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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027359
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 65/18 20060101AFI20240222BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B62D65/18 B
B25J5/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130100
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】長末 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 亮太
【テーマコード(参考)】
3C707
3D114
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707BS10
3C707JS02
3C707MT10
3C707NS19
3C707WA16
3C707WA28
3D114DA05
3D114DA11
(57)【要約】
【課題】走行安定性を保った状態で多量の物品を搬送することができ、また、多様な産業機械を搬送することができる搬送装置を提供する。
【解決手段】物品に対して作用するエンドエフェクタを有し、このエンドエフェクタを三次元空間内で移動させるロボット20と、ロボット20が搭載されるロボット搭載部12、及び搬送物Tが載置される搬送物載置部13を有する搬送車10と、搬送車10及びロボット20を制御する制御装置40とを備える。搬送車10は、その搬送物載置部13の載置面13aが、ロボット搭載部12の搭載面12aよりも低い位置に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に対して作用するエンドエフェクタを有し、該エンドエフェクタを三次元空間内で移動させるロボットと、
前記ロボットが搭載されるロボット搭載部、及び搬送物が載置される搬送物載置部を有する搬送車と、
前記搬送車及びロボットを制御する制御装置と、を備えた搬送装置であって、
前記搬送車は、その前記搬送物載置部の載置面が、前記ロボット搭載部の搭載面よりも低い位置に形成された搬送装置。
【請求項2】
前記ロボット搭載部と前記搬送物載置部とは隣接して設けられ、
重力方向から見た前記搬送物載置部の載置面の面積は、同じく重力方向から見た前記ロボット搭載部の載置面の面積の2倍以上10倍以下である請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記エンドエフェクタは、前記物品として、前記搬送物載置部に載置された搬送物を保持可能に構成され、
前記制御装置は、前記搬送車を、そのロボット搭載部が産業機械に設けられた開口と対向し、且つ該ロボット搭載部が前記搬送物載置部よりも前記開口に近い位置となるように移動させるとともに、前記エンドエフェクタに前記搬送物を保持させた状態で、前記開口を通過させて、前記産業機械内に前記搬送物を搬入するように制御する請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送車は、前記搬送物載置部を昇降させる昇降機構を備え、
前記搬送物載置部は、少なくとも下降端位置において、その載置面が、前記ロボット搭載部の搭載面よりも低い位置に位置していることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送車は、前記搬送物載置部を、その前記載置面に対して直交する垂直軸を中心に回転させる回転機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項6】
前記搬送車は、前記搬送物載置部の載置面の縁部であって、前記ロボット載置部とは反対側の縁部に、起立した起立位置と、傾倒して自由端部が路面に当接した傾倒位置との間で揺動可能に設けられた揺動部材を備え、
前記揺動部材が傾倒位置にあるときに、該揺動部材上を通過することによって移動車を前記搬送物載置部の載置面上に載置させることができように構成された請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項7】
前記搬送車は、前記搬送物載置部の載置面にある移動車に係合して該移動車を係止する係止機構を備えている請求項6記載の搬送装置。
【請求項8】
前記搬送車の前記搬送物載置部に載置された複数の搬送物を撮像するカメラを有し、該カメラにより撮像された画像に基づいて、前記各搬送物の位置を検出する位置検出装置を更に備え、
前記エンドエフェクタは、前記物品として前記搬送物を保持可能に構成され、
前記制御装置は、前記位置検出装置により検出された各搬送物の位置に基づいて前記ロボットを制御し、前記エンドエフェクタにより前記搬送物を保持して移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に対して作用するエンドエフェクタを有するロボット、このロボットが搭載されるロボット搭載部及び搬送物が載置される搬送物載置部を有する搬送車、並びに前記搬送車及びロボットを制御する制御装置を備えた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述した搬送装置の複数台と、複数台の工作機械とから構成される加工システムとして、国際公開第2018/92222号(下記特許文献1)に開示された工作機械システムが知られており、この工作機械システムでは、複数の自走ロボットにより、複数の工作機械に対して被加工物が搬送される。
