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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027435
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】冷熱発電システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 9/00 20060101AFI20240222BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20240222BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F01K9/00 A
F01K25/10 A
F01K9/00 D
F28F3/08 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130218
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(71)【出願人】
【識別番号】504358148
【氏名又は名称】株式会社コベルコE&M
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 彰利
(72)【発明者】
【氏名】野一色 公二
(72)【発明者】
【氏名】松岡 亮
(72)【発明者】
【氏名】清水 邦彦
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BB04
3G081BC11
3G081BC16
3G081BD01
(57)【要約】
【課題】冷熱発電システム10において、発電量を向上する。
【解決手段】冷熱発電システム10は、液化ガスの冷熱によりガス状の中間媒体を液化させる液化部16と、液化部16で液化した液状の中間媒体を保持する中間媒体保持槽17と、中間媒体保持槽17から吸引した液状の中間媒体を昇圧して送り出す液ポンプ13と、液ポンプ13により送り出された液状の中間媒体を気化させる熱交換器14と、発電機18が接続され、熱交換器14で気化した中間媒体によって駆動される膨張タービン15と、を備える。液化部16は、それぞれ流路が形成されたプレートを積層した構成の積層型マイクロチャネル熱交換器20によって構成されるとともに、液化ガスとガス状の中間媒体とが互いに逆向きに流れながら熱交換を行う向流式である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスとガス状の中間媒体との間で熱交換を行い、前記液化ガスの冷熱により前記ガス状の中間媒体を液化させる液化部と、
前記液化部で液化した液状の中間媒体を保持する中間媒体保持槽と、
前記中間媒体保持槽から吸引した液状の中間媒体を昇圧して送り出す液ポンプと、
前記液ポンプにより送り出された液状の中間媒体を気化させる熱交換器と、
発電機が接続され、前記熱交換器で気化した中間媒体によって駆動される膨張タービンと、を備え、
前記液化部が、それぞれ流路が形成されたプレートを積層した構成の積層型マイクロチャネル熱交換器によって構成されるとともに、前記液化ガスと前記ガス状の中間媒体とが互いに逆向きに流れながら熱交換を行う向流式である、冷熱発電システム。
【請求項2】
前記膨張タービンで気化したガス状の中間媒体の一部を前記液化部に流入する前に分流させる分岐路を備え、
前記積層型マイクロチャネル熱交換器の前記流路には、前記ガス状の中間媒体が流入する高温側流路と前記液化ガスが流入する低温側流路とが含まれ、
前記積層型マイクロチャネル熱交換器には、前記分岐路を前記高温側流路に連通させる連通流路が設けられている、請求項1に記載の冷熱発電システム。
【請求項3】
前記膨張タービンで気化したガス状の中間媒体の一部を前記液化部に流入する前に分流させる分岐路と、
前記分岐路を流れたガス状の中間媒体を、前記液化部から流出した液状の中間媒体に合流させる混合部と、を更に備え、
前記混合部は、流路が形成されたプレートを積層した構成の積層型マイクロチャネル混合器によって構成されており、
前記積層型マイクロチャネル混合器の前記流路には、前記液化部から流出した液状の中間媒体が流れる液流路が含まれ、
前記積層型マイクロチャネル混合器には、前記分岐路を前記液流路に連通させる連通流路が設けられている、請求項1に記載の冷熱発電システム。
【請求項4】
前記積層型マイクロチャネル熱交換器の前記流路には、前記ガス状の中間媒体が流入する高温側流路と前記液化ガスが流入する低温側流路とが含まれ、
前記分岐路を前記積層型マイクロチャネル熱交換器に接続する接続路が設けられ、
前記積層型マイクロチャネル熱交換器には、前記接続路を前記高温側流路に連通させる第2連通流路が設けられている、請求項3に記載の冷熱発電システム。
【請求項5】
前記液化部を構成する前記積層型マイクロチャネル熱交換器と前記混合部を構成する前記積層型マイクロチャネル混合器とは、一体化されている、請求項3に記載の冷熱発電システム。
【請求項6】
前記液化部を構成する前記積層型マイクロチャネル熱交換器と前記混合部を構成する前記積層型マイクロチャネル混合器とは、一体化されている、請求項4に記載の冷熱発電システム。
【請求項7】
液化ガスとガス状の中間媒体との間で熱交換を行い、前記液化ガスの冷熱により前記ガス状の中間媒体を液化させる液化部と、
前記液化部で液化した中間媒体を保持する中間媒体保持槽と、
前記中間媒体保持槽から吸引した液状の中間媒体を昇圧して送り出す液ポンプと、
前記液ポンプにより送り出された液状の中間媒体を気化させる熱交換器と、
発電機が接続され、前記熱交換器で気化した中間媒体によって駆動される膨張タービンと、
前記膨張タービンで気化したガス状の中間媒体の一部を前記液化部に流入する前に分流させる分岐路と、
前記分岐路を流れたガス状の中間媒体を、前記液化部から流出した液状の中間媒体に混合させる混合部と、
を備え、
前記混合部が、流路が形成されたプレートを積層した構成の積層型マイクロチャネル混合器によって構成されており、
前記積層型マイクロチャネル混合器の前記流路には、前記液化部から流出した液状の中間媒体が流れる液流路が含まれ、
前記積層型マイクロチャネル混合器には、前記分岐路を前記液流路に連通させる連通流路が設けられている、冷熱発電システム。
【請求項8】
