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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027305
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】管端キャップ
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20240222BHJP
   F16L 11/11 20060101ALI20240222BHJP
   F16L 11/12 20060101ALI20240222BHJP
   F16L 11/20 20060101ALI20240222BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F16L55/00 S
F16L11/11
F16L11/12 L
F16L11/20
F16L1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129994
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金平 豊
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 孝輔
(72)【発明者】
【氏名】湯川 雅己
【テーマコード(参考)】
3H111
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
3H111CA14
3H111CB14
3H111CB22
3H111DA13
3H111DA15
3H111DB03
(57)【要約】
【課題】保持突起付きの波形管を備える複合管の、保管ないしは床下などへの通管時に、内管と波形管の密閉性の向上と管軸方向の位置ズレの防止を図ること。
【解決手段】山部21と谷部22が管軸方向に交互に形成され、山部21の平均肉厚が0.4mm以上の伸縮可能な可撓性の波形管20と、該波形管20によって被覆された可撓性の内管10とを備え、波形管20は伸縮性を有し、その内周面には、内管10の外周面と接する保持突起23が管軸方向及び周方向に分布するように形成された複合管1に用いられる管端キャップ30は、内管10の外面に嵌合する筒状のキャップ部31と、該キャップ部31の外面に、複数方向かつ対角に突設された導入テーパ部32aを有する三角形、台形またはこれらを変形した形状の板状部32と、キャップ部31の端末部を閉止するキャップ端末閉止部33とを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
山部と谷部が管軸方向に交互に形成され、前記山部の平均肉厚が0.4mm以上の伸縮可能な可撓性の波形管と、前記波形管によって被覆された可撓性の内管とを備え、前記波形管は伸縮性を有し、その内周面には、前記内管の外周面と接する保持突起が管軸方向及び周方向に分布するように形成された複合管に用いられる管端キャップであって、
前記内管の外周面に嵌合する筒状のキャップ部と、
前記キャップ部の外周面に、複数方向かつ対角に突設された導入テーパ部を有する三角形、台形またはこれらを変形した形状の板状部と、
前記キャップ部の端末部を閉止するキャップ端末閉止部と、
を有することを特徴とする管端キャップ。
【請求項2】
前記波形管は、発泡体による中間層と組み合わせて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の管端キャップ。
【請求項3】
前記板状部の最大径部が水平となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の管端キャップ。
【請求項4】
前記板状部の形状が直角三角形の鋭角形状となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の管端キャップ。
【請求項5】
前記キャップ端末閉止部は、前記波形管の前記谷部の内径よりも大きな外径を有する円盤で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の管端キャップ。
【請求項6】
前記円盤は、前記板状部と繋がっていることを特徴とする請求項5に記載の管端キャップ。
【請求項7】
前記円盤の先端に先細状のガイド突起を設けたことを特徴とする請求項5に記載の管端キャップ。
【請求項8】
前記板状部は、周方向において前記波形管の前記保持突起と干渉しない角度位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の管端キャップ
【請求項9】
製品として同梱されて出荷されることを特徴とする請求項1または2に記載の管端キャップ。
【請求項10】
