(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002748
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】薬液容器接続具
(51)【国際特許分類】
A61M 5/162 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61M5/162 500J
A61M5/162 500H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102139
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】秋山 和矢
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066EE10
4C066FF01
4C066HH07
4C066JJ03
4C066JJ07
(57)【要約】
【課題】薬液容器の形状等に対する汎用性が高く、接続及び固定が容易な薬液容器接続具を提供する。
【解決手段】薬液容器接続具100は、薬液容器9の栓体91に穿刺される棒状の針部1と、針部1の基端側を支持する支持部5と、を有し、針部1は、先端に形成された針先部2と、外周部に突起部としてのねじ山41が形成された係止部としてのねじ部4と、針先部2とねじ部4との間の直胴部3と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液容器の栓体に穿刺される棒状の針部と、
前記針部の基端側を支持する支持部と、を有し、
前記針部は、
先端に形成された針先部と、
外周部に突起部が形成された係止部と、
前記針先部と前記係止部との間の直胴部と、を有する薬液容器接続具。
【請求項2】
前記係止部は、前記突起部としてねじ山を有するねじ部である請求項1に記載の薬液容器接続具。
【請求項3】
前記ねじ部のねじ山の高さは、先端側よりも基端側が高い請求項2に記載の薬液容器接続具。
【請求項4】
前記針部は、筒状部材で形成されており、
前記針先部は、前記針部の内腔と外部とを連通する先端開口部を有する請求項1又は2に記載の薬液容器接続具。
【請求項5】
前記針部は、筒状部材で形成されており、
前記直胴部は、前記針部の内腔と外部とを連通する中間開口部を有する請求項1又は2に記載の薬液容器接続具。
【請求項6】
前記針部の延在方向における前記直胴部の長さは、前記係止部の長さよりも長い請求項1又は2に記載の薬液容器接続具。
【請求項7】
前記支持部は、閉鎖式コネクタ機構を有する請求項1又は2に記載の薬液容器接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液容器接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、点滴流体容器との連結のための点滴アダプタが記載されている。この点滴アダプタは、点滴流体容器の注射ポートに連結するためのアンカー固定構成要素を含む連結部分と、薬剤流体を含有するシリンジ組立体と連結するように適合された第1のポートとを含む。アンカー固定構成要素は、ねじ山付きスパイクを形成するらせんねじ山を含む。らせんねじ山は、連結部分から外方向に径方向に延び、連結部分のほぼ全体長さを延びる。らせんねじ山は、点滴アダプタを点滴流体容器に連結するときに注射ポートの内部壁と係合し、噛み合うことを可能にする。ねじ山は、注射ポートの内部壁内にセルフタッピングし、それ自体のねじ山を切る。点滴アダプタの連結部分は、注射ポート内に係止されアンカー固定され、点滴アダプタと点滴流体容器の注射ポートの間の大幅な相対移動が防止され、点滴流体容器からの点滴アダプタの連結解除が防止される。
【0003】
特許文献2には、オス部材と、オス部材に対向するアームと、オス部材に向かって突出するようにアームに設けられた爪とを備えたアダプタが記載されている。このアダプタは、オス部材をメスコネクタに挿入し且つ爪をメスコネクタに係合した状態で、例えばバイアル瓶のメスコネクタに接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2015-536212号公報
【特許文献2】国際公開第2016/152801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬液容器と薬液容器接続具との接続部において、接続が適切でない場合(例えば、適切に固定されていない場合など、外力によって容易に接続が解除されるような場合)、その接続が外れてしまい、薬液容器中の薬剤の飛散や液漏れといった事故が発生することがある。このような事故を防止するため、接続部にロック機構を付加した製品も販売されている。しかし、薬液容器の形状等が統一されていないため、それぞれの薬液容器に適した形状の薬液容器接続具を個別に準備する必要があり、不便である。
