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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027498
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ジャッキユニット
(51)【国際特許分類】
   B66F 3/24 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
B66F3/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130347
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】390027513
【氏名又は名称】大瀧ジャッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩松 聖
(57)【要約】
【課題】油圧ジャッキの伸縮方向に対して外部から加えられる大きな曲げ応力に耐える、小型のジャッキユニットを提供する。
【解決手段】ジャッキユニットは、シリンダチューブに対してピストンロッドが伸縮する油圧ジャッキと、ピストンロッドと連結されたベース部材と、ピストンロッドが伸長されてシリンダチューブがベース部材から離間する場合に離間方向へ沿って展開される、一端がシリンダチューブに連結され他端がベース部材に連結された多段式架台とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダチューブに対してピストンロッドが伸縮する油圧ジャッキと、
前記ピストンロッドと連結されたベース部材と、
前記ピストンロッドが伸長されて前記シリンダチューブが前記ベース部材から離間する場合に離間方向へ沿って展開される、一端が前記シリンダチューブに連結され他端が前記ベース部材に連結された多段式架台と
を備えるジャッキユニット。
【請求項2】
前記多段式架台は、入れ子状に収容および展開される複数の枠体によって構成され、前記シリンダチューブの外周部の少なくとも一部が前記複数の枠体のうち最内の枠体に内挿されて前記一端が前記シリンダチューブに連結されている請求項1に記載のジャッキユニット。
【請求項3】
前記多段式架台は、前記ピストンロッドが伸長されて前記シリンダチューブが前記ベース部材から離間する場合に、外側の枠体から順次展開される請求項2に記載のジャッキユニット。
【請求項4】
前記ベース部材と前記ピストンロッドは、前記ピストンロッドの傾斜を許容する緩衝部材を介して互いに連結されている請求項1に記載のジャッキユニット。
【請求項5】
前記シリンダチューブに固定された、前記離間方向に直交する方向へ積載物を送り出す搬送台を備える請求項1から4のいずれか1項に記載のジャッキユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャッキユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ジャッキを活用して重量物を円滑に移動させる技術が知られている。例えば、橋桁を持ち上げて水平面内の位置を調整する場合に用いられる、位置調整装置などが知られている(例えば、特許文献1参照)。当該位置調整装置によれば、鉛直方向へ伸縮する油圧ジャッキを制御して橋桁の水平を保ちつつ、水平方向へ伸縮する油圧ジャッキを制御してその水平面内の位置を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-134538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方向へ伸縮する油圧ジャッキが、当該一方向に直交する方向の成分を含む方向へ移動する搬送物を支えるような場合には、油圧ジャッキのピストンロッドに曲げ応力が発生する。この曲げ応力により、ピストンロッドが破損したりオイル漏れが発生したりする場合がある。このような不具合を防ぐためにロッドを太くしたりシールを強固にしたりすると、油圧ジャッキの大型化を招いてしまう。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、油圧ジャッキの伸縮方向に対して外部から加えられる大きな曲げ応力に耐える、小型のジャッキユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様におけるジャッキユニットは、シリンダチューブに対してピストンロッドが伸縮する油圧ジャッキと、ピストンロッドと連結されたベース部材と、ピストンロッドが伸長されてシリンダチューブがベース部材から離間する場合に離間方向へ沿って展開される、一端がシリンダチューブに連結され他端がベース部材に連結された多段式架台とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、油圧ジャッキの伸縮方向に対して外部から加えられる大きな曲げ応力に耐える、小型のジャッキユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るジャッキユニットの全体斜視図であり、ジャッキ収縮状態を示す図である。
