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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027538
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】クイックコネクタ
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/096 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
F16L37/096
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130417
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】南原 翔平
(72)【発明者】
【氏名】田邉 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】大西 健士
(72)【発明者】
【氏名】上村 尚三
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AA01
3J106AA04
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106BE29
3J106CA02
3J106EA03
3J106EB02
3J106EC08
3J106ED05
3J106EE02
(57)【要約】
【課題】配管とは別に本体に押し込まれるべき部材を持たず、本体と配管とを互いに押し合わせる操作だけで本体に配管を自動的に固定できるクイックコネクタを提供する。
【解決手段】筒状の本体は内径が配管の開口部の外径よりも大きく、内周面にロック用凹部を含む。リテーナーは、本体の軸方向と交差する軸のまわりに回転可能に本体に固定される。リテーナーの腕部は、本体内に配管が配置される際、配管のフランジによって押される。リテーナーのロック用凸部は腕部から外周方向へ突出している。リテーナーの爪部は、本体に配管が配置される際のリテーナーの回転により、フランジに引っ掛かって本体からの配管の離脱を阻止する。腕部からフランジが分離されている状態ではロック用凹部よりも本体の開口端側にロック用凸部が位置し、腕部がフランジに押されてリテーナーが回転すると、ロック用凹部にロック用凸部が嵌まって本体にリテーナーを固定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に外周方向へ張り出したフランジを含む配管に接続されるクイックコネクタであって、
内径が前記配管の開口部の外径よりも大きい筒状部材であり、内周面にロック用凹部を含む本体と、
前記本体の軸方向と交差する軸のまわりに回転可能であるように前記本体に固定されるリテーナーと
を備え、
前記リテーナーは、
前記本体の内部空間に前記配管が配置される際、前記配管のフランジによって押される腕部と、
前記腕部から外周方向へ突出しているロック用凸部と、
前記本体の内部空間に前記配管が配置される際、前記配管のフランジによって前記腕部が押されて前記リテーナーが回転することにより、前記フランジに引っ掛かって前記本体からの前記配管の離脱を阻止する爪部と
を含み、
前記腕部から前記配管のフランジが分離されている状態では、前記ロック用凹部よりも前記本体の開口端側に前記ロック用凸部が位置し、
前記腕部が前記フランジに押されて前記リテーナーが回転すると、前記ロック用凹部に前記ロック用凸部が嵌まって前記本体に前記リテーナーを固定する
ことを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項2】
前記本体の内周面は、前記ロック用凹部よりも前記本体の開口端側に仮止め用凹部を含み、
前記リテーナーの腕部は、外周面から外周方向へ突出している仮止め用凸部を含み、
前記仮止め用凸部は、
前記腕部から前記配管のフランジが分離されている状態では前記仮止め用凹部に嵌まっており、
前記腕部が前記フランジに押されると前記仮止め用凹部から外れる、
請求項1に記載のクイックコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管用のクイックコネクタに関し、特に、その本体を配管に固定するのに補助具を利用するものに関する。
【背景技術】
【0002】
「クイックコネクタ」は、パイプ、ホース、チューブ等の配管に接続される継手を表す場合、接続に必要な操作の簡単さで特徴付けられるものを意味する。クイックコネクタには、配管との接続に、スナップフィット、締まりばめ(圧入)等、ねじとは異なる手段を利用する種類がある(たとえば特許文献1-6参照)。この種類のクイックコネクタを配管に接続するには、基本的には、その筒状の本体の開口部(軸方向の端部)と配管の開口部とを互いに押し合わせるだけでよく、本体等、何らかの部材を何回転もねじる必要がない。この点でクイックコネクタは配管との接続に必要な操作が簡単であるので、配管設備の組み立てに必要な時間の短縮に有利である。したがって、クイックコネクタは、たとえば、半導体、医療品、薬品、または食品等の製造に利用される配管設備、特にその中でも配管が頻回に着脱される部位において有用である。配管の着脱に必要な時間の短縮は、洗浄等のメンテナンスを行う作業者の負担の軽減に効果的だからである。クイックコネクタはまた、自動車に搭載される、ガソリン、冷却水、または排ガス等を流す配管設備にも有用である。これらの配管設備に対しては、自動車の安全性を確保する目的で、特に高い信頼性が要求される。配管設備の組み立ての作業性を高く維持したままでこの要求を満たすには、クイックコネクタの利用によって配管の確実な接続を手早く実現させることが効果的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-266475号公報
