(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027290
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】沿路壁面撮影装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/222 20060101AFI20240222BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240222BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20240222BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240222BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240222BHJP
【FI】
H04N5/222 100
H04N5/225 600
H04N5/225 430
G03B15/00 V
G03B15/00 T
G03B17/56 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129971
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598017790
【氏名又は名称】西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】509147444
【氏名又は名称】NEXCO西日本イノベーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004196
【氏名又は名称】弁理士法人ナビジョン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桶谷 栄一
(72)【発明者】
【氏名】岡 義晃
(72)【発明者】
【氏名】田上 涼平
(72)【発明者】
【氏名】谷口 徹也
(72)【発明者】
【氏名】園上 豊和
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼ 博和
(72)【発明者】
【氏名】内田 勇治
(72)【発明者】
【氏名】築山 彰
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA02
2H105AA06
5C122EA02
5C122FA18
5C122FD04
5C122GD01
5C122GD11
5C122GE04
5C122GG09
5C122HA83
(57)【要約】
【課題】 撮影車両の位置又は姿勢が急変し、あるいは、トンネル壁面の断面形状が急変し、撮影車両に搭載された2以上のカメラからトンネル壁面までの距離が走行中に変化した場合であっても、トンネル壁面を適切に撮影することができるトンネル壁面撮影装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 2以上のカメラを撮影車両1に搭載し、トンネル壁面3を撮影するトンネル壁面撮影装置100において、カメラ63は、撮影車両1の進行方向から見た撮影方向20A~20Cが互いに異なり、トンネル壁面3上の互いに異なる撮影領域31A~31Bを撮影するとともに、撮影レンズの主点21が進行方向から見て一致するように配置され、互いに隣接する撮影領域31A~31Bが互いに重複する領域を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上のカメラを撮影車両に搭載し、前記撮影車両の進行路に沿って設置された沿路壁面を撮影する沿路壁面撮影装置において、
前記カメラは、前記撮影車両の進行方向から見た撮影方向が互いに異なり、前記沿路壁面上の互いに異なる撮影領域を撮影するとともに、撮影レンズの主点が前記進行方向から見て一致するように配置され、
互いに隣接する前記撮影領域が互いに重複する領域を有することを特徴とする沿路壁面撮影装置。
【請求項2】
中心軸が前記進行方向と一致するように配置され、前記2以上のカメラを支持する円筒架台を備え、
前記カメラは、前記中心軸上の位置が互いに異なるように配置され、
前記撮影レンズの主点は、前記中心軸上に配置され、
前記円筒架台は、前記カメラの前記撮影方向に開口部を有することを特徴とする請求項1に記載の沿路壁面撮影装置。
【請求項3】
前記カメラ、撮影窓及び照明装置を有し、前記円筒架台に取り付けられる2以上の撮影ユニットを備え、
前記カメラは、前記開口部から前記円筒架台内に挿入され、前記撮影方向に設けられた前記撮影窓を介して前記撮影領域を撮影し、
前記照明装置は、前記円筒架台外に配置され、前記撮影領域を照明することを特徴とする請求項1に記載の沿路壁面撮影装置。
【請求項4】
前記撮影ユニットは、一対の前記照明装置を有し、
前記一対の照明装置は、前記撮影窓を挟んで配置され、前記進行方向と直交する方向に延びる形状からなることを特徴とする請求項3に記載の沿路壁面撮影装置。
【請求項5】
前記円筒架台内に除湿空気を送り込む除湿装置を備えたことを特徴とする請求項3に記載の沿路壁面撮影装置。
【請求項6】
3以上のカメラを撮影車両に搭載し、前記撮影車両の進行路に沿って設置された沿路壁面を撮影する沿路壁面撮影装置において、
