(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027405
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ゲームサーバおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240222BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240222BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20240222BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q50/10
G06Q30/02 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130175
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】516359115
【氏名又は名称】株式会社SPACEWA
(71)【出願人】
【識別番号】522328161
【氏名又は名称】エムワイケー インク
【氏名又は名称原語表記】MYK Inc.
【住所又は居所原語表記】B1 9-27ho 9, Dunnya-ro 33beon-gil, Uijeongbu-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】金田 勲
(72)【発明者】
【氏名】辻 貴大
(72)【発明者】
【氏名】與崎 風人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
5L049CC18
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】都市部から地方へ人が移動しなくても地方活性化を実現すること。
【解決手段】ゲームサーバは、地方都市の不動産の住所を所在地として設立された会社に設置され、不動産を領土とする仮想空間が構築され、会費を支払って前記会社のネットワークサービスを利用するユーザが参加して仮想空間に設置されたメイン建物を奪い合う対戦ゲームを実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地方都市の不動産の住所を所在地として設立された会社に設置され、
前記不動産を領土とする仮想空間が構築され、
会費を支払って前記会社が提供するネットワークゲームサービスの会員になったユーザが参加して前記仮想空間に設置されたメイン建物を奪い合う対戦ゲームを実行する、
ゲームサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のゲームサーバにおいて、
前記メイン建物のNFTを発行し、
前記対戦ゲームにおいて、前記メイン建物を所有する統治者ユーザに挑戦した挑戦者ユーザが勝利した場合、前記メイン建物のNFTを前記統治者ユーザから前記挑戦者ユーザへ移動させる、
ゲームサーバ。
【請求項3】
請求項2に記載のゲームサーバにおいて、
前記メイン建物のNFTの所有者が前記統治者ユーザから前記挑戦者ユーザに変更されたことを示す所有者変更情報をブロックチェーンに登録する、
ゲームサーバ。
【請求項4】
請求項2に記載のゲームサーバにおいて、
前記仮想空間に、前記メイン建物および前記仮想空間で使用できるアイテムを取引する取引所が設置される、
ゲームサーバ。
【請求項5】
請求項1に記載のゲームサーバにおいて、
1の地方都市の会社が提供するネットワークゲームサービスの会員である前記ユーザが、他の地方都市においてネットワークゲームサービスを提供する会社が商取引管理サーバにおいて運営する商品販売サイトで商品を購入した場合、
前記1の地方都市のゲームサーバは、前記商取引管理サーバから送信される前記商品の購入履歴に基づき、当該ユーザの前記対戦ゲームの戦力データを更新する、
ゲームサーバ。
【請求項6】
請求項5に記載のゲームサーバにおいて、
前記1の地方都市のゲームサーバは、前記購入履歴に含まれる購入した前記商品に応じて、前記戦力データのうち更新対象の項目を選択し、前記購入履歴に含まれる購入した前記商品の購入数量に応じて、前記更新対象の項目の増加量を決定する、
ゲームサーバ。
【請求項7】
地方都市の不動産の住所を所在地として設立された会社に設置されたゲームサーバで実行されるプログラムであって、
前記不動産を領土とする仮想空間を構築するステップと、
前記仮想空間にメイン建物を設置するステップと、
会費を支払って前記会社が提供するネットワークゲームサービスの会員になったユーザが参加して前記仮想空間に設置されたメイン建物を奪い合う対戦ゲームを実行するステップとを、
前記ゲームサーバのプロセッサに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームサーバおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
都市部と地方との間の格差是正を図るための地方創生政策および地方活性化活動は、公共事業等によるインフラ整備や交付金の支給等に偏っている。このため、実際に地方に行きたい、地方に住みたい、あるいは地方で働きたい等、地方での生活に関心を持った人に対しする支援は不十分である。
一方、地域通貨の発行により地方活性化を図ろうとする動きもある。例えば、特許文献1には、年金と連携した地域通貨の発行利用システムが開示されている。具体的には、「国若しくは権限のある機関が都道府県または市町村などの地方自治体に対し、当該地方自治体に居住している年金受給者に支払うべき年金の一部又は全部を、当該地域でのみ有効な地域通貨に代えて支払うことを委託する。委託を受けた地方自治体は当該地方自治体のサーバコンピュータを介して、各年金受給者ごとに地域通貨を発行する。各受給者は地域通貨をICカードまたはスマートホンで受け取る」旨、特許文献1に記載されている。
また、特許文献2には、寄付者が提供する寄付金に対する返礼品として、寄付先の自治体で使用可能な地域通貨を発行し、地域通貨を受け取った寄付者が寄付先の自治体へ訪問することで、寄付先の自治体の活性化を図ることができる地域活性化システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-195224号公報
