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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027574
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】コンバインドサイクル発電設備
(51)【国際特許分類】
   F01K 3/24 20060101AFI20240222BHJP
   F01K 21/04 20060101ALI20240222BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20240222BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F01K3/24
F01K21/04 A
F01K23/10 W
F02C6/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130462
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 知視
(72)【発明者】
【氏名】島田 秀顕
(72)【発明者】
【氏名】伊東 正雄
(72)【発明者】
【氏名】森澤 優一
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】平山 龍
(72)【発明者】
【氏名】多田 宏次郎
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA11
3G081BC07
3G081DA03
(57)【要約】
【課題】蒸気タービンに導入される蒸気の高温化が可能であり、熱サイクルにおいて大きな熱落差が得られ熱効率を向上させるコンバインドサイクル発電設備を提供する。
【解決手段】実施形態のコンバインドサイクル発電設備1は、ガスタービン10の排気を利用する高圧蒸気生成部41および再熱部50を備える第1の排熱回収ボイラ30と、高圧蒸気生成部41から蒸気が導入される高圧タービン71と、水素と酸素を燃焼させる燃焼器75と、再熱部50を介在して高圧タービン71と燃焼器75とを連結する再熱蒸気管63と、燃焼器75から蒸気が導入される酸素-水素燃焼用タービン72と、酸素-水素燃焼用タービン72の排気を利用する蒸気生成部90を備える第2の排熱回収ボイラ80と、蒸気生成部90から蒸気が導入される低圧タービン73と、低圧タービン73から排出された蒸気を復水とする復水器74とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと、
前記ガスタービンからの排気の熱量を利用して、蒸気を発生させる第1の蒸気生成部および蒸気を再熱する再熱部を備える第1の排熱回収ボイラと、
前記第1の蒸気生成部で発生した蒸気が導入される第1の蒸気タービンと、
水素と酸素とを燃焼させる燃焼器と、
前記再熱部を介在して前記第1の蒸気タービンの蒸気出口と前記燃焼器とを連結する再熱蒸気管と、
前記燃焼器と連結され、前記燃焼器から排出された蒸気が導入される第2の蒸気タービンと、
前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気の熱量を利用して蒸気を発生させる第2の蒸気生成部を備える第2の排熱回収ボイラと、
前記第2の蒸気生成部で発生した蒸気が導入される第3の蒸気タービンと、
前記第3の蒸気タービンから排出された蒸気を復水とする復水器と
を具備することを特徴とするコンバインドサイクル発電設備。
【請求項2】
前記第3の蒸気タービンに導入される蒸気の圧力は、前記第2の蒸気タービンから排出される蒸気の圧力よりも高いことを特徴とする請求項1記載のコンバインドサイクル発電設備。
【請求項3】
前記第2の排熱回収ボイラから排出された蒸気が前記第3の蒸気タービンの所定のタービン段落に導入されることを特徴とする請求項1記載のコンバインドサイクル発電設備。
【請求項4】
前記第1の排熱回収ボイラが、前記第1の蒸気生成部で発生する蒸気の圧力よりも低い圧力の蒸気を発生させる第3の蒸気生成部を備え、