前記進行方向に延び、2以上の前記カメラを支持する第1の円筒架台と、
前記第1の円筒架台に対し中心軸を一致させて相対的に回転可能に連結され、1以上の前記カメラを支持する第2の円筒架台とを備え、
前記3以上のカメラは、前記撮影車両の進行方向から見た撮影方向が互いに異なり、前記沿路壁面上の互いに異なる撮影領域を撮影し、撮影レンズの主点が前記中心軸上に配置され、
互いに隣接する前記撮影領域が重複する領域を有することを特徴とする沿路壁面撮影装置。
【請求項7】
前記第1の円筒架台が、前記沿路壁面の天井を撮影するための2以上の前記カメラを支持し、回転可能に前記撮影車両に固定され、
前記第2の円筒架台が、前記沿路壁面の側壁を撮影するための2以上の前記カメラを支持し、回転可能に前記撮影車両に固定されることを特徴とする請求項6に記載の沿路壁面撮影装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の円筒架台の内部空間が互いに連通し、
前記内部空間内に除湿空気を送り込む除湿装置を備えたことを特徴とする請求項6に記載の沿路壁面撮影装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の円筒架台を進行方向にスライドさせ、収納ポジションと撮影ポジションとの間を遷移させるスライド機構を備え、
前記収納ポジションでは、前記3以上のカメラが、撮影車両の床面上に配置され、
前記撮影ポジションでは、前記第2の円筒架台に支持される前記カメラが、前記床面から進行方向に突出して配置されることを特徴とする請求項6に記載の沿路壁面撮影装置。
【請求項10】
前記撮影車両は、鉄道車両であることを特徴とする請求項1又は6に記載の沿路壁面撮影装置。
【請求項11】
前記撮影車両は、自動車であることを特徴とする請求項1又は6に記載の沿路壁面撮影装置。
【請求項12】
前記沿路壁面は、トンネル覆工面であることを特徴とする請求項1又は6に記載の沿路壁面撮影装置。
【請求項13】
前記沿路壁面は、防音壁面であることを特徴とする請求項1又は6に記載の沿路壁面撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沿路壁面撮影装置に係り、更に詳しくは、2以上のカメラを撮影車両に搭載し、撮影車両の進行路に沿って設置された沿路壁面を撮影する沿路壁面撮影装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル内を走行しながらトンネル壁面を撮影し、その撮影画像を解析することによりトンネル壁面に生じたひび割れ等を検出するトンネル壁面撮影装置が従来から知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、トンネル周方向においてトンネル壁面を2以上の撮影領域に分割し、これらの撮影領域を2以上のカメラを用いてそれぞれ撮影することが記載されている。また、トンネルの周方向において隣接する撮影領域を互いに重複させることにより、各カメラの撮影画像を合成し、より広い合成画像を生成し、この合成画像に基づいてトンネル壁面の検査を行うことが記載されている。
【0003】
さらに、トンネルの形状及び寸法や、撮影車両の走行車線に応じて、各カメラの向きを制御するトンネル壁面撮影装置が従来から知られている(例えば、特許文献2)。カメラからトンネル壁面までの距離が変化すれば、各カメラのトンネル壁面上における撮影領域も変化する。このため、トンネル壁面を適切に分割して撮影するために、各カメラの位置及び向きを調整する必要がある。特許文献2には、トンネルの形状及び寸法や撮影車両の走行車線に応じて、各カメラの撮影方向を計算し、各カメラの向きを予め調整することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-012152号公報
【特許文献2】特開2015-170989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、線路や道路は、カーブの曲率半径に応じたカント(車幅方向の勾配)が設けられている。このため、トンネル内においてカントが変化すれば、撮影車両の傾きが変化し、各カメラからトンネル壁面までの距離が変化する。また、トンネル内においてトンネル断面形状が変化した場合も、各カメラからトンネル壁面までの距離が変化する。
【0006】
トンネル壁面までの距離が変化すれば、トンネル壁面上における各カメラの撮影領域が変化し、トンネル壁面を適切に分割することができなくなるおそれがあった。具体的には、隣接する撮影領域間の重複部分が過大又は過少になり、合成画像の解像度が低下し、あるいは、合成画像内に欠落領域が発生するおそれがあった。
【0007】
従来のトンネル壁面撮影装置は、トンネル走行前に各カメラの向きを予め調整するものであり、トンネル走行中に各カメラの向きを調整することはできない。このため、トンネル内においてカントやトンネル断面形状が急激に変化する場合に、変化前及び変化後の両方について適切な撮影を行うことは出来ないという問題があった。このため、トンネル全体の壁面を撮影するには、カメラの向きを異ならせて、同じトンネルを何度も走行する必要があった。
【0008】
また、仮にトンネル走行中に各カメラの向きを自動調整することが可能であったとしても、カメラを機械的に回転駆動するには時間を要し、走行しながら撮影を行った場合、適切な撮影を行うことができない区間が発生するという問題があった。
