(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027548
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】放射線検出装置及び放射線検出装置の点検方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/20 20060101AFI20240222BHJP
G01T 1/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G01T1/20 J
G01T1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130434
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】屋敷 昌也
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 博之
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 将史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大二郎
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188AA09
2G188AA19
2G188CC20
2G188EE07
2G188EE25
2G188FF30
(57)【要約】
【課題】光源から検出器に照射される点検用光の光量が過剰にならないように調整でき、検出器に発生する不具合を未然に回避できること。
【解決手段】放射線をシンチレーション光15に変換するシンチレータ11と、シンチレーション光15を入射して放射線量を検出する検出器12と、シンチレーション光15に代えて、検出器12を点検するための点検用光16を検出器12に照射する発光素子13と、点検用光16の入射により検出器12から出力される検出器出力信号Bの大きさに基づいて、発光素子13へ流す発光素子電流18を調整するフィードバック回路部14と、を有して構成されたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線をシンチレーション光に変換するシンチレータと、
前記シンチレーション光を入射して放射線量を検出する検出器と、
前記シンチレーション光に代えて、前記検出器を点検するための点検用光を前記検出器に照射する光源と、
前記点検用光の入射により前記検出器から出力される検出器出力信号の大きさに基づいて前記光源へ流す光源用電流を調整するフィードバック回路部と、を有して構成されたことを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記フィードバック回路部は、検出器出力信号と閾値とを比較することで前記検出器出力信号の大きさを判断するコンパレータ回路を有して構成されたことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記フィードバック回路部は、電荷を蓄積するコンデンサを備えたピークホールド回路と、前記コンデンサに蓄積された電荷に応じた電流を光源用電流として光源へ流す電圧・電流変換回路と、を有し、
検出器出力信号が閾値を超えたとコンパレータ回路により判断されたときに、前記ピークホールド回路により前記コンデンサに蓄積される電荷がピーク値に保持され、前記電圧・電流変換回路により前記光源に流される前記光源用電流がピーク値に保持されるよう構成されたことを特徴とする請求項2に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記フィードバック回路部は、ピークホールド回路のコンデンサに蓄積された電荷を放電可能とする電荷放電回路を有して構成されたことを特徴とする請求項3に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
放射線をシンチレーション光に変換するシンチレータと、前記シンチレーション光を入射して放射線量を検出する検出器と、を有する放射線検出装置の点検方法であって、
前記検出器を点検するための点検用光を、前記シンチレーション光に代えて光源から前記検出器へ照射する際に、前記点検用光の入射により前記検出器から出力される検出器出力信号の大きさに基づいて、前記光源へ流す光源用電流を調整することを特徴とする放射線検出装置の点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検出器の点検機能を備えた放射線検出装置、及び放射線検出装置の点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核燃料を取り扱う原子力研究施設や再処理工場等では、万一の臨界事故発生時の迅速な作業員退避を目的として臨界警報装置を設置している。この臨界警報装置では、臨界事象に伴う放射線レベルの上昇を確実に検知するための手段として、極めて高い線量率場においても確実に線量率高を検出することが要求されることから、電流モードで動作する放射線検出装置(電離箱やシンチレーション検出器を含む)を使用している。
【0003】