【特許文献2】特開2020-181579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、対象の地方自治体に居住する年金受給者にしか地域通貨が支給されない。このため、地域通貨の支給対象者が高齢者に偏り、さらに地域通貨の発行量が年金支給額で制限されてしまうため、このようなシステムによる地方活性化の実現は困難である。
【0005】
特許文献2のシステムでは、寄付金に対する返礼品として寄付者に地域通貨が発行されるため、対象の地方自治体に居住していない人でも、その地域の地域通貨を取得することができる。しかしながら、取得した地域通貨を使用するためには、対象の地方自治体まで出向く必要がある。このため、地域通貨を有効に使用することができず、このようなシステムによる地域活性化の実現は困難である。
【0006】
そこで、本発明は、都市部から地方へ人が移動しなくても地方活性化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の代表的な実施の形態によるゲームサーバは、地方都市の不動産の住所を所在地として設立された会社に設置され、不動産を領土とする仮想空間が構築され、会費を支払って会社のネットワークゲームサービスを利用するユーザが参加して仮想空間に設置されたメイン建物を奪い合う対戦ゲームを実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、都市部から地方へ人が移動しなくても地方活性化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本発明の実施の形態1に係るゲームシステムの構成を例示する図である。
【
図5】対戦ゲームの概要を例示するフローチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態2に係るゲームシステムの構成を例示する図である。
【
図7】本発明の実施の形態3に係る商取引の概要を例示する図である。
【
図8】商取引の概要を例示するフローチャートである。
【
図9】変形例に係る商取引の概要を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は適宜省略する。
【0011】
<地域活性化事業の概要>
図1は、地方活性化事業の概要を示す図である。
図1には、地方都市で事業を行う事業者BUS、事業者BUSが設立した会社が提供するネットワークゲームサービスを利用するユーザUSR、その地方都市を管轄する自治体GOVが示されている。
【0012】
地方活性化に関わる事業の実施に先立ち、事業者BUSは、地方都市の不動産を購入または賃貸して確保する。ここで確保される不動産は、例えば、古民家、空き地、空き家、テナント数が減少した商店街の空き店舗、別荘地、農地以外のものに転用可能な農地や耕作放棄地、いわゆる限界集落と呼ばれるような過疎化や高齢化が進んだ地域の不動産、資産価値が低い不動産等である。また、ここで確保される不動産は、これら以外にも、例えば、廃業または放置された遊戯施設(例えば遊園地やテーマパーク等)、廃校になった学校施設、廃工場等でもよい。なお、不動産の所有者が自治体GOVである場合、事業者BUSは、自治体GOVから不動産の使用権を取得するか、自治体GOVか不動産の賃貸契約を行うことで、不動産を確保する。
【0013】
事業者BUSは、取得した不動産の住所を所在地とする法人登記等の各種手続を行い、その地方都市に会社COMを設立する。会社COMには、ゲームサーバ10が設置される。そして、事業者BUSは、地方活性化に関わる事業として、ゲームサーバ10を中心とした、複数のユーザUSRが参加するゲームシステムSYSの構築および運営を行う。
【0014】
ゲームシステムSYSの構築や後述するサイバー開発等を行う開発事業者が会社COMを運営する事業者BUSとは異なる場合、開発事業者は、事業者BUSと同じ住所で法人登記し、この地方都市に開発会社を設立する。この場合、開発事業者は、事業者COM等から不動産を賃貸することとなる。これにより、開発事業者もこの地方都市に納税することとなり、地方活性化に関わる事業で得た収益がこの地方都市に還元される。
【0015】
ゲームシステムSYSのユーザUSRは、後述する対戦ゲームや取引所等におけるNFTの取引実績に基づき、自身を個人事業主として登録してもよい。
【0016】
事業者BUSは、確保した不動産の形態に合わせて、ゲームシステムSYSの仮想空間内における不動産開発(以下「サイバー開発」とも呼ぶ)を行う。これらのサイバー開発は、事業者BUSが確保した不動産が仮想空間上の領土であるという設定の下で行われる。
【0017】
例えば、事業者BUSは、サイバー開発により、仮想空間にメイン建物を設置する。このメイン建物は、例えばお城、要塞、遊戯施設等のような、確保した不動産(すなわち仮想空間上の領土)のシンボルとなるような建物とする。また、事業者BUSは、サイバー開発により、仮想空間内にメイン建物に関連する施設、個人店やショッピングモール等の商業施設等の各種施設を設置する。これらの施設は、仮想空間におけるメイン建物の敷地内に設置されてもよいし、メイン建物の敷地外に設置されてもよい。
【0018】
これらのサイバー開発は、事業者BUSが確保した不動産が仮想空間上の領土であるという設定の下で行われる。したがって、仮想空間内に設置されたメイン建物や各種施設は、事業者BUSが確保した不動産の上に建設されたものとみなされる。
【0019】
メイン建物の敷地内またはメイン建物の敷地外において、例えば、農業や工業等の経済活動を行うことができる。また、ユーザUSRは、メイン建物の敷地内またはメイン建物の敷地外において、対戦ゲームで戦う兵士の徴兵や自軍の訓練等を行うことができる。経済活動を行うための道具や機械等の設備、食糧、兵器等の各種アイテムは、取引所、個人商店やショッピングモールといった商業施設等で購入することができる。ユーザUSRは、購入したアイテムを用いて自軍を強化することができる。
【0020】
また、事業者BUSは、メイン建物や各種施設を含む仮想空間のAR(Augmented Reality;拡張現実)コンテンツやVR(Virtual Reality;仮想現実)コンテンツを製作する。これらのコンテンツは、仮想空間が領土となっている地方都市の不動産を訪問したユーザUSRが楽しめるようになっている。
