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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027365
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】貯留装置及び物品把持システム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G01G19/387 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130109
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】古川 有希
(57)【要約】
【課題】物品を確実に下方へ排出させる。
【解決手段】タイミングホッパ9は、投入された物品を内部に一時的に貯留し、当該物品を排出口90Eを介して下方へ排出する本体部90と、排出口90Eの閉鎖状態と開放状態とを切り替え、閉鎖状態において本体部90と共に物品を貯留するゲート91と、を備える。ゲート91は、閉鎖状態において物品を貯留する側の表面91Aに突出する複数の突出部96を含む。突出部96が表面91Aから突出する方向から見て、突出部96の外形は、短い底辺である第1底辺96S及び長い底辺である第2底辺96Lを含む略台形状を有する。突出部96における第1底辺96Sの表面91Aからの高さは、第2底辺96Lの表面91Aからの高さよりも高い。開放状態において第1底辺96Sは、第2底辺96Lよりも下方に位置する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された物品を内部に一時的に貯留し、当該物品を排出口を介して下方へ排出する本体部と、
前記排出口の閉鎖状態と開放状態とを切り替え、前記閉鎖状態において前記本体部と共に前記物品を貯留するゲートと、を備え、
前記ゲートは、前記閉鎖状態において前記物品を貯留する側の表面に突出する複数の突出部を含み、
前記突出部が前記表面から突出する方向から見て、前記突出部の外形は、短い底辺である第1底辺及び長い底辺である第2底辺を含む略台形状を有し、
前記突出部における前記第1底辺の前記表面からの高さは、前記第2底辺の前記表面からの高さよりも高く、
前記開放状態において前記第1底辺は、前記第2底辺よりも下方に位置する、貯留装置。
【請求項2】
前記突出部における前記第1底辺側には、前記ゲートの前記表面と前記表面の反対側の裏面とを通じる開口部が形成されている、請求項1に記載の貯留装置。
【請求項3】
前記ゲートは、前記第1底辺又は前記第2底辺に沿う方向から見て、前記表面側を内側とする弧状を呈した板状であり、前記本体部に対して当該弧状に沿う軌跡で移動して前記閉鎖状態と開放状態とを切り替える、請求項1又は2に記載の貯留装置。
【請求項4】
前記ゲートは、前記第1底辺又は前記第2底辺に沿う方向に延びる複数の折曲げ線を介して弧状に折り曲がるように形成され、
前記突出部は、隣接する一対の前記折曲げ線の間に配置される、請求項3に記載の貯留装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記第2底辺側が前記表面と連続するように設けられている、請求項1又は2に記載の貯留装置。
【請求項6】
前記突出部は、前記第2底辺側から前記第1底辺側へ行くに連れて、前記表面からの高さが高くなるように設けられている、請求項1又は2に記載の貯留装置。
【請求項7】
前記突出部は、前記表面に千鳥状に配置されている、請求項1又は2に記載の貯留装置。
【請求項8】
複数の前記突出部は、上方から見て、前記閉鎖状態の前記ゲートの前記表面において前記排出口と重なる領域に少なくとも設けられる、請求項1又は2に記載の貯留装置。
【請求項9】
物品を組合せ計算する組合せ計量装置のホッパを構成する、請求項1又は2に記載の貯留装置。
【請求項10】
容器に格納された物品群から一部の物品を把持して排出する物品把持システムのホッパを構成する、請求項1又は2に記載の貯留装置。
【請求項11】
前記本体部は、内側の表面に突出する複数の本体突出部を含み、
前記本体突出部が当該表面から突出する方向から見て、前記本体突出部の外形は、短い底辺である第1底辺及び長い底辺である第2底辺を含む略台形状を有し、
前記本体突出部における前記第1底辺の当該表面からの高さは、前記本体突出部における前記第2底辺の当該表面からの高さよりも高く、