臨界警報装置に使用している放射線検出装置は、臨界検知機能が正常に動作することを確認するため、定期的なトリップ動作テストの点検を行う必要があり、検出器をトリップ動作させるための点検用の発光素子を搭載している。通常時にはシンチレータによって、入射する放射線を光(シンチレーション光)に変換し、検出器にシンチレーション光を与えるが、点検時には発光素子を点灯させることによって、シンチレーション光を模擬した光(点検用光)を検出器に与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5に示す従来の放射線検出装置100は、シンチレータ101、検出器102、及び点検用の発光素子103を有する。通常時には、シンチレータ101が放射線を光(シンチレーション光104)に変換し、検出器102はシンチレーション光104を入射して、シンチレータ101に入射した放射線の放射線量を検出する。検出器102のトリップ動作テストの点検時には、発光素子103が点検信号A
0を入力して発光し、検出器102は、シンチレーション光104に代えて、発光素子103からの点検用光105を入射することで、内部の測定回路等の点検が実施される。
【0006】
ところで、トリップ動作テストなどの点検時には、発光素子103による点検用光105が適切な光量に調整される必要がある。しかしながら、検出器102の効率、発光素子103の固体差や経年変化等によって、トリップ動作レベルの放射線に対応したシンチレーション光104を模擬した点検用光105を、適切な光量に調整することが困難な場合がある。
【0007】
例えば、検出器102をトリップ動作させる際に、発光素子103が点検用光105の光量を過剰に照射した場合には、点検終了後に検出器102内の各測定回路に蓄積された電荷の放電がなかなか進まず、測定回路の電流信号が実際の放射線レベルに復帰するまでに相当な時間を要してしまう。このため、点検終了後の臨界警報装置の復旧運用に支障が生じている。
【0008】
なお、
図3(B)には、発光素子103から照射される点検用光105の光量が過剰であって、この点検用光105を入射した検出器102から出力される検出器出力信号B
0が、トリップ閾値を大幅に超えている状況を示している。
【0009】
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、光源から検出器に照射される点検用光の光量が過剰にならないように調整でき、検出器に発生する不具合を未然に回避できる放射線検出装置及び放射線検出装置の点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態における放射線検出装置は、放射線をシンチレーション光に変換するシンチレータと、前記シンチレーション光を入射して放射線量を検出する検出器と、前記シンチレーション光に代えて、前記検出器を点検するための点検用光を前記検出器に照射する光源と、前記点検用光の入射により前記検出器から出力される検出器出力信号の大きさに基づいて前記光源へ流す光源用電流を調整するフィードバック回路部と、を有して構成されたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の実施形態における放射線検出装置の点検方法は、放射線をシンチレーション光に変換するシンチレータと、前記シンチレーション光を入射して放射線量を検出する検出器と、を有する放射線検出装置の点検方法であって、前記検出器を点検するための点検用光を、前記シンチレーション光に代えて光源から前記検出器へ照射する際に、前記点検用光の入射により前記検出器から出力される検出器出力信号の大きさに基づいて、前記光源へ流す光源用電流を調整することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、光源から検出器に照射される点検用光の光量が過剰にならないように調整でき、検出器に発生する不具合を未然に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る放射線検出装置の構成を示すブロック図。
【
図2】
図1のフィードバック回路部の構成を示すブロック図。
【
図3】(A)が点検信号の時間推移を示すグラフ、(B)が従来技術における検出器出力信号の時間推移を示すグラフ、(C)が本実施形態における検出器出力信号の時間推移を示すグラフ。
【
図4】
図1のフィードバック回路部が実行する発光素子電流の調整手順等を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る放射線検出装置の構成を示すブロック図である。この
図1に示す放射線検出装置10は、シンチレータ11及び検出器12を有して放射線量を検出すると共に、検出器12を点検するために、光源としての発光素子13とフィードバック回路部14とを有して構成される。
【0015】
シンチレータ11は、入射する放射線を光(シンチレーション光15)に変換する。検出器12は、シンチレータ11からシンチレーション光15を入射して、シンチレータ11に入射した放射線の放射線量を検出する。この検出器12は、例えばトリップ動作が正常に動作することを確認するために定期的に点検される必要がある。
【0016】
発光素子13は、検出器12の動作(例えばトリップ動作)が正常であるか否かを点検するために点検用光16を照射するものであり、例えば発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)にて構成される。つまり、発光素子13は、点検スイッチ17のON動作により、この点検スイッチ17から点検信号Aを入力したときに、検出器12を点検するための点検用光16を検出器12に、シンチレーション光15に代えて照射する。この点検用光16を用いて検出器12は、動作が正常であるか否かが点検される。
【0017】
フィードバック回路部14は、発光素子13から検出器12に入射される点検用光16の光量が適切な値になるように、検出器12が点検用光16の入射により出力する検出器出力信号Bの大きさに基づいて、発光素子13へ流す光源用電流としての発光素子電流18を調整するものである。このフィードバック回路部14は、
