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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027332
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】生産管理装置および生産管理方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20240222BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130046
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】滝西 哲也
【テーマコード(参考)】
3C100
5E353
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA52
3C100AA58
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100EE07
5E353AA02
5E353CC01
5E353CC22
5E353CC25
5E353EE02
5E353EE23
5E353EE53
5E353EE89
5E353GG01
5E353GG17
5E353HH25
5E353JJ21
5E353JJ44
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK11
5E353LL02
5E353LL04
5E353MM04
5E353MM08
5E353QQ01
5E353QQ30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生産計画に含まれる工程に遅延が発生した場合に、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担を軽減することが可能な生産管理装置を提供する。
【解決手段】この生産管理装置20は、部品を基板Pに実装する部品実装ライン10による基板Pの生産を管理するための生産管理装置20であって、基板Pを生産するための生産計画に含まれる工程のうち、分析対象の工程を取得する取得部21bと、分析対象の工程における計画の時間と実績の時間との差に基づいて、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを判定する判定部21cと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に実装する部品実装ラインによる前記基板の生産を管理するための生産管理装置であって、
前記基板を生産するための生産計画に含まれる工程のうち、分析対象の工程を取得する取得部と、
前記分析対象の工程における計画の時間と実績の時間との差に基づいて、前記分析対象の工程における遅延の原因が、前記分析対象の工程と前記分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを判定する判定部と、を備える、生産管理装置。
【請求項2】
前記判定部により前記遅延の原因が前記他の工程にあると判定された場合に、前記他の工程のうち、前記分析対象の工程と依存関係にある依存関係工程を、依存関係を解析するための解析用情報に基づいて抽出するとともに、抽出した前記依存関係工程から前記遅延の原因となる遅延原因工程を特定する特定部をさらに備える、請求項1に記載の生産管理装置。
【請求項3】
前記解析用情報は、前記部品の情報と、前記部品実装ラインの情報と、前記部品を吸着するノズルの情報と、前記基板の情報と、前記部品実装ラインに対する段取り作業の情報とのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の生産管理装置。
【請求項4】
前記特定部により特定された前記遅延原因工程と、前記分析対象の工程との間の依存関係の種類に応じて、前記遅延の原因の解消案を作成する作成部と、
前記作成部により作成された前記遅延の原因の解消案を表示する表示部と、をさらに備える、請求項2に記載の生産管理装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記遅延の原因の解消案と、前記遅延の原因の分析結果とを表示するように構成されている、請求項4に記載の生産管理装置。
【請求項6】
前記特定部は、抽出した前記依存関係工程のうち、前記分析対象の工程の直前に行われた工程を、前記遅延原因工程として特定するように構成されている、請求項2に記載の生産管理装置。
【請求項7】
前記特定部により特定した前記遅延原因工程を前記分析対象の工程に設定し直すこと、設定し直した前記分析対象の工程に対して前記判定部により判定を行うこと、および、設定し直した前記分析対象の工程に対して前記特定部により前記遅延原因工程を特定すること、を繰り返すことにより、最終的な前記遅延原因工程を特定するように構成されている、請求項6に記載の生産管理装置。
【請求項8】
前記分析対象の工程および前記他の工程は、前記基板の種類ごとの工程である、請求項1に記載の生産管理装置。
【請求項9】
部品を基板に実装する部品実装ラインによる前記基板の生産を管理するための生産管理方法であって、
前記基板を生産するための生産計画に含まれる工程のうち、分析対象の工程を取得するステップと、
前記分析対象の工程における計画の時間と実績の時間との差に基づいて、前記分析対象の工程における遅延の原因が、前記分析対象の工程と前記分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを判定するステップと、を備える、生産管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生産管理装置および生産管理方法に関し、特に、部品実装ラインによる基板の生産を管理するための生産管理装置および生産管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装ラインによる基板の生産を管理するための生産管理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、部品実装ラインによる基板の生産を管理するための生産管理装置が開示されている。この生産管理装置は、部品実装ラインにおける基板の生産に関するシミュレーションの実行、および、生産計画の作成を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-95296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、部品実装ラインにより基板を生産する現場では、生産計画に含まれる工程に遅延が発生する場合がある。