(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027314
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】判定装置及びユーザ端末
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20240222BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240222BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G06Q50/10
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130017
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 健太
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086CA09
5C086CA15
5C086CA21
5C086CA23
5C086CB01
5C086CB21
5C086CB26
5C086DA01
5C086EA13
5C086EA23
5C086FA02
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA11
5C087AA19
5C087AA42
5C087AA44
5C087AA51
5C087BB11
5C087DD03
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG06
5C087GG19
5C087GG29
5C087GG31
5C087GG35
5C087GG51
5C087GG57
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5L049CC17
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、ユーザに危険が発生したことを正確に検知できる判定装置及びユーザ端末を提供することである。
【解決手段】本発明に係る判定装置は、演算装置と、通知装置と、を備えている。演算装置は、ユーザの状態を示すユーザ状態情報を取得する第1取得ステップと、ユーザ状態情報に基づいて、ユーザに危険が発生したか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにおいてユーザに危険が発生したと判定した場合、ユーザに危険が発生したことを通知装置によりユーザに対して通知する第1通知ステップと、第1通知ステップの後に、判定ステップの判定結果が正判定又は誤判定であることを示す判定通知を取得する通知取得ステップと、を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定装置であって、
演算装置と、
通知装置と、
を備えており、
前記演算装置は、
ユーザの状態を示すユーザ状態情報を取得する第1取得ステップと、
前記ユーザ状態情報に基づいて、前記ユーザに危険が発生したか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記ユーザに危険が発生したと判定した場合、前記ユーザに危険が発生したことを前記通知装置により前記ユーザに対して通知する第1通知ステップと、
前記第1通知ステップの後に、前記判定ステップの判定結果が正判定又は誤判定であることを示す判定通知を取得する通知取得ステップと、
を実行する、
判定装置。
【請求項2】
前記演算装置は、
前記判定ステップの判定結果が誤判定である前記判定通知を取得した場合、前記判定ステップにおいて判定した判定結果を前記ユーザに危険が発生しなかったと訂正する訂正ステップを、
更に実行する、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記演算装置は、
前記判定ステップの判定結果が正判定である前記判定通知を取得した場合、前記判定ステップにおける判定を維持する維持ステップを、
更に実行する、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項4】
前記判定装置は、
前記ユーザ状態情報を生成する1以上のセンサを、
更に備えており、
前記判定装置は、前記ユーザに装着される、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の判定装置。
【請求項5】