前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、前記液ポンプの吸込み側での圧力の計測値に対応する中間媒体の飽和温度よりも低くなるように、前記液ポンプの送出流量を調整するポンプ制御部を備えている、請求項1~7の何れか1項に記載の冷熱発電システム。
【請求項9】
前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、前記液ポンプの吸込み側での圧力の計測値に対応する中間媒体の飽和温度よりも低くなるように、前記分岐路を通した前記ガス状の中間媒体の流量を調整する流量制御部を備えている、請求項2~7の何れか1項に記載の冷熱発電システム。
【請求項10】
前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、中間媒体の凝固点よりも高い温度になるように、前記分岐路を通した前記ガス状の中間媒体の流量を調整する流量制御部を備えている、請求項2、4又は6に記載の冷熱発電システム。
【請求項11】
前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、前記液ポンプの吸込み側での圧力の計測値に対応する中間媒体の飽和温度よりも低くなるように、前記液ポンプの送出量を調整するポンプ制御部と、
前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、中間媒体の凝固点よりも高い温度になるように、前記分岐路を通した前記ガス状の中間媒体の流量を調整する流量制御部と、を備えている、請求項2、4又は6に記載の冷熱発電システム。
【請求項12】
前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、前記液ポンプの吸込み側での圧力の計測値に対応する中間媒体の飽和温度よりも低く且つ中間媒体の凝固点より高い温度になるように、前記分岐路を通した前記ガス状の中間媒体の流量を調整する流量制御部を備えている、請求項2、4又は6に記載の冷熱発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷熱発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液化ガスが有する冷熱エネルギーの利用方法として、ランキンサイクルを用いた発電システムが知られている。この種の発電システムでは、液化ガスの冷熱により液化プロパン(LPG)やフロンなどの中間媒体を凝縮させる一方で、この凝縮した中間媒体を海水等の温熱源で気化させ、この気化した中間媒体でタービンを駆動する。下記特許文献1に開示された発電システムでは、図19に示すように、低温の液化ガスと中間媒体との間で熱交換を行う凝縮器91が、シェルアンドチューブタイプの熱交換器によって構成されている。シェルアンドチューブタイプの熱交換器では、シェル91a内で液化した中間媒体が、低温の液化ガスが流れる伝熱管91bの外表面に付着することがある。この場合、伝熱管91bに付着した中間媒体が伝熱管91bを介して液化ガスによって冷却されて過冷却状態になることがあり、その場合には、発電量が低下してしまう。つまり、中間媒体の過大な過冷却状態が生ずる場合において、過冷却状態を解消するには、温熱源と中間媒体とを熱交換させる蒸発器93において、中間媒体の流量を下げて中間媒体温度を上げることが必要になる。この場合には、循環する中間媒体の流量が低下するため、発電量が低下してしまう。下記特許文献1では、過大な過冷却状態を回避するために、タービン94から流出したガス状の中間媒体の一部を凝縮器91に流入する前に分流させる分岐管95と、この分流されて分岐管95を流れるガス状の中間媒体を、凝縮器91から流出した液状の中間媒体に混合させるタンク状の接触塔96と、が設けられている。中間媒体の一部が凝縮器91を迂回することにより、過大な過冷却状態が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭62-037209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されたタンク状の接触塔96では、ガス状の中間媒体が液状の中間媒体に混合する際に混合ムラが生ずるため、過冷却度の低い中間媒体が接触塔96から流出することがある。このため、過冷却状態を回避するために、中間媒体の循環量を抑えなければならないという事態が生じ得る。したがって、ガス状の中間媒体の一部を凝縮器91を迂回させた後、液状の中間媒体に混合させる構成を採用したとしても、発電量を向上できない事態が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、中間媒体で膨張タービンを駆動する冷熱発電システムにおいて、発電量を向上できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係る冷熱発電システムは、液化ガスとガス状の中間媒体との間で熱交換を行い、前記液化ガスの冷熱により前記ガス状の中間媒体を液化させる液化部と、前記液化部で液化した液状の中間媒体を保持する中間媒体保持槽と、前記中間媒体保持槽から吸引した液状の中間媒体を昇圧して送り出す液ポンプと、前記液ポンプにより送り出された液状の中間媒体を気化させる熱交換器と、発電機が接続され、前記熱交換器で気化した中間媒体によって駆動される膨張タービンと、を備える。前記液化部は、それぞれ流路が形成されたプレートを積層した構成の積層型マイクロチャネル熱交換器によって構成されるとともに、前記液化ガスと前記ガス状の中間媒体とが互いに逆向きに流れながら熱交換を行う向流式である。
【0007】
本発明では、液化ガスとガス状の中間媒体との間で熱交換を行う液化部が、液化ガスとガス状の中間媒体とが互いに逆向きに流れながら熱交換を行う向流式であるため、液化ガスの温度とガス状の中間媒体の温度との温度差が大きい状態で両者の熱交換を行うことができる。しかも、シェルアンドチューブタイプの熱交換器のように中間媒体が伝熱管に付着して過大な過冷却状態になるようなこともない。したがって、液化部がシェルアンドチューブタイプの熱交換器によって構成される場合に比べ、膨張タービンに流入させる中間媒体流量を大きくできるため、発電量を大きくすることができる。
【0008】
前記冷熱発電システムは、前記膨張タービンで気化したガス状の中間媒体の一部を前記液化部に流入する前に分流させる分岐路を備えてもよい。この場合、前記積層型マイクロチャネル熱交換器の前記流路には、前記ガス状の中間媒体が流入する高温側流路と前記液化ガスが流入する低温側流路とが含まれてもよく、前記積層型マイクロチャネル熱交換器には、前記分岐路を前記高温側流路に連通させる連通流路が設けられていてもよい。