【0009】
また、従来のトンネル壁面撮影装置は、2以上のカメラをそれぞれ独立した支柱で支持する構造を採用し、高さや向きを独立して調整可能にしている。このため、撮影車両の加減速や車体の振動により、カメラの撮影方向が変化する場合がある。このような撮影方向の変化がカメラ間で異なる場合、トンネル壁面上における撮影領域の変化もカメラ間で異なり、隣接する撮影領域の重複領域が変化し、画像合成の精度に影響を与えるという問題があった。
【0010】
さらに、一般に、トンネル内は高温多湿の環境下にあるため、カメラが結露し易く、従来のトンネル壁面撮影装置では、鮮明な画像を撮影できない場合があるという問題があった。
【0011】
また、これらの課題は、トンネル壁面を撮影する場合のみに限定されず、例えば、防音壁を撮影する場合も同様であり、線路又は道路などの進行路に沿って設置された沿路壁面を撮影する場合に当てはまる。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、撮影車両に搭載された2以上のカメラから沿路壁面までの距離が走行中に変化した場合であっても、沿路壁面を適切に撮影することができる沿路壁面撮影装置を提供することを目的とする。特に、進行路上における撮影車両の位置又は姿勢が急変し、あるいは、沿路壁面の断面形状が急変した場合であっても、沿路壁面を適切に撮影することができる沿路壁面撮影装置を提供することを目的とする。また、撮影車両の加減速や車体の振動によりカメラの撮影方向が変化するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、2以上のカメラを撮影車両に搭載し、前記撮影車両の進行路に沿って設置された沿路壁面を撮影する沿路壁面撮影装置において、前記カメラは、前記撮影車両の進行方向から見た撮影方向が互いに異なり、前記沿路壁面上の互いに異なる撮影領域を撮影するとともに、撮影レンズの主点が前記進行方向から見て一致するように配置され、互いに隣接する前記撮影領域が互いに重複する領域を有するように構成される。
【0014】
撮影レンズの主点を進行方向から見て一致するように配置することにより、各カメラから沿路壁面までの距離が変化しても、沿路壁面上の互いに隣接する撮影領域間において重複する領域を常に確保することができる。このため、走行中の撮影車両に搭載された2以上のカメラを用いて沿路壁面を分割して撮影する際、撮影車両の位置又は姿勢が変化し、あるいは、沿路壁面の断面形状が変化することにより、各カメラから沿路壁面までの距離が変化したとしても、沿路壁面の撮影を継続することができる。
【0015】
第2の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、上記構成に加えて、中心軸が前記進行方向と一致するように配置され、前記2以上のカメラを支持する円筒架台を備え、前記カメラが、前記中心軸上の位置が互いに異なるように配置され、前記撮影レンズの主点が、前記中心軸上に配置され、前記円筒架台が、前記カメラの前記撮影軸上に開口部を有する。
【0016】
中心軸が進行方向と一致するように配置された円筒架台が2以上のカメラを支持することにより、撮影車両の加速度、車体の振動などの影響を受けて、カメラ間において撮影方向が相対的に変化するのを抑制することができる。このため、沿路壁面上の互いに隣接する撮影領域間において重複する領域を確保することができる。
【0017】
第3の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、上記構成に加えて、前記カメラ、撮影窓及び照明装置を有し、前記円筒架台に取り付けられる2以上の撮影ユニットを備え、前記カメラは、前記開口部から前記円筒架台内に挿入され、前記撮影方向に設けられた前記撮影窓を介して前記撮影領域を撮影し、前記照明装置は、前記円筒架台外に配置され、前記撮影領域を照明するように構成される。
【0018】
このような構成を採用することにより、各カメラの撮影方向に対応する2以上の開口部を有する円筒架台に対し、2以上の撮影ユニットをそれぞれ取り付けることにより沿路壁面撮影装置が得られる。
【0019】
第4の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、上記構成に加えて、前記撮影ユニットは、一対の前記照明装置を有し、前記一対の照明装置は、前記撮影窓を挟んで配置され、前記進行方向と直交する方向に延びる形状からなる。
【0020】
このような構成を採用することにより、照明光の強度及び広がりを確保しつつ、互いに隣接する撮影ユニットの照明装置を互いに干渉しないように配置することができる。
【0021】
第5の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、上記構成に加えて、前記円筒架台内に除湿空気を送り込む除湿装置を備える。このような構成を採用することにより、カメラが結露するのを防止することができる。特に、2以上のカメラが配置された円筒架台内に除湿空気を送り込むことにより、2以上のカメラの結露を一括して防止することができるので、結露防止のためのコストを抑制することができる。
【0022】