前記通知装置は、音、光又は振動により、前記ユーザに危険が発生したことを前記ユーザに通知する、
請求項4に記載の判定装置。
【請求項6】
前記通知装置は、前記ユーザが保持するユーザ端末に電気通信回線を介して、前記ユーザに危険が発生したことを示す危険発生通知を送信する、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の判定装置。
【請求項7】
ユーザが装着するユーザ端末であって、
1以上のセンサと、
通信装置と、
通知装置と、
入力装置と、
演算装置と、
を備えており、
前記1以上のセンサは、前記ユーザの状態を示すユーザ状態情報を生成し、
前記演算装置は、
前記1以上のセンサが生成した前記ユーザ状態情報をサーバに対して前記通信装置により送信する第1送信ステップと、
前記第1送信ステップ後に、前記ユーザに危険が発生した通知を前記サーバから前記通信装置により受信する受信ステップと、
前記ユーザに危険が発生したことを前記通知装置により前記ユーザに対して通知する第2通知ステップと、
前記ユーザからの入力を前記入力装置により受け付ける入力ステップと、
前記ユーザに危険が発生した通知の後に、前記入力ステップに基づいて、前記第2通知ステップの通知が正しいか否かを示す判定通知を前記サーバに対して前記通信装置により送信する第2送信ステップと、
を実行する、
ユーザ端末。
【請求項8】
前記演算装置は、前記入力ステップにおいて前記ユーザからの入力があった場合、前記第2通知ステップの通知が正しいことを示す前記判定通知を前記通信装置により送信する、
請求項7に記載のユーザ端末。
【請求項9】
前記演算装置は、前記入力ステップにおいて前記ユーザからの入力があった場合、前記第2通知ステップの通知が誤っていることを示す前記判定通知を前記通信装置により送信する、
請求項7に記載のユーザ端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに危険が発生したことを判定する判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の判定装置に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の異常状態検知装置が知られている。この異常状態検知装置は、作業者の生体情報に基づいて、作業者の異常状態を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の異常状態検知装置の分野において、作業者に危険が発生したことをより正確に検知したいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ユーザに危険が発生したことを正確に検知できる判定装置及びユーザ端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る判定装置は、
判定装置であって、
演算装置と、
通知装置と、
を備えており、
前記演算装置は、
ユーザの状態を示すユーザ状態情報を取得する第1取得ステップと、
前記ユーザ状態情報に基づいて、前記ユーザに危険が発生したか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記ユーザに危険が発生したと判定した場合、前記ユーザに危険が発生したことを前記通知装置により前記ユーザに対して通知する第1通知ステップと、
前記第1通知ステップの後に、前記判定ステップの判定結果が正判定又は誤判定であることを示す判定通知を取得する通知取得ステップと、
を実行する。
【0007】
本発明の一形態に係るユーザ端末は、
ユーザが装着するユーザ端末であって、
1以上のセンサと、
通信装置と、
通知装置と、
入力装置と、
演算装置と、
を備えており、
前記1以上のセンサは、前記ユーザの状態を示すユーザ状態情報を生成し、
前記演算装置は、
前記1以上のセンサが生成した前記ユーザ状態情報をサーバに対して前記通信装置により送信する第1送信ステップと、
前記第1送信ステップ後に、前記ユーザに危険が発生した通知を前記サーバから前記通信装置により受信する受信ステップと、
前記ユーザに危険が発生したことを前記通知装置により前記ユーザに対して通知する第2通知ステップと、
前記ユーザからの入力を前記入力装置により受け付ける入力ステップと、
前記ユーザに危険が発生した通知の後に、前記入力ステップに基づいて、前記第2通知ステップの通知が正しいか否かを示す判定通知を前記サーバに対して前記通信装置により送信する第2送信ステップと、
