(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027384
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】受光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20240222BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01L31/10 A
H01L21/66 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130146
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 毅
【テーマコード(参考)】
4M106
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
4M106AA02
4M106CA04
4M106CA38
4M106DB04
5F149AA02
5F149AB07
5F149BA28
5F149CB14
5F149DA02
5F149FA05
5F149GA06
5F149HA03
5F149HA12
5F149LA01
5F149XB03
5F149XB18
5F149XB36
5F849AA02
5F849AB07
5F849BA28
5F849CB14
5F849DA02
5F849FA05
5F849GA06
5F849HA03
5F849HA12
5F849LA01
5F849XB03
5F849XB18
5F849XB36
(57)【要約】
【課題】受光素子の信頼性を高めることができる受光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】受光素子の製造方法は、第1主面と、前記第1主面の反対の第2主面とを有する基板を準備する工程と、前記第1主面の上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層の上に開口部を有する保護膜を形成する工程と、前記開口部により露出した前記半導体層の上に電極を形成する工程と、前記電極が形成された後に前記保護膜をエッチング液に接触させる工程と、前記エッチング液に接触させる工程の後に特性を検査する工程と、を有し、前記エッチング液は、前記保護膜よりも前記半導体層に対するエッチング速度が大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面の反対の第2主面とを有する基板を準備する工程と、
前記第1主面の上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上に開口部を有する保護膜を形成する工程と、
前記開口部により露出した前記半導体層の上に電極を形成する工程と、
前記電極が形成された後に前記保護膜をエッチング液に接触させる工程と、
前記エッチング液に接触させる工程の後に特性を検査する工程と、
を有し、
前記エッチング液は、前記保護膜よりも前記半導体層に対するエッチング速度が大きい、
受光素子の製造方法。
【請求項2】
前記エッチング液に接触させる工程は、前記基板を前記エッチング液に浸漬させることを含む、
請求項1に記載の受光素子の製造方法。
【請求項3】
前記エッチング液に接触させる工程は、前記保護膜の上に前記エッチング液を塗布することを含む、
請求項1に記載の受光素子の製造方法。
【請求項4】
前記特性を検査する工程は、外観を検査することを含む、
請求項1に記載の受光素子の製造方法。
【請求項5】
前記特性を検査する工程は、電気特性を検査することを含む、
請求項1に記載の受光素子の製造方法。
【請求項6】
前記エッチング液は、臭化水素酸である、
請求項1に記載の受光素子の製造方法。
【請求項7】
前記電極を形成する工程の後に、前記第2主面を研磨する工程を更に有し、
前記エッチング液に接触させる工程は、前記第2主面を研磨する工程の後に行われ、かつ前記第2主面を前記エッチング液に接触させることを含む、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の受光素子の製造方法。
【請求項8】
前記電極を形成する工程の後に、前記第2主面に反射防止膜を形成する工程を更に有し、