【特許文献2】特開2010-078077号公報
【特許文献3】特開2019-132431号公報
【特許文献4】特開2020-204366号公報
【特許文献5】特開2013-177911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クイックコネクタには、その本体を配管に固定するのに、その本体とは別の補助具を利用する種類がある(たとえば特許文献1-4参照)。この補助具は一般に完全な環状、または周の一部を欠いた環状、すなわち開環状の部材であり、「リテーナー」と呼ばれている。
【0005】
たとえば、特許文献1-4に開示されているリテーナーは、弾性変形によって内径を拡げることが可能である。特許文献1、4に開示されているリテーナーと特許文献3に開示されているスプリングラッチとはいずれも、クイックコネクタの本体の開口部に配管が収容されるよりも先にその本体の側壁の貫通穴に押し込まれ、環状の内周側の少なくとも一部を本体の内部空間に迫り出させている。この状態の本体の開口部に配管が押し込まれると、その配管の外周面から外周方向へ張り出しているフランジがリテーナーまたはスプリングラッチを押し広げて乗り越えさせる。一方、特許文献2に開示されているリテーナーは開環状であり、クイックコネクタの本体の開口部に配管が収容された後にその本体の側壁の貫通穴に押し込まれる。このとき、リテーナーの周方向における両端が配管の側壁に押し付けられて間隔を拡げるのでリテーナーが配管を抱える。こうして、特許文献1-4に開示されているリテーナーとスプリングラッチとはいずれも、自身の弾性を利用したスナップフィットにより、配管のうちフランジに対して開口部とは反対側の部分に嵌まる。したがって、配管が外部から引っ張られてもフランジがリテーナー等に引っ掛かるので、配管がクイックコネクタの本体から離脱できない。
【0006】
しかし、特許文献1-4に開示されているクイックコネクタのいずれにも次の問題がある。これらのクイックコネクタを配管に接続する作業には、本体の開口部に配管を押し込む操作とは別に、本体の側壁の貫通穴にリテーナーまたはスプリングラッチを押し込む操作が必要である。この点でクイックコネクタは、その作業性を更に向上させることが難しい。さらに、本体の側壁の貫通穴にリテーナー等を押し込むには、本体の外周側にその径方向においてある程度広い空間が確保されなければならない。この条件により、クイックコネクタの設置場所の設計はその自由度が制限されるので、クイックコネクタの用途を更に拡大することが難しい。
【0007】
クイックコネクタには上記のものの他に、特許文献5に開示されているものもある。このクイックコネクタは、まず、その筒状の本体の開口部の側壁と、その外周側を軸方向に伸びている片持ち梁状の爪との間に配管の開口部の側壁を挟む。その上で、本体の開口部と爪、および配管の開口部を筒状のロック部材が囲み、その内周面で爪を配管に押し付けるので、本体が配管に固定される。このクイックコネクタには、特許文献1-4に開示されているリテーナー等のような、配管とは別の方向から本体に押し込まれるべき部材がない。しかし、このクイックコネクタを配管に接続する作業には、本体の開口部と爪との間に配管を挟む操作の後に、ロック部材を軸方向に移動させる操作が必要である。作業時間を更に短縮させるには、本体と配管とを互いに押し合わせる操作だけで、本体に配管が自動的に固定されることが望ましい。
【0008】
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に、本体に配管とは別の方向から押し込まれるべき部材を持たず、かつ本体と配管とを互いに押し合わせる操作だけで本体に配管を自動的に固定できるクイックコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの観点によるクイックコネクタは、外周面に外周方向へ張り出したフランジを含む配管に接続されるものであり、筒状の本体とリテーナーとを備えている。本体は内径が配管の開口部の外径よりも大きい。リテーナーは、本体の軸方向と交差する軸のまわりに回転可能であるように本体に固定される。リテーナーは、腕部、ロック用凹部、および爪部を含む。腕部は、本体の内部空間に配管が配置される際、フランジによって押される。ロック用凹部は腕部から外周方向へ突出している。爪部は、本体の内部空間に配管が配置される際、フランジによって腕部が押されてリテーナーが回転することにより、フランジに引っ掛かって本体からの配管の離脱を阻止する。腕部からフランジが分離されている状態では、ロック用凹部よりも本体の開口端側にロック用凸部が位置する。