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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027375
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】タイヤロック装置および輪止め
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/09 20130101AFI20240222BHJP
【FI】
B60R25/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130133
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】596013143
【氏名又は名称】加藤電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003373
【氏名又は名称】弁理士法人石黒国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 学
(57)【要約】
【課題】タイヤロック4による車輪3の回転規制が自動車自身の高出力により強引に解除されるのを防止することで、タイヤロック4による盗難防止効果を高める。
【解決手段】タイヤロック装置1によれば、輪止め5は、タイヤロック4の架橋部の一部を受け入れて保持する受入部として、スリット23を有する。そして、スリット23が架橋部の一部を保持し、タイヤロック4の第1、第2アームがホイール6に引っ掛かり、さらに、輪止め5がトレッド部21tに当たったり、トレッド部21tと向かい合ったりする状態で使用される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐停車している自動車の車輪に装着されて前記自動車の進退を規制するタイヤロック装置において、
前記車輪を構成するホイールに引っ掛かり、前記車輪の回転を規制するタイヤロックと、前記車輪を構成するタイヤのトレッド部に当たって前記車輪の進退を規制する輪止めとを備え、
前記タイヤロックは、前記車輪の幅方向の一方側、他方側それぞれの側から前記ホイールに引っ掛かる第1、第2アームと、この第1、第2アームの間を架け渡す架橋部とを有し、
前記輪止めは、この架橋部の少なくとも一部を受け入れて保持する受入部を有し、
この受入部が前記架橋部の少なくとも一部を保持し、前記第1、第2アームが前記ホイールに引っ掛かり、さらに、前記輪止めが前記トレッド部に当たったり、前記トレッド部と向かい合ったりする状態で使用されることを特徴とするタイヤロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタイヤロック装置において、
前記受入部は、前記輪止めにおいて路面の存在を想定する側に開口し、前記路面の存在を想定する側と反対側に向かって前記架橋部が移動することができるスリットであることを特徴とするタイヤロック装置。
【請求項3】
請求項2に記載のタイヤロック装置において、
前記スリットは、
前記路面の存在を想定する側に開口し、前記路面の存在を想定する側と反対側に向かって前記架橋部が移動することができる縦方向指向部と、
この縦方向指向部に接続し、前記タイヤの存在を想定する側に向かって前記架橋部が移動することができる横方向指向部とを有し、
前記架橋部は、前記縦方向指向部の開口から入って前記縦方向指向部を移動した後、前記横方向指向部を、前記タイヤの存在を想定する側に向かって移動することで、前記スリットに保持されることを特徴とするタイヤロック装置。
【請求項4】
請求項3に記載のタイヤロック装置において、
前記スリットは、
前記横方向指向部を、複数、有することを特徴とするタイヤロック装置。
【請求項5】
請求項1に記載のタイヤロック装置において、
前記受入部は、前記輪止めにおいて前記タイヤの存在を想定する側と反対側に開口し、前記タイヤの存在を想定する側に向かって前記架橋部が移動することができるスリットであることを特徴とするタイヤロック装置。
【請求項6】
請求項5に記載のタイヤロック装置において、
前記スリットは、
前記タイヤの存在を想定する側と反対側に開口し、前記タイヤの存在を想定する側に向かって前記架橋部が移動することができる横方向指向部と、
この横方向指向部に接続し、路面の存在を想定
