塵が発生する。このように粉塵はクラッシャー付きコンベアの様々な箇所で発生し、その粉塵の発生エリアは例えばトンネルの幅方向に約4m、トンネルの前後方向(トンネルの延在方向)に約30mといった広範囲に及ぶこともある。
【0006】
また、粉塵の発生以外にも以下のような問題が生じる。
【0007】
例えば、トンネルの切羽の位置は発破を行うごとに奥へ奥へと変化するため、切羽とクラッシャー付きコンベア間の距離が徐々に長くなる。切羽近傍のずり(粗大岩塊等)をクラッシャー付きコンベアへ運ぶためにショベルローダーを用いているが、そのショベルローダーの走行距離が次第に長くなるため、ショベルローダーによるずりの運搬作業時間も次第に長くなり、生産性が低下してしまう。このような不都合を防止するため、現場では月に2回以上の頻度でクラッシャー付きコンベアを切羽側へ移動させている。
【0008】
クラッシャー付きコンベアを切羽側へ移動させる際、切羽とクラッシャー付きコンベア間の距離を短くすることが好ましく、この距離を約50m以内にすることが好ましい。切羽とクラッシャー付きコンベア間の距離が短くなると、切羽とクラッシャー付きコンベア間を往復するショベルローダーの走行距離が短くなり、ズリの運搬効率が向上する。また、ショベルローダーのガソリン燃料の消費やタイヤの摩耗等が少なくなり、さらに、ショベルローダーから排出される排ガス量も少なくなるという利点もある。以上のように、クラッシャー付きコンベアを切羽から50m以内に配置することが好ましいが、発破時に生じる飛び石がクラッシャー付きコンベアに衝突してクラッシャー等が故障しないようにするため、現実にはクラッシャー付きコンベアを切羽から50m以上坑口側へ離れた位置に設置せざるを得ないという問題がある。
【0009】
また、クラッシャー付きコンベアを切羽近傍に設けると、クラッシャーから生じた粉塵が切羽側に流れたときに、切羽近傍の空気を汚染してしまうおそれがあるという問題もある。
【0010】
また、トンネル工事における切羽近傍の換気にはプッシュ・プル方式が用いられることが少なくない。この方式は、切羽近傍の天井付近に送気ダクトを設置するとともに、切羽から坑口側へ100m程度離れた位置の路面に吸引ダクトを設置し、送気ダクトから切羽へ向かって送風するとともに、切羽からの空気を吸引ダクトで吸引することにより、切羽近傍で生じた汚染空気を坑口側へ移動させて、切羽近傍の空気を清浄化する換気方式である。このプッシュ・プル方式では、実際には、吸引ダクトが設置された位置(切羽から100m程度離れた位置)の空気は清浄化されやすいが、切羽から吸引ダクトまでの距離が長いため、切羽近傍の空気は比較的清浄化されづらいという問題がある。作業員は切羽近傍で作業することが多いため、切羽近傍の空気を清浄化するニーズが高く、吸引ダクトやその吸引ダクトに連結された集塵機をできる限り切羽の近くに設置することが望まれる。しかし、切羽近傍に吸引ダクトや集塵機を設置した場合、発破時に生じる飛び石が衝突して吸引ダクトや集塵機が故障してしまう可能性が高く、結果的に吸引ダクトや集塵機を切羽から遠ざけざるを得ないという問題がある。
【0011】
さらに、切羽から坑口側へ100m程度離れた位置には、レーザー測量機やドリフターの自動削孔システムを配置することも多いが、これらの機器(レーザー測量機や自動削孔システム)と切羽との間にクラッシャー付きコンベアを配置する場合、互いの干渉を避けなければならない、という問題がある。
【0012】
なお、本発明に関する先行技術として、下記特許文献1および特許文献2に開示された発明がある。
【0013】
特許文献1に記載されたトンネル換気方法とトンネル換気システムは、トンネルの切羽側から坑口側へ向かって順に第一の位置、第二の位置、第三の位置を定め、複数のエアカーテンを形成する発明である。そしてこの発明によれば、粉塵が混入した空気の遮蔽性に優れ、トンネル内換気性に優れたものとすることができる、との効果が示されている。
【0014】
特許文献2に記載された切羽封じ込め方法では、トンネルの天井壁面および内壁側面から所定の範囲に隔壁を形成し 、隔壁よりも切羽側に排気管の一端を設け、排気管で隔壁と切羽との間の空間における汚染空気を集塵することで、坑口側から切羽側へ空気を流れさせて汚染空気の拡散を防止する旨が開示されている。そしてこの発明によれば、トンネル工事において切羽付近から発生する汚染空気がトンネル内全体に拡散することを抑止し、汚染空気を排出することができるとの効果が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2016-33325号公報