【0006】
特許文献2に記載されるような、アームやその爪で薬液容器接続具を薬液容器に固定するアダプタ(薬液容器接続具の一例)では、薬液容器の形状とアームやその爪の形状とが合致しなければ接続や固定が適切に行えない場合がある。そのため、薬液容器接続具には、製造元や規格が異なる種々の形状や形式(以下、形状等と称する)の薬液容器との接続性が求められる。
【0007】
特許文献1に記載されるような、従来技術にかかる点滴アダプタ(薬液容器接続具の一例)では、点滴アダプタを薬液容器の栓体に接続する場合に、栓体に対し、連結部分全体を栓体にねじ込んで差し込む操作が必要になる。このような薬液容器接続具では、栓体に対して直接薬液容器接続具が接続されるので、薬液容器の形状や型式による影響は小さく汎用性が高い。しかし、栓体に対し連結部分全体をねじ込んで差し込む操作は、ねじ込みの距離が長いと(ねじ込み量が多いと)使用者にとって負担となる場合がある。そのため、薬液容器への取り付け容易性の向上が求められる。
【0008】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、薬液容器の形状等に対する汎用性が高く、接続及び固定が容易な薬液容器接続具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る薬液容器接続具は、
薬液容器の栓体に穿刺される棒状の針部と、
前記針部の基端側を支持する支持部と、を有し、
前記針部は、
先端に形成された針先部と、
外周部に突起部が形成された係止部と、
前記針先部と前記係止部との間の直胴部と、を有する。
【0010】
本発明に係る薬液容器接続具では、更に、
前記係止部は、前記突起部としてねじ山を有するねじ部であってもよい。
【0011】
本発明に係る薬液容器接続具では、更に、
前記ねじ部のねじ山の高さは、先端側よりも基端側が高くてもよい。
【0012】
本発明に係る薬液容器接続具では、更に、
前記針部は、筒状部材で形成されており、
前記針先部は、前記針部の内腔と外部とを連通する先端開口部を有してもよい。
【0013】
本発明に係る薬液容器接続具では、更に、
前記針部は、筒状部材で形成されており、
前記直胴部は、前記針部の内腔と外部とを連通する中間開口部を有してもよい。
【0014】
本発明に係る薬液容器接続具では、更に、
前記針部の延在方向における前記直胴部の長さは、前記係止部の長さよりも長くてもよい。
【0015】
本発明に係る薬液容器接続具では、更に、
前記支持部は、閉鎖式コネクタ機構を有してもよい。
【発明の効果】
【0016】
薬液容器の形状等に対する汎用性が高く、接続及び固定が容易な薬液容器接続具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】薬液容器接続具の使用状態を説明する図である。
【
図2】薬液容器接続具の接続状態を説明する図である。
【
図5】別の薬液容器接続具の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面に基づいて、本発明の実施形態に係る薬液容器接続具について説明する。
【0019】
本実施形態に係る薬液容器接続具100(以下、単に接続具100と称する)は、
図1に示すように、薬液容器9にチューブ99などの別の医療器具を接続するための接続装置である。
【0020】
薬液容器9は、接続具100などの接続装置を接続するための栓体91を有している。栓体91は、例えばフッ素樹脂製などのゴム状の材料で形成されている。すなわち、栓体91は、いわゆるゴム栓である。薬液容器9は、例えば点滴バックである。
図1では、点滴バックである薬液容器9が点滴スタンドSに吊下げられている場合を例示して示している。
図1に示すように、栓体91は、薬液容器9の使用時において、薬液容器9の下端部に位置する。
【0021】
接続具100は、
図2に示すように、薬液容器9の栓体91に穿刺される棒状の針部1と、針部1の基端側を支持する支持部5と、を有する。針部1は、先端に形成された針先部2と、外周部に突起部としてのねじ山41が形成された係止部としてのねじ部4と、針先部2とねじ部4との間の直胴部3と、を有する。すなわち、針部1は、先端から基端側にかけて、針先部2、直胴部3及びねじ部4をこの順に有する。
【0022】
接続具100は、
図1に示すように、栓体91の下面側に接続及び固定して用いられる。接続具100が栓体91の下面側に接続された状態では、針部1が上側、支持部5が下側に配置される。後述するように、針部1が栓体91に穿刺、且つ、螺合接続されて、接続具100は薬液容器9に接続及び固定される。
【0023】
接続具100と栓体91との接続及び固定は、