【0009】
この態様では、膨張タービンで気化したガス状の中間媒体の一部が、分岐路により液化部に流入する前に分流し、この分流されたガス状の中間媒体は、液化部を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器の高温側流路を流れる中間媒体に合流される。したがって、液化ガス流量が増大する等のように液化ガスから中間媒体への冷熱供給量が増大したとしても、液化部の出口において中間媒体が冷やされ過ぎることを防止でき、中間媒体の凍結を防止できる。
【0010】
前記冷熱発電システムは、前記膨張タービンで気化したガス状の中間媒体の一部を前記液化部に流入する前に分流させる分岐路と、前記分岐路を流れたガス状の中間媒体を、前記液化部から流出した液状の中間媒体に合流させる混合部と、を更に備えてもよい。この場合、前記混合部は、流路が形成されたプレートを積層した構成の積層型マイクロチャネル混合器によって構成されてもよく、前記積層型マイクロチャネル混合器の前記流路には、前記液化部から流出した液状の中間媒体が流れる液流路が含まれてもよく、前記積層型マイクロチャネル混合器には、前記分岐路を前記液流路に連通させる連通流路が設けられていてもよい。
【0011】
この態様では、分岐路を流れたガス状の中間媒体を液化部から流出した液状の中間媒体に混合させる混合部が積層型マイクロチャネル混合器によって構成されているため、液化部から混合部に導入された液状の中間媒体は積層型マイクロチャネル混合器内の各液流路を流れる。したがって、分岐路を流れたガス状の中間媒体が、連通流路を通して積層型マイクロチャネル混合器の液流路内の液状の中間媒体に混合される際に、混合ムラが発生しにくい。また、膨張タービンで気化したガス状の中間媒体の一部を液化部に流入する前に分流させるとともに、この一部の中間媒体を液化部から流出した液状の中間媒体に混合させる構成が採用されている。このため、液化部から導入された液状の中間媒体と分岐路から導入されたガス状の中間媒体が均等に接触できないことによってガス状の中間媒体が完全に液化しないまま中間媒体保持槽に流入してポンプに吸引される、という事態が発生することを抑制できる。
【0012】
前記積層型マイクロチャネル熱交換器の前記流路には、前記ガス状の中間媒体が流入する高温側流路と前記液化ガスが流入する低温側流路とが含まれてもよい。この場合、前記分岐路を前記積層型マイクロチャネル熱交換器に接続する接続路が設けられ、前記積層型マイクロチャネル熱交換器には、前記接続路を前記高温側流路に連通させる第2連通流路が設けられていてもよい。
【0013】
この態様では、膨張タービンで気化したガス状の中間媒体の一部が、分岐路により液化部に流入する前に分流し、この分流された中間媒体の一部が混合部に流入し、分流された中間媒体の他部は、接続路を通して液化部を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器に導入される。この接続路を流れた中間媒体は、高温側流路を流れる中間媒体に合流される。したがって、液化ガス流量が増大した場合等のように液化ガスから中間媒体への冷熱供給量が増大したとしても、液化部の出口において中間媒体が冷やされ過ぎることを防止でき、中間媒体の凍結を防止できる。
【0014】
前記液化部を構成する前記積層型マイクロチャネル熱交換器と前記混合部を構成する前記積層型マイクロチャネル混合器とは、一体化されていてもよい。この態様では、液化部及び混合部の作成コストを低減できる。
【0015】
本発明に係る冷熱発電システムは、液化ガスとガス状の中間媒体との間で熱交換を行い、前記液化ガスの冷熱により前記ガス状の中間媒体を液化させる液化部と、前記液化部で液化した中間媒体を保持する中間媒体保持槽と、前記中間媒体保持槽から吸引した液状の中間媒体を昇圧して送り出す液ポンプと、前記液ポンプにより送り出された液状の中間媒体を気化させる熱交換器と、発電機が接続され、前記熱交換器で気化した中間媒体によって駆動される膨張タービンと、前記膨張タービンで気化したガス状の中間媒体の一部を前記液化部に流入する前に分流させる分岐路と、前記分岐路を流れたガス状の中間媒体を、前記液化部から流出した液状の中間媒体に混合させる混合部と、を備える。前記混合部は、流路が形成されたプレートを積層した構成の積層型マイクロチャネル混合器によって構成されている。前記積層型マイクロチャネル混合器の前記流路には、前記液化部から流出した液状の中間媒体が流れる液流路が含まれる。前記積層型マイクロチャネル混合器には、前記分岐路を前記液流路に連通させる連通流路が設けられている。
【0016】
本発明では、分岐路を流れたガス状の中間媒体を液化部から流出した液状の中間媒体に混合させる混合部が積層型マイクロチャネル混合器によって構成されている。このため、液化部から混合部に導入された液状の中間媒体は、積層型マイクロチャネル混合器内の各流路を流れる。したがって、分岐路を流れたガス状の中間媒体が連通流路を通して積層型マイクロチャネル混合器の流路内の液状の中間媒体に混合される際に、混合ムラが発生しにくい。また、膨張タービンで気化したガス状の中間媒体の一部を液化部に流入する前に分流させるとともに、この一部の中間媒体を液化部から流出した液状の中間媒体に混合させる構成が採用されている。このため、液化部から導入された液状の中間媒体と分岐路から導入されたガス状の中間媒体が均等に接触できないことによってガス状の中間媒体が完全に液化しないまま中間媒体保持槽に流入してポンプに吸引される、という事態が発生することを抑制できる。
【0017】
前記冷熱発電システムは、前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、前記液ポンプの吸込み側での圧力の計測値に対応する中間媒体の飽和温度よりも低くなるように、前記液ポンプの送出流量を調整するポンプ制御部を備えていてもよい。
【0018】
この態様では、液ポンプにガス状の中間媒体が吸い込まれることを防止できるため、液ポンプでのキャビテーションを防止できる。
【0019】
前記冷熱発電システムは、前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、前記液ポンプの吸込み側での圧力の計測値に対応する中間媒体の飽和温度よりも低くなるように、前記分岐路を通した前記ガス状の中間媒体の流量を調整する流量制御部を備えていてもよい。