前記本体突出部の前記第1底辺は、前記本体突出部の前記第2底辺よりも下方に位置する、請求項1又は2に記載の貯留装置。
【請求項12】
容器に格納された物品群から一部の物品を把持して排出する物品把持システムであって、
投入された物品を滑走させ、排出口を介して下方へ排出するシュートと、
前記シュートの下方に配置され、請求項1又は2に記載の貯留装置としてのホッパと、を備え、
前記シュートは、内側の表面に突出する複数のシュート突出部を含み、
前記シュート突出部が当該表面から突出する方向から見て、前記シュート突出部の外形は、短い底辺である第1底辺及び長い底辺である第2底辺を含む略台形状を有し、
前記シュート突出部における前記第1底辺の当該表面からの高さは、前記シュート突出部における前記第2底辺の当該表面からの高さよりも高く、
前記シュート突出部の前記第1底辺は、前記シュート突出部の前記第2底辺よりも下方に位置する、物品把持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、貯留装置及び物品把持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
投入された物品を内部に一時的に貯留し、当該物品を排出口を介して下方へ排出する本体部と、排出口の閉鎖状態と開放状態とを切り替えるゲートと、を備えた貯留装置が知られている。例えば特許文献1には、このような貯留装置として、プールホッパ、計量ホッパ及びタイミングホッパが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-148473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような貯留装置では、例えば、パスタ等の粘性が高く且つ細い物品を貯留する場合、ゲートが開放状態であっても、物品がゲートの表面に付着してしまい、物品が排出口から下方へ排出しにくくなる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、物品を確実に下方へ排出させることが可能な貯留装置及びそれを備えた物品把持システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係る貯留装置は、投入された物品を内部に一時的に貯留し、当該物品を排出口を介して下方へ排出する本体部と、排出口の閉鎖状態と開放状態とを切り替え、閉鎖状態において本体部と共に物品を貯留するゲートと、を備え、ゲートは、閉鎖状態において物品を貯留する側の表面に突出する複数の突出部を含み、突出部が表面から突出する方向から見て、突出部の外形は、短い底辺である第1底辺及び長い底辺である第2底辺を含む略台形状を有し、突出部における第1底辺の表面からの高さは、第2底辺の表面からの高さよりも高く、開放状態において第1底辺は、第2底辺よりも下方に位置する。
【0007】
この貯留装置では、ゲートが開放状態の場合、本体部の内部においてゲートの突出部に接しながら下方へ流動する物品は、突出部の下方側が第1底辺側(つまり、短い底辺側)であることから、その流路幅が下方側で狭まることになり、突出部の下方側にて流速が速まる。よって、ゲートが開放状態の場合、ゲートの突出部に接する物品は滞ることなく下方へ流動し、ゲートの表面には物品が付着しにくくなる。したがって、物品を確実に下方へ排出させることが可能となる。
【0008】
(2)上記(1)に記載の貯留装置では、突出部における第1底辺側には、ゲートの表面と表面の反対側の裏面とを通じる開口部が形成されていてもよい。このようにゲートの表面と裏面とを開口部を介して通じることで、外部の圧力を利用して表面に対する物品の密着を防ぐことが可能となる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)に記載の貯留装置では、ゲートは、第1底辺又は第2底辺に沿う方向から見て、表面側を内側とする弧状を呈した板状であり、本体部に対して当該弧状に沿う軌跡で移動して閉鎖状態と開放状態とを切り替えてもよい。この場合、例えば、ゲートを当該弧状に沿って移動させて閉鎖状態から開放状態とすることで、本体部の内部の物品を排出口を介して下方へ排出させることができる。
【0010】
(4)上記(3)に記載の貯留装置では、ゲートは、第1底辺又は第2底辺に沿う方向に延びる複数の折曲げ線を介して弧状に折り曲がるように形成され、突出部は、隣接する一対の折曲げ線の間に配置されてもよい。この場合、弧状を呈する板状のゲートを精度よく形成可能となる。
