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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027559
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】電気光学装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20240222BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240222BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G02F1/1333
G03B21/00 E
G03B21/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130447
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】仲保 達志
(72)【発明者】
【氏名】竹内 康博
【テーマコード(参考)】
2H189
2K203
【Fターム(参考)】
2H189AA52
2H189AA64
2H189AA70
2H189AA84
2H189AA85
2H189BA10
2H189HA14
2H189LA01
2H189LA07
2H189LA10
2H189LA18
2H189LA20
2H189MA07
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA62
2K203GB03
2K203GB16
2K203GB20
2K203HB22
2K203LA03
2K203LA15
2K203LA38
2K203MA14
(57)【要約】
【課題】液晶パネルのセルギャップの変化を抑制する電気光学装置を提供すること。
【解決手段】青色光用液晶パネルモジュール400Bは、光入射側に配置された対向基板81と、対向基板81と対向する素子基板82と、を有する液晶パネル54と、対向基板81に貼り合わされた入射側防塵用基板56と、液晶パネル54及び入射側防塵用基板56を収容する枠体55と、を備え、対向基板81の側面81c及び入射側防塵用基板56の側面56cは、少なくとも一部が枠体55と離隔して配置されており、素子基板82の側面82cは、枠体55に第1接着剤65を介して接着されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射側に配置された第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、を有する電気光学パネルと、
前記第1基板に貼り合わされた第3基板と、
前記電気光学パネル及び前記第3基板を収容する実装ケースと、を備え、
前記第1基板の側面及び前記第3基板の側面は、少なくとも一部が前記実装ケースと離隔して配置されており、
前記第2基板の側面は、前記実装ケースに第1接着剤を介して接着されている、
電気光学装置。
【請求項2】
前記第1基板の前記側面は、前記実装ケースに前記第1接着剤を介して接着された第1領域と、前記第1領域と前記第3基板との間に前記実装ケースと離隔された第2領域と、を有する、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記実装ケースは、前記第1領域と前記第2領域との間に向かって突出する凸部を有する、
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第2領域と前記実装ケースとの間には、前記第1接着剤は、配置されていない、
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記実装ケースは、前記第1領域と前記第2領域との間と対向する粗面化部を有する、
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記実装ケースは、前記第1領域と対向する溝を有する、
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第1基板は、前記第1基板の前記第1領域と前記第2領域との間に、前記実装ケースに向かって突出する凸部を有する、
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第3基板の光入射側に、第2接着剤を介して設けられた冷却部材、またはフックを備え、
当該第2接着剤は、前記第3基板の前記側面の一部と前記実装ケースとの間に設けられている、
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記第3基板は、サファイアで構成される、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および当該電気光学装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
光源装置と、光源装置の光を変調する液晶パネルと、液晶パネルが変調した光を投射する投射光学装置と、を備えたプロジェクターが、特許文献1に記載されている。
特許文献1において、液晶パネルは、枠体に収容されるとともに、枠体に固定されている。液晶パネルと枠体との固定には、接着剤が用いられている。接着剤は、枠体と液晶パネルの対向基板の側面との間、および枠体と液晶パネルの素子基板の側面との間に、隙間なく配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-33032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶パネルのセルギャップが、経年変化等によって、変化すると、色付き等の表示不良の原因となる。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、液晶パネルを枠体に接着剤を介して接着する場合において、液晶パネルのセルギャップの変化を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様に係る電気光学装置は、光入射側に配置された第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、を有する電気光学パネルと、前記第1基板に貼り合わされた第3基板と、前記電気光学パネル及び前記第3基板を収容する実装ケースと、を備え、前記第1基板の側面及び前記第3基板の側面は、少なくとも一部が前記実装ケースと離隔して配置されており、前記第2基板の側面は、前記実装ケースに第1接着剤を介して接着されている。
