(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027569
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】蛇行防止装置
(51)【国際特許分類】
B65H 23/038 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
B65H23/038 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130457
(22)【出願日】2022-08-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】501296782
【氏名又は名称】株式会社佐野機械
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】佐野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 勝由
【テーマコード(参考)】
3F104
【Fターム(参考)】
3F104AA08
3F104CA07
3F104CA28
3F104CA34
(57)【要約】
【課題】エアシリンダーのような剛体のシリンダーであってもロールを元の姿勢に戻すことができる蛇行防止装置を提供する。
【解決手段】蛇行防止装置14は、フレーム部19に連結されたレバー部24によって被取付部16が吊り下げられ、この被取付部16の台座部18に、走行ベルトをガイドするロールが取り付けられる。被取付部16には、エアシリンダー33が連結され、ロッド部35によって被取付部16が前後に移動し、エアシリンダー33からエアが放出されると、被取付部16は、自重やロールの重さで自然に基準位置に戻って停止する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行ベルトの幅方向に渡って前記走行ベルトを裏面からガイドするロールの一端部を支持する自動ガイド本体部と、
前記走行ベルトの幅方向の縁に配置されて前記走行ベルトの位置を検知する検知部と、を有し、
前記自動ガイド本体部が、
前記一端部が取り付けられる被取付部と、
前記被取付部を吊り下げたレバー部と、
前記走行ベルトの長手方向に沿った向きで前記被取付部に連結された剛体のシリンダーと、を有し、
前記検知部からの出力に応じて前記シリンダーが前記被取付部を押し引きすることで、前記被取付部が基準位置から前記走行ベルトの長手方向に移動し、又は、重力によって前記基準位置に戻ることで、前記ロールの姿勢を変化させる、
ことを特徴とする蛇行防止装置蛇行防止装置。
【請求項2】
前記被取付部が、
前記レバー部の下端部に連結されると共に前記レバー部の上端部よりも上方に伸びた基台部と、
前記基台部の上端部に連接されて前記一端部が取り付けられる台座部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載された蛇行防止装置。
【請求項3】
前記レバー部が、
前記被取付部における前記走行ベルト側、及び、前記被取付部において前記走行ベルトと反対側に取り付けられたことで、一対の四節平行リンクが構成された、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された蛇行防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行ベルトをガイドするロールの位置を制御することで、走行ベルトの蛇行を矯正する蛇行防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、製紙工程で用いられる抄紙機のワイヤーやフェルト等の走行ベルトは、ロールを介して走行する。稼働中に走行ベルトが蛇行した場合、蛇行は、蛇行防止装置によって矯正される。例えば、下記特許文献1に記載された発明(以下、「文献公知1発明」と記す。)は、ロールの軸に取り付けられる位置決め装置と、走行ベルトに接触して走行ベルトの蛇行を検知するパームとから構成されている。ロールの一方の端部は移動しないが、もう一方の端部は、位置決め装置が稼働することで、走行ベルトの走行方向に向けて前後に移動するため、ロールは、走行ベルトに対して直交した姿勢から、斜めに交差した姿勢に変化する。ロールの姿勢が変化すると、走行ベルトも幅方向にズレるため、蛇行が矯正される。
【0003】
