(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027576
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】スクリュードライバ
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
B25B21/00 530Z
B25B21/00 B
B25B21/00 530A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130471
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】故田 隆樹
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プッシュドライブ機構を備えたスクリュードライバの全長が長くなることを抑制する。
【解決手段】スクリュードライバは、モータにより回転するピニオンギヤと、ピニオンギヤに噛み合った状態で第1回転軸と中心に回転する駆動ギヤと、駆動ギヤよりも前方においてハウジングに前後方向に移動可能に支持され、先端工具が装着された状態で第1回転軸を中心に回転可能なスピンドルと、駆動ギヤにより第1回転軸を中心に回転する駆動カム部と、駆動カム部よりも前方に配置され、駆動カム部に接触又は駆動カム部から離隔するように、スピンドルと一緒に前後方向に移動する従動カム部と、スピンドルと同期して前後方向に移動する磁石と、第1回転軸の径方向外側に配置され、磁石を検出する磁気センサと、磁気センサの検出信号に基づいて、モータを制御するコントローラと、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
モータと、
前記モータにより回転するピニオンギヤと、
前記ピニオンギヤに噛み合った状態で第1回転軸と中心に回転する駆動ギヤと、
前記駆動ギヤよりも前方において前記ハウジングに前後方向に移動可能に支持され、先端工具が装着された状態で前記第1回転軸を中心に回転可能なスピンドルと、
前記駆動ギヤにより前記第1回転軸を中心に回転する駆動カム部と、
前記駆動カム部よりも前方に配置され、前記駆動カム部に接触又は前記駆動カム部から離隔するように、前記スピンドルと一緒に前後方向に移動する従動カム部と、
前記駆動ギヤを支持した状態で前記第1回転軸と中心に回転する支持シャフトと、
前記駆動ギヤよりも後方に配置され、前記支持シャフトを回転可能に支持する第1ベアリングと、
前記第1ベアリングよりも前方に配置され、前記スピンドルと同期して前後方向に移動する磁石と、
前記第1回転軸の径方向外側に配置され、前記磁石を検出する磁気センサと、
前記磁気センサの検出信号に基づいて、前記モータを制御するコントローラと、を備える、
スクリュードライバ。
【請求項2】
前記磁石は、前記駆動ギヤよりも前方に配置される、
請求項1に記載のスクリュードライバ。
【請求項3】
前後方向において、前記磁石の位置と前記スピンドルの少なくとも一部の位置とは等しい、
請求項2に記載のスクリュードライバ。
【請求項4】
前記スピンドルの周囲に配置され、前記スピンドルと一緒に前後方向に移動する移動部材を備え、
前記磁石は、前記移動部材に固定される、
請求項3に記載のスクリュードライバ。
【請求項5】
前記スピンドルと前記移動部材との間に配置される第2ベアリングと、
前記ハウジングに対する前記移動部材の回転を抑制する回り止め機構と、を備える、
請求項4に記載のスクリュードライバ。
【請求項6】
前記スピンドルの周囲に配置され、ボールを介して前記スピンドルに結合され、前記従動カム部が設けられるクラッチカムを備え、
前記移動部材は、前記クラッチカムの周囲に配置され、
前記第2ベアリングは、前記クラッチカムと前記移動部材との間に配置される、
請求項5に記載のスクリュードライバ。
【請求項7】
前記移動部材を前後方向にガイドするガイド部を備える、
請求項4に記載のスクリュードライバ。
【請求項8】
前記スピンドルは、前記支持シャフトを含む、
請求項1に記載のスクリュードライバ。
【請求項9】
前記駆動カム部は、前記駆動ギヤに設けられる、
請求項1に記載のスクリュードライバ。
【請求項10】
モータと、
前記モータの前方側に配置され、前記モータにより駆動される押し込みクラッチと、
前記押し込みクラッチの前方側に配置され、前記押し込みクラッチにより駆動されるスピンドルと、
前記押し込みクラッチの径方向外側に配置され、前記押し込みクラッチが押し込まれたことを検出する押し込みセンサと、
前記モータに給電するためのバッテリと、を備える、
スクリュードライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、スクリュードライバに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュードライバに係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、プッシュドライブ機構(Auto Startとも言う)を備えるスクリュードライバが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プッシュドライブ機構部の構造によっては、スクリュードライバの全長が長くなってしまう可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、プッシュドライブ機構を備えたスクリュードライバの全長が長くなることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、スクリュードライバを開示する。スクリュードライバは、ハウジングと、モータと、モータにより回転するピニオンギヤと、ピニオンギヤに噛み合った状態で第1回転軸と中心に回転する駆動ギヤと、駆動ギヤよりも前方においてハウジングに前後方向に移動可能に支持され、先端工具が装着された状態で第1回転軸を中心に回転可能なスピンドルと、駆動ギヤにより第1回転軸を中心に回転する駆動カム部と、駆動カム部よりも前方に配置され、駆動カム部に接触又は駆動カム部から離隔するように、スピンドルと一緒に前後方向に移動する従動カム部と、駆動ギヤを支持した状態で第1回転軸と中心に回転する支持シャフトと、駆動ギヤよりも後方に配置され、支持シャフトを回転可能に支持する第1ベアリングと、第1ベアリングよりも前方に配置され、スピンドルと同期して前後方向に移動する磁石と、第1回転軸の径方向外側に配置され、磁石を検出する磁気センサと、磁気センサの検出信号に基づいて、モータを制御するコントローラと、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、プッシュドライブ機構を備えたスクリュードライバの全長が長くなることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るスクリュードライバを示す前方からの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るスクリュードライバを示す後方からの斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るスクリュードライバを示す側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るスクリュードライバを示す縦断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るスクリュードライバの一部を拡大した縦断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るスクリュードライバの要部を拡大した縦断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るスクリュードライバの一部を示す横断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るスクリュードライバを示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るスクリュードライバを示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るスクリュードライバの要部を示す前方からの分解斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るスクリュードライバの要部を示す後方からの分解斜視図である。
【
図12】
図12は、変形例に係るスクリュードライバの要部を示す縦断面図である。
【
図13】
図13は、変形例に係るスクリュードライバの要部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、ハウジングと、モータと、モータにより回転するピニオンギヤと、ピニオンギヤに噛み合った状態で第1回転軸と中心に回転する駆動ギヤと、駆動ギヤよりも前方においてハウジングに前後方向に移動可能に支持され、先端工具が装着された状態で第1回転軸を中心に回転可能なスピンドルと、駆動ギヤにより第1回転軸を中心に回転する駆動カム部と、駆動カム部よりも前方に配置され、駆動カム部に接触又は駆動カム部から離隔するように、スピンドルと一緒に前後方向に移動する従動カム部と、駆動ギヤを支持した状態で第1回転軸と中心に回転する支持シャフトと、駆動ギヤよりも後方に配置され、支持シャフトを回転可能に支持する第1ベアリングと、第1ベアリングよりも前方に配置され、スピンドルと同期して前後方向に移動する磁石と、第1回転軸の径方向外側に配置され、磁石を検出する磁気センサと、磁気センサの検出信号に基づいて、モータを制御するコントローラと、を備えてもよい。
【0010】