前記エッチング液に接触させる工程は、前記反射防止膜を形成する工程の後に行われる、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の受光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近赤外光を検出する受光素子として、近赤外光を吸収する受光層にIII-V属化合物半導体が用いられているフォトダイオードがあり、例えばメサを形成したメサ型フォトダイオードが開示されている。受光層は、例えば保護膜により覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受光素子の製造において保護膜にピンホール等の欠陥があると、受光素子の信頼性が低下する。
【0005】
本開示は、受光素子の信頼性を高めることができる受光素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の受光素子の製造方法は、第1主面と、前記第1主面の反対の第2主面とを有する基板を準備する工程と、前記第1主面の上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層の上に開口部を有する保護膜を形成する工程と、前記開口部により露出した前記半導体層の上に電極を形成する工程と、前記電極が形成された後に前記保護膜をエッチング液に接触させる工程と、前記エッチング液に接触させる工程の後に特性を検査する工程と、を有し、前記エッチング液は、前記保護膜よりも前記半導体層に対するエッチング速度が大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、受光素子の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る受光素子を示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その9)である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その10)である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その11)である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る2次元アレイ型の受光素子の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一又は対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る受光素子の製造方法は、第1主面と、前記第1主面の反対の第2主面とを有する基板を準備する工程と、前記第1主面の上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層の上に開口部を有する保護膜を形成する工程と、前記開口部により露出した前記半導体層の上に電極を形成する工程と、前記電極が形成された後に前記保護膜をエッチング液に接触させる工程と、前記エッチング液に接触させる工程の後に特性を検査する工程と、を有し、前記エッチング液は、前記保護膜よりも前記半導体層に対するエッチング速度が大きい。この場合、保護膜にピンホール等の欠陥があると、保護膜をエッチング液に接触させる工程において、エッチング液が欠陥を通って半導体層に到達するため半導体層がエッチングされる。半導体層がエッチングされると、受光素子の外観や電気特性が変化するため、特性を検査する工程において受光素子の異常を容易に検出できる。一方、保護膜に欠陥がない場合、保護膜をエッチング液に接触させる工程において、エッチング液が半導体層に到達しないため半導体層はエッチングされない。このため、特性を検査する工程において受光素子が正常であると判定できる。結果として、受光素子の信頼性を高めることができる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記エッチング液に接触させる工程は、前記基板を前記エッチング液に浸漬させることを含んでもよい。この場合、第1主面及び第2主面がエッチング液に接触するので、第2主面を研磨したときに生じうるキズ等を除去できる。
【0013】
〔3〕 〔1〕において、前記エッチング液に接触させる工程は、前記保護膜の上に前記エッチング液を塗布することを含んでもよい。この場合、第1主面の側のみに選択的にエッチング液を接触させることができる。このため、第2主面をエッチングしたくない場合に有効である。
【0014】
〔4〕 〔1〕から〔3〕のいずれかにおいて、前記特性を検査する工程は、外観を検査することを含んでもよい。この場合、受光素子の異常を外観により検出できる。
【0015】
〔5〕 〔1〕から〔4〕のいずれかにおいて、前記特性を検査する工程は、電気特性を検査することを含んでもよい。この場合、受光素子の異常を電気特性により検出できる。
【0016】
〔6〕 〔1〕から〔5〕のいずれかにおいて、前記エッチング液は、臭化水素酸であってもよい。この場合、保護膜に対して半導体層を選択的にエッチングしやすい。