【特許文献2】特開2012-202093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、前記特許文献1に開示されたエアカーテンでは、粉塵が混入した空気の遮蔽性が十分ではないとの問題がある。また、エアカーテンの形成には送風量と集塵量のバランスを取ることが重要であり、このバランスが崩れると上手くエアカーテンが形成されないという問題がある。特に、季節や気温によって送風量が変わってしまうため、実際の施工現場では設計通りのエアカーテンを形成しづらいという問題がある。
【0017】
また、特許文献2に開示された切羽封じ込め方法は、トンネル横断面の上部及び両側部にそれぞれ配置したバルーンによって汚染空気を遮断することができるが、横断面の中央部に大きな開口が設けられているため、汚染空気の遮断が十分でない。しかも、トンネルの前後方向における1箇所にバルーンを設けるに過ぎないため、クラッシャー付きコンベアのように、前後方向に長く延びた装置の至る所で発生する粉塵に対応することは困難である。
【0018】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、トンネル工事用機械を稼働した際にその機械の周囲に発生する粉塵がトンネル坑内に拡散することを防止する封じ込めブースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
【0020】
(第1の態様)
トンネル工事においてトンネル坑内に設置され、トンネル工事に用いるトンネル工事用機械を内部に収容し、前記トンネル工事用機械の稼働により生じる粉塵を内部に封じ込める封じ込めブースであって、
前記封じ込めブースは、
トンネル坑内の切羽側の一部の空間を、仕切りシートを用いて囲うことにより形成されたものであることを特徴とする封じ込めブース。
【0021】
(作用効果)
トンネル坑内の切羽側の一部の空間に封じ込めブースを設け、その封じ込めブース内にトンネル工事用機械を収容することで、トンネル工事用機械の稼働により粉塵が生じた際に、その粉塵を封じ込めブース内に封じ込めることができる。その結果、封じ込めブースの外側のトンネル坑内がトンネル工事用機械の稼働により生じた粉塵により汚染されることを防ぐことができる。
【0022】
(第2の態様)
前記仕切りシートには、
前記封じ込めブースの内部の汚染空気を吸引し、粉塵を除去した浄化空気を前記封じ込めブースの外部に排出して、前記封じ込めブースの内部を負圧にする集塵機が連結されている前記第1の態様の封じ込めブース。
【0023】
(作用効果)
第2の態様のように、集塵機によって封じ込めブースの内部を負圧にすることで、封じ込めブースの外側から内側へ向かう空気の流れを生成することができる。その結果、封じ込めブースに若干の隙間が生じていた場合であっても、封じ込めブースの内部の汚染空気がその隙間を通って封じ込めブースの外側に漏出することを防ぐことができる。
【0024】
(第3の態様)
前記仕切りシートの端部にその端部に沿って延在するバルーンが設けられている前記第1の態様の封じ込めブース。
【0025】
(作用効果)
仕切りシートの端部に隙間が生じることがあり、封じ込めブースの内部の汚染空気がその隙間を通って封じ込めブースの外側に漏出する可能性がある。仕切りシートの端部にその端部に沿って延在するバルーンを設け、仕切りシートの端部に生じた隙間をそのバルーンで埋めることにより、封じ込めブースの内部の汚染空気が封じ込めブースの外側に漏出する可能性を低減することができる。
【0026】
(第4の態様)
前記封じ込めブースを形成する一部の面にトンネル壁面が用いられ、
前記仕切りシートの端部が前記トンネル壁部と連結されている前記第1の態様の封じ込めブース。
【0027】
(作用効果)
封じ込めブースの一部にトンネル壁面を用いることで、封じ込めブースの部品点数を少なくすることができる。その結果、封じ込めブースの設営が容易になる。また、封じ込めブースの一部の壁面をトンネル壁面にすることで、封じ込めブースの全ての壁面を仕切りシートで構成した場合よりも強度を高くすることができる。その結果、例えばトンネル坑内に強風が生じた場合であっても、そのような強風によって封じ込めブースの形状が変形しづらくなる。
【0028】
(第5の態様)
前記仕切りシートは、
前記トンネル坑内の切羽側に設けられ、トンネルの幅方向一方側の壁部からトンネルの幅方向他方側へ向かって延在する前方仕切りシートと、