樹脂の一体成型射出品、または複数体の融着、接着、ねじ接合加工で成形されることを特徴とする請求項1または2に記載の管端キャップ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内管を波形管で被覆してなる複合管の管端キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
架橋ポリエチレンやポリブテンで構成された可撓樹脂管は、戸建て配管やマンション居室配管として広く使用されている。最近は古くなった住宅の改修管材として使用されることも多くなってきている。戸建て住宅の場合は、床下に潜ることができるため、改修配管でも施工方法は新築とあまり変わらない。しかし、マンションの場合は、床下に潜ることができないため、マンション改修はいくつかの特徴的な施工方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、床板を部分的に開口し、その間に可撓樹脂管を通管する方法が提案されている。膨張・収縮性を備えた保護部材で内管を覆い、且つ、保護部材の表面をカバー材で圧縮して覆うことが特に研究されている。このため、コルゲート管被覆の保護管付への応用には更なる研究が必要である。
【0004】
特許文献2は、コルゲート管被覆の保護管付を想定している。しかし、コルゲート管の係止部が周上方向に分布するため、消音テープ状の発泡体中間層があったり、内面に突起が張り出した形態のものには不適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5275572号公報
【特許文献2】特開2021-152411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2における係止部は、波形部がある程度硬い場合には有効性を発揮するが、強度が低いものでは少なくとも十字方向に張り出して波形管を変形させないとしっかりとフィットできない。
【0007】
そして、中に中間層や保持突起がある場合、張り出しはこれらの抵抗を減少させたり、保持突起を避けて配置する必要がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、保持突起付きの波形管を備える複合管の内管と波形管の密閉性の向上と管軸方向の位置ズレの防止を図ることができる管端キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明は、山部と谷部が管軸方向に交互に形成され、前記山部の平均肉厚が0.4mm以上の伸縮可能な可撓性の波形管と、前記波形管によって被覆された可撓性の内管とを備え、前記波形管は伸縮性を有し、その内周面には、前記内管の外周面と接する保持突起が管軸方向及び周方向に分布するように形成された複合管に用いられる管端キャップであって、前記内管の外面に嵌合する筒状のキャップ部と、前記キャップ部外面に、複数方向かつ対角に突設された導入テーパ部を有する三角形、台形またはこれらを変形した形状の板状部と、前記キャップ部の端末部を閉止するキャップ端末閉止部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保持突起付きの波形管を備える複合管の内管と波形管の密閉性の向上と管軸方向の位置ズレの防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】複合管の半裁部分断面図である。
図2図1のA部拡大詳細図である。
図3図2のB-B線断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る管端キャップの斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る管端キャップの半裁側断面図である。
図6図5のC-C線断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る管端キャップの側面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る管端キャップの半裁側断面図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る管端キャップの側面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る管端キャップの半裁側断面図である。
図11】本発明の第4実施形態に係る管端キャップの側面図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る管端キャップの半裁側断面図である。
図13】(a)~(c)は本発明の第4実施形態に係る管端キャップの種々の形態を示す側面図、(d)は半裁側断面図である。
図14】本発明の第5実施形態に係る管端キャップの側面図である。
図15図14の矢視D方向の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
[複合管]