【0020】
この態様では、液ポンプにガス状の中間媒体が吸い込まれることを防止できるため、液ポンプでのキャビテーションを防止できる。
【0021】
前記冷熱発電システムは、前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、中間媒体の凝固点よりも高い温度になるように、前記分岐路を通した前記ガス状の中間媒体の流量を調整する流量制御部を備えていてもよい。
【0022】
この態様では、液化部の出口側での液状の中間媒体の温度が中間媒体の凝固点よりも高い温度に維持されるため、液化部において液化ガスと熱交換したとしても中間媒体が凍結することを防止できる。
【0023】
前記冷熱発電システムは、前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、前記液ポンプの吸込み側での圧力の計測値に対応する中間媒体の飽和温度よりも低くなるように、前記液ポンプの送出量を調整するポンプ制御部と、前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、中間媒体の凝固点よりも高い温度になるように、前記分岐路を通した前記ガス状の中間媒体の流量を調整する流量制御部と、を備えていてもよい。
【0024】
この態様では、液化部の出口側での液状の中間媒体の温度が中間媒体の凝固点よりも高い温度に維持されるため、液化部において液化ガスと熱交換したとしても中間媒体が凍結することを防止できる。
【0025】
前記冷熱発電システムは、前記液化部から流出した液状の中間媒体の温度が、前記液ポンプの吸込み側での圧力の計測値に対応する中間媒体の飽和温度よりも低く且つ中間媒体の凝固点より高い温度になるように、前記分岐路を通した前記ガス状の中間媒体の流量を調整する流量制御部を備えていてもよい。
【0026】
この態様では、液化部の出口側での液状の中間媒体の温度が中間媒体の凝固点よりも高い温度に維持されるため、液化部において液化ガスと熱交換したとしても中間媒体が凍結することを防止できる。また、液ポンプでのキャビテーションも防止できる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、中間媒体で膨張タービンを駆動する冷熱発電システムにおいて、発電量を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る冷熱発電システムを概略的に示す図である。
図2】前記冷熱発電システムに設けられた液化部を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器の構成を概略的に示す図である。
図3】液化部における中間媒体及び液化ガスの熱交換量と温度との関係を説明するための図である。
図4】第2実施形態に係る冷熱発電システムを概略的に示す図である。
図5】前記冷熱発電システムに設けられた液化部を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器の構成を概略的に示す図である。
図6】第2実施形態の変形例に係る冷熱発電システムを概略的に示す図である。
図7】第2実施形態の変形例に係る冷熱発電システムを概略的に示す図である。
図8】第3実施形態に係る冷熱発電システムを概略的に示す図である。
図9】前記冷熱発電システムに設けられた混合部を構成する積層型マイクロチャネル混合器の構成を概略的に示す図である。
図10】第3実施形態の変形例に係る冷熱発電システムを概略的に示す図である。
図11】第3実施形態の変形例に係る冷熱発電システムを概略的に示す図である。
図12】第4実施形態に係る冷熱発電システムを概略的に示す図である。
図13】前記冷熱発電システムに設けられた積層型マイクロチャネル装置の構成を概略的に示す図である。
図14】第5実施形態に係る冷熱発電システムを概略的に示す図である。
図15】前記冷熱発電システムに設けられた液化部を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器の構成を概略的に示す図である。
図16】第6実施形態に係る冷熱発電システムを概略的に示す図である。
図17】前記冷熱発電システムに設けられた積層型マイクロチャネル装置の構成を概略的に示す図である。
図18】第7実施形態に係る冷熱発電システムを概略的に示す図である。
図19】従来の発電システムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る冷熱発電システムは、中間媒体を介して液化ガスと熱源媒体との間で熱交換を行いつつ、電力を取り出すシステムである。図1に示すように、冷熱発電システム10は、中間媒体が封入された循環流路12を備えている。この冷熱発電システム10では、中間媒体が循環流路12を相変化を伴いながら循環することにより、ランキンサイクルが行われる。中間媒体としては、例えば、プロパン、フロン等が用いられる。
【0031】
循環流路12には、液ポンプ13と、熱交換器14と、膨張タービン15と、液化部16と、中間媒体保持槽17と、がこの順に設けられている。液ポンプ13は循環流路12内の中間媒体を吸い込むとともに、吸い込んだ中間媒体を加圧する。液ポンプ13として、インペラをロータとして備える遠心ポンプや、ロータが一対のギアからなるギアポンプ等が用いられる。
【0032】
熱交換器14は、液ポンプ13によって加圧された液状の中間媒体と、熱源媒体との間で熱交換させ、中間媒体を気化させる。熱源媒体として、海水、工水、温水、水蒸気等の流体が用いられる。
【0033】
膨張タービン15は、図略のロータがケーシング内に配置された構造であり、前記の気化された中間媒体が膨張することによりロータが回転するように構成されている。膨張タービン15のロータには発電機18が接続されおり、発電機18は、膨張タービン15においてガス状の中間媒体が膨張してロータが回転することによって駆動される。これにより発電が行われる。
【0034】
液化部16は、膨張タービン15から排出されたガス状の中間媒体を液化ガスの冷熱により凝縮させて液状の中間媒体とするものである。液化ガスとして、液化天然ガス、液体水素等を挙げることができる。
【0035】