前記トンネル坑内の坑口側に設けられ、トンネルの幅方向一方側の壁部からトンネルの幅方向他方側へ向かって延在する後方仕切りシートと、
前記前方仕切りシートの幅方向他方側部分と前記後方仕切りシートの幅方向他方側部分の間を繋ぐ、トンネルの前後方向に延在する側方仕切りシートと、
を有する前記第1の態様の封じ込めブース。
【0029】
(作用効果)
第4の態様と同様の作用効果を奏することができる。
【0030】
(第6の態様)
前記封じ込めブースの内部にズリを搬入するための開口部が前記側方仕切りシートの一部に設けられ、
下部に切り欠きを有する飛散防止シートが前記開口部に設けられている前記第5の態様の封じ込めブース。
【0031】
(作用効果)
側方仕切りシートの一部に開口部を設けることで、封じ込めブースの内部にズリを搬入しやすくなる。また、当該開口部に飛散防止シートを設けることで、封じ込めブースの内部に生じた粉塵が当該開口部を通じて、封じ込めブースの外部に漏出することを防止することができる。なお、飛散防止シートの下部に切り欠きを設けることで、暖簾のように飛散防止シートが左右に開きやすくなるため、ズリが搬入しやすいという利点がある。
【0032】
(第7の態様)
トンネル上壁面にトンネルの前後方向に延在するレールが設けられ、
前記側方仕切りシートの上部は前記レールに連結されており、
前記側方仕切りシートは前記レールに沿ってトンネルの前後方向に開閉可能である前記第5の態様の封じ込めブース。
【0033】
(作用効果)
側方仕切りシートがトンネル前後方向に開閉できる形態にしたことで、トンネル工事用機械が封じ込めブースに出入りすることが容易になる。
【0034】
(第8の態様)
トンネルの前後方向に所定の間隔を空けて複数の支保工が設けられており、
前記レールは磁石を介して前記支保工に連結される前記第7の態様の封じ込めブース。
【0035】
(作用効果)
トンネルに設けられた支保工を利用して、当該支保工に磁石を介してレールを脱着する構成にしたことで、レールの設置や移動が容易になる。
【0036】
(第9の態様)
前記側方仕切りシートの下端部に錘が設けられ、
前記錘によって、前記側方仕切りシートの下端部がトンネルの路面に密接する請求項7記載の封じ込めブース。
【0037】
(作用効果)
側方仕切りシートの下端部に錘を設けることで、側方仕切りシートの下端部がトンネルの路面に密接させることができ、封じ込めブースの内部から外部に粉塵が漏出しづらくなる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、トンネル工事用機械を稼働した際にその機械の周囲に発生する粉塵がトンネル坑内に拡散することを防止する封じ込めブースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明に係る封じ込めブースの実施例を示した概略側面図である。
図2図1の封じ込めブースを反対側から見た概略側面図である。
図3図1及び図2に示す封じ込めブースの平面図である。
図4図1のA-A矢視図である。
図5図1のB-B矢視図である。
図6】飛散防止シートの一例を示した概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る封じ込めブース1の好適な実施例について、図面を参照しながら説明する。なお以下の説明及び図面は本発明の実施形態の一例を示したものにすぎず、本発明の内容をこの実施形態に限定して解釈すべきではない。
【0041】
なお、トンネルの前後方向FBDはトンネルの進行方向のことをいい、切羽側FSとは前側ともいい、坑口側BSとは後側ともいう。また、トンネルの幅方向WDはトンネル横方向ともいい、トンネルの幅方向の左右については、坑口側から切羽側を見たときにおける左右をいう。
【0042】
(封じ込めブース1)
図1図3に示すように、トンネル坑内に封じ込めブース1を設け、この封じ込めブース1の内部にクラッシャー設備20を閉じ込める。なお、クラッシャー設備20とは、ズリ投入部4を備えたクラッシャー2と、クラッシャー2の後方に連結されたテールピース台車3を含むものである。
【0043】
封じ込めブース1内に閉じ込める対象物はクラッシャー設備20に限られるものではなく、ジャンボ、バックホウ、ブレーカーなど、トンネル工事で用いる他の機械を閉じ込めるようにしてもよい。
【0044】
