(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027492
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】除雪装置
(51)【国際特許分類】
E01H 5/09 20060101AFI20240222BHJP
E01H 5/04 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
E01H5/09 A
E01H5/09 C
E01H5/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130328
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】512224257
【氏名又は名称】土▲樋▼パルス株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】土▲樋▼ 優
(57)【要約】
【課題】 ブロアとオーガとを独立して回転駆動できるようにして、雪の負荷による影響を極力低減できるようにして、機能性の向上を図る。
【解決手段】 エンジンの動力を伝達するPTO軸を備えたトラクタに作業機の一つとして接続され、回転させられて雪を集約するオーガ11と、オーガ11を回転可能に保持するオーガケース12と、オーガケース12に設けられオーガ11によって集約された雪を回転させられて排出するブロア13とを備えたもので、オーガケース12に、PTO軸の回転をブロア13に伝達してブロア13を回転させることができるブロア回転機構20と、エンジンの動力により作動されるオーガ用油圧ポンプ31によって駆動されオーガ11を回転させるオーガ用油圧モータ32を備えたオーガ回転機構30とを備えた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力を伝達するPTO軸を備えたトラクタに作業機の一つとして接続される除雪装置であって、回転させられて雪を集約するオーガと、該オーガを回転可能に保持するオーガケースと、該オーガケースに設けられ上記オーガによって集約された雪を回転させられて排出するブロアとを備えた除雪装置において、
上記オーガケースに設けられ、上記PTO軸の回転を上記ブロアに伝達して該ブロアを回転させることができるブロア回転機構と、
上記オーガケースに設けられ、上記エンジンの動力により作動されるオーガ用油圧ポンプによって駆動され上記オーガを回転させるオーガ用油圧モータを備えたオーガ回転機構とを備えたことを特徴とする除雪装置。
【請求項2】
上記ブロア回転機構を、上記オーガケースに取付けられるとともに上記PTO軸に連結シャフトを介して接続可能な入力軸及び上記ブロアに接続される出力軸を有し上記PTO軸の回転を減速する減速機を備えて構成したことを特徴とする請求項1記載の除雪装置。
【請求項3】
上記減速機を上記オーガケースの背面側に設け、上記オーガケースを、該オーガケースから露出したオーガを該トラクタの前方に向けて露出するように配置して上記PTO軸をフロント側に設けたトラクタのフロント側に接続可能にしたことを特徴とする請求項2記載の除雪装置。
【請求項4】
上記エンジンの動力により作動されるブロア用油圧ポンプによって駆動され上記減速機を介してブロアを回転させるブロア用油圧モータと、該ブロア用油圧モータを支持し上記減速機に着脱可能なアタッチメントとを備え、上記減速機に上記アタッチメントを着脱可能に取付けるためのアタッチメント取付部を設け、該アタッチメント取付部に上記ブロア用油圧モータをアタッチメントを介して上記減速機に取付けることにより、上記PTO軸に変えて上記ブロア用油圧モータにより上記ブロアを回転させることを可能にしたことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の除雪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに作業機の一つとして接続される除雪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図9に示すように、この種の除雪装置Saは、回転させられて雪を集約するオーガ100と、オーガ100を回転可能に保持するオーガケース101と、オーガケース101に設けられオーガ100によって集約された雪を回転させられて排出するブロア102とを備えて構成されている。この除雪装置Saが装着されるトラクタTは、エンジンEの動力を変速機Cを介して伝達するPTO軸Dを備えている。PTO軸Dをリア側のみならずフロント側にも備えたトラクタTで説明すると、この除雪装置Saは、オーガケース101から露出したオーガ100をトラクタTの前方に向けて露出するように配置してトラクタTに設けた図示外の複数のリンクをオーガケース101に接続することにより装着される。オーガケース101には、PTO軸Dの回転を連結シャフト103を介してオーガ100及びブロア102に機械的に伝達しこのオーガ100及びブロア102に連動して回転させる伝動機構104が設けられている(例えば、特開2020-120604号公報、特開2007-159518号公報、特開2006-256436号公報等に掲載)。