第6の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、3以上のカメラを撮影車両に搭載し、前記撮影車両の進行路に沿って設置された沿路壁面を撮影する沿路壁面撮影装置において、前記進行方向に延び、2以上の前記カメラを支持する第1の円筒架台と、前記第1の円筒架台に対し中心軸を一致させて相対的に回転可能に連結され、1以上の前記カメラを支持する第2の円筒架台とを備え、前記3以上のカメラは、前記撮影車両の進行方向から見た撮影方向が互いに異なり、前記沿路壁面上の互いに異なる撮影領域を撮影し、撮影レンズの主点が前記中心軸上に配置され、互いに隣接する前記撮影領域が重複する領域を有する。このような構成を採用することにより、様々な沿路壁面を撮影することができる。
【0023】
第7の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、上記構成に加えて、前記第1の円筒架台が、前記沿路壁面の天井を撮影するための2以上の前記カメラを支持し、回転可能に前記撮影車両に固定され、前記第2の円筒架台が、前記沿路壁面の側壁を撮影するための2以上の前記カメラを支持し、回転可能に前記撮影車両に固定される。
【0024】
このような構成を採用することにより、2以上の走行車線を有する線路又は道路において沿路壁を撮影する場合、左側車線を走行して天井及び左側壁を撮影する場合と、右側車線を走行して天井及び右側壁を撮影する場合の両方に対応することができる。
【0025】
第8の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、上記構成に加えて、前記第1及び第2の円筒架台の内部空間が互いに連通し、前記内部空間内に除湿空気を送り込む除湿装置を備える。このような構成を採用することにより、カメラが結露するのを防止することができる。特に、連通する内部空間内に除湿空気を送り込むことにより、3以上のカメラの結露を一括して防止することができるので、結露防止のためのコストを抑制することができる。
【0026】
第9の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、上記構成に加えて、前記第1及び第2の円筒架台を進行方向にスライドさせ、収納ポジションと撮影ポジションとの間を遷移させるスライド機構を備え、前記収納ポジションでは、前記3以上のカメラが、撮影車両の床面上に配置され、前記撮影ポジションでは、前記第2の円筒架台に支持される前記カメラが、前記床面から進行方向に突出して配置される。
【0027】
このような構成を採用することにより、沿路壁面の低い領域、特に、撮影車両の床面よりも低い領域も撮影することができる。
【0028】
第10の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、上記構成に加えて、前記撮影車両が鉄道車両である。
【0029】
第11の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、上記構成に加えて、前記撮影車両が自動車である。
【0030】
第12の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、上記構成に加えて、前記沿路壁面がトンネル覆工面である。
【0031】
第13の本発明の実施態様による沿路壁面撮影装置は、上記構成に加えて、前記沿路壁面は、防音壁面である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、撮影車両に搭載された2以上のカメラから沿路壁面までの距離が走行中の変化した場合であっても、沿路壁面を適切に撮影することができる。特に、進行路上における撮影車両の位置又は姿勢が急変し、あるいは、沿路壁面の断面形状が急変した場合であっても、沿路壁面を適切に撮影することができる。また、撮影車両の加減速や車体の振動によりカメラの撮影方向が変化するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、撮影車両1に搭載された2以上のカメラの撮影方向20A~20Cの一例を示した図である。
【
図2】予め想定された条件下で、2以上のカメラにより撮影されるトンネル壁面上の撮影領域31A~31Cの一例を示した説明図である。
【
図3】カントが変化したときに、2以上のカメラにより撮影されるトンネル壁面上の撮影領域31A~31Cの一例を示した説明図である。
【
図4】トンネルの断面形状が変化したときに、2以上のカメラにより撮影されるトンネル壁面上の撮影領域31A~31Cの一例を示した説明図である。
【
図5】撮影領域311~319の配置の一例を示した図であり、トンネル内の左側車線を走行し、天井の左側部分及び左側壁を撮影する場合が示されている。
【
図6】撮影領域311~319の配置の一例を示した図であり、トンネル内の右側車線を走行し、天井の右側部分及び右側壁を撮影する場合が示されている。
【
図7】本発明の実施の形態によるトンネル撮影装置100の一構成例を示した図である。
【
図8】円筒架台51~53の一構成例を示した図である。
【
図9】撮影ユニット6の一構成例を示した図である。
【
図10】円筒架台51~53に撮影ユニット6を取り付ける様子を示した斜視図である。
【
図11】円筒架台51~53に撮影ユニット6を取り付けた状態を示した斜視図である。
【
図12】撮影レンズ631の主点21を通る断面で切断した場合の断面を模式的に示した図である。
【
図13】円筒架台51~53の回転動作の一例を示した斜視図であり、
図5に対応する図である。
【
図14】円筒架台51~53の回転動作の一例を示した斜視図であり、