また、生産計画に含まれる工程に遅延が発生した場合には、遅延の原因を分析して解消する作業を作業者が行っている。この場合、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担が大きいという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、生産計画に含まれる工程に遅延が発生した場合に、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担を軽減することが可能な生産管理装置および生産管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による生産管理装置は、部品を基板に実装する部品実装ラインによる基板の生産を管理するための生産管理装置であって、基板を生産するための生産計画に含まれる工程のうち、分析対象の工程を取得する取得部と、分析対象の工程における計画の時間と実績の時間との差に基づいて、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを判定する判定部と、を備える。
【0008】
この発明の第1の局面による生産管理装置では、上記のように、分析対象の工程を取得する取得部と、分析対象の工程における計画の時間と実績の時間との差に基づいて、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを判定する判定部とを設ける。これにより、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを生産管理装置により判定することができるので、作業者が判定する必要がない。その結果、生産計画に含まれる工程に遅延が発生した場合に、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担を軽減することができる。
【0009】
上記第1の局面による基板生産システムにおいて、好ましくは、判定部により遅延の原因が他の工程にあると判定された場合に、他の工程のうち、分析対象の工程と依存関係にある依存関係工程を、依存関係を解析するための解析用情報に基づいて抽出するとともに、抽出した依存関係工程から遅延の原因となる遅延原因工程を特定する特定部をさらに備える。このように構成すれば、遅延の原因となる遅延原因工程を生産管理装置により特定することができるので、作業者が特定する必要がない。その結果、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担をより軽減することができる。また、分析対象の工程に影響を与える依存関係工程から遅延原因工程を特定することにより、遅延原因工程を容易に特定することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、解析用情報は、部品の情報と、部品実装ラインの情報と、部品を吸着するノズルの情報と、基板の情報と、部品実装ラインに対する段取り作業の情報とのうちの少なくとも1つを含む。このように構成すれば、部品の情報と、部品実装ラインの情報と、部品を吸着するノズルの情報と、基板の情報と、部品実装ラインに対する段取り作業の情報とのうちの少なくとも1つに基づいて、分析対象の工程に影響を与える依存関係工程を容易に抽出することができる。
【0011】
上記遅延原因工程を特定する構成において、好ましくは、特定部により特定された遅延原因工程と、分析対象の工程との間の依存関係の種類に応じて、遅延の原因の解消案を作成する作成部と、作成部により作成された遅延の原因の解消案を表示する表示部と、をさらに備える。このように構成すれば、遅延の原因の解消案を生産管理装置により作成することができるので、作業者が作成する必要がない。その結果、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担をより一層軽減することができる。また、遅延の原因の解消案を表示する表示部を設けることにより、遅延の原因の解消案を作業者が容易に確認することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、表示部は、遅延の原因の解消案と、遅延の原因の分析結果とを表示するように構成されている。このように構成すれば、遅延の原因の解消案だけでなく、遅延の原因の分析結果も作業者が確認することができるので、遅延の原因の解消案の妥当性を作業者が判断することができる。
【0013】
上記遅延原因工程を特定する構成において、好ましくは、特定部は、抽出した依存関係工程のうち、分析対象の工程の直前に行われた工程を、遅延原因工程として特定するように構成されている。このように構成すれば、分析対象の工程の直前に行われていることから、直接の遅延の原因となる工程を遅延原因工程として容易に特定することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、特定部により特定した遅延原因工程を分析対象の工程に設定し直すこと、設定し直した分析対象の工程に対して判定部により判定を行うこと、および、設定し直した分析対象の工程に対して特定部により遅延原因工程を特定すること、を繰り返すことにより、最終的な遅延原因工程を特定するように構成されている。このように構成すれば、遅延原因工程を遡って特定することができるので、遅延原因工程のさらに前の工程が原因で遅延している場合などに、真の遅延原因工程を容易に特定することができる。
【0015】
上記第1の局面による基板生産システムにおいて、好ましくは、分析対象の工程および他の工程は、基板の種類ごとの工程である。このように構成すれば、基板の種類ごとの工程で遅延が発生した場合に、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担を軽減することができる。
【0016】
この発明の第2の局面による生産管理方法は、部品を基板に実装する部品実装ラインによる基板の生産を管理するための生産管理方法であって、基板を生産するための生産計画に含まれる工程のうち、分析対象の工程を取得するステップと、分析対象の工程における計画の時間と実績の時間との差に基づいて、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを判定するステップと、を備える。
【0017】