腕部がフランジに押されてリテーナーが回転すると、ロック用凹部にロック用凸部が嵌まって本体にリテーナーを固定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による上記のクイックコネクタでは、本体の内部空間に配管が配置される際にリテーナーが、その配管のフランジによって腕部を押されて回転し、そのフランジに爪部を引っ掛けて本体からの配管の離脱を阻止する。さらに、本体のロック用凹部にリテーナーのロック用凸部が嵌まって本体にリテーナーを固定する。したがって、このクイックコネクタには、本体に配管とは別の方向から押し込まれるべき部材が不要であるので、このクイックコネクタを配管に接続する作業の際に確保されるべき空間が縮小可能である。その結果、このクイックコネクタはその設置場所の設計の自由度を向上させることができる。さらに、その作業では、本体と配管とを互いに押し合わせる操作だけで本体に配管が自動的に固定されるので、作業時間が短縮可能である。こうして、このクイックコネクタは従来のものよりも用途が更に広く、作業性が更に高い。
【0011】
本体の内周面がロック用凹部よりも本体の開口端側に仮止め用凹部を含み、リテーナーの腕部が、外周面から外周方向へ突出している仮止め用凸部を含んでもよい。仮止め用凸部は、腕部から配管のフランジが分離されている状態では仮止め用凹部に嵌まっており、腕部がフランジに押されると仮止め用凹部から外れる。この場合、本体の内部空間に配管が配置されるよりも前からリテーナーを、その爪部が配管のフランジよりも外周側に位置する状態で本体に仮止めすることができる。したがって、このクイックコネクタを配管に接続する作業では、直ちに、本体と配管とを互いに押し合わせることができるので、爪部を退避させる手間がかからず、作業時間の短縮も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態によるクイックコネクタの外観を示す斜視図である。
図2図1が示すクイックコネクタの分解図である。
図3】(a)は、図1が示す直線III-IIIを含み、かつ矢印aに対して垂直な平面に沿った断面図、すなわち垂直断面図であり、(b)は、その直線III-IIIを含み、かつ矢印bに対して垂直な平面に沿った断面図、すなわち水平断面図である。
図4】(a)、(b)はそれぞれ、図2が示すリテーナーの正面図、側面図であり、(c)、(d)はそれぞれ、図2が示す本体の正面図、側面図である。
図5】(a)、(b)、(c)はそれぞれ、図1が示すクイックコネクタから配管が分離されている状態の垂直断面図、水平断面図、正面図である。
図6】(a)、(b)、(c)はそれぞれ、図1が示すクイックコネクタに配管が挿入されている状態の垂直断面図、水平断面図、正面図である。
図7】本発明の実施形態のある変形例によるクイックコネクタの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の実施形態によるクイックコネクタ100の外観を示す斜視図であり、図2はその分解図である。図3の(a)は、図1が示す直線III-IIIを含み、かつ矢印aに対して垂直な平面に沿った断面図、すなわち垂直断面図であり、(b)は、その直線III-IIIを含み、かつ矢印bに対して垂直な平面に沿った断面図、すなわち水平断面図である。クイックコネクタ100は、好ましくは電気自動車(EV)のバッテリーパックの冷却配管系統において、図3が示すようにパイプ510とホース520との間を接続する。パイプ510は、好ましくは、金属等、剛性の高い素材から成る円管であり、バッテリーパック、ラジエーター、ポンプ等において冷却水(LLC)の吸入口または排出口として利用される。図2図3が示すように、パイプ510は外周面に、外周方向へ張り出した円環状のフランジ515を含む。フランジ515は、好ましくは、軸方向における両側(図3では左右)の角が丸められている。ホース520は、好ましくは、高密度ポリエチレン(HDPE)等、柔軟性の高い樹脂から成る円管であり、LLCの流路として自動車内に敷設される。
【0014】
図2が示すように、クイックコネクタ100は、本体200、リテーナー300、およびシールリング400を含む。図4の(a)、(b)はそれぞれリテーナー300の正面図、側面図であり、(c)、(d)はそれぞれ本体200の正面図、側面図である。本体200は円筒部材であり、好ましくはポリアミド(PA)またはガラス繊維強化ポリアミド(PA-GF)等、剛性が比較的高い樹脂から成る。リテーナー300は半円環状の部材であり、好ましくはPAまたはPA-GF等、本体200の素材と比べて剛性が同程度以下である樹脂から成る。シールリング400は、2本の同サイズの円環部材である主環410とリップシール420とで構成されている。好ましくは、主環410がPAまたはPA-GF等、リップシール420の素材よりも剛性が高い樹脂から成り、リップシール420が、熱可塑性エラストマー(TPE)等、主環410の素材よりもシール性が高い樹脂から成る。主環410とリップシール420とは、好ましくは2色成形によって同軸に一体化している。
[本体]
【0015】
図1図3が示すように、本体200の軸方向における片側(図面では左側)の開口部210(以下、「第1開口部」と呼ぶ。)はパイプ510の開口部511(フランジ515よりも開口端側の部分)を同軸に囲む。第1開口部210とは反対側(図面では右側)の開口部220(以下、「第2開口部」と呼ぶ。)は、図3が示すように、ホース520の開口端に同軸に挿入される。それらの結果、本体200の内部空間を通してパイプ510の内部空間がホース520の内部空間に連通する。