【0003】
そして、この除雪装置Saを接続したトラクタTにより除雪を行うときは、運転者はトラクタTを前進させ、PTO軸Dを回転させる。これにより、連結シャフト103を介してオーガ100及びブロア102が連動して回転し、オーガ100によって雪が集約され、ブロア102によって集約された雪が吸引されて図示外のシュータから排出されていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-120604号公報
【特許文献2】特開2007-159518号公報
【特許文献3】特開2006-256436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の除雪装置Saにおいては、PTO軸Dの回転を伝動機構104を介してオーガ100及びブロア102に機械的に伝達しこのオーガ100及びブロア102を連動して回転させているので、例えば、オーガ100に作用する雪の負荷が大きくなった場合、ブロア102の回転にも影響を与えることから、ブロア102の雪の吸引力が低下してしまい、雪がブロア102のところに詰まってしまって、稼動を停止せざるを得ないことがあるという問題があった。特に、PTO軸Dのトルクが小さい場合には、この現象が生じやすくなる。また、一般にブロアとオーガには夫々シャーボルトが付いているが、雪が詰まるとこのシャーボルトが切れてその交換作業を行う事態も生じ、作業性を著しく損ねる。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、ブロアとオーガとを独立して回転駆動できるようにして、雪の負荷による影響を極力低減できるようにして、機能性の向上を図った除雪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の除雪装置は、エンジンの動力を伝達するPTO軸を備えたトラクタに作業機の一つとして接続される除雪装置であって、回転させられて雪を集約するオーガと、該オーガを回転可能に保持するオーガケースと、該オーガケースに設けられ上記オーガによって集約された雪を回転させられて排出するブロアとを備えた除雪装置において、
上記オーガケースに設けられ、上記PTO軸の回転を上記ブロアに伝達して該ブロアを回転させることができるブロア回転機構と、
上記オーガケースに設けられ、上記エンジンの動力により作動されるオーガ用油圧ポンプによって駆動され上記オーガを回転させるオーガ用油圧モータを備えたオーガ回転機構とを備えた構成としている。
【0008】
この除雪装置をトラクタに取り付けて除雪を行うときは、トラクタを進行させながら、PTO軸の回転をブロア回転機構によりブロアに伝達してブロアを回転させるとともに、オーガ用油圧ポンプを作動させ、オーガ用油圧モータによりオーガ回転機構を駆動させてオーガを回転させる。これにより、オーガによって雪が集約され、ブロアによって集約された雪が吸引されて排出されていく。この場合、例えば、オーガに作用する雪の負荷が大きくなっても、ブロアとオーガとは、夫々、PTO軸によるブロア回転機構と、オーガ用油圧モータを備えたオーガ回転機構とで、互いに、独立して回転駆動させられるので、ブロアにオーガに関連した回転の影響が反映することがなく、そのため、ブロアによる雪の吸引力が低下して雪がブロアのところに詰まる事態が無くなり、負荷による稼動停止や修理などの影響を低減して、機能性の向上を図ることができる。特に、PTO軸のトルクが小さい場合には、PTO軸の負担が少なくなることから、極めて有効になる。
また、オーガ回転機構は、油圧モータでオーガを駆動するが、過剰負荷がかかった時には、一般に油圧回路にはリリーフバルブを設けるので、このリリーフバルブが開いてオイルを逃がすことができることから、過剰負荷に容易に対応することができる。更に、過剰負荷に対してシャーボルトを設けたメカ式で対応する際、シャーボルトが切れた場合には、シャーボルトを交換するが、除雪においては寒い環境下になることから交換作業が極めて面倒で煩雑になる。しかしながら、油圧モータの場合、シャーボルトの交換作業がなくなるので、この面倒で煩雑な交換作業から解放される。
【0009】
そして、必要に応じ、上記ブロア回転機構を、上記オーガケースに取付けられるとともに上記PTO軸に連結シャフトを介して接続可能な入力軸及び上記ブロアに接続される出力軸を有し上記PTO軸の回転を減速する減速機を備えて構成している。減速機によりPTO軸の回転が減速されるので、回転数は落ちるが、逆にトルクが大きくなり、雪の負荷への対抗力が強くなる。特に、PTO軸のトルクが小さい場合には、PTO軸の負担が少なくなることから、極めて有効になる。