図3図5に示すように、封じ込めブース1はトンネル坑内の幅方向WDの一方側(図示形態では左側LS)に寄せて設けることが好ましい。トンネルの幅方向WD他方側には封じ込めブース1を設けず、この封じ込めブース1を設けていない空間を、他のトンネル工事用機械が通行可能な通行路とすることが好ましい。このように、封じ込めブース1の他方側を通行路とすることで、トンネル工事の作業性を向上させることができる。特に、この通行路にショベルローダーが進入することができるようにすることで、ショベルローダーが切羽から運んできたズリを後述する側方間仕切りシート7Sに設けた開口部OSから封じ込めブース1内に搬入しやすくなる。
【0045】
以上のように、封じ込めブース1を設けることにより、封じ込めブース1内のクラッシャー設備20等から発生した粉塵を封じ込めブース1内に閉じ込めることができる。その結果、トンネル坑内における封じ込めブース1の外側の粉塵濃度を下げることができる。令和2年に改正された厚生労働省の「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」によれば、粉じん濃度目標レベルが3mg/m3以下から2mg/m3以下に変更されたが、粉塵発生量の多いクラッシャー設備20等を前記封じ込めブース1に閉じ込めることにより、前記ガイドラインの粉じん濃度目標レベルの達成を促すことができる。
【0046】
(仕切りシート7)
封じ込めブース1は、トンネル坑内100の一部を所定の区画に仕切る仕切りシート7によって形成される。図1図3の実施形態において、この仕切りシート7は、トンネル坑内100の切羽側FSに設けられ、トンネルの幅方向WDの左側LSのトンネル壁の部分からトンネルの幅方向WDの右側RSへ向かって延在する前方仕切りシート7Fと、トンネル坑内100の坑口側BSに設けられ、トンネルの幅方向WDの左側LSのトンネル壁の部分からトンネルの幅方向WDの右側RSへ向かって延在する後方仕切りシート7Bと、前方仕切りシート7Fの幅方向右側部分(この実施形態では幅方向中央側部分)と後方仕切りシート7Bの幅方向右側部分(この実施形態では幅方向中央側部分)の間を繋ぐ、トンネルの前後方向FBDに延在する側方仕切りシート7Sと、を有する。なお、前方仕切りシート7Fと側方仕切りシート7Sの右側端部は、土べらなどの固定具13によってトンネルの壁面30に固定されている。
【0047】
封じ込めブースを切羽に近づけた場合、発破時に切羽からの飛び石が前方仕切りシート7Fに衝突することも想定されるため、前方仕切りシート7Fの素材には強度の高いものを用いることが好ましい。例えば、前方仕切りシート7Fはポリアリレート系高強力繊維、アラミド繊維、ポリエステルおよびターポリンの群から選ばれた繊維を有することが好ましい。または、前方仕切りシート7Fの切羽側FS表面に、ポリアリレート系高強力繊維、アラミド繊維、ポリエステルおよびターポリンの群から選ばれた繊維を含む補強シートを貼付してもよい。このような高強度の前方仕切りシート7Fは、引張強度が3030N/3cm以上であることが好ましい。
【0048】
なお、前方仕切りシート7Fと後方仕切りシート7Bの間の前後方向FBDの距離FBL(以下では「仕切り間距離」という。)は、閉じ込める作業機械の種類によって適宜変更できるが、例えば図1図3に示すようにクラッシャー設備20を閉じ込める場合は15~30m程度にすることができる。すなわち、この仕切り間距離FBLは、封じ込めブース1内に閉じ込める作業機械の前後方向FBDの距離よりも長くすることが必要ではあるが、この仕切り間距離FBLを長くしすぎることも好ましくない。なぜならば、後述するように封じ込めブース1内を負圧にすることが好ましいが、仕切り間距離FBLが長くなると封じ込めブース1が大きくなる。そのため、封じ込めブース1の内部を負圧にしようとした場合に、負圧にするために大型の集塵機5が必要になるとともに、その集塵機5の運転に必要な電力等も増え、イニシャルコストやランニングコストが高くなる不都合がある。
【0049】
(バルーン8)
前記仕切りシート7の端部にその端部に沿って延在するバルーン8を設けることが好ましい。バルーン8を仕切りシート7の何処に設けるかは特に限定されるものではないが、仕切りシート7の端部に生じやすい隙間を埋めるようにバルーン8を設け、その隙間を通じて封じ込めブース1内から外部に粉塵が漏出しないようにすることが好ましい。
【0050】
