(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027572
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】コンバインドサイクル発電設備
(51)【国際特許分類】
F01K 3/24 20060101AFI20240222BHJP
F01K 21/04 20060101ALI20240222BHJP
F01K 23/10 20060101ALI20240222BHJP
F02C 6/18 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F01K3/24
F01K21/04 A
F01K23/10 W
F02C6/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130460
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 知視
(72)【発明者】
【氏名】島田 秀顕
(72)【発明者】
【氏名】伊東 正雄
(72)【発明者】
【氏名】森澤 優一
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】平山 龍
(72)【発明者】
【氏名】多田 宏次郎
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA11
3G081BC07
3G081DA03
(57)【要約】
【課題】2段再熱が可能であるとともに熱効率および出力が向上されるコンバインドサイクル発電設備を提供する。
【解決手段】実施形態のコンバインドサイクル発電設備1は、ガスタービン10と、ガスタービン10の排気によって蒸気を発生させる高圧蒸気生成部41および蒸気を再熱する再熱部50を備える排熱回収ボイラ30と、高圧蒸気生成部41からの蒸気が導入される高圧タービン71と、高圧タービン71の下流側に設けられる中圧タービン72と、再熱部50を介在して高圧タービン71の出口と中圧タービン72の入口とを連結する再熱蒸気管63と、中圧タービン72から排出された蒸気が導入されるとともに、酸素と水素を燃焼させて導入された蒸気を再熱する燃焼器75と、燃焼器75から排出された蒸気が導入される低圧タービン73と、低圧タービン73から排出された蒸気を復水とする復水器74とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと、
前記ガスタービンからの排気の熱量を利用して、蒸気を発生させる蒸気生成部および蒸気を再熱する再熱部を備える排熱回収ボイラと、
前記蒸気生成部で発生した蒸気が導入される第1の蒸気タービンと、
蒸気流の流れ方向において、前記第1の蒸気タービンの下流側に設けられる第2の蒸気タービンと、
前記再熱部を介在して前記第1の蒸気タービンの蒸気出口と前記第2の蒸気タービンの蒸気入口とを連結する再熱蒸気管と、
前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されるとともに、酸素と水素を燃焼させて導入された蒸気を再熱する燃焼器と、
前記燃焼器から排出された蒸気が導入される第3の蒸気タービンと、
前記第3の蒸気タービンから排出された蒸気を復水とする復水器と
を具備することを特徴とするコンバインドサイクル発電設備。
【請求項2】
前記蒸気生成部が、第1の蒸気を発生させる第1の蒸気生成部であり、
前記排熱回収ボイラが、前記第1の蒸気の圧力よりも低い圧力の第2の蒸気を発生させる第2の蒸気生成部を備え、
前記第1の蒸気タービンの蒸気出口と前記再熱部との間の前記再熱蒸気管に前記第2の蒸気が導入されることを特徴とする請求項1記載のコンバインドサイクル発電設備。
【請求項3】
ガスタービンと、
前記ガスタービンからの排気の熱量を利用して、蒸気を発生させる蒸気生成部および蒸気を再熱する再熱部を備える排熱回収ボイラと、
前記蒸気生成部で発生した蒸気が導入される第1の蒸気タービンと、
前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されるとともに、酸素と水素を燃焼させて導入された蒸気を再熱する燃焼器と、
前記燃焼器から排出された蒸気が導入される第2の蒸気タービンと、
蒸気流の流れ方向において、前記第2の蒸気タービンの下流側に設けられる第3の蒸気タービンと、
前記再熱部を介在して前記第2の蒸気タービンの蒸気出口と前記第3の蒸気タービンの蒸気入口とを連結する再熱蒸気管と、
前記第3の蒸気タービンから排出された蒸気を復水とする復水器と
を具備することを特徴とするコンバインドサイクル発電設備。
【請求項4】
前記蒸気生成部が、第1の蒸気を発生させる第1の蒸気生成部であり、
前記排熱回収ボイラが、前記第1の蒸気の圧力よりも低い圧力の第2の蒸気を発生させる第2の蒸気生成部を備え、
前記第2の蒸気タービンの蒸気出口と前記再熱部との間の前記再熱蒸気管に前記第2の蒸気が導入されることを特徴とする請求項3記載のコンバインドサイクル発電設備。
【請求項5】
前記排熱回収ボイラが、前記第2の蒸気の圧力よりも低い圧力の第3の蒸気を発生させる第3の蒸気生成部を備え、