前記第3の蒸気生成部で発生した蒸気が前記第3の蒸気タービンの所定のタービン段落に導入されることを特徴とする請求項1記載のコンバインドサイクル発電設備。
【請求項5】
前記復水器で生成された復水を前記第1の排熱回収ボイラおよび前記第2の排熱回収ボイラに供給する復水供給系統を備えることを特徴とする請求項1記載のコンバインドサイクル発電設備。
【請求項6】
前記燃焼器で生成した水蒸気が凝縮した分の水量を前記復水器で生成された復水から除去するための復水排出系統を備えることを特徴とする請求項1記載のコンバインドサイクル発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンバインドサイクル発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の火力発電プラントにおいては、高い熱効率が得られるコンバインドサイクル発電設備の需要が高まっている。従来のコンバインドサイクル発電設備は、ガスタービン、排熱回収ボイラ、蒸気タービン、発電機を備える。このコンバインドサイクル発電設備において、ガスタービンからの高温の排気は、排熱回収ボイラに導入される。排熱回収ボイラにおいて発生した蒸気は、蒸気タービンに導入される。
【0003】
このようなコンバインドサイクル発電設備において、サイクルの熱効率を向上させるための技術が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-85608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコンバインドサイクル発電設備の排熱回収ボイラにおいて、発生する蒸気の温度は、ガスタービンの排気温度よりも低い。また、従来のガスタービンの排気温度が維持された条件で、蒸気タービンに導入される蒸気の温度をさらに高温化することには限界がある。そのため、従来のガスタービンの排気温度が維持された条件で、サイクルの熱効率をさらに向上させることは困難である。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、蒸気タービンに導入される蒸気の高温化が可能であり、熱サイクルにおいて大きな熱落差が得られ、熱効率を向上させることができるコンバインドサイクル発電設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のコンバインドサイクル発電設備は、ガスタービンと、前記ガスタービンからの排気の熱量を利用して、蒸気を発生させる第1の蒸気生成部および蒸気を再熱する再熱部を備える第1の排熱回収ボイラと、前記第1の蒸気生成部で発生した蒸気が導入される第1の蒸気タービンとを備える。
【0008】
また、コンバインドサイクル発電設備は、水素と酸素とを燃焼させる燃焼器と、前記再熱部を介在して前記第1の蒸気タービンの蒸気出口と前記燃焼器とを連結する再熱蒸気管と、前記燃焼器と連結され、前記燃焼器から排出された蒸気が導入される第2の蒸気タービンと、前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気の熱量を利用して蒸気を発生させる第2の蒸気生成部を備える第2の排熱回収ボイラと、前記第2の蒸気生成部で発生した蒸気が導入される第3の蒸気タービンと、前記第3の蒸気タービンから排出された蒸気を復水とする復水器とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態のコンバインドサイクル発電設備の構成を模式的に示す系統図である。
図2】実施の形態のコンバインドサイクル発電設備の熱サイクルの一部を示したh-s線図である。
図3】比較例のコンバインドサイクル発電設備の熱サイクルの一部を示したh-s線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1の構成を模式的に示す系統図である。図1に示すように、コンバインドサイクル発電設備1は、ガスタービン10と、蒸気タービンシステム70と、発電機20とを主たる構成機器として備える。
【0012】