液化部16は、それぞれ流路が形成されたプレートを積層した構成の積層型マイクロチャネル熱交換器20によって構成されている。すなわち、液化部16は、図2(a)~(c)に示すように、複数の高温側流路21aを有する高温側プレート21と、複数の低温側流路22aを有する低温側プレート22とを備えており、複数の高温側プレート21と複数の低温側プレート22とが積層された構成となっている。高温側プレート21と低温側プレート22とが交互になるように複数の高温側プレート21と複数の低温側プレート22とが積層されてもよく、あるいは、高温側プレート21と低温側プレート22との間に仕切りプレート(図示省略)が介在していても良い。各プレートは何れも金属製であり、互いに接合されている。各高温側流路21aには、循環流路12からガス状の中間媒体が流入する。各低温側流路22aには、液化ガス供給路23から液化ガスが流入する。
【0036】
液化部16では、高温側流路21aを流れるガス状の中間媒体と、低温側流路22aを流れる液化ガスとの間で熱交換が行なわれ、ガス状の中間媒体が凝縮する。一方、液化ガスは熱交換によって気化し、この気化したガスは、ガス路24に流出する。
【0037】
液化部16は、液化ガスと中間媒体とが互いに逆向きに流れるように高温側流路21a及び低温側流路22aが設定されている。つまり、液化部16は、向流式の積層型マイクロチャネル熱交換器20によって構成されている。
【0038】
なお、ここでいう「互いに逆向き」とは、液化ガス及び中間媒体がそれぞれ逆向きに一直線状に流れる場合に限られるものではなく、液化ガス及び中間媒体の少なくとも一方が蛇行しながら流れつつ、両者が全体として逆向きに流れる場合も含む。例えば、液化ガスが左右に蛇行しながら図2(b)の上から下に向かって流れ、中間媒体が左右に蛇行しながら図2(c)の下から上に向かって流れる構成でもよい。
【0039】
液化部16が向流式の積層型マイクロチャネル熱交換器20によって構成されているため、液化ガスの温度とガス状の中間媒体の温度との温度差が大きい状態で両者の熱交換を行うことができる。具体的に、図3には、液化部16における熱交換量と、中間媒体及び液化ガスの温度との関係を示している。横軸は、熱交換量であり、液化ガスは低温側流路22aを流れるにつれて、中間媒体から熱を受け取るため、受取熱量が大きくなるに従いに次第に昇温する。このときの受取熱量及び液化ガスの温度変化の関係が図3に示されている。一方、中間媒体は、高温側流路21aを流れるにつれて、液化ガスに熱を放出するため、次第に低温となる。このときの放出熱量及び中間媒体の温度変化の関係が図3に示されている。液化部16に流入するときの液化ガスの温度(図3の左端の温度)と、液化部16に流入するときの中間媒体の温度(図の右端の温度)との温度差を大きく取ることができる。しかも、中間媒体は、高温側流路21aにとどまることなく高温側流路21aを流れるため、中間媒体が過冷却されることもない。このため、過冷却抑制のために液ポンプ13からの吐出流量を低減させる必要もない。したがって、膨張タービン15に流入させる中間媒体流量を大きくできて、発電量を大きくすることができる。
【0040】
液化部16で凝縮した液状の中間媒体は、中間媒体保持槽17に貯留される。中間媒体保持槽17に溜められた液状の中間媒体は、液ポンプ13によって吸引される。
【0041】
冷熱発電システム10では、液ポンプ13が作動すると、液状の中間媒体が液ポンプ13から吐出され、この液状の中間媒体は循環流路12を通じて熱交換器14に流入する。熱交換器14において、液状の中間媒体は、熱源媒体によって加熱されて蒸発し、ガス状の中間媒体となる。ガス状の中間媒体は膨張タービン15に導入されてロータを駆動する。これにより、ガス状の中間媒体は、膨張するとともに温度が低下する。一方で、ロータが駆動することにより発電機18において発電が行われるため、熱源媒体の熱を電力として回収することができる。
【0042】
膨張タービン15において低温低圧となったガス状の中間媒体は液化部16に流入する。液化部16において、中間媒体は、液化ガスによって冷却されて凝縮し、液状の中間媒体となる。このとき、中間媒体及び液化ガスは互いに逆向きに流れつつ熱交換を行う。液状の中間媒体は、液化部16から流出した後、中間媒体保持槽17に溜められる。中間媒体保持槽17に溜められた中間媒体は、液ポンプ13に吸い込まれる。循環流路12ではこのような中間媒体の循環が行われる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態では、液化ガスとガス状の中間媒体との間で熱交換を行う液化部16を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器20が、液化ガスとガス状の中間媒体とが互いに逆向きに流れながら熱交換を行う向流式である。このため、液化ガスの温度とガス状の中間媒体の温度との温度差が大きい状態で両者の熱交換を行うことができる。しかも、シェルアンドチューブタイプの熱交換器のように中間媒体が伝熱管に付着して過大な過冷却状態になるようなこともない。したがって、液化部16がシェルアンドチューブタイプの熱交換器によって構成される場合に比べ、膨張タービン15に流入させる中間媒体流量を大きくできるため、発電量を大きくすることができる。
【0044】
(第2実施形態)
図4は第2実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
第2実施形態の冷熱発電システム10は、循環流路12に分岐路28が接続されている点において、第1実施形態と異なっている。具体的に、分岐路28は、一端(上流端)が循環流路12における膨張タービン15と液化部16との間の流路に接続されている。したがって、分岐路28には、膨張タービン15から流出したガス状の中間媒体が流入する。分岐路28の他端(下流端)は、液化部16を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器20に接続されている。
【0046】
積層型マイクロチャネル熱交換器20には、図5(a)(c)(d)に示すように、高温側流路21aに繋がった連通流路30が設けられており、分岐路28はこの連通流路30に連通している。
【0047】
連通流路30は、高温側流路21aを有する高温側プレート21に隣接する隣接プレート31に形成された隣接流路30aと、この隣接流路30aと高温側流路21aとを橋渡すように隣接プレート31から高温側プレート21に亘って延びる延出流路30bと、を含む。分岐路28が隣接流路30aに接続されることにより、分岐路28は、連通流路30を通して高温側流路21aに連通している。したがって、分岐路28を流れたガス状の中間媒体は、高温側流路21aを流れるガス状又は液状の中間媒体に合流する。