【0006】
本願の一態様に係る電子機器は、上記に記載の電気光学装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1のプロジェクターの概略構成図。
図2】画像生成モジュールの斜視図。
図3】液晶パネルモジュールの斜視図。
図4】液晶パネルモジュールの分解斜視図。
図5図3のV-V線に沿う液晶パネルモジュールの断面図。
図6図3のVI-VI線に沿う液晶パネルモジュールの断面図。
図7】第1接着剤の配置位置を示す断面図。
図8】第1接着剤の配置位置を示す斜視図。
図9】変形例1に係る第1接着剤の配置位置を示す断面図。
図10】変形例2に係る第1接着剤の配置位置を示す断面図。
図11】変形例3に係る第1接着剤の配置位置を示す断面図。
図12】実施形態2に係る第1接着剤の配置位置を示す断面図。
図13】第1接着剤の配置位置を示す斜視図。
図14】変形例に係る第1接着剤の配置位置を示す斜視図。
図15】実施形態3に係る液晶パネルモジュールの斜視図。
図16図15のXVI-XVI線に沿う液晶パネルモジュールの断面図。
図17】比較例に係る接着剤の配置位置を示す斜視図。
図18】セルギャップを測定する箇所を示す平面図。
図19】セルギャップ差の評価結果を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
また、各図には、必要に応じて、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸が図示されている。また、X軸に沿う方向をX方向とし、Y軸に沿う方向をY方向とし、Z軸に沿う方向をZ方向とする。
【0009】
1.実施形態1
1.1.プロジェクターについて
本実施形態に係る液晶パネルモジュールを備えたプロジェクターの一例について、図1を参照して説明する。図1は、プロジェクターの概略構成図である。なお、プロジェクター1は、電子機器の一例である。また、赤色光用液晶パネルモジュール400R、緑色光用液晶パネルモジュール400G、および青色光用液晶パネルモジュール400Bは、電気光学装置の一例である。
【0010】
図1に示すように、プロジェクター1は、光源装置5と、色分離導光光学系200と、画像生成モジュール20と、投射光学装置600と、を備えている。
光源装置5は、半導体レーザー、偏光変換素子を備えている。
【0011】
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210,220と、反射ミラー230,240,250と、リレーレンズ260,270と、を備えている。
画像生成モジュール20は、赤色光用液晶パネルモジュール400R、緑色光用液晶パネルモジュール400G、青色光用液晶パネルモジュール400B、および合成プリズム500を有する。
投射光学装置600は、複数の投射レンズ6を備えている。
【0012】
光源装置5は、偏光方向が揃った直線偏光の白色光Wを出力する。
色分離導光光学系200は、白色光Wを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離し、赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBを、それぞれ対応する赤色光用液晶パネルモジュール400R、緑色光用液晶パネルモジュール400G、および青色光用液晶パネルモジュール400Bに導く。
【0013】
ダイクロイックミラー210は、赤色光成分を透過させ、緑色光成分および青色光成分を反射させる。
ダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射させ、青色光成分を透過させる。
反射ミラー230は、赤色光成分を反射させる。
反射ミラー240および反射ミラー250は、青色光成分を反射させる。
【0014】
ダイクロイックミラー210を透過した赤色光は、反射ミラー230で反射し、フィールドレンズ300Rを透過して赤色光用液晶パネルモジュール400Rの画像形成領域に入射する。
ダイクロイックミラー210で反射した緑色光は、ダイクロイックミラー220でさらに反射し、フィールドレンズ300Gを透過して緑色光用液晶パネルモジュール400Gの画像形成領域に入射する。
ダイクロイックミラー220を透過した青色光は、リレーレンズ260、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ270、射出側の反射ミラー250、およびフィールドレンズ300Bを経て青色光用液晶パネルモジュール400Bの画像形成領域に入射する。
【0015】
赤色光用液晶パネルモジュール400R、緑色光用液晶パネルモジュール400G、および青色光用液晶パネルモジュール400Bは、入射される色光を画像情報に応じて変調し、画像光を形成する。
【0016】
合成プリズム500は、赤色光用液晶パネルモジュール400R、緑色光用液晶パネルモジュール400G、および青色光用液晶パネルモジュール400Bから射出された各画像光を合成してフルカラーの画像光を形成する。
合成プリズム500は、4つの直角プリズムが貼り合わされた構成を有する直方体状のクロスダイクロイックプリズムで構成されている。また、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜からなるダイクロイックミラーが設けられている。
合成プリズム500から射出された画像光は、投射光学装置600によって拡大投射され、スクリーンSCR上で画像を形成する。
【0017】
1.2.画像生成モジュールについて
本実施形態に係る画像生成モジュールの一例について、図2を参照して説明する。図2は、画像生成モジュールの斜視図である。