ガスタービン10は、圧縮機11と、燃焼器12と、タービン13とを備える。発電機20は、圧縮機11およびタービン13と同一の軸線上に配置されている。圧縮機11、タービン13および発電機20のそれぞれのロータは、一体的に回転するように構成されている。
【0013】
圧縮機11は、例えば、空気を吸入して圧縮し、燃焼器12に供給する。燃料供給部14は、燃料を燃焼器12に供給する。燃焼器12では、燃料と圧縮空気とが燃焼し、燃焼ガスが生成される。
【0014】
なお、ここでは、酸化剤として圧縮空気を使用した一例を示すが、酸化剤は空気に限られない。酸化剤として、例えば、酸素が使用されてもよい。燃料は、特に限定されるものではない。燃料として、例えば、メタン、天然ガスなどの炭化水素、水素、アンモニア、炭化水素と水素の複合燃料、炭化水素とアンモニアの複合燃料などが使用されてもよい。また、燃料として、例えば、一酸化炭素および水素などを含む石炭ガス化ガス燃料、またはアンモニアを含む石炭ガス化ガス燃料が使用されてもよい。
【0015】
燃焼器12で生成された燃焼ガスは、タービン13に供給され、タービン13を回動させる。タービン13の回動によって発電機20や圧縮機11が駆動される。タービン13から排出された燃焼ガスは、排気として第1の排熱回収ボイラ30に導かれる。
【0016】
蒸気タービンシステム70は、第1の排熱回収ボイラ(HRSG)30と、複数の蒸気タービンと、燃焼器75と、第2の排熱回収ボイラ(HRSG)80と、復水器74とを備える。また、蒸気タービンシステム70は、復水供給系統と、復水排出系統とを備える。
【0017】
第1の排熱回収ボイラ30は、ガスタービン10からの排気が導入される流路31、流路31に設けられた蒸気生成部40および再熱部50、蒸気生成部40を通過した排気を外部に排出する煙突32を備える。蒸気生成部40は、排気が有する熱量を利用して蒸気を発生させる。再熱部50は、排気が有する熱量を利用して蒸気を再熱する。
【0018】
蒸気生成部40は、例えば、高圧蒸気生成部41と、中圧蒸気生成部42と、低圧蒸気生成部43とを備える。そして、これらの蒸気生成部は、排気が導入される側から、高圧蒸気生成部41、中圧蒸気生成部42、低圧蒸気生成部43の順に配置されている。
【0019】
高圧蒸気生成部41は、第1の高圧過熱器41a、第2の高圧過熱器41b、高圧蒸気ドラム41c、高圧蒸発器41d、高圧節炭器41eを備える。高圧蒸気ドラム41cは、高圧蒸発器41dに接続されている。高圧節炭器41eは、復水器74からの給水を導く給水管67と連結されている。なお、ここでは、2つの高圧過熱器を備えた一例が示されているが、一つの高圧過熱器を備える構成でもよい。
【0020】
高圧節炭器41eで加熱された水は、高圧蒸気ドラム41cに導入され、高圧蒸発器41dで蒸気となる。高圧蒸発器41dで発生した蒸気は、第2の高圧過熱器41b、第1の高圧過熱器41aに導かれて過熱される。過熱された蒸気は、主蒸気管60を介して高圧タービン71に導かれる。
【0021】
中圧蒸気生成部42は、中圧過熱器42a、中圧蒸気ドラム42b、中圧蒸発器42c、中圧節炭器42dを備える。中圧蒸気ドラム42bは、中圧蒸発器42cに接続されている。中圧節炭器42dは、例えば、低圧節炭器43dと連結されている。
【0022】
低圧節炭器43dから供給された水は、中圧節炭器42dにおいて加熱される。中圧節炭器42dで加熱された水は、中圧蒸気ドラム42bに導入され、中圧蒸発器42cで蒸気となる。中圧蒸発器42cで発生した蒸気は、中圧過熱器42aに導かれて過熱される。過熱された蒸気は、蒸気管62を介して後述する低温再熱蒸気管64に導かれる。蒸気管62には、低温再熱蒸気管64に導入する蒸気の流量を調整する蒸気弁62aが介在している。
【0023】
低圧蒸気生成部43は、低圧過熱器43a、低圧蒸気ドラム43b、低圧蒸発器43c、低圧節炭器43dを備える。なお、低圧蒸気生成部43は、第3の蒸気生成部として機能する。低圧蒸気ドラム43bは、低圧蒸発器43cに接続されている。低圧節炭器43dは、復水器74からの給水を導く給水管67aと連結されている。
【0024】