【0003】
前記自走ロボットは、搬送車と、この搬送車上に設けられた3軸以上の自由度を持つマニピュレータとを備えて構成され、位置基準情報としての電波やレーザ光を観測することで、自身のおよその位置を認識しながら目標位置付近まで移動し、この後、目標物又は目標物に取り付けられたマーカをカメラにより認識することによって、精密な位置決めをするように構成されている。また、マニピュレータが載置される搬送車の載置面と同じ面には、工作機械に供給されるワークが載置される運搬台が設けられている。
【0004】
尚、自走ロボットが工作機械に対して行う具体的な作業については、例えば、工作機械で加工されたワークを取り出して、未加工のワークを工作機械に装着するワーク交換作業や、使用限界に至った工具を工具マガジンから取り出し、これに代わる新たな工具を工具マガジンに格納する工具交換作業などが例示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/92222号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記自走ロボットは自身が走行する構成となっているが故に、その走行の安定性や動作性の観点から、前記マニピュレータは前記搬送車に対してコンパクト、即ち、比較的小重量且つ小スケールであるのが好ましい。また、搬送車に設けられる運搬台には搬送効率からより多くの物品を載せることができるのが好ましい。
【0007】
一方、マニピュレータが作業を行う相手の工作機械は、基本的にはオペレータが作業を行うことを前提に設計されているため、ワークを保持して回転させるワーク主軸等は、オペレータが作業し易い高さに設定されている。このため、上記従来の自走ロボットでは、前記搬送車に設けられるマニピュレータの高さが、工作機械に対するオペレータの作業位置に合わせて高い位置に設定されている。
【0008】
ところが、このように、搬送車の高い位置にマニピュレータを配設すると、マニピュレータの載置面と同じ面に設けられる運搬台も高い位置に配設されることになるため、搬送車の走行安定性を考慮すると、運搬台に多くの物品を載せることができないという問題がある。
【0009】
また、例えば、工作機械などの産業機械が配設される工場等には、測定装置、洗浄装置やバリ取り装置などの各種装置が配設されているが、このような装置を前記自走ロボットで搬送することができれば便利である。
【0010】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであって、走行安定性を保った状態で多量の物品を搬送することができる搬送装置の提供を一の目的とし、多様な産業機械を搬送することができる搬送装置の提供を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、
物品に対して作用するエンドエフェクタを有し、該エンドエフェクタを三次元空間内で移動させるロボットと、
前記ロボットが搭載されるロボット搭載部、及び搬送物が載置される搬送物載置部を有する搬送車と、
前記搬送車及びロボットを制御する制御装置と、を備えた搬送装置であって、
前記搬送車は、その前記搬送物載置部の載置面が、前記ロボット搭載部の搭載面よりも低い位置に形成された搬送装置に係る。
【0012】
この搬送装置によれば、搬送車に設けられる搬送物載置部の載置面が、ロボット搭載部の搭載面よりも低い位置に形成されているので、従来に比べて、より多くの搬送物を当該搬送物載置部に載せる、或いは、より大きな搬送物を当該搬送物載置部に載せることができ、このようにしても搬送車を安定した状態で走行させることができる。また、例えば、搬送物載置部には、工場等に配設される測定装置、洗浄装置やバリ取り装置といった各種産業機械を載せることができ、このような産業機械を当該搬送装置によって搬送することができる。
【0013】
尚、ロボットのエンドエフェクタが作用する物品は、前記搬送物載置部に載置される搬送物と違う場合もあるが、搬送物と同じ場合、或いは搬送物に含まれる場合がある。また、当該搬送装置が作業対象とする産業機械としては、工作機械、並びにその周辺に設けられる材料ストッカ及び製品ストッカや、上記の測定装置、洗浄装置、バリ取り装置、或いは搬送車に搭載されるロボット以外の他のロボットなど、産業上使用されるあらゆる機械が含まれる。
【0014】
前記ロボット搭載部と前記搬送物載置部とは、これらを隣接して設けることができ、重力方向から見た前記搬送物載置部の載置面の面積は、同じく重力方向から見た前記ロボット搭載部の載置面の面積の2倍以上10倍以下であるのが好ましく、2倍以上4倍以下であるのが特に好ましい。
【0015】
また、前記搬送装置は、その前記エンドエフェクタが、前記物品として、前記搬送物載置部に載置された搬送物を保持可能に構成され、
前記制御装置は、前記搬送車を、そのロボット搭載部が産業機械に設けられた開口と対向し、且つ該ロボット搭載部が前記搬送物載置部よりも前記開口に近い位置となるように移動させるとともに、前記エンドエフェクタに前記搬送物を保持させた状態で、前記開口を通過させて、前記産業機械内に前記搬送物を搬入するように制御する態様を採ることができる。
【0016】
また、前記搬送装置は、その前記搬送車が、前記搬送物載置部を昇降させる昇降機構を備え、前記搬送物載置部は、少なくとも下降端位置において、その載置面が、前記ロボット搭載部の搭載面よりも低い位置に位置した態様を採ることができる。
【0017】
また、前記搬送装置は、その前記搬送車が、前記搬送物載置部を、その前記載置面に対して直交する垂直軸を中心に回転させる回転機構を備えた態様を採ることができる。