【0017】
〔7〕 〔1〕から〔6〕のいずれかにおいて、前記電極を形成する工程の後に、前記第2主面を研磨する工程を更に有し、前記エッチング液に接触させる工程は、前記第2主面を研磨する工程の後に行われ、かつ前記第2主面を前記エッチング液に接触させることを含んでもよい。この場合、第2主面を研磨したときに生じうるキズ等を除去できる。
【0018】
〔8〕 〔1〕から〔6〕のいずれかにおいて、前記電極を形成する工程の後に、前記第2主面に反射防止膜を形成する工程を更に有し、前記エッチング液に接触させる工程は、前記反射防止膜を形成する工程の後に行われてもよい。この場合、第2主面が反射防止膜で覆われているので、第2主面がエッチング液に接触しない。このため、第2主面をエッチングしたくない場合に有効である。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0020】
(受光素子)
図1を参照し、実施形態に係る受光素子100について説明する。受光素子100は、近赤外光を検出する受光素子である。受光素子100は、いわゆる裏面入射型受光素子である。
図1に示されるように、受光素子100は、基板10を含む。
【0021】
基板10は、例えばInP基板である。基板10は、不純物元素として鉄(Fe)がドープされており半絶縁化されている。基板10の厚さは、約600μmである。基板10は、第1主面10aと、第1主面10aと反対の第2主面10bとを有する。第1主面10aの上には、n型コンタクト層21と、受光層22と、ワイドギャップ層23と、p型コンタクト層24とがこの順に設けられている。第2主面10bには、反射防止膜80が設けられている。反射防止膜80は、例えば膜厚が150nmのSiN膜により形成されている。
【0022】
n型コンタクト層21は、基板10の上に設けられている。n型コンタクト層21は、n-InPにより形成されており、n型となる不純物元素として珪素(Si)が約2×1018cm-3の濃度でドープされている。
【0023】
受光層22は、n型コンタクト層21の上に設けられている。受光層22は、不純物元素がドープされていないIn0.53Ga0.47Asにより形成されている。
【0024】
ワイドギャップ層23は、受光層22の上に設けられている。ワイドギャップ層23は、例えばn型ワイドギャップ層と、p型ワイドギャップ層とを含む。n型ワイドギャップ層は、n-InPにより形成されており、n型となる不純物元素としてSiが約2×1015cm-3の濃度でドープされている。p型ワイドギャップ層は、p-InPにより形成されており、p型となる不純物元素として亜鉛(Zn)が約2×1015cm-3の濃度でドープされている。n型ワイドギャップ層とp型ワイドギャップ層との界面には、pn接合が形成されている。
【0025】
p型コンタクト層24は、ワイドギャップ層23の上に設けられている。p型コンタクト層24は、p-InGaAsにより形成されており、p型となる不純物元素としてZnが約1×1019cm-3の濃度でドープされている。
【0026】
受光素子100には、画素分離するための第1溝71と、n型コンタクト層21を露出させるための第2溝72とが形成されている。
【0027】
第1溝71は、p型コンタクト層24及びワイドギャップ層23の一部を除去することにより形成されている。第1溝71の深さは、約0.7μmである。第1溝71は、底面においてワイドギャップ層23が露出する。第1溝71により分離されたメサ70により、各々の画素が形成される。メサ70におけるp型コンタクト層24の上には、p電極62が形成されている。p電極62は、例えば膜厚が約50nmのチタン(Ti)膜と、膜厚が約80nmの白金(Pt)膜との積層膜により形成されている。露出するp型コンタクト層24の上と、ワイドギャップ層23及びp型コンタクト層24の側面とには、保護膜50が設けられている。ワイドギャップ層23のpn接合の側面は、保護膜50と接触している。保護膜50は、例えば膜厚が約0.2μmのSiN膜により形成されている。
【0028】
第2溝72は、p型コンタクト層24、ワイドギャップ層23、受光層22及びn型コンタクト層21の一部を除去することにより形成されている。第2溝72は、外周に沿って形成されている。第2溝72の深さは、約6μmである。第2溝72は、底面においてn型コンタクト層21が露出する。露出するn型コンタクト層21の上には、n電極61が形成されている。n電極61は、例えば膜厚が約50nmのTi膜と、膜厚が約80nmのPt膜との積層膜により形成されている。
【0029】