【0021】
また、事業者BUSは、メイン建物や施設のNFT(Non-Fungible Token;非代替性トークン)を発行する。このNFTは、例えば識別番号、画像、発行者、証明書等、対応する建物や施設を識別する情報を含む。なお、NFTは、これらのうちの一部の情報のみを含むようにしてもよい。
【0022】
ゲームシステムSYSは、例えば、複数のユーザUSRが仮想空間内のメイン建物を奪い合う対戦ゲーム等の各種ゲームを運営する。対戦ゲームの挑戦者(以下では「挑戦者ユーザ」とも呼ぶ)は、対戦ゲームに勝利すると、奪い合いの対象となったメイン建物のNFTを獲得し、メイン建物を所有することができる。
【0023】
事業者BUSは、対戦ゲームに参加するためのゲームシステムSYS等のサービスの会費をユーザUSRから徴収することで会社COMの事業収入を得る。また、事業者BUSは、商業施設のテナントとして入居したユーザUSRから、家賃や取引手数料を徴収することで会社COMの事業収入を得る。
【0024】
また、事業者BUSは、NFTを取引する取引所を設置してもよい。取引所では、例えば、事業者BUSやユーザUSRが出品したNFTの取引が行われる。事業者BUSは、自ら出品したNFTの取引が成立した場合には、NFTの取引金額を会社COMの事業収入として得る。また、事業者BUSは、ユーザUSRが出品したNFTの取引が成立した場合には、所定の取引手数料を会社COMの事業収入として得る。
【0025】
そして、事業者BUSは、会社COMの事業所得に対する税金を自治体GOVに納付する。このように、事業者BUSが地方都市に会社COMを設立し、会社COMが地方都市の自治体GOVに税金を納付することで、自治体GOVの税収が増加するようになる。そして、自治体GOVは、増えた税収を、公共事業や民間事業の支援等に投資することで、管轄する地方都市を持続的に発展させることができる。
【0026】
<ゲームシステムの構成>
次に、ゲームシステムSYSの構成について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係るゲームシステムの構成を例示する図である。ゲームシステムSYSは、
図2に示すように、ゲームサーバ10、複数のユーザ端末30、ネットワーク90を備えている。ゲームサーバ10およびユーザ端末30は、ネットワーク90を介して互いに接続され、各種情報の送受信を行う。
【0027】
ゲームサーバ10には、仮想空間SPAが構築され、仮想空間SPA内には、メイン建物BLD、各種の施設FAC、NFT等の取引が行われる取引所MARが設置される。
【0028】
ネットワーク90は、代表的にはインターネット等のWAN(Wide Area Network)であるが、LAN(Local Area Network)等でもよい。なお、ユーザ端末30は、携帯電話サービスやデータ通信サービスを提供する通信会社の回線を介してネットワーク90と接続されてもよい。
【0029】
<<ゲームサーバ>>
ゲームサーバ10は、例えば、ユーザ管理、ゲームアプリケーションの配信、対戦ゲームの進行等、ゲームシステムSYSに関わる主要な処理を行う装置である。ゲームサーバ10は、例えばパソコン等の情報処理端末で構成される。
図3は、ゲームサーバの構成を例示する図である。
図3に示すように、ゲームサーバ10は、プロセッサ11、メインメモリ13、ストレージ15、通信インタフェース17を備えている。なお、ゲームサーバ10は、必要に応じてモニタ19を備えてもよい。
【0030】
通信インタフェース17は、ネットワーク90を介してユーザ端末30との間で各種情報の送受信を行う通信装置である。
【0031】
ストレージ15は、例えば、プログラム記憶領域15a、アカウント情報記憶領域15b、ゲームアプリケーション記憶領域15c、管理情報記憶領域15d等の各記憶領域を備えている。プログラム記憶領域15aは、ゲームサーバ10を動作させるOS(Operating System)等の基本プログラム、プロセッサ11にゲームシステムSYSの機能ブロックを実現させるゲームシステム用プログラム等の各種プログラムを記憶する。また、プログラム記憶領域15aは、プログラムごとのパラメータも記憶する。このように、ストレージ15は、プログラムの記録媒体としての機能を有する。
【0032】
アカウント情報記憶領域15bは、ゲームシステムSYSに登録されたユーザUSRのアカウント情報を記憶する。ユーザUSRのアカウント情報は、例えば、ユーザUSRのログインID、ユーザのログインパスワード、ユーザの名称(例えば、氏名、名称、ニックネーム等)、ユーザのログイン履歴、ユーザの連絡先(例えばメールアドレス、電話番号)、ユーザUSRが使用するユーザ端末30を識別する端末情報等の各種情報をユーザ基本情報として含む。また、アカウント情報ユーザUSRのアカウント情報は、例えば、対戦ゲームの実行時に使用されるユーザUSRの攻撃力、防御力、所有する武器、兵士数、軍糧、その他情報からなるユーザUSRの戦力データを含む。なお、アカウント情報記憶領域15bに記憶されるアカウント情報は、これらのうちの一部のみでも構わない。
【0033】
ゲームアプリケーション記憶領域15cは、ゲームシステムSYSを利用するための配信用のゲームアプリケーションを記憶する。ゲームアプリケーションは、ユーザUSRからのリクエストを受けて、リクエストしたユーザUSRのユーザ端末30へ配信される。また、ゲームアプリケーション記憶領域15cは、ゲームアプリケーションの更新プログラムを記憶してもよい。更新プログラムは、ゲームサーバ10からのリクエスト、またはユーザUSRからのリクエストを受けてユーザ端末30へ配信される。
【0034】
なお、配信用のゲームアプリケーションは、プログラム記憶領域15aに記憶されても構わない。この場合、プログラム記憶領域15aがアプリケーション記憶領域15cの機能も兼ねることとなる。
【0035】
管理情報記憶領域15dは、ゲームシステムSYSの管理情報を記憶する。管理情報には、例えば、建物や施設のリスト、建物や施設のそれぞれの位置情報、NFTの発行履歴、対戦ゲームの対戦結果、取引所MARにおける各種アイテムの取引履歴等の各種情報が含まれる。
【0036】