【0018】
また、前記搬送装置は、その前記搬送車が、前記搬送物載置部の載置面の縁部であって、前記ロボット載置部とは反対側の縁部に、起立した起立位置と、傾倒して自由端部が路面に当接した傾倒位置との間で揺動可能に設けられた揺動部材を備え、
前記揺動部材が傾倒位置にあるときに、該揺動部材上を通過することによって移動車を前記搬送物載置部の載置面上に載置させることができように構成された態様を採ることができる。
【0019】
また、前記搬送装置は、その前記搬送車が、前記搬送物載置部の載置面にある移動車に係合して該移動車を係止する係止機構を備えた態様を採ることができる。
【0020】
また、前記搬送装置は、その前記搬送車の前記搬送物載置部に載置された複数の搬送物を撮像するカメラを有し、該カメラにより撮像された画像に基づいて、前記各搬送物の位置を検出する位置検出装置を更に備え、
前記エンドエフェクタは、前記物品として前記搬送物を保持可能に構成され、
前記制御装置は、前記位置検出装置により検出された各搬送物の位置に基づいて前記ロボットを制御し、前記エンドエフェクタにより前記搬送物を保持して移動させるように構成された態様を採ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る搬送装置によれば、搬送車に設けられる搬送物載置部の載置面が、ロボット搭載部の搭載面よりも低い位置に形成されているので、従来に比べて、より多くの搬送物を当該搬送物載置部に載せる、或いは、より大きな搬送物を当該搬送物載置部に載せることができ、このようにしても搬送車を安定した状態で走行させることができる。また、例えば、搬送物載置部には、工場等に配設される測定装置、洗浄装置、バリ取り装置といった各種産業機械を載せることができ、このような産業機械を当該搬送装置によって搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の基本的形態に係る搬送装置を示した斜視図である。
図2図1に示した搬送装置の矢視A方向の正面図である。
図3図2に示した搬送装置の右側面図である。
図4】ロボット搭載部の載置面の大きさと、搬送物載置部の載置面の大きさとの関係を説明するための説明図である。
図5】基本的形態に係る搬送装置の動作態様を示した説明図である。
図6】ロボット搭載部の載置面及び搬送物載置部の載置面と工作機械の開口底部との位置関係を説明するための説明図である。
図7】本発明の基本的形態を発展させた発展的形態1に係る搬送装置を示した正面図である。
図8図7に示した搬送装置の右側面図である。
図9】本発明の基本的形態を発展させた発展的形態2に係る搬送装置を示した正面図である。
図10図9に示した搬送装置の右側面図である。
図11】発展的形態2に係る搬送装置の動作態様を示した説明図である。
図12】発展的形態2に係る搬送装置の動作態様を示した説明図である。
図13】発展的形態2に係る搬送装置の動作態様を示した説明図である。
図14】本発明の基本的形態を発展させた発展的形態3に係る搬送装置を示した正面図である。
図15】本発明の基本的形態を発展させた発展的形態4に係る搬送装置を示した正面図である。
図16図15に示した搬送装置の右側面図である。
図17】発展的形態4に係る搬送装置の動作態様を示した説明図である。
図18】発展的形態4に係る搬送装置の変形例に係る搬送装置を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、各図は、本実施形態を説明することを主眼として、その概略的な形状を図示しており、その縮尺や具体的な形状は必ずしも実際の物とは一致していない。まず、本実施形態として基本的形態に係る搬送装置について説明する。
【0024】
[基本的形態]
図1図3に示すように、この基本的形態に係る搬送装置1は、搬送車10、この搬送車10に搭載されるロボット20、及び搬送車10内に内装される制御装置40などから構成される。
【0025】
前記搬送車10は、例えば、工場内における自身の位置を認識可能なセンサ(例えば、レーザ光を用いた距離計測センサ)を備えており、前記制御装置40による制御の下、所定の制御プログラムに従い、当該工場内を無軌道で走行するように構成されている。この搬送車10は、図示しないフレーム、及びこのフレーム(図示せず)上に設けられた車体11を備えている。車体11は、前記ロボット20が搭載されるロボット搭載部12、及び搬送物Tが載置される搬送物載置部13を備えており、搬送物載置部13の載置面13aが、ロボット搭載部12の載置面12aよりも低い位置に設定された段付き形状を有している。これら載置面12a及び載置面13aはそれぞれ平面に形成されるとともに、重力方向(即ち、上方)から見た状態で隣接して設けられている。尚、図2に示した搬送車10における走行面からの前記載置面12aの高さHと、同じく走行面からの前記載置面13aの高さHとの比率(H/H)は3倍以上6倍以下に設定されているのが好ましい。このような設定とすることで、従来に比べて、より多くの搬送物を当該搬送物載置部13に載せる、或いは、より大きな搬送物を当該搬送物載置部13に載せることができ、このようにしても搬送車10を安定した状態で走行させることができる。因みに、図2及び図3に示した例では、前記比率(H/H)は3.4倍である。
【0026】