前記第3の蒸気が前記第3の蒸気タービンの所定のタービン段落に導入されることを特徴とする請求項2または4記載のコンバインドサイクル発電設備。
【請求項6】
前記燃焼器で生成した水蒸気が凝縮した分の水量を前記復水器で生成した復水から除去するための復水排出系統を備えることを特徴とする請求項1または3記載のコンバインドサイクル発電設備。
【請求項7】
前記復水器で生成した復水を前記蒸気生成部に供給する復水供給系統を備えることを特徴とする請求項1または3記載のコンバインドサイクル発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンバインドサイクル発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の火力発電プラントにおいては、プラント熱効率が高いコンバインドサイクル発電設備の需要が高まっている。従来のコンバインドサイクル発電設備は、ガスタービン、排熱回収ボイラ、蒸気タービン、発電機を備える。このコンバインドサイクル発電設備において、ガスタービンからの高温の排気は、排熱回収ボイラに導入される。蒸気タービンは、例えば、高圧タービン、中圧タービン、低圧タービンで構成される。
【0003】
排熱回収ボイラにおいて、ガスタービンからの排気の熱量を有効に利用して蒸気を発生させるために、高圧、中圧および低圧の3つの圧力レベルの蒸気生成部を備える構成が採用されている。蒸気生成部で生成された蒸気は、蒸気タービンに導入される。
【0004】
従来のコンバインドサイクル発電設備において、熱効率を向上させるために、高圧タービンから排気された蒸気を排熱回収ボイラの再熱部で再熱して中圧タービンに導入する再熱サイクルが採用されている。この場合、中圧タービンに導入される再熱蒸気の温度は、例えば、高圧タービンに導入される主蒸気の温度と同程度に設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、排熱回収ボイラにおいて、ガスタービンからの排気は、蒸気を発生させるための熱源として利用される。そのため、排気が各蒸気生成部を通過するに伴って、排気の温度は低下する。
【0007】
上記した再熱サイクルを採用して、中圧タービンに導入される再熱蒸気の温度を高圧タービンに導入される主蒸気の温度と同程度に設定する場合、排熱回収ボイラにおいて蒸気の生成および蒸気の再熱の双方を適正に実施するためには、再熱回数は1回が限度となる。すなわち、従来のコンバインドサイクル発電設備では、排熱回収ボイラにおいて1段再熱が限度となる。
【0008】
そのため、従来の再熱サイクルの構成を採用したコンバインドサイクル発電設備においては、これまで以上の再熱による熱効率の向上を得ることは困難である。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、2段再熱が可能であるとともに、熱効率および出力を向上させることができるコンバインドサイクル発電設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態のコンバインドサイクル発電設備は、ガスタービンと、前記ガスタービンからの排気の熱量を利用して、蒸気を発生させる蒸気生成部および蒸気を再熱する再熱部を備える排熱回収ボイラとを備える。
【0011】
また、このコンバインドサイクル発電設備は、前記蒸気生成部で発生した蒸気が導入される第1の蒸気タービンと、蒸気流の流れ方向において、前記第1の蒸気タービンの下流側に設けられる第2の蒸気タービンと、前記再熱部を介在して前記第1の蒸気タービンの蒸気出口と前記第2の蒸気タービンの蒸気入口とを連結する再熱蒸気管と、前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されるとともに、酸素と水素を燃焼させて導入された蒸気を再熱する燃焼器と、前記燃焼器から排出された蒸気が導入される第3の蒸気タービンと、前記第3の蒸気タービンから排出された蒸気を復水とする復水器とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備の構成を模式的に示す系統図である。
【
図2】第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備におけるT-s線図を示す図である。
【
図3】第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備の構成を模式的に示す系統図である。
【
図4】第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備におけるT-s線図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1の構成を模式的に示す系統図である。
【0015】
図1に示すように、コンバインドサイクル発電設備1は、ガスタービン10と、排熱回収ボイラ(HRSG)30と、蒸気タービンシステム70と、発電機20とを主たる構成機器として備える。
【0016】
ガスタービン10は、圧縮機11と、燃焼器12と、タービン13とを備える。圧縮機11およびタービン13と同一の軸線上に発電機20が配置されている。圧縮機11、タービン13および発電機20のそれぞれのロータが一体的に回転するように構成されている。
