(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027480
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20240222BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240222BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240222BHJP
A61K 8/00 20060101ALI20240222BHJP
A61K 8/45 20060101ALI20240222BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240222BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240222BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/891
A61K8/37
A61K8/00
A61K8/45
A61Q5/02
A61Q1/14
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130302
(22)【出願日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】吉川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】帯金 駿
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA112
4C083AB232
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC642
4C083AC912
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD171
4C083AD172
4C083AD242
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD572
4C083BB11
4C083CC22
4C083CC38
4C083DD01
4C083DD08
4C083DD32
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】 睫毛用化粧料の溶解性能、べたつきの無さ、目元の乾燥感の感じにくさすべてにおいて優れる組成物の提供。
【解決手段】
次の成分(a)及び(b);
(a):δd=14.0、δp=1.0、δh=1.0からのHSP距離Raが5.0以下である油剤
(b):δd=18.5、δp=4.0、δh=4.0からのHSP距離Raが5.0以下である油剤
を含有し、
25℃においてハンセン溶解度パラメータが以下の条件(1)~(3);
(1)12≦δd≦20 MPa1/2
(2)δp≦3 MPa1/2
(3)δh≦3 MPa1/2
を満たし、
外観が透明であり、実質的に界面活性剤を含まない組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)及び(b);
(a):δd=14.0、δp=1.0、δh=1.0からのHSP距離Raが5.0以下である油剤
(b):δd=18.5、δp=4.0、δh=4.0からのHSP距離Raが5.0以下である油剤
を含有し、
25℃においてハンセン溶解度パラメータが以下の条件(1)~(3);
(1)12≦δd≦20 MPa1/2
(2)δp≦3 MPa1/2
(3)δh≦3 MPa1/2
を満たし、
外観が透明であり、実質的に界面活性剤を含まない組成物。
【請求項2】
前記成分(a)と前記成分(b)のHSP距離Raが5.0以上である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記成分(a)及び前記成分(b)が25℃で液状である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記成分(a)の前記成分(b)に対する含有質量割合(a)/(b)が0.05~20である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記成分(b)が環状構造を有する油剤を含有する請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記成分(b)がシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを含有する請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が化粧料除去剤である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が睫毛用化粧料除去剤である請求項7に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では消費者ニーズの変化に伴い、睫毛用化粧料の高機能化が求められている。高機能性の睫毛用化粧料とは、例えば複数の樹脂、ワックス、増粘剤や表面被覆処理粉体等を含有し、カール力や化粧持続性を向上させたマスカラなどであり、これらのアイテムは洗浄力の低い化粧料除去剤(以下、除去剤と略す)では落としにくい場合があった。従って、これらの睫毛用化粧料を落とすための除去剤の高機能化が求められており、様々なタイプの除去剤が開発されている。一方で、これらの除去剤は消費者が日常的に使用するものであるため、その使用方法が簡便であり、使い心地に優れることも、機能性の向上と共に求められている。
種々の除去剤の中でも、液状油を主体とした除去剤は、睫毛用化粧料の溶解性に優れる反面、ふき取り使用後に油っぽいぬるつきを感じてしまうという欠点があった。
これまでに、複数のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、摩擦感を低減するクレンジング(例えば非特許文献1)や、油相、アルコール相及び非イオン活性剤相を含み、コンディショニング効果を有する無水化粧料組成物(例えば、特許文献1)や、特定の非イオン性界面活性剤、液状油、3価以上の多価アルコール等を組み合わせた、バイコンティニュアス構造を有する、使用感に優れるクレンジング化粧料(例えば特許文献2)が開発されている。また、油溶性皮膜形成剤、特定の非イオン性界面活性剤及び揮発性油剤等を組み合わせた、温水による除去性に優れた油性睫毛用化粧料(例えば特許文献3)が開発されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】松尾 真樹, 川田 純平, 作山 秀, 高洗浄性と低刺激性を両立した拭き取り型クレンジングローションの開発, 日本化粧品技術者会誌, 2020, 54巻,1号,p.15-25
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-118399号公報
【特許文献2】特開2019-147765号公報