【0016】
図1図2図4の(c)が示すように、第1開口部210の端面217は半円環形であり、その周方向の両端から同じ接線方向(図面では上方)へ1対の軸受板211が互いに平行に広がっている。軸受板211の形状は互いに鏡像の関係にある。第1開口部210の軸方向において軸受板211は第1開口部210よりも短い。したがって、第1開口部210は、軸方向における軸受板211の範囲では半円筒状であり、軸受板211に対して端面217とは反対側では完全な円筒状である。この完全な円筒状の部分は、好ましくは4つの固定用凹部218を含む。固定用凹部218は、好ましくは長円形状の貫通穴であり、図1図3図4の(d)が示すように、軸方向においては第1開口部210の端面217から同じ距離に、周方向においては等間隔に配置されている。
【0017】
図1図2図4の(d)が示すように、各軸受板211は、軸穴212、ランプ213、ロック用凹部214、仮止め用凹部215、およびロック用補助凹部216を含む。
【0018】
軸穴212は、好ましくは円形の貫通穴であり、軸受板211の先端部(すなわち、第1開口部210の中心軸から遠い方の端部であり、図面では上端部)に位置する。軸穴212は本体200の第1開口部210の中心軸から、第1開口部210の内径と同程度以上の距離に位置する。
【0019】
ランプ213は、好ましくは矩形状の凹みであり、軸受板211の基端部(すなわち、第1開口部210の中心軸に近い方の端部であり、図面では下端部)の内面(第1開口部210の中心軸に面した表面)に位置する(図4の(c)参照)。ランプ213は長辺が第1開口部210の軸方向に伸びており、第1開口部210の端面217から軸方向に沿って離れる(図4の(d)では右方へ進む)につれて浅くなるように、底面が軸方向に対して傾斜している(図5の(b)、図6の(b)参照)。
【0020】
ロック用凹部214は、好ましくは矩形の貫通穴であり、軸受板211の基端部(図面では下端部)のうちランプ213に対して第1開口部210の端面217とは反対側(図4の(d)では右側)に位置する。ロック用凹部214の長辺は軸穴212へ向かうように軸方向に対して傾斜している。軸穴212からロック用凹部214までの距離は、軸穴212からランプ213までの距離と実質的に等しい。
【0021】
仮止め用凹部215は、好ましくは円形の貫通穴であり、軸穴212とランプ213との中間に位置する。ロック用補助凹部216は、好ましくは仮止め用凹部215と同形同サイズの貫通穴であり、軸穴212とロック用凹部214との中間に位置する。仮止め用凹部215とロック用補助凹部216とは、軸穴212からの距離が実質的に等しい。
【0022】
図3が示すように、第1開口部210は、好ましくは第2開口部220との境界(図3では右端)の付近を除き、内径がパイプ510の開口部511の外径よりは大きく、シールリング400の外径よりはわずかに小さい。これにより、第1開口部210は内周側にシールリング400を同軸に収容可能であり、その内周側にパイプ510の開口部511を同軸に配置可能である。さらに、第1開口部210は、好ましくはパイプ510の開口部511よりも軸方向において長いので、その開口部511の全体を収容可能である。
【0023】
好ましくは、第1開口部210の内周面が第2開口部220の内周面との境界(図3では右端)の付近に狭窄部219を含む。狭窄部219は、内周方向へ迫り出している円環部分であり、内径がパイプ510の開口部511の外径よりもわずかに大きく、シールリング400の外径よりは小さい。
【0024】
図3が示すように、第2開口部220の外径はホース520の内径よりも大きいので、第2開口部220はホース520の中へ圧入されてその開口端を押し広げる。それに伴うその開口端の復元力が第2開口部220を内周方向へ締め付けるので、ホース520が第2開口部220に固定され、ホース520の内周面と第2開口部220の外周面との隙間がシールされる。
[リテーナー]
【0025】
図2図4の(a)、(b)が示すように、リテーナー300は、回転軸310、1対の腕部320、および爪部330を含む。
【0026】
回転軸310は、実質的に真っ直ぐな棒状の部分であり、本体200の軸受板211の間隔よりも長い(図1図4の(a)、(c)参照)。回転軸310の両端311は円柱状であり、直径が本体200の軸穴212の直径よりも小さい。したがって、回転軸310は、両端311が軸穴212に嵌められることにより、本体200の第1開口部210の軸方向に対して垂直に配置され、リテーナー300を軸受板211に、回転軸310のまわりに回転可能に固定する。
【0027】
腕部320は、図4の(a)、(b)が示すように、回転軸310の両端部のうち周方向の同じ部分から同じ外周方向へ突出している。腕部320はそれぞれが円弧状であり、それらの形状が互いに鏡像の関係にある。回転軸310と腕部320との組み合わせにより、リテーナー300の全体は、図4の(a)が示すような半円環状を成す。回転軸310から腕部320の先端までの距離は、本体200の第1開口部210の軸穴212から中心軸までの距離と同程度以上である(図4の(b)、(d)参照)。
【0028】