この発明の第2の局面による生産管理方法では、上記のように、分析対象の工程を取得するステップと、分析対象の工程における計画の時間と実績の時間との差に基づいて、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを判定するステップと、を設ける。これにより、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを生産管理装置により判定することができるので、作業者が判定する必要がない。その結果、生産計画に含まれる工程に遅延が発生した場合に、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担を軽減することが可能な生産管理方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、生産計画に含まれる工程に遅延が発生した場合に、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態による部品実装システムを示すブロック図である。
図2】一実施形態による部品実装装置を示す模式的な平面図である。
図3】一実施形態による部品供給部による部品の供給を説明するための図である。
図4】一実施形態による遅延の原因が分析対象の工程または他の工程のいずれにあるかの判定を説明するための図である。
図5】一実施形態による遅延原因工程の特定を説明するための図である。
図6】一実施形態による解消案の作成を説明するための図である。
図7】一実施形態による依存関係の種類ごとの解消案を説明するための図である。
図8】一実施形態による遅延原因の分析に関する制御処理を説明するためのフローチャートである。
図9図8のS4の処理を説明するためのフローチャートである。
図10図9のS11の処理を説明するためのフローチャートである。
図11図9のS14の処理を説明するためのフローチャートである。
図12図9のS15の処理を説明するためのフローチャートである。
図13】変形例による遅延原因の分析に関する制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1を参照して、本発明の一実施形態による生産管理装置20を備える部品実装システム100の構成について説明する。
【0022】
(部品実装システムの構成)
図1に示すように、本実施形態による部品実装システム100は、部品Eが実装された基板Pを生産するように構成されている。部品実装システム100は、部品実装ライン10と、生産管理装置20とを備えている。なお、部品Eは、LSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの小片状の電子部品を含む。
【0023】
部品実装ライン10は、部品Eを基板Pに実装することにより、部品Eが実装された基板Pを生産するように構成されている。部品実装ライン10は、1または複数設けられている。また、部品実装ライン10は、部品Eが実装された基板Pを生産するための生産装置を備えている。具体的には、部品実装ライン10は、印刷機11と、印刷検査機12と、複数の部品実装装置13と、外観検査装置14と、リフロー装置15とを含んでいる。また、部品実装ライン10は、製造ラインに沿って上流側(左側)から下流側(右側)に向かって基板Pが搬送されるように構成されている。
【0024】
印刷機11は、スクリーン印刷機であり、クリーム半田を基板Pの実装面上に塗布する機能を有する。
【0025】
印刷検査機12は、印刷機11により印刷したクリーム半田の状態を検査する機能を有する。
【0026】
部品実装装置13は、クリーム半田が印刷された基板Pの所定の実装位置に部品Eを実装する機能を有する。
【0027】
図2に示すように、部品実装装置13は、基台201と、搬送部202と、ヘッドユニット203と、ヘッド水平移動機構部204と、部品撮像部205と、基板撮像部206と、制御部207とを備えている。
【0028】
基台201は、部品実装装置13において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台201上には、搬送部202、レール部242および部品撮像部205が設けられている。また、基台201内には、制御部207が設けられている。また、基台201には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、部品Eを供給する部品供給部210が複数並んで設けられている。
【0029】
図3に示すように、部品供給部210は、部品Eを収納する部品供給テープTを送ることにより、部品Eを供給するテープフィーダである。部品供給テープTは、リールRに巻き回されている。また、リールRは、部品供給部210にセットされている。部品供給部210は、ヘッドユニット203による部品吸着動作に応じて、部品供給テープTを間欠的に送るように構成されている。
【0030】
図2に示すように、搬送部202は、実装前の基板Pを搬入し、基板搬送方向(X方向)に搬送し、実装後の基板Pを搬出するように構成されている。また、搬送部202は、搬入された基板Pを基板固定位置Paまで搬送するとともに、基板固定位置Paにおいてクランプ機構などの基板固定機構(図示せず)により固定するように構成されている。また、搬送部202は、一対の搬送ベルト221を含んでいる。搬送部202は、一対の搬送ベルト221により、基板Pの幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ下側(Z2方向側)から支持した状態で、基板Pを基板搬送方向に搬送するように構成されている。
【0031】
ヘッドユニット203は、部品実装用のヘッドユニットである。ヘッドユニット203は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pに部品Eを実装する。ヘッドユニット203は、複数(5つ)のヘッド(実装ヘッド)231を含んでいる。ヘッド231の先端には、部品Eを吸着するためのノズル231a(図3参照)が装着されている。ヘッド231は、負圧供給部(図示せず)から供給された負圧により、ノズル231aに部品Eを吸着可能に構成されている。また、ヘッド231は、部品Eを吸着するためかまたは吸着された部品Eを実装するための下降位置と、吸着された部品Eを基板Pに搬送するための上昇位置との間で、上下方向に移動可能に構成されている。
【0032】
ヘッド水平移動機構部204は、ヘッドユニット203を水平方向(X方向およびY方向)に移動させるように構成されている。ヘッド水平移動機構部204は、ヘッドユニット203をX方向に移動可能に支持する支持部241と、支持部241をY方向に移動可能に支持するレール部242とを含む。支持部241は、X方向に延びるボールねじ軸241aと、ボールねじ軸241aを回転させるX軸モータ241bとを有する。ヘッドユニット203には、支持部241のボールねじ軸241aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット203は、X軸モータ241bによりボールねじ軸241aが回転されることにより、ボールねじ軸241aと係合するボールナットとともに、支持部241に沿って基板搬送方向に移動可能に構成されている。
【0033】