【0011】
(5)上記(1)~(4)の何れか一項に記載の貯留装置では、突出部は、第2底辺側が表面と連続するように設けられていてもよい。これにより、ゲートが開放状態の場合において、突出部に接しながら流動する物品の当該流動をスムーズにすることができる。
【0012】
(6)上記(1)~(5)の何れか一項に記載の貯留装置では、突出部は、第2底辺側から第1底辺側へ行くに連れて、表面からの高さが高くなるように設けられていてもよい。これにより、ゲートが開放状態の場合において、突出部に接しながら流動する物品の当該流動をスムーズにすることができる。
【0013】
(7)上記(1)~(6)の何れか一項に記載の貯留装置では、突出部は、表面に千鳥状に配置されていてもよい。この場合、外形が略台形状の突出部を、ゲートの表面上に密に配置させることが可能となる。
【0014】
(8)上記(1)~(7)の何れか一項に記載の貯留装置では、複数の突出部は、上方から見て、閉鎖状態のゲートの表面において排出口と重なる領域に少なくとも設けられてもよい。この場合、ゲートの表面における物品の付着が多い領域に突出部を少なくとも設けることができ、ゲートの表面に物品が付着しにくくする上記作用効果は特に有効となる。
【0015】
(9)上記(1)~(8)の何れか一項に記載の貯留装置は、物品を組合せ計算する組合せ計量装置のホッパを構成してもよい。この場合、本発明に係る貯留装置を組合せ計量装置に利用することが可能となる。
【0016】
(10)上記(1)~(8)の何れか一項に記載の貯留装置は、容器に格納された物品群から一部の物品を把持して排出する物品把持システムのホッパを構成してもよい。この場合、本発明に係る貯留装置を物品把持システムに利用することが可能となる。
【0017】
(11)上記(1)~(8)の何れか一項に記載の貯留装置では、本体部は、内側の表面に突出する複数の本体突出部を含み、本体突出部が当該表面から突出する方向から見て、本体突出部の外形は、短い底辺である第1底辺及び長い底辺である第2底辺を含む略台形状を有し、本体突出部における第1底辺の当該表面からの高さは、本体突出部における第2底辺の当該表面からの高さよりも高く、本体突出部の第1底辺は、本体突出部の第2底辺よりも下方に位置していてもよい。この場合、本体部の本体突出部に接する物品は滞ることなく下方へ流動し、本体部の内側の表面には物品が付着しにくくなる。したがって、物品を一層確実に下方へ排出させることが可能となる。
【0018】
(12)本発明の一側面に係る物品把持システムは、容器に格納された物品群から一部の物品を把持して排出する物品把持システムであって、投入された物品を滑走させ、排出口を介して下方へ排出するシュートと、シュートの下方に配置され、上記貯留装置としてのホッパと、を備え、シュートは、内側の表面に突出する複数のシュート突出部を含み、シュート突出部が当該表面から突出する方向から見て、シュート突出部の外形は、短い底辺である第1底辺及び長い底辺である第2底辺を含む略台形状を有し、シュート突出部における第1底辺の当該表面からの高さは、シュート突出部における第2底辺の当該表面からの高さよりも高く、シュート突出部の第1底辺は、シュート突出部の第2底辺よりも下方に位置する、物品把持システム。
【0019】
この物品把持システムは、上記貯留装置としてのホッパを備えることから、物品を確実にホッパの下方へ排出させることが可能となる。また、シュートのシュート突出部に接する物品は滞ることなく下方へ流動し、シュートの内側の表面には物品が付着しにくくなる。したがって、物品を確実にシュートの下方へ排出させることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面によれば、物品を確実に下方へ排出させることが可能な貯留装置及びそれを備えた物品把持システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係る物品把持システムを示す模式的な正面図である。
図2図2は、図1のゲートを示す斜視図である。
図3図3は、図1のゲートを示す他の斜視図である。
図4図4は、図1のゲートを示す正面図である。
図5図5は、図1のゲートの内側の表面を示す図である。
図6図6は、図5のVI-VI線に沿う断面図である。
図7図7は、変形例に係るタイミングホッパの本体部を示す概略断面図である。