メインメモリ13は、プログラム記憶領域15aから読み出されたプログラムやパラメータ、プロセッサ11による演算結果等の各種データを一時的に保持する。また、メインメモリ13は、通信インタフェース17を介して受信した各種情報や、通信インタフェース17を介して送信する情報等も一時的に保持する。
【0037】
プロセッサ11は、メインメモリ13に保持されたプログラムを読み出し実行することで、ゲームサーバ10の各構成要素を駆動させる機能ブロック、ゲームシステムSYSを実現する機能ブロック等をソフトウェアで構成する。なお、一部の機能は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとを組み合わせて構成されてもよい。
【0038】
<<ユーザ端末>>
次に、ユーザ端末30について説明する。ユーザ端末30は、ユーザUSRがゲームシステムSYSを利用するための端末である。ユーザ端末30は、例えばスマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ等のウェアラブル端末、タブレット端末、パソコン等の通信機能を備えた情報処理端末である。
【0039】
図4は、ユーザ端末の構成を例示する図である。なお、
図4には、スマートフォンを例にしたユーザ端末30の構成が示されている。
図4に示すように、ユーザ端末30は、プロセッサ31、メインメモリ33、ストレージ35、通信インタフェース37、方位検出ユニット36、位置検出ユニット38、表示部39を備えている。通信インタフェース37は、アプリケーション配信装置10やグループ内の他のユーザ端末30を含む外部装置との間で各種情報の送受信を行う通信装置である。
【0040】
ストレージ35は、プログラム記憶領域35a、アプリケーション記憶領域35b、管理情報記憶領域35c、ウォレット35d等の各記憶領域を備えている。プログラム記憶領域35aは、ユーザ端末30を動作させるOS(Operating System)等の基本プログラム、プロセッサ31にゲームシステムSYSの機能ブロックを実現させるゲームアプリケーション等の各種プログラムを記憶する。このように、ストレージ35は、プログラムの記録媒体としての機能を有する。
【0041】
アプリケーション記憶領域35bは、ゲームサーバ10からダウンロードしたゲームアプリケーション、ゲームアプリケーションの更新プログラムを記憶する。ゲームアプリケーションおよび更新プログラムは、必要に応じてプログラム記憶領域35aにインストールされる。
【0042】
管理情報記憶領域35cは、ゲームシステムSYSにおけるユーザUSRの管理情報を記憶する。管理情報には、例えば、ユーザUSRのログイン履歴、ゲームの対戦履歴、取引所におけるNFTの取引履歴、所有アイテム情報等の各種情報が含まれる。
ウォレット35dは、ユーザUSRが所有するNFT記憶する。また、ウォレット35dは、取引所での支払い等に用いられる暗号資産等の金融資産に関する情報等を記憶する。
【0043】
メインメモリ33は、プログラム記憶領域35aから読み出したプログラムやパラメータ等を保持する。また、メインメモリ33は、通信インタフェース37を介して受信した情報や、通信インタフェース37を介して送信する情報等も一時的に保持する。
【0044】
プロセッサ31は、メインメモリ33に保持されたプログラムを読み出し実行することで、ユーザ端末30の各構成要素を駆動させる機能ブロック、ゲームシステムSYSを実現する機能ブロック等をソフトウェアで構成する。なお、一部の機能は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとを組み合わせて構成されてもよい。
【0045】
方位検出ユニット36は、ユーザ端末30の方位を検出する装置である。方位検出ユニット36は、例えばジャイロセンサを備え、ジャイロセンサが検出した角速度に基づきユーザ端末30の方位を検出する。
【0046】
位置検出ユニット38は、ユーザ端末30の位置情報を取得する装置である。位置検出ユニット38は、例えば、GPS(Global Positioning System)ユニットを備え、地球上でのユーザ端末30の位置情報を取得するように構成されてもよい。また、位置検出ユニット38は、携帯電話会社の1または複数の基地局の位置情報を利用してユーザ端末30の位置情報を取得するように構成されてもよい。
【0047】
表示部39は、ユーザ端末30における静止画や動画等の観賞用画像や、操作用のユーザインタフェース等の各種画像を表示する。ユーザインタフェースには、例えば、ユーザ端末30の基本操作に関わる画像、ゲームシステムSYSの操作画像(例えばログイン画像、対戦ゲーム画像、取引所画像等)等が含まれる。なお、表示部39は、タッチ入力機能を備えてもよい。この場合、ユーザは、表示された画像を見ながら表示部39をタッチすることで所望の入力操作を行うことができる。なお、入力装置は、表示部39と別体で設けられてもよい。
【0048】
<対戦ゲームの概要>
次に、対戦ゲームの概要について説明する。
図5は、対戦ゲームの概要を例示するフローチャートである。ステップS10では、メイン建物BLDを奪おうとするユーザUSR(以下「挑戦者ユーザ」とも呼ぶ)がメイン建物BLDへ侵攻する。これを契機として、挑戦者ユーザと、メイン建物BLD(メイン建物BLDのNFT)を所有するユーザUSR(以下「統治者ユーザ」とも呼ぶ)との間で、メイン建物BLDを奪い合う対戦ゲームが実施される。対戦ゲームに関わる主要な処理は、ゲームサーバ10において実行される。
【0049】
挑戦者ユーザは、ゲームシステムSYSにログインしている自身のユーザ端末30を操作し、自軍を仮想空間内のメイン建物BLDへ侵攻させる。ゲームサーバ10は、統治者ユーザに対し、メイン建物BLDが侵攻されたことを通知する。なお、以下では、統治者ユーザへメイン建物BLDが侵攻されたことを通知することを「侵攻通知」とも呼ぶ。
【0050】
統治者ユーザへ侵攻通知を行う方法として、例えば、ゲームシステムSYSにおいて、ゲームサーバ10から統治者ユーザのユーザ端末30へ侵攻通知を送信してもよいし、ゲームサーバ10が、統治者ユーザが登録したアカウント情報に含まれるメールアドレスに侵攻通知を行ってもよい。なお、統治者ユーザのユーザ端末30への侵攻通知、および統治者ユーザのメールアドレスへの侵攻通知の両方が用いられてもよい。
【0051】