文献公知1発明の位置決め装置は、いわゆるベローズ式である。ベローズ式では、蛇腹状の伸縮管に空気を流入させて空気圧を調節することで、ロールの姿勢を変化させる。
【0004】
ここで、ベローズ式の従来装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、ベローズ式の従来装置の構造が示されている。
図1は、ロール(図示省略)の端部に従来装置1が取り付けられた状態であって、走行ラインの外側からロールの軸方向に向けて従来装置1を視したものである。
図1に示されているとおり、ロールの端部が取り付けられる受け部2が支持台3に連結され、受け部2の両端にゴム製のベローズ4が接続されている。受け部2は、支持台3側を軸として左右に動くところ、ベローズ4を介して加わる空気圧が調整されることによって、左右の何れかに倒れ、ロールの姿勢が変化する。走行ベルトの蛇行が矯正された後は、ロールを元の姿勢に戻すべく、受け部2の位置を中央に戻す必要がある。例えば、受け部2が右側に倒れた場合(
図1、下図)、右側のベローズ4は、受け部2に押されて圧縮すると共に外径が広がるため、ベローズ4による受圧面積も広がって反力も大きくなる。したがって、ベローズ4が再び伸長して元の状態となれば、受け部2は、左側に押されて元の位置に戻るため、常に中央に配置される。
【0005】
ところで、近年、機械の生産能力を拡充すべく、製紙工程における脱水や乾燥の高速化が求められているところ、乾燥時間を短縮するために、各機械が高温の環境下に置かれる。上記したとおり、文献公知1発明や従来装置1で用いられているベローズは、ゴム製であるため、高温の環境下に耐えられない。
【0006】
そこで、ベローズに替えて、耐熱性のあるエアシリンダーが用いられ、ゴム製のパッキンも、フッ素が含有された耐熱仕様のものが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、エアシリンダーは、上記したベローズ式のように、圧縮による受圧面積の拡大や、それに伴う反力の作用が生じないため、受け部が片方に倒れた後、受け部を元の中央位置に戻すための外力を要する。そのうえ、受け部が一旦倒れ始めると、ロールや受け部に作用する重力によって、受け部は限界まで倒れようとするため、受け部を元の中央位置に戻すためには、重力に抗した外力が必要となる。受け部を元の中央位置に戻せたとしても、戻すための外力が強すぎれば、受け部は中央位置を通り越して逆方向に倒れるため、左右からの外力を均衡させて中央位置で受け部を静止させることは、更に困難である。
【0009】
本発明は、この様な実情に鑑みて提案されたものである。本発明は、エアシリンダーのような剛体のシリンダーであってもロールを元の姿勢に容易に戻すことができる蛇行防止装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る蛇行防止装置は、走行ベルトの幅方向に渡って前記走行ベルトを裏面からガイドするロールの一端部を支持する自動ガイド本体部と、前記走行ベルトの幅方向の縁に配置されて前記走行ベルトの位置を検知する検知部と、を有し、前記自動ガイド本体部が、前記一端部が取り付けられる被取付部と、前記被取付部を吊り下げたレバー部と、前記走行ベルトの長手方向に沿った向きで前記被取付部に連結された剛体のシリンダーと、を有し、前記検知部からの出力に応じて前記シリンダーが前記被取付部を押し引きすることで、前記被取付部が基準位置から前記走行ベルトの長手方向に移動し、又は、重力によって前記基準位置に戻ることで、前記ロールの姿勢を変化させる、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る蛇行防止装置は、前記被取付部が、前記レバー部の下端部に連結されると共に前記レバー部の上端部よりも上方に伸びた基台部と、前記基台部の上端部に連接されて前記一端部が取り付けられる台座部と、を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る蛇行防止装置は、前記レバー部が、前記被取付部における前記走行ベルト側、及び、前記被取付部において前記走行ベルトと反対側に取り付けられたことで、一対の四節平行リンクが構成された、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る蛇行防止装置は、走行ベルトの幅方向に渡って走行ベルトを裏面からガイドするロールの一端部を支持する自動ガイド本体部と、走行ベルトの幅方向の縁に配置されて走行ベルトの位置を検知する検知部とを有し、自動ガイド本体部が、一端部が取り付けられる被取付部と、被取付部を吊り下げたレバー部と、走行ベルトの長手方向に沿った向きで被取付部に連結された剛体のシリンダーとを有し、検知部からの出力に応じてシリンダーが被取付部を押し引きすることで、被取付部が基準位置から走行ベルトの長手方向に移動し、又は、重力によって基準位置に戻ることで、ロールの姿勢を変化させる。