図2に示すように、画像生成モジュール20は、青色光用液晶パネルモジュール400Bと、緑色光用液晶パネルモジュール400Gと、赤色光用液晶パネルモジュール400Rと、合成プリズム500と、を備えている。なお、以下の説明において、合成プリズム500に設けられたダイクロイックミラー501とダイクロイックミラー502とが接する線を通る仮想軸を合成プリズム500の中心軸Cと定義して説明する。
【0018】
青色光用液晶パネルモジュール400B、緑色光用液晶パネルモジュール400G、および赤色光用液晶パネルモジュール400Rの各々は、合成プリズム500の中心軸Cに平行な4つの面のうち、3つの面の各々に対向して設けられている。したがって、合成プリズム500において、中心軸Cに平行な3つの面は、各液晶パネルモジュール400B,400G,400Rから射出される画像光が入射する入射面500aである。合成プリズム500の中心軸Cに平行な4つの面のうち、残りの1つの面は、合成プリズム500によって合成された画像光が射出される射出面500bである。
【0019】
本実施形態において、合成プリズム500の中心軸Cに平行な軸をZ軸とし、Z軸に垂直な平面において、青色光用液晶パネルモジュール400Bと赤色光用液晶パネルモジュール400Rとが対向する方向に平行な軸をX軸とし、X軸およびZ軸に垂直な軸をY軸とする。
【0020】
合成プリズム500の各入射面500aに、支持部材52が固定されている。
各支持部材52は、青色光用液晶パネルモジュール400B、緑色光用液晶パネルモジュール400G、および赤色光用液晶パネルモジュール400Rを支持する。
青色光用液晶パネルモジュール400B、緑色光用液晶パネルモジュール400G、および赤色光用液晶パネルモジュール400Rは、支持部材52を介して、合成プリズム500に取り付けられる。
【0021】
青色光用液晶パネルモジュール400Bは、フレーム58を介して、支持部材52に支持され、合成プリズム500の入射面500aに対向した状態で取り付けられている。同様に、緑色光用液晶パネルモジュール400Gは、合成プリズム500の入射面500aに対向した状態で取り付けられている。赤色光用液晶パネルモジュール400Rは、合成プリズム500の入射面500aに対向した状態で取り付けられている。
【0022】
各液晶パネルモジュール400B,400G,400Rの入射側には、入射側偏光板60が、入射側偏光板支持部材61によって支持されている。
また、各液晶パネルモジュール400B,400G,400Rは、フレキシブルプリント配線板51を備え、フレキシブルプリント配線板51を介して、後述する液晶パネルに画像信号等の各種信号を供給するように構成されている。
【0023】
1.3.液晶パネルモジュールについて
本実施形態に係る液晶パネルモジュールについて、図3から図6を参照して説明する。図3は、液晶パネルモジュールの斜視図である。図4は、液晶パネルモジュールの分解斜視図である。図5は、図3のV-V線に沿う液晶パネルモジュールの断面図である。図6は、図3のVI-VI線に沿う液晶パネルモジュールの断面図である。
【0024】
以下の説明では、液晶パネルモジュールとして、青色光用液晶パネルモジュール400Bについて説明するが、本実施形態の構成は、緑色光用液晶パネルモジュール400Gおよび赤色光用液晶パネルモジュール400Rにも同様に採用される。なお、本実施形態の構成は、青色光用液晶パネルモジュール400B、緑色光用液晶パネルモジュール400Gおよび赤色光用液晶パネルモジュール400Rの全部に採用されなくてもよい。例えば、青色光用液晶パネルモジュール400B、緑色光用液晶パネルモジュール400Gおよび赤色光用液晶パネルモジュール400Rで、セルギャップの変化に差が生じる場合は、セルギャップの変化が最も大きい液晶パネルモジュールのみに、本実施形態の構成を採用する構成としてもよい。
【0025】
図3および図4に示すように、青色光用液晶パネルモジュール400Bは、電気光学パネルとしての液晶パネル54と、液晶パネル54の光入射側に配置される第3基板としての入射側防塵用基板56と、液晶パネル54と入射側防塵用基板56とを収容する実装ケースとしての枠体55とを備える。
【0026】
枠体55の光入射側には、入射側部材57が配置され、枠体55の光射出側には、フレーム58が配置される。
枠体55、冷却部材としての入射側部材57、およびフレーム58は、フックとしての保持部材59によって、一体的に組み合わされる。
保持部材59は、係止部59fを備え、係止部59fに第2開口部59jを有する。保持部材59は、第2開口部59jに、枠体55の挿入凸部55tとフレーム58の係止用凸部58tとを嵌め込むことで、枠体55、入射側部材57、およびフレーム58を一体的に保持する。
【0027】
フレーム58は、図5に示すように射出側防塵用基板62と射出側偏光板64とを収容する。
射出側防塵用基板62の素子基板82に対向する面、素子基板82の射出側防塵用基板62に対向する面、入射側防塵用基板56の対向基板81に対向する面、および対向基板81の入射側防塵用基板56に対向する面のそれぞれには、図4に示すように、反射防止層ARが設けられている。
【0028】
液晶パネル54には、液晶パネル54に画像信号等の各種信号を供給するフレキシブルプリント配線板51が接続されている。
【0029】
図5および図6に示すように、液晶パネル54は、第1基板としての対向基板81と、第2基板としての素子基板82と、対向基板81と素子基板82との間に設けられる液晶層83と、を有している。
液晶パネル54は、光が入射する入射面54aと、光が射出する射出面54bと、を有する。本実施形態では、入射面54aは、光入射側に配置される対向基板81の面であり、射出面54bは、光射出側に配置される素子基板82の面である。
【0030】
素子基板82は、図示しないが、アレイ状に配列された画素電極と、当該画素電極に対応して設けられた薄膜トランジスター(TFT)を備える。
対向基板81は、図示しないが、画素電極と対向する共通電極と、画素電極に対応するように形成されたマイクロレンズを備える。
素子基板82の張り出し部82hには、図示しない端子部が設けられ、当該端子部にフレキシブルプリント配線板51が接続される。
【0031】
図4に示すように、枠体55は、X軸に平行な方向から見て、矩形環状の第1開口部55hを有し、第1開口部55hに、液晶パネル54が収容される。
【0032】