先ず、本発明に係る管端キャップが用いられる複合管の基本構成を図1図3に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、複合管1は、可撓性の内管10と、この内管10を覆う可撓性の波形管(コルゲート管)20を備えており、この複合管1は、例えば給水・給湯用の配管として利用される。この場合、内管10の内部が、水、湯などの流体が通る流体通路となる。
【0015】
内管10は、全長にわたって一定の円形断面に形成され、かつ、可撓性を有している。この内管10としては、架橋ポリエチレン(PE-X)管、ポリブテン(PB)管、ポリエチレン(PE)管、耐熱性ポリエチレン(PE-RT)管、またはこれらの樹脂のうち2以上の樹脂を含む樹脂管を用いることができる。また、上記樹脂のうちの少なくとも1つと金属を含む金属強化樹脂管を用いることもできる。なお、上記は例示であり、可撓性、流体流通性などの所要の性能を確保し得るものであれば、内管10の材質に特に制限はない。
【0016】
波形管20は、単層の樹脂管からなり、ポリエチレン(PE)管、架橋ポリエチレン(PE-X)管、ポリブテン(PB)管、耐熱性ポリエチレン(PE-RT)管、またはこれら樹脂のうち2以上の樹脂を含む樹脂管を用いることができる。また、発泡化により波形管20の可撓性を向上させてもよい。この場合、ポリエチレン(PE)を主成分とし、発泡倍率を1.05倍~4倍の低発泡とすることが好ましい。なお、上記は例示であり、可撓性、内管10に対する保護性などの所要の性能を確保し得るものであれば、波形管20の材質として特に制限はない。
【0017】
図1及び図2に示すように、波形管20は、環状の山部21と環状の谷部22を管軸方向に同一ピッチで交互に配することにより、波形断面になっている。図2に示すように、山部21は径が一定の短円筒形状をなしており、谷部22の断面形状はU字形ないしはV字形をなしている。ここで、1ピッチPは、1つの山部21と1つの谷部22を含む管軸方向寸法として定義される。また、山部21の平均肉厚は、0.4mm以上に設定されている。
【0018】
波形管20は、さらに管軸方向と周方向に分散配置され互いに独立した保持突起23を有している。本実施形態では、保持突起23は、管軸方向に等間隔おきの形成箇所において、4つの保持突起23が周方向に等間隔をなして形成されている。ここで、保持突起23は、谷部22よりも径方向内方に突出しており、その先端部230は、内管10の外周に接触ないしは接近しており、これにより内管10を波形管20の管軸と実質的に同心に保持している。
【0019】
保持突起23は、図2に示すように、管軸方向に対峙する一対の第1側壁231,231を有するとともに、図3に示すように、周方向に対峙する一対の第2側壁232,232を有している。一対の第1側壁231,231は、径方向内方向に向かって互いに近づくように傾斜しており、これにより保持突起23の管軸方向に沿う断面はV字形をなしている。同様に第2側壁232,232は、径方向内方向に向かって互いに近づくように傾斜しており、これにより保持突起23は、管軸と直交する断面がほぼV字形をなしている。本実施形態では、管軸方向から見た保持突起23の先端230の形状は、凸曲線をなしている。
【0020】
図2に示すように、保持突起23の管軸方向寸法Lは、短円筒部長さ以上かつ1ピッチPの25%より長く、本実施形態では、約1.5Pに設定されている。保持突起23は、1つの山部21と2つの谷部22を管軸方向に横切るようにして形成されている。保持突起23の管軸方向の中心は、上記1つの山部21の管軸方向位置と一致している。一対の第1側壁231は、保持突起23の管軸方向中心に対して対称をなし、同一角度で傾斜している。管軸と直交する平面に対する第1側壁231の傾斜角度θ1は5°以上であり、本実施形態では、約30°に設定されている。そして、保持突起23の一対の第1側壁231の根元231aは、上記の横切った2つの谷部22に隣接する2つの山部21にそれぞれ連なっている。
【0021】
図3に示すように、保持突起23の一対の第2側壁232は、該保持突起23の周方向中心に対して対称をなし、同一角度で傾斜している。管軸を含む平面に対する第2側壁232の傾斜角度θ2は5°以上であり、本実施形態では、約45°に設定されている。第2側壁232の根元232aは、保持突起23が横切った1つの山部21と2つの谷部22に連なり、波形を描いている。
【0022】
波形管20は、保持突起23が内管10を同心に保持することによって、内管10のバタツキを抑えて音鳴りを抑制することができるとともに、保温性を向上させることができる。保持突起23は、管軸方向に分散されているために波形管20の管軸方向の伸縮性に影響を与えない。また、保持突起23は、周方向に分散されているため、構造物が引っ掛かるリスクを低減することができる。
【0023】
しかも、一対の第1側壁231が5°より大きな傾斜角度θ1(本実施形態では、約30°)を有してV字形の断面をなし、その根元231aが山部21に連接しており、一対の第2壁部232が5°より大きな傾斜角度θ2(本実施形態では、約45°)を有してV字形の断面をなし、その根元232aが1つの山部21と2つの谷部22に連接しているため、径方向の圧縮強度をより一層高めることができる。