すなわち、ロールの一端部が支持される被取付部は、レバー部によって吊り下げられているため、支点からぶら下がった振り子のような状態となる。被取付部は、自重やロールの重さである重力よりも大きな外力がシリンダーから加えられない限り、重力の作用によって支点の直下で静止するため、常に基準位置に在るし、ロールも一定の姿勢を保っている。被取付部がシリンダーに押されて基準位置から移動する際も、被取付部には、重力によって、シリンダーに押された方向とは反対方向に力が働いているため、被取付部は、過度に移動することがない。被取付部が基準位置に戻る際にも、基準位置に向けてシリンダーが押す力に重力が加重され、被取付部は基準位置に戻る。被取付部は、重力によって常に基準位置に留まろうとするため、基準位置を中心として不必要に往復運動することもない。したがって、エア等を媒体とした剛体のシリンダーであっても、被取付部が基準位置に適切に戻り、ロールを元の姿勢に容易に戻すことができる。
【0014】
本発明に係る蛇行防止装置は、被取付部が、レバー部の下端部に連結されると共にレバー部の上端部よりも上方に伸びた基台部と、基台部の上端部に連接されて一端部が取り付けられる台座部とを有している。この構成により、台座部へのロールの取り付けが容易となる。すなわち、ロールの一端部を適度な高さまで吊り上げた後、この一端部の下方に自動ガイド本体部を配置して、一端部を台座部に載せて固定することで、ロールが台座部に取り付けられる。なお、仮にレバー部の下端部にロールが取り付けられる場合、ロールを持ち上げる高さをレバーの下端部に合わせる必要があるうえ、ロールを吊り下げるだけの高さを要するため、装置が大型化する。
【0015】
本発明に係る蛇行防止装置は、レバー部が、被取付部における走行ベルト側、及び、被取付部において走行ベルトと反対側に取り付けられたことで、一対の四節平行リンクが構成されている。したがって、被取付部は、ほぼ水平に移動する。なお、仮にレバー部が一つであった場合、被取付部の軌道は、支点に対して半円弧となるため、被取付部に上下方向の運動が加わって被取付部が捩じれる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、従来のベローズ式の装置の概略説明図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る蛇行防止装置の使用状態が示された概略平面である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る蛇行防止装置の正面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る蛇行防止装置の平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る蛇行防止装置の側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る蛇行防止装置の動作の様子が示された正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る蛇行防止装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
図2には、本実施形態に係る蛇行防止装置14の使用状態の概略が示され、走行ベルト10が用いられた走行ラインが平面視された様子である。以下では、
図2に示されているとおり、走行ベルト10の長手方向を前方及び後方(Front、Back)とし、走行ベルト10の幅方向を右方及び左方(Right、Left)とする。
【0018】
図2に示されているとおり、製紙工程等における抄紙機の走行ラインでは、長手の走行ベルト10が複数のロール11に巻き回されている。ロール11は、走行ベルト10の幅方向に渡って走行ベルト10を裏面からガイドしている。ロール11の一端部12は、蛇行防止装置14に支持され、蛇行防止装置14を介して移動するが、他端部13は移動しない。蛇行防止装置14は、ロール11の一端部12を支持した自動ガイド本体部15と、走行ベルト10の右方の縁に配置された検知部36とを有している。自動ガイド本体部15は、一端部12が取り付けられた被取付部16と、この被取付部16に連結されたエアシリンダー33とを有している。検知部36は、走行ベルト10の縁に接したパーム(図示省略)と、このパームが接続された検知器本体(図示省略)とを有し、走行ベルト10の位置を検知する。