図8図8は、変形例に係る集合シュートを示す概略断面図である。
図9図9(a)は、第1変形例に係る突出部を示す概略図である。図9(b)は、第2変形例に係る突出部を示す概略図である。図9(c)は、第3変形例に係る突出部を示す概略図である。図9(d)は、第4変形例に係る突出部を示す概略図である。図9(e)は、第5変形例に係る突出部を示す概略図である。図9(f)は、第6変形例に係る突出部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において同一又は相当する要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
図1に示されるように、物品把持システム1は、容器30に格納された物品群から一部の物品を把持して排出する。物品把持システム1は、重量が目標重量の範囲内となるように一部の物品を容器30から取り出し、当該物品を外部に排出する。物品把持システム1により排出される物品は、例えば、後工程で袋に包装あるいは別の容器に収容されて商品として出荷される。物品は、例えば、スパゲティ等の麺類、ペンネ等の糖類を多く含む食品等である。物品は、高い粘性を有する食品でもよい。
【0024】
物品把持システム1は、複数の把持部21を含む把持ユニット20と、物品群が載置される容器30と、容器30を移動させる容器駆動部31と、把持ユニット20の下方に配置された集合シュート(シュート)8と、集合シュート8の下方に配置されたタイミングホッパ(ホッパ)9と、把持ユニット20及び容器駆動部31を制御する制御部61と、を備える。把持ユニット20、容器30及び容器駆動部31は、例えば直方体状の本体フレーム80に取り付けられている。
【0025】
把持ユニット20は、左右に並設されている。把持ユニット20は、本体フレーム80に対して固定的に設けられている。把持ユニット20では、複数の把持部21が水平方向に並ぶように配置されている。各把持部21は、例えば複数の把持爪24を有しており、複数の把持爪24を閉じることで物品を把持する。各把持部21は、複数の把持爪24を駆動する把持部駆動部25を含む。把持部駆動部25は、例えば、モータ又は流体圧を駆動源として把持爪24を開閉させる。把持ユニット20は、各把持部21に把持された物品の重量値を計量する複数の計量器(不図示)を有する。各把持部21と各計量器とは、一体的に組み立てられている。計量器は、計測した物品の重量値を制御部61に出力する。
【0026】
容器30は、物品群が載置される部材である。容器30は、上方に向けて開放された直方体状の容器である。容器30は、容器駆動部31の保持部15に載置されている。容器駆動部31は、保持部15に載置された容器30を、水平な姿勢を維持しつつ鉛直方向及び水平方向に移動させる。
【0027】
集合シュート8は、把持ユニット20の把持部21が把持を解除して落下させた物品を集合させる。集合シュート8は、例えば下方に向かって先細りの四角錐台状の筒体である。集合シュート8は、上側及び下側に開口を有する。集合シュート8は、投入された物品を受けて下側に滑走させる。集合シュート8は、下側の開口により構成された排出口8Eを介して、当該物品を下方に排出する。タイミングホッパ9は、開閉可能なゲート91を有する。タイミングホッパ9は、ゲート91を閉鎖状態とすることで、集合シュート8から排出された物品を一時的に貯留する。タイミングホッパ9は、ゲート91を開放状態とすることで、一時的に貯留した物品を下方へ排出する。
【0028】
制御部61は、CPUに加えて、ROM、RAM等のメモリを有する。制御部61は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、物品把持システム1の各種構成の動作の制御を行う。制御部61は、把持ユニット20の計量器により取得された物品の重量値に基づいて組合せ計算を行う。組合せ計算は、複数の把持部21のそれぞれにより把持された物品の重量値を足し合わせた結果、その合計値が目標重量値となる重量値の組合せを求める処理である。制御部61は、組合せ計算の結果に基づいて、目標重量値となる重量値の組合せに対応する複数の把持部21を選択し、選択した複数の把持部21の把持を解除する制御を実施する。
【0029】
次に、物品把持システム1の動作の一例について説明する。
【0030】
