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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027280
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】座屈拘束ブレース
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20240222BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
E04H9/02 311
E04B1/58 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129950
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】岡本 勇紀
【テーマコード(参考)】
2E125
2E139
【Fターム(参考)】
2E125AA33
2E125AB08
2E125AC15
2E125AE01
2E125AE13
2E125AF04
2E125AG04
2E125AG13
2E125AG23
2E125AG41
2E125EA33
2E139AC19
2E139BA04
2E139BD13
(57)【要約】
【課題】様々な大きさの座屈拘束ブレースについて、アンボンド材の幅の共通化を図りつつ、芯材に設けられている突起部の溶接ビードによる悪影響を受け難くする。
【解決手段】座屈拘束ブレース1は、板状体21の長辺方向の両端に他部材との接合のための接合部22を有した芯材2と、板状体21の弱軸方向に直交する各面に対向して配置された拘束材3と、芯材2と拘束材3との間に配置されるアンボンド材4と、芯材2における板状体21の各面の中央側から突出し、拘束材3側に形成されている受け凹部33に嵌る突起部25と、を備える座屈拘束ブレースであって、アンボンド材4は、板状体21の短辺方向の縁に至らない狭幅を有し、当該板状体21の短辺方向中央側に位置しており、突起部25が位置する箇所では、当該突起部25の基部側の溶接ビード25aに重ならず、且つ当該突起部25の上記短辺方向側に位置するように貼付されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体の長辺方向の両端に他部材との接合のための接合部を有した芯材と、上記板状体の弱軸方向に直交する各面に対向して配置された拘束材と、上記芯材と拘束材との間であって当該芯材の一方の接合部と他方の接合部との間に位置するアンボンド材と、上記板状体の上記各面から突出し、上記拘束材側に形成されている受け凹部に嵌って当該拘束材のずれを抑止する突起部と、を備える座屈拘束ブレースであって、
上記アンボンド材は、上記板状体の短辺方向の縁に至らない狭幅を有し、当該板状体の短辺方向中央寄りに位置するとともに、上記突起部および当該突起部の基部側の溶接ビードを避けて位置するための挿通部または離間部を有することを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項2】
請求項1に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記アンボンド材は、上記突起部の上記短辺方向側にも位置することを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項3】
請求項2に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記アンボンド材は、上記芯材の一方の接合部側から他方の接合部側に至る長さを有し、上記挿通部を有する1本の連続アンボンド材からなることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項4】
請求項2に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記アンボンド材は、上記挿通部を有する短尺アンボンド材と、上記短尺アンボンド材の端側から上記接合部側に延びる長尺アンボンド材と、を備えることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項5】
請求項2に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記アンボンド材は、上記長辺方向の上記突起部の長さと略同一長さを有して当該突起部の上記短辺方向側に位置する2枚の横付けアンボンド材と、上記横付けアンボンド材の端側から上記接合部側に延びる長尺アンボンド材と、によって上記離間部を形成することを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項6】