【特許文献3】特開2017-125000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらは、使用性や洗い流しによる除去性能を向上させたものであるが、目元に使用した際は、目元に特有の乾燥感を感じやすい場合があった。これは瞼および眼球を保護されるために分泌される生体由来の脂質を過剰に除去してしまうことに由来するものであると推察される。また、洗い流しに水を使用することから、ふき取り使用をする除去剤に比べ簡便に使用できない場合があった。
すなわち、これまで、多様なタイプの睫毛用化粧料等の除去力に優れ、尚且つ、ふき取りで簡便に使用でき、使用後にぬるつきや目元等の乾燥感を感じにくい組成物は開発されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明者らは、睫毛用化粧料に含有される多種多様な樹脂、ワックス、増粘剤、表面処理粉体等と化学的親和性(以下、特に表記がない場合、親和性とは化学的な親和性を指す)が高く、肌および睫毛との親和性が適度に低い油剤を含有することで、睫毛用化粧料の除去性能に優れ、ふき取りで使用した後にぬるつきや目元の乾燥感を感じにくい使用感に優れた組成物が開発できると考えた。
鋭意検討した結果、(a)成分:δd=14.0、δp=1.0、δh=1.0からのRaが5.0以下である油剤、(b)成分:δd=18.5、δp=4.0、δh=4.0からのRaが5.0以下である油剤を含有し、且つ、組成物全体の25℃におけるハンセン溶解度パラメータが12≦δd≦20、δp≦3、δh≦3を満たし、外観が透明である組成物を調製することで、実質的に界面活性剤を含まずに睫毛用化粧料等の高い除去機能を持ち、後肌のぬるつきがなく、使用後に目元の乾燥感を感じにくい、優れた組成物を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、以下の[1]~[8]を提供する。
[1]
次の成分(a)及び(b);
(a):δd=14.0、δp=1.0、δh=1.0からのHSP距離Raが5.0以下である油剤
(b):δd=18.5、δp=4.0、δh=4.0からのHSP距離Raが5.0以下である油剤
を含有し、
25℃においてハンセン溶解度パラメータが以下の条件(1)~(3);
(1)12≦δd≦20 MPa1/2
(2)δp≦3 MPa1/2
(3)δh≦3 MPa1/2
を満たし、
外観が透明であり、実質的に界面活性剤を含まない組成物である。
[2]
前記成分(a)と前記成分(b)のHSP距離Raが5.0以上である[1]に記載の組成物である。
[3]
前記成分(a)及び前記成分(b)が25℃で液状である[1]又は[2]に記載の組成物である。
[4]
前記成分(a)の前記成分(b)に対する含有質量割合(a)/(b)が0.05以上20以下である[1]又は[2]に記載の組成物である。
[5]
前記成分(b)が環状構造を有する油剤を含有する[1]又は[2]に記載の組成物である。
[6]
前記成分(b)がシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを含有する[5]に記載の組成物である。
[7]
前記組成物が化粧料除去剤である[1]又は[2]に記載の組成物である。
[8]
前記組成物が睫毛用化粧料除去剤である[1]又は[2]に記載の組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、睫毛用化粧料の除去性能に優れ、使用後にぬるつきや目元の乾燥感を感じにくく、ふき取りで簡便に使用でき、透明性に優れた組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について特にその好ましい形態を中心に具体的に説明する。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。また、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
【0010】
本発明に係る組成物における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。
【0011】
一般に、高機能な睫毛用化粧料においては、睫毛のカール力、汗や皮脂への耐性、長時間の持続性を高めるために、樹脂性の原料(以下、樹脂という)が含有される。樹脂は低極性の樹脂と高極性の樹脂に分けられ、それぞれの樹脂を溶解させるためにはそれぞれに親和性の高い油剤を使用することが必要である。本発明においては、成分(a)はそのHSP空間での座標が低極性領域に位置するため、低極性の樹脂の溶解性が高い。成分(b)はそのHSP空間での座標が高極性領域に位置するため、高極性の樹脂の溶解性が高い。低極性、高極性には種々の定義が存在するが、本発明においては、成分(a)のHSP領域を低極性、成分(b)のHSP領域を高極性として用いることとする。すなわち、低極性とは、δd=14.0、δp=1.0、δh=1.0からのRaが5.0以下である領域を、高極性とはδd=18.5、δp=4.0、δh=4.0からのRaが5.0以下である領域を指す。
【0012】
ハンセン溶解度パラメータ (Hansen solubility parameter)(「HSP」ともいう)とは、Charles M. Hansenが1967年に発表した、物質の溶解性の予測に用いられる値であって、「分子間の相互作用が似ている2つの物質は、互いに溶解しやすい」との考えに基づくパラメータである。HSPは以下の3つのパラメータ(単位:MPa1/2)で構成されている。
δd:分子間の分散力によるエネルギー
δp:分子間の双極子相互作用によるエネルギー
δh:分子間の水素結合によるエネルギー
これら3つのパラメータは3次元空間(ハンセン空間)における座標とみなすことができ、2つの物質のHSPをハンセン空間内に置いたとき、2点間の距離が近ければ近いほど互いに溶解しやすいことを示している。すなわち「似た者同士は良く溶け合う」と言う言葉が示す通り、HSPは親和性の指標として用いることが出来る。化学工業2010年3月号(化学工業社)等に詳細な説明があり、パソコン用ソフト「HSPiP:Hansen Solubility Parameters in Practice」等を用いることで各種物質のHSPを得ることができる。本開示は、このパソコン用ソフト「HSPiP:Hansen Solubility Parameters in Practice」ver.5.3.02 を用いて得られたHSPを用いている。
【0013】
さらに、Raについては、「HSPiP:Hansen Solubility Parameters in Practice」のRa算出機能を用いて算出できるHSP距離のことを指す。また、下記のように表現することもできる。すなわち、成分XのHSPの座標を(δdX 、δpX 、δhX )としたとき、成分YのHSPの座標(δdY 、δpY 、δhY )とのRa(単位:MPa1/2)は下記式を満たすものとすることができる。
Ra=[4×(δdX - δdY)2 +(δpX - δpY)2 +(δhX - δhY)2 ]1/2
【0014】
すなわち、成分(a)のHSPの座標を(δda 、δpa 、δha )としたとき、成分(a)のHSPの座標は下記式を満たすものである。
δd=14.0、δp=1.0、δh=1.0とのRa=[4×(14.0 - δda)2 +(1.0 - δpa)2 +(1.0 - δha)2 ]1/2 ≦ 5.0
成分(b)および他成分とのRaに関しても、同様の手法で定義することが出来る。
【0015】