図2に示すように、コンパレータ回路20、ピークホールド回路21、電圧・電流変換回路22及び電荷放電回路23を有して構成される。
【0018】
コンパレータ回路20は、
図1に示す発光素子13から検出器12に点検用光16が入射されることにより検出器12が出力する検出器出力信号Bとトリップ閾値(
図3参照)とを比較することで、検出器出力信号Bの大きさを判断するものである。このコンパレータ回路20は、
図2に示すように、互いに電気的に接続されたコンパレータ24及びAND回路25を有して構成される。
【0019】
コンパレータ24は、検出器出力信号Bとトリップ閾値とを比較し、検出器出力信号Bがトリップ閾値以下の場合に(検出器出力信号B≦トリップ閾値)、コンパレータ出力信号CをON(Hレベル)として出力する。また、検出器出力信号Bがトリップ閾値を超えた場合には(検出器出力信号B>トリップ閾値)、コンパレータ24はコンパレータ出力信号CをOFF(Lレベル)として出力しない。
【0020】
AND回路25は、コンパレータ24からコンパレータ出力信号Cが出力され、且つ点検スイッチ17から点検信号Aが出力されているときに、AND演算を実施してAND回路出力信号Dを出力(ON)する。AND回路25は、コンパレータ24からのコンパレータ出力信号Cと点検スイッチ17からの点検信号Aのいずれか一方が出力されなくなったとき、例えば、検出器出力信号Bがトリップ閾値を超えてコンパレータ出力信号Cが出力されなくなったときに、AND回路出力信号Dの出力を停止(OFF)する。
【0021】
ピークホールド回路21は、コンパレータ回路20のAND回路25に電気的に接続されたダイオード26と、このダイオード26に電気的に接続されて電荷を蓄積するコンデンサ27と、を有して構成される。また、これらのダイオード26及びコンデンサ27は、電圧・電流変換回路22の第1トランジスタ31と電荷放電回路23の放電スイッチ36にも電気的に接続される。
【0022】
このピークホールド回路21では、
図1に示す検出器12からの検出器出力信号Bがトリップ閾値以下のときに(検出器出力信号B≦トリップ閾値)コンパレータ24からコンパレータ出力信号Cが出力され、更にAND回路25からAND回路出力信号Dが出力されると、ダイオード26は、AND回路出力信号Dをコンデンサ27、第1トランジスタ31及び放電スイッチ36に伝達する。コンデンサ27は、伝達されたAND回路出力信号D(電流)を電荷として蓄積して端子間電圧を徐々に変化(増大)させる。
【0023】
検出器12から出力される検出器出力信号Bがトリップ閾値を超えたと(検出器出力信号B>トリップ閾値)コンパレータ24が判断すると、このコンパレータ24からコンパレータ出力信号Cが出力されなくなる。従って、AND回路25からダイオード26にAND回路出力信号Dが出力されなくなって、ダイオード26はコンデンサ27、第1トランジスタ31及び放電スイッチ36にAND回路出力信号Dを伝達しなくなる。このとき、コンデンサ27に蓄積された電荷はダイオード26によって放電されず、ピーク値として保持されることで、コンデンサ27の端子間電圧もピーク値に保持される。
【0024】
電圧・電流変換回路22は、ピークホールド回路21のコンデンサ27に蓄積された電荷に応じた電流を、発光素子電流18として発光素子13に流すものであり、第1トランジスタ31、第2トランジスタ32及び第3トランジスタ33を有して構成される。第1トランジスタ31は、互いに電気的に接続された第2トランジスタ32及び第3トランジスタ33に電気的に接続される。
【0025】
この電圧・電流変換回路22では、ピークホールド回路21のコンデンサ27の端子間電圧がそのまま第1トランジスタ31に反映されて、この第1トランジスタ31から第2トランジスタ32に電流が流れる。第2トランジスタ32と第3トランジスタ33とは電流が同期する構造であり、第2トランジスタ32に流れた電流と同一電流値の電流が第3トランジスタ33にも流れる。この第3トランジスタ33に流れる電流が、そのまま発光素子電流18として発光素子13に流れる。
【0026】
従って、電圧・電流変換回路22は、検出器12から出力される検出器出力信号Bがトリップ閾値以下であるときには(検出器出力信号B≦トリップ閾値)、徐々に増大するコンデンサ27の端子間電圧に応じて、徐々に上昇する発光素子電流18を発光素子13に流す。また、検出器出力信号Bがトリップ閾値を超えたときには(検出器出力信号B>トリップ閾値)、電圧・電流変換回路22は、ピーク値に保持されたコンデンサ27の端子間電圧に応じて、発光素子13に流す発光素子電流18をピーク値に保持する。
【0027】
電荷放電回路23は、ピークホールド回路21のコンデンサ27に蓄積された電荷を放電可能とするものであり、NOT回路34、リレー35及び放電スイッチ36を有して構成される。NOT回路34が点検スイッチ17に電気的に接続され、このNOT回路34、リレー35、放電スイッチ36が順次電気的に接続される。
【0028】
この電荷放電回路23では、点検スイッチ17がON動作して発光素子13(
図1)が点検用光16を照射しているときには、
図2に示すように、点検スイッチ17からの点検信号Aは、NOT回路34に入力されてLレベル(OFF状態)となり、リレー35が動作しない。従って、放電スイッチ36はOFF動作状態となって、ピークホールド回路21のコンデンサ27に対し、蓄積された電荷を放電させない。
【0029】