【0017】
圧縮機11は、例えば、空気を吸入して圧縮し、燃焼器12に供給する。燃焼器12には、燃料供給部14から燃料が供給される。燃焼器12では、燃料と圧縮空気とが燃焼し、燃焼ガスが生成される。
【0018】
なお、ここでは、酸化剤として圧縮空気を使用した一例を示すが、酸化剤は空気に限られない。酸化剤として、例えば、酸素が使用されてもよい。燃料は、特に限定されるものではない。燃料として、例えば、メタン、天然ガスなどの炭化水素、水素、アンモニア、炭化水素と水素の複合燃料、炭化水素とアンモニアの複合燃料などが使用されてもよい。また、燃料として、例えば、一酸化炭素および水素などを含む石炭ガス化ガス燃料、またはアンモニアを含む石炭ガス化ガス燃料が使用されてもよい。
【0019】
燃焼器12で生成された燃焼ガスは、タービン13に供給され、タービン13を回動させる。タービン13の回動によって発電機20や圧縮機11が駆動される。タービン13から排出された燃焼ガスは、排気として排熱回収ボイラ30に導かれる。
【0020】
排熱回収ボイラ30は、ガスタービン10からの排気が導入される流路31、流路31に設けられた蒸気生成部40および再熱部50、蒸気生成部40を通過した排気を外部に排出する煙突32を備える。蒸気生成部40は、排気が有する熱量を利用して蒸気を発生させる。再熱部50は、排気が有する熱量を利用して蒸気を再熱する。ここでは、自然循環型の蒸気生成部40を例示して説明する。なお、蒸気生成部40の構成は、強制循環型、貫流型の構成であってもよい。
【0021】
蒸気生成部40は、例えば、高圧蒸気生成部41と、中圧蒸気生成部42と、低圧蒸気生成部43とを備える。そして、これらの蒸気生成部は、排気が導入される側から、高圧蒸気生成部41、中圧蒸気生成部42、低圧蒸気生成部43の順に配置されている。
【0022】
高圧蒸気生成部41は、第1の高圧過熱器41a、第2の高圧過熱器41b、高圧蒸気ドラム41c、高圧蒸発器41d、高圧節炭器41eを備える。高圧蒸気ドラム41cは、高圧蒸発器41dに接続されている。高圧節炭器41eは、復水器74からの給水を導く給水管67bと連結されている。なお、ここでは、2つの高圧過熱器を備えた一例を示しているが、一つの高圧過熱器を備える構成でもよい。
【0023】
高圧節炭器41eで加熱された水は、高圧蒸気ドラム41cに導入され、高圧蒸発器41dで蒸気となる。高圧蒸発器41dで発生した蒸気は、第2の高圧過熱器41b、第1の高圧過熱器41aに導かれて過熱される。過熱された蒸気は、主蒸気管60を介して高圧タービン71に導かれる。
【0024】
中圧蒸気生成部42は、中圧過熱器42a、中圧蒸気ドラム42b、中圧蒸発器42c、中圧節炭器42dを備える。中圧蒸気ドラム42bは、中圧蒸発器42cに接続されている。中圧節炭器42dは、例えば、低圧節炭器43dと連結されている。
【0025】
低圧節炭器43dから供給された水は、中圧節炭器42dにおいて加熱される。中圧節炭器42dで加熱された水は、中圧蒸気ドラム42bに導入され、中圧蒸発器42cで蒸気となる。中圧蒸発器42cで発生した蒸気は、中圧過熱器42aに導かれて過熱される。過熱された蒸気は、蒸気管69を介して後述する低温再熱蒸気管64に導かれる。蒸気管69には、低温再熱蒸気管64に導入する蒸気の流量を調整する蒸気弁69aが介在している。
【0026】
低圧蒸気生成部43は、低圧過熱器43a、低圧蒸気ドラム43b、低圧蒸発器43c、低圧節炭器43dを備える。低圧蒸気ドラム43bは、低圧蒸発器43cに接続されている。低圧節炭器43dは、復水器74からの給水を導く給水管67aと連結されている。
【0027】
低圧節炭器43dで加熱された水は、低圧蒸気ドラム43bに導入され、低圧蒸発器43cで蒸気となる。低圧蒸発器43cで発生した蒸気は、低圧過熱器43aに導かれて過熱される。過熱された蒸気は、蒸気供給管61を介して低圧タービン73の所定のタービン段落に導かれる。蒸気は、蒸気供給管61を介して、例えば、初段のタービン段落よりも下流側のタービン段落に導入される。このように、蒸気供給管61を介して蒸気を導入することで、タービン出力を増加させることができる。
【0028】
再熱部50は、例えば、第1の高圧過熱器41aと第2の高圧過熱器41bとの間に配置される。再熱部50の蒸気入口は、低温再熱蒸気管64に連結され、再熱部50の蒸気出口は、高温再熱蒸気管65に連結されている。
【0029】
蒸気タービンシステム70は、複数の蒸気タービンと、復水器74と、燃焼器75とを備える。複数の蒸気タービンとして、高圧タービン71と、中圧タービン72と、低圧タービン73とを備える。蒸気流の流れ方向において、中圧タービン72は、高圧タービン71の下流側に設けられ、低圧タービン73は、中圧タービン72の下流側に設けられている。
【0030】
なお、高圧タービン71は、第1の蒸気タービンとして機能し、中圧タービン72は、第2の蒸気タービンとして機能し、低圧タービン73は、第3の蒸気タービンとして機能する。
【0031】
図1に示す形態では、圧縮機11、タービン13、発電機20、高圧タービン71、中圧タービン72および低圧タービン73は、同一の軸線上に配置され、それぞれのロータが一体的に回転するように構成されている。なお、例えば、ガスタービン10、蒸気タービンは、それぞれ別体の発電機に連結されてもよい。