制御部61は、容器駆動部31を駆動することで、容器30を一の把持ユニット20に近づくように上方へ移動させる。制御部61は、把持部駆動部25を制御することで、一の把持ユニット20の把持部21の把持爪24により、容器30内の物品群から一部の物品を把持させる。制御部61は、容器駆動部31を制御することで、容器30を一の把持ユニット20から離れるように下方へ移動させる。制御部61は、当該把持部21により把持された物品の各重量値を取得し、組合せ計算を実施する。制御部61は、容器駆動部31を制御することで、容器30を水平方向に移動させ、一の把持ユニット20の下方から他の把持ユニット20の下方へ容器30を移動させる。
【0031】
制御部61は、組合せ計算の結果に基づいて、目標重量値となる重量値の組合せに対応する複数の把持部21の把持爪24による物品の把持を解除し、物品を落下させる。落下した物品は、集合シュート8に投下され、集合シュート8内を下側に滑走し、下側の開口からタイミングホッパ9へ投入される。タイミングホッパ9に投入された物品は、その内部を下側に滑走し、ゲート91が閉鎖状態の場合に一時的に貯留される。ゲート91が開放状態となると、タイミングホッパ9に一時的に貯留された物品は、下方へ排出される。
【0032】
次に、タイミングホッパ9の要部ついて説明する。
【0033】
図2に示されるように、タイミングホッパ9は、本体部90及びゲート91を備えた貯留装置である。本体部90は、上側及び下側に開口するバケット状の容器である。本体部90の上側の開口は、物品が投入される投入口90Iを構成する。本体部90の下側の開口は、物品を排出する排出口90Eを構成する。本体部90の排出口90Eを構成する縁は、正面から見て円弧状を呈する。本体部90は、集合シュート8から投入口90Iを介して投入された物品を内部に一時的に貯留し、当該物品を排出口90Eを介して下方へ排出する。
【0034】
ゲート91は、排出口90Eの閉鎖状態と開放状態とを切り替え、閉鎖状態において本体部90と共に物品を貯留する。ゲート91は、タイミングホッパ9の底部に位置する。ゲート91は、ゲート駆動部92の回動軸92Xに連結され、ゲート駆動部92の駆動により回動軸92Xを基軸により円弧状に可動する。これにより、ゲート91は、下方から見て排出口90Eと重ならない開放状態と、下方から見て排出口90Eと重なる閉鎖状態と、間で状態が切り替わる。開放状態は、排出口90Eを露出させる状態である。閉鎖状態は、排出口90Eを塞ぐ状態である。
【0035】
図2図3図4図5及び図6の少なくとも何れかに示されるように、ゲート91は、軸部93及びアーム部95を介して、ゲート駆動部92の回動軸92Xに接続される。軸部93は、例えば円筒状を呈する。軸部93は、回動軸92Xに固定されている。アーム部95は、軸部93とゲート91とに固定され、これらを連結する。
【0036】
ゲート91は、排出口90Eを閉鎖可能な大きさを有する。ゲート91は、閉鎖状態において物品を貯留する側(内側)の表面91Aと、その反対側(外側)の裏面91Bと、を有する板状の部材である。ゲート91は、よろい戸加工が行われており、表面91Aに突出する複数の突出部96を含む。突出部96が表面91Aから突出する方向から見て(換言すると、表面91Aに対面する側から見て又は表面91Aに交差する方向から見て)、突出部96の外形は、短い底辺である第1底辺96S及び長い底辺である第2底辺96Lを含む略台形状を有する。
【0037】
突出部96における第1底辺96Sの表面91Aからの高さは、第2底辺96Lの表面91Aからの高さよりも高い(図6参照)。ゲート91の開放状態において、第1底辺96Sは、第2底辺96Lよりも下方に位置する。つまり、突出部96は、ゲート91の開放状態において下方に向かって角度をつけて狭くなる台形状を呈する。突出部96における第1底辺96S側には、表面91Aと裏面91Bとを通じる開口部98が形成されている(図6参照)。突出部96は、第2底辺96L側が表面91Aと連続するように設けられている。突出部96は、第2底辺96L側から第1底辺96S側へ行くに連れて、表面91Aからの高さが徐々に高くなるように設けられている。例えば突出部96は、ゲート91を裏面91B側からプレス加工を施して形成してもよい。
【0038】
突出部96は、表面91Aに千鳥状に配置されている。具体的には、表面91Aには、前後方向(第1底辺96S又は第2底辺96Lに沿う方向)において所定間隔で並ぶ突出部96の突出部群が、前後方向に直交する左右方向において複数配置されている。隣接する一対の突出部群のうち一方と他方とでは、突出部96の位置が前後方向にずれている。