する側と反対側に向かって前記架橋部が移動することができる縦方向指向部とを有し、
前記架橋部は、前記横方向指向部の開口から入って前記横方向指向部を移動した後、前記縦方向指向部を、前記路面の存在を想定する側と反対側に向かって移動することで、前記スリットに保持されることを特徴とするタイヤロック装置。
【請求項7】
駐停車している自動車の車輪を構成するタイヤのトレッド部に当たって前記車輪の進退を規制する輪止めにおいて、
前記車輪を構成するホイールに引っ掛かり、前記車輪の回転を規制するタイヤロックとともに、
前記車輪に装着されて前記自動車の進退を規制するタイヤロック装置を構成し、
前記タイヤロックは、前記車輪の幅方向の一方側、他方側それぞれの側から前記ホイールに引っ掛かる第1、第2アームと、この第1、第2アームの間を架け渡す架橋部とを有し、
前記輪止めは、この架橋部の少なくとも一部を受け入れて保持する受入部を有し、
この受入部に前記架橋部の少なくとも一部を受け入れて保持した状態で、前記第1、第2アームを前記ホイールに引っ掛け、かつ、前記輪止めを前記トレッド部に当てたり、前記トレッド部と向かい合わせたりすることを特徴とする輪止め。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主にタイヤロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、いわゆる「リレーアタック」や「CANインベーダー」によりドアロック解除およびエンジン始動を行う、という手口で自動車が盗難される事態が多発しており、対策が急がれている。
そこで、このような手口への対策として、例えば、窃盗犯への威嚇効果が高い警報装置や、エンジン始動に電子的なID認証を必要とするイモビライザーの後付けが考えられる。しかし、警報装置やイモビライザーの後付けは、高コストである。
【0003】
一方、上記のような手口に対し、エンジンが始動されても機械的に車輪の回転を規制することで、自動車の盗難を防止する装置として、次のようなタイヤロックが期待されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
ここで、タイヤロックとは、駐停車している自動車の車輪に装着されて車輪の回転を規制することにより盗難防止効果を得るものであり、以下の第1、第2アームおよび架橋部を備える。すなわち、第1、第2アームは、それぞれ、車輪の幅方向の一方側、他方側それぞれの側からホイールに引っ掛かるものであり、架橋部は、第1、第2アームの間を架け渡す。そして、このような構成により、タイヤロックは、第1、第2アームのホイールに対する引っ掛かりにより車輪の回転を規制する。
【0005】
しかし、近年、盗難の対象となる高級車の高出力化に伴い、タイヤロックを装着しておいても、自動車自身の高出力により車輪を回転駆動することで、第1、第2アームのホイールに対する引っ掛かりを強引に解除して自動車を運び去る事態が増加している。
そこで、このような強引なやり方に対しても盗難防止効果を高めることを可能にする構成が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3113409号公報
【特許文献2】特開2013-79028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、タイヤロックによる車輪の回転規制が自動車自身の高出力により強引に解除されるのを防止することで、タイヤロックによる盗難防止効果を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のタイヤロック装置は、駐停車している自動車の車輪に装着されて自動車の進退を規制するものであり、以下のタイヤロックおよび輪止めを備える。
まず、タイヤロックは、車輪を構成するホイールに引っ掛かり、車輪の回転を規制する。また、輪止めは、車輪を構成するタイヤのトレッド部に当たって車輪の進退を規制する。
【0009】
さらに、タイヤロックは、次のような第1、第2アーム、および、架橋部を有する。ここで、第1、第2アームは、車輪の幅方向の一方側、他方側それぞれの側からホイールに引っ掛かるものであり、架橋部は、第1、第2アームの間を架け渡す。
さらに、輪止めは、架橋部の少なくとも一部を受け入れて保持する受入部を有する。そして、受入部が架橋部の少なくとも一部を保持し、第1、第2アームがホイールに引っ掛かり、さらに、輪止めがトレッド部に当たったり、トレッド部と向かい合ったりする状態で使用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】タイヤロック装置の構成図である(実施例1)。