レール部242は、支持部241のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する一対のガイドレール242aと、Y方向に延びるボールねじ軸242bと、ボールねじ軸242bを回転させるY軸モータ242cとを有する。支持部241には、レール部242のボールねじ軸242bと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。支持部241は、Y軸モータ242cによりボールねじ軸242bが回転されることにより、ボールねじ軸242bと係合するボールナットとともに、レール部242の一対のガイドレール242aに沿ってY方向に移動可能に構成されている。
【0034】
ヘッド水平移動機構部204の支持部241およびレール部242により、ヘッドユニット203は、基台201上を水平方向に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット203のヘッド231は、部品供給部210の上方に移動して、部品供給部210から供給される部品Eを吸着可能である。また、ヘッドユニット203のヘッド231は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pの上方に移動して、吸着された部品Eを基板Pに実装可能である。
【0035】
部品撮像部205は、部品認識用のカメラである。部品撮像部205は、ヘッドユニット203のヘッド231による部品Eの基板Pへの搬送中に、ヘッド231のノズル231aに吸着された部品Eを撮像する。部品撮像部205は、基台201の上面上に固定されており、部品Eの下側(Z2方向側)から、ヘッド231のノズル231aに吸着された部品Eを撮像する。部品撮像部205による部品Eの撮像画像に基づいて、制御部207は、部品Eの保持状態(回転姿勢およびヘッド231に対する吸着位置)を取得(認識)する。
【0036】
基板撮像部206は、基板認識用のカメラである。基板撮像部206は、ヘッドユニット203のヘッド231による基板Pへの部品Eの実装開始前に、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pにおいて、基板Pの上面に付された位置認識マーク(フィデューシャルマーク)Fを上方から撮像する。位置認識マークFは、基板Pの位置を認識するためのマークである。基板撮像部206による位置認識マークFの撮像画像に基づいて、制御部207は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)する。また、基板撮像部206は、ヘッドユニット203に取り付けられている。基板撮像部206は、ヘッドユニット203と共に、水平方向に移動可能に構成されている。
【0037】
制御部207は、部品実装装置13の動作を制御する制御回路である。制御部207は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)などのメモリとを含んでいる。制御部207は、生産プログラムに基づいて、搬送部202、部品供給部210、X軸モータ241bおよびY軸モータ242cなどを制御することにより、ヘッドユニット203により基板Pに部品Eを実装させて、基板Pを生産する制御を行うように構成されている。
【0038】
図1に示すように、外観検査装置14は、部品実装装置13により部品Eが実装された基板Pの外観を検査する機能を有する。
【0039】
リフロー装置15は、加熱処理を行うことにより半田を溶融させて部品Eを基板Pの電極部に接合する機能を有する。リフロー装置15は、レーン上の基板Pを搬送しながら、加熱処理を行うように構成されている。
【0040】
生産管理装置20は、部品実装ライン10による基板Pの生産を管理するために設けられている。生産管理装置20は、たとえばパーソナルコンピュータにより構成されている。生産管理装置20は、制御部21と、記憶部22と、表示部23と、操作部24とを含んでいる。制御部21は、CPU(中央演算処理装置)などのプロセッサを含み、生産管理装置20の各部を制御する制御回路である。制御部21は、生産計画作成部21aと、取得部21bと、判定部21cと、特定部21dと、作成部21eとを機能ブロックとして含む。制御部21は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することによって、生産計画作成部21a、取得部21b、判定部21c、特定部21d、および、作成部21eとして機能する。これらの構成の詳細については、後述する。
【0041】
記憶部22は、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記録媒体を含み、情報を記憶可能に構成されている。本実施形態では、記憶部22には、生産計画情報22aと、実績情報22bと、解析用情報22cと、解消案情報22dとが記憶されている。表示部23は、液晶モニタなどのモニタを含み、生産管理装置20の操作のための画面などを表示可能に構成されている。操作部24は、キーボード、マウスなどの入力装置を含み、ユーザからの操作を受け付ける。
【0042】
(生産管理装置の詳細な構成)
生産計画作成部21aは、部品実装ライン10により基板Pを生産するための生産計画を作成するように構成されている。生産計画には、複数の工程が含まれている。具体的には、生産計画には、基板Pの種類ごとの工程が含まれている。図4に示す例では、生産計画には、種類A、B、C、DおよびEの各々の基板Pを生産する工程が含まれている。基板Pを生産する工程とは、生産予定枚数の基板Pの生産の生産開始から生産終了までの工程を意味する。また、生産計画作成部21aは、作成された生産計画を生産計画情報22aとして、記憶部22に記憶させるように構成されている。そして、作成された生産計画に基づいて、部品実装ライン10による基板Pの生産が行われる。また、作成された生産計画に基づいて、段取り作業を行う段取り作業員による部品実装ライン10に対する段取り作業が行われる。
【0043】
ここで、生産計画の通りに部品実装ライン10による基板Pの生産を行うことができることが好ましいが、たとえば装置エラーなどに起因して部品実装ライン10が停止した場合などには、生産計画に含まれる工程に遅延が発生する。また、生産計画に含まれる工程に遅延が発生した場合には、遅延の原因を分析して解消する作業を行う必要がある。
【0044】
そこで、本実施形態では、図4に示すように、取得部21bは、基板Pを生産するための生産計画に含まれる工程のうち、分析対象の工程を取得するように構成されている。そして、判定部21cは、分析対象の工程における計画の時間と実績の時間との差に基づいて、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを判定するように構成されている。また、本実施形態では、分析対象の工程および他の工程(比較する工程同士)は、基板Pの種類ごとの工程である。