図6に対応する図である。
【
図15】車載ユニット5のスライド動作についての説明図であり、車載ユニット5が収納ポジションにあるときの様子が示されている。
【
図16】車載ユニット5の結露を防止するための一構成例についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の実施の形態では、トンネル壁面撮影装置について説明するが、本発明の適用対象は、撮影車両の進行路に沿って設置された沿路壁面を撮影する沿路壁面撮影装置である。沿路壁面には、トンネルの天井及び側壁が含まれるが、これらのみに限定されない。例えば、防音壁面も沿路壁面に含まれる。また、以下の実施の形態では、撮影車両が鉄道車両である場合について説明するが、本発明に係る撮影車両は、鉄道車両に限定されず、例えば、自動車も含まれる。
【0035】
図1~
図4は、本発明の実施の形態によるトンネル壁面撮影装置の概要を説明するための説明図である。
図1は、撮影車両1に搭載された2以上のカメラの撮影方向20A~20Cの一例を示した図である。
図2~
図4は、2以上のカメラにより撮影されるトンネル壁面上の撮影領域31A~31Cの一例を示した説明図である。いずれも図中の(a)には、本実施の形態によるトンネル壁面撮影装置100の場合が示され、(b)には、本発明と比較すべき従来のトンネル壁面撮影装置101の場合が示されている。
【0036】
トンネル壁面撮影装置100は、2以上のカメラ(不図示)を搭載した撮影車両1が、トンネル内を走行しながらトンネル壁面3を撮影し、トンネル壁面3のひび割れなどを検出する装置である。各カメラは、撮影方向20A~20Cが互いに異なる。このため、各カメラは、互いに異なる撮影視野30A~30Cを形成し、トンネル壁面3上の互いに異なる撮影領域31A~31Cを撮影する。
【0037】
撮影方向20A~20Cは、各カメラの撮影軸の方向であり、いずれも撮影車両1の進行方向と直交し、上下方向の角度が互いに異なる。また、撮影視野30A~30Cは、各カメラが撮影可能な空間であり、カメラの設置位置、撮影方向20A~20C及び撮影レンズの焦点距離(視野角)で決まり、撮影車両1の進行方向から見て扇形の空間になる。撮影領域31A~31Cは、撮影視野30A~30C内にあるトンネル壁面3であり、各カメラによって撮影されるトンネル壁面3上の領域である。
【0038】
図1(a)に示した本発明によるトンネル壁面撮影装置100では、各カメラの撮影レンズの主点21が、撮影車両1の進行方向から見て一致するように配置されている。つまり、各撮影レンズの主点21は、撮影車両1の進行方向に平行な共通の軸上に配置されている。レンズの主点とは、レンズの光軸及び主面が交差する点である。従って、各カメラの撮影軸は、共通の主点21を起点とし、互いに異なる撮影方向20A~20Cに向かって延びている。
【0039】
図1(b)に示した比較例のトンネル壁面撮影装置101では、撮影領域31A~31Cに応じて各カメラが配置され、各カメラの撮影レンズの主点21A~21Cは、撮影車両1の進行方向から見て一致するように配置されていない。このため、各カメラの撮影軸は、互いに異なる主点21A~21Cを起点とし、互いに異なる撮影方向20A~20Cに向かって延びている。
【0040】
図2は、予め想定された撮影条件下において、トンネル壁面3が2以上の撮影領域31A~31Cに分割される様子が示されている。各カメラは、隣接する撮影領域31A~31Cが適切な重複領域を有するように、それぞれの撮影視野30A~30Cが予め調整されている。例えば、トンネルの断面形状、撮影車両1の走行車線(車幅方向の走行位置)などの撮影条件を考慮して、各カメラの撮影視野30A~30Cが予め調整されている。このため、図中の(a)及び(b)のいずれの場合であっても、隣接する撮影領域31A~31Cが重複領域を有するように、トンネルの天井及び左側壁を2以上の撮影領域31A~31Cに分割することができる。
【0041】
図3は、撮影車両1の走行中にカントが変化し、撮影車両1が大きく傾いたときの様子が示されている。撮影車両1がトンネルの左側壁側へ傾くことにより、
図2の場合に比べて、各カメラからトンネル壁面3までの距離が近くなっている。
図3(b)に示した従来例では、カントが変化することにより、撮影領域31A~31C間で重複する領域を確保することができなくなっている。これに対し、
図3(a)に示した本実施の形態では、カントが変化しても、撮影領域31A~31C間で重複する領域が確保されている。
【0042】
図4は、トンネルの断面形状が変化したときの様子が示されている。トンネルの断面形状が変化することにより、
図2の場合に比べて、各カメラからトンネル壁面3までの距離が近くなっている。
図4(b)に示した従来例では、トンネルの断面形状が変化することにより、撮影領域31A~31C間で重複する領域を確保することができなくなっている。これに対し、
図4(a)に示した本実施の形態では、トンネルの断面形状が変化しても、撮影領域31A~31C間で重複する領域が確保されている。
【0043】