図2】タイヤロック装置の使用状態を示す説明図である(実施例1)。
図3】タイヤロックのホイールに対する引っ掛かりを示す説明図である(実施例1)。
図4】タイヤロックの分解斜視図である(実施例1)。
図5】輪止めの斜視図である(実施例1)。
図6】輪止めの斜視図である(実施例2)。
図7】輪止めの斜視図である(実施例3)。
図8】輪止めの斜視図である(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示を実施するための形態を以下の実施例により詳細に説明する。
【実施例0012】
〔実施例1の構成〕
実施例1のタイヤロック装置1を、図1図5を用いて説明する(以下の説明では、タイヤロック装置1を装置1と略して呼ぶことがある。)。
装置1は、駐停車している自動車の車輪3に装着されて自動車の進退を規制するものであり、以下のタイヤロック4および輪止め5を備える。
【0013】
まず、タイヤロック4は、車輪3を構成するホイール6に引っ掛かり、車輪3の回転を規制するものであり、次のような第1、第2アーム7、8、および、架橋部9を有する。
まず、第1、第2アーム7、8は、車輪3の幅方向の一方側、他方側それぞれの側からホイール6に引っ掛かるものである。また、架橋部9は、第1、第2アーム7、8の間を架け渡す部分であり、自身の伸縮により第1、第2アーム7、8の幅方向の距離を増減させる幅調節部として機能する。
【0014】
以下、第1、第2アーム7、8および架橋部9を、順次、説明する。
まず、第1、第2アーム7、8は、円弧状に設けられており、互いに略同一の形状である。また、第1、第2アーム7、8は、それぞれ、断面がコの字状の1つの金属体であり、円弧の外周側に向かって開かれるように、かつ、内周側が閉じられるように設けられている。
【0015】
以下、説明の便宜上、第1、第2アーム7、8において、断面のコの字の3つの壁の内、内周側を閉じている壁をそれぞれ内周壁部7a、8aと呼ぶことがあり、内外周にまたがる2つの壁をそれぞれ一方壁部7b、8b、他方壁部7c、8cと呼ぶことがある。
【0016】
第1アーム7は、以下の本体部7A、先端部7Bおよび根元部7Cを有する。
まず、本体部7Aは、円弧状に設けられ、中央よりも根元部7Cの側において、架橋部9の一部をなす筒状体11との間に相対回転構造を形成する。すなわち、本体部7Aの内、中央よりも根元部7Cの側において内周壁部7aに、筒状体11が交差して通る交差穴12が設けられている。また、交差穴12の近傍の一方、他方壁部7b、7cおよび筒状体11を貫通するようにピン13が組付けられ、ピン13は、第1アーム7と筒状体11との相対回転の回転軸部として機能する。なお、交差穴12は、第1アーム7と筒状体11との相対回転が可能となるように周方向に長く設けられている。
【0017】
また、先端部7Bは、本体部7Aの円弧の内周側に折れ曲がるように本体部7Aに連続している。
さらに、根元部7Cは、本体部7Aの円弧の外周側に折れ曲がるように本体部7Aに連続しており、本体部7Aの内周と同じ側に、後記する相互支持部7Dが取り付けられている。なお、相互支持部7Dは、断面がコの字状に設けられた金属体であり、本体部7Aの内周と同じ側に向かって開かれるように、根元部7Cに固着されている。
【0018】
第2アーム8も、第1アーム7と同様の本体部8A、先端部8Bおよび根元部8Cを有する。
まず、本体部8Aは、円弧状に設けられ、中央よりも根元部8Cの側において、架橋部9の一部をなす棒状体14との間に相対回転構造を形成する。すなわち、本体部8Aの内、中央よりも根元部8Cの側において内周壁部8aに、棒状体14が交差して通る交差穴15が設けられている。
【0019】
また、交差穴15の近傍の一方、他方壁部8b、8cおよび棒状体14を貫通するようにピン16が組付けられ、ピン16は、第2アーム8と棒状体14との相対回転の回転軸部として機能する。なお、交差穴15は、第2アーム8と棒状体14との相対回転が可能となるように周方向に長く設けられている。
【0020】
また、先端部8Bは、本体部8Aの円弧の内周側に折れ曲がるように本体部8Aに連続している。
さらに、根元部8Cは、本体部8Aの円弧の外周側に折れ曲がるように本体部8Aに連続しており、本体部8Aの内周と同じ側に、相互支持部7Dと同様の相互支持部8Dが取り付けられている。