を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザに危険が発生したことを正確に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、判定システム1のブロック図である。
【
図2】
図2は、ユーザ端末10のブロック図である。
【
図4】
図4は、ユーザ端末10の演算装置12が実行するフローチャートである。
【
図5】
図5は、サーバ110の演算装置112が実行するフローチャートである。
【
図6】
図6は、危険が発生したか否かを判定するためのグラフである。
【
図9】
図9は、ユーザ端末10aの演算装置12が実行するフローチャートである。
【
図10】
図10は、サーバ110aの演算装置112が実行するフローチャートである。
【
図11】
図11は、ユーザ端末10,10aの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
[判定システム1の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る判定システム1の構造について図面を参照しながら説明する。
図1は、判定システム1のブロック図である。
図2は、ユーザ端末10のブロック図である。
図3は、サーバ110のブロック図である。
【0011】
判定システム1は、ユーザに危険が発生したか否かを判定する。判定システム1は、
図1に示すように、ユーザ端末10及びサーバ110を備えている。ユーザ端末10は、サーバ110に対してインターネットを介して通信可能に接続されている。
【0012】
ユーザ端末10は、ユーザに装着される。本実施形態では、ユーザ端末10は、ユーザの頭部に取り付けられる。ユーザ端末10は、ユーザに危険が発生したか否かを判定する判定装置である。ユーザは、例えば、建設現場の作業員である。ユーザ端末10は、
図2に示すように、演算装置12、記憶装置13、通信装置14、センサ群16、通知装置18及び入力装置19を備えている。
【0013】
演算装置12は、ユーザ端末10の制御を行う。演算装置12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。
【0014】
記憶装置13は、演算装置12が実行するプログラムを記憶している。記憶装置13は、例えば、不揮発性メモリである。
【0015】
通信装置14は、サーバ110に対して情報を送信すると共に、サーバ110から送信されてきた情報を受信する。通信装置14は、サーバ110とインターネットを介して通信するためのハードウエア及びソフトウエアである。
【0016】
センサ群16は、1以上のセンサを含んでいる。センサ群16は、ユーザの状態を示すユーザ状態情報を生成する。ユーザ状態情報は、例えば、ユーザの体温、ユーザの心拍数、ユーザに発生している加速度等のユーザの生体情報である。本実施形態では、センサ群16は、ユーザの体温及びユーザに発生している加速度を検知し、体温情報及び加速度情報を生成する。
【0017】
通知装置18は、音、光、振動により危険が発生したことをユーザに通知する。通知装置18は、例えば、スピーカー、表示パネル、LEDライト、バイブレータである。本実施形態では、通知装置18は、音によりユーザに情報を通知するスピーカーである。
【0018】
入力装置19は、ユーザにより操作されるボタンである。
【0019】
サーバ110は、ユーザ端末10が実行するプログラムを更新する。サーバ110は、
図3に示すように、演算装置112、記憶装置114及び通信装置116を備えている。
【0020】
演算装置112は、記憶装置114及び通信装置116の制御を行う。演算装置112は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。
【0021】
記憶装置114は、演算装置112が実行するプログラムを記憶している。記憶装置114は、ハードディスクや不揮発性メモリである。
【0022】
通信装置116は、ユーザ端末10に対して情報を送信すると共に、ユーザ端末10から送信されてきた情報を受信する。通信装置116は、ユーザ端末10とインターネットを介して通信するためのハードウエア及びソフトウエアである。
【0023】
[判定システム1の動作]
次に、判定システム1の動作について図面を参照しながら説明する。
図4は、ユーザ端末10の演算装置12が実行するフローチャートである。演算装置12は、記憶装置13が記憶しているプログラムを実行することによって、
図4のフローチャートを実行する。
図5は、サーバ110の演算装置112が実行するフローチャートである。演算装置112は、記憶装置114が記憶しているプログラムを実行することによって、