【0045】
取得部21bは、ユーザにより指定された工程または自動で指定された工程を、分析対象の工程として取得するように構成されている。
【0046】
判定部21cは、記憶部22に記憶された生産計画情報22aおよび実績情報22bを取得するように構成されている。生産計画情報22aには、計画の開始時間、計画の終了時間、および、計画の実施期間(終了時間-開始時間)が、工程ごとに含まれている。また、実績情報22bには、実績の開始時間、実績の終了時間、および、実績の実施期間(終了時間-開始時間)が、工程ごとに含まれている。判定部21cは、取得した生産計画情報22aおよび実績情報22bを比較することにより、分析対象の工程における計画の開始時間と実績の開始時間との差(以下、開始時間差という)、分析対象の工程における計画の終了時間と実績の終了時間との差(以下、終了時間差という)、および、分析対象の工程における計画の実施期間と実績の実施期間(以下、実施期間差という)との差を取得するように構成されている。
【0047】
また、判定部21cは、取得した開始時間差、終了時間差、または、実施期間差に基づいて、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と他の工程とのいずれの工程にあるかを判定するように構成されている。具体的には、判定部21cは、取得した実施期間差が正の値である場合、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程にあると判定するように構成されている。また、判定部21cは、取得した開始時間差が正の値である場合、分析対象の工程における遅延の原因が、他の工程にあると判定するように構成されている。
【0048】
図4に示す例では、種類Aの基板Pを生産する工程が、分析対象の工程として指定されている。また、実施期間差が正の値でなく(0であり)、開始時間差が正の値であるため、種類Aの基板Pを生産する工程における遅延の原因が、他の工程(種類B、C、DおよびEの各々の基板Pを生産する工程のいずれか)にあると判定されている。
【0049】
また、本実施形態では、図5に示すように、特定部21dは、判定部21cにより遅延の原因が他の工程にあると判定された場合に、他の工程のうち、分析対象の工程と依存関係にある依存関係工程を、依存関係を解析するための解析用情報22cに基づいて抽出するとともに、抽出した依存関係工程から遅延の原因となる遅延原因工程を特定するように構成されている。また、解析用情報22cは、部品E(リールR)の情報と、部品実装ライン10の情報と、部品Eを吸着するノズル231aの情報と、基板Pの情報と、部品実装ライン10に対する段取り作業の情報とを含んでいる(図7参照)。なお、図5では、便宜上、解析用情報22cとして、部品E(リールR)の情報を使用する例を示している。
【0050】
たとえば、特定部21dは、解析用情報22cとしての部品E(リールR)の情報に基づいて、分析対象の工程および他の工程を含む各工程で使用する部品Eおよびその部品EのリールRのID(識別情報)を特定するように構成されている。そして、特定部21dは、特定した各工程で使用する部品Eおよびその部品EのリールRのIDに基づいて、各工程の部品EごとにどのIDのリールRを使用しているかを表す情報を作成するように構成されている。そして、特定部21dは、作成した情報に基づいて、他の工程のうち、分析対象の工程と同じ部品E(同じIDのリールR)を使用している工程を、依存関係工程として抽出してリストアップするように構成されている。同じ部品E(同じIDのリールR)を使用している場合、依存関係工程が終了していなければ、分析対象の工程を開始することができず、依存関係工程が遅延原因工程となる可能性があるためである。このような場合として、たとえば特殊な部品Eを使い回す場合などが挙げられる。
【0051】
また、たとえば、特定部21dは、解析用情報22cとしての部品実装ライン10の情報に基づいて、分析対象の工程および他の工程を含む各工程で使用する部品実装ライン10を特定するように構成されている。そして、特定部21dは、特定した各工程で使用する部品実装ライン10に基づいて、各工程でどの部品実装ライン10を使用しているかを表す情報を作成するように構成されている。そして、特定部21dは、作成した情報に基づいて、他の工程のうち、分析対象の工程と同じ部品実装ライン10を使用している工程を、依存関係工程として抽出してリストアップするように構成されている。同じ部品実装ライン10を使用している場合、依存関係工程が終了していなければ、分析対象の工程を開始することができず、依存関係工程が遅延原因工程となる可能性があるためである。
【0052】
また、たとえば、特定部21dは、解析用情報22cとしてのノズル231aの情報に基づいて、分析対象の工程および他の工程を含む各工程で使用するノズル231aを特定するように構成されている。そして、特定部21dは、特定した各工程で使用するノズル231aに基づいて、各工程でどのノズル231aを使用しているかを表す情報を作成するように構成されている。そして、特定部21dは、作成した情報に基づいて、他の工程のうち、分析対象の工程と同じノズル231aを使用している工程を、依存関係工程として抽出してリストアップするように構成されている。同じノズル231aを使用している場合、依存関係工程が終了していなければ、分析対象の工程を開始することができず、依存関係工程が遅延原因工程となる可能性があるためである。このような場合として、たとえば特殊なノズル231aを使い回す場合などが挙げられる。
【0053】
また、たとえば、特定部21dは、解析用情報22cとしての基板Pの情報に基づいて、分析対象の工程および他の工程を含む各工程で生産する基板Pを特定するように構成されている。そして、特定部21dは、特定した各工程で生産する基板Pに基づいて、各工程でどの基板Pを生産しているかを表す情報を作成するように構成されている。そして、特定部21dは、作成した情報に基づいて、他の工程のうち、分析対象の工程と同じ基板Pの別工程(基板Pの表面の工程に対する裏面の工程など)の生産をしている工程を、依存関係工程として抽出してリストアップするように構成されている。同じ基板Pの別工程の生産をしている場合、依存関係工程が終了していなければ、分析対象の工程を開始することができず、依存関係工程が遅延原因工程となる可能性があるためである。
【0054】
また、たとえば、特定部21dは、解析用情報22cとしての段取り作業の情報に基づいて、分析対象の工程および他の工程を含む各工程で実施される段取り作業を特定するように構成されている。そして、特定部21dは、特定した各工程で実施される段取り作業に基づいて、各工程でどの段取り作業員で段取り作業を実施しているかを表す情報を作成するように構成されている。そして、特定部21dは、作成した情報に基づいて、他の工程のうち、分析対象の工程と同じ段取り作業員で段取り作業を実施している工程を、依存関係工程として抽出してリストアップするように構成されている。同じ段取り作業員で段取り作業を実施している場合、依存関係工程が終了していなければ、分析対象の工程を開始することができず、依存関係工程が遅延原因工程となる可能性があるためである。