【0032】
高圧タービン71の蒸気入口は、主蒸気管60を介して第1の高圧過熱器41aと連結されている。主蒸気管60には、高圧タービン71に導入する蒸気の流量を調整する蒸気弁60aが介在している。
【0033】
高圧タービン71の蒸気出口は、再熱部50を介在する再熱蒸気管63を介して中圧タービン72の蒸気入口と連結されている。再熱蒸気管63は、高圧タービン71の蒸気出口と再熱部50との間を連結する低温再熱蒸気管64と、再熱部50と中圧タービン72の蒸気入口との間を連結する高温再熱蒸気管65とを備える。例えば、高温再熱蒸気管65には、中圧タービン72に導入する蒸気の流量を調整する蒸気弁65aが介在している。
【0034】
中圧タービン72の蒸気出口は、蒸気管62を介して低圧タービン73の蒸気入口と連結されている。蒸気管62には、燃焼器75が介在している。
【0035】
燃焼器75は、燃料と酸化剤とを燃焼させる。燃焼器75は、燃料を供給する燃料供給部75aと、酸化剤を供給する酸化剤供給部75bとを備える。燃焼器75に供給される燃料は、水素(H2)である。また、燃焼器75に供給される酸化剤は、酸素(O2)である。そのため、燃焼器75では、燃焼ガスとして水蒸気が生成される。
【0036】
また、燃焼器75には、中圧タービン72から排出された蒸気が導入される。燃焼器75は、生成された水蒸気によってその導入された蒸気を再熱する。そして、燃焼器75で生成された水蒸気は、中圧タービン72の蒸気出口から排出された蒸気と混ざり、低圧タービン73に供給される。
【0037】
ここで、蒸気管62は、燃焼器75をバイパスするバイパス管(図示しない)を備えてもよい。バイパス管を備えることで、例えば、燃焼器75を停止させてメンテナンスの際、コンバインドサイクル発電設備1を停止させることなく従来の1段再熱のサイクルを実施することができる。この場合、蒸気管62において、燃焼器75の入口近傍および出口近傍にそれぞれ蒸気弁(図示しない)が備えられる。これらの蒸気弁を閉めることで、蒸気がバイパス管を流れる際において、燃焼器75への蒸気の流入を防止できる。なお、バイパス管は、蒸気流量を調節するための蒸気弁を備える。
【0038】
なお、ここでは、燃焼器75が蒸気管62に介在する一例を示しているが、燃焼器75は、低圧タービン73の蒸気入口部に備えられてもよい。
【0039】
低圧タービン73の所定のタービン段落は、蒸気供給管61を介して低圧過熱器43aと連結されている。なお、前述したように、所定のタービン段落は、初段よりも下流のタービン段落である。蒸気供給管61には、低圧タービン73に導入する蒸気の流量を調整する蒸気弁61aが介在している。
【0040】
低圧タービン73の蒸気出口は、排気管66を介して復水器74に連結されている。復水器74は、給水管67、67a、67bを介して、高圧節炭器41e、低圧節炭器43dに連結されている。給水管67には、例えば、低圧給水ポンプ76、高圧給水ポンプ77が介在している。なお、給水管67は、高圧給水ポンプ77が設けられた位置よりも下流側で、給水管67aと給水管67bとに分岐している。
【0041】
復水器74で生成された復水は、低圧給水ポンプ76、高圧給水ポンプ77によって、高圧節炭器41e、低圧節炭器43dに圧送される。なお、給水管67、67a、67b、低圧給水ポンプ76、高圧給水ポンプ77は、復水供給系統として機能する。
【0042】
また、給水管67には、燃焼器75で生成した水蒸気が凝縮した分の水量を復水器74で生成した復水から除去するための排出管68が備えられている。排出管68には、排出する水量を調整する流量調整弁68aが設けられている。排出管68は、例えば、低圧給水ポンプ76と高圧給水ポンプ77との間に位置する給水管67に連結されている。なお、排出管68および流量調整弁68aは、燃焼器75で生成した水蒸気が凝縮した分の水量を排出するための復水排出系統として機能する。
【0043】
ここで、蒸気タービンシステム70において、主蒸気管60を介して高圧タービン71に導入された蒸気は、高圧タービン71を回動させた後、低温再熱蒸気管64に排出される。低温再熱蒸気管64に排出された蒸気は、再熱部50に導かれる。この際、例えば、低温再熱蒸気管64には、蒸気管69を介して中圧過熱器42aから蒸気が導入される。
【0044】
低温再熱蒸気管64を介して再熱部50に導かれた蒸気は、再熱され高温再熱蒸気管65に導かれる。そして、蒸気は、高温再熱蒸気管65を介して中圧タービン72に導入される。
【0045】
中圧タービン72に導入された蒸気は、中圧タービン72を回動させた後、蒸気管62に排出される。蒸気管62に排出された蒸気は、燃焼器75に導入される。
【0046】
燃焼器75では、水素と酸素の燃焼によって水蒸気が生成される。燃焼器75で生成された水蒸気は、燃焼器75に導入された蒸気と混合されて、低圧タービン73に導入される蒸気となる。
【0047】
ここで、低圧タービン73に導入される蒸気の流量は、燃焼器75で生成された水蒸気の流量分増加する。また、中圧タービン72から排出された蒸気の温度は、燃焼器75で生成された高温の水蒸気と混合されることによって上昇する。すなわち、中圧タービン72から排出された蒸気は、再熱される。