第2溝72により分離された外周のメサ73におけるp型コンタクト層24の上には、配線電極63が設けられている。配線電極63は、例えば膜厚が50nmのTi膜と、膜厚が約80nmのPt膜との積層膜により形成されている。配線電極63は、配線64によりn電極61と電気的に接続されている。配線64は、例えば膜厚が約50nmのTi膜と、膜厚が約600nmのAu膜との積層膜により形成されている。露出するn型コンタクト層21の上と、n型コンタクト層21、受光層22、ワイドギャップ層23及びp型コンタクト層24の側面とには、保護膜50が設けられている。
【0030】
p電極62及び配線電極63の上には、Inバンプ65が設けられている。Inバンプ65は、例えば高さが約10μmである。p電極62及び配線電極63とInバンプ65との間には、例えば不図示の下地金属(under bump metal:UBM)が設けられていてもよい。下地金属は、例えば膜厚が50nmのTi膜と、膜厚が100nmのNi膜と、膜厚が30nmのAu膜との積層膜により形成されている。
【0031】
(受光素子の製造方法)
図2から
図13を参照し、実施形態に係る受光素子100の製造方法について説明する。
【0032】
まず、
図2に示されるように、基板10の第1主面10aに、エピタキシャル成長により、n型コンタクト層21、受光層22、ワイドギャップ層23及びp型コンタクト層24をこの順に形成する。
【0033】
基板10は、例えばInP基板である。基板10は、不純物元素としてFe(鉄)がドープされており半絶縁化されている。基板10の厚さは、約600μmである。
【0034】
n型コンタクト層21は、n-InPにより形成されており、n型となる不純物元素としてSiが約2×1018cm-3の濃度でドープされている。
【0035】
受光層22は、不純物元素がドープされていないIn0.53Ga0.47Asにより形成されている。
【0036】
ワイドギャップ層23は、例えばn型ワイドギャップ層と、p型ワイドギャップ層とを含む。n型ワイドギャップ層は、n-InPにより形成されており、n型となる不純物元素としてSiが約2×1015cm-3の濃度でドープされている。p型ワイドギャップ層は、p-InPにより形成されており、p型となる不純物元素としてZnが約2×1015cm-3の濃度でドープされている。n型ワイドギャップ層とp型ワイドギャップ層との界面には、pn接合が形成されている。
【0037】
p型コンタクト層24は、p-InGaAsにより形成されており、p型となる不純物元素としてZnが約1×1019cm-3の濃度でドープされている。
【0038】
次に、
図3に示されるように、画素分離のための第1溝71を形成する。具体的には、p型コンタクト層24の上に、プラズマCVD(chemical vapor deposition)により不図示のSiN膜を成膜する。この後、成膜されたSiN膜の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、不図示のレジストパターンを形成する。レジストパターンは、第1溝71が形成される領域に開口部を有する。レジストパターンの開口部におけるSiN膜を、バッファードフッ酸を用いたウェットエッチングにより除去することにより、SiN膜によりマスクを形成する。この後、不図示のレジストパターンを有機溶剤等により除去する。この後、SiN膜が除去された領域のp型コンタクト層24、ワイドギャップ層23の一部を反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)等のドライエッチングにより除去することにより、第1溝71を形成する。この後、不図示のSiN膜はバッファードフッ酸により除去する。
【0039】
第1溝71の深さは、約0.7μmである。第1溝71は、底面においてワイドギャップ層23が露出する。第1溝71により分離されたメサ70により、各々の画素が形成される。
【0040】
次に、
図4に示されるように、外周に沿ってn型コンタクト層21を露出させるための第2溝72を形成する。具体的には、p型コンタクト層24等の上に、プラズマCVDにより不図示のSiN膜を成膜する。この後、成膜されたSiN膜の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、不図示のレジストパターンを形成する。レジストパターンは、第2溝72が形成される領域に開口部を有する。レジストパターンの開口部におけるSiN膜を、バッファードフッ酸を用いたウェットエッチングにより除去することにより、SiN膜によりマスクを形成する。この後、不図示のレジストパターンを有機溶剤等により除去する。この後、SiN膜が除去された領域のワイドギャップ層23、受光層22、n型コンタクト層21の一部をRIE等のドライエッチングにより除去することにより、第2溝72を形成する。この後、不図示のSiN膜はバッファードフッ酸により除去する。
【0041】
第2溝72の深さは、約6μmである。第2溝72は、底面においてn型コンタクト層21が露出する。