図5のフローチャートを実行する。
図6は、危険が発生したか否かを判定するためのグラフである。
図7及び
図8は、判定基準の更新時のグラフである。縦軸は、ユーザの体温を示す。横軸は、ユーザに発生している加速度を示す。
【0024】
センサ群16は、ユーザ状態情報I1を生成し、ユーザ状態情報I1を演算装置12に出力する。これにより、演算装置12は、ユーザの状態を示すユーザ状態情報I1を取得する(ステップS1,第1取得ステップ)。
【0025】
次に、演算装置12は、ユーザ状態情報I1に基づいて、ユーザに危険が発生したか否かを判定する(ステップS2,判定ステップ)。より詳細には、記憶装置13が記憶しているプログラムは、
図6のグラフに相当する判定基準を含んでいる。
図6のグラフには、正の傾きを有する基準線L0が記載されている。基準線L0より縦軸の正側の領域では、危険が発生したことを意味する。基準線L0より縦軸の負側の領域では、危険が発生しなかったことを意味する。なお、危険が発生したことを、ヒヤリハットとも呼ぶ。ヒヤリハットとは、「危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象のこと」である。ヒヤリとした、あるいはハットするような、一歩間違えれば重大な事故につながる出来事が起こったものの、結果として重大な事故の発生までには至らなかったケースが該当する。演算装置12は、ユーザ状態情報I1が基準線L0より縦軸の正側の領域に位置するのか、ユーザ状態情報I1が基準線L0より縦軸の負側の領域に位置するのかを判定する。危険が発生した場合、本処理はステップS3に進む。危険が発生しなかった場合、本処理はステップS1に戻る。
【0026】
ステップS2の判定ステップにおいてユーザに危険が発生したと判定した場合、演算装置12は、ユーザに危険が発生したことを通知装置18によりユーザに対して通知する(ステップS3,第1通知ステップ)。本処理では、通知装置18は、ブザー音を鳴らす。
【0027】
ユーザは、ブザー音を聞いて、自身に危険が発生したか否かを判定する。すなわち、ユーザは、ステップS2の判定ステップの結果が正判定であったか誤判定であったかを判定する。演算装置12の判定が誤判定であった場合、ユーザは、入力装置19であるボタンを押す。演算装置12の判定が正判定であった場合、ユーザは、入力装置19であるボタンを押さない。この後、本処理は、ステップS4に進む。
【0028】
演算装置12は、ユーザからのアクションがあったか否かを判定する(ステップS4)。具体的には、演算装置12は、ユーザが入力装置19であるボタンを押したか否かを判定する。アクションがあった場合、本処理は、ステップS5に進む。アクションがなかった場合、本処理は、ステップS7に進む。
【0029】
アクションがあった場合、演算装置12は、ステップS3の第1通知ステップの後に、ステップS2の判定ステップの判定結果が誤判定であることを示す判定通知を取得する(ステップS5,通知取得ステップ)。判定通知は、ユーザが入力装置19であるボタンを押す行為により発生する。そして、演算装置12は、ステップS2の判定結果が誤判定であることを示す誤判定通知を通信装置14によりサーバ110に対して送信する(ステップS6)。この際、演算装置12は、誤判定通知に加えて、ステップS1において取得したユーザ状態情報I1も通信装置14によりサーバ110に対して送信する。
【0030】
アクションがなかった場合、演算装置12は、ステップS3の第1通知ステップの後に、ステップS2(判定ステップ)の判定結果が誤判定であることを示す判定通知を取得しない。そこで、演算装置12は、ステップS2の判定結果が正判定であることを示す正判定通知を通信装置14によりサーバ110に対して送信する(ステップS7)。この際、演算装置12は、正判定通知に加えて、ステップS1において取得したユーザ状態情報I1も通信装置14によりサーバ110に対して送信する。
【0031】
通信装置116は、正判定通知又は誤判定通知及びユーザ状態情報I1を受信し、正判定通知又は誤判定通知及びユーザ状態情報I1を演算装置112に出力する。これにより、演算装置112は、正判定通知又は誤判定通知及びユーザ状態情報I1を取得する(ステップS11)。
【0032】
次に、演算装置112は、正判定通知又は誤判定通知及びユーザ状態情報I1に基づいて、判定基準を更新する(ステップS12)。以下に、ステップS12について説明する。
【0033】
図7の点線は、更新前の基準線L0である。