図5に示すように、液晶パネル54は、対向基板81の側面81cと素子基板82の側面82cとが第1開口部55hに囲まれるように、配置される。
【0033】
第1開口部55hにおいて、液晶パネル54は、第1接着剤65を介して、枠体55に固定されている。
本実施形態において、第1接着剤65は、枠体55と素子基板82の側面82cとの間に設けられると共に、枠体55と対向基板81の側面81cとの間の一部に設けられる。なお、第1接着剤65が設けられる位置の詳細は、後述する。
【0034】
入射側部材57は、入射側防塵用基板56と枠体55とに固定されている。具体的には、入射側部材57は、入射側防塵用基板56の周縁部、換言すると、入射側防塵用基板56の側面56c枠体55に接着されている。
【0035】
入射側防塵用基板56は、枠体55の第1開口部55hにおいて、対向基板81に対向して設けられている。入射側防塵用基板56は、液晶パネルの入射面54aに塵埃が付着することを抑えるための板材である。入射側防塵用基板56は、例えばサファイア等の耐傷性および耐熱性に優れた透明部材から構成されている。なお、入射側防塵用基板56と対向基板81との間は、図示しない接着剤によって、接着されている。
【0036】
図4に示すように、入射側部材57は、入射側防塵用基板56を支持する支持枠572と、2本の液体流通管571と、を有している。
支持枠572は、X軸に平行な方向から見て、矩形環状の形状を有し、光を通過させる開口部572hを有している。開口部572hの縁は、見切りとしての機能を有する。
【0037】
図5に示すように、支持枠572は、入射側支持枠s1と、射出側支持枠s2と、を有し、入射側支持枠s1と射出側支持枠s2とを組み合わせることで、中空の枠体を構成する。
【0038】
支持枠572には、液体流通管571を介して、液晶パネル54を液冷するための冷却用液体が供給される。冷却調液体は、例えば、水、エチレングリコールである。
液体流通管571の一端は、支持枠572に連結され、液体流通管571の他端は、冷却用液体が貯留されたタンク(図示せず)に接続されている。2本の液体流通管571のうちの一方は、タンクから支持枠572に冷却用液体を流入させ、他方は、支持枠572からタンクに冷却用液体を流出させる。
すなわち、入射側部材57は、青色光用液晶パネルモジュール400Bを液冷方式により冷却する冷却部材として機能する。
【0039】
入射側部材57は、入射側防塵用基板56と枠体55とに固定されている。
具体的には、入射側部材57は、入射側防塵用基板56の周縁部との間に設けられた第2接着剤66によって、入射側防塵用基板56に固定され、枠体55との間に設けられた第2接着剤66によって枠体55に固定されている。
【0040】
射出側防塵用基板62は、素子基板82に対向して設けられている。射出側防塵用基板62は、液晶パネル54の射出面54bに塵埃が付着することを抑えるための板材である。射出側防塵用基板62は、例えばネオセラム等の透明部材から構成されている。なお、射出側防塵用基板62と素子基板82との間は、図示しない接着剤によって、接着されている。
【0041】
図5に示すように、フレーム58は、パネル支持部58sと、パネル支持部58sからY軸方向に突出した係止用凸部58tと、パネル支持部58sのY軸方向の両端部から射出側にそれぞれ延在する偏光板支持部58vと、を有している。
【0042】
パネル支持部58sは、液晶パネル54の射出面54bの周縁部、すなわち素子基板82の周縁部に当接した状態で、液晶パネル54を射出側から支持する。
偏光板支持部58vは、側壁部v1と、側壁部v1から略垂直に屈曲した底壁部v2と、を有し、底壁部v2が射出側偏光板64の射出面64bの縁部に当接した状態で射出側偏光板64を射出側から保持する。
【0043】
パネル支持部58sの外縁部に係止用凸部58tが設けられている。係止用凸部58tは、パネル支持部58sの外縁部と一体に形成され、偏光板支持部58vの側壁部v1からY軸方向外側に向けて突出している。
係止用凸部58tは、枠体55の挿入凸部55tとともに第2開口部59j内に挿入され、第2開口部59jの射出側の縁に当接する。
【0044】
保持部材59は、弾性変形可能な部材から構成されている。青色光用液晶パネルモジュール400Bの組み立て工程において、保持部材59の長辺部59aの中央を支持枠572に当接させた後、保持部材59の短辺部59bを押し下げる方向に力を加え、湾曲した長辺部59aを弾性変形させると、第2開口部59jの位置が下がり、係止用凸部58tと挿入凸部55tとは、第2開口部59jに挿入される。
このように、保持部材59は、長辺部59aの板バネ作用によって、枠体55、入射側部材57およびフレーム58を、一体的に保持する。
【0045】
図4に示すように、射出側防塵用基板支持部材63は、光を通過させる開口部63hを有し、射出側防塵用基板62の射出側に配置される見切り板として機能する。射出側防塵用基板支持部材63は、図5に示すように、図示しない接着剤によってフレーム58のパネル支持部58sに固定されるとともに、図示しない接着剤によって射出側防塵用基板62に固定されている。
【0046】
1.4.第1接着剤の位置について
次に、第1接着剤65の位置について、図7および図8を参照して説明する。
図7は、第1接着剤の配置位置を示す断面図であり、図5の断面図をZ方向から見たときの右側部分を拡大した図である。図8は、第1接着剤の配置位置を示す斜視図である。図8では、第1接着剤65の配置位置を説明するために、枠体55、入射側部材57、およびフレーム58などの図示を省略している。
【0047】
本実施形態は、液晶パネル54を枠体55に固定するために用いられる第1接着剤65の配置位置を制御することで、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制する。
図7に示すように、第1接着剤65は、液晶パネル54において、素子基板82の側面82cと枠体55との間の全部と、シール54sと枠体55との間の全部と、対向基板81の側面81cと枠体55との間の一部とに設けられる。
【0048】
対向基板81の側面81cは、第1接着剤65を介して、枠体55に接着された第1領域R1と、第1領域R1と入射側防塵用基板56との間に、枠体55と離隔された第2領域R2とを有する。対向基板81の側面81cの第2領域R2と枠体55との間には、第1接着剤65は、配置されない。