【0055】
また、本実施形態では、特定部21dは、抽出した依存関係工程のうち、分析対象の工程の直前に行われた工程を、遅延原因工程として特定するように構成されている。具体的には、特定部21dは、記憶部22に記憶された生産計画情報22aを取得するとともに、取得した生産計画情報22aに基づいて、分析対象の工程および依存関係工程の各々における計画の開始時間および計画の終了時間を取得するように構成されている。そして、特定部21dは、取得した分析対象の工程および依存関係工程の各々における計画の開始時間および計画の終了時間に基づいて、依存関係工程のうち、分析対象の工程の直前に行われた工程を特定するように構成されている。また、特定部21dは、特定した依存関係工程を、遅延原因工程として特定するように構成されている。なお、特定部21dは、記憶部22に記憶された実績情報22bを取得するとともに、取得した実績情報22bに基づいて、分析対象の工程の直前に行われた工程を特定してもよい。
【0056】
図5に示す例では、種類Xの部品Eについて同じIDのリールRを使用するため、分析対象の工程である種類Aの基板Pを生産する工程に対して、種類Bの基板Pを生産する工程が依存関係工程として抽出されている。また、種類Yの部品Eについて同じIDのリールRを使用するため、分析対象の工程である種類Aの基板Pを生産する工程に対して、種類Eの基板Pを生産する工程が依存関係工程として抽出されている。また、抽出された2つの依存関係工程のうち、種類Bの基板Pを生産する工程が、分析対象の工程である種類Aの基板Pを生産する工程の直前に行われた工程であるため、遅延原因工程として特定されている。
【0057】
また、本実施形態では、図6および図7に示すように、作成部21eは、特定部21dにより特定された遅延原因工程と、分析対象の工程との間の依存関係の種類に応じて、遅延の原因の解消案を作成するように構成されている。また、表示部23は、作成部21eにより作成された遅延の原因の解消案を表示するように構成されている。具体的には、表示部23は、遅延の原因の解消案と、遅延の原因の分析結果とを表示するように構成されている。
【0058】
作成部21eは、依存関係工程の抽出に使用した情報を取得するとともに、取得した依存関係工程の抽出に使用した情報に基づいて、遅延原因工程と分析対象の工程との間の依存関係の種類を特定するように構成されている。具体的には、作成部21eは、依存関係工程が抽出できた解析用情報22cの種類に対応する種類の依存関係を、遅延原因工程と分析対象の工程との間の依存関係の種類として特定するように構成されている。そして、作成部21eは、特定した依存関係の種類と、解消案情報22dとに基づいて、解消案を作成するように構成されている。解消案情報22dは、依存関係の種類ごとの解消案が含まれるように、予め作成されて記憶部22に記憶されている。作成部21eは、特定した依存関係の種類に応じた解消案(原案)を、解消案情報22dから選択するとともに、選択した解消案(原案)に基づいて、具体的な解消案を作成するように構成されている。
【0059】
図6に示す例では、遅延原因工程である種類Bの基板Pを生産する工程と、分析対象の工程である種類Aの基板Pを生産する工程との間の依存関係が、部品E(リールR)に起因する依存関係である。このため、この依存関係に応じた、同じ部品Eについて、別々のリールRを使用する、という解消案(原案)が、解消案情報22dから選択されている。また、依存関係は、具体的には、種類Xの部品Eについて同じIDのリールRを使用することに起因する依存関係である。このため、選択された解消案(原案)に基づいて、種類Xの部品Eについて種類Bの基板Pを生産する工程と別々のリールRを使用する、という具体的な解消案が作成されて、表示部23に表示されている。また、遅延の原因の分析結果として、種類Xの部品Eについて種類Bの基板Pを生産する工程と同じリールRを使用している、という内容(依存関係の理由を表す内容)が表示部23に表示されている。
【0060】
なお、遅延原因工程と分析対象の工程との間の依存関係が、部品実装ライン10に起因する依存関係である場合には、別々の部品実装ライン10で基板Pを生産する、という主旨の解消案が作成されて、表示部23に表示される。また、遅延原因工程と分析対象の工程との間の依存関係が、ノズル231aに起因する依存関係である場合には、別々のノズル231aを使用する、という主旨の解消案が作成されて、表示部23に表示される。また、遅延原因工程と分析対象の工程との間の依存関係が、基板Pに起因する依存関係である場合には、1ロットで生産する基板Pの枚数を少なくするロット分割(100枚を50枚にするなど)を行う、という主旨の解消案が作成されて、表示部23に表示される。また、遅延原因工程と分析対象の工程との間の依存関係が、段取り作業に起因する依存関係である場合には、段取り作業員を増やす、という主旨の解消案が作成されて、表示部23に表示される。なお、遅延原因工程と分析対象の工程との間の依存関係が複数ある場合には、複数の依存関係に対応する複数の解消案が作成されて、表示部23に表示されることになる。
【0061】
(遅延原因の分析に関する制御処理)
図8図12を参照して、本実施形態の生産管理装置20による遅延原因の分析に関する制御処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0062】
図8に示すように、まず、ステップS1において、生産計画作成部21aにより、生産計画が作成される。
【0063】
そして、ステップS2において、部品実装ライン10により、生産計画に基づく基板Pの生産が実施される。
【0064】
そして、ステップS3において、ユーザまたは生産管理装置20により、生産計画に対する遅延があるか否かが判定される。遅延がないと判定された場合、制御処理が終了される。また、遅延があると判定された場合、ステップS4に進む。
【0065】
そして、ステップS4において、生産計画に含まれる工程のうち、分析対象の工程が指定されて、取得部21bにより取得される。また、分析対象の工程の分析が行われる。なお、ステップS4の詳細については、後述する。
【0066】
そして、ステップS5において、遅延の原因の分析結果および遅延の原因の解消案が表示部23に表示される。そして、制御処理が終了される。
【0067】
図9を参照して、ステップS4の処理の詳細について説明する。
【0068】
図9に示すように、まず、ステップS11において、判定部21cにより、分析対象の工程における計画の時間と実績の時間との差に基づいて、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかが判定される。なお、ステップS11の処理の詳細については、後述する。