【0048】
低圧タービン73に導入される蒸気の温度および流量は、燃焼器75の燃焼条件を調整することで調整される。例えば、低圧タービン73に導入される蒸気の温度は、例えば、高圧タービン71に導入される蒸気の温度と同程度の温度に調整される。
【0049】
低圧タービン73に導入される蒸気の温度を上昇させ、さらに低圧タービン73に導入される蒸気の流量を増加することで、低圧タービン73における熱効率および出力が増加する。すなわち、燃焼器75を備えることで、熱効率および出力が増加する。
【0050】
低圧タービン73に導入された蒸気は、低圧タービン73を回動させた後、排気管66に排出される。
【0051】
排気管66に排出された蒸気は、復水器74に導入され、復水となる。なお、復水器74の復水は、低圧給水ポンプ76、高圧給水ポンプ77によって圧送され、給水管67、67a、67bを介して、高圧節炭器41e、低圧節炭器43dに導かれる。
【0052】
上記したように、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1では、燃焼器75においての再熱および排熱回収ボイラ30においての再熱の2段再熱が実現される。
【0053】
ここで、
図2は、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1におけるT-s線図を示す図である。
図2において、横軸は、蒸気の比エントロピ(kJ/(kg・K))を示している。横軸上の温度は、絶対零度である。縦軸は、蒸気の温度(K)を示している。
【0054】
図2において、飽和限界線BCは、一点鎖線で示されている。飽和限界線BCにおいて、臨界点CPよりも低エントロピ側が飽和液線SLであり、臨界点CPよりも高エントロピ側が飽和蒸気線SVである。なお、
図2において、コンバインドサイクル発電設備1の熱サイクルにおける各状態をアルファベットa-jを付して示している。
【0055】
図2に示すように、コンバインドサイクル発電設備1における2段再熱のサイクルは、状態a、状態b、状態c・・・状態j、状態aの順に進行する。ここで、状態a-状態b間は、低圧給水ポンプ76の入口と高圧節炭器41eの入口との間の状態、状態b-状態c間は、高圧節炭器41eの入口と高圧蒸気ドラム41cの入口との間の状態、状態c-状態d間は、高圧蒸気ドラム41cの入口と第2の高圧過熱器41bの入口との間の状態、状態d-状態e間は、第2の高圧過熱器41bの入口と高圧タービン71の蒸気入口との間の状態、状態e-状態f間は、高圧タービン71の蒸気入口と再熱部50の蒸気入口の間の状態、状態f-状態g間は、再熱部50の蒸気入口と中圧タービン72の蒸気入口との間の状態、状態g-状態h間は、中圧タービン72の蒸気入口と燃焼器75の蒸気入口との間の状態、状態h-状態i間は、燃焼器75の蒸気入口と低圧タービン73の蒸気入口との間の状態、状態i-状態j間は、低圧タービン73の蒸気入口と復水器74の蒸気入口との間の状態、状態j-状態a間は、復水器74の蒸気入口と低圧給水ポンプ76の入口との間の状態を示す。
【0056】
ここでは、状態f-状態g間の1段目の再熱は、再熱部50によって行われ、状態h-状態i間の2段目の再熱は、燃焼器75によって行われる一例を示している。
【0057】
図2において、abcdefghijで囲まれる面積は、コンバインドサイクル発電設備1における2段再熱のサイクルにおける正味の仕事量に相当する。また、abcdefghkで囲まれる面積は、コンバインドサイクル発電設備1において、2段目の再熱を実施しない場合(1段再熱の場合)のサイクルにおける正味の仕事量に相当する。
【0058】
図2に示すように、状態jにおける蒸気の温度は、状態jの蒸気の比エントロピと等しい比エントロピにおける飽和蒸気線SV上の乾き飽和蒸気の温度よりも低くなる。すなわち、状態jにおける蒸気は、湿り蒸気となる。
【0059】
燃焼器75および排熱回収ボイラ30を用いた2段再熱を実施することで、排熱回収ボイラ30を用いた1段再熱を実施する場合よりも、hijkで囲まれる面積に相当する正味の仕事量が増加する。なお、
図2において、燃焼器75における再熱によって得られる正味の仕事量の部分を実線のハッチングで示している。
【0060】
ここで、jklmで囲まれる面積は、燃焼器75における再熱によって得られた熱量の内、復水器74において放熱される熱量に相当する。なお、
図2において、この放熱される熱量の部分を破線のハッチングで示している。
【0061】
図2において、燃焼器75の蒸気入口における蒸気の温度は、中圧タービン72の蒸気入口における蒸気の温度にも依存するが、例えば、低い条件であっても350℃程度となる。低圧タービン73の蒸気入口における蒸気の温度は、例えば、500℃を超える温度となる。復水器74の蒸気入口の温度は、例えば、30℃程度となる。
【0062】
そのため、燃焼器75における再熱によって得られる正味の仕事量(実線のハッチングの面積)は、燃焼器75における再熱によって得られた熱量の一部である、復水器74において放熱される熱量(破線のハッチングの面積)よりも大きい。また、燃焼器75における加熱過程(状態hから状態i)における平均温度は、燃焼器75における加熱過程を除いた加熱過程(状態aから状態eおよび状態fから状態g)における平均温度よりも高い。すなわち、燃焼器75における再熱によって、サイクルの熱効率が向上する。