ステップS20では、対戦ゲームが実行される。ゲームサーバ10は、挑戦者ユーザの戦力データおよび統治者ユーザの戦力データをストレージ15からメインメモリ13へ読み出し、プロセッサ11は、挑戦者ユーザの戦力データおよび統治者ユーザの戦力データに基づき対戦ゲームを実行する。
【0052】
対戦ゲームの内容は、特に限定されない。また、対戦方法については、例えば、挑戦者ユーザと統治者ユーザとが交互に自軍の戦略等を選択しながら対戦が行われるターン制が採用されてもよいし、挑戦者ユーザおよび統治者ユーザが、同時に、自軍の戦略等の選択や自軍の兵士の操作等を行うリアルタイム制が採用されてもよい。また、対戦中は挑戦者ユーザおよび統治者ユーザが操作することなく、挑戦者ユーザの戦力データおよび統治者ユーザの戦力データに基づいて自動的に対戦が行われてよい。
【0053】
次に、ステップS30について説明する。挑戦者ユーザまたは統治者ユーザのいずれかが勝利すると、対戦ゲームは終了する。対戦ゲームが終了すると、ゲームサーバ10は、今回の対戦ゲームの対戦結果をストレージ15に保存する。対戦結果には、例えば、対戦ゲームの実施日、開始時刻、終了時刻、勝者(挑戦者ユーザまたは統治者ユーザ)、敗者(統治者ユーザまたは挑戦者ユーザ)等の情報が含まれる。また、対戦が終了すると、ゲームサーバ10は、対戦終了時の挑戦者ユーザおよび統治者ユーザの各戦力データをストレージ15に保存させることで、両者の戦力データを最新のデータに更新する。
【0054】
ステップS40では、挑戦者ユーザが対戦ゲームに勝利したかどうかが判定される。ゲームサーバ10が、挑戦者ユーザが勝利したと判定した場合(Yes)、ステップS50が実行される。ステップS50において、挑戦者ユーザは、統治者ユーザが所有していたメイン建物BLDのNFTを獲得することができる。このように、挑戦者ユーザが勝利すると、メイン建物BLDのNFTは、統治者ユーザから挑戦者ユーザへ移動する。このとき、ゲームサーバ10は、メイン建物BLDのNFTが統治者ユーザから挑戦者ユーザへ移動したことをNFTの取引履歴に保存してもよい。
【0055】
ステップS60において、メイン建物BLDのNFTの所有者が統治者ユーザから挑戦者ユーザへ変更されたことを示す所有者変更情報がブロックチェーンに登録される。ブロックチェーンへの所有者変更情報の登録は、ゲームサーバ10から行われてもよいし、事業者BUSや開発事業者が管理する他の情報処理端末やユーザ端末30等から行われてもよい。このように、挑戦者ユーザへのNFTの移動、およびブロックチェーンへの所有者移動情報の登録により、挑戦者ユーザがメイン建物BLDの所有者であることが担保されるようになっている。これらの処理が終了すると、対戦ゲームに関わる一連の処理が完了する。
【0056】
これに対し、ステップS40において、統治者ユーザが勝利したと判定された場合(No)、メイン建物BLDのNFTは統治者ユーザが所有したままとなるので、ステップS50-S60の処理が行われることなく、ステップS30において対戦結果の保存等が行われると、対戦ゲームに関わる一連の処理が完了する。
【0057】
<取引所>
取引所MARでは、例えば、メイン建物BLDや施設FACのNFT、武器・防具・移動手段等の対戦ゲームで使用可能な軍備アイテム、食糧、その他アイテム等の各種アイテムを取引することができる。具体的には、これらのアイテムはNFT化され、取引所MARにおいて、アイテムのNFTが取引される。アイテムは、会社COM(事業者BUS)やユーザUSRが自由に出品可能である。これらのアイテムには、出品者が希望する取引価格が設定される。出品者と購入希望者との間で取引が成立すると、購入者は購入したアイテムを取得することができる。
【0058】
アイテムの購入代金は、取引所の運営者である会社COMのウォレットに、暗号資産で支払われる。なお、アイテムの購入代金は、クレジットカート等で支払われてもよい。アイテムの出品者がユーザUSRである場合、会社COMは、支払われた購入代金から所定の取引手数料を差し引き、残りの金額をアイテムの出品者へ支払う。ゲームサーバ10が、購入代金の支払いに関わる各種処理を行ってもよい。
【0059】
ゲームサーバ10は、取引所MARにおいてメイン建物のNFTやアイテムのNFTの取引が成立すると、これらの取引履歴をストレージ15に保存する。取引履歴には、例えば、取引成立日、取引成立時刻、取引成立したNFT(メイン建物、アイテム)の識別情報(出品ID等)、出品者、購入者等の情報が含まれる。
【0060】
<地方都市への訪問>
ユーザUSRは、仮想空間上の領土となっている地方都市の不動産へ訪問することにより、メイン建物を含む仮想空間の世界をARコンテンツやVRコンテンツで楽しむことができる。
【0061】
例えば、ユーザUSRがユーザ端末30でゲームアプリケーションを起動し、ARモードに設定する。ユーザ端末39の位置がこの不動産の位置である場合、ユーザ端末30には、不動産に重畳して仮想空間SPAのARコンテンツが表示される。ユーザUSRは、ユーザ端末30の他、ARメガネ(ARグラス)等のAR機器を利用することでもARコンテンツを視聴することが可能である。ユーザ端末30やAR機器に表示されるARコンテンツは、ユーザ端末30やAR機器の位置や方位に応じて更新される。
【0062】
また、ユーザUSRは、VRゴーグル等のVR機器を装着することで、仮想空間のVRコンテンツを視聴することができる。VR機器に表示されるコンテンツは、VR機器(ユーザUSR)の位置や方位に応じて更新される。
【0063】
<商業施設>
商業施設では、テナントが販売する対戦ゲームで使用される各種アイテムを購入することができる。また、商業施設では、対戦ゲーム用のアイテムの他、現実の商品を購入することも可能である。例えばこの地方都市で生産された現物の農産物、加工品、工業製品等、この地方都市と関わりのある商品等が商業施設で販売される。