図2】同じくジャッキユニットの全体斜視図であり、ジャッキ伸長状態を示す図である。
図3】ジャッキユニットを構成する各要素と、ジャッキユニットの組み立て工程を説明するための図である。
図4】ジャッキユニットの一部を切断した部分断面斜視図である。
図5】油圧ジャッキの伸長に伴って多段式架台が展開されるメカニズムを説明するための断面模式図である。
図6】本実施形態の変形例に係るジャッキユニットの全体斜視図である。
図7】本実施形態の更に変形例に係るジャッキユニットの全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。また、各図において、同一又は同様の構成を有する構造物が複数存在する場合には、煩雑となることを回避するため、一部に符号を付し、他に同一符号を付すことを省く場合がある。
【0010】
図1は、本実施形態に係るジャッキユニット100の全体斜視図であり、ジャッキ収縮状態を示す図である。ジャッキユニット100は、主に、ベース部材110、油圧ジャッキ120、多段式架台130によって構成されている。
【0011】
ベース部材110は、支持フレーム111とベースプレート112を含む。支持フレーム111は、主に、円筒状のフレーム部と当該フレーム部の一端に設けられたフランジ部によって構成されている。フランジ部がベースプレート112と面接触して固定されることにより、円筒部は、その中心軸がベースプレート112に対して直交するように配置される。ベースプレート112は、ジャッキユニット100が受ける荷重を十分に支えることができる剛性を備え、ジャッキユニット100を設置対象に固定するための固定部材として機能する。本実施形態においては、ベースプレート112は平板状であり、平板の平面方向を水平方向とする。
【0012】
油圧ジャッキ120は、オイルポート121を備え、オイルポート121を介して出入される作動オイルの作用により、ベースプレート112に直交する方向(本実施形態においては、鉛直方向)に伸縮する。多段式架台130は、互いに径が異なる複数の円筒状枠体によって構成され、入れ子状に収容および展開できるように、互いに連接されている。具体的には後述するが、多段式架台130の一端となる最小径の円筒状枠体は油圧ジャッキ120に連結され、他端となる最大径の円筒状枠体はベースプレート112に連結されている。このような連結構造により、多段式架台130は、油圧ジャッキ120の伸縮に連動して入れ子状に収容および展開される。図1は、油圧ジャッキ120が最も収縮した状態であって、多段式架台130も最も収容された状態を示す。
【0013】
図2は、同じくジャッキユニット100の全体斜視図であり、ジャッキ伸長状態を示す図である。図1に示すジャッキ収縮状態から、作動オイルの出入制御により矢印で示すように油圧ジャッキ120がベースプレート112から離間して持ち上がり、ジャッキ伸長状態となる。油圧ジャッキ120が持ち上がるにつれ、多段式架台130を構成する各円筒状枠体は、収容状態から展開状態へ順次変位する。図2は特に、油圧ジャッキ120が最も伸長した状態であって、多段式架台130も最も展開された状態を示す。
【0014】
油圧ジャッキ120には例えば載置台が取り付けられ、ジャッキユニット100が重量物を持ち上げたり引き下げたりできるように使用目的に応じてアレンジされる。使用目的に応じたアレンジは、油圧ジャッキ120に取り付けられる付随品の交換に限らず、設置対象に応じてベースプレート112を別部材に交換することなども含まれる。また、橋桁などの巨大構造物を持ち上げる場合には、複数のジャッキユニット100を用いることもあり得る。複数のジャッキユニット100で一つの重量物を持ち上げたり引き下げたりする場合には、例えば重量物の水平が保たれるように、それぞれの油圧ジャッキ120が協調制御される。
【0015】