【0048】
積層型マイクロチャネル熱交換器20には、高温側流路21aを流れる中間媒体の温度を測定するとともに測定温度に応じた信号を出力する温度調節器33が設けられている。高温側流路21aは、その中間部において高温側プレート21の外側に延出された部位が設けられているため、温度調節器33の測定端は、この延出された部位に設けられている。なお、温度調節器33の測定端を高温側プレート21内に配置できる場合には、この延出された部位を省略できる。温度調節器33に代えて、図略の温度センサを設けるとともに、この温度センサの測定温度に応じて信号出力制御を行う制御器(図示省略)を設けてもよい。
【0049】
分岐路28は、高温側流路21aにおける温度調節器33の測定端が位置する温度測定部よりも上流側において、ガス状の中間媒体を流入させる。分岐路28には、流量調整弁34が設けられている。この流量調整弁34は、温度調節器33に電気的に接続されており、温度調節器33から出力される信号は、測定温度が所定の温度になるように流量調整弁34を制御するために用いられる。したがって、流量調整弁34がこの信号を受けて開度を調整することにより、循環流路12から分岐路28に分流される中間媒体の流量が調整され、それにより、液化部16から流出する液状の中間媒体の温度が所定の温度に制御される。この所定の温度としては、例えば、中間媒体の凝固点よりも高い温度が採用されてもよく、その場合、温度調節器33及び流量調整弁34は、液化部16の下流側での中間媒体の温度が、中間媒体の凝固点よりも高い温度になるように、分岐路28を通したガス状の中間媒体の流量を調整する流量制御部として機能する。この場合、液化部16の出口側での液状の中間媒体の温度が中間媒体の凝固点よりも高い温度に維持されるため、液化部16において液化ガスと熱交換したとしても中間媒体が凍結することを防止できる。
【0050】
なお、所定温度として、液ポンプ13の吸込み側での圧力の計測値に対応する中間媒体の飽和温度よりも所定の設定温度だけ低い温度が採用されてもよい。このときの所定の設定温度は数度程度である。この場合、図6に示すように、液ポンプ13の吸込側に圧力計36が設けられる一方、温度調節器33に代えて温度センサ37が設けられる。温度センサ37は、液化部16内の中間媒体の温度を検出してもよく、あるいは液化部16から流出した中間媒体の温度を検出してもよい。そして、温度センサ37及び圧力計36から出力された信号を受けて、流量調整弁34を制御する流量制御部38が設けられる。流量制御部38は、温度センサ37によって検出される温度が、圧力計36による検出圧力に対応する中間媒体の飽和温度よりも低い温度になるように、流量調整弁34を制御する。この構成では、液ポンプ13にガス状の中間媒体が吸い込まれることを防止できるため、液ポンプ13でのキャビテーションを防止できる。
【0051】
また、流量調整弁34によって分岐路28の流量を制御する構成に代え、あるいは、流量調整弁34によって分岐路28の流量を制御する構成とともに、図7に示すように、液ポンプ13の送出流量を調整するポンプ制御部39が設けられてもよい。ポンプ制御部39は、温度センサ37の検出温度が、圧力計36の計測値に対応する中間媒体の飽和温度よりも低くなるように、液ポンプ13の送出量を調整するように構成されている。この構成では、液ポンプ13にガス状の中間媒体が吸い込まれることを防止できるため、液ポンプ13でのキャビテーションを防止できる。
【0052】
また、例えば液化ガスの流量が安定している場合等には、流量調整弁34によって分岐路28を流れる流量を制御する構成を省略することが可能である。
【0053】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第2実施形態に援用することができる。
【0054】
(第3実施形態)
図8は第3実施形態を示す。尚、ここでは第1及び第2実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0055】
第2実施形態では、分岐路28を流れたガス状の中間媒体を液化部16に流入させるが、これに対し、第3実施形態の冷熱発電システム10は、分岐路28を流れたガス状の中間媒体が液化部16を流出した液状の中間媒体に合流する点で相違する。
【0056】
具体的に、循環流路12には、液化部16と中間媒体保持槽17との間の部位に混合部42が設けられている。混合部42は、分岐路28に分流されたガス状の中間媒体を、液化部16を流出した液状の中間媒体に合流させるための部位であり、積層型マイクロチャネル混合器43によって構成されている。
【0057】
図9(a)~(c)に示すように、積層型マイクロチャネル混合器43は、液状の中間媒体を流すための複数の液流路44aを有する主プレート44と、主プレート44に積層される合流用プレート45と、を有する構成となっている。各プレートは何れも金属製であり、互いに接合されている。
【0058】
合流用プレート45及び主プレート44は、分岐路28を通して導入されたガス状の中間媒体を流すための連通流路47を有する。連通流路47は、合流用プレート45に形成されたガス流路47aと、このガス流路47aと主プレート44の液流路44aとを橋渡すように合流用プレート45から主プレート44に亘って延びる延出流路47bと、を含む。分岐路28がガス流路47aに接続されることにより、分岐路28は、連通流路47を通して液流路44aに連通している。したがって、分岐路28を流れたガス状の中間媒体は、液流路44aを流れる液状の中間媒体に連通流路47を通して合流する。
【0059】
この構成では、分岐路28を流れたガス状の中間媒体を液化部16から流出した液状の中間媒体に混合させる混合部42が積層型マイクロチャネル混合器43によって構成されている。液化部16から混合部42に導入された液状の中間媒体は積層型マイクロチャネル混合器43内の各液流路44aを流れる。したがって、分岐路28を流れたガス状の中間媒体が、連通流路47を通して積層型マイクロチャネル混合器43の液流路44a内の液状の中間媒体に混合される際に、混合ムラが発生しにくい。また、膨張タービン15で気化したガス状の中間媒体の一部を液化部16に流入する前に分流させるとともに、この一部の中間媒体を液化部16から流出した液状の中間媒体に合流させる構成が採用されている。このため、液化部16から導入された液状の中間媒体と分岐路28から導入されたガス状の中間媒体が均等に接触できないことによってガス状の中間媒体が完全に液化しないまま中間媒体保持槽17に流入してポンプに吸引される、という事態が発生することを抑制できる。