【0049】
本実施形態では、枠体55は、対向基板81の側面81cの中央に向かって突出した凸部55sを備える。
凸部55sは、第1接着剤65を第1領域R1にとどめるため、または、第1接着剤65を第2領域にはみ出させないようにするために設けられる。すなわち、凸部55sは、第2領域R2を精度よく、また確実に設けるための第1接着剤65の制御部材ないしストッパーとして機能する。
凸部55sは、対向基板81の側面81cに沿って、対向基板81の周囲を1周するように配置される。なお、凸部55sは、断続的に配置されていてもよい。
【0050】
図8に示すように、第1接着剤65は、対向基板81の側面81cの第2領域R2を除いて、液晶パネル54の側面に配置される。なお、素子基板82の側面82cにおいて、フレキシブルプリント配線板51が設けられる側の側面82cには、第1接着剤65は配置されない。
第2領域R2は、対向基板81の4つの側面81cに連続して設けられる。
【0051】
1.5.変形例
次に、図7の断面図に示した凸部55sの変形例、すなわち、第2領域R2を確実に設けるための第1接着剤65の制御部材ないしストッパーの変形例を図9から図11を参照して説明する。図9は変形例1に係る第1接着剤の配置位置を示す断面図、図10は変形例2に係る第1接着剤の配置位置を示す断面図、および図11は変形例3に係る第1接着剤の配置位置を示す断面図である。図9図10、および図11は、図7と同様に、図5の断面図をZ方向から見たときの右側部分を拡大した図である。
【0052】
1.5.1.変形例1
図9に示すように、枠体55は、対向基板81の側面81cに対向する面に、粗面化部55rを有する。なお、図9は、凸部55sの代わりに粗面化部55rを備える点を除き、他の構成は、図7と同様である。
【0053】
粗面化部55rは、枠体55の表面に凹凸を設けて、他の部分よりも摩擦量を大きくした部分である。第1接着剤65は、粗面化部55rによって、第2領域R2へ移動することが阻害される。
よって、粗面化部55rは、第2領域R2を精度よく、また確実に設けるための第1接着剤65の制御部材ないしストッパーとして機能する。
粗面化部55rは、対向基板81の側面81cに沿って、対向基板81の周囲を1周するように配置される。なお、粗面化部55rは、断続的に配置されていてもよい。
【0054】
1.5.2.変形例2
図10に示すように、枠体55は、対向基板81の側面81cに対向する面に、溝55mを有する。なお、図10は、溝55mを備える点を除き、他の構成は、図7と同様である。
【0055】
第1接着剤65が、余分に塗布された場合、余った第1接着剤65は、溝55mの内部に移動しるため、第1接着剤65が、第2領域R2へ移動することが阻害される。なお、図10に示したように、凸部55sを設けることで、より確実に、第1接着剤65が、第2領域R2へ移動することを阻害することができる。
よって、溝55mは、第2領域R2を精度よく、また確実に設けるための第1接着剤65の制御部材ないしストッパーとして機能する。
溝55mは、対向基板81の側面81cに沿って、対向基板81の周囲を1周するように配置される。なお、溝55mは、断続的に配置されていてもよい。
【0056】
1.5.3.変形例3
図11に示すように、対向基板81の側面81cには、凸部81sが設けられている。なお、図11は、凸部55sの代わりに凸部81sを備える点を除き、他の構成は、図7と同様である。
【0057】
凸部81sは、対向基板81と同じ材料で構成されていてもいいし、異なる材質のものを取り付けてもよい。
第1接着剤65は、凸部81sによって、第2領域R2へ移動することが阻害される。
よって、凸部81sは、第2領域R2を確実に設けるための第1接着剤65の制御部材ないしストッパーとして機能する。
凸部81sは、対向基板81の側面81cに沿って、対向基板81の周囲を1周するように配置される。なお、凸部81sは、断続的に配置されていてもよい。
【0058】
以上、述べたとおり、本実施形態の電気光学装置としての青色光用液晶パネルモジュール400Bは、光入射側に配置された第1基板としての対向基板81と、対向基板81と対向する第2基板としての素子基板82と、を有する電気光学パネルとしての液晶パネル54と、対向基板81に貼り合わされた第3基板としての入射側防塵用基板56と、液晶パネル54及び入射側防塵用基板56を収容する実装ケースとしての枠体55と、を備え、対向基板81の側面81c及び入射側防塵用基板56の側面56cは、少なくとも一部が枠体55と離隔して配置されており、素子基板82の側面82cは、枠体55に第1接着剤65を介して接着されている。
【0059】
このように本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール400Bは、液晶パネル54の対向基板81の側面81c及び入射側防塵用基板56の側面56cを、少なくとも一部が枠体55と離隔して配置し、素子基板82の側面82cを、枠体55に第1接着剤65を介して接着する。よって、液晶パネル54を、枠体55に第1接着剤65によって接着する場合において、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができる。
【0060】
本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール400Bにおいて、さらに、対向基板81の側面81cは、枠体55に第1接着剤65を介して接着された第1領域R1と、第1領域R1と入射側防塵用基板56との間に枠体55と離隔された第2領域R2と、を有する。
このように第1接着剤65は、対向基板81の側面81cにおいて、第1領域R1と入射側防塵用基板56との間に、枠体55と離隔された第2領域R2を有するように配置される。よって、液晶パネル54を、枠体55に第1接着剤65によって接着する場合において、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができる。
【0061】
本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール400Bにおいて、さらに、枠体55は、第1領域R1と第2領域R2との間に向かって突出する凸部55sを有する。