図2に示すように、ねじ部4を栓体91にねじ込んで固定(螺合接続)することで行える。具体的には、まず、針部1を針先部2から栓体91の下面側に穿刺し、針先部2を栓体91に貫通させる。この際、直胴部3は、針先部2の穿刺によって栓体91に形成された貫通孔に挿通される。更に針先部2を薬液容器9の内部に押し込み、引き続いてねじ部4を栓体91にねじ込んで固定(螺合接続)する。これにより、接続具100と栓体91との接続及び固定が完了する。接続具100の薬液容器9への接続及び固定は、このように穿刺とねじ込みによって行えるため、薬液容器9の容器形状や形式などの形状等に左右されにくく汎用性が高い。また、接続具100の薬液容器9への接続及び固定は、針部1の栓体91への穿刺とねじ込みという容易な操作で行える。
【0024】
接続具100の薬液容器9への接続及び固定について詳述すると以下のとおりである。まず、接続具100の薬液容器9への接続は、針部1を栓体91に穿刺するという容易な操作で行える。
【0025】
更に、接続具100の薬液容器9への固定は、基端側のねじ部4のねじ込みのみでよい。すなわち、接続具100の薬液容器9への固定は、例えば針部1全体をねじ込むような操作は要せず、針部1を栓体91に穿刺する最終段階でのねじ込みのみで行える。すなわち、針部1の基端側のねじ部4のみを栓体91にねじ込めば接続具100の薬液容器9への固定が行える。換言すると、接続具100の薬液容器9への固定にあたり、ねじ込みの距離を短く(ねじ込み量を少なく)することができる。したがって、接続具100の薬液容器9への固定に際し、連続的にねじ込む力を加える必要がなく、固定が容易なものとなる。
【0026】
このように、接続具100は、薬液容器9との接続性について汎用性が高く、また、薬液容器9への接続及び固定が容易である。
【0027】
以下では、接続具100の各部について詳述する。
【0028】
針部1は、
図3に示すように、例えばチタンやステンレスなどの金属や金属合金、フッ素樹脂などの樹脂といった、医療器具での使用が許容された素材で形成された、筒状(棒状の一例)で針状の筒状部材である。本実施形態において、針部1は、外径が一定の直胴状である。
【0029】
針部1は、先端から基端側にかけて、針先部2、直胴部3及びねじ部4をこの順に有する。筒状の針部1の内腔10は、
図1に示す薬液容器9中の薬液をチューブ99などの別の医療器具へ供給するための液流路である。すなわち、針部1の内腔10(
図3参照)は、支持部5を介して、チューブ99などの別の医療器具の液流路と連通している。
【0030】
針先部2は、
図3に示すように、針部1の先端部である。針先部2は、例えば、針部1の延在方向に交差する刃面21を有し、その先端が鋭利に尖った針先22とされている。
【0031】
刃面21の面内には、針部1の内腔と外部空間とを連通する先端開口部23が形成されている。針部1では、先端開口部23を介して薬液容器9(
図1参照)中の薬液がその内腔10に流入可能となっている。なお、本実施形態において針先部2は、針部1の先端である針先22から針部1の延在方向に沿って刃面21の基端部に至る範囲における針部1の先端部分である。
【0032】
ねじ部4は、針部1を栓体91に係止させて接続具100を薬液容器9(以上
図1参照)に固定するための構造である。ねじ部4では、
図3、
図4に示すように、針部1の外周部にねじ山41が形成されている。ねじ部4は、針部1における、支持部5の先端側に隣接する位置に形成されている。
【0033】
ねじ山41は、針部1の延在方向に沿って延在するらせん形状に形成されている。ねじ山41は、栓体91からの針部1の引き抜きを防止するための突起部の一例であり、一種の返し構造である。ねじ山41は、一例として、一条ねじとして形成されてよい。なお、ねじ山41は、二条以上の多条ねじとして形成されてもよい。
【0034】
ねじ部4における、ねじ山41以外の部分である谷部42は、一例として直胴状であってよい。
【0035】
ねじ山41は、例えば、針部1の外周を1周以上5周以下周回するように形成されてよい。
図3、
図4では、ねじ山41が針部1の外周を3周している場合を図示している。このように、ねじ山41が針部1の外周を複数回数周回することで、針部1の側面(ねじ山41)と栓体91が複数個所で引っかかる構造となり、針部1に突起部(返し構造)を一つ設ける場合と比べて、栓体91に対する針部1の引き抜き強度が高くなり、針部1が栓体91から抜け難くなる(以上、
図1参照)。これにより、針部1が不意に抜け落ちて接続具100が薬液容器9から外れることを防止し、もって薬液容器9中の薬剤の飛散や液漏れといった事故の発生を抑制することができる。
【0036】
図4に示すように、ねじ山41の高さ(針部1の外周面からねじ山41の頂部41aまでの高さ)は、先端側よりも基端側が高くなるように形成されている。これにより、ねじ部4を栓体91へねじ込む際の力を小さくすることができ、接続具100の薬液容器9への固定を容易なものとすることができる。(以上