Abbott(Abbott, S. (2012). An integrated approach to optimizing skin delivery of cosmetic and pharmaceutical actives. Int J Cosmet Sci, 34(3), 217-222.)によれば、人間の肌の角層のHSPはδd=17.0、δp=8.0、δh=8.0の付近であるとされており、これは成分(b)の領域には含まれないが、成分(b)よりもさらに高極性の領域に位置する。そのため、組成物の極性が高い場合、肌との親和性が相対的に高いと考えられ、使用後に過剰に肌に残るため、ぬるつきが感じられる。
【0016】
一方、瞼の皮脂や、マイボーム腺から分泌される油性成分は瞼や眼球を乾燥から守る機能を持ち、これらを過剰に除去することは、目元の乾燥感を感じやすくなり、望ましくない。これらの成分の詳細については未だ解明されていないが、スクワレンやオレイン酸等の化合物が多く含まれると考えられる。HSPの観点から、スクワレン(δd=17.0、δp=0.9、δh=3.1)、オレイン酸(δd=16.0、δp=2.8、δh=6.2)は成分(a)、成分(b)いずれにも該当しないため、成分(a)、成分(b)によって除去され難いと考えられ、本発明による組成物では使用後に目元の乾燥感を感じにくいと考えられる。すなわち、組成物と肌や生体脂質との親和性は低い方が望ましく、睫毛用化粧料の除去性能と適度なバランスを保つ必要があることが推察される。すなわち、本発明品の組成物のHSPは、12≦δd≦20、δp≦3、δh≦3であることが必要である。
【0017】
またここで、本発明において、外観が透明とは、本発明の組成物を光路長10mm×光路幅5mmのガラスセルに充填し、分光光度計(UV−2500PC SHIMADZU社製)にて透過率を測定した場合、600nmの光の波長領域での透過率が95%以上のものをいう。本発明における組成物が透明であることは組成物を構成する化合物同士が相溶していることを示しており、相溶している組成物において、組成物のHSPは構成する化合物のHSPの体積比による単純な線形補間によって計算することができる。すなわち、本発明品が透明であることは、組成物のHSPが推定可能であることを示している。具体的には以下の計算式に基づいて計算される。
混合物のHSP[δdm,δpm,δhm] = [(a×δd1+b×δd2)/(a+b),(a×δp1+b×δp2)/(a+b),(a×δh1+b×δh2)/(a+b)]成分1 = [δd1, δp1, δh1]
a = 成分1の体積分率
成分2 = [δd2, δp2, δh2]
b = 成分2の体積分率
これは混合物が3以上の化合物からなる場合も同様に成立する。
【0018】
本発明における組成物は25℃において透明であり、混合された組成物のHSPは、12≦δd≦20、δp≦3、δh≦3であり、15≦δd≦20、δp≦3、δh≦3であることが好ましく、15≦δd≦20、δp≦2.2、δh≦2.2であることがさらに好ましい。これを満たすことで睫毛用化粧料を十分に除去しつつ、ぬるつきを感じにくい上に、目元の乾燥感を感じにくい。但し、本発明はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
【0019】
本発明で用いる成分(a):δd=14.0、δp=1.0、δh=1.0からのRaが5.0以下である油剤とは、組成物の基剤として含有されるものである他、睫毛用化粧料の除去性能にも影響するものである。また、使用後にも僅かに肌上に残ることから、使用後のぬるつきや、目元の乾燥感の感じにくさにも影響するものである。
【0020】
本発明で用いる成分(a)は、HSPにおいて、δd=14.0、δp=1.0、δh=1.0からのRaが5.0以下である。この範囲に入る油剤であれば、性状、由来、その他物性値を限定されることなく、いずれのものであっても使用することができ、例えば、シリコーン油、炭化水素油、エーテル油、エステル油、グリセライド油、天然動植物油剤および半合成油剤よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のものを使用することができる。成分名称以降の大括弧の中の数値はそれぞれの原料のHSP[δd,δp,δh]を示す。
【0021】
シリコーン油としては、動粘度2CS[11.73,0.82,0.28]~100CS[14.41,0.1,4.26]までのジメチルポリシロキサン、フェニルトリメチコン[12.93,0.96,0.42]、メチルハイドロジェンポリシロキサン[12.8,1.4,0.1]、メチルトリメチコン[11.97,0.99,0.45]、オクタメチルシクロテトラシロキサン[12,0.9,0.9]、デカメチルシクロペンタシロキサン[11.76,0.67,0.79]、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン[11.7,0.5,0.8]、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン[15.1,1.7,4.8]等が挙げられる。
【0022】
炭化水素油としては、直鎖状、分岐状、さらに揮発性の炭化水素油等が挙げられ、具体的には、イソドデカン[15.55,0.1,0.1]、スクワラン[15.86,0.1,0.1]、合成スクワラン[15.86,0.1,0.1]、植物性スクワラン[15.86,0.1,0.1]、ミネラルオイル(流動パラフィン)(平均分子量300~500)[16.0~17.0,0.1,0.1]、(C13-16)イソパラフィン[15.68,0.1,0.1]、水添ポリイソブテン(平均分子量170~1000)[14.6~16.0,0.1,0.1]等が挙げられる。
【0023】
エーテル油としては、エチルパーフルオロイソブチルエーテル[12.88,2.87,1.79]、エチルパーフルオロブチルエーテル[13.12,2.75,2.07]等が挙げられる。
【0024】
エステル油としては、イソステアリン酸イソブチル[15.9,1.66,2.29]、イソステアリン酸デシル[15.91,1.39,1.96]、イソステアリン酸メチルヘプチル[15.95,1.3,2.04]、イソノナン酸トリシクロデカンメチル[16.19,1.48,1.99]、ウンデシレン酸ヘプチル[16.01,2.34,2.86]、エルカ酸ベヘニル[16.12,0.9,1.57]、オクタン酸セチル[16,1.46,2.09]、カプリル酸ステアリル[16.01,1.81,2.26]、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3[15.92,4.11,1.39]、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール[15.47,1.12,2.43]、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール[15.99,2.07,3.13]、ジステアリン酸グリセリル[16.14,2.36,2.72]、ステアリン酸オクチル[16.05,1.41,2.16]、ステアリン酸オクチルドデシル[16.19,0.87,1.48]、ステアリン酸セチル[16.03,1.13,1.7]、セバシン酸ジエチルヘキシル[16.16,2.08,2.98]、セバシン酸ジブチルオクチル[16.4,1.6,2.13]、トリベヘン酸グリセリル[16.12,0.9,1.