図4図5に示すように、前方仕切りシート7Fと後方仕切りシート8Bの周囲にバルーン8を設け、前方仕切りシート7Fと後方仕切りシート8Bの周囲を密閉化することが好ましい。より詳しくは、トンネルの壁面(周壁30面)とその周壁30に対向する前方仕切りシート7Fの壁側周縁部の間の隙間を埋めるように、前方仕切りシート7Fの左側端縁部に沿って延在する(図4では曲線を描いて延在する)壁側バルーン8wを設けることが好ましい。また、トンネル路面15と前方仕切りシート7Fの下側端縁部の間の隙間を埋めるように、前方仕切りシート7Fの下側端縁部に沿って延在する(図4では幅方向WDに延在する)下側バルーン8uを設けることが好ましい。このように壁側バルーン8wや下側バルーン8uを設けることにより、封じ込めブース1内の粉塵が前方仕切りシート7Fの壁側や下側に空いた隙間を通って封じ込めブース1の外へ漏れ出ることを防ぐことができる。
【0051】
また、前方仕切りシート7Fのトンネル右側端縁部(図4ではトンネル中央側端縁部)に中央側バルーン8cを設けることが好ましい。中央側バルーン8cを設けることにより、前方仕切りシート7Fと側方仕切りシート7Sの間の隙間を埋めることができるため、当該隙間から封じ込めブース1内の粉塵が封じ込めブース1の外へ漏れ出ることを防ぐことができる。
【0052】
さらに、このトンネル中央側バルーン8cと前記壁側バルーン8wの間を架橋するように幅方向WDに延在する架橋バルーン8xを設けることがより好ましい。この架橋バルーン8xを設けることにより、バルーン8全体の形状のバランスが取れやすくなり、例えば発破時に前方仕切りシート7Fに強い風などが衝突した際などに、バルーン8全体が歪みにくくなる。
【0053】
なお、前述の壁側バルーン8w、中央側バルーン8c、下側バルーン8uおよび架橋バルーン8xは、それぞれの隣接する部分を繋げて一体にすることが好ましい。このように各バルーン8w、8c、8u、8xを繋げて一体化することで、バルーン8w、8c、8u、8xごとに分けて空気を入れなくて良くなるため、バルーン8w、8c、8u、8xに空気を入れて膨らませる際の効率を高めることができる。すなわち、各バルーン8w、8c、8u、8xが繋がっていない場合は、例えば壁側バルーン8wに空気入れを繋げて壁側バルーン8wを膨らませた後、その空気入れを外して中央側バルーン8cに空気入れを繋げて中央側バルーン8cを膨らませ、その後、下側バルーン8uおよび架橋バルーン8xを順次膨らませるという作業をする必要があり、時間と労力がかかる。そこで、各バルーン8w、8c、8u、8xを繋げて一体化することで、例えば壁側バルーン8wに空気入れを繋げて壁側バルーン8wに空気を入れ始めると、その壁側バルーン8wに入った空気は隣接する他のバルーン8c、8u、8xにも流れるため、空気入れの取り付けと取り外しを繰り返す必要がなくなり、空気入れをする際の時間と労力を減らすことができる。特に、壁側バルーン8wの上下方向の中間部分と中央側バルーン8cの上下方向の中間部分を架橋バルーン8xで繋ぐことで、バルーン8全体に空気を入れてバルーン8全体を膨らませる際に、空気が入りやすく膨らませやすくなるという利点がある。
【0054】
以上のようなバルーン8には公知の素材を用いることができ、例えばポリエステル繊維の布や、化学繊維(例えばポリエステル繊維)の布の両面又は片面を合成樹脂(例えば塩化ビニールの樹脂)でコーティングしたシート(通称としてターポリン)を用いることができる。
【0055】
以上の説明では、前方仕切りシート7Fの周囲に設けるバルーン8について述べたが、前方仕切りシート7Fと同様に、後方仕切りシート7Bにおいても各バルーン8w、8u、8cを設けることができる。
【0056】
(集塵機5)
図1図3に示すように、集塵ブース1の後方には集塵機5が設けられており、この集塵機5に内蔵された吸引ファンによって封じ込めブース1内の空気を吸引し、封じ込めブース1内の空気を清浄化するとともに、封じ込めブース1内を負圧に保つようにすることが好ましい。封じ込めブース1内を負圧に保つことにより、作業機械の作動などによって封じ込めブース1内に粉塵が発生した場合に、その粉塵が封じ込めブース1の外に漏出することを防ぐことができる。例えば、図1において、切羽近傍のズリを運ぶショベルローダー(図示しない)がズリ投入部4にズリを投入する際や、クラッシャー2の後端部からテールピース台車3にズリが落下する際に、封じ込めブース1内に多量の粉塵が発生することが想定されるが、その場合であっても封じ込めブース1内を負圧に保つことで、発生した粉塵が封じ込めブース1の外に漏出することを防ぐことができる。
【0057】