上記の構成では、磁石及び磁気センサが第1ベアリングよりも前方に配置されるので、スクリュードライバの全長が長くなることが抑制される。スクリュードライバの全長とは、モータの後端部とスピンドルの前端部との前後方向の距離をいう。なお、スクリュードライバの全長は、モータの後端部と後述するゴムキャップの前端部との前後方向の距離でもよい。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、磁石は、駆動ギヤよりも前方に配置されてもよい。
【0012】
上記の構成では、磁石及び磁気センサが駆動ギヤよりも前方に配置されるので、スクリュードライバの全長が長くなることが抑制される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前後方向において、磁石の位置とスピンドルの少なくとも一部の位置とは等しくてもよい。
【0014】
上記の構成では、前後方向において、磁石の位置とスピンドルの少なくとも一部の位置とが等しいので、スクリュードライバの全長が長くなることが抑制される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、スピンドルの周囲に配置され、スピンドルと一緒に前後方向に移動する移動部材を備えてもよい。磁石は、移動部材に固定されてもよい。
【0016】
上記の構成では、スピンドルと一緒に磁石が前後方向に移動される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、スピンドルと移動部材との間に配置される第2ベアリングと、ハウジングに対する移動部材の回転を抑制する回り止め機構と、を備えてもよい。
【0018】
上記の構成では、移動部材が回転しないので、磁気センサは、移動部材に固定された磁石を適正に検出することができる。また、第2ベアリングにより、スピンドルは回転することができる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、スピンドルの周囲に配置され、ボールを介してスピンドルに結合され、従動カム部が設けられるクラッチカムを備えてもよい。移動部材は、クラッチカムの周囲に配置されてもよい。第2ベアリングは、クラッチカムと移動部材との間に配置されてもよい。
【0020】
上記の構成では、スピンドルとクラッチカムと第2ベアリングと磁石が固定された移動部材とが、一緒に前後方向に移動されるので、構造の複雑化が抑制される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、移動部材を前後方向にガイドするガイド部を備えてもよい。
【0022】
上記の構成では、移動部材は、前後方向に適正に移動することができる。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スピンドルは、支持シャフトを含んでもよい。
【0024】
上記の構成では、スクリュードライバの部品点数の増加が抑制される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、駆動カム部は、駆動ギヤに設けられてもよい。
【0026】
上記の構成では、スクリュードライバの部品点数の増加が抑制される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、モータと、モータの前方側に配置され、モータにより駆動される押し込みクラッチと、押し込みクラッチの前方側に配置され、押し込みクラッチにより駆動されるスピンドルと、押し込みクラッチの径方向外側に配置され、押し込みクラッチが押し込まれたことを検出する押し込みセンサと、モータに給電するためのバッテリと、を備えてもよい。
【0028】
上記の構成では、押し込み磁気センサが押し込みクラッチの径方向外側に配置されるので、スクリュードライバの全長が長くなることが抑制される。
【0029】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0030】
実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、スクリュードライバ1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。実施形態において、スクリュードライバ1は、回転軸CXを中心に回転するスピンドル9を有する。
【0031】
実施形態においては、回転軸CXに平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸CXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸CXの放射方向を適宜、径方向、と称する。
【0032】