図5の(a)、(b)、(c)はそれぞれ、本体200の第1開口部210からパイプ510が分離されている状態の垂直断面図、水平断面図、正面図である。図6の(a)、(b)、(c)はそれぞれ、第1開口部210にパイプ510が配置されている状態の垂直断面図、水平断面図、正面図である。図1図3の(b)、図4の(a)、(c)、図5の(c)、図6の(c)が示すように、腕部320の内径は第1開口部210の内径よりは大きいが、パイプ510のフランジ515の外径よりは小さい。これにより、図5が示すように、回転軸310の両端311が第1開口部210の軸穴212に嵌められている状態では、パイプ510が第1開口部210の中を軸方向へ摺動する際のフランジ515の軌道上に腕部320が位置する。したがって、図3の(b)、図5図6が示すように、フランジ515によって腕部320が押されてリテーナー300が回転軸310のまわりに回転し、第1開口部210の軸方向に対する腕部320の角度が変わる。
【0029】
腕部320では、好ましくは先端部の外周面からロック用凸部321が外周方向へ突出している。ロック用凸部321は、好ましくは図4の(a)、(b)が示すような矩形状の突起であり、その矩形が本体200の第1開口部210のランプ213とロック用凹部214とのいずれの矩形よりも小さい。また、回転軸310からロック用凸部321までの距離は、第1開口部210の軸穴212からランプ213までの距離と、軸穴212からロック用凹部214までの距離とのいずれとも実質的に等しい。したがって、回転軸310の両端311が軸穴212に嵌められた状態では、第1開口部210の軸方向に対する腕部320の角度に応じ、ロック用凸部321がランプ213にも嵌まり(図5参照。)、ロック用凹部214にも嵌まる(図6参照)。さらに、図4の(a)、(c)が示すように、腕部320の一方のロック用凸部321の先端から他方のロック用凸部321の先端までの幅は、第1開口部210の軸受板212の間隔よりもわずかに広い。それ故、ロック用凸部321がランプ213またはロック用凹部214に一旦嵌まると、腕部320が内周側へ撓まない限り、ランプ213からもロック用凹部214からも自然には離脱できない。好ましくは、図5の(b)が示すように、ロック用凸部321の先端面が、第1開口部210の軸方向に沿って外側から奥側へ向かう(図5の(b)では左側から右側へ進む)につれて第1開口部210の内周側(図5の(b)では下側)へ近づくように傾斜している。
【0030】
腕部320では更に、好ましくは中間部の外周面から仮止め用凸部322が外周方向へ突出している。仮止め用凸部322は、好ましくは図4の(a)、(b)が示すような半球状の突起であり、本体200の第1開口部210の仮止め用凹部215とロック用補助凹部216とのいずれよりも、直径がわずかに大きい。また、回転軸310から仮止め用凸部322までの距離は、第1開口部210の軸穴212から仮止め用凹部215までの距離と、軸穴212からロック用補助凹部216までの距離とのいずれとも実質的に等しい。したがって、回転軸310の両端311が軸穴212に嵌められた状態では、第1開口部210の軸方向に対する腕部320の角度に応じ、仮止め用凸部322が仮止め用凹部215にも嵌まり(図5参照。)、ロック用補助凹部216にも嵌まる(図6参照)。さらに、仮止め用凸部322が仮止め用凹部215に嵌まるときにはロック用凸部321がランプ213に嵌まり、仮止め用凸部322がロック用補助凹部216に嵌まるときにはロック用凸部321がロック用凹部214に嵌まる。仮止め用凸部322は、仮止め用凹部215またはロック用補助凹部216に一旦嵌まると、各凹部215、216からの摩擦力を超える外力を腕部320が受けて内周側へ撓まない限り、仮止め用凹部215からもロック用補助凹部216からも自然には離脱できない。
【0031】
爪部330は、図4の(a)、(b)が示すように、回転軸310の中央部から、腕部320とは異なる外周方向へ突出している。爪部330は鉤状であり、先端331が回転軸310の周方向へ曲がっている。図5が示すように、回転軸310の両端311が本体200の第1開口部210の軸穴212に嵌められ、かつ、ロック用凸部321が第1開口部210のランプ213に嵌められている状態では、パイプ510が第1開口部210の中を軸方向へ摺動する際にパイプ510のフランジ515が描く軌道から外周側(図5の(a)では上側)へ爪部330が退避している。爪部330は更に、第1開口部210の軸方向では腕部320よりも外側(図5の(a)、(b)では左側)に位置する。パイプ510が第1開口部210の中を軸方向へ摺動する際、フランジ515が腕部320を押してリテーナー200を回転させることにより、図1図3の(a)、図6の(a)、(b)が示すように、軸方向におけるフランジ515の外側(図面では左側)に爪部330の先端331が引っ掛かる。このとき、図3の(a)、図6の(a)が示すように、先端331と腕部320の基端323とがフランジ515を挟むように、爪部330のサイズが設計されている。
[シールリング]
【0032】