また、前記載置面13aの面積は、載置面12aの面積の2倍以上10倍以下に設定されているのが好ましく、2倍以上4倍以下に設定されているのが更に好ましい。このようにすることで、目的とする適量の搬送物を搬送物載置部13上に載置して安定して搬送することができる。図4(a)は、載置面13aの面積を載置面12aの面積の2倍にした例を示している。この例では、車体10の長手方向における載置面12aの長さをL21、同じく長手方向における載置面13aの長さをL31とし、長手方向と直交する方向の載置面12a及び載置面13aの長さをL11としたとき、長さL11:長さL21:長さL31=2:1:2となっており、載置面12aの面積と載置面13aの面積との比は1:2になっている。また、図4(b)は、載置面13aの面積を載置面12aの面積の3倍にした例を示している。この例では、前記長手方向における載置面12aの長さをL22、同じく長手方向における載置面13aの長さをL32とし、長手方向と直交する方向の載置面12a及び載置面13aの長さをL12としたとき、長さL12:長さL22:長さL32=2:1:3となっており、載置面12aの面積と載置面13aの面積との比は1:3になっている。
【0027】
前記搬送車10は、前記フレーム(図示せず)に、前進方向(矢示B方向)及び後退方向(矢示C方向)に沿って所定の間隔をあけて設けられた二対の従動輪16,16及び従動輪17,17と、この従動輪16,16と従動輪17,17との間に設けられた一対の駆動輪15,15を備えている。また、駆動輪15,15、並びに従動輪16,16及び従動輪17,17は、それぞれ前記矢示B方向及びC方向と直交する方向に所定の間隔をあけて、前記フレーム(図示せず)に取り付けられている。また、前記駆動輪15,15は、それぞれ別の駆動モータによって駆動され、同速で回転することにより、前記搬送車10が前後方向(矢示B-C方向)に直進し、異なる速度で回転することによって、前記搬送車10は旋回的に移動する。尚、各駆動モータ(図示せず)は、前記制御装置40による制御の下で、前記車体11内に設けられたバッテリー18から供給される電力によって駆動される。また、バッテリー18には、適宜給電ユニットから非接触によって給電される。
【0028】
前記ロボット20は、マニピュレータ部である第1アーム21、第2アーム22及び第3アーム23の3つのアームを備え、これら第1アーム21、第2アーム22及び第3アーム23を連設するように順次それぞれ2自由度を有する関節部25,26,27によって接続した6自由度を有する多関節型のロボット(6軸多関節ロボット)である。より具体的には、第1アーム21の一端側が、前記ロボット搭載部12の載置面12aに固設された基部24に対して、第1関節部25を介して接続され、第1アーム21の他端側が、第2関節部26を介して前記第2アーム22の一端側に接続される。また、前記第2アーム22の他端側が、第3関節部27を介して前記第3アーム23の一端側に接続され、第3アーム23の他端側に、エンドエフェクタとしてのハンド30が装着されている。尚、第1関節部25、第2関節部26及び第3関節部27はそれぞれ2つのモータを備えており、各モータは、前記制御装置40による制御の下で、前記バッテリー18から供給される電力によって駆動される。
【0029】
そして、前記ロボット20は、前記制御装置40による制御の下で、前記第1関節部25、第2関節部26及び第3関節部27を構成する各モータが駆動されることで、前記ハンド30を3次元空間(ロボット座標軸であるX軸、Y軸、及びZ軸の直交3軸で定義される空間)内で移動させる。尚、ロボット20の構造は、このような多関節型のものに限定されるものでは無く、利用可能な公知の全ての構造のものを採用することができる。
【0030】
前記ハンド30は、図3に示すように、本体31と、相互に対峙し、且つ相互に接近、離反するように、この本体31に保持される一対の把持爪32,32とを備えて構成される。このハンド30では、把持爪32,32が相互に接近することで、当該把持爪32,32によって、例えば、後述するワークWが把持される。
【0031】
以上の構成を備えた本例の基本的形態に係る搬送装置1によれば、例えば、図5に示すように、前記搬送物載置部13に、搬送物Tとして、ワークWを整列して収納したワークトレイ45、及び加工後の製品W’を収納する製品トレイ46を載置した状態で、工場に配設された工作機械200のところまで移動し、工作機械200に対して作業を行う。
【0032】
具体的には、搬送装置1を適宜移動させてロボット搭載部12側が工作機械200側に位置するように停止させる。これにより、ロボット20は工作機械200に接近した位置となり、当該工作機械200に対して作業し易い状態となる。そして、工作機械200における加工が完了してドアカバー201が開き、その開口202を介して加工領域内に外部からアクセスすることができるようになると、前記制御装置40による制御の下でロボット20が駆動され、その前記ハンド30が前記開口202から加工領域内に侵入して加工済みの製品W’を把持し、次いで開口202を通してハンド30を加工領域の外に移動して、取り出した製品W’を前記製品トレイ46内に収納する。
【0033】
次に、ロボット20は、前記ワークトレイ45に収納されたワークWをハンド30により把持して、当該ハンド30を前記開口202から加工領域内に侵入させた後、工作機械200に当該ワークWを保持させ、この後、開口102を通してハンド30を加工領域の外に移動させる。以上の動作により、ロボット20は工作機械200に対して製品W’の取り出しと、ワークWの取り付けとを行う。尚、搬送車10に対するワークトレイ45及び製品トレイ46の搭載及び取り出しは適宜装置によって行われる。
【0034】