図1参照)。
【0037】
図4に示す例では、最も先端側の(一周目の)ねじ山41の頂部41aの高さh1よりも、最も基端側(3周目の)ねじ山41の頂部41aの高さh2が高くなるように形成されている。
図4に示す例では、基端側の頂部41aの高さh2は先端側の頂部41aの高さh1の2倍の高さである。ねじ山41の高さは、先端側から基端側にかけて、順次が高くなるように形成されてよい。高さh2は高さh1の100%以上250%以下とするとよい。
【0038】
基端側の頂部41aの高さh2は、ねじ部4の部分における針部1の胴部の直径dに対して80%以上120%以下の高さとしてよい。これにより、接続具100の薬液容器9への固定が確実なものとなる(以上
図1参照)。
【0039】
ねじ山41における、針部1の延在方向に沿う方向の最大厚みtは、直径dに対して15%以上30%以下としてよい。これにより、ねじ部4を栓体91へねじ込む際の力を小さくしつつも、接続具100の薬液容器9への固定をより確実なものとすることができる(以上
図1参照)。
【0040】
なお、本実施形態において、ねじ山41は、針部1の径方向に沿う方向において、根元側から径方向外側に向けて、順次厚みが薄くなるように形成されている場合を示している。換言すると、針部1の延在方向に沿う方向におけるねじ山41の厚みが最大となる部分は、針部1の径方向に沿う方向におけるねじ山41の根元部分(針部1の径方向に沿う方向における内側の端部)である。
【0041】
ねじ山41における、針部1の延在方向に沿う方向のピッチpは、直径dに対して40%以上60%以下としてよい。これにより、ねじ部4を栓体91へねじ込む際の力を小さくしつつも、接続具100の薬液容器9への固定をより確実なものとすることができる(以上
図1参照)。
【0042】
なお、接続具100が薬液容器9に固定された状態では、ねじ部4が栓体91の内部に位置し、ねじ部4が薬液容器9内に露出していない状態であることが好ましい。すなわち、栓体91の針部1の延在方向に沿う方向の厚さよりも、ねじ部4の針部1の延在方向に沿う方向の長さ(以下、単にねじ部4の長さと称する)が短いことが好ましい。このようにすることで、薬液に栓体91の破片が混入するような汚染を抑制することができる。また、針部1(ねじ部4)と栓体91との間での密封性の低下を防止することができる。
【0043】
図3に示すように、直胴部3は、針部1における、針先部2とねじ部4との間の部分である。直胴部3の針部1の延在方向に沿う方向の長さ(以下、単に直胴部3の長さと称する)を長くすると、栓体91(
図1参照)の厚みが厚くても薄くても確実に先端開口部23を薬液容器9(
図1参照)内に挿入することができるため、薬液容器9の形状等に対する接続具100の汎用性が高くなる。なお、直胴部3の長さを長くしすぎると、薬液容器9の薬液を使いきれない場合が生じる(残液量が多くなる)ことがある。
【0044】
例えば、直胴部3の長さをねじ部4の長さに対して70%以上130%以下の長さとすると、薬液容器9の形状等に対する接続具100の汎用性が適度に高くなる。
【0045】
直胴部3の長さをねじ部4の長さよりも長く、例えば、直胴部3の長さをねじ部4の長さの100%を超え、且つ、130%以下の長さとすると、残液量を過剰に多くすることなく薬液容器9の形状等に対する接続具100の汎用性を高めることができる。
【0046】
直胴部3の長さをねじ部4の長さよりも短く、例えば、直胴部3の長さをねじ部4の長さの70%以上100%未満の長さとすると、残液量を十分減らしつつも接続具100の汎用性を維持することができる。換言すると、ねじ部4の長さが直胴部3の長さよりもやや長くなる比率で針部1を形成すると、残液量を十分減らしたい場合に好適である。
【0047】
図1に示すように、支持部5は、針部1の基端側を支持する支持部材である。支持部5は、例えばその外形が、軸心が針部1の延在方向に沿う円柱状に形成されてよい。本実施形態において、支持部5は、針部1の基端側を支持する支持部材であるとともに、針部1の内腔10(
図3参照)とチューブ99などの別の医療器具の液流路とを連通させる接続具である。支持部5は、チューブ99などの別の医療器具が接続されていない状態では、針部1の内腔10と連通する流路を閉止し、チューブ99などの別の医療器具が接続された状態にある場合に限り、針部1の内腔10とチューブ99などの別の医療器具の液流路とを連通させる閉鎖式コネクタ機構(例えば、チューブ99の接続によって開状態となる弁部材)を有することが好ましい。本実施形態では、支持部5における針部1とは逆側の端部に配置されたコネクタ部55に閉鎖式コネクタ機構が内蔵されており、チューブ99などの別の医療器具が、このコネクタ部55を介して支持部5に接続可能とされている場合を例示している。
【0048】
支持部5は、
図2、