57]、パルミチン酸エチルヘキシル[16.01,1.72,2.31]、パルミチン酸メチルヘプチル[16.06,1.74,2.35]、ヘキサイソノナン酸ジペンタエリスリチル[16.23,1.25,1.96]、ミリスチン酸ミレス-3[15.89,2.36,3.18]、ミリスチン酸メチルヘプチル[16.09,1.68,2.52]、ラウリン酸カプリリル[16.03,2.16,2.66]、ラウリン酸デシル[16.03,2.1,2.58]、ラウリン酸ミリスチル[16.01,1.81,2.26]、ラウリン酸メチルヘプチル[16.07,2.05,2.72]、リン酸トリオレイル[15.92,2.93,2.37]、リン酸トリセチル[16.01,3.2,2.31]、炭酸ジエチルヘキシル[15.67,3.21,2.8]、エルカ酸オレイル[16.14,1.05,1.68]、ステアリン酸ステアリル[16.03,1.13,1.7]、イソステアリン酸イソステアリル[15.81,0.92,1.29]、イソステアリン酸ヘキシルデシル[16.05,0.92,1.64]、オレイン酸オレイル[16.18,1.21,1.85]、ステアリン酸イソセチル[15.92,1.02,1.56]、パルミチン酸イソステアリル[15.86,1.27,1.65]、パルミチン酸セチル[15.98,1.39,1.8]、ミリスチン酸オクチルドデシル[16.17,1.03,1.65]、ミリスチン酸イソステアリル[15.91,1.19,1.74]、ミリスチン酸イソセチル[15.91,1.2,1.75]、ミリスチン酸セチル[16.04,1.31,1.9]、オレイン酸イソデシル[16.01,1.58,2.1]、オレイン酸デシル[16.14,1.7,2.26]、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル[16.49,0.86,1.26]、ミリスチン酸ミリスチル[16.04,1.5,2.12]、イソノナン酸セテアリル[15.87,1.43,1.95]、カプリン酸セチル[16.04,1.53,2.15]、ステアリン酸エチルヘキシル[16.05,1.41,2.16]、ヘプタン酸ステアリル[16.03,1.75,2.33]、エチルヘキサン酸セチル[16,1.46,2.09]、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル[16.09,1.33,2.02]、ネオペンタン酸オクチルドデシル[15.85,1.06,1.83]、パルミチン酸オクチル[16.01,1.72,2.31]、ステアリン酸ブチル[16.06,1.79,2.46]、ネオペンタン酸イソステアリル[15.6,1.26,1.65]、イソステアリン酸イソプロピル[15.75,1.63,1.97]、イソステアリン酸エチル[15.79,1.91,2.32]、イソノナン酸イソトリデシル[15.66,1.12,1.88]、ジステアリン酸PG[16.22,1.45,2.22]、ステアロイルオキシステアリン酸イソセチル[16.16,0.97,1.48]、オレイン酸エチル[16.13,2.28,2.86]、ジイソステアリン酸PG[15.92,1.26,1.77]、ジオレイン酸PG[16.32,1.7,2.55]、ジオレイン酸グリコール[16.22,1.99,2.65]、ジステアリン酸グリコール[16.15,1.74,2.31]、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル[16.21,0.55,1]、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン[16.06,0.65,1.18]、パルミチン酸イソプロピル[15.88,3.88,2.52]、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2[16.13,1.17,1.33]、ラウリン酸ヘキシル[16.05,2.47,3.01]、酢酸セチル[16.02,2.15,2.85]、イソノナン酸イソデシル[15.52,1.43,2.23]、イソノナン酸エチルヘキシル[15.62,1.43,2.63]、トリステアリン酸PEG-3トリメチロールプロパン[16.46,1.39,1.46]、ネオペンタン酸トリデシル[15.72,1.69,2.44]、ミリスチン酸イソプロピル[15.91,2.12,2.76]、ラウリン酸イソアミル[15.87,2.36,2.95]、トリイソステアリン酸PEG-3トリメチロールプロパン[16.01,1.17,1.93]、イソノナン酸イソノニル[15.35,0.97,2.06]、トリイソステアリン酸PEG-3グリセリル[15.89,1.59,2.2]、ネオペンタン酸イソデシル[15.46,1.9,2.42]、ジステアリン酸PEG-2[16.1,1.97,2.55]、トリステアリン酸PEG-4グリセリル[16.32,1.96,1.69]、リシノレイン酸セチル[16.13,2.22,3.03]、炭酸ジカプリリル[15.75,3.52,2.81]、ジイソステアリン酸PEG-2[15.81,1.78,2.17]、ジオレイン酸PEG-2[16.16,2.19,3.08]、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール[16.12,2.15,3.07]、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル[16.28,2.27,1.93]、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2[15.91,1.97,0.95]、リンゴ酸ジイソステアリル[15.8,2.17,1.82]、ジイソステアリン酸グリセリル[15.87,2.17,3.34]、ステアリン酸セテス-3[15.89,1.95,2.69]、トリイソステアリン酸PEG-4ソルビタン[16.19,2.32,2.31]、トリステアリン酸PEG-5グリセリル[16.3,2.09,1.62]、トリイソステアリン酸PEG-5グリセリル[15.86,1.87,2.69]、ジステアリン酸PEG-3[16.06,2.18,2.74]、ジイソステアリン酸PEG-3[15.78,1.99,2.47]、トリステアリン酸PEG-6グリセリル[16.29,2.21,1.53]、トリミリスチン酸PEG-5トリメチロールプロパン[16.36,2.08,1.84]、ステアリン酸ステアレス-4[15.86,2.13,2.84]、ジパルミチン酸PEG-3[15.95,2.56,3.01]、ジステアリン酸PEG-4[16.02,2.36,2.88]等が挙げられる。
【0025】
グリセライド油としては、トリイソステアリンPEG-6[15.85,1.99,2.92]、トリイソパルミチン[15.89,1.5,1.68]、トリステアリン[16.42,1.33,1.63]、トリベヘニン[16.48,0.98,1.23]、トリイソステアリン[15.94,1.09,1.44]、トリパルミチン[16.38,1.75,1.88]等が挙げられる。
【0026】
天然動植物油剤及び半合成油剤としては、なたね油(ハイエルシック)[16.3,1.3,2.7]、メドウフォーム油[16.2,1.1,2.4]、ホホバ種子油[16.2,1.03,1.8]等が挙げられる。
【0027】