尚、工作機械の開口底部の高さ位置と、前記ロボット載置部12の載置面12aの高さ位置、及び前記搬送物載置部13の載置面13aの高さ位置との関係は、図6に示すような関係であるのが好ましい。図6では、一例としての第1工作機械の開口底部、及び他の例としての第2工作機械の開口底部の高さ位置と、前記載置面12a及び載置面13aの高さ位置との好ましい位置関係を示している。この図6に示すように、載置面13aは、いずれの工作機械(第1及び第2工作機械)の開口底部よりも下方に位置しているのが好ましいが、載置面12aは工作機械の開口底部よりも上方に位置していても、下方に位置していてもいずれでも良い。図6では、第1工作機械の開口底部に対し、載置面13a及び載置面12aは、いずれもHa1及びHa2だけ下方に位置している。一方、第2工作機械の開口底部に対して、載置面13aはHb1だけ下方に位置し、載置面12aはHb2だけ上方に位置している。
【0035】
或いは、当該搬送車10の搬送物載置13には、搬送物Tとして、例えば、工場内に配設される測定装置、洗浄装置、バリ取り装置といった各種産業機械を載せることができ、このような産業機械を当該搬送装置1によって搬送するようにしても良い。
【0036】
以上のように、本例搬送装置1は産業機械に対して所定の作業を行うことができるが、この搬送装置1を適用可能な産業機械としては、上述した工作機械200、並びにその周辺に設けられる材料ストッカ及び製品ストッカ、上記の測定装置、清掃装置や洗浄装置の他、本例の前記ロボット20以外のロボットなど、産業上使用されるあらゆる機械が含まれる。また、本例では工作機械200として公知の横形のNC(数値制御)旋盤を例示するが、当然のことながら、工作機械はこれに限られるものではなく、立形の旋盤、立形及び横形のマシニングセンタの他、工具主軸とワーク主軸を備えた複合加工型の加工機械など、従前公知のあらゆる工作機械が含まれる。
【0037】
[発展的形態1]
次に、基本的形態に係る前記搬送装置1を発展させた搬送装置50について、図7及び図8に基づいて説明する。
【0038】
図7及び図8に示すように、この搬送装置50は、前記基本的形態に係る搬送装置1の全ての構成を備え、更に、搬送車10に取り付けられたフレーム51と、このフレーム51に取り付けられた位置検出装置60及びハンドストッカ64とを備えている。
【0039】
前記フレーム51は、鉛直面に沿って設けられる一対の脚フレーム52,53と、この脚フレーム52,53の上端部に接続される水平な支持フレーム54とから構成される。前記脚フレーム52,53の下端部はそれぞれ前記ロボット搭載部12の側面に固設されており、脚フレーム52,53の上端部及び前記支持フレーム54は、図7に示すように、前記搬送物載置部13の中央の上方に位置しており、その高さは、前記ロボット20が動作する際に支障にならない高さに設定されている。
【0040】
前記位置検出装置60は、前記支持フレーム54の長手方向中央の下面に、下方を撮像するように配設されたカメラ61と、このカメラ61の上方に位置し、前記支持フレーム54の上面に配設された処理装置62とから構成される。処理装置62は、カメラ61によって撮像された画像を解析して、当該画像中に含まれる搬送物の三次元位置であって、カメラ座標系における搬送物の三次元位置を認識する処理を行う。例えば、本例の搬送装置50では、図7及び図8に示すように、前記搬送物載置部13に、搬送物としてワークWがバラ積みされたコンテナ65を載置することができ、位置検出装置60は、このコンテナ65内にバラ積みされたワークWをカメラ61によって撮像するとともに、得られた画像を処理装置62により処理することによって、カメラ座標系における各ワークWの三次元位置を認識する。尚、図7及び図8において、一点鎖線で示した矢印は、カメラ61の撮像範囲を示している。
【0041】
前記ハンドストッカ64は、前記ロボット20に装着される交換用のハンドを保持する装置であり、本例では、図8に示すように、2つのハンド35,36が保持されるが、保持される交換用のハンドの個数はこれに限られるものでは無く、このハンドストッカ64には、少なくとも1以上のハンドが保持される。
【0042】
以上の構成を備えた本例の搬送装置50では、前記制御装置40は、前記位置検出装置60により検出された各搬送物の位置に基づいて前記ロボット20を制御し、エンドエフェクタとしてのハンド30によって搬送物を保持して移動させる。具体例としては、前記搬送物載置部13に、搬送物として、ワークWがバラ積みされたコンテナ65が載置される場合には、制御装置40は、前記位置検出装置60により検出されたカメラ座標系における各ワークWの三次元位置を当該位置検出装置60から受信して、受信したカメラ座標系における各ワークWの三次元位置をロボット座標系における三次元位置に変換し、変換した位置データに基づいて、前記ロボット20を制御して、前記ハンド30によりワークWを保持してコンテナ65内から取り出し、この後、例えば、図5に示した例のように、工作機械200に供給するように動作させることができる。
【0043】
また、制御装置40は、ロボット20に装着されたハンド30を、必要に応じて、ハンドストッカ64に保持されたハンド35,36のいずれかと交換する動作を行わせる。例えば、制御装置40は、ロボット20に装着されたハンド30を、ハンドストッカ64の空きスペース(一点鎖線で示した空間)に保持させた後、ハンド35,36のいずれかをロボット20の先端部に装着する。
【0044】
以上のように、本例の搬送装置50によれば、前記搬送物載置部13に、ワークWがバラ積みされたコンテナ65が載置される場合には、前記位置検出装置60によりカメラ座標系における各ワークWの三次元位置が検出され、このカメラ座標系における各ワークWの三次元位置に基づいて、前記制御装置40によりロボット座標系における各ワークWの三次元位置が算出され、算出された位置データに基づいて、前記ロボット20が制御され、前記ハンド30によりワークWを保持してコンテナ65内から取り出すことができ、取り出したワークWを移動させて、例えば、工作機械200に供給することができる。また、ロボット20に装着されたハンド30を、把持する対象物に応じて、ハンドストッカ64に保持されたハンド35,36と適宜交換することができる。