【0064】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、地方都市の会社COMが提供するネットワークゲームサービスの会員となることで、各ユーザUSRは、ネットワークゲームサービスを利用して、地方都市の仮想空間に設置されたメイン建物を奪い合う対戦ゲームに参加することができる。この構成によれば、ユーザUSRがこの地方都市を訪問しなくても、ユーザUSRが支払った会費が地方都市の会社COMの収入となる。これにより、地方都市を管轄する自治体GOVの税収が増加し、公共事業や民間事業の支援等に投資することで、管轄する地方都市を持続的に発展させることができる。よって、都市部から地方へ人が移動しなくても地方活性化を実現することが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、挑戦者ユーザが統治者ユーザに勝利した場合、挑戦者ユーザは、統治者ユーザからメイン建物のNFTを譲り受けることができる。また、メイン建物のNFTの所有者が統治者ユーザから挑戦者ユーザへ変更になったことがブロックチェーンに登録されるので、挑戦者ユーザがメイン建物の新たな所有者になったことが担保される。
【0066】
また、本実施の形態によれば、仮想空間に設置された取引所において、メイン建物やアイテムが取引される。この構成によれば、ユーザUSRは、対戦ゲームで戦闘に参加する自軍の強化を図ることができ、対戦ゲームをより深く楽しむことができるようになる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、仮想空間SPAが構築された地方都市の不動産へ訪問したユーザUSRは、仮想空間SPAのARコンテンツやVRコンテンツを楽しむことができる。これによれば、仮想空間SPAの楽しみ方が多様化され、仮想空間SPAや対戦ゲームへの没入感が向上する。また、ユーザUSRが訪問先の地方都市で商品の購入やサービスを利用することで、地方都市における経済効果が得られる。これにより、地方都市を管轄する自治体GOVの税収が増加する。
【0068】
また、本実施の形態によれば、仮想空間SPAに商業施設が設けられる。この構成によれば、仮想空間SPAにおいて、対戦ゲームに関わるもの(例えばメイン建物やアイテム)だけでなく、現物の商品も販売することができる。これにより、仮想空間SPAに仮想空間のみで用いられるものや現物の商品等が取引される経済圏を構築することができる。したがって、地方都市を管轄する自治体GOVの税収がより増加し、公共事業や民間事業の支援等にさらに投資することができ、管轄する地方都市をさらに発展させることができる。
【0069】
さらに、地方活性化事業により不動産価格が上昇すれば、例えば固定資産税等の上昇し、自治体GOVの税収がより増加する。
【0070】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。前述の実施の形態1では、1つの地方都市に構築された仮想空間における地方活性化事業について説明した。これに対し、本実施の形態では、複数のゲームサーバ10を連携させることで、各ゲームサーバ10の安全性を向上させている。
【0071】
図6は、本発明の実施の形態2に係るゲームサーバのネットワーク構成を例示する図である。
図6には、日本列島を例にしたゲームサーバのネットワーク構成が示されている。
図6に示すように、ゲームサーバネットワークGSNは、複数の広域ネットワークグループWNGを含む。各広域ネットワークグループWNGは、複数のローカルネットワークグループLNGを含む。
【0072】
広域ネットワークグループWNGは、広域の複数の地方都市に設置された複数のゲームサーバ10で構成されるネットワークグループである。広域ネットワークグループWNGは、例えば、1または近隣の複数の県内に設置されたゲームサーバ10で構成されるネットワークグループである。ただし、広域ネットワークグループWNGがカバーする範囲は、各地方における事業規模や地域の事情等に応じて異なる。
【0073】
次に、ローカルネットワークグループLNGは、広域ネットワークグループより狭い範囲で、近隣の複数の地方都市に設置された複数のゲームサーバ10で構成されるネットワークグループである。ローカルネットワークグループLNGは、例えば5個以上のゲームサーバ10で構成される。
【0074】
ローカルネットワークグループLNG内のゲームサーバ10は、例えば光通信ケーブル等で互いに接続される。また、ローカルネットワークグループLNG間、および広域ネットワークグループWNG間も、例えば光通信ケーブル等で互いに接続される。
【0075】
ローカルネットワークグループLNGでは、複数のゲームサーバ10が互いに連携して、分散サーバが構成される。例えば、ローカルネットワークグループLNG内の各ゲームサーバ10は、情報を共有し、互いに同じ情報を保存するように構成される。すなわち、ローカルネットワークグループLNG内の情報は、ローカルネットワークグループLNGに含まれるすべてのゲームサーバ10でバックアップされることとなるため、データ消失の可能性が大幅に低下し、ゲームサーバ10の安全性を向上させることができる。
【0076】
したがって、あるゲームサーバ10が故障した場合でも、ローカルネットワークグループLNG内の他のゲームサーバ10が保存するデータを用いて、故障したゲームサーバ10を容易に復旧させることが可能となる。
【0077】
同一の広域ネットワークグループWNG内のローカルネットワークグループLNG間で通信が行われる場合、例えば、各ローカルネットワークグループLNG内で、予め、ホストになるゲームサーバ10を決定しておき、ホストのゲームサーバ10間で通信が行われるようにしてもよい。あるいは、最初に他のローカルネットワークグループLNGへアクセスしたゲームサーバ10と、他のローカルネットワークグループLNGのホストのゲームサーバ10との間で通信が行われるようにしてもよい。
【0078】
なお、複数の広域ネットワークグループWNG間で通信が行われる場合も同様に、例えば、各広域ネットワークグループWNG内で、予め、ホストになるゲームサーバ10(あるいはホストになるローカルネットワークグループLNG)を決定しておき、ホストのゲームサーバ10間で通信が行われるようにしてもよい。その際、双方の広域ネットワークグループWNGのホストのゲームサーバ10は、必要に応じて、同一の広域ネットワークグループWNG内の他のローカルネットワークグループLNGのホストにアクセスする。
【0079】
あるいは、最初に他の広域ネットワークグループWNGへアクセスしたゲームサーバ10と、他の広域ネットワークグループWNGのホストのゲームサーバ10との間で通信が行われるようにしてもよい。
【0080】
このように、事業者BUSが行う事業活性化事業に関わる情報は、ローカルネットワークグループLNGごとに分散して保存される。これにより、各ゲームサーバ10を小規模にするとともに、安全性を向上させることができる。