図3が示すように、シールリング400は外径が本体200の第1開口部210の内径よりもわずかに大きいので、第1開口部210の内周側に同軸に圧入される。シールリング400は更に、軸方向の長さが第1開口部210の軸受板211から狭窄部219までの軸方向の距離以下である。したがって、シールリング400は、リップシール420の全周を狭窄部219の全周に接触させる位置まで押し込まれると、第1開口部210の完全な円筒状の部分によって完全に囲まれる。こうして、その部分の内周面にシールリング400の外周面の全体が密着する。一方、シールリング400の内径はパイプ510の開口部511の外径よりもわずかに小さいので、パイプ510の開口部511が第1開口部210に配置される際、シールリング400の内周側に同軸に圧入される。これにより、シールリング400の内周面の全体がパイプ510の開口部511の外周面に密着する。
【0033】
主環410の外周面からは、好ましくは4つの固定用凸部411が外周方向へ突出しており、周方向において等間隔に配置されている。固定用凸部411は、好ましくは図2図3が示すような半球状の突起であり、本体200の第1開口部210の固定用凹部218よりも直径がわずかに大きい。これにより、シールリング400が第1開口部210の内周側に圧入され、第1開口部210に対して回転させられると、固定用凸部411が固定用凹部218に嵌まるので、シールリング400が第1開口部210に固定される。
【0034】
リップシール420は、好ましくは図3が示すように、本体200の第1開口部210の狭窄部219に面した側(図3では右側)に2枚のリップ421、422を含む。外周側のリップ421はリップシール420の外周の縁から、内周側のリップ422はリップシール420の内周の縁から、それぞれ軸方向(図3では右方)へ張り出している。リップ421、422は薄い円環状であり、素材の弾性により、径方向における互いの間隔を増減させるように屈曲可能である。さらに、固定用凸部411からリップシール420のリップ421、422の先端(図3では右端)までの軸方向の距離が、第1開口部210の固定用凹部218から狭窄部219までの軸方向の距離以下である。したがって、固定用凸部411が固定用凹部218に嵌まると、リップ421、422の全周が狭窄部219の全周に接触し、または押し付けられる。
[クイックコネクタをパイプに接続する作業]
【0035】
クイックコネクタ100をパイプ510に接続する作業に先立ち、まず、シールリング400が本体200の第1開口部210に圧入され、図5が示すように、固定用凸部411が第1開口部210の固定用凹部218に嵌められる。これにより、シールリング400が第1開口部210に固定される。次に、リテーナー300の回転軸310の両端311が本体200の第1開口部210の軸穴212に嵌められ、リテーナー300の腕部320のロック用凸部321が第1開口部210のランプ213に嵌められ、腕部320の仮止め用凸部322が第1開口部210の仮止め用凹部215に嵌められる。これによりリテーナー300が第1開口部210に仮止めされる。
【0036】
接続の作業では、まず、第1開口部310の内周側にパイプ510の開口部511が、図5に2点鎖線で示されているように配置される。前述のとおり、リテーナー300の爪部330は、第1開口部210の径方向ではパイプ510のフランジ515の軌道から外周側(図5の(a)では上側)へ退避しており、第1開口部210の軸方向ではリテーナー300の腕部320よりも外側(図5の(a)、(b)では左側)に位置する。したがって、フランジ515は爪部330には接触することなく腕部320に接触し、それを第1開口部210の軸方向へ(図5の(a)、(b)では右方へ)押す。これにより、腕部320の仮止め用凸部322が第1開口部210の仮止め用凹部215から外れ、腕部320のロック用凸部321が第1開口部210のランプ213に沿って摺動する。ランプ213の底面とロック用凸部321の先端面との傾斜により、ランプ213にロック用凸部321が滑らかに乗り上げ、それに伴って腕部320が内周側へ徐々に撓む。
【0037】
図6が示すように、フランジ515が更に奥(図6の(a)、(d)では右側)へ進むと、ロック用凸部321が第1開口部210のロック用凹部214に到達するので、腕部320の復元力によってそこに嵌まる。さらに、腕部320の仮止め用凸部322が第1開口部210のロック用補助凹部216に嵌まる。このようなスナップフィット方式でリテーナー300が第1開口部210に固定される。
【0038】
フランジ515が腕部320を押してリテーナー200を回転させることにより、軸方向におけるフランジ515の外側(図6の(a)、(b)では左側)に爪部330の先端331が引っ掛かり、腕部320の基端323との間にフランジ515を挟む。これにより、第1開口部210からのパイプ510の離脱が阻止される。
【0039】
第1開口部210の内周側では、パイプ510の開口部511がシールリング400の内周側に圧入され、その開口部511の外周面にシールリング400の内周面の全体が密着する。主環410は剛性が比較的高いので、その内周面がパイプ510の開口部511の外周面に密着することにより、その開口部511を第1開口部210に対して同軸に安定に保つ。一方、リップシール420はリップ421、422を第1開口部210の狭窄部219に接触させる。この状態でパイプ510とホース520との間にLLCが流れると、リップ421、422と狭窄部219との隙間にLLCが進入するので、その圧力で外周側のリップ421は第1開口部210の内周面に密着し、内周側のリップ422はパイプ510の開口部511の外周面に密着する。こうして第1開口部210とパイプ510の開口部511との隙間がシールされる。このとき、主環410は、LLCの圧力によってリップシール420が外周面と第1開口部210の内周面との隙間に食い込む現象、すなわちリップシール420のはみ出しを防ぐ。