低圧節炭器43dで加熱された水は、低圧蒸気ドラム43bに導入され、低圧蒸発器43cで蒸気となる。なお、低圧節炭器43dで加熱された水の一部は、中圧節炭器42dに導入される。低圧蒸発器43cで発生した蒸気は、低圧過熱器43aに導かれて過熱される。過熱された蒸気は、蒸気供給管61を介して低圧タービン73の所定のタービン段落に導かれる。なお、蒸気供給管61には、低圧タービン73に導入する蒸気の流量を調整する蒸気弁61aが介在している。
【0025】
蒸気は、蒸気供給管61を介して、例えば、初段のタービン段落よりも下流側のタービン段落に導入される。このように、所定のタービン段落に蒸気を導入することで、タービン出力は増加される。
【0026】
再熱部50は、例えば、第1の高圧過熱器41aと第2の高圧過熱器41bとの間に配置される。再熱部50の蒸気入口は、低温再熱蒸気管64に連結され、再熱部50の蒸気出口は、高温再熱蒸気管65に連結されている。
【0027】
複数の蒸気タービンとして、高圧タービン71と、酸素-水素燃焼用タービン72と、低圧タービン73とを備える。なお、高圧タービン71は、第1の蒸気タービンとして機能し、酸素-水素燃焼用タービン72は、第2の蒸気タービンとして機能し、低圧タービン73は、第3の蒸気タービンとして機能する。
【0028】
図1に示す形態では、圧縮機11、タービン13、発電機20、高圧タービン71、酸素-水素燃焼用タービン72および低圧タービン73は、同一の軸線上に配置され、それぞれのロータは、一体的に回転するように構成されている。なお、例えば、ガスタービン10、蒸気タービン71、72、73は、それぞれ別体の発電機に連結されてもよい。
【0029】
高圧タービン71の蒸気入口は、主蒸気管60を介して第1の高圧過熱器41aと連結されている。主蒸気管60には、高圧タービン71に導入する蒸気の流量を調整する蒸気弁60aが介在している。
【0030】
高圧タービン71の蒸気出口は、再熱部50を介在する再熱蒸気管63を介して燃焼器75と連結されている。再熱蒸気管63は、高圧タービン71の蒸気出口と再熱部50との間を連結する低温再熱蒸気管64と、再熱部50と燃焼器75との間を連結する高温再熱蒸気管65とを備える。例えば、高温再熱蒸気管65には、燃焼器75に導入する蒸気の流量を調整する蒸気弁65aが介在している。
【0031】
燃焼器75は、燃料と酸化剤とを燃焼させる。燃焼器75は、例えば、酸素-水素燃焼用タービン72の蒸気入口部に備えられる。燃焼器75は、燃料を供給する燃料供給部75aと、酸化剤を供給する酸化剤供給部75bとを備える。燃焼器75に供給される燃料は、水素(H)である。また、燃焼器75に供給される酸化剤は、酸素(O)である。そのため、燃焼器75では、燃焼ガスとして水蒸気が生成される。
【0032】
燃焼器75で生成された水蒸気は、高温再熱蒸気管65を介して燃焼器75に導入された蒸気と混ざり、酸素-水素燃焼用タービン72に導入される。すなわち、酸素-水素燃焼用タービン72には、再熱部50で再熱された蒸気と燃焼器75で生成された水蒸気とが混合した蒸気が導入される。
【0033】
酸素-水素燃焼用タービン72の蒸気出口は、蒸気管102を介して第2の排熱回収ボイラ80と連結されている。すなわち、蒸気管102は、酸素-水素燃焼用タービン72の蒸気出口と第2の排熱回収ボイラ80の蒸気入口とを連結している。
【0034】
低圧タービン73の蒸気入口は、蒸気管100を介して、第2の排熱回収ボイラ80の過熱器90aと連結されている。蒸気管100には、低圧タービン73に導入する蒸気の流量を調整する蒸気弁100aが介在している。低圧タービン73の蒸気出口は、排気管66を介して復水器74に連結されている。
【0035】
第2の排熱回収ボイラ80は、酸素-水素燃焼用タービン72からの排気が導入される流路81、流路81に設けられた蒸気生成部90を備える。蒸気生成部90は、酸素-水素燃焼用タービン72から排出された蒸気の熱量を利用して蒸気を発生させる。なお、蒸気生成部90は、第2の蒸気生成部として機能する。
【0036】
蒸気生成部90は、過熱器90a、蒸気ドラム90b、蒸発器90c、節炭器90dを備える。蒸気ドラム90bは、蒸発器90cに接続されている。節炭器90dは、復水器74からの給水を導く給水管67bと連結されている。第2の排熱回収ボイラ80の蒸気出口は、蒸気管101を介して蒸気供給管61に連結されている。なお、蒸気管101には、蒸気供給管61に導入する蒸気の流量を調整する蒸気弁101aが介在している。