【0039】
ゲート91は、前後方向から見て(ここでは、正面から見て)、表面91A側を内側とする円弧状を呈する。ゲート91は、前後方向に延びる複数の折曲げ線99を介して、円弧状に折り曲がるように形成されている。複数の折曲げ線99は、表面91A及び裏面91Bに等間隔で並ぶように現れている。折曲げ線99は、曲げ加工を行った回数だけ現れる加工痕である。突出部96は、隣接する一対の折曲げ線99の間に配置されている。ゲート91は、複数の折曲げ線99により多角形状に曲げられて、円弧状に屈曲されている。ここでのゲート91は、前後方向から見て本体部90の下側の縁に沿った円弧状に屈曲されている。
【0040】
ゲート91は、ゲート駆動部92の駆動により軸部93が回動することで、本体部90に対して当該円弧状に沿う軌跡で移動して閉鎖状態と開放状態とを切り替える。複数の突出部96は、上方から見て、閉鎖状態のゲート91の表面91Aにおいて排出口90Eと重なる領域に少なくとも設けられる。
【0041】
以上に説明したタイミングホッパ9では、ゲート91が開放状態の場合、本体部90の内部においてゲート91の突出部96に接しながら下方へ流動する物品は、突出部96の下方側が第1底辺96S側(つまり、短い底辺側)であることから、その流路幅が下方側で狭まることになり、突出部96の下方側にて流速が速まる。よって、ゲート91が開放状態の場合、ゲート91の突出部96に接する物品は滞ることなく下方へ流動し、ゲート91の表面91Aには物品が付着しにくくなる。したがって、タイミングホッパ9によれば、物品を確実に下方へ排出させることが可能となる。
【0042】
タイミングホッパ9では、突出部96における第1底辺96S側には、ゲート91の表面91Aと裏面91Bとを通じる開口部98が形成されている。このようにゲート91の表面91Aと裏面91Bとを開口部98を介して通じることで、外部の圧力を利用して表面91Aに対する物品の密着を防ぐことが可能となる。
【0043】
タイミングホッパ9では、ゲート91は、表面91A側を内側とする円弧状を呈した板状であり、本体部90に対して当該円弧状に沿う軌跡で移動して閉鎖状態と開放状態とを切り替える。この場合、例えば、ゲート91を当該円弧状に沿って移動させて閉鎖状態から開放状態とすることで、本体部90の内部の物品を排出口90Eを介して下方へ排出させることができる。
【0044】
タイミングホッパ9では、ゲート91は、複数の折曲げ線99を介して円弧状に折り曲がるように形成されている。突出部96は、隣接する一対の折曲げ線99の間に配置されている。この場合、ロール曲げ加工でタイミングホッパ9を形成する場合に比べて、ゲート91の円弧形状及び突出部96の寸法及び配置等のずれを抑え、円弧状の板状のゲート91を精度よく形成することが可能となる。
【0045】
タイミングホッパ9では、突出部96は、第2底辺96L側が表面91Aと連続するように設けられている。これにより、ゲート91が開放状態の場合において、突出部96に接しながら流動する物品の当該流動をスムーズにすることができる。
【0046】
タイミングホッパ9では、突出部96は、第2底辺96L側から第1底辺96S側へ行くに連れて、表面91Aからの高さが高くなるように設けられている。これにより、ゲート91が開放状態の場合において、突出部96に接しながら流動する物品の当該流動をスムーズにすることができる。
【0047】
タイミングホッパ9では、突出部96は、表面91Aに千鳥状に配置されている。この場合、外形が略台形状の突出部96を、ゲート91の表面91A上に密に配置させることが可能となる。
【0048】
タイミングホッパ9では、複数の突出部96は、上方から見て、閉鎖状態のゲート91の表面91Aにおいて排出口90Eと重なる領域に少なくとも設けられている。この場合、ゲート91の表面91Aにおける物品の付着が多い領域に突出部96を少なくとも設けることができ、ゲート91の表面91Aに物品が付着しにくくする上記作用効果は特に有効となる。
【0049】
本実施形態では、一態様に係る貯留装置は、物品把持システム1のタイミングホッパ9を構成している。この場合、一態様に係る貯留装置を物品把持システム1に利用することが可能となる。
【0050】
以上、実施形態について説明してきたが、本発明の一態様は上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0051】