集塵機5の先端側に取り付けた導入管5Bは、後述の後方仕切りシート7Bに接続される。この後方仕切りシート7Bには前記導入管5Bの直径とほぼ同じ直径の開口部OBp(「導入管用後方開口部OBp」ともいう。)が設けられており、導入管5Bの先端部はこの開口部OBpの内部に挿入される。導入管5Bと開口部OBpの各直径をほぼ同じ長さにすることで、前記開口部OBpを通じて、封じ込めブース1の内部から粉塵が漏出することを防ぐことができる。
【0058】
なお、集塵機5の種類は特に限定されず、市販されている任意のものを用いることができる。図1の集塵機5は、複数のカートリッジフィルタを並列配置したフィルタ部5Aと、その後方に配置した吸引ファン5C、排気口5Dなどを有している。
【0059】
(側方仕切りシート7S)
前述のように、図1図5に示す実施形態に係る封じ込めブース1は、一方側(図示形態では左側LS)及び上方HISにトンネルの周壁30があり、他方側(図示形態では右側LS)に側方仕切りシート7Sが設けられている。
【0060】
この側方仕切りシート7Sに開口部OS(「側方開口部OS」ともいう。)を設けることが好ましい。図1図5に示す実施形態では、この開口部OSを介して、ショベルローダーが横方向WDからズリ投入部4にズリを投入する構成になっている。ズリの投入によって封じ込めブース1内に生じた粉塵が前記開口部OSを通じて封じ込めブース1の外に漏出しないようにするため、前述のように集塵機5によって封じ込めブース1内の空気を吸引させ、トンネル坑内100から封じ込めブース1内へ向かって流れる風WNDを発生させることが好ましい。この風WNDの速さは集塵機5の吸引力によって左右されるが、前記開口部OSを通過する風WNDの速さを例えば0.3~0.5m/s程度にすることが好ましい。風WNDの速さが0.3m/sよりも遅いと、封じ込めブース1内に生じた粉塵が封じ込めブース1の外に漏れ出てしまうおそれがある。また、風WNDの速さが0.5m/sよりも速いと、側方仕切りシート7Sの下側部分が封じ込めブース1側に流れて傾いたり、風速が変化した際にバタついたりしてしまうおそれがある。
【0061】
また、封じ込めブース1内に生じた粉塵が、封じ込めブース1の外に漏れ出ないようにするため、開口部OSをできるだけ密閉することが好ましい。そのため、前記開口部OSに粉塵の飛散を防止する飛散防止シート11(以下、「側方飛散防止シート11s」という。)を設けることが好ましい。この側方飛散防止シート11sとして、例えば図6に記載したような下部に切り欠き10を有する暖簾のような形状のシートを用いることができる。側方飛散防止シート11sの素材は特に限定されるものではないが、側方飛散防止シート11sをショベルローダーのショベルなどが通ることから所定の強度や耐久性がある素材を用いることが好ましく、アラミドやポリエステルなどの繊維からなる布を用いることが好適である。また、側方飛散防止シート11sは前記開口部OS全体を塞ぐように設けることが好ましい。具体的には、開口部OSとほぼ同じ大きさの側方飛散防止シート11sを設けるか、開口部OSよりも若干大きい又は若干小さい側方飛散防止シート11sを設けることが好ましい。
【0062】
なお、前記側方仕切りシート7Sはカーテンのように開閉できるものにすることが好ましい。具体的には、トンネル壁面30(上壁面)またはその近傍にトンネルの前後方向FBDに沿ってレール6を設置し、このレール6に沿って側方仕切りシート7Sをカーテンのようにトンネル前後方向FBDに開閉することができるようにすることが好ましい。この側方仕切りシート7Sは両開きにしても良いし片開きにしても良い。
【0063】
側方仕切りシート7Sを開閉できるようにすることで、封じ込めブース1内に設置されるクラッシャー設備20の移設、設備点検、補修が容易になるという利点がある。
【0064】
なお、トンネル工事の進行に伴って、レール6を切羽側へ移設することが必要になる。この移設を容易にするため、レール6の上部にマグネットを取り付け、このマグネットを介してレール6とトンネル支保工を連結させることが好ましい。このレール6の上部にマグネットを直接取り付けても良いし、他の部材を介して間接的に取り付けても良い。
【0065】
(錘12)