【0037】
節炭器90dで加熱された水は、蒸気ドラム90bに導入され、蒸発器90cで蒸気となる。蒸発器90cで発生した蒸気は、過熱器90aに導かれて過熱される。過熱された蒸気は、蒸気管100を介して低圧タービン73に導かれる。
【0038】
第2の排熱回収ボイラ80から排出された蒸気は、蒸気管101を介して蒸気供給管61に導入される。蒸気供給管61に導入された蒸気は、低圧過熱器43aから排出された蒸気とともに低圧タービン73の所定のタービン段落に導かれる。
【0039】
復水供給系統は、復水器74で生成された復水を第1の排熱回収ボイラ30および第2の排熱回収ボイラ80に供給する。復水供給系統は、給水管67、67a、67bと、低圧給水ポンプ76と、高圧給水ポンプ77a、77bとを備える。
【0040】
給水管67の一端は、復水器74に連結され、給水管67の他端は、高圧節炭器41eに連結されている。給水管67には、低圧給水ポンプ76、高圧給水ポンプ77aが介在している。
【0041】
給水管67aの一端は、高圧給水ポンプ77aの下流で給水管67に連結されている。給水管67aの他端は、低圧節炭器43dに連結されている。
【0042】
給水管67bの一端は、低圧給水ポンプ76と高圧給水ポンプ77aとの間で給水管67に連結されている。給水管67bの他端は、節炭器90dに連結されている。給水管67bには、高圧給水ポンプ77bが介在している。
【0043】
復水器74で生成された復水は、低圧給水ポンプ76、高圧給水ポンプ77aによって、高圧節炭器41e、低圧節炭器43dに圧送される。また、復水器74で生成された復水は、低圧給水ポンプ76、高圧給水ポンプ77bによって、節炭器90dに圧送される。
【0044】
復水排出系統は、燃焼器75で生成した水蒸気が凝縮した分の水量を復水器74で生成した復水から除去する。復水排出系統は、排出管69と、流量調整弁69aとを備える。
【0045】
排出管69の一端は、低圧給水ポンプ76と高圧給水ポンプ77aとの間で給水管67に連結されている。流量調整弁69aは、排出管69に設けられ、排出する水量を調整する。なお、排出管69の他端は、例えば、外部に開放されている。
【0046】
低圧給水ポンプ76によって圧送された復水のうち、燃焼器75で生成した水蒸気が凝縮した分の水量に相当する分は、排出管69を介して外部に排出される。
【0047】
ここで、蒸気タービンシステム70における作用について説明する。
【0048】
主蒸気管60を介して高圧タービン71に導入された蒸気は、高圧タービン71を回動させた後、低温再熱蒸気管64に排出される。低温再熱蒸気管64に排出された蒸気は、再熱部50に導かれる。この際、例えば、低温再熱蒸気管64には、蒸気管62を介して中圧過熱器42aから蒸気が導入される。
【0049】
低温再熱蒸気管64を介して再熱部50に導かれた蒸気は、再熱され、高温再熱蒸気管65に導かれる。そして、蒸気は、高温再熱蒸気管65を介して燃焼器75に導入される。
【0050】
燃焼器75では、水素と酸素の燃焼によって高温の水蒸気が生成される。燃焼器75で生成された水蒸気は、高温再熱蒸気管65を介して燃焼器75に導入された蒸気と混合されて、酸素-水素燃焼用タービン72に導入される蒸気となる。燃焼器75に導入された蒸気の温度は、燃焼器75で生成された水蒸気と混合されることによって上昇する。すなわち、燃焼器75を備えることで、酸素-水素燃焼用タービン72には、再熱部50において再熱された蒸気の温度を超える温度の蒸気が導入される。
【0051】
酸素-水素燃焼用タービン72に導入された蒸気は、酸素-水素燃焼用タービン72を回動させた後、蒸気管102を介して第2の排熱回収ボイラ80に導入される。第2の排熱回収ボイラ80の蒸気生成部90で発生した蒸気は、蒸気管100を介して低圧タービン73に導入される。低圧タービン73に導入された蒸気は、低圧タービン73を回動させた後、排気管66に排出される。
【0052】