【0045】
[発展的形態2]
次に、前記搬送装置1を発展させた他の形態に係る搬送装置70について、図9図13に基づいて説明する。
【0046】
図9図13に示すように、この搬送装置70は、前記基本的形態に係る搬送装置1の全ての構成を備え、更に、搬送車10に取り付けられた昇降装置71を備えている。
【0047】
昇降装置71は、長手方向の中間位置が連結ロッド86によって相互にリンクするリンクアーム80,81及びリンクアーム82,83、このリンクアーム80,81及びリンクアーム82,83を駆動する駆動機構72、並びにリンクアーム80,81及びリンクアーム82,83上に載置される載置台89などから構成される。尚、本例では、載置台89に搬送物が載置される。したがって、本例では、この載置台89が実質的に搬送物載置部として機能する。
【0048】
リンクアーム80,81は連結ロッド86の一端側にそれぞれ回転可能に連結され、同様に、リンクアーム82,83は連結ロッド86の他端側にそれぞれ回転可能に連結され、これにより、リンクアーム80,81及びリンクアーム82,83はそれぞれアルファベットのX字状に連結されている。また、リンクアーム80,82の下方側の端部は連結ロッド84により、それぞれ当該連結ロッド84に対して回転可能に連結され、上方側の端部は連結ロッド87により、それぞれ当該連結ロッド87に対して回転可能に連結されている。同様に、リンクアーム81,83の下方側の端部は連結ロッド85により、それぞれ当該連結ロッド86に対して回転可能に連結され、上方側の端部は連結ロッド88により、それぞれ当該連結ロッド88に対して回転可能に連結されている。
【0049】
前記載置台89は、平面視矩形をした部材であり、その周縁には下方に垂下するスカート部89aが設けられており、このスカート部89aによって囲まれる下面89bが、リンクアーム80,81,82,83の上端部に当接した状態で、当該リンクアーム80,81,82,83上に載置されている。また、前記ロボット搭載部12側の前記載置台89には、一対のガイドロッド92,95が貫通した状態で設けられている。このガイドロッド92,95は、所定間隔をあけて垂設されており、その上端部がブラケット93,96によって、前記ロボット搭載部12の側面12bに固設され、その下端部がブラケット94,97によって、前記搬送物載置部13の載置面13a上に固設されている。斯くして、載置台89は、矢示B-C方向への移動がガイドロッド92,95との係合関係によって制止されるとともに、矢示B-C方向と垂直な水平方向への移動が、リンクアーム80,81の上端部及びリンクアーム82,83の上端部とスカート部89aとの係合関係によって制止される。
【0050】
前記駆動機構72は、前記搬送物載置部13の載置面13aの上方に、前記矢示B-Cに沿って設けられた駆動ネジ74、前記載置面13a上に設けられて、前記駆動ネジ74を回転可能に支持する軸受75,76,77、前記駆動ネジ74を正逆方向に回転させる駆動モータ73などから構成される。前記駆動ネジ74は前記載置面13aの中央部分に設けられ、図9及び図11において図示した右端部が軸受75によって支持され、その左側の端部が、前記ロボット搭載部12の側面12bを貫通して、当該ロボット搭載部12内に設けられた軸受77によって支持された状態で、前記駆動モータ73の出力軸に連結されている。尚、駆動モータ73は、前記制御装置40による制御の下で、前記バッテリー18から供給される電力によって駆動される。
【0051】
この駆動ネジ74はその中央部を境として、その一方のネジ部74aと他方のネジ部74bとが相互に逆ネジとなっており、この中央部が軸受76によって回転自在に支持されている。また、ネジ部74aには、ナット78が螺合しており、このナット78には、相対的に回転可能に前記連結ロッド84が貫通されている。同様に、ネジ部74bには、ナット79が螺合しており、このナット79には、相対的に回転可能に前記連結ロッド85が貫通されている。
【0052】
斯くして、前記駆動モータ73により前記駆動ネジ74を一方向に回転させると、前記ナット78とナット79とが相互に接近する方向に移動し、駆動ネジ74を逆方向に回転させると、ナット78とナット79とが相互に離反する方向に移動する。そして、ナット78及びナット79が接近する方向に移動すると、これらにそれぞれ係合した連結ロッド84,85、この連結ロッド84,85にそれぞれ係合したリンクアーム80,81の下端部、並びにリンクアーム82,83の下端部が相互に接近する方向に移動し、これにより、リンクアーム80,81の上端部、並びにリンクアーム82,83の上端部が上方に移動し、これとともに前記載置台89が上方に移動する。
【0053】
一方、ナット78及びナット79が離反する方向に移動すると、これらにそれぞれ係合した連結ロッド84,85、この連結ロッド84,85にそれぞれ係合したリンクアーム80,81の下端部、並びにリンクアーム82,83の下端部が相互に離反する方向に移動し、これにより、リンクアーム80,81の上端部、並びにリンクアーム82,83の上端部が下方に移動し、これとともに前記載置台89が下方に移動する。尚、上述したように、載置台89は、水平方向への移動が制止されているので、水平方向に移動することなく、垂直方向に上下動する。また、載置台89の上面(載置面)89aは、その高さ位置が、ロボット搭載部12の載置面12aよりも低い位置となっている。