側方仕切りシート7Sの下端部に錘12を設け、この錘12の重力によって、側方仕切りシート7Sの下端部をトンネルの路盤に接触させて、封じ込めブース1内の粉塵が封じ込めブース1の下方からも漏出しないようにすることが好ましい。この錘12の種類は特に限定されるものではなく、土嚢など側方仕切りシート7Sを下方に沈ませることができるものであれば任意のものを用いることができる。なお、側方仕切りシート7Sはトンネル前後方向FBDに延出したものであるため、側方仕切りシート7Sの下端部に例えば釣り具として用いられる錘12をトンネル前後方向FBDに所定の間隔を空けながら設けるよりも、側方仕切りシート7Sの下端部にトンネル前後方向FBDに延在するように配置したチェーンなどを用いるほうが好ましい。
【0066】
(側方バルーン8S)
側方仕切りシート7Sとトンネル上壁面との間に隙間があると、封じ込めブース1の内部で発生した粉塵の封じ込めができず、封じ込めブース1内から封じ込めブース1外に粉塵が漏出するおそれがある。このような漏出を防ぐため、側方仕切りシート7Sとトンネル30(上壁面)との間に、トンネル前後方向FBDに延在する側方バルーン8Sを設け、このバルーン8Sを膨張させて、側方仕切りシート7Sとトンネル上壁面との間の隙間を埋め、封じ込めブース1の周囲を密閉化することが好ましい。なお、側方仕切りシート7Sの上方にはレール6が敷設されているため、そのレール6を挟んで、側方バルーン8Sを側方仕切りシート7Sの一方側(封じ込めブース1の内側)に一つ設けるとともに、他方側(封じ込めブース1の外側)にも一つ設けると、封じ込めブース1の密閉化がより確かなものとなるので好ましい。
【0067】
(コンベア14)
テールピース台車3の後端部近傍には、トンネル坑内100の前後方向FBSに沿って延出するコンベア14(例えばベルトコンベア)が設けられている。詳しくは、コンベア14の先端部はテールピース台車3の後端部の下方に配置され、コンベア14の後端部はトンネル坑外の任意の場所(トンネル坑内の坑口側の任意の場所でもよい)に配置されている。また、このコンベア14は、テールピース台車3の後側BSにある後方仕切りシート7Bに設けられた開口部OBc(「コンベア用後方開口部OBc」ともいう。)の内部を通って、封じ込めブース1内から封じ込めブース1外へ延出するように配置されている。封じ込めブース1内の粉塵が、前記開口部OBcから封じ込めブース1の外に漏出することを防ぐため、飛散防止シート11(以下、「後方飛散防止シート11b」という。)を設けることが好ましい。この後方飛散防止シート11bの形状、素材、大きさは、前述の側方飛散防止シート11sと同様のものにすることが好ましい。
【0068】
(効果)
前記実施形態の封じ込めブース1によれば、クラッシャー設備20を封じ込めブース1内に配置し、封じ込めブース1内を密閉化することで、ズリ投入時などに生じる粉塵を封じ込めブース1内に封じ込めることができるため、トンネル切羽近傍の空気の汚染が極めて少なくなり、良好な作業環境を創出することができる。
【0069】
また、側方仕切りシート7Sを移動可能なカーテン方式にすることにより、クラッシャー設備20の移設、点検及び補修が容易になる。
【0070】
また封じ込めブース1の移設は人力で可能であり、短時間で設営できる。
【0071】
さらに、封じ込めブース1を設けたことにより、発破時に生じる飛び石からクラッシャー設備20を保護することもできる。
【0072】
(その他)
なお、図1図5の実施形態は、封じ込めブース1の左側LS側面と天面に仕切りシート7を設けず、その仕切りシート7の代わりにトンネルの壁面30を利用した形態であるが、必ずしもこのような形態に限られるものではない。例えば、図1図5の実施形態において、封じ込めブース1の左側LS側面と天面のどちらか一方に仕切りシート7を設ける形態にしてもよい。また、例えば、封じ込めブース1の全ての面を仕切りシート7で構成してもよい。このような場合は、仕切りシート7を安定させるために、テントのように、内部にポールなどの支持部材を設けることが好ましい。
【0073】
また、図1図5の実施形態では、封じ込めブース1の形状を平面視において四角形となるような形態にしているが、必ずしもこのような形態に限られるものではない。