なお、酸素-水素燃焼用タービン72に導入される蒸気の状態は、燃焼器75における投入熱量などの設定によって調整される。酸素-水素燃焼用タービン72から排出される蒸気の状態は、酸素-水素燃焼用タービン72の構成、燃焼器75における投入熱量などの設定によって調整される。低圧タービン73に導入される蒸気の圧力および温度は、第2の排熱回収ボイラ80に導入される蒸気の状態および蒸気生成部90の構成などによって調整される。
【0053】
ここで、蒸気管100を介して低圧タービン73に導入される蒸気の圧力は、酸素-水素燃焼用タービン72から排出される蒸気の圧力よりも高くなるように設定される。なお、燃焼器75の蒸気入口から低圧タービン73の蒸気出口までの蒸気の状態については、後に詳しく説明する。
【0054】
低圧過熱器43aから排出された蒸気は、蒸気供給管61を介して低圧タービン73の所定のタービン段落に導かれる。さらに、第2の排熱回収ボイラ80から排出された蒸気は、蒸気管101および蒸気供給管61を介して低圧タービン73の所定のタービン段落に導かれる。低圧過熱器43aから排出された蒸気および第2の排熱回収ボイラ80から排出された蒸気を所定のタービン段落に導入することで、タービン出力が増加される。
【0055】
低圧タービン73に導入された蒸気は、低圧タービン73を回動させた後、排気管66に排出される。排気管66に排出された蒸気は、復水器74に導入され、復水となる。
【0056】
復水器74の復水は、前述したように、低圧給水ポンプ76、高圧給水ポンプ77a、77bよって圧送され、給水管67、67a、67bを介して、高圧節炭器41e、低圧節炭器43d、節炭器90dに導かれる。なお、燃焼器75で生成した水蒸気が復水器74で凝縮した分の水量は、排出管69を介して排出される。
【0057】
次に、燃焼器75の蒸気入口から低圧タービン73の蒸気出口までの蒸気の状態について説明する。
【0058】
図2は、実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1の熱サイクルの一部を示したh-s線図である。図2には、燃焼器75の蒸気入口から低圧タービン73の蒸気出口までの蒸気の状態が示されている。
【0059】
図2において、横軸は、蒸気の比エントロピ(kJ/(kg・K))を示し、縦軸は、蒸気の比エンタルピh(kJ/kg)を示している。また、図2において、等圧線は、一点鎖線で示され、等温線は、二点鎖線で示されている。なお、図2において、飽和限界線は、BCで示されている。
【0060】
図2において、状態aは、高温再熱蒸気管65を介して燃焼器75に導入される蒸気の状態である。
【0061】
状態bは、燃焼器75から排出される蒸気、換言すれば、酸素-水素燃焼用タービン72の蒸気入口に導入される蒸気の状態である。なお、状態bにおける蒸気の温度は、高圧タービン71に導入される蒸気の温度よりも高い。また、状態bにおける蒸気の温度は、ガスタービン10から第1の排熱回収ボイラ30に導入される排気の温度よりも高くすることができる。図2において、燃焼器75において投入された水素投入熱量は、H1で示されている。
【0062】
状態cは、酸素-水素燃焼用タービン72の蒸気出口における蒸気の状態、換言すれば、第2の排熱回収ボイラ80に導入される蒸気の状態である。状態bと状態cとを結ぶ線は、酸素-水素燃焼用タービン72における膨張線である。
【0063】
状態dは、蒸気管100を介して低圧タービン73の蒸気入口に導入される蒸気の状態である。状態eは、低圧タービン73の蒸気出口における蒸気の状態、換言すれば、復水器74に導入される蒸気の状態である。状態dと状態eとを結ぶ線は、低圧タービン73における膨張線である。図2に示すように、状態eの蒸気は、湿り蒸気となる。
【0064】
ここで、図2には、従来のコンバインドサイクル発電設備の中圧タービンおよび低圧タービンにおける膨張線(状態aと状態fとを結ぶ線)を破線で示している。
【0065】
従来のコンバインドサイクル発電設備は、中圧タービンに燃焼器を備えていない。また、従来のコンバインドサイクル発電設備は、第2の排熱回収ボイラも備えていない。そのため、再熱部50において再熱された蒸気は、高温再熱蒸気管を介して中圧タービンに導入される。そして、中圧タービンから排出された蒸気は、低圧タービンに導入される。