【0060】
なお、第3実施形態において、図8に示すように、混合部42の下流側に温度調節器333が設けられていてもよい。温度調節器33は、流量調整弁34に電気的に接続されており、測定温度が所定温度になるように流量調整弁34を制御する。
【0061】
また、第3実施形態においても、図10に示すように、温度センサ37及び圧力計36から出力された信号を受けて、流量制御部38が流量調整弁34を制御してもよい。流量制御部38は、温度センサ37によって検出される温度が、圧力計36による検出圧力に対応する中間媒体の飽和温度よりも低い温度になるように、流量調整弁34を制御する。この構成では、液ポンプ13にガス状の中間媒体が吸い込まれることを防止できるため、液ポンプ13でのキャビテーションを防止できる。
【0062】
また、流量調整弁34によって分岐路28の流量を制御する構成に代え、あるいは、流量調整弁34によって分岐路28の流量を制御する構成とともに、図11に示すように、液ポンプ13の送出流量を調整するポンプ制御部39が設けられてもよい。この場合、液化部16を流れる中間媒体又は液化部16から流出した中間媒体又は混合部42から流出した中間媒体の温度を検出する温度センサ37と、液ポンプ13の吸引側での中間媒体の圧力を検出する圧力計36と、が設けられる。ポンプ制御部39は、温度センサ37の検出温度が、圧力計36の計測値に対応する中間媒体の飽和温度よりも低くなるように、液ポンプ13の送出量を調整するように構成されている。この構成では、液ポンプ13にガス状の中間媒体が吸い込まれることを防止できるため、液ポンプ13でのキャビテーションを防止できる。
【0063】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1及び第2実施形態の説明を第3実施形態に援用することができる。
【0064】
(第4実施形態)
図12は第4実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
第4実施形態の冷熱発電システム10では、第3実施形態に示された液化部16を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器20と混合部42を構成する積層型マイクロチャネル混合器43とが一体的に形成されている点で、第3実施形態と相違する。図12に示すように、混合部42は、循環流路12における液化部16と中間媒体保持槽17との間の部位に位置しており、混合部42を構成する積層型マイクロチャネル混合器43と、液化部16を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器20とは、一体ものの積層型マイクロチャネル装置50によって構成されている。
【0066】
具体的に、図13(a)~(d)に示すように、積層型マイクロチャネル装置50は、長手方向の中間位置まで流路が形成された第1プレート51と、長手方向の全体に亘って流路が形成された第2プレート52と、合流用プレート45を含む第3プレート53と、を有し、これらプレート51,52,53が積層された構成である。
【0067】
第1プレート51は、液化部16の低温側プレート22を構成するプレート部分51aと、流路が形成されない状態で低温側プレート22に連続するプレート部分51bと、からなる。
【0068】
第2プレート52は、液化部16の高温側プレート21を構成するプレート部分52aと、混合部42の主プレート44を構成するプレート部分52bと、からなる。つまり、第2プレート52には、液化部16の高温側流路21aと混合部42の液流路44aとが連続するように繋がった流路が形成されている。
【0069】
第3プレート53は、流路が形成されていないプレート部分53aと、合流用プレート45を構成するプレート部分53bとからなる。合流用プレート45には、ガス流路47aが形成されている。合流用プレート45を構成するプレート部分53b及び第2プレート52のプレート部分52bには、ガス流路47aと高温側流路21aとを橋渡すように、第3プレート53から第2プレート52の主プレート44に亘って延びる延出流路47bが形成されている。この延出流路47bとガス流路47aとにより、分岐路28を液流路44aに連通させる連通流路47が形成される。
【0070】
本実施形態によれば、液化部16及び混合部42の作成コストを低減できる。
【0071】
なお、図13(c)には、温度調節器33が設けられた構成が示されているが、温度調節器33は省略されていてもよい。その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1~第3実施形態の説明を第4実施形態に援用することができる。
【0072】
(第5実施形態)
図14は第5実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0073】
第5実施形態の冷熱発電システム10は、第3実施形態の構成において、分岐路28が、分岐路28を流れるガス状の中間媒体の一部を液化部16に導く接続路55を有する構成としたものである。接続路55は、分岐路28の中間部から分岐するとともに、液化部16を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器20における高温側流路21aに連通している。
【0074】
積層型マイクロチャネル熱交換器20には、図15(a)~(d)に示すように、接続路55を高温側流路21aに連通させる第2連通流路57が設けられている。第2連通流路57は、高温側流路21aを有する高温側プレート21に隣接する隣接プレート31に形成された第2隣接流路57aと、この第2隣接流路57aと高温側流路21aとを橋渡すように隣接プレート31から高温側プレート21に亘って延びる第2延出流路57bと、を含む。接続路55が第2隣接流路57aに接続されることにより、接続路55は、第2連通流路57を通して高温側流路21aに連通している。したがって、接続路55を流れたガス状の中間媒体は、高温側流路21aを流れるガス状又は液状の中間媒体に合流する。
【0075】