軸方向においてスクリュードライバ1の中心から規定の方向に離隔する方向又は位置を適宜、軸方向一方側、と称し、軸方向一方側の反対側を適宜、軸方向他方側、と称する。周方向において規定の方向を適宜、周方向一方側、と称し、周方向一方側の反対側を適宜、周方向他方側、と称する。径方向において回転軸AXから離隔する方向又は位置を適宜、径方向外側、と称し、径方向外側の反対側を適宜、径方向内側、と称する。
【0033】
実施形態において、軸方向と前後方向とは、一致する。軸方向一方側が前方とみなされてもよい。軸方向他方側が後方とみなされてもよい。
【0034】
[スクリュードライバ]
図1は、実施形態に係るスクリュードライバ1を示す前方からの斜視図である。
図2は、実施形態に係るスクリュードライバ1を示す後方からの斜視図である。
図3は、実施形態に係るスクリュードライバ1を示す側面図である。
図4は、実施形態に係るスクリュードライバ1を示す縦断面図である。
図5は、実施形態に係るスクリュードライバ1の一部を拡大した縦断面図である。
図6は、実施形態に係るスクリュードライバ1の要部を拡大した縦断面図である。
図7は、実施形態に係るスクリュードライバ1の一部を示す横断面図である。
図8は、実施形態に係るスクリュードライバ1を示す断面図であり、
図5のA-A線断面矢視図に相当する。
図9は、実施形態に係るスクリュードライバ1を示す断面図であり、
図5のB-B線断面矢視図に相当する。
図10は、実施形態に係るスクリュードライバ1の要部を示す前方からの分解斜視図である。
図11は、実施形態に係るスクリュードライバ1の要部を示す後方からの分解斜視図である。
【0035】
スクリュードライバ1は、本体ハウジング2と、ギヤハウジング3と、カバー4と、バッテリ装着部5と、モータ6と、ファン7と、動力伝達機構8と、スピンドル9と、工具保持機構10と、ロックリング11と、アジャストスリーブ12と、ゴムキャップ13と、トリガレバー14と、ロックボタン15と、正逆転切換レバー16と、ライト17と、スイッチプレート18と、ビット位置検出部19と、コントローラ20とを備える。
【0036】
本体ハウジング2は、スクリュードライバ1の構成要素の少なくとも一部を収容する。本体ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。本体ハウジング2は、左側ハウジング2Lと、左側ハウジング2Lよりも右方に配置される右側ハウジング2Rとを含む。左側ハウジング2Lと右側ハウジング2Rとは、複数のねじ2Sにより固定される。
【0037】
本体ハウジング2は、モータ収容部21と、ハンドル部22と、バッテリ保持部23と、連結部24と含む。
【0038】
モータ収容部21は、モータ6及び動力伝達機構8の少なくとも一部を収容する。モータ収容部21は、筒状である。モータ収容部21は、前後方向に延びる。
【0039】
ハンドル部22は、作業者に握られる。ハンドル部22は、上下方向に延びるグリップ部22Aと、グリップ部22Aの上部から前方に延びる連結部22Bとを有する。連結部22Bの前端部は、モータ収容部21の後端部の上部に繋がる。
【0040】
バッテリ保持部23は、バッテリ装着部5を介してバッテリパック25を保持する。バッテリ保持部23は、コントローラ20を収容する。グリップ部22Aの下端部は、バッテリ保持部23の後部に繋がる。
【0041】
連結部24は、モータ収容部21の下部とバッテリ保持部23の前部とを繋ぐように配置される。
【0042】
モータ収容部21の後部と、連結部24と、バッテリ保持部23と、ハンドル部22とにより、本体ハウジング2のループ部が形成される。
【0043】
モータ収容部21に吸気口26及び排気口27が設けられる。吸気口26は、モータ収容部21の左部及び右部のそれぞれに設けられる。排気口27は、モータ収容部21の下部に設けられる。本体ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口26を介して本体ハウジング2の内部空間に流入する。本体ハウジング2の内部空間の空気は、排気口27を介して本体ハウジング2の外部空間に流出する。
【0044】
ギヤハウジング3は、動力伝達機構8の少なくとも一部を収容する。ギヤハウジング3は、スピンドル9の少なくとも一部を収容する。ギヤハウジング3の少なくとも一部は、本体ハウジング2よりも前方に配置される。
【0045】
ギヤハウジング3は、後側ハウジング31と、前側ハウジング32とを含む。前側ハウジング32の少なくとも一部は、後側ハウジング31よりも前方に配置される。後側ハウジング31の少なくとも一部は、モータ収容部21の前部の内側に配置される。前側ハウジング32は、モータ収容部21よりも前方に配置される。
【0046】
後側ハウジング31は、プレート部31Aと、プレート部31Aの上部から後方に窪む凹部31Bと、プレート部31Aの下部から後方に突出する筒部31Cとを有する。前側ハウジング32は、プレート部32Aと、プレート部32Aから前方に突出する筒状部32Bとを有する。
【0047】
ギヤハウジング3は、モータ収容部21の前部に固定される。モータ収容部21の前部と後側ハウジング31のプレート部31Aと前側ハウジング32のプレート部32Aとは、3本のねじ3Sにより固定される。