【0010】
この場合、上記減速機を上記オーガケースの背面側に設け、上記オーガケースを、該オーガケースから露出したオーガを該トラクタの前方に向けて露出するように配置して上記PTO軸をフロント側に設けたトラクタのフロント側に接続可能にしたことが有効である。一般に、PTO軸をリア側のみならずフロント側にも備えたトラクタの場合には、リア側に比較してフロント側のPTO軸の回転が速い場合があり、この場合には、減速機によりPTO軸の回転が減速されるので、回転数は落ちるが、逆にトルクが大きくなり、雪の負荷への対抗力が強くなり、極めて有効になる。
【0011】
そしてまた、必要に応じ、上記エンジンの動力により作動されるブロア用油圧ポンプによって駆動され上記減速機を介してブロアを回転させるブロア用油圧モータと、該ブロア用油圧モータを支持し上記減速機に着脱可能なアタッチメントとを備え、上記減速機に上記アタッチメントを着脱可能に取付けるためのアタッチメント取付部を設け、該アタッチメント取付部に上記ブロア用油圧モータをアタッチメントを介して上記減速機に取付けることにより、上記PTO軸に変えて上記ブロア用油圧モータにより上記ブロアを回転させることを可能にした構成としている。
【0012】
これにより、ブロア用油圧モータを取付けるときは、ブロア用油圧モータを支持したアタッチメントを減速機のアタッチメント取付部に取付ける。この場合、予め、減速機にアタッチメント取付部を設けてあるので、逐一、取付けのための加工をしたり部品を用意する必要がなく、容易に取付けを行うことができ、それだけ、汎用性を増すことができる。
【0013】
そして、この除雪装置をトラクタに取り付けて除雪を行うときは、トラクタを進行させ、オーガ用油圧ポンプ及びブロア用油圧ポンプを作動させると、オーガ用油圧モータによりオーガ回転機構が駆動させられてオーガが回転させられるとともに、ブロア用油圧モータによりブロア回転機構が駆動させられてブロアが回転させられる。即ち、PTO軸に変えてブロア用油圧モータによりブロアが回転させられる。これにより、オーガによって雪が集約され、ブロアによって集約された雪が吸引されて排出されていく。この場合、例えば、オーガに作用する雪の負荷が大きくなっても、ブロアとオーガとは、夫々、オーガ用油圧モータを備えたオーガ回転機構と、ブロア用油圧モータを備えたブロア回転機構とで、互いに、独立して回転駆動させられるので、ブロアにオーガに関連した回転の影響が反映することがなく、そのため、ブロアによる雪の吸引力が低下して雪がブロアのところに詰まる事態が無くなり、負荷による稼動停止や修理などの影響を低減して、機能性の向上を図ることができる。
また、この場合、オーガ回転機構もブロア回転機構も、油圧モータで駆動するが、過剰負荷がかかった時には、一般に油圧回路にはリリーフバルブを設けるので、このリリーフバルブが開いてオイルを逃がすことができることから、過剰負荷に容易に対応することができる。更に、過剰負荷に対してシャーボルトを設けたメカ式で対応する際、シャーボルトが切れた場合には、シャーボルトを交換するが、除雪においては寒い環境下になることから交換作業が極めて面倒で煩雑になる。しかしながら、油圧モータの場合、シャーボルトの交換作業がなくなるので、この面倒で煩雑な交換作業から解放される。
【0014】
このように、ブロア用油圧モータをアタッチメントを介して減速機に取付けることにより、PTO軸に変えてブロア用油圧モータによりブロアを回転させることを可能にしたので、PTO軸を使わない仕様にすることができ、汎用性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ブロアとオーガとは、夫々、ブロア回転機構とオーガ回転機構とで、互いに、独立して回転駆動させられるので、ブロアにオーガに関連した回転の影響が反映することがなく、そのため、雪の負荷による影響を低減して、機能性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る除雪装置をトラクタに接続した状態で示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る除雪装置をその駆動系とともに示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る除雪装置を示す背面側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る除雪装置を示す正面側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る除雪装置を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る除雪装置を示す側面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る除雪装置において仕様変更した状態を示す要部側面図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る除雪装置において仕様変更した状態をその駆動系とともに示す図である。