このように枠体55が凸部55sを有するため、凸部55sが、第1接着剤65の配置の制御部材ないしストッパーとして機能して、第1接着剤65の配置の精度を向上させることができる。よって、第1接着剤65を、対向基板81の側面81cにおいて、第1領域R1と入射側防塵用基板56との間に、枠体55と離隔された第2領域R2を、精度よく、また確実に有するように配置することができ、液晶パネル54を、枠体55に第1接着剤65によって接着する場合において、確実に、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができる。
【0062】
本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール400Bにおいて、さらに、第2領域R2と枠体55との間には、第1接着剤65は、配置されていない。
第1接着剤65を、このように配置することで、液晶パネル54を、枠体55に第1接着剤65によって接着する場合において、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができる。
【0063】
本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール400Bにおいて、さらに、枠体55は、第1領域R1と第2領域R2との間と対向する粗面化部55rを有する。
このように枠体55が粗面化部55rを有するため、粗面化部55rが、第1接着剤65の配置の制御部材ないしストッパーとして機能して、第1接着剤65の配置の精度を向上させることができる。よって、第1接着剤65を、対向基板81の側面81cにおいて、第1領域R1と入射側防塵用基板56との間に、枠体55と離隔された第2領域R2を、精度よく、また確実に有するように配置することができ、液晶パネル54を、枠体55に第1接着剤65によって接着する場合において、確実に、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができる。
【0064】
本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール400Bにおいて、さらに、枠体55は、第1領域R1と対向する溝55mを有する。
このように枠体55が溝55mを有するため、溝55mが、第1接着剤65の配置の制御部材ないしストッパーとして機能して、第1接着剤65の配置の精度を向上させることができる。よって、第1接着剤65を、対向基板81の側面81cにおいて、第1領域R1と入射側防塵用基板56との間に、枠体55と離隔された第2領域R2を、精度よく、また確実に有するように配置することができ、液晶パネル54を、枠体55に第1接着剤65によって接着する場合において、確実に、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができる。
【0065】
本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール400Bにおいて、さらに、対向基板81は、対向基板81の第1領域R1と第2領域R2との間に、枠体55に向かって突出する凸部81sを有する。
このように対向基板81が凸部81sを有するため、凸部81sが、第1接着剤65の配置の制御部材ないしストッパーとして機能して、第1接着剤65の配置の精度を向上させることができる。よって、第1接着剤65を、対向基板81の側面81cにおいて、第1領域R1と入射側防塵用基板56との間に、枠体55と離隔された第2領域R2を、精度よく、また確実に有するように配置することができ、液晶パネル54を、枠体55に第1接着剤65によって接着する場合において、確実に、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができる。
【0066】
本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール400Bにおいて、さらに、入射側防塵用基板56の光入射側に、第2接着剤66を介して設けられた冷却部材としての入射側部材57、またはフックとしての保持部材59を備え、第2接着剤66は、入射側防塵用基板56の側面56cの一部と枠体55との間に設けられている。
このように構成することで、本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール400Bが、冷却部材としての入射側部材57、またはフックとしての保持部材59を有する構成においても、液晶パネル54を、枠体55に第1接着剤65によって接着する場合において、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができる。
【0067】
本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール400Bにおいて、さらに、入射側防塵用基板56は、サファイアで構成される。
このように入射側防塵用基板56に、サファイアを採用した構成においても、液晶パネル54を、枠体55に第1接着剤65によって接着する場合において、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができる。
【0068】
本実施形態の電子機器としてのプロジェクター1は、電気光学装置としての青色光用液晶パネルモジュール400Bを備える。
【0069】
この構成によれば、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができるので、色付き等の表示不良の発生を抑制して、長期間にわたって、高品質な表示が可能なプロジェクター1を提供することができる。
【0070】
2.実施形態2
次に、実施形態2の構成について、図12および図13を参照して説明する。
実施形態2は、実施形態1と第1接着剤65が配置される位置が異なる点を除き、同様に構成される。よって、実施形態1と同様の箇所には、同じ符号を付して、説明を省略する。
図12は、第1接着剤の配置位置を示す断面図であり、図5の断面図をZ方向から見たときの右側部分を拡大した図面である。図13は、第1接着剤の配置位置を示す斜視図である。図13では、第1接着剤65の配置位置を説明するために、枠体55、入射側部材57、およびフレーム58などの図示を省略している。