請求項2に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記アンボンド材は、上記長辺方向の上記突起部の長さよりも長い長さを有して当該突起部の上記短辺方向側に位置する2枚の横付けアンボンド材と、一端側が上記2枚の横付けアンボンド材によって上記短辺方向側から挟まれ、他端側が上記接合部側に延びる長尺アンボンド材と、によって上記離間部を形成することを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項7】
請求項2に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記アンボンド材は、上記芯材の一方の接合部側から他方の接合部側に至る長さを有し、少なくとも上記突起部が位置する箇所で上記短辺方向側に互いに離間する2本の連続アンボンド材からなり、上記離間によって上記離間部を形成することを特徴とする座屈拘束ブレース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アンボンド材を備える座屈拘束ブレースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、芯材に拘束材側へ突出する滑り止め突起を基端で溶接して設け、拘束材のコンクリート系材に上記滑り止め突起が嵌まり込んで係合する突起受け金物を埋め込み、上記コンクリート系材に上記滑り止め突起の基端の溶接ビードが入る逃がし凹部を設け、上記突起受け金物は上記溶接ビードに当たらず上記滑り止め突起に当たる範囲に設けた座屈拘束ブレースが開示されている。
【0003】
特許文献2には、芯材と、この芯材の両面に沿って配置した一対の拘束材とを有する座屈拘束ブレースが開示されている。上記一対の拘束材は、それぞれ上記芯材側が開口した溝形鋼材と、この溝形鋼材内に充填したモルタルまたはコンクリートを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-45132号公報
【特許文献2】特開2009-249833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記座屈拘束ブレースにおいては、上記アンボンド材の幅は芯材の幅と同幅とされており、上記芯材の幅が細かな変更幅で設計可能であることから、上記アンボンド材も上記芯材の幅設計に合わせた幅で作製していた。このため、アンボンド材の加工手間が生じ、アンボンド材の納期遅延や歩留まりの低下を招来していた。
【0006】
一方、上記芯材は、その弱軸面の中央部に滑り止め用の突起部を備えており、拘束材との重ね合わせにおいて上記突起部を避けるために、例えば、上記特許文献1に開示された突起受け金物を用いる技術が有用となる。しかしながら、この特許文献1および上記特許文献2は、上記突起部の基部側に生じた溶接ビードにアンボンド材が重なることによる悪影響を回避するためのアンボンド材加工については何ら開示していない。
【0007】
この発明は、様々な大きさの座屈拘束ブレースについて、アンボンド材の幅の共通化を図りつつ、芯材に設けられている突起部の溶接ビードを適切に避けて当該溶接ビードによる悪影響を受け難くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の座屈拘束ブレースは、板状体の長辺方向の両端に他部材との接合のための接合部を有した芯材と、上記板状体の弱軸方向に直交する各面に対向して配置された拘束材と、上記芯材と拘束材との間であって当該芯材の一方の接合部と他方の接合部との間に位置するアンボンド材と、上記板状体の上記各面から突出し、上記拘束材側に形成されている受け凹部に嵌って当該拘束材のずれを抑止する突起部と、を備える座屈拘束ブレースであって、
上記アンボンド材は、上記板状体の短辺方向の縁に至らない狭幅を有し、当該板状体の短辺方向中央寄りに位置するとともに、上記突起部および当該突起部の基部側の溶接ビードを避けて位置するための挿通部または離間部を有することを特徴とする。
【0009】
上記の構成であれば、上記アンボンド材は、上記板状体の短辺方向の縁に至らない狭幅を有するので、様々な大きさの座屈拘束ブレースについて、共通の幅のアンボンド材を用いることができ、アンボンド材の納期の遅延回避および歩留まり向上が可能となる。そして、上記アンボンド材は、上記突起部および当該突起部の基部側の溶接ビードを避けて位置するための挿通部または離間部を有するので、上記突起部の溶接ビードによる悪影響を受け難くすることができる。
【0010】