図3に示すように、先端側の端部に、その円柱形状の胴部分よりも直径が大きなフランジ状の鍔部51を有してもよい。接続具100が薬液容器9に固定された状態で、鍔部51を栓体91の下面に面当たりさせることで、接続具100の薬液容器9への固定状態(固定状態における栓体91に対する接続具100の姿勢)を安定させることができる。また、針部1の栓体91への穿刺とねじ込みにより鍔部51が栓体91の下面に面当たりすると、使用者が針部1の栓体91への穿刺とねじ込みの終点に到達した(接続具100の薬液容器9への接続及び固定が完了した)ことを容易に認識できるため、接続具100の薬液容器9への接続及び固定が容易になる。
【0049】
以上のようにして、接続及び固定が容易な薬液容器接続具を提供することができる。
【0050】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、筒状部材である針部1の針先部2の刃面21の面内に、針部1の内腔10と外部空間とを連通する先端開口部23が形成されており、直胴部3は、針部1の針先部2とねじ部4との間の部分であることを説明した。そして、針部1では、先端開口部23を介して薬液容器9中の薬液がその内腔10に流入可能となっていることを説明した。しかし、針部1が有する開口部は、先端開口部23に限られない。
【0051】
針部1は、先端開口部23に加えて、内腔10と外部空間とを連通する別の開口部を有してもよい。例えば、
図5に示すように、直胴部3に、針部1の壁部を貫通する貫通孔であって、内腔10と外部空間とを連通する中間開口部33が形成されていてもよい。針部1が中間開口部33を有することで、残液量を減少させることができる場合がある。
【0052】
中間開口部33は、接続具100が薬液容器9に固定された状態で、針部1における薬液容器9内に露出する位置(すなわち、栓体91よりも薬液容器9の内側位置)に位置するように配置する。
【0053】
(2)上記実施形態では、針部1は、外径が一定の直胴状である場合を例示して説明した。しかし、針部1は、基端側から先端側に向けて外径が縮小する形状であってもよい。針部1がこのような先細り形状である場合、針部1の栓体91への穿刺が容易になる場合がある。
【0054】
(3)上記実施形態では、針部1が、先端に形成された針先部2と、外周部に突起部としてのねじ山41が形成された係止部としてのねじ部4と、針先部2とねじ部4との間の直胴部3と、を有する場合を説明した。針部1の態様はこれに限られない。
【0055】
針部1は、ねじ部4に代えて、
図6に示すように、係止部としての返し構造部4Aを有するものとしてもよい。この場合、返し構造部4Aは、ねじ山41に代えて、針部1の外周部に突起部としての返し構造41Aを一つ又は複数個有してもよい。
【0056】
図6では、返し構造部4Aに、返し構造41Aが6つ形成されている場合を例示している。返し構造41Aは、例えば、針部1の外周面から径方向外側且つ基端側に向けて延出し、針部1の周方向の一部において突起する針状の突起状の部材とすることができる。返し構造41Aの延出方向に交差する断面は、例えば円形状としてよい。返し構造41Aの延出方向に交差する断面は、突起の先端に向かうにつれて縮径する形状としてよい。ねじ山41の場合と同様に、返し構造41Aが栓体91と引っ掛かり、栓体91からの針部1の引き抜きが防止されて、接続具100が栓体91にしっかりと固定される。なお、針部1が返し構造部4Aを有する場合、接続具100と栓体91との固定は、針先部2を薬液容器9の内部に押し込んだ後、引き続いて返し構造部4Aを栓体91に押し込むことによって行うことができる。
【0057】
返し構造部4Aは、返し構造41Aに代えて、針部1の周方向に沿って環状に形成され、且つ、径方向外側且つ基端側に向けて延出するリブ状の突起部を有してもよい。
【0058】
(4)上記実施形態では、ねじ部4が、針部1における、支持部5の先端側に隣接する位置に形成されている場合を説明した。しかし、支持部5とねじ部4との間にねじ山41が形成されていない直胴部分があってもよい。
【0059】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、薬液容器接続具に適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 :針部
10 :内腔
100 :接続具(薬液容器接続具)
2 :針先部
21 :刃面
22 :針先
23 :先端開口部
3 :胴部
33 :中間開口部
4 :ねじ部(係止部)
4A :返し構造部(係止部)
41 :ねじ山(突起部)
41A :返し構造(突起部)
41a :頂部
5 :支持部
51 :鍔部
55 :下端部
9 :薬液容器
91 :栓体
99 :チューブ
d :直径
h1 :高さ
h2 :高さ
p :ピッチ
S :点滴スタンド
t :厚み