【
図9】従来の除雪装置の一例をその駆動系とともに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る除雪装置について詳細に説明する。尚、上記と同様のものには同一の符号を付して説明する。
図1及び
図2に示すように、実施の形態に係る除雪装置Sが接続されるトラクタTのシャシ1には、ショベル等の種々の作業機が接続される複数のリンク2から構成されるフロント接続部3が設けられているとともに、フロント側にはエンジンEの動力を変速機Cを介して伝達するPTO軸Dが備えられている。シャシ1の後部にも、レーキなどの作業機を接続するための図示外のリア接続部が設けられているとともに、図示外のPTO軸が備えられている。実施の形態に係る除雪装置Sは、トラクタTに作業機の一つとしてフロント接続部3に接続される。除雪装置SのPTO軸Dには後述の連結シャフト10が接続される。
【0018】
図1乃至
図8に示すように、除雪装置Sは、回転させられて雪を集約するオーガ11と、オーガ11を回転可能に保持するオーガケース12と、オーガケース12に設けられオーガ11によって集約された雪を回転させられて排出するブロア13とを備えて構成されている。オーガケース12の背面側には、フロント接続部3の複数(実施の形態では3つ)のリンク2に接続するための接続部14が形成されている。これにより、オーガケース12は、オーガケース12から露出したオーガ11をトラクタTの前方に向けて露出するように配置してトラクタTのフロント側に接続される。
【0019】
オーガ11は、トラクタTの幅方向に沿う回転主軸15と、この回転主軸15にその中央を境として左右に夫々固定された螺旋状の一方ブレード11a及び他方ブレード11bとを備え、回転主軸15を中心に一方向に回転させられて雪を回転主軸15の中央に集約する。オーガケース12は、オーガ11の回転主軸15の両端を回転可能に軸支するとともに、オーガ11の回転主軸15の中央に対応した部位に開口し雪を吸入する吸入口16及び排出口17を有している。排出口17には、雪を排出するシュータ18(
図1)が突設されている。符号19はシュータの角度を可変にする電動モータを備えた可変装置である。
【0020】
ブロア13は、オーガケース12の吸入口16内に設けられ、集約された雪を吸入口16から吸入して排出口17から排出させる。ブロア13は、
図4に示すように、オーガケース12に軸支されるブロア軸13aを有し、先端部側に雪を取込む羽根13bが設けられている。
【0021】
除雪装置Sは、オーガケース12に設けられ、PTO軸Dの回転を連結シャフト10を介してブロア13に伝達してこのブロア13を回転させるブロア回転機構20と、オーガケース12に設けられ、エンジンEの動力により作動されるオーガ用油圧ポンプ31によって駆動されオーガ11を回転させるオーガ用油圧モータ32を備えたオーガ回転機構30とを備えて構成されている。
【0022】
詳しくは、ブロア回転機構20は、オーガケース12の背面側に取付けられるとともにPTO軸Dに連結シャフト10を介して接続可能な入力軸22及びブロア13のブロア軸13aに接続される出力軸23を有しPTO軸Dの回転を減速する減速機21を備えて構成されている。減速機21は、平ギヤ(図示せず)の組合せからなり矩形ボックス状のケース24に収納されている。連結シャフト10の両端部は周知のユニバーサルジョイント構造に形成されており、一端がPTO軸Dに接続され、他端が減速機21の入力軸22に接続される。入力軸22及び連結シャフト10の他端部はスプラインに形成されて接続されている。
【0023】
オーガ回転機構30は、オーガケース12の外側の一側端側に設けられるオーガ用油圧モータ32と、オーガ用油圧モータ32の回転軸及びオーガ11の回転主軸15の一端間に設けられるチェーン伝動機構33とを備えて構成されている。チェーン伝動機構33は、オーガ用油圧モータ32の回転軸に設けられる主スプロケット33aと、オーガ11の回転主軸15の一端に設けられる従スプロケット33bと、主スプロケット33a及び従スプロケット33b間に掛渡されるエンドレスのチェーン33cとから構成されている。
【0024】
オーガ用油圧モータ32を駆動するオーガ用油圧ポンプ31は、ギヤポンプからなり、シャシ1に設けられており、
図2に示すように、変速機Cを介してエンジンEの動力により作動される。また、
図2に示すように、シャシ1には、オーガ用油圧ポンプ31へオイルを供給するオイルタンク34が搭載されている。35はオイルタンク34からオーガ用油圧ポンプ31に至るオーガ用オイル送給管、36はオーガ用油圧ポンプ31からオーガ用油圧モータ32にオイルを供給するオーガ用オイル供給管路、37はオーガ用油圧モータ32からの排出オイルを排出するオーガ用オイル排出管路である。尚、オーガ用オイル供給管路36には、オーガ用油圧モータ32の負荷が所定以上になったときオイルをオイルタンク34に逃がすリリーフ弁が介装された図示外の逃がし管路が接続されている。