ここで、上記アンボンド材を上記突起部の箇所で2分割することで上記離間部を形成した構成は、分割の一方のアンボンド材と他方のアンボンド材を上記板状体の長辺方向に各々貼付する簡単な構成となるので、座屈拘束ブレースの作製が容易になる利点がある。ただし、上記突起部の上記芯材の短辺方向側(幅方向側)でアンボンド材が不存在となる。
【0011】
上記アンボンド材を、上記突起部の上記短辺方向側に存在させてもよく、これによれば、上記アンボンド材が上記突起部の上記短辺方向側に不存在となるのを回避できる。
【0012】
上記アンボンド材は、上記芯材の一方の接合部側から他方の接合部側に至る長さを有し、上記挿通部を有する1本の連続アンボンド材からなっていてもよい。これによれば、1本の連続アンボンド材を用いるので、座屈拘束ブレースの作製の効率化が図れる。また、上記挿通部によって上記短辺方向側に回り込んだアンボンド材の部分は、上記突起部を上記短辺方向側から挟むように位置することになる。
【0013】
上記アンボンド材は、上記挿通部を有する短尺アンボンド材と、上記短尺アンボンド材の端側から上記接合部側に延びる長尺アンボンド材と、を備えてもよい。これによれば、上記短尺アンボンド材については、上記挿通部に上記突起部を通すことで容易に上記芯材の中心側に位置させることができる。さらに、上記挿通部が形成済の短尺アンボンド材をロール状或いは積層状に共用品としてストックしておくことで、当該短尺アンボンド材についても、納期の遅延回避および歩留まりを向上でき、座屈拘束ブレースの作製の効率化を図ることもできる。上記長尺アンボンド材についても、一定幅の共用品としてストックしておくことができる。
【0014】
上記アンボンド材は、上記長辺方向の上記突起部の長さと略同一長さを有して当該突起部の上記短辺方向側に位置する2枚の横付けアンボンド材と、上記横付けアンボンド材の端側から上記接合部側に延びる長尺アンボンド材と、によって上記離間部を形成してもよい。これによれば、上記突起部の上記短辺方向側に位置する2枚の横付けアンボンド材が必要となるが、上記アンボンド材の全容としては、上記芯材の一方の接合部側から他方の接合部側へ途切れずに配置されたものとなる。
【0015】
上記アンボンド材は、上記長辺方向の上記突起部の長さよりも長い長さを有して当該突起部の上記短辺方向側に位置する2枚の横付けアンボンド材と、一端側が上記2枚の横付けアンボンド材によって上記短辺方向側から挟まれ、他端側が上記接合部側に延びる長尺アンボンド材と、によって上記離間部を形成してもよい。これによれば、上記突起部の上記短辺方向側に位置する2枚の横付けアンボンド材が必要となるが、アンボンド材の全容としては、上記芯材の一方の接合部側から他方の接合部側へ途切れずに且つ、一部が板状体上で隣り合って配置されたものとなる。
【0016】
上記アンボンド材は、上記芯材の一方の接合部側から他方の接合部側に至る長さを有し、少なくとも上記突起部が位置する箇所で上記短辺方向側に互いに離間する2本の連続アンボンド材からなり、上記離間によって上記離間部を形成してもよい。これによれば、2本の連続アンボンド材が必要であるものの、上記離間部の形成が比較的容易である。
【発明の効果】
【0017】
本発明であれば、様々な大きさの座屈拘束ブレースについて、アンボンド材の幅の共通化を図りつつ、芯材に設けられている突起部の溶接ビードによる悪影響を受け難くする効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の座屈拘束ブレースの外観を示した斜視図である。
図2図1の座屈拘束ブレースの概略の断面図である。
図3図1の座屈拘束ブレースの分解説明図である。
図4】同図(A)、(B)、(C)は、それぞれアンボンド材の他の例を示した説明図である。
図5】同図(A)、(B)は、それぞれアンボンド材の他の例を示した説明図である。
図6】アンボンド材の他の例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1および図2に示すように、実施形態の座屈拘束ブレース1は、芯材2と、一対の拘束材3と、アンボンド材4と、を備える。
【0020】
芯材2は、細長い形状の鋼製の板状体21と、この板状体21の長辺方向の両端側に位置し、他部材との接合するための接合部22と、を有しており、上記接合部22に形成されているボルト挿通孔に通したボルトによって建物の躯体に固定される。上記接合部22は、上記板状体21の両端から延設された延設部分22aに対して直交配置で板片部22bが溶接固定されることで断面略十字形をなしている。
【0021】
拘束材3は、図3にも示すように、上記芯材2の上記板状体21の弱軸方向に直交する各面(弱軸面)にそれぞれ対向して位置する。各拘束材3は、箱状部材31と、硬化部材32と、を備える。