従来のトンネル壁面撮影装置101では、撮影レンズの主点21A~21Cが一致していない。このため、想定された撮影条件下において、撮影領域31A~31C間に重複領域が確保されている場合であっても、撮影条件が変化し、各カメラからトンネル壁面3までの距離がより短くなれば、撮影領域31A~31C間に重複領域を確保することができなくなる。このような問題の発生を防ぐために、想定条件下における重複領域をより広くしておくことが考えられるが、そのためには、各カメラの撮影視野を広げ、あるいは、カメラの数を増大させる必要がある。しかし、各カメラの撮影視野を広げれば撮影画像の解像度の低下を招き、また、カメラの数を増大すればコストの増大を招くという問題が発生する。
【0044】
これに対し、本実施の形態によるトンネル壁面撮影装置100では、撮影レンズの主点21を一致させているため、各カメラからトンネル壁面3までの距離が変化しても、撮影領域31A~31C間の重複領域を常に確保することができる。このため、例えば、カントが変化し、あるいは、トンネルの断面形状が変化しても、トンネル壁面3を適切な撮影領域31A~31Cに分割して撮影することができる。しかも解像度の低下やコストの増大を招くこともない。なお、各カメラでは、トンネル壁面3までの距離に応じたオートフォーカス制御が行われているため、トンネル壁面までの距離が変化しても撮影を継続することができる。
【0045】
各カメラの撮影画像を合成することにより、トンネル壁面3の合成画像が生成される。その際、従来のトンネル壁面撮影装置101では、各カメラごとにアオリ効果(遠近感による撮影画像の歪み)が異なっており、各撮影画像のアオリ補正を行った後に合成する必要があった。これに対し、本発明によるトンネル壁面撮影装置100では、撮影レンズの主点21を一致させることにより、隣接するカメラ間において異なるアオリ効果が生じることがない。このため、画像合成処理を容易にすることができる。
【0046】
図5及び
図6は、本実施の形態による撮影領域311~319の配置の一例を示した図である。トンネル壁面撮影装置100は、2以上のカメラを搭載した撮影車両1がトンネル内を走行しながら、各カメラが一定周期で撮影を行う。例えば、撮影車両1が0.5mm進むごとに各カメラが一斉に撮影を行う動作を繰り返している。
【0047】
また、トンネル壁面撮影装置100は、天井の撮影と、左右いずれかの側壁の撮影とを同時に行う。例えば、トンネル内に2以上の走行車線がある場合、撮影車両1が走行する車線上の天井と、当該車線に近い側壁とを撮影する。
図5には、トンネル内の左側車線を走行し、天井の左側部分及び左側壁を撮影する場合が示され、
図6には、トンネル内の右側車線を走行し、天井の右側部分及び右側壁を撮影する場合が示されている。
【0048】
図中の撮影視野301~305は、天井撮影用であり、撮影視野306~309は、側壁撮影用である。天井撮影用のカメラと側壁撮影用のカメラでは、撮影レンズの焦点距離が異なる。天井の撮影には、側壁の撮影に比べて、焦点距離の長い撮影レンズが使用され、天井用の撮影視野301~305は、側壁用の撮影視野306~309に比べて、視野角が狭くなっている。一般に、撮影車両1から天井までの距離は、側壁までの距離よりも長く、天井撮影用のカメラにおいて、側壁撮影用のカメラよりも焦点距離の長い撮影レンズを使用することにより、天井及び側壁の撮影画像において概ね同一の解像度を得ることができる。
【0049】
撮影車両1が自動車であり、トンネル内の2つの走行車線の進行方向が逆方向であれば、全く同一の撮影車両1を用いて、左側車線を走行中の撮影と、右側車線を走行中の撮影の両方を行うことができる。しかしながら、2つの走行車線の進行方向が同一方向であれば、左側車線又は右側車線に応じて、側壁撮影用のカメラの撮影方向を変更する必要がある。また、撮影車両1が鉄道車両であれば、自動車のように180度転回させることができないため、トンネル内の各走行車線の進行方向にかかわらず、左側車線又は右側車線に応じて、側壁用のカメラの撮影方向を変更する必要がある。
【0050】
図5及び
図6を比較すれば、天井用の撮影視野301~305は、撮影車両1に対する相対的位置に変化がないのに対し、側壁用の撮影視野306~308は、撮影レンズの主点21を中心として一体的に回転している。さらに、最下部用の撮影視野309は、側壁用の撮影視野306~308とは独立して、主点21を中心として回転している。
【0051】
全ての撮影視野301~309を一体的に回転させる構成を採用した場合、走行車線を変更すると、天井用の撮影視野301~305が側壁に向けられ、側壁用の撮影視野306~309が天井に向けられることになり、適切な解像度の撮影画像を得ることができなくなる。このため、天井用の撮影視野301~305を固定し、側壁用の撮影視野306~309を回転させている。
【0052】
また、側壁用の撮影視野306~309を一体的に回転させる構成を採用した場合、走行車線を変更すると、側壁の最下部用の撮影視野309が、側壁の最上部に向けられることになる。ここで、側壁の最下部の撮影は、床面に遮られることなく撮影することができる最下部専用のカメラにより撮影される。このため、側壁用の撮影視野306~308を一体的に回転させる一方、側壁の最下部の撮影視野309は、これらとは独立して回転させている。
【0053】
図7は、本発明の実施の形態によるトンネル壁面撮影装置100の一構成例を示した図である。トンネル壁面撮影装置100は、2以上のカメラを搭載した撮影車両1からなる。撮影車両1は、線路上を走行する2以上の台車40と、台車40によって支持される車体床部41と、スライド機構42と、多数のカメラを有する車載ユニット5とを備える。
【0054】