上記実施形態では、タイミングホッパ9に貯留装置を適用したが、これに限定されない。一態様に係る貯留装置は、種々の公知装置及び公知システムに適用できる。例えば一態様に係る貯留装置は、物品を組合せ計算する組合せ計量装置のホッパや、計量した物品を落下させ、下方に位置する包装装置等へ排出する排出シュートを構成してもよい。この場合、一態様に係る貯留装置を組合せ計量装置に利用することができ、計量精度を向上することが可能となる。
【0052】
上記実施形態において、本体部90は、例えば図7に示されるように、内側の表面90Aに突出する複数の本体突出部90Tを含んでいてもよい。本体突出部90Tは、上述の突出部96と同様に構成されている。すなわち、本体突出部90Tが表面90Aから突出する方向から見て、本体突出部90Tの外形は、短い底辺である第1底辺90TS及び長い底辺である第2底辺90TLを含む略台形状を有する。本体突出部90Tにおける第1底辺90TSの表面90Aからの高さは、本体突出部90Tにおける第2底辺90TLの表面90Aからの高さよりも高い。本体突出部90Tの第1底辺90TSは、本体突出部90Tの第2底辺90TLよりも下方に位置している。この場合、本体部90の本体突出部90Tに接する物品は滞ることなく下方へ流動し、本体部90の内側の表面90Aには物品が付着しにくくなる。したがって、物品を一層確実に下方へ排出させることが可能となる。
【0053】
上記実施形態において、集合シュート8は、例えば図8に示されるように、内側の表面8Aに突出する複数のシュート突出部86を含んでいてもよい。シュート突出部86は、上述の突出部96と同様に構成されている。すなわち、シュート突出部86が当該表面8Aから突出する方向から見て、シュート突出部86の外形は、短い底辺である第1底辺86S及び長い底辺である第2底辺86Lを含む略台形状を有する。シュート突出部86における第1底辺86Sの当該表面8Aからの高さは、シュート突出部86における第2底辺86Lの当該表面8Aからの高さよりも高い。シュート突出部86の第1底辺86Sは、シュート突出部86の第2底辺86Lよりも下方に位置する。この場合、集合シュート8のシュート突出部86に接する物品は滞ることなく下方へ流動し、集合シュート8の内側の表面8Aには物品が付着しにくくなる。したがって、物品を確実に集合シュート8の下方へ排出させることが可能となる。
【0054】
上記実施形態において、突出部96の略台形状は特に限定されない。略台形状は、完全に台形状だけでなく、おおよそ台形状を含む。例えば図9(a)に示されるように、変形例に係る突出部196の外形では、突出部196が突出する方向から見て、第1底辺96S及び第2底辺96Lを繋ぐ一方の側辺96Mが、第1底辺96S及び第2底辺96Lと直交する形状であってもよい。
【0055】
また、例えば図9(b)に示されるように、変形例に係る突出部296の外形では、突出部296が突出する方向から見て、第1底辺96Sと第2底辺96Lとが平行でなくてもよい。また、例えば図9(c)に示されるように、変形例に係る突出部396の外形では、突出部396が突出する方向から見て、第2底辺96Lが曲線であってもよい。また、例えば図9(d)に示されるように、変形例に係る突出部496の外形では、突出部496が突出する方向から見て、第1底辺96S及び第2底辺96Lを繋ぐ一方の側辺96Mが曲線であってもよい。
【0056】
また、例えば図9(e)に示されるように、変形例に係る突出部596の外形では、突出部596が突出する方向から見て、第2底辺96Lが円弧状の凹部96Kを含んでいてもよい。また、例えば図9(f)に示されるように、変形例に係る突出部696の外形では、突出部696が突出する方向から見て、第1底辺96Sと第2底辺96Lとの長さが大きく異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…物品把持システム、8…集合シュート(シュート)、8A…表面、8E…排出口、9…タイミングホッパ(貯留装置,ホッパ)、86…シュート突出部、86L…第2底辺、86S…第1底辺、90…本体部、90A…表面、90E…排出口、90T…本体突出部、90TL…第2底辺、90TS…第1底辺、91…ゲート、91A…表面、91B…裏面、96,196,296,396,496,596,696…突出部、96L…第2底辺、96S…第1底辺、98…開口部、99…折曲げ線。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9