【0054】
以上のように構成された本例の搬送装置70によれば、前記駆動モータ73により前記駆動ネジ74を回転させて、前記ナット78とナット79とを接近させることにより、前記載置台89が上方に移動し(図11参照)、駆動ネジ74を逆の方向に回転させて、ナット78とナット79とを相互に離反する方向に移動させることにより、前記載置台89が下方に移動する(図9及び図10参照)。
【0055】
そして、例えば、図12に示すように、搬送物として、ワークWが整列され且つ積層された状態で収容されたコンテナ98を載置台89上に載置して、前記制御装置40による制御の下で、ロボット20を動作させて、そのハンド30によりワークWを順次把持して取り出す場合に、上層のワークWを取り出した後、下層に位置するワークWを取り出す際に、当該ワークWの位置がロボット20の可動範囲外にある場合には、図13に示すように、前記駆動機構72により載置台89及びコンテナ98を上方に移動させることにより、当該ロボット20により下層に位置するワークWを取り出すことが可能になる。
【0056】
或いは、特に図示はしないが、本例の搬送装置70によれば、適宜脚部を備え、この脚部によって地面との間に空間を有する装置、例えば、測定装置、洗浄装置やバリ取り装置といった産業機械を搬送することができる。この場合、制御装置40は、昇降装置71の載置台89を下端位置まで降下させた状態で、搬送車10を駆動して、その昇降装置71側を当該産業機械の前記空間内に進入させ、ついで、昇降装置71を駆動して、載置台89を上昇させることにより、載置台89上に産業機械を載せ、当該産業機械が地面から上方に離れた状態にする。そして、この後、搬送車10を走行させて、当該産業機械を所望の位置に移動させ、ついで、昇降装置71を駆動して載置台89を下端位置まで降下させることにより、当該産業機械を設置した後、搬送車10を駆動して、当該産業機械の前記空間内に後退させる。以上により、前記産業機械を或る位置から所望の位置に搬送することができる。尚、当然のことながら、搬送可能な産業機械は上例の測定装置、洗浄装置やバリ取り装置に限定されるものでは無く、他の産業機械を搬送することができる。
【0057】
[発展的形態3]
次に、前記搬送装置1を発展させた更に他の形態に係る搬送装置100について、図14に基づいて説明する。
【0058】
図14に示すように、この搬送装置100は、前記基本的形態に係る搬送装置1の全ての構成を備え、更に、搬送車10に取り付けられた回転テーブル装置101を備えている。この回転テーブル装置101は、前記搬送車10の搬送物載置部13上に、垂直な回転軸を中心として回転自在に設けられた回転テーブル102と、この回転テーブル102内に内蔵され、当該回転テーブル102を回転させる駆動モータ(図示せず)とを備えている。尚、駆動モータ(図示せず)は、前記制御装置40による制御の下で、前記バッテリー18から供給される電力によって駆動される。
【0059】
本例の搬送装置100によれば、例えば、図14に示すように、搬送物として、ワークWが整列され且つ積層された状態で収容されたコンテナ103が回転テーブル102上に載置された状態で、前記制御装置40による制御の下、ロボット20を動作させることにより、そのハンド30によってワークWを順次把持して取り出すことができる。そして、ロボット20が、その手前側に位置するワークWを取り出した後、奥側に位置するワークWを取り出す際に、当該ワークWの位置がロボット20の可動範囲外にある場合には、前記回転テーブル102を前記垂直軸回りに180°回転させることにより、奥側にあったワークWを手前側に移動させることができ、このようにすることで、コンテナ103内の全てのワークWをロボット20によって取り出すことが可能になる。尚、本例の搬送装置100では、前記回転テーブル102が実質的に搬送物載置部として機能する。
【0060】
[発展的形態4]
次に、前記搬送装置1を発展させた更に他の形態に係る搬送装置110について、図15図17に基づいて説明する。
【0061】
図15図17に示すように、この搬送装置110は、前記基本的形態に係る搬送装置1の全ての構成を備え、更に、搬送車10の搬送物載置部13の矢示C方向における端部に設けられた跳ね上げ式のスロープ装置111を備えている。
【0062】
前記スロープ装置111は、前記搬送物載置部13の載置面13aの端部であって、前記矢示C方向における端部に、当該矢示C方向と直交する方向に所定間隔をあけて設けられた一対のブラケット113,114と、一端側が前記ブラケット113,114によって回転自在に支持された揺動部材112と、前記ブラケット113に付設され、前記揺動部材112を揺動させる駆動モータ115とを備えている。
【0063】
そして、揺動部材112は、前記駆動モータ115に駆動されて、ブラケット113,114を中心に旋回移動し、垂直方向に起立した位置(図17に示した位置)と、傾倒してその自由端である前記他端側が路面(走行面)に当接した傾倒位置(図15及び図16に示した位置)との間で揺動する。そして、前記傾倒位置にあるときに、前記揺動部材112の上面112aは、その前記他端側が前記路面に接し、且つ前記一端側が前記載置面13aに接続したスロープ面を形成する。そして、搬送物として、車輪によって移動する、例えば、チップバケットなどの移動車125を、前記上面112a上を移動させることで、当該移動車125を前記搬送物載置部13の載置面13a上に乗り移らせることができる。尚、前記駆動モータ115は、前記制御装置40による制御の下で、前記バッテリー18から供給される電力によって駆動される。
【0064】