【0081】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、ある地方都市(1の地方都市)の会社が提供するネットワークゲームサービスの会員であるユーザが、他の地方都市においてネットワークゲームサービスを提供する会社が運営するネットワーク上の商品販売サイトで商品を購入した場合の取り扱いについて説明する。
【0082】
図7は、本発明の実施の形態3に係る商取引の概要を例示する図である。
図8は、商取引の概要を例示するフローチャートである。以下、
図7および
図8を参照しながら、本実施の形態に係る商取引について説明する。
図7には、ある地方都市Bの会社が提供するネットワークゲームサービスの会員であるユーザUSR_Bが、他の地方都市Aにおいてネットワークゲームサービスを提供する会社が運営する商品販売サイト110Aで商品を購入した場合が示されている。
【0083】
地方都市Aでは、会社COM_A(事業者BUS_A)は、ネットワークゲームサービスに加えて、商取引管理サーバ100Aにおいて商品販売サイト110Aを運営している。商品販売サイト110Aでは、例えば、農産物、海産物、畜産物、これらの加工品、工芸品、工業製品等、この地方都市(地方都市A)の特産物等が販売される。なお、商品販売サイトにおけるこのような商取引は、各地方都市の不動産を拠点とする会社が主体になって制作する動画等による宣伝活動を通じて行われる。
【0084】
ステップS310では、会員USR_B(USR)は、商品販売サイト110Aで地方都市Aの商品を購入する。具体的には、会員USR_B(USR)は、自身のユーザ端末30B(30)を操作して、ネットワークNETを介して、商品販売サイト110Aへアクセスする。
【0085】
ステップS320では、商品販売サイト110AにアクセスしたユーザUSR_Bに対するユーザ認証を行う。ユーザUSR_Bは、商品販売サイト110Aにアクセスすると、ユーザ端末30Bから自身のアカウント情報を入力し、商取引管理サーバ100Aへ送信する。このとき、ユーザUSR_Bが会員となっている地方都市(地方都市B)の情報(会員都市情報)も、アカウント情報とともに商取引管理サーバ100Aへ送信する。
【0086】
そして、商取引管理サーバ100Aは、ユーザ端末30Bから受信したアカウント情報および会員都市情報に基づき、ユーザUSR_Bの認証を行う。具体的には、商取引管理サーバ100Aは、ネットワークNETを介して、地方都市Bのゲームサーバ10B(10)へアクセスし、ゲームサーバ10Bに記憶されているユーザUSR_Bのアカウント情報を取得する。そして、商取引管理サーバ100Aは、ユーザ端末30Bから受信したユーザUSR_Bのアカウント情報と、ゲームサーバ10Bから取得したユーザUSR_Bのアカウント情報とを比較する。
【0087】
なお、ユーザ認証は、ゲームサーバ10Bで行われてもよい。具体的には、商取引管理サーバ100Aは、ユーザ端末30Bから受信したユーザUSR_Bのアカウント情報をゲームサーバ10Bへ送信し、ゲームサーバ10Bは、商取引管理サーバ100Aから受信したユーザUSR_Bのアカウント情報と、自身が保持しているユーザUBR_Bのアカウント情報とを比較する。そして、ゲームサーバ10Bは、ユーザUSR_Bの認証結果を商取引管理サーバ100Aへ送信する。
【0088】
なお、商取引管理サーバ100Aからゲームサーバ10Bへのアクセスに用いられるネットワークNETとして、例えば、
図6に示すゲームサーバネットワークGSNや
図2に示すネットワーク90が用いられてもよい。
【0089】
ステップS330では、ユーザ認証が成功したかどうかが判定される。ユーザ認証が成功したと判定した場合(S330;Yes)、商取引管理サーバ100Aは、ユーザUSR_Bの認証が成功したことをユーザ端末30Bへ通知する(ステップS340)。
【0090】
ステップS350では、ユーザUSR_Bは、ユーザ端末30Bに表示された商品を参照しながら購入する商品を選択し、購入手続を行う。そして、商品販売サイト110Aを運営する会社COM_Aは、購入手続完了した商品をユーザUSR_Bへ発送する(ステップS360)。
【0091】
ステップS370において、商取引管理サーバ100Aは、商品の購入履歴を保存する。この購入履歴には、例えば、購入者(ユーザUSR_B)、購入日時、購入した商品、購入数量、決済情報等の各種情報が含まれる。また、商取引管理サーバ100Aは、ユーザUSR_Bの購入履歴をゲームサーバ30Bへ送信し、ゲームサーバ10Bとの間で購入履歴を共有する。ゲームサーバ30Bは、商取引管理サーバ100Aから受信したユーザUSR_Bの購入履歴をストレージ15(例えばアカウント情報記憶領域15b)に保存する。なお、ステップS370は、購入手続が完了次第行われてもよい。
【0092】
ステップS380において、ゲームサーバ10Bは、商取引管理サーバ100Aから受信した購入履歴に基づき、ユーザUSR_Bの対戦ゲームの戦力データを更新する。具体的には、ゲームサーバ10Bは、購入履歴に含まれる購入した商品に応じて、戦力データのうち更新対象の項目を選択し、購入履歴に含まれる購入した商品の購入数量に応じて、選択した項目の増加量を決定する。
【0093】
例えば、ユーザUSR_Bが、商品販売サイト110Aから地方都市Aで生産されたお米を購入し場合、ゲームサーバ10Bは、お米に対応する軍糧を更新対象の項目として選択する。そして、ゲームサーバ10Bは、お米の購入数量に応じた所定量、軍糧の値を増加させる。また、ゲームサーバ10Bは、購入した商品や購入数量に応じて、例えば攻撃力や守備力等を更新対象の項目として選択し、選択した項目の各値を増加してもよい。購入した商品が戦力データのどの項目に対応するか、および購入数量と増加量との関係については、予めテーブル化され、テーブルがストレージ15に保存されているものとする。そして、ゲームサーバ10Bは、テーブルを参照しながら、購入履歴に基づいて戦力データを更新する。
【0094】
一方、ステップS330において、ユーザ認証が失敗したと判定した場合(S330;No)、商取引管理サーバ100Aは、ユーザUSR_Bの認証が失敗したことをユーザ端末30Bへ通知する(ステップS390)。
【0095】
これらの処理が完了すると、商品販売サイトにおける商取引に関連する一連の処理が終了する。
【0096】