図3は、ジャッキユニット100を構成する各要素と、ジャッキユニット100の組み立て工程を説明するための図である。多段式架台130は、本実施形態においては図示するように、3つの円筒状枠体(第1架台131、第2架台132、第3架台133)によって構成されている。第1架台131、第2架台132、第3架台133は、それぞれ高強度を有する素材によって成形され、例えば、SS400、S45C等の金属素材や、繊維強化樹脂等の複合素材が用いられる。
【0016】
第1架台131は3つの円筒状枠体のうち最も大きな内径を有し、第3架台133は最も小さな内径を有し、第2架台132は他の2つの円筒状枠体の中間の内径を有する。したがって、第1架台131の円筒内に第2架台132が収容され、第2架台132の円筒内に第3架台133が収容されて入れ子状の多段式架台130が形成される。第1架台131の円筒内周面の一部と第2架台132の円筒外周面の一部は、互いに接触し、収容時および展開時には互いに摺動する。同様に、第2架台132の円筒内周面の一部と第3架台133の円筒外周面の一部は、互いに接触し、収容時および展開時には互いに摺動する。すなわち、多段式架台130は、少なくとも一部が収容された状態においてもすべて展開された状態においても、全体として剛体としての性質を有する。
【0017】
油圧ジャッキ120は、主に、オイルポート121、シリンダチューブ122、ピストンロッド123によって構成されている。ピストンロッド123は、作動オイルの出入制御により、シリンダチューブ122から突出したり、シリンダチューブ122へ後退したり、所定の突出量で静止したりする。本実施形態においては、シリンダチューブ122の外周面は円筒面であり、その円筒径はピストンロッド123のロッド径よりも大きい。一方、シリンダチューブ122の円筒径は、多段式架台130のうち最内に配置される第3架台133の内径よりも小さい。
【0018】
本実施形態において油圧ジャッキ120は、ピストンロッド123の突出側先端部がベースプレート112に対向するように、すなわちピストンロッド123の突出方向が鉛直下向きになるように設置される。そのため、シリンダチューブ122が、オイルポート121を取り外した状態で第3架台133の円筒内に内挿され、その外周部の少なくとも一部が第3架台133に連結される。具体的には後述するが、シリンダチューブ122と第3架台133は、互いに固定されてもよいが、本実施形態においては、第3架台133の円筒内周面の一部とシリンダチューブ122の円筒外周面の一部が互いに接触し、シリンダチューブ122が第3架台133に対して収容および展開可能なように、互いに摺動可能に連結されている。
【0019】
3つの円筒状枠体(第1架台131、第2架台132、第3架台133)と油圧ジャッキ120を入れ子状に組み付けたら、シリンダチューブ122を第3架台133から突出させてオイルポート121を取り付ける。そして、ベースプレート112に固定された支持フレーム111の円筒フレーム内に、第1架台131が内挿されるように組み付ける。さらに、ベースプレート112の裏面側から挿通した複数のボルトにより、第1架台131の下端部とピストンロッド123の先端部をそれぞれベースプレート112へ固定する。
【0020】
図4は、ジャッキユニット100の一部を切断した部分断面斜視図である。具体的には、図2の斜視図に対して、油圧ジャッキ120を除き、ピストンロッド123の中心軸を含む鉛直面でジャッキユニット100を切断した図である。
【0021】
上述のように、ピストンロッド123の先端部はベースプレート112に固定されているので、ピストンロッド123がシリンダチューブ122から伸長するように作動オイルが制御されると、シリンダチューブ122が持ち上がり、ベースプレート112から離間する。このとき、多段式架台130の一端となる第3架台133はシリンダチューブ122に連結され、他端となる第1架台131はベースプレート112に連結されているので、多段式架台130は、シリンダチューブ122の離間に伴って、収容状態から展開状態へ遷移する。図4は特にピストンロッド123が最も伸長した状態であって、シリンダチューブ122も第3架台133から最も突出し、多段式架台130を構成する第1架台131、第2架台132、第3架台133も最も展開された状態を示す。
【0022】