【0063】
なお、上記した各蒸気の温度は一例であり、これらに限定されない。ここで、上記した各蒸気の温度範囲を考慮しても、燃焼器75における再熱によって得られる正味の仕事量(実線のハッチングの面積)は、燃焼器75における再熱によって得られた熱量の一部である、復水器74において放熱される熱量(破線のハッチングの面積)よりも大きくなる。
【0064】
上記したように、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1によれば、水素と酸素を燃焼させて水蒸気を生成するとともに蒸気を再熱する燃焼器75を備えることで、1回の再熱が限度である従来の排熱回収ボイラの構成を採用しつつ2段再熱が可能となる。すなわち、コンバインドサイクル発電設備1では、燃焼器75を備えることで、排熱回収ボイラ30の再熱部50における1回の再熱、および排熱回収ボイラ30以外の燃焼器75における1回の再熱の合計2回の再熱を行うことができる。
【0065】
第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1において、このような2段再熱サイクルを備えることで、サイクルの熱効率が向上する。
【0066】
また、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1では、中圧タービン72および低圧タービン73に、高圧タービン71に導入される蒸気の温度と同程度の温度の蒸気を導入することができる。これによって、サイクルの熱効率が向上する。
【0067】
さらに、低圧タービン73に導入される蒸気の流量は、燃焼器75において生成された蒸気分増加する。そのため、タービン出力が増加する。
【0068】
ここで、前述したように、ガスタービン10の燃焼器12に使用される燃料は、特に限定されない。例えば、ガスタービン10の燃焼器12の燃料に炭化水素を含む燃料を使用した場合、蒸気タービンシステム70における燃焼器75では燃料として水素が使用されるため、コンバインドサイクル発電設備1における単位出力当たりの二酸化炭素(CO2)の排出量が低減される。
【0069】
すなわち、コンバインドサイクル発電設備1では、水素燃料を使用する燃焼器75で生成した水蒸気を利用して出力の一部が得られている。そのため、コンバインドサイクル発電設備1における単位出力当たりの二酸化炭素(CO2)の排出量は、炭化水素を含む燃料を使用したガスタービン10からの排気を利用して発生した蒸気によって全出力が得られるコンバインドサイクル発電設備における単位出力当たりの二酸化炭素(CO2)の排出量よりも低い。
【0070】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備2の構成を模式的に示す系統図である。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
【0071】
第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備2においては、燃焼器75は、高圧タービン71と中圧タービン72との間に配置され、中圧タービン72から排出された蒸気が排熱回収ボイラ30において再熱される。その他の構成は、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1の構成と同じである。そのため、ここでは、主に第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1の構成と異なる構成について説明する。
【0072】
図3に示すように、蒸気タービンシステム70において、高圧タービン71の蒸気入口は、主蒸気管60を介して第1の高圧過熱器41aと連結されている。高圧タービン71の蒸気出口は、蒸気管62を介して中圧タービン72の蒸気入口と連結されている。蒸気管62には、燃焼器75が介在している。なお、燃焼器75の構成は、前述したとおりである。
【0073】
ここで、燃焼器75には、高圧タービン71から排出された蒸気が導入される。燃焼器75は、酸素と水素の燃焼で生成された水蒸気によってその導入された蒸気を再熱する。そして、燃焼器75で生成された水蒸気は、高圧タービン71の蒸気出口から排出された蒸気と混ざり、中圧タービン72に供給される。
【0074】
なお、第2の実施の形態においても、蒸気管62は、燃焼器75をバイパスするバイパス管(図示しない)を備えてもよい。この場合、蒸気管62において、燃焼器75の入口近傍および出口近傍にそれぞれ蒸気弁が備えられる。バイパス管を備えることにおける作用効果は、第1の実施の形態で説明したとおりである。
【0075】
なお、ここでは、燃焼器75が蒸気管62に介在する一例を示しているが、燃焼器75は、中圧タービン72の蒸気入口部に備えられてもよい。
【0076】