【0024】
上述したように、保持突起23は、谷部22の溝幅とは無関係に設定される。換言すれば、保持突起23の管軸方向の寸法を広げるために谷部22の溝幅を無理に広げないで済む。そのため、谷部22の溝幅を構造物の角が入り込んで引っ掛かるのを抑制できる幅に制限することができ、例えば、谷部22の溝幅を1ピッチPの35%以下とする。ただし、谷部22は、管軸方向の伸縮性を確保するため(圧縮代を確保するため)に、谷部22の溝幅は1ピッチPの25%以上とする。本実施形態では、谷部22の溝幅は、1ピッチPの約30%に設定されている。これにより、200mmの波形管20を容易に50mm以上縮めることができる。
【0025】
構造物の角が谷部22の奥まで入らないようにするため、谷部22の溝深さは、溝幅より大とする。また、ほぼ四角錐をなす保持突起23の凹部の深さは、谷部22の溝幅より大とする。
[管端キャップ]
次に、以上説明した複合管1に用いられる管端キャップの実施形態について説明する。
【0026】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る管端キャップ30は、図4図6に示すように、複合管1の内管10の軸方向一端に嵌め込まれるものであって(図5参照)、内周面が内管10の外周面に嵌合する有底円筒状のキャップ部31と、該キャップ部31の外周に、径方向外方に向かって放射状に一体に延びる4枚の板状部32と、キャップ部31の軸方向一端を閉止する円板状のキャップ端末閉止部33(図5参照)によって構成されている。
【0027】
ここで、本実施の形態では、4枚の板状部32が周方向に等角度ピッチ(90°ピッチ)で上下及び左右にそれぞれ配置されており、したがって、これらの板状部32は、波形管20に径方向内方に向かって突設された4つの保持突起23(図1図3参照)の間の周方向隙間を管軸方向に貫通することによって、これらの板状部32と保持突起23とが干渉することがない。このため、管端キャップ30を波形管20に干渉することなく内管10の軸方向一端外周にスムーズに嵌め込むことができる。
【0028】
ここで、各板状部32には、導入テーパ部(第1テーパ部)32aが形成されるとともに、この導入テーパ部32aから管軸方向に沿って平行に延びる第1平行部32bと、この第1平行部32bの管軸方向端部から径方向外方に向かって斜めに延びる第2テーパ部32cと、該第2テーパ部32cから管軸方向に沿って水平に延びる第2平行部32dが形成されている。ここで、板状部32の第1平行部32bの外接円直径は、波形管20の谷部22の内径と同等に設定されており、第2平行部32dの外接円直径は、波形管20の谷部22の内径と山部21の外径との中間の値の設定されている。
【0029】
以上のように構成された管端キャップ30は、図5に示すように、キャップ部31の内周を内管10の外周に嵌め込んで管軸方向(図5の左方)に押し込むことによって、内管10の軸方向一端に装着されるが、このように管端キャップ30が内管10の外周に嵌め込まれると、内管10の軸方向一端の開口部が当該管端キャップ30のキャップ端末閉止部33によって閉止される。
【0030】
また、上述のように管端キャップ30が内管10の軸方向一端に装着されると、図5に示すように、該管端キャップ30の各板状部32の第1平行部32bが波形管20の谷部22の内周に嵌合して該波形管20を径方向に位置決めするとともに、各板状部32の第2平行部32dが波形管20の山部21の内部に入り込むため、波形管20の内管10からの抜けが阻止される。したがって、保持突起23が設けられた波形管20を備える複合管1の内管10と波形管20の密閉性が高められるとともに、波形管20と内管10との管軸方向の位置ズレが確実に防がれる。
【0031】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る管端キャップ40は、図7に示すように、キャップ部41の外周に径方向外方に向かって放射状に一体に突設された4枚の板状部42の形状を直角三角形としたことを特徴としている。ここで、各板状部42の鋭角をなす端部の最大外接円直径は、波形管20の谷部22の内径と山部21の内径の中間の値に設定されている。
【0032】
したがって、本実施形態に係る管端キャップ40においても、該管端キャップ40が図8に示すように内管10の外周に嵌め込まれて装着されると、各板状部42の導入テーパ部42aが波形管20の谷部22の内周に係合して波形管20と内管10との密着性を高める。また、管端キャップ40の各板状部42の最大径の角部が波形管20の山部21の凹部に入り込むため、波形管20の内管10からの抜けが阻止される。この結果、保持突起23が設けられた波形管20を備える複合管1の内管10と波形管20の密閉性が高められるとともに、波形管20と内管10との管軸方向の位置ズレが確実に防がれる。