その中でも睫毛用化粧料と馴染みやすく高い除去性能が得られることから、25℃で液状であることが好ましい。また、δd=14.0、δp=1.0、δh=1.0からのRaが4.0以下であることが、さらに好ましい。
具体的には、ジメチルポリシロキサン(100CS)[14.41,0.1,4.26]、フェニルトリメチコン[12.93,0.96,0.42]、メチルハイドロジェンポリシロキサン[12.8,1.4,0.1]、イソドデカン[15.55,0.1,0.1]、スクワラン[15.86,0.1,0.1]、合成スクワラン[15.86,0.1,0.1]、植物性スクワラン[15.86,0.1,0.1]、ミネラルオイル(流動パラフィン)(平均分子量300~500)[16.0から17.0,0.1,0.1]、(C13-16)イソパラフィン[15.68,0.1,0.1]、水添ポリイソブテン(平均分子量170~1000)[14.6から16.0,0.1,0.1]、エチルパーフルオロイソブチルエーテル[12.88,2.87,1.79]、エチルパーフルオロブチルエーテル[13.12,2.75,2.07]、イソステアリン酸デシル[15.91,1.39,1.96]、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール[15.47,1.12,2.43]、イソステアリン酸イソステアリル[15.81,0.92,1.29]、ステアリン酸イソセチル[15.92,1.02,1.56]、パルミチン酸イソステアリル[15.86,1.27,1.65]、ミリスチン酸イソステアリル[15.91,1.19,1.74]、ミリスチン酸イソセチル[15.91,1.2,1.75]、イソノナン酸セテアリル[15.87,1.43,1.95]、ネオペンタン酸オクチルドデシル[15.85,1.06,1.83]、ネオペンタン酸イソステアリル[15.6,1.26,1.65]、イソステアリン酸イソプロピル[15.75,1.63,1.97]、イソステアリン酸エチル[15.79,1.91,2.32]、イソノナン酸イソトリデシル[15.66,1.12,1.88]
ジイソステアリン酸PG[15.92,1.26,1.77]、イソノナン酸イソデシル[15.52,1.43,2.23]、イソノナン酸エチルヘキシル[15.62,1.43,2.63]、ネオペンタン酸トリデシル[15.72,1.69,2.44]、イソノナン酸イソノニル[15.35,0.97,2.06]、ネオペンタン酸イソデシル[15.46,1.9,2.42]、ジイソステアリン酸PEG-2[15.81,1.78,2.17]、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2[15.91,1.97,0.95]、リンゴ酸ジイソステアリル[15.8,2.17,1.82]、ジイソステアリン酸PEG-3[15.78,1.99,2.47]、トリイソパルミチン[15.89,1.5,1.68]、トリイソステアリン[15.94,1.09,1.44]等が挙げられる。
【0028】
本発明で用いる成分(a)の含有量は、特に限定されないが、ふき取り後のぬるつきのなさ等の観点から5~95%が好ましく、10~70%がより好ましく、30~50%がさらにより好ましい。
【0029】
本発明で用いる成分(b):δd=18.5、δp=4.0、δh=4.0からのRaが5.0以下である油剤とは、組成物の基剤として含有されるものである他、睫毛用化粧料の除去性能にも影響するものである。また、使用後にも僅かに肌上に残ることから、使用後のぬるつきや、目元の乾燥感の感じにくさにも影響するものである。
【0030】
本発明で用いる成分(b)は、HSPにおいて、δd=18.5、δp=4.0、δh=4.0からのRaが5.0以下であることが必要である。この範囲に入る油剤であれば、性状、由来、その他物性値を限定されることなく、いずれのものであっても使用することができ、例えば、エステル油、グリセライド油、高級脂肪酸、天然動植物油剤および半合成油剤よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のものを使用することができる。
【0031】
エステル油としては、ジリノール酸ジイソプロピル[16.56,5.87,1.52]、オレイン酸ジヒドロコレステリル[17.25,1.08,1.38]、ステアリン酸コレステリル[17.16,0.85,1.61]、安息香酸アルキル(C12-15)[16.78,3.67,2.62]、トリオレイン酸PEG-3グリセリル[16.38,1.92,4.15]、酢酸トコフェロール[16.75,1.38,2.01]、酪酸ジヒドロコレステリル[17.11,1.38,1.46]、ジカプリン酸PG[16.26,2.43,3.57]、オクトクリレン[17.75,3.96,3.91]、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル[17.46,3.67,4.69]、ジオレイン酸グリセリル[16.28,2.59,3.39]、ジノナン酸PG[16.25,2.54,3.61]、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル[16.83,3.34,1.53]、トリオレイン酸PEG-5グリセリル[16.31,2.12,5.23]、トリオレイン酸ソルビタン[16.67,2.21,2.82]、ラウロイルグルタミン酸ジイソステアリル[16.17,3.67,2.34]、ジカプリル酸PG[16.24,3.16,4.17]、ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル[16.8,3.8,1.9]、ジヒドロコレステロール[17.14,2.08,3.33]、ジパルミチン酸ピリドキシン[16.71,2.36,1.72]、ステアリン酸PG[16.15,3.07,4.87]、ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシル[16.48,3.89,2.43]、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル[17.15,1.43,2.06]、フィトステロールズ[17.15,1.83,3.4]、ベヘナミドプロピルジメチルアミン[16.2,5.34,4.14]、ホモサレート[17.69,5.21,5.62]、ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテル[16.64,2.9,3.64]、リノール酸エチル[16.4,2.39,3.29]、リノール酸レチノール[17.04,0.96,1.95]、リンゴ酸ジエチルヘキシル[16.33,3.96,5.89]、レチノイン酸トコフェリル[17.3,1.05,1.43]、安息香酸エチルヘキシル[16.9,4.17,3.14]、安息香酸フェネチル[18.48,4.72,3.68]、乳酸オクチルドデシル[16.19,2.66,4.59]、乳酸セチル[16.14,3.23,5.13]、乳酸ミリスチル[16.2,3.63,5.87]、アジピン酸ジエチルヘキシル[16.15,2.4,3.44]、エイコサン酸[16.12,2.74,4.73]、カプリル酸フェノキシエチル[17.09,3.85,5.01]、クエン酸ジラウリル[16.52,3.3,5.4]、クエン酸トリエチルヘキシル[16.65,2.58,4.65]、コハク酸ジエチルヘキシル[16.15,2.7,3.84]、コハク酸ジヘプチル