【0066】
そのため、従来のコンバインドサイクル発電設備において、状態aは、高温再熱蒸気管を介して中圧タービンの蒸気入口に導入される蒸気の状態である。また、状態fは、低圧タービンの蒸気出口における蒸気の状態である。
【0067】
図2に示すように、本実施の形態の酸素-水素燃焼用タービン72の蒸気入口における蒸気のエンタルピは、従来のコンバインドサイクル発電設備の中圧タービンの蒸気入口における蒸気のエンタルピよりも水素投入熱量H1相当分高い。また、本実施の形態の低圧タービン73の蒸気出口における蒸気の圧力およびエンタルピは、従来のコンバインドサイクル発電設備の低圧タービンの蒸気出口における蒸気の圧力およびエンタルピと同じレベルまで低下している。
【0068】
図2に示すように、本実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1では、低圧タービン73の蒸気入口に導入される蒸気の圧力(状態dの圧力)は、酸素-水素燃焼用タービン72の蒸気出口における蒸気の圧力(状態cの圧力)よりも高く設定されている。そのため、低圧タービン73における膨張線は、図2のh-s線図上で左側にシフトしている。
【0069】
そして、図2に示すように、低圧タービン73から排出される蒸気のエンタルピは、従来の低圧タービンから排出される蒸気のエンタルピと同程度に維持されている。すなわち、酸素-水素燃焼用タービン72に導入される蒸気の温度を高めた場合においても、低圧タービン73から排出される蒸気のエンタルピを従来の低圧タービンから排出される蒸気のエンタルピと同程度に維持することができる。
【0070】
これによって、酸素-水素燃焼用タービン72および低圧タービン73において大きな熱落差が得られる。そのため、燃焼器75における水素投入熱量H1は有効に動力に変換され、熱効率は向上する。
【0071】
また、状態dの圧力を状態cの圧力よりも高く設定することで、状態fの蒸気を湿り蒸気とすることができる。これによって、下流段のタービン段落の静翼や動翼が湿り蒸気に対応して設計されている既存の低圧タービン73を使用しつつ、酸素-水素燃焼用タービン72の蒸気入口における蒸気の温度を上昇させることができる。
【0072】
ここで、図3は、比較例のコンバインドサイクル発電設備の熱サイクルの一部を示したh-s線図である。
【0073】
比較例のコンバインドサイクル発電設備では、従来のコンバインドサイクル発電設備の中圧タービンの蒸気入口に燃焼器が備えられることを想定している。なお、中圧タービンに備えられる燃焼器の構成は、本実施の形態の燃焼器75と同じ構成である。なお、比較例は、本実施の形態との比較のために示されており、本実施の形態には含まれない。
【0074】
ここで、従来のコンバインドサイクル発電設備では、排熱回収ボイラからの蒸気は、高圧タービンに導入される。高圧タービンから排出された蒸気は、排熱回収ボイラ内の再熱部で再熱され、中圧タービンに導入される。中圧タービンから排出された蒸気は、低圧タービンに導入される。
【0075】
比較例のコンバインドサイクル発電設備は、この従来のコンバインドサイクル発電設備における中圧タービンの蒸気入口に燃焼器が備えられることを想定している。そのため、比較例のコンバインドサイクル発電設備では、高圧タービンから排出された蒸気は、排熱回収ボイラ内の再熱部で再熱され、高温再熱蒸気管を介して燃焼器に導入される。燃焼器から排出された蒸気は、中圧タービンに導入される。中圧タービンから排出された蒸気は、低圧タービンに導入される。比較例のコンバインドサイクル発電設備は、本実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1が備える第2の排熱回収ボイラ80を備えていない。
【0076】
図3には、燃焼器の蒸気入口から低圧タービンの蒸気出口までの蒸気の状態が示されている。
【0077】
図3において、状態aは、高温再熱蒸気管を介して燃焼器に導入される蒸気の状態である。なお、状態fは、図2を参照して説明したように、中圧タービンに燃焼器を備えない従来のコンバインドサイクル発電設備の低圧タービンの蒸気出口における蒸気の状態である。