【0033】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る管端キャップ50は、図9に示すように、キャップ部51の外周に突設された各板状部52の形状を前記第1実施形態に係る板状部32と前記第2実施形態に係る板状部42の形状とを組み合わせたものとしている。すなわち、本実施の形態に係る管端キャップ50の板状部52には、導入テーパ部52aと第1平行部52b及び第2テーパ部52cが形成されている。
【0034】
したがって、本実施形態に係る管端キャップ50においても、該管端キャップ50が図10に示すように内管10の外周に嵌め込まれて装着されると、各板状部52の第1平行部52bが波形管20の谷部22の内周に係合して該波形管20と内管10との密着性を高める。また、管端キャップ50の各板状部52の第2テーパ部52cの最大径の角部が波形管20の山部21の凹部に入り込むため、波形管20の内管10からの抜けが阻止される。この結果、保持突起23が設けられた波形管20を備える複合管1の内管10と波形管20の密閉性が高められるとともに、波形管20と内管10との管軸方向の位置ズレが確実に防がれる。
【0035】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る管端キャップ60は、図11に示すように、各板状部62の形状を台形とするとともに、キャップ部61の軸方向一端(図11の右端)にキャップ端末閉止部としての円盤63を一体に形成したことを特徴としている。ここで、円盤63の外径は、波形管20の谷部22の外径よりも大きく設定されている。
【0036】
したがって、本実施形態に係る管端キャップ60が図12に示すように内管10の外周に嵌め込まれて装着されると、波形管20の一端開口部が管端キャップ60の円盤63によって確実に閉止される。また、各板状部62の平行部62bが波形管20の谷部22の内周に係合して該波形管20と内管10との密着性を高めるとともに、円盤63の外周部が波形管20の山部21の凹部に入り込むため、波形管20の内管10からの抜けが阻止される。この結果、波形管20の一端開口部が管端キャップ60の円盤63によって確実に閉止されるとともに、保持突起23が設けられた波形管20を備える複合管1の内管10と波形管20の密閉性が高められる。また、波形管20と内管10との管軸方向の位置ズレが確実に防がれる。
【0037】
ここで、本実施形態に係る管端キャップ60としては、図13(a)~(d)に示すような種々の形態のものが考えられる。
【0038】
すなわち、図13(a)に示す管端キャップ60Aにおいては、キャップ部61が円盤63を貫通して該円盤63から軸方向一端が突出している。また、図13(b)に示す管端キャップ60Bにおいては、板状部62と円盤63との間に所定の隙間が形成されており、板状部62の一部と円盤63とが繋がっており、図13(c)に示す管端キャップ60Cにおいては、板状部62と円盤63とは繋がっていない。
【0039】
さらに、図13(d)に示す管端キャップ60Dにおいては、円盤63が段付きの大径部63aと小径部63bとで構成されており、当該管端キャップ60Dを複合管1の内管10に装着した状態では、円盤63の大径部63aが波形管20の軸方向一端開口部を閉止し、小径部63bが内管10の軸方向一端開口部を閉止する。
【0040】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る管端キャップ70は、図14に示すように、キャップ71に一体に形成された円盤73の端面に先細状のガイド突起74を突設しており、このガイド突起74が複合管1の配管施工時のガイドとして機能する。ここで、ガイド突起74は、4枚の三角リブ74aを円盤73の端面に周方向に等角度ピッチ(90°ピッチ)で放射状に突設して構成されている。なお、本実施形態に係る管端キャップ70においても、キャップ部71の外周に4枚の板状部72が放射状に突設されている。
【0041】
本実施形態に係る管端キャップ70によっても、前記第4実施形態に係る管端キャップ60(60A~60D)と同様に、波形管20の一端開口部が円盤73によって確実に閉止されるとともに、保持突起23が設けられた波形管20を備える複合管1の内管10と波形管20の密閉性が高められる。また、波形管20と内管10との管軸方向の位置ズレが確実に防がれる。
【0042】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、例えば給水給湯管の保管または配管施工時の端末治具に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 複合管
10 内管
20 波形管
21 山部
22 谷部
23 保持突起
30~70 管端キャップ
31~71 キャップ部
32a 導入テーパ部
32~72 板状部
33 キャップ端末閉止部
63,73 円盤(キャップ端末閉止部)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15