[クイックコネクタからパイプを分離する作業]
【0040】
図1図3が示す状態のクイックコネクタ100からパイプ510を分離するには、まず、本体200の第1開口部210のロック用凹部214を通してリテーナー300のロック用凸部321を工具等で内周側へ押し込んでリテーナー300の腕部320を内周側へ撓ませ、ロック用凹部214からロック用凸部321を外す。この状態でパイプ510を引っ張ると、パイプ510のフランジ515がリテーナー300の爪部330を押し退けるので、パイプ510の開口部511を第1開口部210から引き抜くことができる。
[実施形態の利点]
【0041】
本発明の実施形態によるクイックコネクタ100では、本体200の第1開口部210の内周側にパイプ510の開口部511が配置される際、パイプ510のフランジ515によってリテーナー300の腕部320が押されるのでリテーナー300が回転する。これに伴い、フランジ515にリテーナー300の爪部330が引っ掛かり、第1開口部210のロック用凹部214に腕部320のロック用凸部321が嵌まるので、パイプ510が第1開口部210に固定される。このように、クイックコネクタ100には、第1開口部210にパイプ510とは別の方向から押し込まれるべき部材が不要であるので、クイックコネクタ100をパイプ510に接続する作業の際に確保されるべき空間が縮小可能である。その結果、クイックコネクタ100はその設置場所の設計の自由度を向上させることができる。さらに、その作業では、第1開口部210とパイプ510の開口部511とを互いに押し合わせる操作だけで第1開口部210にパイプ510が自動的に固定されるので、作業時間が短縮可能である。こうして、クイックコネクタ100は従来のものよりも用途が更に広く、作業性が更に高い。
【0042】
リテーナー300の腕部320からパイプ510のフランジ515が分離されている状態では、腕部320の仮止め用凸部322が第1開口部210の仮止め用凹部215に嵌まっており、腕部320がフランジ515に押されると仮止め用凹部215から外れる。この場合、第1開口部210にパイプ510の開口部511が配置されるよりも前からリテーナー300を、その爪部330がフランジ515の軌道から外周側へ退避している状態で第1開口部210に仮止めすることができる。したがって、クイックコネクタ100をパイプ510に接続する作業では、直ちに、第1開口部210とパイプ510の開口部511とを互いに押し合わせることができるので、爪部330を退避させる手間がかからず、作業時間の短縮も可能である。
[変形例]
【0043】
(1)クイックコネクタ100の用途はEVのバッテリーパックの冷却配管系統には限られず、その他に、ガソリンまたは排ガス等を流す他の配管系統であっても、半導体、医療品、薬品、または食品等の製造ラインにおいて、純水、薬液、殺菌/加熱用の高温ガス等を流す配管系統であってもよい。また、接続対象の配管も、パイプ510とホース520との組み合わせに限らず、パイプ同士、ホース同士、または他のコネクタ等、多様に変更可能である。
【0044】
(2)クイックコネクタ100の樹脂材料は、PA、PA-GFには限られない。その他に、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテルエテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド等、種々の樹脂が使用可能である。これらは、クイックコネクタ100の使用分野または用途、パイプ510、ホース520の材質等に応じて適宜に選択されればよい。
【0045】
(3)パイプ510のフランジ515は完全な円環状である。しかし、本発明によるクイックコネクタが接続の対象とする配管は、そのような形状のフランジを持つものには限られない。たとえば、フランジが開環状の単体であっても、配管の周方向において離散的に配置されている複数の弧状体の集合であってもよい。この場合、その配管がクイックコネクタ100に接続される際、その配管の周方向においてそのフランジの範囲内にリテーナー300の腕部320と爪部330とがいずれも位置するように、腕部320と爪部330とが設計されればよい。
【0046】
(4)図5図6が示す本体200の第1開口部210へのパイプ510の開口部511の進入は、第1開口部210とパイプ510の開口部511とを互いに押し合わせる操作に伴うそれらの相対的な運動である。その操作は、より詳細には、第1開口部210にパイプ510の開口部511を押し込む操作であっても、逆に、第1開口部210をパイプ510の開口部511に押し付ける操作であってもよい。
【0047】