【0048】
カバー4は、ギヤハウジング3の少なくとも一部を覆うように配置される。カバー4は、前側ハウジング32の周囲に配置されるリング状の第1カバー部4Aと、前側ハウジング32の下部に配置される第2カバー部4Bと、プレート部32Aの下部の前面に対向する第3カバー部4Cと、プレート部31Aの下端部及びプレート部32Aの下端部を覆うように配置される第4カバー部4Dとを含む。
【0049】
バッテリ装着部5に、バッテリパック25が装着される。バッテリ装着部5は、バッテリ保持部23の下部に配置される。バッテリパック25は、バッテリ装着部5に着脱可能である。バッテリパック25は、スクリュードライバ1の電源として機能する。バッテリパック25は、バッテリ保持部23の前方からバッテリ装着部5に挿入されることにより、バッテリ装着部5に装着される。バッテリパック25は、バッテリ装着部5から前方に抜去されることにより、バッテリ装着部5から外される。バッテリパック25は、二次電池を含む。実施形態において、バッテリパック25は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部5に装着されることにより、バッテリパック25は、スクリュードライバ1に電力を供給することができる。バッテリパック25(バッテリ)は、モータ6に給電する。モータ6は、バッテリパック25から供給される電力に基づいて駆動する。コントローラ20及びスイッチプレート18のそれぞれは、バッテリパック25から供給される電力に基づいて作動する。
【0050】
モータ6は、スクリュードライバ1の動力源である。モータ6は、バッテリパック25から供給される電力に基づいて駆動する電動モータである。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、ステータ33と、ロータ34とを有する。ステータ33は、モータ収容部21に支持される。ロータ34の少なくとも一部は、ステータ33の内側に配置される。ロータ34は、ステータ33に対して回転する。ロータ34は、前後方向に延びる回転軸AXを中心に回転する。
【0051】
ステータ33は、ステータコア35と、後側インシュレータ36Rと、前側インシュレータ36Fと、コイル37とを有する。
【0052】
ステータコア35は、ロータ34よりも回転軸AXの径方向外側に配置される。ステータコア35は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア35は、筒状である。ステータコア35は、コイル37を支持する複数のティースを有する。
【0053】
後側インシュレータ36Rは、ステータコア35の後部に固定される。前側インシュレータ36Fは、ステータコア35の前部に固定される。後側インシュレータ36R及び前側インシュレータ36Fのそれぞれは、合成樹脂製の電気絶縁部材である。後側インシュレータ36Rは、ステータコア35のティースの表面の一部を覆うように配置される。前側インシュレータ36Fは、ステータコア35のティースの表面の一部を覆うように配置される。
【0054】
コイル37は、後側インシュレータ36R及び前側インシュレータ36Fを介してステータコア35に装着される。コイル37は、複数配置される。コイル37は、後側インシュレータ36R及び前側インシュレータ36Fを介してステータコア35のティースの周囲に配置される。ステータコア35とコイル37とは、後側インシュレータ36R及び前側インシュレータ36Fにより電気的に絶縁される。複数のコイル37は、短絡部材38を介して相互に接続される。バッテリパック25からの電流は、コントローラ20、不図示のリード線、及び後側インシュレータ36Rの下部に固定されたコネクタ39を介して、コイル37に供給される。コネクタ39は、ねじ39Sにより後側インシュレータ36Rの下部に固定される。
【0055】
ロータ34は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ34は、ロータコア40と、ロータシャフト41と、ロータ磁石42とを有する。
【0056】
ロータコア40及びロータシャフト41のそれぞれは、鋼製である。ロータシャフト41は、ロータコア40に固定される。ロータコア40は、円筒状である。ロータシャフト41は、ロータコア40よりも径方向内側に配置される。ロータシャフト41の前部は、ロータコア40の前端面から前方に突出する。ロータシャフト41の後部は、ロータコア40の後端面から後方に突出する。
【0057】
ロータ磁石42は、ロータコア40に固定される。ロータ磁石42は、ロータコア40の内部に配置される。ロータ磁石42は、ロータコア40に設けられた磁石孔に配置される。
【0058】
ロータコア40の前端面に対向するようにスリーブ29が配置される。スリーブ29は、ロータコア40及びロータシャフト41のそれぞれに固定される。スリーブ29は、ロータ34の回転バランスを調整するために設けられる。