もし、多段式架台130が装着されていなければ、油圧ジャッキ120は、ベースプレート112に対してピストンロッド123のみによって直立することになる。その場合、シリンダチューブ122が支える積載物の荷重方向が水平方向の成分を含むと、油圧ジャッキ120には伸縮方向に対して曲げ応力が発生し、シリンダチューブ122よりも径が小さいピストンロッド123は曲げ応力の影響が特に大きい。すなわち、ピストンロッド123が破損したり、シリンダチューブ122とピストンロッド123の間を密封するシールが歪んだりする場合もある。本実施形態においては、ピストンロッド123の先端部がベースプレート112に固定される倒立状態で油圧ジャッキ120を設置するが、油圧ジャッキ120をピストンロッド123の先端部で積載物を支持する正立状態で設置する場合も、同様の課題が生じる。このような場合、従来においてはピストンロッド123の径が太く、より巨大な油圧ジャッキ120を用いることで、曲げ応力に抗していた。しかし、巨大な油圧ジャッキ120は、使用上の制約を受けることが多く利便性が低かった。
【0023】
そこで、本実施形態におけるジャッキユニット100は、細いピストンロッド123に曲げ応力が集中しないように、多段式架台130を備えている。多段式架台130は、ピストンロッド123を取り囲んでピストンロッド123の伸縮方向へ展開するので、曲げ応力の観点からは多段式架台130が実質的に太いピストンロッドのように機能し、大きな曲げ応力に耐えることができるようになる。また、支持フレーム111の円筒フレーム内周面は、第1架台131の下端部の外周面と嵌合しており、第1架台131を外周面方向から支持しているので、多段式架台130は、より大きな曲げ応力に耐えることができる。
【0024】
特に、本実施形態においては上述のように油圧ジャッキ120を倒立状態に設置し、シリンダチューブ122の外周部の少なくとも一部が第3架台133の円筒内に内挿されるように構成している。このような構成により、3つの円筒状枠体(第1架台131、第2架台132、第3架台133)のそれぞれの円筒径を大きくすることができ、円筒の肉厚をそれほど厚くしなくても、より大きな曲げ応力に耐えることができるようになっている。なお、本実施形態においては円筒状のシリンダチューブ122を有する油圧ジャッキ120を採用したので、多段式架台130を構成する第1架台131、第2架台132、第3架台133もそれぞれ円筒状の枠体を採用しているが、多段式架台130は円筒状の枠体に限らず、入れ子状に収容および展開される枠体によって構成されるのであれば、例えば多角形の枠体でも構わない。
【0025】
本実施形態においては、ピストンロッド123の先端部は直接的にベースプレート112に固定されているが、ピストンロッド123が多少傾斜することを許容するように、当該先端部とベースプレート112の間に緩衝部材を介在させてもよい。緩衝部材としては、例えば多少の弾性変形が期待できるエラストマーブロックや、軸受を備えたジョイント部材を採用し得る。
【0026】
図5は、油圧ジャッキ120の伸長に伴って多段式架台130が展開されるメカニズムを説明するための断面模式図である。具体的には、図4に示すA視図であって、図5(a)は図1に示すジャッキ収縮状態を、図5(b)はジャッキ収縮状態からシリンダチューブ122が持ち上がった状態をそれぞれ模式的に表したものである。なお、断面を示すハッチングは省いている。
【0027】
シリンダチューブ122の外周面、第3架台133の外周面、第2架台132の外周面のそれぞれには、油圧ジャッキ120の伸縮方向に直交する一つの断面あるいは複数の断面において、放射方向へ向けて複数のバネロック140が設けられている。シリンダチューブ122が伸縮方向に移動すると、シリンダチューブ122に設けられたバネロック140を構成するロックボール141が第3架台133の内周面133aから押圧されつつ転動する。
【0028】
第3架台133の内周面、第2架台132の内周面、第1架台131の内周面のそれぞれには、油圧ジャッキ120の伸縮方向に直交する一つの断面あるいは複数の断面において、円周方向に沿ってロック溝が設けられている。具体的には、図示するように例えば第3架台133の内周面133aには、三角溝から成るロック溝133bが設けられている。第2架台132のロック溝も第1架台131のロック溝も同様に設けられている。シリンダチューブ122が伸縮方向に移動し、第3架台133の内周面133aを転動するロックボール141がロック溝133bへ到達すると、バネの作用によりロックボール141がロック溝133bへ嵌まり込む。
【0029】
ロックボール141がロック溝133bへ嵌まり込むと、シリンダチューブ122と第3架台133は相対的に固定され、さらにシリンダチューブ122が持ち上げられると、第3架台133は、シリンダチューブ122と共に持ち上がり、第2架台132から展開される。同様に、第3架台133が持ち上げられ、第3架台133の外周面に設けられたバネロック140のロックボール141がやがて第2架台132の内周面に設けられたロック溝へ嵌まり込むと、第3架台133と第2架台132は相対的に固定される。さらに、第2架台132が持ち上げられ、第2架台132の外周面に設けられたバネロック140のロックボール141がやがて第1架台131の内周面に設けられたロック溝へ嵌まり込むと、第2架台132と第1架台131は相対的に固定され、図2に示すジャッキ伸長状態となる。ジャッキ伸長状態からジャッキ収縮状態へは、上述の逆順を辿る。