【0042】
次に、
図5に示されるように、保護膜50を形成する。具体的には、全面に、プラズマCVDにより保護膜50を成膜する。この後、成膜された保護膜50の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、不図示のレジストパターンを形成する。レジストパターンは、n電極61、p電極62及び配線電極63が形成される領域に開口部を有する。レジストパターンの開口部における保護膜50をRIE等のドライエッチングにより除去することにより、p型コンタクト層24の表面及びn型コンタクト層21が露出した保護膜50を形成する。この後、不図示のレジストパターンを有機溶剤等により除去する。保護膜50は、例えば膜厚が約0.2μmのSiN膜により形成されている。
【0043】
次に、
図6に示されるように、n型コンタクト層21の上にn電極61を形成し、メサ70におけるp型コンタクト層24の上にp電極62を形成し、外周のメサ73におけるp型コンタクト層24の上に配線電極63を形成する。n電極61、p電極62及び配線電極63は、リフトオフ法により形成する。具体的には、各々の電極が形成される領域に開口部を有するレジストパターンを形成し、電子ビーム(electron beam:EB)蒸着により金属膜を成膜した後、有機溶剤等に浸漬させることにより、レジストパターンと共にレジストパターンの上の金属膜を除去することにより形成する。n電極61、p電極62及び配線電極63は、例えば膜厚が約50nmのTi膜と、膜厚が約80nmのPt膜との積層膜により形成されている。
【0044】
次に、
図7に示されるように、n電極61と配線電極63とを電気的に接続する配線64をリフトオフ法により形成する。配線64は、例えば膜厚が約50nmのTi膜と、膜厚が約600nmのAu膜との積層膜により形成されている。
【0045】
次に、
図8に示されるように、化学機械研磨(chemical mechanical polishing:CMP)により、基板10の第2主面10bを研磨する。研磨後の基板10の厚さは、約550μmである。
【0046】
次に、
図9に示されるように、保護膜50をエッチング液90に接触させる。エッチング液90は、保護膜50よりもn型コンタクト層21、受光層22、ワイドギャップ層23及びp型コンタクト層24に対するエッチング速度が大きい薬液である。エッチング液90は、例えば臭化水素酸であってよい。この場合、保護膜50に対してn型コンタクト層21、受光層22、ワイドギャップ層23及びp型コンタクト層24を選択的にエッチングしやすい。エッチング液90は、例えば塩酸、硫酸過水であってもよい。
【0047】
図9に示されるように、保護膜50にピンホール50hがない場合、保護膜50に覆われているn型コンタクト層21、受光層22、ワイドギャップ層23及びp型コンタクト層24は、エッチング液90と接触しないためエッチングされない。一方、
図10に示されるように、ワイドギャップ層23を覆う保護膜50にピンホール50hがある場合、エッチング液90がピンホール50hを通ってワイドギャップ層23と接触するため、ワイドギャップ層23をエッチングする。このため、ピンホール50hの直下に位置するワイドギャップ層23に穴23hが生じる。ワイドギャップ層23のエッチングは等方的に進行するため、第1主面10aに垂直な方向から平面視したときに、ワイドギャップ層23にはピンホール50hよりも直径が大きい穴23hが生じる。n型コンタクト層21、受光層22及びp型コンタクト層24を覆う保護膜50にピンホール50hがある場合においても同様である。
【0048】
保護膜50をエッチング液90に接触させる際、例えば第2主面10bをエッチング液90に接触させてもよい。この場合、第2主面10bを研磨したときに生じうるキズ等を除去できる。例えば、エッチング液90で満たされた容器内に基板10を浸漬させることにより、第1主面10a及び第2主面10bがエッチング液90に接触する。この場合、第2主面10bを研磨したときに生じうるキズ等を除去できる。容器内に基板10を浸漬させる際には、例えばフッ素樹脂製の基板カセットに複数枚の基板10を収納し、基板カセットをエッチング液90で満たされた容器内に浸漬させてもよい。この場合、複数枚の基板10を同時に処理できるので生産性が向上する。
【0049】
保護膜50をエッチング液90に接触させる際、例えば保護膜50の上にエッチング液90を塗布してもよい。この場合、第1主面10aの側のみに選択的にエッチング液90を接触させることができる。このため、第2主面10bをエッチングしたくない場合に有効である。
【0050】
次に、