車載ユニット5は、スライド機構42を介して車体床部41上に搭載され、車体床部41に対し、進行方向にスライドさせることができる。車載ユニット5をスライドさせ、カメラを車両床部41よりも外側に配置することにより、トンネルの側壁の最下部も撮影することができる。
【0055】
車載ユニット5は、スライド機構42に取り付けられたベースフレーム500と、ベースフレーム500から上方に延びる支柱501~503と、支柱501~503の上端にそれぞれ設けられた架台支持部511~513と、架台支持部511~513により支持される架台ユニット521~523とを備える。
【0056】
架台ユニット521~523は、1つの円筒架台51~53に対し1又は2以上の撮影ユニット6を取り付けて構成される。架台ユニット521は、天井撮影用の架台ユニットであり、円筒架台51に対し、トンネル壁面3の天井を撮影するための5つの撮影ユニット6が取り付けられている。架台ユニット522は、側壁撮影用の架台ユニットであり、円筒架台52に対し、トンネル壁面3の側壁を撮影するための3つの撮影ユニット6が取り付けられている。架台ユニット523は、最下部撮影用の架台ユニットであり、円筒架台53に対し、側壁の最下部を撮影するための1つの撮影ユニット6が取り付けられている。
【0057】
図8は、円筒架台51~53の一構成例を示した図である。円筒架台51~53は、いずれも円筒形状からなり、中心軸50が一致するように互いに連結され、連結された円筒架台51~53は、中心軸50が撮影車両1の進行方向と一致するように配置されている。また、各円筒架台51~53の側面には、1又は2以上の開口部55が設けられ、各開口部55の近傍には、4つのユニット固定用溝部56がそれぞれ形成されている。
【0058】
円筒架台51~53は、架台支持部511~513により回転可能に支持される。また、円筒架台51~53は、相対的に回転することができる。つまり、側壁用の円筒架台52は、天井用の円筒架台51に対し、相対的に回転可能である。また、最下部用の円筒架台53は、天井用及び側壁用の円筒架台51,52とは独立して回転可能である。なお、円筒架台51~53は、直接連結されてもよいし、架台支持部512,513を介在させて連結されていてもよい。また、円筒架台51~53の回転駆動は、架台支持部511~513内の回転駆動部(不図示)が行う。
【0059】
開口部55は、撮影ユニット6を取り付けるための開口であり、中心軸50から見てカメラの撮影方向に当たる円筒架台51~53の周面上に形成されている。撮影ユニット6は、開口部55に対し、隙間を生じさせることなく嵌合することができる。
【0060】
ユニット固定用溝部56は、撮影ユニット6の取り付け姿勢を規定するための係合凹部である。周方向又は軸方向の位置が異なる3以上のユニット固定用溝部56を形成し、撮影ユニット6の突起をそれぞれ挿入して係合させることにより、撮影ユニット6が所望の姿勢で円筒架台51~53に固定され、撮影方向を正確に規定することができる。ここでは、周方向において開口部55を挟み込むように一対のユニット固定用溝部56が形成され、このような一対のユニット固定用溝部56が、中心軸50上の位置を異ならせて2組配置されている。
【0061】
図9は、撮影ユニット6の一構成例を示した図であり、図中の(a)は、撮影車両1の進行方向から見た図であり、図中の(b)は、撮影領域から見た図である。
図10は、円筒架台51~53に撮影ユニット6を取り付ける様子を示した斜視図である。
図11は、円筒架台51~53に撮影ユニット6を取り付けた状態を示した斜視図である。
【0062】
撮影ユニット6は、ユニット支持フレーム60、クランプ61、カメラ支持板62、カメラ63、照明固定用フレーム64及び照明装置65により構成される。
【0063】
ユニット支持フレーム60は、クランプ61、カメラ支持板62及び照明固定用フレーム64を支持する部材である。ユニット支持フレーム60は、長手方向の両端をそれぞれ分岐させた略H型の平面形状を有し、円筒架台51~53の側面と対向するとともに当該側面の接線方向に延びるように、円筒架台51~53の外側に配置されている。また、ユニット支持フレーム60の略中央には、撮影窓60Wが形成されている。撮影窓60Wは、アクリル板などの透明性部材で構成され、カメラ63への入射光を透過することができる。
【0064】
クランプ61は、撮影ユニット6を円筒架台51~53に取り付ける手段であり、上部クランプ610及び下部クランプ611により構成され、上部クランプ610は、ユニット支持フレーム60に固定されている。一対のクランプ610,611間に円筒架台51~53を挟みこみ、ボルトを用いて一対のクランプ610,611を締結することにより、撮影ユニット6が円筒架台51~53に固定される。また、上部クランプ610には、4つの突起61Pが形成されている。
【0065】
突起61Pは、円筒架台51~53の側面と対向する上部クランプ610の内面上に形成された突出部であり、ユニット固定用溝部56に対応する位置に形成され、先端に向かって断面積が減少するテーパー形状からなる。3以上の突起61Pを円筒架台51~53のユニット固定用溝部56と係合させることにより、撮影方向が予め定められた方向になるように撮影ユニット6を取り付けることができる。
【0066】
カメラ支持板62は、カメラ63を支持する部材である。カメラ支持板62は、一端がユニット支持フレーム60に固定され、他端が開口部55から挿入され、円筒架台51~53の内部空間に配置されている。
【0067】