(5)本体200の第1開口部210にリテーナー300を回転可能に固定する構造は第1開口部210の軸受板212とリテーナー300の回転軸310との組み合わせには限られない。リテーナーが、腕部をパイプ510のフランジ515によって押されて回転し、爪部をフランジ515に引っ掛けることさえできれば、第1開口部の軸穴とリテーナーの回転軸との対の数、形状、寸法、配置等は多様に変更可能である。たとえば、回転軸と第1開口部の軸方向との交差する角度が90°以外であってもよい。また、回転軸が第1開口部の中心軸と交差するように第1開口部に回転可能に固定され、第1開口部の中心軸に対して腕部と爪部とが互いに反対側に配置されてもよい。その他に、リテーナー300の回転軸310は第1開口部210の軸受板212とは別体であるが、リテーナーと第1開口部との間の接続部がリビングヒンジを形成するように、リテーナーが第1開口部と一体化されてもよい。
【0048】
図7は、本発明の実施形態のある変形例によるクイックコネクタ150の外観を示す斜視図である。クイックコネクタ150は図1が示すクイックコネクタ100とは異なり、本体200の第1開口部210が1対の軸受板212とリテーナー300との組み合わせを2つ備えている。特に、4枚の軸受板212と2つのリテーナー300とが第1開口部210の中心軸に対して対称的に配置され、軸受板212は2枚ずつ、1枚の板状部材に一体化している。これにより、パイプ510と第1開口部210とが互いに押し合わされると、パイプ510の中心軸に対してフランジ515の両側にリテーナー300の爪部330が引っ掛かる。その結果、パイプ510の開口部511が第1開口部210に更に安定に固定され、第1開口部210からの引き抜きに対する耐性が更に高い。
【0049】
(6)リテーナー300の爪部330は一例に過ぎず、それらの具体的な構造に発明は限定されない。パイプ510のフランジ515に引っ掛かり、第1開口部210からのパイプ510の開口部511の離脱を阻止さえできれば、爪部の本数、形状、寸法、配置等は多様に変更可能である。
【0050】
(7)本体200のロック用凹部214は矩形であり、仮止め用凹部215は円形であり、リテーナー300のロック用凸部321は矩形であり、仮止め用凸部322は半球状である。しかし、これらの構造に発明は限定されない。各凹部に対応する凸部が嵌まることによって本体200にリテーナー300が十分な強度で固定されるのであれば、凹部と凸部との数、形状、寸法、配置等は多様に変更可能である。また、各凹部214、215が貫通穴に代え、本体200の内周面に設けられた有底の凹みであってもよい。
【0051】
(8)リテーナー300の腕部320のロック用凸部321が本体200の軸受板212のロック用凹部214に嵌まる際、仮止め用凸部322が軸受板212のロック用補助凹部218に嵌まる。これにより、仮止め用凸部322が軸受板212とは干渉しないので、ロック用凸部321がロック用凹部214に十分に深く進入する。しかし、これは発明にとって必須ではない。仮止め用凸部322と軸受板212との干渉にかかわらず、ロック用凸部321がロック用凹部214に十分に深く進入するのであれば、軸受板212にロック用補助凹部218が設けられなくてもよい。
【0052】
(9)リテーナー300は、腕部320がパイプ510のフランジ515によって押されるまでは、仮止め用凸部322を仮止め用凹部215に嵌めることにより、本体200の第1開口部210の軸受板212に仮止めされている。さらに、その間はロック用凸部321が軸受板212のランプ213に嵌まっている。しかし、これらは発明にとって必須ではない。たとえば、仮止め用凸部322と軸受板212との間の静止摩擦力が十分に強く、リテーナー300が自然には回転しなければ、軸受板212に仮止め用凹部215が設けられなくてもよい。また、ランプ213がない場合におけるロック用凸部322と軸受板212との間の静止摩擦力が適度に弱く、第1開口部210とパイプ510の開口部511とを互いに押し合わせる力が過剰に強められなくてもリテーナー300を十分に滑らかに回転させられれば、軸受板212にランプ213が設けられなくてもよい。
【0053】
(10)シールリング400では主環410とリップシール420とが2色成形によって一体化している。したがって、パイプ510の開口部511と本体200の第1開口部210の狭窄部219との隙間には、Oリング等のシール部品も、スペーサー、バックアップリング等の補助部品も不要であるので部品点数が削減され、製造コストと接続作業の手間とが低減可能である。しかし、これは発明にとって必須ではなく、主環410とリップシール420とが別体であってもよい。さらに、リップシール420に代えて、Oリング等のシール部品が、必要であれば、スペーサー、バックアップリング等の補助部品と共に使用されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100 クイックコネクタ
200 本体
210 第1開口部
211 軸受板
212 軸穴
213 ランプ
214 ロック用凹部
215 仮止め用凹部
216 ロック用補助凹部
217 第1開口部の端面
218 固定用凹部
219 狭窄部
220 第2開口部
300 リテーナー
310 回転軸
311 回転軸の両端
320 腕部
321 ロック用凸部
322 仮止め用凸部
323 腕部の基端部
330 爪部
331 爪部の先端
400 シールリング
410 主環
411 固定用凸部
420 リップシール
421 外周側のリップ
422 内周側のリップ
510 パイプ
511 パイプの開口部
515 パイプのフランジ
520 ホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7