以上の構成を備えた搬送装置110によれば、前記制御装置40による制御の下で、前記駆動モータ115を駆動して揺動部材112を傾倒させると、図15に示すように、前記揺動部材112の前記他端側が前記路面に接した状態となる。そして、前記移動車125を、前記揺動部材112の上面112a上を移動させることで、同図15に示すように、当該移動車125を前記搬送物載置部13の載置面13a上に乗り移らせることができる。この後、前記駆動モータ115を駆動して、図17に示すように、前記揺動部材112を起立させ、この状態で、搬送車10を走行させることで、当該移動車125を所望の位置に移動させることができる。尚、搬送車10を走行させる際に、移動車125が慣性によって矢示B-C方向に移動する可能性があるが、矢示B方向への移動は、ロボット搭載部12の側面12bによって制限され、矢示C方向への移動は、揺動部材112によって制限される。
【0065】
以上のように、この搬送装置110によれば、適宜移動車125を搬送物載置部13の載置面13a上に乗り移らせた状態で、所望の位置に移動させることができる。
【0066】
尚、この搬送装置110において、図18に示すように、適宜駆動モータ(図示せず)により駆動されて、垂直方向に出退するねじ軸130(係止機構)を前記搬送物載置部13の載置面13aに設け、このねじ軸130を進出させることで、前記移動車125の下面に係合させるようにしても良い。このように、ねじ軸130を移動車125に係合させることによって、当該移動車125が矢示B-C方向に移動するのを制止することができる。一方、ねじ軸130を後退させることで、移動車125は矢示B-C方向に自由に移動することが可能となる。
【0067】
以上、本発明の具体的な実施の形態について説明したが、本発明が採り得る態様は、何ら上例のものに限定されるものでは無い。
【0068】
例えば、本発明では、上述した基本的形態の搬送装置1に、同じく上述した発展的形態に係る搬送装置50,70,100,110が備えた構成の二以上を選択的に組み合わせた態様を採ることができる。
【0069】
繰り返しになるが、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1 搬送装置
10 搬送車
11 車体
12 ロボット搭載部
12a 載置面
13 搬送物載置部
13a 載置面
18 バッテリー
20 ロボット
21 第1アーム
22 第2アーム
23 第3アーム
24 基部
25 第1関節部
26 第2関節部
27 第3関節部
40 制御装置
50 搬送装置
51 フレーム
60 位置検出装置
70 搬送装置
71 昇降装置
100 搬送装置
101 回転テーブル
110 搬送装置
111 スロープ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に対して作用するエンドエフェクタを有し、該エンドエフェクタを三次元空間内で移動させるロボットと、
前記ロボットが搭載されるロボット搭載部、及び搬送物が載置される搬送物載置部を有する搬送車と、
前記搬送車及びロボットを制御する制御装置と、を備えた搬送装置であって、
前記搬送車は、その前記搬送物載置部の載置面が、前記ロボット搭載部の搭載面よりも低い位置に形成され
前記エンドエフェクタは、前記物品として、前記搬送物載置部に載置された搬送物を保持可能に構成され、
前記制御装置は、前記搬送車を、そのロボット搭載部が産業機械に設けられた開口と対向し、且つ該ロボット搭載部が前記搬送物載置部よりも前記開口に近い位置となるように移動させるとともに、前記エンドエフェクタに前記搬送物を保持させた状態で、前記開口を通過させて、前記産業機械内に前記搬送物を搬入するように制御し、
前記搬送車は、前記搬送物載置部を昇降させる昇降機構を備え、
前記搬送物載置部は、少なくとも下降端位置において、その載置面が、前記ロボット搭載部の搭載面よりも低い位置に位置しており、
前記ロボット搭載部の搭載面は、前記搬送物載置部が下降端位置にあるときの載置面よりも、前記産業機械の開口底部位置に近い位置となっている搬送装置。
【請求項2】
前記ロボット搭載部と前記搬送物載置部とは隣接して設けられ、
重力方向から見た前記搬送物載置部の載置面の面積は、同じく重力方向から見た前記ロボット搭載部の載置面の面積の2倍以上10倍以下である請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送車は、前記搬送物載置部を、その前記載置面に対して直交する垂直軸を中心に回転させる回転機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送車は、前記搬送物載置部の載置面の縁部であって、前記ロボット載置部とは反対側の縁部に、起立した起立位置と、傾倒して自由端部が路面に当接した傾倒位置との間で揺動可能に設けられた揺動部材を備え、
前記揺動部材が傾倒位置にあるときに、該揺動部材上を通過することによって移動車を前記搬送物載置部の載置面上に載置させることができように構成された請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送車は、前記搬送物載置部の載置面にある移動車に係合して該移動車を係止する係止機構を備えている請求項記載の搬送装置。
【請求項6】
前記搬送車の前記搬送物載置部に載置された複数の搬送物を撮像するカメラを有し、該カメラにより撮像された画像に基づいて、前記各搬送物の位置を検出する位置検出装置を更に備え
記制御装置は、前記位置検出装置により検出された各搬送物の位置に基づいて前記ロボットを制御し、前記エンドエフェクタにより前記搬送物を保持して移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送装置。