[16.22,3.63,4.4]、コハク酸ジエチルヘキシル[16.15,2.7,3.84]、サリチル酸エチルヘキシル[17.15,5.47,5.78]、ジ(カプリル/カプリン酸)PG[16.3,2.5,3.6]、ジオレイン酸ポリグリセリル-5[16.42,5.44,3.19]、ジカプリル酸ピリドキシン[17.06,3.72,3.31]、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール[16.47,5.06,6.6]、ジノナン酸PG[16.25,2.54,3.61]、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール[16.09,2.84,3.87]、ジメチルPABAエチルヘキシル[17.42,4.26,4.3]、ジヤシ油脂肪酸ポリグリセリル-3[16.25,5.45,4.43]、ジ安息香酸PG[18.37,6.52,3.7]、ステアラミドプロピルジメチルアミン[16.26,5.87,4.54]、ステアリン酸BG[16.11,3.02,4.61]、ステアリン酸PG[16.15,3.07,4.87]、テトラ(カプリル/カプリン酸)ペンタエリスリチル[16.66,2.13,2.01]、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル[16.77,1.6,1.69]、トリ(C12-15)パレス-2リン酸[16.98,6.61,4.02]、トリ(C12-15)パレス-8リン酸[16.51,6.42,3.27]、リエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン[16.55,1.6,2.56]、トリオレイン酸ポリグリセリル-5[16.54,4.33,2.9]、トリメリト酸トリエチルヘキシル[16.89,5.01,1.79]、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル[16.4,3.67,3.06]、等が挙げられる。
【0032】
グリセライド油としては、トリカプリリン[16.38,3.15,3.66]、トリエチルヘキサノイン[16.43,2.3,3.1]、トリオレイン[16.51,1.54,2.64]、トリオレイン[16.51,1.54,2.64]、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル[16.4,2.5,3]、トリヘプタノイン[16.46,3.32,4.06]等が挙げられる。
【0033】
高級脂肪酸としては、ベヘン酸[16.15,2.33,4.31]、エイコサン酸[16.12,2.74,4.73]等が挙げられる。
【0034】
天然動植物油剤及び半合成油剤としては、コレステロール[17.18,2.09,3.85]、フィトステロール[17.2,1.8,3.4]、あまに油[16.27,1.75,4.38]、サフラワー油[16.45,1.51,2.72]、ひまわり油[16.47,1.52,2.65]、なたね油(ローエルシック)[16.41,1.54,3.03]、オリーブ油[16.46,1.54,2.60]、パーム核油[16.38,2.01,2.49]、やし油[16.37,2.10,2.50]、ひまし油[16.58,3.00,2.97]、アボカド油[16.47,1.57,2.68]、アンズ核油[16.43,1.48,2.82]、アーモンド油[16.44,1.52,2.78]、ヘーゼルナッツ油[16.43,1.59,2.84]、マカデミア種子油[16.48,1.63,2.66]、椿油[16.48,1.54,2.59]、コットンシードオイル[16.28,1.84,4.54]等が挙げられる。
その中でも睫毛用化粧料との馴染みやすく、除去性能に優れることから、25℃で液状であることが好ましい。また、環状構造を有するものであることが好ましく、具体的にはシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールであることが特に好ましい。
【0035】
本発明の組成物は、25℃において外観が透明であり、均一に溶解している。5℃以下の低温、または40℃以上の高温において、一時的に分離、白濁、乳化される等の二相状態を取ることは問題ないが、25℃に戻した際には、シェーキング等の簡易な混合によって透明になり、一相になることが必要である。このような状態において、組成物はその混合物としてのHSPを計算から推定することができ、計算された組成物のHSPは12≦δd≦20、δp≦3、δh≦3である。
【0036】
本発明の組成物は界面活性剤を実質的に含まないことを特徴とする。ここでいう界面活性剤とは、IOBが0.40以上かつ、油中水又は水中油型エマルジョンを形成する機能を持つものである。ここでいう実質的に含まないとは、具体的には界面活性剤を0.1%以上を含まないことを指す。ふき取り後のぬるつきの観点から、0.05%以下がより好ましく、0.001%以下がさらにより好ましい。
【0037】
本発明におけるIOBとは、有機概念図におけるものである。有機概念図とは、藤田穆により提案された有機化合物の極性/非極性を表す概念であり、その詳細は、例えば、“Pharmaceutical Bulletin”, vol.2, 2, pp.163-173(1954)、「化学の領域」vol.11,10,pp.719-725(1957)、「フレグランスジャーナル」, vol.50, pp.79-82(1981)等で説明されている。簡潔に言えば、全ての有機化合物の根源をメタン(CH4)とし、他の化合物はすべてメタンの誘導体とみなして、その炭素数、置換基、変態部、環等にそれぞれ一定の数値を設定し、そのスコアを加算して有機性値(OV)、無機性値(IV)を求め、この値を有機性値をX軸、無機性値をY軸にとった図上にプロットしていくものである。有機概念図におけるIOBとは、有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、すなわち「無機性値(IV)/有機性値(OV)」をいう。有機概念図の詳細については、「新版 有機概念図-基礎と応用-」(甲田善生等著、三共出版、2008)を参照されたい。
本発明では特定の官能基を有するかどうかでは、界面活性剤であるかどうかを特定しない。例えば、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは分子内にエステル基を含む両親媒性エステル化合物であるが、水中油型エマルジョンや油中水型エマルジョンの形成に関与するものではなく、本発明における界面活性剤には該当しない。
【0038】
本発明で用いる成分(b)の含有量は特に限定されないが、ふき取り後のぬるつきのなさ等の観点から5~95%が好ましく、30~70%がより好ましく、40~55%さらにより好ましい。
【0039】
成分(a)と成分(b)のHSP距離Ra(以下、Ra(a,b)ともいう)は特に限定されるものではないが、Ra(a,b)が5.0以上であることが好ましい。Ra(a,b)がこれ以上大きければ、睫毛用化粧料に含有される低極性と高極性の樹脂の両方を効果的に除去することができ、種々の睫毛用化粧料に幅広く適用することが出来る。除去性能の観点から、Ra(a,b)は、5.0=9.0であることがさらに好ましい。
【0040】