【0021】
そして、第1、第2アーム7、8は、次のように相対回転構造を形成している。すなわち、第1、第2アーム7、8は、それぞれの本体部7A、8Aの内周側が互いに向かい合うように、また、それぞれの相互支持部7D、8Dの内、一方壁部7b、8b同士、他方壁部7c、8c同士が重なり合うように配置され、重なった一方壁部7b、8b同士、他方壁部7c、8c同士を貫通するようにピン17が組付けられ、ピン17は、第1、第2アーム7、8の相対回転の回転軸部として機能する。
【0022】
次に、架橋部9は、上記の幅調節部として機能するために、上記の筒状体11、棒状体14に加えて次のロック台19を有する。
まず、筒状体11は、次の筒部11aと回転基部11bとを有する。すなわち、筒部11aは、棒状体14の棒部14aが同軸状に嵌る部分であり、交差穴12を通っている。また、回転基部11bは、ピン13が貫通する孔を有し、第1アーム7の一方壁部7bと他方壁部7cとの間に収まっている。
【0023】
また、棒状体14は、次の棒部14aと回転基部14bとを有する。すなわち、棒部14aは、筒部11aに同軸状に嵌る部分であり、交差穴15を通っている。また、回転基部14bは、ピン16が貫通する孔を有し、第2アーム8の一方壁部8aと他方壁部8bとの間に収まっている。また、棒部14aには、ロック台19の係合爪(図示せず。)と係合する係合溝20が軸方向に並ぶように、複数、設けられている。
さらに、ロック台19は、筒部11aが通る貫通穴19aを有し、貫通穴19aには、差込みキー(図示せず。)の操作により、係合爪が出し入れされる。
【0024】
以上の構成により、タイヤロック4では、車輪3の幅に応じて、第1、第2アーム7、8間の幅方向の距離を次のように調節することができる。
すなわち、差込みキーの操作により貫通穴19aから係合爪を引き込めて係合爪と係合溝20との係合を解除しておき、この状態で、例えば、第1、第2アーム7、8それぞれの先端部7a、8aを掴んで先端部7a、8a同士の距離を広げたり、狭めたりすることで、第1、第2アーム7、8間の幅方向の距離を調節する。
【0025】
このとき、第1アーム7と筒状体11とはピン13の周囲に相対回転し、第2アーム8と棒状体14とはピン16の周囲に相対回転し、第1、第2アーム7、8はピン17の周囲に相対回転する。また、棒部14aが筒部11aに対して同軸的に出し入れされる。
そして、第1、第2アーム7、8間の幅方向の距離を所望の大きさに合わせたら、差込みキーの操作により、係合爪を貫通穴19aに突き出させて係合溝20に係合させ、第1、第2アーム7、8間の幅方向の距離を固定する。
【0026】
次に、輪止め5は、車輪3を構成するタイヤ21のトレッド部21tに当たって車輪3の進退を規制するものであり、例えば、次のような構成である。
すなわち、輪止め5は、例えば、下面5a、上面5b、正面5c、背面5dおよび2つの側面5e、5fからなる略六面体であり、樹脂を素材として設けられている。ここで、下面5aは、路面に接する矩形状の面であり、上面5bは、下面5aと平行であって下面5aの反対側に位置する矩形状の面であり、下面5aと同じ幅、下面5aよりも小さい長さである。
【0027】
また、正面5cは、曲率が小さい略部分円筒面であり、下面5aの長さ方向の一方側縁辺と上面5bの長さ方向の一方側縁辺との間で背面5dの方に向かって窪むように設けられている。そして、輪止め5は、正面5cがトレッド部21tに当たったり、向かい合ったりするように、使用される。
【0028】
また、背面5dは、矩形状の面であり、下面5aの長さ方向の他方側縁辺と上面5bの長さ方向の他方側縁辺との間に設けられている。さらに、2つの側面5e、5fの内、幅方向の一方側に位置する側面5eは、下面5a、上面5b、正面5cおよび背面5dそれぞれの幅方向の一方側縁辺により区画された略台形状の面である。同様に、幅方向の他方側に位置する側面5fは、下面5a、上面5b、正面5cおよび背面5dそれぞれの幅方向の他方側縁辺により区画された略台形状の面である。
【0029】
また、輪止め5は、架橋部9の一部を受け入れて保持する受入部23を有する。
そして、装置1は、受入部23が架橋部9を保持し、第1、第2アーム7、8がホイール6に引っ掛かり、さらに、輪止め5がトレッド部21tに当たったり、トレッド部21tと向かい合ったりする状態で使用される。
以下、受入部23について詳述する。
【0030】