【0078】
状態mは、燃焼器から排出される蒸気、換言すれば、中圧タービンの蒸気入口に導入される蒸気の状態である。図3において、燃焼器において投入された水素投入熱量は、H2で示されている。
【0079】
状態nは、低圧タービンの蒸気出口における蒸気の状態、換言すれば、復水器に導入される蒸気の状態である。状態mと状態nとを結ぶ線は、中圧タービンおよび低圧タービンにおける膨張線である。
【0080】
図3において、中圧タービンの蒸気入口に導入される蒸気の温度を上昇させることに伴う低圧タービンから排出される蒸気におけるエンタルピの増加分をH3で示している。すなわち、エンタルピの増加分H3は、燃焼器を備えた場合における低圧タービンから排出される蒸気のエンタルピと、燃焼器を備えない場合における低圧タービンから排出される蒸気のエンタルピとの差である。
【0081】
上記したように、比較例において、燃焼器を備えることで、中圧タービンおよび低圧タービンにおける膨張線が、状態aと状態fを結ぶ線から状態mと状態nを結ぶ線にシフトする。ここで、水素投入熱量H2は、状態nの蒸気が湿り蒸気となるように調整されている。
【0082】
図3に示した比較例において、燃焼器を備えることによる中圧タービンおよび低圧タービンにおける熱落差の増加分ΔHは、H2-H3となる。図3に示すように、比較例では、燃焼器を備えたとしても、水素投入熱量H2に対する熱落差の増加分ΔHは小さい。この傾向は、水素投入熱量H2をさらに増加した場合においても、同様である。なお、状態nのエンタルピを湿り蒸気となるエンタルピまで低下させるため、水素投入熱量H2は、制限される。
【0083】
このように、第2の排熱回収ボイラ80を備えない比較例では、燃焼器を備えたとしても、十分な熱効率の向上は期待できない。
【0084】
これに対して、実施の形態のコンバインドサイクル発電設備1によれば、燃焼器75および第2の排熱回収ボイラ80を備えることで、酸素-水素燃焼用タービン72に導入される蒸気の温度を上昇させつつ、低圧タービン73に導入される蒸気の圧力を酸素-水素燃焼用タービン72から排気される蒸気の圧力よりも高くできる。
【0085】
これによって、熱サイクルにおいて大きな熱落差が得られ、燃焼器75における水素投入熱量H1が有効に利用されて熱効率が向上する。また、低圧タービン73から排出される蒸気を湿り蒸気とすることでき、低圧タービン73として既存の低圧タービンを使用することができる。
【0086】
以上説明した実施形態によれば、蒸気タービンに導入される蒸気の高温化が可能であり、熱サイクルにおいて大きな熱落差が得られ、熱効率を向上させることが可能となる。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1…コンバインドサイクル発電設備、10…ガスタービン、11…圧縮機、12、75…燃焼器、13…タービン、14、75a…燃料供給部、20…発電機、30…第1の排熱回収ボイラ、31、81…流路、32…煙突、40、90…蒸気生成部、41…高圧蒸気生成部、41a…第1の高圧過熱器、41b…第2の高圧過熱器、41c…高圧蒸気ドラム、41d…高圧蒸発器、41e…高圧節炭器、42…中圧蒸気生成部、42a…中圧過熱器、42b…中圧蒸気ドラム、42c…中圧蒸発器、42d…中圧節炭器、43…低圧蒸気生成部、43a…低圧過熱器、43b…低圧蒸気ドラム、43c…低圧蒸発器、43d…低圧節炭器、50…再熱部、60…主蒸気管、60a、61a、62a、65a、100a、101a…蒸気弁、61…蒸気供給管、62、100、101、102…蒸気管、63…再熱蒸気管、64…低温再熱蒸気管、65…高温再熱蒸気管、66…排気管、67、67a、67b…給水管、69…排出管、69a…流量調整弁、70…蒸気タービンシステム、71…高圧タービン、72…酸素-水素燃焼用タービン、73…低圧タービン、74…復水器、75b…酸化剤供給部、76…低圧給水ポンプ、77a、77b…高圧給水ポンプ、80…第2の排熱回収ボイラ、90a…過熱器、90b…蒸気ドラム、90c…蒸発器、90d…節炭器、BC…飽和限界線。
図1
図2
図3