図7の実線は、更新後の基準線L0である。演算装置112は、誤判定通知及びユーザ状態情報I1を取得する。更新前の基準線L0では、ユーザ状態情報I1は、基準線L0より縦軸の正側に位置している。そのため、演算装置12は、ユーザに危険が発生したと判定した。これに対して、ユーザは、自身に危険が発生しなかったと判定した。そこで、演算装置112は、ユーザ状態情報I1が基準線L0より縦軸の負側に位置するように、基準線L0を縦軸の正側に移動させる。
【0034】
また、
図8の点線は、更新前の基準線L0である。
図8の実線は、更新後の基準線L0である。演算装置112は、ユーザ状態情報I1が基準線L0より縦軸の負側に位置するように、基準線L0の傾きを減少させてもよい。
【0035】
次に、演算装置112は、前回に判定基準をユーザ端末10に送信してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS13)。所定時間は、例えば、1日である。所定期間が経過していない場合、本処理は、ステップS11に戻る。所定期間が経過した場合、本処理は、ステップS14に進む。
【0036】
所定期間が経過した場合、演算装置112は、判定基準を通信装置116によりユーザ端末10に送信する(ステップS14)。ユーザ端末10の演算装置12は、サーバ110から送信されてきた判定基準により、記憶装置13が記憶している判定基準を更新する。
【0037】
[効果]
ユーザ端末10によれば、ユーザに危険が発生したことを正確に検知できる。より詳細には、ユーザ端末10では、ステップS3においてユーザに危険が発生したと判定した場合、演算装置12は、ユーザに危険が発生したことを通知装置18によりユーザに対して通知する。これにより、ユーザは、演算装置12がユーザに危険が発生したと判定したと認知できる。そして、ユーザは、演算装置12の判定が正判定であったか誤判定であったかを判定できる。演算装置12の判定が誤判定であった場合、ユーザは、例えば、入力装置19であるボタンを押す。これにより、演算装置12は、ステップS3の後に、ステップS2の判定結果が誤判定であることを示す判定通知を取得する。よって、演算装置12は、ユーザに危険が発生したことが誤判定であることを認識できる。すなわち、演算装置12は、この誤判定に基づいて、判定基準の修正をサーバ110に行わせることができる。よって、演算装置12は、修正後の判定基準を取得できる。以上より、ユーザ端末10によれば、ユーザに危険が発生したことを正確に検知できる。
【0038】
また、判定基準の更新は、時間経過と共に繰り替えされる。そのため、ステップS3の判定が誤判定である確率は、時間経過と共に減少する。そこで、ユーザ端末10では、ユーザは、ステップS3の判定が誤判定である場合に、入力装置19であるボタンを押す。これにより、ユーザ端末10では、ユーザが入力装置19であるボタンを押す回数は、時間経過と共に減少する。
【0039】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係る判定システム1aについて図面を参照しながら説明する。
図9は、ユーザ端末10aの演算装置12が実行するフローチャートである。
図10は、サーバ110aの演算装置112が実行するフローチャートである。なお、判定システム1aのブロック図、ユーザ端末10aのブロック図及びサーバ110aのブロック図は、
図1ないし
図3を援用する。
【0040】
判定システム1aでは、サーバ110aの演算装置112が、ユーザ状態情報I1に基づいて、ユーザに危険が発生したか否かを判定する点において判定システム1と相違する。以下に、かかる相違点について説明する。したがって、サーバ110aは、判定装置の一例である。
【0041】
センサ群16は、ユーザ状態情報I1を生成し、ユーザ状態情報I1を演算装置12に出力する。これにより、演算装置12は、ユーザの状態を示すユーザ状態情報I1を取得する(ステップS21)。
【0042】
次に、演算装置12は、センサ群16が生成したユーザ状態情報I1をサーバ110aに対して通信装置14により送信する(ステップS22,第1送信ステップ)。
【0043】
通信装置116は、ユーザ状態情報I1を受信し、ユーザ状態情報I1を演算装置112に出力する。これにより、演算装置112は、ユーザの状態を示すユーザ状態情報I1を取得する(ステップS31,第1取得ステップ)。
【0044】
次に、演算装置112は、ユーザ状態情報I1に基づいて、ユーザに危険が発生したか否かを判定する(ステップS32,判定ステップ)。ステップS32は、ステップS3と同じであるので説明を省略する。
【0045】