カメラ63は、撮像素子630及び撮影レンズ631により構成される。撮像素子630は、画像データを生成するCCD、CMOSイメージセンサなどの光電変換素子である。撮影レンズ631は、撮像素子630に結像するための光学レンズである。
【0068】
撮影レンズ631の配置は、その主点21が円筒架台51~53の中心軸50と一致するように予め調整されている。撮影時には、距離センサ66が測定した撮影領域までの距離に基づいて、撮像素子630を移動させることにより、撮影レンズ631の主点を移動させることなく、オートフォーカス制御が行われる。距離センサ66は、撮影領域までの距離を測定するセンサであり、ユニット支持フレーム60の撮影窓60W近傍に取り付けられている。
【0069】
照明固定用フレーム64は、照明装置65を支持する部材であり、一対の照明固定用フレーム64が、ユニット支持フレーム60の両端に角度調整が可能となるように取り付けられている。照明装置65は、撮影領域を照明する線状光源であり、中心軸50に直交する方向に延びている。
【0070】
撮影ユニット6の取り付けは、カメラ支持板62を円筒架台51~53の開口部に挿入し、円筒架台51~53を挟み込むように上部クランプ610に対し、下部クランプ611を締結することにより行われる。このとき、上部クランプ610の突起61Pが、ユニット固定用溝部56と係合し、所望の姿勢で撮影ユニット6が取り付けられる。
【0071】
図12は、撮影レンズ631の主点21を通る軸方向50に垂直な面で切断した場合の断面を模式的に示した図である。照明装置65の照明光は、撮影領域で反射し、撮影窓60Wを通り、撮影レンズ631により撮像素子630に集光される。撮影レンズ631は、カメラ支持板62への取り付け位置が調整可能であり、撮影レンズ631の主点が円筒架台51~53の中心軸50と一致するように予め調整される。
【0072】
図13及び
図14は、円筒架台51~53の回転動作の一例を示した斜視図である。
図13は、
図5に対応する図であり、
図14は、
図6に対応する図である。
図13及び
図14を比較すれば、天井用の架台ユニット521の撮影方向は概ね同一であるが、側壁用及び最下部用の架台ユニット522,523の撮影方向は大きく異なっている。
【0073】
天井撮影用のカメラの撮影方向は、天井用の円筒架台51を回転させることにより調整可能である。側壁撮影用のカメラの撮影方向は、側壁用の円筒架台52を回転させることにより、天井を通過し、左方向又は右方向に変更することができる。最下部撮影用のカメラの撮影方向は、最下部用の円筒架台53を回転させることにより、天井を通過し、左下方向又は右下方向に変更することができる。このような撮影方向の変更は、撮影開始前に予め行われる。
【0074】
図13は、トンネル内に設けられた2つの走行車線のうち左側車線を走行し、トンネル壁面3の左側を撮影するときの様子が示されている。側壁用の円筒架台52に取り付けられた撮影ユニット6(側壁用の架台ユニット522)は、左方向に向けられ、最下部用の円筒架台53に取り付けられた撮影ユニット6(最下部用の架台ユニット523)は、左下方向に向けられている。
【0075】
図14には、トンネル内の右側の車線を走行し、トンネル壁面3の右側を撮影するときの状態が示されている。側壁用の円筒架台52に取り付けられた撮影ユニット6(側壁用の架台ユニット522)は、右方向に向けられ、最下部用の円筒架台53に取り付けられた撮影ユニット6(最下部用の架台ユニット523)は、右下方向に向けられている。
【0076】
このようにして、2つの走行車線をそれぞれ走行して撮影を行うことにより、トンネル壁面3の全体を撮影することができる。
【0077】
図15は、車載ユニット5のスライド動作についての説明図であり、車載ユニット5が収納ポジションにあるときの様子が示されている。これに対し、
図7では、車載ユニット5が撮影ポジションにあるときの様子が示されている。
【0078】
収納ポジションは、全てのカメラが車両床部41上に配置されている状態であり、例えば、走行中の部品落下等を防止し、非撮影時の走行の安全性を確保することができる。一方、撮影ポジションは、一部のカメラ、例えば、最下部用の円筒架台53に取り付けられたカメラが車両床部41よりも外側に配置された状態であり、車両床部41に遮られることなく、トンネルの側壁の最下部を撮影可能な状態である。車載ユニット5は、スライド機構42を用いて進行方向にスライド可能であり、収納ポジション及び撮影ポジション間を遷移することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 撮影車両
20A~20C 撮影方向
21,21A~21C 主点
3 トンネル壁面
30A~30C,301~309 撮影視野
31A~31C,311~319 撮影領域
40 台車
41 車両床部
42 スライド機構
5 車載ユニット
50 中心軸
500 ベースフレーム
501~503 支柱
51~53 円筒架台
511~513 架台支持部
521~523 架台ユニット
55 開口部
56 ユニット固定用溝部
6 撮影ユニット
60 ユニット支持フレーム
60W 撮影窓
61 クランプ
610 上部クランプ
611 下部クランプ
61P 突起
62 カメラ支持板
63 カメラ
630 撮像素子
631 撮影レンズ
64 照明固定用フレーム
65 照明装置
66 距離センサ
70 除湿装置
71 送気管
100 トンネル壁面撮影装置