【0059】
後側インシュレータ36Rに回転センサ基板43が取り付けられる。回転センサ基板43は、ねじ43Sにより後側インシュレータ36Rに固定される。回転センサ基板43は、環状の回路基板と、回路基板に支持される磁気センサとを有する。回転センサ基板43の少なくとも一部は、ロータ磁石42に対向する。磁気センサは、ロータ磁石42の位置を検出することにより、ロータ34の回転方向の位置を検出する。磁気センサの検出信号は、不図示のリード線を介して、コントローラ20に送信される。
【0060】
ロータシャフト41の後端部は、ロータベアリング44に回転可能に支持される。ロータシャフト41の前部は、ロータベアリング45に回転可能に支持される。ロータベアリング44及びロータベアリング45のそれぞれは、ボールベアリングである。ロータベアリング44は、モータ収容部21の内面の後部に設けられた凹部21Aに保持される。ロータベアリング44の内輪の前端部は、ロータシャフト41の後部に設けられた段部に接触する。これにより、ロータシャフト41に対してロータベアリング44が前後方向に相対移動することが抑制される。ロータベアリング45は、後側ハウジング31の筒部31Cに保持される。ロータベアリング45の内輪の後端部は、ロータシャフト41の前部に設けられた段部に接触する。ロータベアリング45の前方にはサークリップ46が配置される。サークリップ46は、ロータベアリング45の内輪の前端部に接触する。これにより、ロータシャフト41に対してロータベアリング45が前後方向に相対移動することが抑制される。ロータシャフト41の前端部は、筒部31Cの前端部に設けられた開口を介して前側ハウジング32の内側に配置される。
【0061】
ロータシャフト41の前端部にピニオンギヤ47が固定される。ピニオンギヤ47は、モータ6により回転軸AXを中心に回転する。ピニオンギヤ47は、動力伝達機構8の少なくとも一部に連結される。ロータシャフト41は、ピニオンギヤ47を介して動力伝達機構8に連結される。
【0062】
ファン7は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン7は、ステータ33よりも前方に配置される。ファン7は、ロータベアリング45とステータ33との間に配置される。ファン7は、ロータベアリング45とステータ33との間のロータシャフト41に固定される。ファン7は、ロータ34の回転により回転する。ロータシャフト41が回転することにより、ファン7は、ロータシャフト41と一緒に回転する。ファン7の回転により、本体ハウジング2の外部空間の空気が、吸気口26を介して本体ハウジング2の内部空間に流入する。本体ハウジング2の内部空間に流入した空気は、本体ハウジング2の内部空間を流通することにより、モータ6を冷却する。本体ハウジング2の内部空間を流通した空気は、ファン7の回転により、排気口27を介して本体ハウジング2の外部空間に流出する。
【0063】
動力伝達機構8は、モータ6の回転力をスピンドル9に伝達する。動力伝達機構8は、ロータシャフト41の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル9を回転させる。実施形態において、動力伝達機構8は、モータ6の正転時においてモータ6の回転力をスピンドル9に伝達するクラッチ機構8Aと、モータ6の逆転時においてモータ6の回転力をスピンドル9に伝達するスピンドルロック機構8Bとを有する。
【0064】
動力伝達機構8は、駆動ギヤ71と、クラッチカム72と、ボール73と、コンプレッションスプリング75と、ワッシャ76と、ボール77と、ワンウェイニードルベアリング80とを有する。
【0065】
クラッチ機構8Aは、ボール73を介してスピンドル9に結合されるクラッチカム72と、クラッチカム72及びスピンドル9を前方に付勢するコンプレッションスプリング75とを含む。駆動ギヤ71、クラッチカム72、及びコンプレッションスプリング75は、ギヤハウジング3の内側に配置される。
【0066】
スピンドルロック機構8Bは、スピンドル9の周囲に配置されるワンウェイニードルベアリング80を含む。ワンウェイニードルベアリング80は、ギヤハウジング3の内側に配置される。
【0067】
駆動ギヤ71は、ピニオンギヤ47に噛み合う。駆動ギヤ71は、ピニオンギヤ47に噛み合った状態で回転軸CXと中心に回転する。駆動ギヤ71は、ヘリカルギヤである。駆動ギヤ71は、ピニオンギヤ47よりも上方に配置される。モータ6のロータシャフト41の回転により、ピニオンギヤ47は、回転軸AXを中心に回転する。ピニオンギヤ47の回転より、駆動ギヤ71は、回転軸CXを中心に回転する。駆動ギヤ71は、リング部71Aと、ギヤ部71Bと、筒状部71Cと、駆動カム部71Dとを有する。リング部71Aは、回転軸CXの周囲に配置される。ギヤ部71Bは、リング部71Aの外周部に設けられる。ギヤ部71Bは、ピニオンギヤ47に噛み合う。筒状部71Cは、リング部71Aの後面から後方に突出する。筒状部71Cは、ワンウェイニードルベアリング80の周囲に配置される。駆動カム部71Dは、リング部71Aの前面から前方に突出するように設けられる。駆動カム部71Dは、駆動ギヤ71により回転軸CXを中心に回転する。駆動ギヤ71は、後側ハウジング31に収容される。