【0022】
各箱状部材31は、一対の対向面部と当該対向面部を繋ぐ繋ぎ面部とを有する溝形鋼状に折り曲げ加工された鋼板からなり、上記芯材2側に開口が位置している。上記箱状部材31における上記対向面部の一方側は、他方側よりも高さが高くされている。そして、一方の箱状部材31における高い側の対向面部は、他方の箱状部材31における低い側の対向面部の外側に重なっており、この重なりの箇所が溶接されることで、上記一対の拘束材3が互いに固定される。また、各箱状部材31の高い側の対向面部の内面における芯材2の配置される高さ相当位置には、当該箱状部材31の長手方向に長い棒状スペーサ35が溶接等により固定されている。
【0023】
また、上記箱状部材31の両端箇所には、当該箱状部材31の端部形状を形成する壁部31aが溶接固定されている。上記壁部31aの高さは、箱状部材31の低い側の対向面部の高さと同じである。上記壁部31aの中央には、上記接合部22の板片部22bにおける上記の高さが低くされた部分との干渉を避けるように凹むことで凹入部31bが形成されている。
【0024】
上記硬化部材32は、上記箱状部材31内に充填されて硬化したものであり、例えば、モルタルまたはコンクリートである。
【0025】
芯材2の中央箇所には、当該芯材2の両面から突出するピン状のずれ止め用の突起部25が設けられている一方、箱状部材31の内面側には、突起部25を受ける受け凹部33が設けられている。突起部25は、受け凹部33に、当該座屈拘束ブレース1の組み立て時に挿入される。すなわち、突起部25は、芯材2における板状体21の各弱軸面の中央側から突出しており、拘束材3側に形成されている受け凹部33に嵌って当該拘束材3のずれを抑止する。突起部25は、鋼棒などの鋼材からなり、例えば、芯材2に設けられた孔内に挿入して溶接により接合される。この溶接によって、突起部25の基端側に溶接ビード25aが形成される。なお、突起部25が板状体21の各弱軸面の中央位置に対して例えば当該板状体21の長手方向に多少ずれた箇所において突出する構成とすることも可能であり、また、各弱軸面に突起部25が2以上突出する構成とすることもできる。
【0026】
アンボンド材4は、芯材2と拘束材3との間であって当該芯材2の一方の接合部22と他方の接合部22との間に配置されており、このアンボンド材4の厚みをクリアランスとして板状体21が圧縮力を受けたときに波状の変形が生じるようになっている。アンボンド材4は、例えば、ブチルゴムなどからなる。
【0027】
また、アンボンド材4は、板状体21の短辺方向の縁に至らない狭幅を有しており、当該板状体21の短辺方向中央側に位置している。また、アンボンド材4の幅は板状体21の短辺方向の長さ(幅)の例えば2割程度以上とすることができ、溶接ビード25aを含めた突起部25の幅よりも広くされる。なお、或る幅の板状体21についての2割幅のアンボンド材4が、他の幅の別の板状体21について、例えば8割幅等となる場合がある。
【0028】
さらに、この実施形態では、アンボンド材4は、芯材2の一方の接合部22側から他方の接合部22側に至る長さを有し、突起部25が通される挿通部として切れ目4aを有する1本の連続アンボンドテープである。切れ目4aは、当該アンボンド材4の中心部において板状体21の長辺方向に切られており、突起部25を通すときには、芯材2の短辺方向側に広げられる。
【0029】
すなわち、アンボンド材4は、突起部25および溶接ビード25aを避けて位置するための挿通部として切れ目4aを有しており、これら突起部25および溶接ビード25aに重ならずに当該突起部25の上記短辺方向側に存在している。
【0030】
上記の構成であれば、アンボンド材4は、芯材2の短辺方向の縁に至らない狭幅を有するので、様々な大きさの座屈拘束ブレース1について、アンボンド材4の幅の共通化を図ることができる。すなわち、芯材2の短辺方向の縁に至らない狭幅のアンボンドテープを、様々な大きさの芯材2について共用できるので、アンボンド材4の納期の遅延回避および歩留まり向上が可能となる。
【0031】
そして、アンボンド材4は、突起部25が位置する箇所では、切れ目4aが広げられて当該突起部25の溶接ビード25aに重ならずに貼付されているので、溶接ビード25aによる悪影響を受け難くすることができる。
【0032】
さらに、アンボンド材4は、芯材2の一方の接合部22側から他方の接合部22側に至る長さを有し、突起部25が通される切れ目4aを有する1本の連続アンボンドテープであるので、座屈拘束ブレース1の作製の効率化が図れる。また、上記切れ目4aによって上記短辺方向側に回り込んだアンボンド材4の部分は、突起部25を上記短辺方向側から挟むように位置することになる。
【0033】