【0019】
走行している最中に、走行ベルト10が蛇行して左右方向にズレると、パームが押され、パームの変位量が検知器本体で検知される。検知器本体には、エアコンプレッサー(図示省略)からエアが供給されており、パームの変位量に応じたエアが、検知器本体からの出力としてエアシリンダー33に供給され、供給されたエアに応じて、エアシリンダー33が走行ベルト10の長手方向に沿った向きに被取付部16を押し引きする。被取付部16が移動すると、ロール11は、走行ベルト10に対して直交した姿勢からから、斜めに交差した姿勢に変化する。ロール11の姿勢が変化すると、走行ベルト10も左右にズレるため、蛇行が矯正される。
【0020】
次に、蛇行防止装置14を図面に基づいて詳説する。
図3ないし5には、蛇行防止装置14の自動ガイド本体部15が示されている。
【0021】
図3ないし5に示されているとおり、自動ガイド本体部15は、フレーム部19と、このフレーム部19に連結されたレバー部24と、このレバー部24によって吊り下げられた被取付部16と、この被取付部16に連結されたエアシリンダー33とを有している。フレーム部19は、フレーム台20と、このフレーム台20の上に位置調節機構を介して取り付けられた左右一対の板状フレーム21とを有している。フレーム台20は、設置面に固定される。位置調節機構は、手動で板状フレーム21の位置を調節するものである。ハンドル29が操作されることで、レール部30が前後に移動するため、レール部30に固定された板状フレーム21も追随して前後に移動する。レール30部の移動量は、調節目盛り31に表れる。
【0022】
板状フレーム21は、走行ベルト10のある側である左側板状フレーム22と、被取付部16に対して走行ベルト10と反対側である右側板状フレーム23とから構成され、各板状フレーム22,23が互いに対面している。各板状フレーム22,23には、内側にレバー部24を介して被取付部16が連結され、後端にエアシリンダー33が取り付けられている。レバー部24は、長手の板状であり、四つのレバーで構成されている。第一レバー25の上端部及び第二レバー26の上端部が、右側板状フレーム23の内面上部に連結され、第三レバー27の上端部及び第四レバー28の上端部が、左側板状フレーム22の内面上部に連結されている。第一レバー25の下端部、第二レバー26の下端部、第三レバー27の下端部及び第四レバー28の下端部には、被取付部16が連結されている。
【0023】
被取付部16は、各レバー25,26,27,28の下端部に連結された基台部17と、この基台部17の上端部に連結された台座部18とを有している。基台部17は、上方に向けて伸び、各レバー25,26,27,28の上端部及び各板状フレーム22,23よりも上方に至っている。台座部18は、平板状であり、各板状フレーム22,23の上方に配置されている。台座部18には、ロール11の一端部12が取り付けられる(
図2参照)。
【0024】
被取付部16のうち、走行ベルト10側である左側が第三レバー27及び第四レバー28によって吊り下げられ、走行ベルト10の反対側である右側が第一レバー25及び第二レバー26によって吊り下げられたことで、被取付部16と各レバー25,26,27,28とで、左右一対の四節平行リンクが構成されている。したがって、被取付部16は、各レバー25,26,27,28によって吊り下げられ、各レバー25,26,27,28の上端部と被取付部16との連結箇所を支点としてぶら下がり、振り子のような状態で前後に移動することが可能となる。
【0025】
エアシリンダー33は、金属製の複動式ピストンシリンダーであり、剛体であるため、シリンダー部34は、エアの流入よってもゴムの様に圧縮したり外径が広がったりせず、変形しない。ロッド部35は、前後方向に沿った向きで被取付部16の基台部17に連結されている。したがって、エアによってロッド部35が前進すれば、基台部17が後から押されて前方に移動するし、ロッド部35が後退すれば、基台部17が後に引っ張られて後方に移動する。エアシリンダー33に内蔵されたパッキン(図示省略)は、フッ素を含有した耐熱仕様である。
【0026】