【0069】
そして、ステップS12において、判定部21cにより、遅延の原因が他の工程にあるか否かが判定される。遅延の原因が他の工程にない(分析対象の工程にある)と判定された場合、ステップS4の処理が終了される。なお、詳細な説明は省略するが、遅延の原因が分析対象の工程にある場合には、既知の分析処理により、分析対象の工程にある遅延の原因が分析されることになる。また、ステップS12において、遅延の原因が他の工程にあると判定された場合、ステップS13に進む。
【0070】
そして、ステップS13において、分析ループ処理が開始される。分析ループ処理では、分析ループ内の処理が、依存関係の種類分だけ繰り返される。すなわち、依存関係の種類ごとに分析が行われる。
【0071】
そして、ステップS14において、特定部21dにより、他の工程のうち、分析対象の工程と依存関係にある依存関係工程が、依存関係を解析するための解析用情報22cに基づいて抽出されるとともに、抽出された依存関係工程から遅延の原因となる遅延原因工程が特定される。なお、ステップS14の処理の詳細については、後述する。
【0072】
そして、ステップS15において、作成部21eにより、特定部21dにより特定された遅延原因工程と、分析対象の工程との間の依存関係の種類に応じて、遅延の原因の解消案が作成される。なお、ステップS15の処理の詳細については、後述する。
【0073】
そして、ステップS14およびS15の処理が、依存関係の種類分だけ繰り返されると、ステップS4の処理が終了される。
【0074】
図10を参照して、ステップS11の処理の詳細について説明する。
【0075】
図10に示すように、まず、ステップS21において、判定部21cにより、生産計画情報22aおよび実績情報22bが取得される。
【0076】
そして、ステップS22において、判定部21cにより、生産計画情報22aおよび実績情報22bが比較される。これにより、分析対象の工程における計画の開始時間と実績の開始時間との差、分析対象の工程における計画の終了時間と実績の終了時間との差、および、分析対象の工程における計画の実施期間と実績の実施期間との差が取得される。
【0077】
そして、ステップS23において、判定部21cにより、析対象の工程における計画の開始時間と実績の開始時間との差、分析対象の工程における計画の終了時間と実績の終了時間との差、または、分析対象の工程における計画の実施期間と実績の実施期間との差に基づいて、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と他の工程とのいずれの工程にあるかが判定される。
【0078】
図11を参照して、ステップS14の処理の詳細について説明する。
【0079】
図11に示すように、まず、ステップS31において、特定部21dにより、解析用情報22cが記憶部22から取得される。
【0080】
そして、ステップS32において、特定部21dにより、解析用情報22cに基づいて、依存関係工程が抽出される。
【0081】
そして、ステップS33において、特定部21dにより、生産計画情報22aに基づいて、分析対象の工程および依存関係工程の各々における計画の開始時間および計画の終了時間が取得される。
【0082】
そして、ステップS34において、特定部21dにより、依存関係工程のうち、分析対象の工程の直前に行われた工程が遅延原因工程として特定される。そして、ステップS14の処理が終了される。
【0083】
図12を参照して、ステップS15の処理の詳細について説明する。
【0084】
図12に示すように、まず、ステップS41において、作成部21eにより、依存関係工程の抽出に使用した情報が取得される。また、作成部21eにより、取得した依存関係工程の抽出に使用した情報に基づいて、遅延原因工程と分析対象の工程との間の依存関係の種類が特定される。
【0085】
そして、ステップS42において、作成部21eにより、特定された依存関係の種類に応じた解消案(原案)が、解消案情報22dから選択される。
【0086】
そして、ステップS43において、作成部21eにより、選択された解消案(原案)に基づいて、具体的な解消案が作成される。そして、ステップS15の処理が終了される。
【0087】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0088】
本実施形態では、上記のように、分析対象の工程を取得する取得部21bと、分析対象の工程における計画の時間と実績の時間との差に基づいて、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを判定する判定部21cとを設ける。これにより、分析対象の工程における遅延の原因が、分析対象の工程と分析対象の工程以外の他の工程とのいずれの工程にあるかを生産管理装置20により判定することができるので、作業者が判定する必要がない。その結果、生産計画に含まれる工程に遅延が発生した場合に、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担を軽減することができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、生産管理装置20は、判定部21cにより遅延の原因が他の工程にあると判定された場合に、他の工程のうち、分析対象の工程と依存関係にある依存関係工程を、依存関係を解析するための解析用情報22cに基づいて抽出するとともに、抽出した依存関係工程から遅延の原因となる遅延原因工程を特定する特定部21dを備える。これにより、遅延の原因となる遅延原因工程を生産管理装置20により特定することができるので、作業者が特定する必要がない。その結果、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担をより軽減することができる。また、分析対象の工程に影響を与える依存関係工程から遅延原因工程を特定することにより、遅延原因工程を容易に特定することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、解析用情報22cは、部品Eの情報と、部品実装ライン10の情報と、部品Eを吸着するノズル231aの情報と、基板Pの情報と、部品実装ライン10に対する段取り作業の情報を含む。これにより、部品Eの情報と、部品実装ライン10の情報と、部品Eを吸着するノズル231aの情報と、基板Pの情報と、部品実装ライン10に対する段取り作業の情報とのうちの少なくとも1つに基づいて、分析対象の工程に影響を与える依存関係工程を容易に抽出することができる。
【0091】