Ra(a,b)は、組成物中に成分(a)および成分(b)に該当する成分が複数ある場合は、それぞれのRaのうち最も大きいものを用いて計算を行うことが出来る。その場合であっても、成分(a)と成分(b)のRa(a,b)は特に限定されるものではないが、Ra(a,b)が5.0以上であることが好ましく、5.0~9.0であることがさらに好ましい。
【0041】
また、本発明で用いる成分(a)の成分(b)に対する含有質量割合(a)/(b)は特に限定されないが0.05~20であることが好ましい。この範囲であれば、睫毛用化粧料に含有される低極性と高極性の樹脂の両方をバランス良く除去することができ、除去されず残ることが少ない。また、馴染みの速さが得られることから含有質量割合(a)/(b)が0.1~10であることがより好ましい。
【0042】
本発明の組成物は、単独で一層の組成物として用いてもよく、また、多層組成物の一部として用いてもよい。例えば、水層及び油層からなる二層組成物の油層部分が本発明の組成物からなる形態であってもよい。
【0043】
本発明の組成物には、必要に応じて含有可能な種々の成分を適宜用いることができる。そのような成分として粉体、水性成分、アルコール類、水溶性高分子、紫外線吸収剤、保湿剤、ゲル化剤及び増粘剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分(美白剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、防腐剤、抗菌剤、香料、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン等が例示される。
【0044】
本発明の組成物は、種々の剤型、例えば、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、プレス状、多層状、ムース状、スプレー状、又はスティック状等の剤型の化粧料の除去剤として使用することができる。また、本発明の組成物は、種々の適用部位を対象とした化粧料、例えば、メイクアップ化粧料、スキンケア化粧料、頭髪化粧料、制汗剤、又は紫外線防御用化粧料等の除去剤として使用することができる。
【0045】
本発明の組成物は、化粧水、乳液、美容液、パック、オールインワンジェル、クリーム、ボディミルク、オイルクレンジング、クレンジングクリーム、日焼け止め等の基礎化粧料、スタイリングウォーター、ヘアワックス等の頭髪用化粧料、マスカラ、マスカラリムーバー、リップグロス、口紅、アイシャドウ、アイライナー、ファンデーション、フェイスカラー、コンシーラー、化粧下地等のメイクアップ化粧料等に適宜用いることができる。中でも、オイルクレンジング、クレンジングクリーム及びマスカラリムーバー等の化粧料除去剤に好適に用いられ、マスカラリムーバー等の睫毛用化粧料除去剤にさらに好適に用いられる。
【0046】
本発明の組成物の使用方法は特に限定されず、洗い流して使用しても、ふき取り使用してもよいが、使用の簡便さの観点からふき取り使用のほうが好ましい。
【0047】
また、本発明は、以下の構成を採用することも可能である。
[1]
次の成分(a)及び(b);
(a):δd=14.0、δp=1.0、δh=1.0からのHSP距離Raが5.0以下である油剤
(b):δd=18.5、δp=4.0、δh=4.0からのHSP距離Raが5.0以下である油剤
を含有し、
25℃においてハンセン溶解度パラメータが以下の条件(1)~(3);
(1)12≦δd≦20 MPa1/2
(2)δp≦3 MPa1/2
(3)δh≦3 MPa1/2
を満たし、
外観が透明であり、実質的に界面活性剤を含まない組成物である。
[2]
前記成分(a)と前記成分(b)のRaが5.0以上である[1]に記載の組成物である。
[3]
前記成分(a)及び前記成分(b)が25℃で液状である[1]又は[2]に記載の組成物である。
[4]
前記成分(a)の前記成分(b)に対する含有質量割合(a)/(b)が0.05以上20以下である[1]から[3]に記載の組成物である。
[5]
前記成分(b)が環状構造を有する油剤を含有する[1]から[4]に記載の組成物である。
[6]
前記成分(b)がシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを含有する[5]に記載の組成物である。
[7]
前記組成物が化粧料除去剤である[1]から[6]に記載の組成物である。
[8]
前記組成物が睫毛用化粧料除去剤である[1]から[7]に記載の組成物である。
【実施例0048】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0049】
実施例1~12および比較例1~6:睫毛用化粧料の除去剤(マスカラリムーバー)
表1及び2に表す組成および下記製法にてマスカラリムーバーを調製し、下記評価項目について以下の評価方法及び判定基準により評価判定を行った。
<評価試験1>睫毛用化粧料の除去性能
<評価試験2>ふき取り使用後のぬるつきの無さ
<評価試験3>外観の透明性
<評価試験4>使用後の目元の乾燥感の感じにくさ
その結果も併せて表に示す。
【0050】
【0051】
【0052】
(製法)
成分(1)~(15)を計量し、室温にてイカリ型ミキサーにて200rpmの回転数で5分間撹拌し、均一に混合して睫毛用化粧料の除去剤を得た。
【0053】
<評価試験1>睫毛用化粧料の除去性能
以下に示す処方により調製した睫毛用化粧料をそれぞれ0.01gずつ、6mlのガラス瓶に正確に量り取り、1日以上乾燥させた。そこへピペットマンを用いて実施例および比較例のマスカラリムーバーを1ml添加し、攪拌せずに室温で静置した。24時間後に軽く振とうし、睫毛用化粧料の溶解状態を目視にて観察し、以下の基準に従って評価をした。
処方1,処方2に対してそれぞれの試験を行い、両者の判定が同じであればその判定を、異なる場合は低い方の判定を示した。
【0054】
<処方1> 油性睫毛用化粧料
(成分) (%)
(1)トリメチルシロキシケイ酸溶液 *1 20.0
(2)ミツロウ 7.0
(3)トリオクタン酸グリセリル 5.0
(4)軽質流動イソパラフィン *2 40.3
(5)POE(80)硬化ヒマシ油 *3 1.5
(6)POE(5)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド *4 0.2
(7)デキストリン脂肪酸エステル *5 2.0
(8)マイカ 7.0
(10)黒酸化鉄 7.0
(11)グリセリン 10.0
*1:KF7312J(信越化学工業社製)(固形分50%デカメチルシクロペンタシロ
キサン溶液)
*2:IPソルベント 1620MU(出光興産社製)
*3:HCO-80(日本サーファクタント社製)
*4:アミゼット5C(川研ファインケミカル社製)
*5:レオパール KL(千葉製粉社製)
<処方1の製法>
A.成分(1)~(2)を約110℃に加熱し、均一に混合する。
B.Aに(3)~(11)を添加し、均一に混合する。
C.Bを容器に充填して油性睫毛用化粧料を得た。
【0055】
<処方2> 油中水型睫毛用化粧料
(成分) (%)
(1)水添ロジン酸ペンタエリスリチル *6 10.0
(2)ミツロウ 7.0
(3)水添ポリイソブテン *7 51.3
(4)デカメチルシクロペンタシロキサン 5.0
(5)ワセリン 3.0
(6)カルナウバロウエキス 1.0
(7)ジポリヒドロキシステアリン酸PEG―30 1.0
(8)レシチン 0.5
(9)黒酸化鉄 5.0
(10)ナイロンー12 0.2