【0025】
また、本除雪装置Sは、
図7及び
図8に示すように、エンジンEの動力により作動される上記と同様のブロア用油圧ポンプ41によって駆動され減速機21を介してブロア13を回転させるブロア用油圧モータ40と、このブロア用油圧モータ40を支持し減速機21に着脱可能なアタッチメント50とが備えられている。
図8に示すように、ブロア用油圧モータ40を駆動するブロア用油圧ポンプ41は、ギヤポンプからなり、シャシ1に設けられており、変速機Cを介してエンジンEの動力により作動される。42はオイルタンク34からブロア用油圧ポンプ41に至るブロア用オイル送給管、43はブロア用油圧ポンプ41からブロア用油圧モータ40にオイルを供給するブロア用オイル供給管路、44はブロア用油圧モータ40からの排出オイルを排出するブロア用オイル排出管路である。尚、ブロア用オイル供給管路43には、ブロア用油圧モータ40の負荷が所定以上になったときオイルをオイルタンク34に逃がすリリーフ弁が介装された図示外の逃がし管路が接続されている。
【0026】
減速機21には、アタッチメント50を着脱可能に取付けるためのアタッチメント取付部60が設けられており、アタッチメント取付部60にブロア用油圧モータ40をアタッチメント50を介して減速機21に取付けることにより、PTO軸Dに変えてブロア用油圧モータ40によりブロア13を回転させることを可能にしている。
【0027】
アタッチメント50は、
図7に示すように、前端部に減速機21の上面に接合する接合面を有した一方板51と、一方板51の後端に直角に連設されブロア用油圧モータ40をその回転軸が減速機21の入力軸22と同軸で支持する他方板52と、一方板51と他方板52間に設けられる補強板53と、一方板51に設けられる別の補強板54とを備えて構成されている。一方板51には、アタッチメント50を取付けるための、ボルト55の軸部が挿通可能な複数の取付孔56が形成されている。図中、57はブロア用油圧モータ40の回転軸と減速機21の入力軸22とを連結するカップリングである。
【0028】
一方、アタッチメント取付部60は、減速機21のケース24の上面部で構成され、このケース24の上面部には、アタッチメント50の取付孔56に対応しボルト55が螺合する複数の雌ネジ61が形成されており、取付孔56にボルト55を挿通して雌ネジ61にねじ込むことによりブロア用油圧モータ40をアタッチメント50を介して減速機21のケース24に取付け可能にしている。
【0029】
これにより、実施の形態に係る除雪装置Sにおいては、トラクタTに取り付ける際、ブロア13をPTO軸Dで駆動するか、PTO軸Dに変えてブロア用油圧モータ40により駆動するかを選択することができる。即ち、ブロア用油圧モータ40をアタッチメント50を介して減速機21に取付けることにより、PTO軸Dに変えてブロア用油圧モータ40によりブロア13を回転させることを可能にしたので、PTO軸Dを使わない仕様にすることができ、汎用性を向上させることができる。
【0030】
従って、実施の形態に係る除雪装置SをトラクタTに取り付けて除雪を行うときは、以下のようになる。
<ブロア13をPTO軸Dで駆動する場合>
図1,
図2及び
図6に示すように、トラクタTを進行させるとともに、PTO軸Dの回転をブロア回転機構20によりブロア13に伝達してブロア13を回転させるとともに、油圧ポンプ31を作動させ、オーガ用油圧モータ32によりオーガ回転機構30を駆動させてオーガ11を回転させる。これにより、オーガ11によって雪が集約され、ブロア13によって集約された雪が吸引されて排出されていく。この場合、例えば、オーガ11に作用する雪の負荷が大きくなっても、ブロア13とオーガ11とは、夫々、PTO軸Dによるブロア回転機構20と、オーガ用油圧モータ32を備えたオーガ回転機構30とで、互いに、独立して回転駆動させられるので、ブロア13にオーガ11に関連した回転の影響が反映することがなく、そのため、ブロア13による雪の吸引力が低下して雪がブロア13のところに詰まる事態が無くなり、負荷による稼動停止や修理などの影響を低減して、機能性の向上を図ることができる。
【0031】
また、減速機21によりPTO軸Dの回転が減速されるので、回転数は落ちるが、逆にトルクが大きくなり、雪の負荷への対抗力が強くなる。特に、PTO軸Dのトルクが小さい場合には、PTO軸Dの負担が少なくなることから、極めて有効になる。即ち、一般に、PTO軸Dをリア側のみならずフロント側にも備えたトラクタTの場合には、リア側に比較してフロント側のPTO軸Dの回転が速い場合があり、この場合には、減速機21によりPTO軸Dの回転が減速されるので、回転数は落ちるが、逆にトルクが大きくなり、雪の負荷への対抗力が強くなり、極めて有効になる。