図11に示されるように、基板10の第2主面10bに反射防止膜80を形成する。具体的には、第2主面10bの全面に、プラズマCVDにより、反射防止膜80を成膜する。反射防止膜80は、例えば膜厚が150nmのSiN膜により形成されている。
【0051】
次に、
図12に示されるように、p電極62及び配線電極63の上に、高さが約10μmのInバンプ65をリフトオフ法により形成する。なお、p電極62及び配線電極63の上に不図示の下地金属を形成した後、下地金属の上にInバンプ65を形成してもよい。下地金属は、例えば膜厚が50nmのTi膜と、膜厚が100nmのNi膜と、膜厚が30nmのAu膜との積層膜により形成されている。
【0052】
次に、ダイシングにより、基板10を複数のチップに分割する。以上により、
図13に示されるように、第1溝71により分離された画素が2次元に配列された2次元アレイ型の受光素子100が形成される。
【0053】
次に、受光素子100の特性の検査を行う。具体的には、カメラ等を含む外観検査装置により、受光素子100の外観を検査する。この場合、受光素子100の異常を外観により検出できる。前述したように、ワイドギャップ層23を覆う保護膜50にピンホール50hがある場合、保護膜50をエッチング液90に接触させると、ワイドギャップ層23にピンホール50hよりも直径が大きい穴23hが生じる。このため、受光素子100の外観を検査することにより、製品不良を容易に検出できる。これに対し、保護膜50をエッチング液90に接触させない場合には、小さいピンホール50hを外観の検査によって検出することが困難である。n型コンタクト層21、受光層22及びp型コンタクト層24を覆う保護膜50にピンホール50hがある場合においても同様である。
【0054】
また、電流電圧源等を含む電気特性検査装置により、暗電流等の受光素子100の電気特性を検査する。この場合、受光素子100の異常を電気特性により検出できる。前述したように、n型コンタクト層21、受光層22、ワイドギャップ層23、p型コンタクト層24に穴が生じると、所望の電気特性が得られない。例えば、暗電流が大きくなる。このため、受光素子100の電気特性を検査することにより、製品不良を容易に検出できる。これに対し、保護膜50をエッチング液90に接触させない場合には、ピンホール50hが小さいと初期の電気特性に異常が見られないことがあり、電気特性の検査によって製品不良を検出することが困難である。
【0055】
以上に説明したように、実施形態に係る受光素子100の製造方法によれば、保護膜50をエッチング液90に接触させた後に受光素子100の特性を検査する。この場合、保護膜50にピンホール50hがある場合、エッチング液90がピンホール50hを通ってn型コンタクト層21、受光層22、ワイドギャップ層23及びp型コンタクト層24等の半導体層と接触するため、半導体層をエッチングする。半導体層がエッチングされると、受光素子100の外観や電気特性が変化するため、特性を検査する工程において受光素子100の異常を容易に検出できる。特に、長期信頼性が劣る受光素子100を取り除くことができるので、フィールドでの不具合を未然に防止できる。このため、受光素子100の信頼性を高めることができる。一方、保護膜50にピンホール50hがない場合、保護膜50に覆われている半導体層はエッチング液90と接触しないためエッチングされない。このため、特性を検査する工程において受光素子100が正常であると判定できる。
【0056】
上記の実施形態では、第2主面10bを研磨した後かつ第2主面10bに反射防止膜80を形成する前に、保護膜50をエッチング液90に接触させる場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば第2主面10bに反射防止膜80を形成した後に、保護膜50をエッチング液90に接触させてもよい。この場合、第2主面10bが反射防止膜80で覆われているので、第2主面10bがエッチング液90に接触しない。このため、第2主面10bをエッチングしたくない場合に有効である。
【0057】
上記の実施形態では、受光素子100が2次元アレイ型である場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、受光素子100は第1溝71により分離された画素が1次元に配列されたものであってもよい。
【0058】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 基板
10a 第1主面
10b 第2主面
21 n型コンタクト層
22 受光層
23 ワイドギャップ層
23h 穴
24 p型コンタクト層
50 保護膜
50h ピンホール
61 n電極
62 p電極
63 配線電極
64 配線
65 Inバンプ
70 メサ
71 第1溝
72 第2溝
73 メサ
80 反射防止膜
90 エッチング液
100 受光素子