ステップS32の判定ステップにおいてユーザに危険が発生したと判定した場合、演算装置112は、ユーザに危険が発生したことを通信装置116によりユーザに対して通知する(ステップS33,第1通知ステップ)。通信装置116は、通知装置の一例である。すなわち、通信装置116は、ユーザが保持するユーザ端末10aに電気通信回線を介して、ユーザに危険が発生したことを示す危険発生通知を送信する。
【0046】
通信装置14は、危険発生通知を受信し、危険発生通知を演算装置12に出力する。これにより、ステップ22の第1送信ステップの後に、演算装置12は、ユーザに危険が発生した危険発生通知をサーバ110aから通信装置14により受信する(ステップS23,受信ステップ)。そして、演算装置12は、ユーザに危険が発生したことを通知装置18によりユーザに対して通知する(ステップS24,第2通知ステップ)。本処理では、通知装置18は、ブザー音を鳴らす。
【0047】
ユーザは、ブザー音を聞いて、自身に発生したか否かを判定する。すなわち、ユーザは、演算装置12の判定が正判定であったか誤判定であったかを判定する。演算装置12の判定が誤判定であった場合、ユーザは、入力装置19であるボタンを押す。演算装置12の判定が正判定であった場合、ユーザは、入力装置19であるボタンを押さない。この後、本処理は、ステップS25に進む。
【0048】
演算装置12は、ユーザからのアクションがあったか否かを判定する(ステップS25)。具体的には、演算装置12は、ユーザが入力装置19であるボタンを押したか否かを判定する。アクションがあった場合、本処理はステップS26に進む。アクションがなかった場合、本処理はステップS28に進む。
【0049】
アクションがあった場合、演算装置12は、ユーザからの入力を入力装置19により受け付ける(ステップS26,入力ステップ)。すなわち、演算装置12は、ステップS32の判定ステップの判定結果が誤判定であることを示す判定通知を取得する。そして、ユーザに危険が発生した通知の後に、演算装置12は、ステップS26の入力ステップに基づいて、ステップS24の第2通知ステップの通知が正しいか否かを示す判定通知をサーバ110aに対して通信装置14により送信する(第2送信ステップ)。具体的には、演算装置112は、ステップS26の入力ステップにおいてユーザからの入力があった場合、サーバ110aは、ステップS24の第2通知ステップの通知が誤っていることを示す誤判定通知を通信装置14により送信する(ステップS27)。この際、演算装置12は、誤判定通知に加えて、ステップS21において取得したユーザ状態情報I1も通信装置14によりサーバ110に対して送信する。
【0050】
アクションがなかった場合、演算装置12は、ステップS32(判定ステップ)の判定結果が誤判定であることを示す判定通知を取得しない。演算装置12は、ステップS32の判定結果が正判定であることを示す正判定通知を通信装置14によりサーバ110に対して送信する(ステップS28)。この際、演算装置12は、正判定通知に加えて、ステップS21において取得したユーザ状態情報I1も通信装置14によりサーバ110に対して送信する。
【0051】
通信装置116は、正判定通知又は誤判定通知及びユーザ状態情報I1を受信し、正判定通知又は誤判定通知及びユーザ状態情報I1を演算装置112に出力する。これにより、演算装置112は、正判定通知又は誤判定通知及びユーザ状態情報I1を取得する(ステップS34)。
【0052】
演算装置112は、誤判定通知を取得したか否かを判定する(ステップS35)。演算装置112が誤判定通知を取得した場合、本処理は、ステップS36に進む。演算装置112が正判定通知を取得した場合、本処理は、ステップS37に進む。
【0053】
次に、演算装置112は、ステップS32の判定ステップの判定結果が誤判定である判定通知を取得した場合、ステップS32の判定ステップにおいて判定した判定結果をユーザに危険が発生しなかったと訂正する(ステップS36,訂正ステップ)。この後、本処理は、ステップS38に進む。
【0054】
次に、演算装置112は、ステップS32の判定ステップの判定結果が正判定である判定通知を取得した場合、ステップS32の判定ステップにおける判定を維持する(ステップS37,維持ステップ)。この後、本処理は、ステップS38に進む。
【0055】
ステップS38において、演算装置112は、正判定通知又は誤判定通知及びユーザ状態情報I1に基づいて、判定基準を更新する(ステップS38)。以下に、ステップS38は、ステップS12と同じであるので説明を省略する。この後、本処理は、ステップS31に戻る。
【0056】
以上のような判定システム1aは、判定システム1と同じ作用効果を奏することができる。