アンボンド材4の板状体21への貼り付けは、例えば、アンボンド材4のロール体から当該アンボンド材4を引き出して行い、アンボンド材4が突起部25に差し掛かったときに、カッターを用いてアンボンド材4に切れ目4aを形成することができる。なお、切れ目4aは、アンボンド材4に対する部分くり抜きによる端材生成が無い点で望ましいが、切れ目4aに代えて、アンボンド材4に対する部分くり抜きによる開口部を形成してもよい。この開口部の大きさは、溶接ビード25aの周囲縁と同一の大きさでもよいが、重なり回避を重視して、上記周囲縁よりも例えば0.5~2mm程度大きくされてもよい。上記開口部の形成は、カッターではなく、専用のくり抜き器を用いればよい。
【0034】
(実施形態2)
以下、この発明の他の実施の形態を図4(A)に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。この実施形態の座屈拘束ブレース1は、アンボンド材4Aを備えている。このアンボンド材4Aは、板状体21の短辺方向の縁に至らない狭幅を有し、当該板状体21の短辺方向中央側に位置しており、突起部25が位置する箇所では、当該突起部25の基部側の溶接ビード25aを避けて位置している。
【0035】
アンボンド材4Aは、突起部25が通される挿通部である開口部4bを中心部に有する短尺アンボンド材41と、この短尺アンボンド材41よりも長く、当該短尺アンボンド材41の端側から各接合部22側に延びる長尺アンボンド材42と、を備える。開口部4bの大きさは、溶接ビード25aの周囲縁と同一の大きさでもよいが、重なり回避を重視して、上記周囲縁よりも例えば0.5~2mm程度大きくされてもよい。
【0036】
短尺アンボンド材41は、例えば、板状体21の短辺方向に平行な2辺と板状体21の長辺方向に平行な2辺からなる四辺形を有しており、上記短辺方向に平行な辺の長さ(幅)は、突起部25の溶接ビード25aの上記短辺方向の幅よりも長く、上記長辺方向に平行な辺の長さは、突起部25の溶接ビード25aの上記長辺方向の長さよりも長い。また、長尺アンボンド材42の上記短辺方向に平行な辺の長さ(幅)は、一例として、短尺アンボンド材41の上記短辺方向(幅方向)の辺長よりも短い。
【0037】
短尺アンボンド材41については、開口部4bに突起部25を通すことで容易に板状体21の中心上に位置させることができる。先に短尺アンボンド材41を板状体21に貼り付け、この短尺アンボンド材41の縁から接合部22側に長尺アンボンド材42を貼り付けていくことができる。
【0038】
開口部4bが形成済の短尺アンボンド材41を連続させたロール体、このような短尺アンボンド材41を複数枚積層した積層体、或いはこのような短尺アンボンド材41を個別に包装した個包装体を共用品としてストックしておくことで、当該短尺アンボンド材41についても、納期の遅延回避および歩留まりを向上でき、座屈拘束ブレース1の作製の効率化を図ることもできる。同様に、長尺アンボンド材42についても、一定幅の共用のロール体としてストックしておくことができる。
【0039】
なお、様々な大きさの座屈拘束ブレース1において突起部25の大きさが極力共通化されている方が、開口部4bの形成済の短尺アンボンド材41の作製の歩留まり向上の観点から望ましい。また、開口部4bに代えて、アンボンド材4Aに切れ目を形成してもよい。
【0040】
(実施形態3)
以下、この発明の他の実施の形態を図4(B)に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。この実施形態の座屈拘束ブレース1は、アンボンド材4Bを備えている。このアンボンド材4Bは、板状体21の短辺方向の縁に至らない狭幅を有し、当該板状体21の短辺方向中央側に位置しており、突起部25が位置する箇所には、当該突起部25の基部側の溶接ビード25aを避けるための離間部4cを有する。
【0041】
アンボンド材4Bは、上記長辺方向の突起部25の長さと略同一長さを有して当該突起部25の上記短辺方向側に位置する2枚の横付けアンボンド材43と、この横付けアンボンド材43の端側から各接合部22側に延びる長尺アンボンド材42と、によって上記離間部4cを形成している。横付けアンボンド材43の幅は、この例では、長尺アンボンド材42の1/2程度としている。もちろん、使用材料の共通化および歩留まりの観点から、横付けアンボンド材43の幅を長尺アンボンド材42と同幅としてもよい。
【0042】
このような構成では、突起部25の上記短辺方向側に位置する2枚の横付けアンボンド材43が必要となるが、アンボンド材4Bの全容としては、芯材2の一方の接合部22側から他方の接合部22側へ途切れずに配置されたものとなる。なお、アンボンド材4Bの貼り付け作製においては、先に横付けアンボンド材43を板状体21に貼り付け、この横付けアンボンド材43の縁から接合部22側に長尺アンボンド材42を延ばして貼り付けていくことができるが、これ以外の貼り付け方を採用することもできる。