中圧タービン72の蒸気出口は、再熱部50を介在する再熱蒸気管63を介して低圧タービン73の蒸気入口と連結されている。再熱蒸気管63は、中圧タービン72の蒸気出口と再熱部50との間を連結する低温再熱蒸気管64と、再熱部50と低圧タービン73の蒸気入口との間を連結する高温再熱蒸気管65とを備える。例えば、高温再熱蒸気管65には、低圧タービン73に導入する蒸気の流量を調整する蒸気弁65aが介在している。
【0077】
なお、前述したとおり、低圧タービン73の蒸気出口は、排気管66を介して復水器74に連結されている。
【0078】
ここで、蒸気タービンシステム70において、主蒸気管60を介して高圧タービン71に導入された蒸気は、高圧タービン71を回動させた後、蒸気管62に排出される。蒸気管62に排出された蒸気は、燃焼器75に導入される。
【0079】
燃焼器75では、水素と酸素の燃焼によって水蒸気が生成される。燃焼器75で生成された水蒸気は、燃焼器75に導入された蒸気と混合されて、中圧タービン72に導入される蒸気となる。
【0080】
ここで、中圧タービン72に導入される蒸気の流量は、燃焼器75で生成された水蒸気の流量分増加する。また、高圧タービン71から排出された蒸気の温度は、燃焼器75で生成された高温の水蒸気と混合されることによって上昇する。すなわち、高圧タービン71から排出された蒸気は、再熱される。
【0081】
中圧タービン72に導入される蒸気の温度および流量は、燃焼器75の燃焼条件を調整することで調整される。例えば、中圧タービン72に導入される蒸気の温度は、例えば、高圧タービン71に導入される蒸気の温度と同程度の温度に調整される。
【0082】
中圧タービン72に導入される蒸気の温度を上昇させ、さらに中圧タービン72に導入される蒸気の流量を増加することで、中圧タービン72における熱効率および出力が増加する。すなわち、燃焼器75を備えることで、熱効率および出力が増加する。
【0083】
中圧タービン72に導入された蒸気は、中圧タービン72を回動させた後、低温再熱蒸気管64に排出される。低温再熱蒸気管64に排出された蒸気は、再熱部50に導かれる。この際、例えば、低温再熱蒸気管64には、蒸気管69を介して中圧過熱器42aから蒸気が導入される。
【0084】
低温再熱蒸気管64を介して再熱部50に導かれた蒸気は、再熱され高温再熱蒸気管65に導かれる。そして、蒸気は、高温再熱蒸気管65を介して低圧タービン73に導入される。低圧タービン73に導入された蒸気は、低圧タービン73を回動させた後、排気管66に排出される。
【0085】
ここで、低圧タービン73に導入される蒸気の流量は、燃焼器75で生成された水蒸気の流量分増加する。そのため、燃焼器75を備えることで、低圧タービン73においても出力が増加する。
【0086】
排気管66に排出された蒸気は、復水器74に導入され、復水となる。なお、復水器74の復水は、低圧給水ポンプ76、高圧給水ポンプ77によって圧送され、給水管67、67a、67bを介して、高圧節炭器41e、低圧節炭器43dに導かれる。
【0087】
上記したように、第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備2では、燃焼器75においての再熱および排熱回収ボイラ30においての再熱の2段再熱が実現される。
【0088】
ここで、
図4は、第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備2におけるT-s線図を示す図である。
図4において、
図2と同様に、横軸は、蒸気の比エントロピ(kJ/(kg・K))を示し、縦軸は、蒸気の温度(K)を示している。なお、
図4において、コンバインドサイクル発電設備2の熱サイクルにおける各状態をアルファベットa-jを付して示している。
【0089】
図4に示すように、コンバインドサイクル発電設備2における2段再熱のサイクルは、状態a、状態b、状態c・・・状態j、状態aの順に進行する。ここで、状態a-状態b間は、低圧給水ポンプ76の入口と高圧節炭器41eの入口との間の状態、状態b-状態c間は、高圧節炭器41eの入口と高圧蒸気ドラム41cの入口との間の状態、状態c-状態d間は、高圧蒸気ドラム41cの入口と第2の高圧過熱器41bの入口との間の状態、状態d-状態e間は、第2の高圧過熱器41bの入口と高圧タービン71の蒸気入口との間の状態、状態e-状態f間は、高圧タービン71の蒸気入口と燃焼器75の蒸気入口の間の状態、状態f-状態g間は、燃焼器75の蒸気入口と中圧タービン72の蒸気入口との間の状態、状態g-状態h間は、中圧タービン72の蒸気入口と再熱部50の蒸気入口との間の状態、状態h-状態i間は、再熱部50の蒸気入口と低圧タービン73の蒸気入口との間の状態、状態i-状態j間は、低圧タービン73の蒸気入口と復水器74の蒸気入口との間の状態、状態j-状態a間は、復水器74の蒸気入口と低圧給水ポンプ76の入口との間の状態を示す。
【0090】
ここでは、状態f-状態g間の1段目の再熱は、燃焼器75によって行われ、状態h-状態i間の2段目の再熱は、再熱部50によって行われる一例を示している。
【0091】
図4において、abcdefghijで囲まれる面積は、コンバインドサイクル発電設備2における2段再熱のサイクルにおける正味の仕事量に相当する。また、abcdelで囲まれる面積は、コンバインドサイクル発電設備2において、再熱を実施しない場合のサイクルにおける正味の仕事量に相当する。また、abcdefgkで囲まれる面積は、コンバインドサイクル発電設備2において、2段目の再熱を実施しない場合(燃焼器75における1段再熱の場合)のサイクルにおける正味の仕事量に相当する。