なお、地方都市Aの事業者BUS_Aおよび地方都市Bの事業者BUS_Bは、同じでもよいし、互いに異なってもよい。また、商品販売サイト110Aは、対戦ゲームのユーザUSRではない一般ユーザも利用可能である。このため、商品販売サイト110Aにアクセスした際、一般ユーザ向け画面の一部領域に、対戦ゲームのユーザUSRとしての認証を受けるための選択画面が表示されるようにしてもよい。
【0097】
[変形例]
図9は、変形例に係る商取引の概要を例示するフローチャートである。
図9は、
図8と類似し、
図8にステップS400が追加されたものである。
図9に示すように、フローチャートは、ステップS390の後、ステップS320に戻るようにように構成されてもよい。この場合、ユーザ認証に失敗した回数が所定回数に達したか(所定回数ユーザ認証に失敗したか)どうかを判定するステップS400が設けられることが望ましい。ユーザ認証に失敗した回数が所定回数に達していない場合(ステップS400;No)、ステップS320に戻る。
【0098】
一方、ユーザ認証に失敗した回数が所定回数に達した場合(ステップS400;Yes)、商品販売サイトにおける商取引に関連する一連の処理が終了する。
【0099】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、ユーザは、会員となっている地方都市とは異なる地方都市の商品販売サイトにおいて、その地方都市で生産された商品を購入することで、その商品を手に入れることができるだけでなく、購入した商品および購入数量に応じて対戦ゲームの戦力データを強化することができる。これにより、地方都市の商品の販売を促進させることができる。また、地元で生産された商品の販売が促進されるとともに、対戦ゲームの利用を促進することができる。また、地場産業が拡大・発展することで、地方都市の持続的な発展を促すことができる。また、これにより、自治体の税収が増加し、地方都市をより活性化させることができる。
【0100】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態では、対戦ゲームのフィールド(対戦フィールド)が、メイン建物を含む仮想空間上の領土のマップデータとARコンテンツとを融合させたものとなっている。本実施の形態では、対戦ゲームの参加者には、地方都市の不動産を訪問しているユーザUSR(以下「現場のユーザ」とも呼ぶ)が含まれる。すなわち、対戦ゲームの参加者は、現場のユーザと、不動産から離れた場所にいるユーザUSR(以下「オンライン上のユーザ」とも呼ぶ)とで構成される場合もあれば、複数の現場のユーザのみで構成される場合もある。
【0101】
本実施の形態は、例えば遊戯施設等の広い敷地を有する不動産や、複数フロアの建物を有する不動産等に適用される。領土のマップデータは、サイバー開発により、不動産の実際の形態を基に作成される。例えば、マップデータは、実際の不動産の形態に、実際にはない部屋、壁、通路等の要素が追加されたものでもよい。ARコンテンツは、作成されたマップデータに対応するように作成される。
【0102】
ただし、ARコンテンツには、オンライン上のユーザには認識することができない隠しコンテンツ(例えば、隠し部屋、秘密の通路、秘密の抜け穴等)が含まれてもよい。このように、現場のユーザUSRが、様々なメリットを受けられるようにしてもよい。
【0103】
本実施の形態では、ユーザ自身が対戦フィールドに出て、例えば、オンラインシューティングゲームやオンラインサバイバルゲーム等の対戦ゲームに参加する。具体的には、現場のユーザは、ARゴーグル等のAR機器、例えば武器(例えばゲーム用銃)や防具等を装着し、自身が不動産の敷地内を移動しながら対戦ゲームを行う。現場のユーザUSRが移動することにより、ゴーグルに表示されるマップデータやARコンテンツが更新される。現場のユーザUSRは、実際の景色に重畳して表示されるマップデータやARコンテンツで構成される対戦フィールドを見ながら対戦ゲームを行う。このように、本実施の形態では、現場のユーザUSRは、不動産の敷地内を移動しながら、全世界のユーザUSRと対戦することができる。
【0104】
一方、オンライン上のユーザUSRは、ユーザ端末30に表示されるマップデータで構成される対戦フィールド見ながら、自身を操作することで対戦ゲームを行う。その際、ユーザ端末30には、武器や防具を装着した自身を表す画像が表示されるようにしてもよい。
【0105】
なお、本実施の形態では、複数のユーザUSRがチームを組み、チーム同士で対戦するようにしてもよい。チーム同士で対戦した場合、勝利したチームの全員が奪い合いの対象となったメイン建物のNFTを共同で獲得し、メイン建物を共有してもよい。あるいは、勝利したチームの代表者が、メイン建物のNFTを獲得し、メイン建物を所有するようにしてもよい。
【0106】
本実施の形態によれば、ARコンテンツの隠しコンテンツにより、現場のユーザUSRが、様々なメリットを受けられるようになっている。これにより、対戦ゲームにおいて、現場のユーザが有利な状況となるので、対象の不動産がある地方都市への人の流れが発生する。
【0107】
また、本実施の形態によれば、現場のユーザUSRが使用するAR機器、対戦ゲーム用武器、防具等が販売され、これらの販売による新たな経済効果が生じる。
【0108】
また、敷地が広い不動産では、例えばグランピング等の宿泊施設等の施設を容易に設置することができる。これにより、不動産の近隣に他の宿泊施設がなくても、ユーザUSRが気軽に不動産がある地方都市を訪問できるようになる。これにより、地方都市の地域経済に貢献することができる。
【0109】
また、宿泊施設を領土のマップデータに反映させてもよい。これにより、対戦ゲームにおいて、宿泊施設をユーザUSRの体力を回復させる施設として利用することができる。
【0110】
ここまで、本発明の各実施形態を説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0111】
10…ゲームサーバ、30…ユーザ端末、90…ネットワーク、100A…商取引管理サーバ、110A…商品販売サイト、BUS…事業者、COM…会社、GOV…自治体、USR…ユーザ、SYS…ゲームシステム、SPA…仮想空間、BLD…メイン建物、MAR…取引所、FAC…施設、WNG…広域ネットワークグループ、LNG…ローカルネットワークグループ。