【0043】
(実施形態4)
以下、この発明の他の実施の形態を図4(C)に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。この実施形態の座屈拘束ブレース1は、アンボンド材4Cを備えている。このアンボンド材4Cは、板状体21の短辺方向の縁に至らない狭幅を有し、当該板状体21の短辺方向中央側に位置しており、突起部25が位置する箇所では、当該突起部25の溶接ビード25aを避けるための離間部4cを有する。
【0044】
アンボンド材4Cは、上記長辺方向の突起部25の長さよりも長い長さを有して当該突起部25の上記短辺方向側に位置する2枚の横付けアンボンド材44と、一端側が上記2枚の横付けアンボンド材44によって上記短辺方向側から挟まれ、他端側が上記接合部22側に延びる長尺アンボンド材42と、によって上記離間部4cを形成している。横付けアンボンド材44の幅は、この例では、長尺アンボンド材42の1/2程度としている。もちろん、使用材料の共通化および歩留まりの観点から、横付けアンボンド材44の幅を長尺アンボンド材42と同幅としてもよい。
【0045】
このような構成では、突起部25の上記短辺方向側に位置する2枚の横付けアンボンド材44が必要となるが、アンボンド材4Cの全容としては、芯材2の一方の接合部22側から他方の接合部22側へ途切れずに配置され、且つ、一部が板状体21上で隣り合って配置されたものとなる。なお、アンボンド材4Cの貼り付け作製においては、先に横付けアンボンド材44を板状体21に貼り付け、この横付けアンボンド材44の縁から接合部22側に長尺アンボンド材42を延ばして貼り付けていくことができるが、これ以外の貼り付け方を採用することもできる。
【0046】
(実施形態5)
以下、この発明の他の実施の形態を図5(A)および図5(B)に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。この実施形態の座屈拘束ブレース1は、アンボンド材4Dを備えている。このアンボンド材4Dは、板状体21の短辺方向の縁に至らない狭幅を有し、当該板状体21の短辺方向中央寄りに位置しており、突起部25および溶接ビード25a避けるための離間部4cを有している。
【0047】
アンボンド材4Dは、芯材2の一方の接合部22側から他方の接合部22側に至る長さを有し、少なくとも突起部25が位置する箇所で上記短辺方向側に互いに離間する2本の連続アンボンド材45からなり、上記離間によって離間部4cを形成している。これによれば、2本の連続アンボンド材45が必要であるものの、離間部4cの形成が比較的容易である。
【0048】
なお、図5(A)に示す構成では、2本の連続アンボンド材45は、突起部25に近づくほど互いに離間するように、斜めに貼られており、図5(B)に示す構成では、2本の連続アンボンド材45は互いに平行に貼られている。
【0049】
(実施形態6)
以下、この発明の他の実施の形態を図6に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。この実施形態の座屈拘束ブレース1は、アンボンド材4Eを備える。このアンボンド材4Eは、板状体21の短辺方向の縁に至らない狭幅を有し、当該板状体21の短辺方向中央側に位置しており、突起部25および溶接ビード25aを避けるための離間部4cを有する。ただし、このアンボンド材4Eは、突起部25の上記短辺方向側には存在していない。このアンボンド材4Eは、実施形態3の構成において、2枚の横付けアンボンド材43が省略された構成に相当する。
【0050】
なお、以上の例では、拘束材3は硬化部材32を用いた構成であったが、このような構成に限らず、拘束材として角鋼管を用いる構成とすることもできる。
【0051】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 :座屈拘束ブレース
2 :芯材
3 :拘束材
4 :アンボンド材
4A :アンボンド材
4B :アンボンド材
4C :アンボンド材
4D :アンボンド材
4E :アンボンド材
4a :切れ目(挿通部)
4b :開口部(挿通部)
4c :離間部
21 :板状体
22 :接合部
22a :延設部分
22b :板片部
25 :突起部
25a :溶接ビード
31 :箱状部材
31a :壁部
31b :凹入部
32 :硬化部材
33 :受け凹部
35 :棒状スペーサ
41 :短尺アンボンド材
42 :長尺アンボンド材
43 :横付けアンボンド材
44 :横付けアンボンド材
45 :連続アンボンド材
図1
図2
図3
図4
図5
図6