【0057】
(ユーザ端末10,10aの実施例)
以下に、ユーザ端末10,10aの実施例について図面を参照しながら説明する。
図11は、ユーザ端末10,10aの実施例を示す図である。
【0058】
図11に示すように、ユーザ端末10,10aは、ヘルメット500の内部に取り付けられている。これにより、ユーザ端末10,10aは、ユーザUに装着される。また、ユーザ端末10,10aのセンサ群16は、ユーザUの額に接触している。これにより、センサ群16は、ユーザ状態情報I1を生成する。
【0059】
(その他の実施形態)
本発明に係るユーザ端末は、ユーザ端末10,10aに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。本発明に係るサーバは、サーバ110,110aに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。また、ユーザ端末10,10aの構造を任意に組み合わせてもよい。サーバ110,110aの構造を任意に組み合わせてもよい。
【0060】
なお、ユーザは、正判定である場合に、入力装置19であるボタンを押してもよい。この場合、演算装置12,112は、第1通知ステップの後に、判定ステップの判定結果が正判定であることを示す判定通知を取得する。
【0061】
なお、ユーザ端末10aの演算装置12は、入力ステップにおいてユーザからの入力があった場合、第2通知ステップの通知が正しいことを示す判定通知を通信装置により送信してもよい。
【0062】
なお、ユーザ端末10,10a及びサーバ110,110aは、初期状態、データ蓄積状態及び判定調整状態の3つの状態を有していてもよい。初期状態では、ユーザ端末10,10a及びサーバ110,110aは、判定ステップ及び第1通知ステップを行わない。データ蓄積状態では、ユーザ端末10,10a及びサーバ110,110aは、第1通知ステップを行わない。ただし、ユーザは、自身に危険が発生したと感じた場合には、入力装置19であるボタンを押す。これにより、ユーザ端末10,10a及びサーバ110,110aは、ユーザによるボタンの操作に基づいて、判定ステップにおける判定が正判定であったか誤判定であったかを判定できる。これにより、ユーザ端末10,10a及びサーバ110,110aは、判定基準を生成する。判定調整状態では、ユーザ端末10,10a及びサーバ110,110aは、判定ステップ及び第1通知ステップを行う。そして、ユーザは、第1通知ステップによりブザーが鳴った時に、入力装置19であるボタンを押さない。そして、ユーザが危険を感じたにも関わらずブザーが鳴らなかった場合、ユーザがボタンを押すことにより、判定基準が更新される。その結果、ユーザが感じた危険とブザー鳴動とが一致する。
【0063】
なお、演算装置12の判定が誤判定であった場合、ユーザは、入力装置19であるボタンを押す。しかしながら、ユーザは、演算装置12の判定が正判定であった場合に入力装置19であるボタンを押してもよい。
【0064】
なお、演算装置12の判定が誤判定であった場合、ユーザは、入力装置19であるボタンを押す。しかしながら、ユーザは、入力装置19であるボタンを押す代わりに、例えば、声を発したり、首を振ったり、頭部を複数回叩いてもよい。ユーザが声を発する場合、ボタンの代わりにマイクが設けられる。ユーザが首を振る場合には、ユーザ端末10,10aのセンサ群16の加速度センサが、ユーザが首を振ったことを示す信号を出力する。ユーザが頭部を複数回叩いた場合には、ユーザ端末10,10aのセンサ群16の加速度センサが、ユーザが頭部を複数回叩いたことを示す信号を出力する。
【0065】
なお、ユーザ状態情報は、体温及び加速度を含んでいる。しかしながら、ユーザ状態情報は、体温及び加速度以外の情報を含んでいてもよいし、体温及び加速度に加えて更なる情報を含んでいてもよい。この場合、
図7及び
図8のグラフは、3軸以上のグラフである。
【0066】
なお、判定基準の更新は、判定ステップが行われるたびに実行されなくてもよい。判定基準の更新は、複数回の判定ステップが実行されることにより実行されてもよい。この場合、ユーザ端末10,10a及びサーバ110,110aは、複数のユーザ状態情報I1を蓄積し、危険発生と危険発生なしとを最も見分けられる基準線に更新する。
【符号の説明】
【0067】
1,1a:判定システム
10,10a:ユーザ端末
12:演算装置
13:記憶装置
14:通信装置
16:センサ群
18:通知装置
19:入力装置
22:ステップ
110,110a:サーバ
112:演算装置
114:記憶装置
116:通信装置
I1:ユーザ状態情報