【0092】
図4に示すように、状態jにおける蒸気の温度は、状態jの蒸気の比エントロピと等しい比エントロピにおける飽和蒸気線SV上の乾き飽和蒸気の温度よりも低くなる。すなわち、状態jにおける蒸気は、湿り蒸気となる。
【0093】
燃焼器75および排熱回収ボイラ30を用いた2段再熱を実施することで、排熱回収ボイラ30を用いた1段再熱を実施する場合よりも、fgklで囲まれる面積に相当する正味の仕事量が増加する。なお、
図4において、燃焼器75における再熱によって得られる正味の仕事量の部分を実線のハッチングで示している。
【0094】
ここで、klmnで囲まれる面積は、燃焼器75における再熱によって得られた熱量の内、復水器74において放熱される熱量に相当する。なお、
図4において、この放熱される熱量の部分を破線のハッチングで示している。
【0095】
図4において、燃焼器75の蒸気入口における蒸気の温度は、高圧タービン71の蒸気入口における蒸気の温度にも依存するが、例えば、低い条件であっても350℃程度となる。また、中圧タービン72の蒸気入口における蒸気の温度は、例えば、500℃を超える温度となる。復水器74の蒸気入口の温度は、例えば、30℃程度となる。
【0096】
そのため、燃焼器75における再熱によって得られる正味の仕事量(実線のハッチングの面積)は、燃焼器75における再熱によって得られた熱量の一部である、復水器74において放熱される熱量(破線のハッチングの面積)よりも大きい。また、燃焼器75における加熱過程(状態fから状態g)における平均温度は、燃焼器75における加熱過程を除いた加熱過程(状態aから状態eおよび状態hから状態i)における平均温度よりも高い。すなわち、燃焼器75における再熱によって、サイクルの熱効率が向上する。
【0097】
なお、上記した各蒸気の温度は一例であり、これらに限定されない。ここで、上記した各蒸気の温度範囲を考慮しても、燃焼器75における再熱によって得られる正味の仕事量(実線のハッチングの面積)は、燃焼器75における再熱によって得られた熱量の一部である、復水器74において放熱される熱量(破線のハッチングの面積)よりも大きくなる。
【0098】
上記したように、第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備2によれば、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1と同様の作用効果が得られる。すなわち、コンバインドサイクル発電設備2によれば、水素と酸素を燃焼させて水蒸気を生成するとともに蒸気を加熱する燃焼器75を備えることで、1回の再熱が限度である従来の排熱回収ボイラの構成を採用しつつ2段再熱が可能となる。このような2段再熱サイクルを備えることで、サイクルの熱効率が向上する。
【0099】
また、第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電設備2では、中圧タービン72および低圧タービン73に、高圧タービン71に導入される蒸気の温度と同程度の温度の蒸気を導入することができる。これによって、サイクルの熱効率が向上する。
【0100】
さらに、低圧タービン73に導入される蒸気の流量は、燃焼器75において生成された蒸気分増加する。そのため、タービン出力が増加する。
【0101】
また、ガスタービン10の燃焼器12の燃料に炭化水素を含む燃料を使用した場合、前述したように、蒸気タービンシステム70における燃焼器75では燃料として水素が使用されるため、コンバインドサイクル発電設備2における単位出力当たりの二酸化炭素(CO2)の排出量が低減される。
【0102】
以上説明した実施形態によれば、2段再熱が可能であるとともに、熱効率および出力を向上させることが可能となる。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1、2…コンバインドサイクル発電設備、10…ガスタービン、11…空気圧縮機、12、75…燃焼器、13…タービン、14、75a…燃料供給部、20…発電機、30…排熱回収ボイラ、31…流路、32…煙突、40…蒸気生成部、41…高圧蒸気生成部、41a…第1の高圧過熱器、41b…第2の高圧過熱器、41c…高圧蒸気ドラム、41d…高圧蒸発器、41e…高圧節炭器、42…中圧蒸気生成部、42a…中圧過熱器、42b…中圧蒸気ドラム、42c…中圧蒸発器、42d…中圧節炭器、43…低圧蒸気生成部、43a…低圧過熱器、43b…低圧蒸気ドラム、43c…低圧蒸発器、43d…低圧節炭器、50…再熱部、60…主蒸気管、60a、61a、65a、69a…蒸気弁、61…蒸気供給管、62、69…蒸気管、63…再熱蒸気管、64…低温再熱蒸気管、65…高温再熱蒸気管、66…排気管、67、67a、67b…給水管、68…排出管、68a…流量調整弁、70…蒸気タービンシステム、71…高圧タービン、72…中圧タービン、73…低圧タービン、74…復水器、75b…酸化剤供給部、76…低圧給水ポンプ、77…高圧給水ポンプ、BC…飽和限界線、CP…臨界点、SL…飽和液線、SV…飽和蒸気線。