例えば、封じ込めブース1の形状を平面視において円形にしたり、三角形や六角形などの多角形状になるようにしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…封じ込めブース、2…クラッシャー、3…テールピース台車、4…ずり投入部、5…集塵機、5A…フィルタ部、5B…導入管、5C…吸引ファン、5D…排気口、6…レール、7…仕切りシート、7F…前方仕切りシート、7B…後方仕切りシート、7S…側方仕切りシート、8…バルーン、8F…前方バルーン、8B…後方バルーン、9…遮断部、9F…前方遮断部、9B…後方遮断部、10…切り欠き、11…飛散防止シート、12…錘、13…固定具、14…コンベア、15…トンネル路面、16…空気供給口、20…クラッシャー設備、30…トンネル周壁、100…トンネル坑内、FBD…前後方向、FS…前側、BS…後側、WD…幅方向、LS…左側、RS…右側、HD…高さ方向、HIS…上側、LOS…下側、LW…左壁面、RW…右壁面、WND…風、OS…側方開口部、OB…後方開口部、OBc…コンベア用後方開口部、OBp…導入管用後方開口部、CA…浄化空気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル工事においてトンネル坑内に設置され、トンネル工事に用いるトンネル工事用機械を内部に収容し、前記トンネル工事用機械の稼働により生じる粉塵を内部に封じ込める封じ込めブースであって、
前記封じ込めブースは、
トンネル坑内の切羽側の一部の空間を、仕切りシートを用いて囲うことにより形成されたものであり、
前記仕切りシートは、
前記トンネル坑内の切羽側に設けられ、トンネルの幅方向一方側の壁部からトンネルの幅方向他方側へ向かって延在する前方仕切りシートと、
前記トンネル坑内の坑口側に設けられ、トンネルの幅方向一方側の壁部からトンネルの幅方向他方側へ向かって延在する後方仕切りシートと、
前記前方仕切りシートの幅方向他方側部分と前記後方仕切りシートの幅方向他方側部分の間を繋ぐ、トンネルの前後方向に延在する側方仕切りシートと、を有し、
トンネル上壁面にトンネルの前後方向に延在するレールが設けられ、
前記側方仕切りシートの上部は前記レールに連結されており、
トンネルの前後方向に所定の間隔を空けて複数の支保工が設けられており、
前記レールは磁石を介して前記支保工に連結されることを特徴とする封じ込めブース。
【請求項2】
前記前方仕切りシート、前記後方仕切りシートおよび前記側方仕切りシートは、前記トンネル坑内の上部から下部まで延在しており、
前記後方仕切りシートには、
前記封じ込めブースの内部の汚染空気を吸引し、粉塵を除去した浄化空気を前記封じ込めブースの外部に排出して、前記封じ込めブースの内部を負圧にする集塵機が連結されており、
前記集塵機は前記後方仕切りシートよりも前後方向後方に設けられている請求項1記載の封じ込めブース。
【請求項3】
前記封じ込めブースは、
前記前方仕切りシートの壁側周縁部に沿って延在して設けられ、トンネルの周壁と当該周壁に対向する前記前方仕切りシートの前記壁側周縁部の間の隙間を埋める壁側バルーンと、
前記前方仕切りシートの下側端縁部に沿って延在して設けられ、トンネル路面と前記前方仕切りシートの下側端縁部の間の隙間を埋める下側バルーンと、の少なくとも一方を有し、
前記前方仕切りシートは、ポリアリレート系高強力繊維、アラミド繊維、ポリエステルおよびターポリンの群から選ばれた繊維を有し、または、前方仕切りシートに、ポリアリレート系高強力繊維、アラミド繊維、ポリエステルおよびターポリンの群から選ばれた繊維を含む補強シートを貼付したものであり、
前記前方仕切りシートの引張強度が3030N/3cm以上である、
請求項1記載の封じ込めブース。
【請求項4】
前記封じ込めブースは、
前記前方仕切りシートのトンネル中央側端縁部に沿って延在して設けられ、前記前方仕切りシートと前記側方仕切りシートの間の間隙を埋める前方の中央側バルーンと、
前記後方仕切りシートのトンネル中央側端縁部に沿って延在して設けられ、前記後方仕切りシートと前記側方仕切りシートの間の間隙を埋める後方の中央側バルーンと、の少なくとも一方を有する、
請求項1または3記載の封じ込めブース。
【請求項5】
前記封じ込めブースは、
前記前方仕切りシートの壁側周縁部に沿って延在して設けられ、トンネルの周壁と当該周壁に対向する前記前方仕切りシートの前記壁側周縁部の間の隙間を埋める壁側バルーンと、
前記前方仕切りシートのトンネル中央側端縁部に沿って延在して設けられ、前記前方仕切りシートと前記側方仕切りシートの間の間隙を埋める前方の中央側バルーンと、
前記前方仕切りシートの幅方向に沿って延在して設けられ、前記壁側バルーンと前記前方の中央側バルーンの間を架橋する架橋バルーンと、を有する、
請求項1記載の封じ込めブース。
【請求項6】
前記側方仕切りシートは前記レールに沿ってトンネルの前後方向に開閉可能であり、
前記側方仕切りシートを開いた状態で、トンネル工事に用いる前記トンネル工事用機械が前記封じ込めブースの内外に側方から出入り可能である構成とした、
請求項1記載の封じ込めブース。