受入部23は、次のような縦方向指向部23aおよび横方向指向部23bを有するスリットである(以下、受入部23をスリット23と呼ぶことがある。)。
まず、縦方向指向部23aは、輪止め5において路面の存在を想定する側、つまり、下面5aに開口し、かつ、路面の存在を想定する側と反対側に向かって、つまり、上面5bの方に向かって架橋部9が移動することができる部分である。より具体的には、縦方向指向部23aは、下面5aにおいて、幅方向と平行な線状の開口を形成しており、幅方向に平行な状態を保ちつつ上面5bの方に向かって、正面5cと略平行に、2つの側面5e、5fにも開口しつつ伸びている。
【0031】
また、横方向指向部23bは、縦方向指向部23aに接続し、タイヤ21の存在を想定する側、つまり、正面5cに向かって架橋部9が移動することができる部分である。より具体的には、横方向指向部23bは、縦方向指向部23aの開口とは反対側の端から、幅方向に平行な状態を保ちつつ正面5cの方に向かって、下面5a、上面5bと平行に、2つの側面5e、5fにも開口しつつ伸びている。
【0032】
そして、架橋部9は、縦方向指向部23aの開口から入って縦方向指向部23aを移動した後、横方向指向部23bを、正面5cの方に移動することで、スリット23に保持される。
なお、スリット23に保持される架橋部9の一部とは、例えば、筒状体11の筒部11aであり、縦方向指向部23a、横方向指向部23bの隙間は、両方とも筒部11aよりも僅かに広く設けられている。
【0033】
〔実施例1の装着方法〕
実施例1の装置1の装着方法を、図面に基づき説明する、
まず、タイヤロック4と輪止め5とを予め一体化して装置1を構成しておく。すなわち、スリット23に筒部11aを差し込んで縦方向指向部23a、横方向指向部23bの順に移動させ、筒部11aをスリット23に保持させる。このとき、正面5cが先端部7B、8Bの側に位置するように、かつ、背面5dが根元部7C、8Cの側に位置するようにして、スリット23に筒部11aを差し込んでいく。
【0034】
また、タイヤロック4では、差込みキーの操作により貫通穴19aから係合爪を引き込めて係合爪と係合溝20との係合を解除しておく。
この状態で、第1、第2アーム7、8それぞれの先端部7B、8Bを掴んで先端部7B、8B同士の距離を広げ、それぞれの先端部7B、8Bを、例えば、駐停車中の自動車の後側の車輪3の後方からホイール6に引っ掛ける。その後、差込みキーの操作により、係合爪を貫通穴19aに突き出させて係合溝20に係合させる。
【0035】
以上により、装置1は、後側の車輪3に装着された状態になる。
すなわち、スリット23が筒部11aを保持し、第1、第2アーム7、8が後側の車輪3のホイール6に引っ掛かり、さらに、輪止め5が後側の車輪3のトレッド部21tに当たった状態になる。
【0036】
〔実施例1の効果〕
実施例1の装置1は、駐停車している自動車の車輪3に装着されて自動車の進退を規制するものであり、以下のタイヤロック4および輪止め5を備える。
まず、タイヤロック4は、車輪3を構成するホイール6に引っ掛かり、車輪3の回転を規制する。また、輪止め5は、車輪3を構成するタイヤ21のトレッド部21tに当たって車輪3の進退を規制する。
【0037】
さらに、タイヤロック4は、次のような第1、第2アーム7、8、および、架橋部9を有する。ここで、第1、第2アーム7、8は、車輪3の幅方向の一方側、他方側それぞれの側からホイール6に引っ掛かるものであり、架橋部9は、第1、第2アーム7、8の間を架け渡す。
さらに、輪止め5は、架橋部9の少なくとも一部である筒部11aを受け入れて保持する受入部として、スリット23を有する。そして、スリット23が筒部11aを保持し、第1、第2アーム7、8がホイール6に引っ掛かり、さらに、輪止め5がトレッド部21tに当たったり、トレッド部21tと向かい合ったりする状態で使用される。
【0038】
これにより、車輪3に装置1を装着した状態で自動車を強引に進退させようとしても、車輪3と架橋部9との間に輪止め5が挟まるので、第1、第2アーム7、8のホイール6に対する引っ掛かりを解除することができなくなる。
このため、タイヤロック4による車輪3の回転規制が自動車自身の高出力により強引に解除されるのを防止することが可能になり、タイヤロック4による盗難防止効果を高めることができる。
また、受入部をスリット23にすることで、輪止め5に受入部を簡便に設けることができる。
【0039】