一方、点検スイッチ17がOFF動作して発光素子13が点検用光16を照射しなくなったときには、点検スイッチ17からの点検信号Aは、NOT回路34によってHレベル(ON状態)となり、リレー35が動作する。従って、放電スイッチ36はON動作状態となって、ピークホールド回路21のコンデンサ27に蓄積された余剰の電荷を、例えばアース回路に放電させる。これにより、発光素子13には発光素子電流18が流れなくなる。
【0030】
次に、上述のように構成されたフィードバック回路部14の作用を、主に
図4を参照して説明する。
図1に示す点検スイッチ17がON動作されて、この点検スイッチ17から点検信号Aが発光素子13に出力されると、発光素子13は、点検用光16を検出器12に照射する(S11)。検出器12が点検用光16を入射することで検出器出力信号Bが出力され、フィードバック回路部14におけるコンパレータ回路20のコンパレータ24は検出器出力信号Bを入力して、この検出器出力信号Bがトリップ閾値を超えたか否かを判断する(S12)。
【0031】
検出器出力信号Bがトリップ閾値以下であるときに(検出器出力信号B≦トリップ閾値)、コンパレータ24はコンパレータ出力信号Cを出力(ON)する(S13)。次に、コンパレータ回路20のAND回路25は、コンパレータ24からのコンパレータ出力信号Cと点検スイッチ17からの点検信号Aとを共に入力したときに、AND回路出力信号Dを出力(ON)する(S14)。
【0032】
ピークホールド回路21のコンデンサ27は、AND回路25からのAND回路出力信号Dをダイオード26を介して入力することで、電荷を徐々に蓄積して、端子間電圧を徐々に増大させる(S15)。
【0033】
電圧・電流変換回路22は、コンデンサ27の端子間電圧(即ち蓄積された電荷)に対応して上昇する電流を、発光素子電流18として発光素子13に流す(S16)。これにより、発光素子13からの点検用光16を入射する検出器12が出力する検出器出力信号Bは、発光素子電流18の電流値に対応して、
図3(C)に示すように、トリップ閾値に至るまで徐々に上昇する。
【0034】
図4におけるステップS12において、検出器出力信号Bがトリップ閾値を超えたときに(検出器出力信号B>トリップ閾値)、コンパレータ回路20のコンパレータ24は、コンパレータ出力信号Cを停止(OFF)する(S17)。次に、コンパレータ回路20のAND回路25は、コンパレータ24からのコンパレータ出力信号Cの停止により、AND回路出力信号Dを停止(OFF)する(S18)。
【0035】
ピークホールド回路21のコンデンサ27は、AND回路25からのAND回路出力信号Dが入力されないことで電荷の蓄積が停止して、端子間電圧を変化させず、ピーク値に保持する(S19)。
【0036】
電圧・電流変換回路22は、コンデンサ27のピーク値の端子間電圧に対応して、発光素子13に流す発光素子電流18をピーク値に保持する(S20)。これにより、発光素子13からの点検用光16を入射する検出器12が出力する検出器出力信号Bは、発光素子電流18の電流値(ピーク値)に対応して、
図3(C)に示すように、トリップ閾値付近に保持される。
【0037】
図4に示すステップS16またはS20の後に、点検スイッチ17がOFF動作されて点検信号Aが停止したとき、電荷放電回路23のNOT回路34の作用で、放電スイッチ36は、ピークホールド回路21のコンデンサ27に蓄積されていた電荷を例えばアース回路に放電させる(S21)。これにより、電圧・電流変換回路22から発光素子13に発光素子電流18が流れなくなって、
図3(C)に示すように、検出器12からの検出器出力信号Bも、点検信号Aの停止後速やかに消失する。
【0038】
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば次の効果(1)を奏する。
(1)
図1及び
図2に示すように、フィードバック回路部14は、発光素子13からの点検用光16が検出器12に入射されたときに検出器12から出力される検出器出力信号Bの大きさに基づいて、発光素子13へ流す発光素子電流18を調整している。例えば、フィードバック回路部14では、検出器出力信号Bがトリップ閾値を超えたとコンパレータ回路20のコンパレータ24により判断されたときに、ピークホールド回路21のコンデンサ27は、端子間電圧を変化させずにピーク値に保持する。そして、このコンデンサ27の端間電圧のピーク値に対応して、電圧・電流変換回路22は、発光素子13へ流す発光素子電流18をピーク値に保持し、発光素子13に過大な電流の発光素子電流18が流れないように調整している。
【0039】
この結果、発光素子13から検出器12に照射される点検用光16の光量が過剰にならないように調整できるので、検出器12に発生する不具合(例えば、トリップ動作の点検終了後に、検出器12内の測定回路の電流信号が実際の放射線レベルに復帰するまでに相当な時間を要する不具合)を未然に回避することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができ、また、それらの置き換えや変更、組み合わせは、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、光源は、発光ダイオード等の発光素子の場合を述べたが、白熱電球やハロゲン電球、蛍光ランプ等の他の光源であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…放射線検出装置、11…シンチレータ、12…検出器、13…発光素子(光源)、14…フィードバック回路部、15…シンチレーション光、16…点検用光、18…発光素子電流(光源用電流)、20…コンパレータ回路、21…ピークホールド回路、22…電圧・電流変換回路、23…電荷放電回路、24…コンパレータ、27…コンデンサ、A…点検信号、B…検出器出力信号