【0071】
図12に示すように、実施形態2において、第1接着剤65は、素子基板82の側面82cと枠体55との間にのみ配置される。第1接着剤65は、対向基板81の側面81cと枠体55との間、および、シール54sと枠体55との間に、配置されないため、対向基板81の側面81cと枠体55との間は、離隔されている。
【0072】
図13に示すように、第1接着剤65は、素子基板82の側面82cに配置され、対向基板81の側面81cには、配置されない。なお、素子基板82の側面82cにおいて、フレキシブルプリント配線板51が設けられる側の側面82cには、第1接着剤65は配置されない。
【0073】
2.1.変形例
第1接着剤65が設けられる位置の変形例について、図14を参照して説明する。
図14において、第1接着剤65は、延在部65pを備える。延在部65pは、素子基板82の側面82cから対向基板81の側面81cに延在する部分である。延在部65pは、液晶パネル54の側面のうち、フレキシブルプリント配線板51が配置される側面を除いた3つの側面に1つないし複数個設けられる。
【0074】
以上、述べたとおり、本実施形態の電気光学装置としての青色光用液晶パネルモジュール400Bによれば、上記実施形態の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の電気光学装置としての青色光用液晶パネルモジュール400Bは、光入射側に配置された第1基板としての対向基板81と、対向基板81と対向する第2基板としての素子基板82と、を有する電気光学パネルとしての液晶パネル54と、対向基板81に貼り合わされた第3基板としての入射側防塵用基板56と、液晶パネル54及び入射側防塵用基板56を収容する実装ケースとしての枠体55と、を備え、対向基板81の側面81c及び入射側防塵用基板56の側面56cは、少なくとも一部が枠体55と離隔して配置されており、素子基板82の側面82cは、枠体55に第1接着剤65を介して接着されている。
【0075】
このように本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール400Bは、液晶パネル54の対向基板81の側面81c及び入射側防塵用基板56の側面56cを、少なくとも一部が枠体55と離隔して配置し、素子基板82の側面82cを、枠体55に第1接着剤65を介して接着する。よって、液晶パネル54を、枠体55に第1接着剤65によって接着する場合において、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができる。
【0076】
3.実施形態3
次に、実施形態3の構成について、図15および図16を参照して説明する。図15は、液晶パネルモジュールの斜視図であり、図16は、図15のXVI-XVI線に沿う液晶パネルモジュールの断面図である。
【0077】
本実施形態に係る青色光用液晶パネルモジュール402Bは、液冷の冷却部材として機能する入射側部材57の代わりに、入射側部材77を有する。
入射側部材77は、見切りとしての機能を有する。また、空冷の冷却部材として機能をする。また、入射側部材77は、板状の部材からなるため、実施形態1の入射側部材57に比べて、厚みが薄い。よって、入射側部材57に組み合わされる枠体55、フレーム58、および保持部材59は、実施形態1または実施形態2の青色光用液晶パネルモジュール400Bのものと多少大きさや形状が異なるが、機能的には同じものであるため、同一の符号を付して説明を省略する。その他の構成についても、同じ構成に対しては、同一の符号を付して説明を省略する。第1接着剤65を配置する位置は、実施形態1および実施形態2で示した構成のどちらを採用してもよい。
【0078】
図15および図16に示すように、入射側部材77は、板状の部材からなり、X軸に平行な方向から見て、矩形環状の形状を有し、光を通過させる開口部77hを有している。開口部77hの縁は、見切りとしての機能を有する。また、入射側部材77は、遮光性を有すると共に、熱伝導性のよい材料で形成される。入射側部材77は、熱伝達性を良くするために、入射側防塵用基板56および枠体55に密着するように配置され、第2接着剤66を介して、入射側防塵用基板56および枠体55に接着される。
【0079】
保持部材59は、その第2開口部59jに、枠体55の挿入凸部55tとフレーム58の係止用凸部58tとを嵌め込むことで、枠体55、入射側部材77、およびフレーム58を一体的に保持する。
【0080】
本実施形態では、青色光用液晶パネルモジュール402Bについて説明したが、本実施形態の構成は、図示しない緑色光用液晶パネルモジュールおよび赤色光用液晶パネルモジュールにも、同様に採用される。なお、本実施形態の構成は、青色光用液晶パネルモジュール402B、緑色光用液晶パネルモジュールおよび赤色光用液晶パネルモジュールのうちの一つないし二つのみに採用されてもよい。
【0081】
以上、述べたとおり、本実施形態の電気光学装置としての青色光用液晶パネルモジュール402Bによれば、上記実施形態の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール402Bにおいて、さらに、入射側防塵用基板56の光入射側に、第2接着剤66を介して設けられた冷却部材としての入射側部材77、またはフックとしての保持部材59を備え、第2接着剤66は、入射側防塵用基板56の側面56cの一部と枠体55との間に設けられている。
このように構成することで、本実施形態の青色光用液晶パネルモジュール402Bが、冷却部材としての入射側部材77、またはフックとしての保持部材59を有する構成においても、液晶パネル54を、枠体55に第1接着剤65によって接着する場合において、液晶パネル54のセルギャップの変化を抑制することができる。
【0082】
4.比較例との比較
次に、実施形態1および実施形態2におけるセルギャップ差と、比較例におけるセルギャップ差を比較した結果を、図17から図19を参照して説明する。
図17は、比較例に係る接着剤の配置位置を示す斜視図である。図18は、セルギャップを測定する箇所を示す平面図である。図19は、実施形態1、実施形態2、および比較例の各構成におけるセルギャップ差の評価結果を示す表である。
【0083】