(11)精製水 10.0
(12)1,3-ブチレングリコール 4.0
(13)エタノール 2.0
*6:エステルガムHP(荒川化学工業製)
*7:IPソルベント 1620MU(出光興産社製)
【0056】
<処方2の製法>
A.成分(1)~(2)を約110℃に加熱し、均一に混合する。
B.Aに(3)~(10)を添加し、均一に混合する。
C.成分(11)~(13)を室温で均一に混合する。
D.BにCを徐注入し、乳化し、均一になるまで攪拌する。
E.Dを容器に充填して油中水型睫毛用化粧料を得た。
【0057】
<判定基準>:
[評価結果]:[判定]
睫毛用化粧料が瓶から剥離し、液中で微細に分散している : ◎
睫毛用化粧料が瓶から剥離し、固まったままで分散している : ○
睫毛用化粧料が瓶から剥離せず、分散していない : ×
【0058】
評価試験<2>ふき取り使用後のぬるつきの無さ
化粧品評価専門パネル10名に睫毛用化粧料として評価試験<1>処方1、処方2を使用して化粧を施した後、実施例および比較例をコットンに3mlとり、除去剤として使用して「ふき取り使用後のぬるつきの無さ」について、以下の評価基準に従って5段階評価してもらった。その後、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。処方1,処方2に対してそれぞれの試験を行い、両者の評点が同じであればその評点を、異なる場合は低い方の評点を示した。
【0059】
<評価基準>:
[評価結果]:[評点]
ぬるつきを全く感じない : 5点
ぬるつきをほとんど感じない : 4点
ぬるつきをわずかに感じる : 3点
ぬるつきを感じる : 2点
ぬるつきを非常に感じる : 1点
<判定基準>:
[評点の平均点]:[判定]
4.0以上 : ◎
3.0以上4.0未満 : ○
3.0未満 : ×
【0060】
<評価試験3>外観の透明性
実施例および比較例を光路長10mm×光路幅5mmのガラスセルに充填し、分光光度計(UV−2500PC SHIMADZU社製)にて透過率を測定した場合、600nmの光の波長領域での透過率が95%以上のものを「○」、95%未満のものを「×」と示した。
【0061】
<評価試験4>使用後の目元の乾燥感の感じにくさ
化粧品評価専門パネル10名に睫毛用化粧料として評価試験1の処方1、処方2を使用して化粧を施した後、実施例および比較例をコットンに3mlとり、除去剤として使用して「使用後の目元の乾燥感の感じにくさ」について、以下の評価基準に従って5段階評価してもらった。その後、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。処方1,処方2に対してそれぞれの試験を行い、両者の評点が同じであればその評点を、異なる場合は低い方の評点を示した。
【0062】
<評価基準>:
[評価結果]:[評点]
目元に乾燥感を全く感じない : 5点
目元に乾燥感をほとんど感じない : 4点
目元に乾燥感をやや感じる : 3点
目元に乾燥感を感じる : 2点
目元に乾燥感を非常に感じる : 1点
【0063】
<判定基準>:
[評点の平均点]:[判定]
4.0以上 : ◎
3.0以上4.0未満 : ○
3.0未満 : ×
【0064】
実施例1~12は各評価項目の全てにおいて、優れる評価であった。
成分(b)を含有しない比較例1は、睫毛用化粧料の除去性能が優れないものであった。
成分(a)を含有性ない比較例2は、睫毛用化粧料の除去性能が優れないものであった。また、δhが3.0を超える比較例3、δpが3.0を超える比較例4は睫毛用化粧料の除去性能が優れないものであった。界面活性剤を含有する比較例5は、使用後のぬるつきを感じる上に、目元の乾燥感を感じやすかった。比較例6のように外観が透明でない場合は、、睫毛用化粧料の除去性能が優れない。これは組成物が不均一であるため、局所的にHSPが異なるためであると考えられる。
【0065】
実施例13:2層式メイクリムーバー
<処方1>
([δd,δp,δh]=[15.6,1.5,1.1])
(成分) (%)
(1)水添ポリイソブテン *8 60
(2)安息香酸アルキル(C12-15) 40
*8:IPソルベント 2028MU(出光興産社製)
<処方2>
(成分) (%)
(1)精製水 80.0
(2)塩化ナトリウム 0.5
(3)プロピレングリコール 19.5
【0066】
<製法>
A.処方1の成分(1)~(2),処方2の成分(1)~(3)をそれぞれ均一に混合する。
B.処方1:処方2=15:85の割合でボトル型容器に充填して2層式メイクリムーバーを得た。
【0067】
実施例13の2層式メイクリムーバーは、マスカラやファンデーションを素早く除去することができ、外観は透明で、使用後にぬるつきを感じさせず、使用後には保湿感が感じられて目元特有の乾燥感を感じさせないものであった。
【0068】
実施例14:ふき取り用オイル洗顔料
([δd,δp,δh]=[16.1,0.6,0.9])
(成分) (%)
(1)スクワラン 55
(2)ホホバ種子油 30
(3)酢酸トコフェロール 5
(4)マカデミア種子油 10
【0069】
<製法>
A.成分(1)~(4)を室温にて、佐竹式パドルミキサーで均一になるまで撹拌する。
B.Aをディスペンサー付きボトル容器に充填し、ふき取り用オイル洗顔料を得た。
実施例14のふき取り用オイル洗顔料を使用し、使用後にはティッシュペーパーを用いてふき取った。ファンデーション・マスカラ・口紅等のメイクアップに馴染ませてからふき取ることで、負担感なくメイク除去することができ、使用後には乾燥感を感じにくく、ぬるつかず、外観の透明性も優れるものであった。
【0070】
実施例15:不織布含侵シード型リムーバー
([δd,δp,δh]=[15.4,0.9,1.6])
(成分) (%)
(1)イソドデカン 20
(2)ジメチルポリシロキサン(6CS) 10
(3)水添ポリイソブテン*9 25
(4)ひまわり油 45
*9:パールリーム6 (日油社製)
【0071】
<製法>
A.成分(1)~(4)を室温でホモジナイザーにて混合し、均一に混合する。
B.Aを不織布に含侵させ、シート型リムーバーを得た。
【0072】
実施例15のシート型リムーバーは目元や顔だけでなく、全身のメイクアップや日焼け止め料の汚れを素早く除去することができ、外観は透明で、使用後のぬるつきや乾燥感を感じない使用感に優れたものであった。不織布に含侵されているため携帯性に優れ、水を使用しないため場所や場面を問わずに簡便に使用することができる。
【0073】
実施例5:エアゾール式ドライシャンプー
([δd,δp,δh]=[13.8,0.5,0.4])
(成分) (%)
(1)水添ポリイソブテン*10 45
(2)ジメチルポリシロキサン(2CS) 40
(3)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 5
(4)椿油 10
*10:IPソルベント 1620MU(出光興産社製)
【0074】
<製法>
A.成分(1)~(4)を室温でディスパーミキサーにて混合し、均一に混合する。
B.Aをエアゾール缶に入れ、LPGガスを充填し、ドライシャンプーを得た。
【0075】
得られたエアゾール型ドライシャンプーは毛髪化粧料を除去することができ、外観は透明で、使用後のぬるつきや乾燥感を感じない、使用感に優れたものであった。エアゾール缶に充填されているため携帯性に優れ、水を使用しないため場所や場面を問わずに簡便に使用することができる。