【0030】
本実施形態においては、ジャッキ収縮状態からジャッキ伸長状態へ展開する場合に、内側の第3架台133が外側の第2架台132より先に展開されるようにバネロック140の配置とロックボール141の押圧力が調整されている。しかし、外側の第2架台132が内側の第3架台133より先に展開されるようにバネロック140の配置とロックボール141の押圧力を調整してもよい。外側の枠体から順次展開されるようにすれば、径の大きな枠体から展開されることになるので、展開の中途段階においてより大きな曲げ応力に抗することが期待できる。
【0031】
次に、本実施形態に係るいくつかの変形例について説明する。図6は、本実施形態の変形例に係るジャッキユニット200の全体斜視図である。ジャッキユニット200は、上述の実施形態に係るジャッキユニット100を実質的に2つ備え、その2つのジャッキユニット100で1つの搬送台250を支持する構成を有する。図6において、ジャッキユニット100と同様の構成については同一の符番を付している。
【0032】
ジャッキユニット200は、1つのベースプレート212に2つの支持フレーム111が固定されたベース部材210を備える。それぞれの支持フレーム111には、ジャッキユニット100と同様に、油圧ジャッキ120と多段式架台130が組み付けられている。
【0033】
搬送台250は、ベース部材210に突設された2つの油圧ジャッキ120に架設されている。具体的には、搬送台250から両側方へそれぞれ突出して設けられたクランプ253がそれぞれの油圧ジャッキ120のシリンダチューブ122に固定されることにより、搬送台250は2つの油圧ジャッキ120によって支持されている。
【0034】
搬送台250は、2つのシャフト252によって回転自在に支持された搬送ローラー251を備える。搬送ローラー251は、積載物を水平面内の一方向である搬送方向へ送り出す機能を有する。すなわち、ジャッキユニット200は、積載物を水平面内の一方向へ搬送する機能と、鉛直方向である油圧ジャッキ120の伸縮方向(ベース部材210に対する離間方向)に沿って持ち上げたり引き下げたり機能とを有する。特に、複数のジャッキユニット200を用いて重量物を支えつつ水平方向へ搬送するような場合には、油圧ジャッキ120の伸縮を制御して当該重量物が全体として水平を保つように調整される。このように、油圧ジャッキ120が伸縮方向(例えば鉛直方向)に直交する方向(例えば水平方向)の成分を含む方向へ移動する搬送物を支えるような場合には、油圧ジャッキのピストンロッドに曲げ応力が発生する。しかし、多段式架台130の作用により比較的大きな曲げ応力に耐え得るので、ピストンロッド123が破損したりオイル漏れが発生したりすることを防ぐことが期待できる。
【0035】
図7は、本実施形態の更に変形例に係るジャッキユニット300の全体斜視図である。ジャッキユニット300は、上述のジャッキユニット100におけるシリンダチューブ122の外周部が最内の枠体に内挿される多段式架台130に代えて、シリンダチューブ122の側方部に連結される2つの多段式架台(第1多段式架台330a、第2多段式架台330b)を備える。それぞれの多段式架台の他端は、支持フレーム111またはベースプレート112に連結される。
【0036】
このように構成された多段式架台も、ピストンロッドに加わる曲げ応力を緩和する機能を発揮する。なお、シリンダチューブ122の側方に組み付けられる多段式架台は、2つに限らず、シリンダチューブ122の大きさに応じてその数が決定されればよい。
【符号の説明】
【0037】
100、200、300…ジャッキユニット、110、210…ベース部材、111…支持フレーム、112、212…ベースプレート、120…油圧ジャッキ、121…オイルポート、122…シリンダチューブ、123…ピストンロッド、130…多段式架台、131…第1架台、132…第2架台、133…第3架台、133a…内周面、133b…ロック溝、140…バネロック、141…ロックボール、250…搬送台、251…搬送ローラー、252…シャフト、253…クランプ、330a…第1多段式架台、330b…第2多段式架台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7