図17に示すように、比較例に係る液晶パネルモジュールは、液晶パネル54を枠体55に固定するための接着剤67を有する。そして、比較例と、実施形態1および実施形態2とは、接着剤67および第1接着剤65が配置される位置が異なる。また、比較例において、実施形態1および実施形態2と同じ構成には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0084】
具体的には、接着剤67は、枠体55と液晶パネル54の対向基板81の側面81cと間に配置されるとともに、枠体55と入射側防塵用基板56の側面56cとの間に配置される。また、液晶パネル54の対向基板81の側面81cと入射側防塵用基板56の側面56cとの間において、接着剤67は、連続して配置されている。
【0085】
液晶パネル54において、フレキシブルプリント配線板51が設けられた側を除く3つの側面では、接着剤67は、同様に配置される。すなわち、接着剤67は、素子基板82の側面82cと枠体55との間にも配置される。
【0086】
図18に示すように、液晶パネル54のセルギャップの変化を測定するために、液晶パネル54の5箇所において、セルギャップの変化を測定した。
測定箇所は、シール54sで囲まれた領域を縦方向および横方向にそれぞれ6等分する分割線が交差する箇所のうち、中央のM1と、4つのコーナーに近い箇所のM2,M3,M4,M5の合計5箇所である。
【0087】
セルギャップの測定は、液晶パネル54を駆動させた状態で、500時間程度のエージングを行った後、測定箇所M1,M2,M3,M4,M5のそれぞれのセルギャップを測定して、測定した5箇所のセルギャップのうちの最大値と最小値との差を評価した。以下、この最大値と最小値との差をセルギャップ差と称する。セルギャップ差が大きい程、セルギャップの変化が大きいことを意味する。
【0088】
図19に示すように、実施形態1のセルギャップ差をA、実施形態2のセルギャップ差をA+、比較例のセルギャップ差をBと評価した。
実施形態1のセルギャップ差は、比較例のセルギャップ差の約五分の一であった。よって、実施形態1に示した第1接着剤65の配置を採用することで、セルギャップの変化を起因とする表示不良の発生を大幅に改善することができる。
実施形態2のセルギャップ差は、比較例のセルギャップ差の約二十分の一であった。よって、実施形態2に示した第1接着剤65の配置を採用することで、セルギャップの変化を起因とする表示不良の発生を、実施形態1よりもさらに改善することができる。
【0089】
青色光用液晶パネルモジュール400B、緑色光用液晶パネルモジュール400Gおよび赤色光用液晶パネルモジュール400Rで、セルギャップ差の大きさが異なる場合は、セルギャップ差が最も大きい液晶パネルモジュールに、実施形態2の構成を採用し、セルギャップ差が2番目に大きい液晶パネルモジュールに、実施形態1の構成を採用してもよい。
このようにすることで、セルギャップ差のバラツキを抑えることができる。
【0090】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、青色光用液晶パネルモジュール400Bは、入射側偏光板60および射出側偏光板64に加え、光の位相差を補償する補償素子または位相差板を備える構成としてもよい。
【0091】
また、上記実施形態において、プロジェクター1は、赤色光用液晶パネルモジュール400R、緑色光用液晶パネルモジュール400G、青色光用液晶パネルモジュール400Bを備えた、いわゆる3板式の投射型表示装置であるが、単板式の投射型表示装置、2板式の投射型表示装置、または4つ以上の液晶パネルモジュールを備えた投射型表示装置に上記実施形態を適用してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、液晶パネル54は、透過型の液晶パネルであるが、反射型の液晶パネルまたはLCOS(Liquid crystal on silicon)型の液晶パネルであってもよい。
また、上記実施形態では、光源装置5は、半導体レーザーを有する例を挙げたが、放電ランプ等の他の発光素子を有するものでもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、電子機器としてプロジェクター1を例示したが、液晶パネルモジュールが搭載される電子機器はこれに限定されない。例えば、投射型のHUD(Head-Up Display)、HMD(Head Mounted Display)、パーソナルコンピューター、デジタルカメラ、液晶テレビなどの電子機器に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…プロジェクター、5…光源装置、6…投射レンズ、20…画像生成モジュール、51…フレキシブルプリント配線板、52…支持部材、54…液晶パネル、54a…入射面、54b…射出面、54s…シール、55…枠体、55h…第1開口部、55m…溝、55r…粗面化部、55s…凸部、55t…挿入凸部、56…入射側防塵用基板、56c…側面、57…入射側部材、58…フレーム、58s…パネル支持部、58t…係止用凸部、58v…偏光板支持部、59…保持部材、59a…長辺部、59b…短辺部、59f…係止部、59j…第2開口部、60…入射側偏光板、61…入射側偏光板支持部材、62…射出側防塵用基板、63…射出側防塵用基板支持部材、63h…開口部、64…射出側偏光板、64b…射出面、65…第1接着剤、65p…延在部、66…第2接着剤、67…接着剤、77…入射側部材、77h…開口部、81…対向基板、81c…側面、81s…凸部、82…素子基板、82c…側面、82h…張り出し部、83…液晶層、200…色分離導光光学系、210,220…ダイクロイックミラー、230,240,250…反射ミラー、260,270…リレーレンズ、300B,300G,300R…フィールドレンズ、400B,402B…青色光用液晶パネルモジュール、400G…緑色光用液晶パネルモジュール、400R…赤色光用液晶パネルモジュール、500…合成プリズム、500a…入射面、500b…射出面、501…ダイクロイックミラー、502…ダイクロイックミラー、571…液体流通管、572…支持枠、572h…開口部、600…投射光学装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19