また、この場合、オーガ回転機構30は油圧モータで駆動するが、過剰負荷がかかった時には、油圧回路のリリーフバルブが開いてオイルを逃がすことができることから、過剰負荷に容易に対応することができる。更に、過剰負荷に対してシャーボルトを設けたメカ式で対応する際、シャーボルトが切れた場合には、シャーボルトを交換するが、除雪においては寒い環境下になることから交換作業が極めて面倒で煩雑になる。しかしながら、油圧モータの場合、シャーボルトの交換作業がなくなるので、この面倒で煩雑な交換作業から解放される。
【0032】
<ブロア13をブロア用油圧モータ40で駆動する場合>
次に、
図7及び
図8に示すように、PTO軸Dに変えてブロア用油圧モータ40を用いる場合について説明する。ブロア用油圧モータ40を取付けるときは、ブロア用油圧モータ40を支持したアタッチメント50を減速機21のアタッチメント取付部60に取付ける。この場合、予め、減速機21にアタッチメント取付部60を設けてあるので、逐一、取付けのための加工をしたり部品を用意する必要がなく、容易に取付けを行うことができ、それだけ、汎用性を増すことができる。
【0033】
除雪装置Sにより除雪を行うときは、トラクタTを進行させ、ブロア用油圧ポンプ41及びオーガ用油圧ポンプ31を作動させると、ブロア用油圧モータ40によりブロア回転機構20が駆動させられてブロア13が回転させられ、オーガ用油圧モータ32によりオーガ回転機構30が駆動させられてオーガ11が回転させられる。即ち、PTO軸Dに変えてブロア用油圧モータ40によりブロア13が回転させられる。これにより、オーガ11によって雪が集約され、ブロア13によって集約された雪が吸引されて排出されていく。この場合も、例えば、オーガ11に作用する雪の負荷が大きくなっても、オーガ11とブロア13とは、夫々、オーガ用油圧モータ32を備えたオーガ回転機構30と、ブロア用油圧モータ40を備えたブロア回転機構20とで、互いに、独立して回転駆動させられるので、ブロア13にオーガ11に関連した回転の影響が反映することがなく、そのため、ブロア13による雪の吸引力が低下して雪がブロア13のところに詰まる事態が無くなり、負荷による稼動停止や修理などの影響を低減して、機能性の向上を図ることができる。
また、この場合、ブロア回転機構20もオーガ回転機構30も油圧モータで駆動するが、過剰負荷がかかった時には、油圧回路のリリーフバルブが開いてオイルを逃がすことができることから、過剰負荷に容易に対応することができる。更に、過剰負荷に対してシャーボルトを設けたメカ式で対応する際、シャーボルトが切れた場合には、シャーボルトを交換するが、除雪においては寒い環境下になることから交換作業が極めて面倒で煩雑になる。しかしながら、油圧モータの場合、シャーボルトの交換作業がなくなるので、この面倒で煩雑な交換作業から解放される。
【0034】
このように、減速機21にアタッチメント50のアタッチメント取付部60を設け、ブロア用油圧モータ40をアタッチメント50を介して減速機21に取付けることにより、PTO軸Dに変えてブロア用油圧モータ40によりブロア13を回転させることを可能にしたので、PTO軸Dを使わない仕様にすることができ、汎用性を向上させることができる。
【0035】
尚、本発明の実施の形態において、ブロア用油圧モータ40,アタッチメント50及び
アタッチメント取付部60を備えたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、特に備えることなく、ブロア13はTPO軸Dのみで駆動するようにしてよく、適宜変更して差し支えない。ブロア用油圧モータ40を用いたいときは、そのとき、取付けのための加工やその部品を用意すればよい。また、本発明の実施例においては、除雪装置Sを、トラクタTのフロント側に接続したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、リア側に接続して用いるように構成しても良く、適宜変更して差支えない。本発明は、上述した本発明の実施の形態に限定されず、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
S 除雪装置
T トラクタ
E エンジン
C 変速機
D PTO軸
1 シャシ
2 リンク
3 フロント接続部
10 連結シャフト
11 オーガ
11a 一方ブレード
11b 他方ブレード
12 オーガケース
13 ブロア
13a ブロア軸
13b 羽根
14 接続部
15 回転主軸
16 吸入口
17 排出口
18 シュータ
20 ブロア回転機構
21 減速機
22 入力軸
23 出力軸
24 ケース
30 オーガ回転機構
31 オーガ用油圧ポンプ
32 オーガ用油圧モータ
33 チェーン伝動機構
40 ブロア用油圧モータ
41 ブロア用油圧ポンプ
50 アタッチメント
55 ボルト
56 取付孔
57 カップリング
60 アタッチメント取付部
61 雌ネジ