したがって、本実施形態では、膨張タービン15で気化したガス状の中間媒体の一部が、分岐路28により液化部16に流入する前に分流し、この分流された中間媒体の一部が接続路55を通して、液化部16を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器20の高温側流路21aを流れる中間媒体に合流される。また、分流された中間媒体の他部は、分岐路28から混合部42を構成する積層型マイクロチャネル混合器43に流入する。したがって、液化ガス流量が増大した場合等のように液化ガスから中間媒体への冷熱供給量が増大したとしても、液化部16の出口において中間媒体が冷やされ過ぎることを防止でき、中間媒体の凍結を防止できる。
【0076】
なお、第5実施形態においても、図4に示す構成と同様に、温度調節器33及び流量調整弁34を含む流量制御部が設けられてもよい。また、図6に示す構成と同様に、流量制御部38が設けられてもよい。また、図7に示す構成と同様に、ポンプ制御部39が設けられてもよい。
【0077】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1~第4実施形態の説明を第5実施形態に援用することができる。
【0078】
(第6実施形態)
図16は第6実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0079】
図16に示すように、第6実施形態の冷熱発電システム10は、第5実施形態に示す冷熱発電システム10に対し、液化部16を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器20と混合部42を構成する積層型マイクロチャネル混合器43とが一体的に形成されて、1つの積層型マイクロチャネル装置50を構成している点で第5実施形態と相違する。
【0080】
具体的に、図17(a)~(d)に示すように、積層型マイクロチャネル装置50は、長手方向の中間位置まで流路が形成された第1プレート51と、長手方向の全体に亘って流路が形成された第2プレート52と、合流用プレート45を含む第3プレート53と、を有し、これらプレートが積層された構成である。
【0081】
第1プレート51は、液化部16の低温側プレート22を構成するプレート部分51aと、流路が形成されない状態で低温側プレート22に連続するプレート部分51bと、からなる。
【0082】
第2プレート52は、液化部16の高温側プレート21を構成するプレート部分52aと、混合部42の主プレート44を構成するプレート部分52bと、からなる。つまり、第2プレート52は、液化部16の高温側流路21aと混合部42の液流路44aとが連続した流路が形成されている。第3プレート53は、隣接プレート31を構成するプレート部分53aと、合流用プレート45を構成するプレート部分53bとからなる。
【0083】
隣接プレート31にはガス流路47aが形成され、合流用プレート45には第2隣接流路57aが形成されている。高温側プレート21を構成するプレート部分52a及び隣接プレート31を構成するプレート部分53aには、第2隣接流路57aと高温側流路21aとを橋渡すように、第3プレート53の隣接プレート31から第2プレート52の高温側プレート21に亘って延びる第2延出流路57bが形成されている。この第2延出流路57bと第2隣接流路57aとにより第2連通流路57が形成される。
【0084】
合流用プレート45には、ガス流路47aが形成されている。このガス流路47aと主プレート44の液流路44aとを橋渡すように、第3プレート53の合流用プレート45から第2プレート52の主プレート44に亘って延びる延出流路47bが形成されている。この延出流路47bとガス流路47aとにより、分岐路28を液流路44aに連通させる連通流路47が形成される。
【0085】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1~第5実施形態の説明を第6実施形態に援用することができる。
【0086】
(第7実施形態)
図18は第7実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0087】
第7実施形態の冷熱発電システム10では、液化部16が積層型マイクロチャネル熱交換器20によって構成されているが、この積層型マイクロチャネル熱交換器20においては、中間媒体と液化ガスとが互いに逆向きに流れる構成になっていない点において、第3実施形態と異なる。すなわち、液化部16を構成する積層型マイクロチャネル熱交換器20では、中間媒体と液化ガスが同じ方向に流れる。一方、混合部42が積層型マイクロチャネル混合器43によって構成される点においては、第3実施形態と同じである。
【0088】
本実施形態では、分岐路28を流れたガス状の中間媒体を液化部16から流出した液状の中間媒体に混合させる混合部42が積層型マイクロチャネル混合器43によって構成されている。このため、液化部16から混合部42に導入された液状の中間媒体は、積層型マイクロチャネル混合器43内の各流路を流れる。したがって、分岐路28を流れたガス状の中間媒体が連通流路47を通して積層型マイクロチャネル混合器43の流路内の液状の中間媒体に混合される際に、混合ムラが発生しにくい。また、膨張タービン15で気化したガス状の中間媒体の一部を液化部16に流入する前に分流させるとともに、この一部の中間媒体を液化部16から流出した液状の中間媒体に混合させる構成が採用されている。このため、液化部16から導入された液状の中間媒体と分岐路28から導入されたガス状の中間媒体が均等に接触できないことによってガス状の中間媒体が完全に液化しないまま中間媒体保持槽17に流入してポンプに吸引される、という事態が発生することを抑制できる。
【0089】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、第1~第6実施形態の説明を第7実施形態に援用することができる。
【0090】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0091】
10 :冷熱発電システム
13 :液ポンプ
14 :熱交換器
15 :膨張タービン
16 :液化部
17 :中間媒体保持槽
18 :発電機
20 :積層型マイクロチャネル熱交換器
21 :高温側プレート
21a :高温側流路
22 :低温側プレート
22a :低温側流路
28 :分岐路
30 :連通流路
38 :流量制御部
39 :ポンプ制御部
42 :混合部
43 :積層型マイクロチャネル混合器
44 :主プレート
44a :液流路
45 :合流用プレート
47 :連通流路
55 :接続路
57 :第2連通流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19