また、スリット23は、次の縦方向指向部23aおよび横方向指向部23bを有する。すなわち、縦方向指向部23aは、路面の存在を想定する側である下面5aに開口し、路面の存在を想定する側と反対側である上面5bに向かって筒部11aが移動することができる。また、横方向指向部23bは、縦方向指向部23aに接続し、タイヤ21の存在を想定する側である正面5cに向かって筒部11aが移動することができる。
【0040】
そして、筒部11aは、縦方向指向部23aの開口、つまり、下面5aの開口から入って縦方向指向部23aを移動した後、横方向指向部23bを、正面5cに向かって移動することで、スリット23に保持される。
これにより、筒部11aはスリット23から抜けにくくなるので、より一層、タイヤロック4による盗難防止効果を高めることができる。
【0041】
〔実施例2〕
実施例2の装置1によれば、スリット23は、横方向指向部23bを、複数、有する。
より具体的には、例えば、図6に示すように、実施例1と同様の横方向指向部23bが、2つ、縦方向指向部23aに接続している。
これにより、車輪3の大きさに応じて筒部11aを差し込む横方向指向部23bを選択することができるので、1つの装置1を準備しておくことで、例えば、小型車、大型車の両方に対し、タイヤロック4による盗難防止効果を高めることができる。
【0042】
〔実施例3〕
実施例3の装置1によれば、スリット23を構成する縦方向、横方向指向部23a、23bは、それぞれ、次のような態様である(図7参照。)。
まず、横方向指向部23bは、輪止め5においてタイヤ21の存在を想定する側と反対側、つまり、背面5dに開口する。そして、筒部11aは、横方向指向部23bにおいて、タイヤ21の存在を想定する側、つまり、正面5cに向かって移動することができる。
【0043】
また、縦方向指向部23aは、横方向指向部23bに接続し、筒部11aは、縦方向指向部23aにおいて、路面の存在を想定する側と反対側、つまり、上面5bに向かって移動することができる。
そして、筒部11aは、背面5dにおける横方向指向部23bの開口から入って横方向指向部23bを移動した後、縦方向指向部23aを、上面5bに向かって移動することで、スリット23に保持される。
【0044】
〔実施例4〕
実施例4の装置1によれば、輪止め5は、図8に示すように、上面5bから視たときに、2つの側面5e、5fの間で部分的に欠けて視える形態である。すなわち、実施例4の輪止め5は、幅方向一方側、他方側の部分5A、5Bおよび部分5A、5Bを接続する接続部5Cを有する。ここで、部分5Aは、筒部11aを収容するスリット23Aを有し、部分5Bは、棒部14aを収容するスリット23Bを有する。なお、スリット23A、23Bは、両方とも実施例1のスリット23と同様の縦方向指向部23aおよび横方向指向部23bを有する。
【0045】
また、部分5A、5B間の欠落部分は、スリット23A、23Bそれぞれに筒部11a、棒部14aを移動させていくときに、ロック台19が立体的に干渉しないように設けられている。このため、輪止め5は、ロック台19をまたぐようにしてタイヤロック4に一体化される。
【0046】
以上により、実施例4の装置1によれば、輪止め5は、筒状体11、棒状体14の両方で架橋部9を保持することができる。このため、車輪3に装置1を装着した状態で自動車を強引に進退させようとしたときに、輪止め5は、車輪3と架橋部9との間に、より強固に挟まる。このため、タイヤロック4による盗難防止効果を、より一層高めることができる。
【0047】
〔変形例〕
本願発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形例を考えることができる。
例えば、実施例1の装置1によれば、輪止め5は、架橋部9の内、筒部11aのみを保持していたが、輪止め5を2つ準備しておき、筒部11a、棒部14aそれぞれに個別に輪止め5に保持させてもよい。これにより、実施例4の輪止め5と同様の効果を得ることができる。
また、例えば、スリット23の内壁に突起を設けて筒部11a等が抜ける方に戻りにくくしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 装置(タイヤロック装置) 3 車輪 4 タイヤロック 5 輪止め 6 ホイール 7 第1アーム 8 第2アーム 9 架橋部 21 タイヤ 21t トレッド部 23 スリット(受入部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8