次に、被取付部16の動作を、本実施形態の作用効果と共に、図面に基づいて説明する。
図6には、蛇行防止装置14の動作後の自動ガイド本体部15が示されている。
【0027】
図3及び6に示されているとおり、被取付部16は、エアシリンダー33に押し引きされることで、前後に移動する。また、被取付部16は、エアシリンダー33からの外力が働いていない場合は、重力の作用によって基準位置で静止する。詳説すれば、エアシリンダー33において、ロッド側とヘッド側とで空気圧が同じであって均衡し、エアシリンダー33による外力が、重力よりも小さく、被取付部16に働いていない場合、
図3に示されているとおり、各レバー25,26,27,28は、支点から真下に真っ直ぐ伸びた姿勢であり、被取付部16は、自重や台座部18に取り付けられたロール11の重さである重力の作用によって最下端で静止している。ここが基準位置であり、基準位置は、位置目盛り32に表れる。したがって、被取付部16は、重力によって常に基準位置に在る。エアシリンダー33において、ヘッド側のエアが増加して(又はロッド側のエアが減少して)ロッド部35が前進すると、
図6に示されているとおり、被取付部16の基台部17がロッド部35によって押され、被取付部16は支点を軸として、基準位置から、ほぼ水平に前方に移動する。同様に、ロッド側のエアが増加して(又はヘッド側のエアが減少して)ロッド部35が後退すると、被取付部16の基台部17がロッド部35によって引っ張られ、被取付部16は支点を軸として、基準位置から、ほぼ水平に後方に移動する。被取付部16が前後に移動する際にも、被取付部16には、重力によって、ロッド部35に押し引きされた方向とは反対方向に力が働いているため、被取付部16は、過度に移動することがない。一方で、被取付部16が基準位置から前後に移動した後は、被取付部16は、移動した方向とは逆方向にロッド部35によって押し引きされる。その際、ロッド部35によって押し引きされる力に重力が加重されるため、被取付部16は、適切に基準位置に戻る。被取付部16は、重力によって常に基準位置に留まろうとするため、基準位置を中心として不必要に往復運動することもない。ロッド側及びヘッド側の空気圧は、再び均衡する。
【0028】
被取付部16が各レバー25,26,27,28によって吊り下げられたことで、被取付部16と各レバー25,26,27,28とで左右一対の四節平行リンクが構成されているため、仮に、レバー部24が一対(すなわち、左右ひとつずつ)であった場合と比較して、被取付部16は、捩じれることなく、ほぼ水平に移動する。
【0029】
基台部17は、上方に向けて伸び、各レバー25,26,27,28の上端部及び各板状フレーム22,23よりも上方に至っている。したがって、ロール11が台座部18に取り付けられる際、ロール11の一端部12を適度な高さまで吊り上げた後、一端部12の下方に蛇行防止装置14を配置して、一端部12を台座部18に載せて固定することで、ロール11が台座部18に取り付けられる。したがって、台座部18へのロール11の取り付けが容易である。
【0030】
図2に示されているとおり、被取付部16には、ロール11が取り付けられているため、被取付部16が前後に移動すれば、ロール11も、走行ベルト10に対して直交した姿勢から斜めに交差した姿勢に変化する。ロール11の姿勢が変化すると、走行ベルト10も左右にズレるため、蛇行が矯正される。被取付部16が基準位置に戻れば、ロール11も走行ベルト10に対して直交した姿勢に戻る。
【0031】
以上のとおり、剛体のエアシリンダーであっても、ロール11を自然に元の姿勢に戻すことができる。
【0032】
なお、本発明に係る他の実施形態では、台座部がレバー部の下端部に連結されている。
他の実施形態では、レバー部は左右一対である。
【0033】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 従来装置
2 受け部
3 支持台
4 ベローズ
10 走行ベルト
11 ロール
12 一端部
13 他端部
14 蛇行防止装置
15 自動ガイド本体部
16 被取付部
17 基台部
18 台座部
19 フレーム部
20 フレーム台
21 板状フレーム
22 左側板状フレーム
23 右側板状フレーム
24 レバー部
25 第一レバー
26 第二レバー
27 第三レバー
28 第四レバー
29 ハンドル
30 レール部
31 調節目盛り
32 位置目盛り
33 エアシリンダー
34 シリンダー部
35 ロッド部
36 検知部