また、本実施形態では、上記のように、生産管理装置20は、特定部21dにより特定された遅延原因工程と、分析対象の工程との間の依存関係の種類に応じて、遅延の原因の解消案を作成する作成部21eと、作成部21eにより作成された遅延の原因の解消案を表示する表示部23と、を備える。これにより、遅延の原因の解消案を生産管理装置20により作成することができるので、作業者が作成する必要がない。その結果、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担をより一層軽減することができる。また、遅延の原因の解消案を表示する表示部23を設けることにより、遅延の原因の解消案を作業者が容易に確認することができる。
【0092】
また、本実施形態では、上記のように、表示部23は、遅延の原因の解消案と、遅延の原因の分析結果とを表示するように構成されている。これにより、遅延の原因の解消案だけでなく、遅延の原因の分析結果も作業者が確認することができるので、遅延の原因の解消案の妥当性を作業者が判断することができる。
【0093】
また、本実施形態では、上記のように、特定部21dは、抽出した依存関係工程のうち、分析対象の工程の直前に行われた工程を、遅延原因工程として特定するように構成されている。これにより、分析対象の工程の直前に行われていることから、直接の遅延の原因となる工程を遅延原因工程として容易に特定することができる。
【0094】
また、本実施形態では、上記のように、分析対象の工程および他の工程は、基板Pの種類ごとの工程である。これにより、基板Pの種類ごとの工程で遅延が発生した場合に、遅延の原因を分析して解消する作業を行う際の作業者の負担を軽減することができる。
【0095】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0096】
たとえば、上記実施形態では、生産管理装置が、判定部、特定部および作成部を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、生産管理装置は、判定部を備えていれば、特定部および作成部を備えていなくてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、生産計画情報、実績情報、解析用情報および解消案情報が、生産管理装置の記憶部に記憶されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、生産計画情報、実績情報、解析用情報および解消案情報の一部または全部が、生産管理装置の記憶部以外の外部記憶装置に記憶されていてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、生産管理装置が、表示部を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、生産管理装置が、表示部を備えていなくてもよい。この場合、遅延の原因の解消案を、外部表示装置に表示させてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、表示部が、遅延の原因の解消案と、遅延の原因の分析結果とを表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、表示部が、遅延の原因の解消案のみを表示してもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、分析対象の工程および他の工程(比較する工程同士)が、基板の種類ごとの工程である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、分析対象の工程および他の工程(比較する工程同士)が、基板の種類ごとの工程以外の工程であってもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、解析用情報が、部品の情報と、部品実装ラインの情報と、ノズルの情報と、基板の情報と、段取り作業の情報とを含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、解析用情報が、部品の情報と、部品実装ラインの情報と、ノズルの情報と、基板の情報と、段取り作業の情報とのうちの一部のみを含んでいてもよい。また、解析用情報が、部品の情報と、部品実装ラインの情報と、ノズルの情報と、基板の情報と、段取り作業の情報と以外の情報を含んでいてもよい。解析用情報は、工程間の依存関係を解析するための情報であれば、特に限定されない。
【0102】
また、上記実施形態では、抽出した依存関係工程のうち、分析対象の工程の直前に行われた工程を、遅延原因工程として特定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図13に示す変形例のように、生産管理装置20が、特定部21dにより特定した遅延原因工程を分析対象の工程に設定し直すこと、設定し直した分析対象の工程に対して判定部21cにより判定を行うこと、および、設定し直した分析対象の工程に対して特定部21dにより遅延原因工程を特定すること、を繰り返すことにより、最終的な遅延原因工程を特定するように構成されていてもよい。このように構成すれば、遅延原因工程を遡って特定することができるので、遅延原因工程のさらに前の工程が原因で遅延している場合などに、真の遅延原因工程を容易に特定することができる。なお、図13では、図9のフローチャートと同一の処理については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0103】
図13に示すように、ステップS101において、特定部21dにより特定された遅延原因工程が分析対象の工程に設定され直される。そして、ステップS11に進む。そして、ステップS11において、設定し直した分析対象の工程に対して判定部21cにより判定が行われる。そして、ステップS12において、遅延の原因が他の工程にあると判定されると、ステップS13を介して、ステップS14に進む。そして、ステップS14において、設定し直した分析対象の工程に対する遅延原因工程が特定部21dにより特定される。以上の処理を、ステップS12において、遅延の原因が分析対象の工程にあると判定されるまで繰り返す。そして、ステップS12において、遅延の原因が分析対象の工程にあると判定された場合、ステップS102に進む。そして、ステップS102において、ステップS12において遅延の原因が分析対象の工程にあると判定された際の分析対象の工程が、最終的な遅延原因工程(真の遅延原因工程)として特定される。
【0104】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0105】
10 部品実装ライン
20 生産管理装置
21b 取得部
21c 判定部
21d 特定部
21e 作成部
22c 解析用情報
23 表示部
231a ノズル
E 部品
P 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13