【0068】
ワンウェイニードルベアリング80は、スピンドル9の周囲に配置される。駆動ギヤ71は、ワンウェイニードルベアリング80を介してスピンドル9に支持される。
【0069】
クラッチカム72は、駆動ギヤ71よりも前方に配置される。クラッチカム72は、スピンドル9の周囲に配置される。クラッチカム72は、複数のボール73を介してスピンドル9に結合される。クラッチカム72は、複数のボール73を介してスピンドル9に支持される。クラッチカム72は、支持リング部72Aと、筒状部72Bと、カムリング部72Cと、カムボール溝72Dと、従動カム部72Eとを有する。支持リング部72Aは、回転軸CXの周囲に配置される。筒状部72Bは、支持リング部72Aから後方に延びるように設けられる。カムリング部72Cは、筒状部72Bの後端部から径方向外側に延びるように設けられる。カムボール溝72Dは、支持リング部72Aに設けられる。ボール73の少なくとも一部は、カムボール溝72Dに配置される。従動カム部72Eは、カムリング部72Cの後面から後方に突出するように設けられる。
【0070】
実施形態において、ボール73は、3つ設けられる。カムボール溝72Dは、支持リング部72Aの前部に3つ設けられる。回転軸CXに直交する面内において、3つのカムボール溝72Dのそれぞれは、円弧状である。カムボール溝72Dの少なくとも一部は、前後方向に傾斜する。カムボール溝72Dは、回転軸CXを囲むように設けられる。1つのカムボール溝72Dに1つのボール73が配置される。
【0071】
スピンドル9は、スピンドルボール溝9Eを有する。ボール73の少なくとも一部は、スピンドルボール溝9Eに配置される。スピンドルボール溝9Eは、スピンドル9の外周面に3つ設けられる。回転軸CXに直交する面内において、3つのスピンドルボール溝9Eのそれぞれは、円弧状である。スピンドルボール溝9Eは、回転軸CXを囲むように設けられる。1つのスピンドルボール溝9Eに1つのボール73が配置される。
【0072】
コンプレッションスプリング75は、スピンドル9の周囲に配置される。コンプレッションスプリング75は、クラッチカム72及びスピンドル9を前方に付勢する。コンプレッションスプリング75は、クラッチカム72の筒状部72Bの内側に配置される。ワッシャ76及びボール77は、クラッチカム72の筒状部72Bの内側においてスピンドル9の周囲に配置される。ボール77は、スピンドル9の周囲に複数配置される。ボール77は、支持リング部72Aの後面に接触する。ワッシャ76は、ボール77の後方に配置される。コンプレッションスプリング75の前端部は、ワッシャ76の後面に接触する。コンプレッションスプリング75の後端部は、ワンウェイニードルベアリング80の前端部に接続される。コンプレッションスプリング75は、ワッシャ76及びボール77を介して、クラッチカム72を前方に付勢する。スピンドル9は、ボール73を介してクラッチカム72に結合される。コンプレッションスプリング75によりクラッチカム72が前方に付勢されることにより、スピンドル9もクラッチカム72と一緒に前方に付勢される。
【0073】
スピンドル9は、モータ6の回転力により回転する。スピンドル9の少なくとも一部は、動力伝達機構8よりも前方に配置される。スピンドル9の少なくとも一部は、駆動ギヤ71よりも前方に配置される。スピンドル9は、駆動ギヤ71を支持した状態で回転軸CXを中心に回転する。モータ6の回転軸AXとスピンドル9の回転軸CXとは、異なる。回転軸AXと回転軸CXとは、平行である。スピンドル9は、ロータ34により回転する。スピンドル9は、動力伝達機構8により伝達されたロータ34の回転力により回転する。スピンドル9は、先端工具であるドライバビット30を保持した状態で回転する。スピンドル9は、ドライバビット30が装着された状態で回転軸CXを中心に回転する。
【0074】
スピンドル9は、ロッド部9Aと、ストッパ部9Bと、ビット保持孔9Cと、中空孔9Dと、スピンドルボール溝9Eと、貫通孔9Fとを有する。ロッド部9Aは、前後方向に延びるように配置される。ストッパ部9Bは、ロッド部9Aの外周面の前部から径方向外側に突出するように設けられる。ビット保持孔9Cは、ロッド部9Aの前端面から後方に延びるように設けられる。ドライバビット30は、ロッド部9Aに装着される。ドライバビット30は、ビット保持孔9Cの前方からビット保持孔9Cに挿入される。回転軸CXに直交するビット保持孔9Cの断面は、正六角形である。中空孔9Dは、スピンドル9の後端面から前方に延びるように設けられる。中空孔9Dにより、スピンドル9が軽量化される。ロッド部9Aの周囲にオイルシール63が配置される。オイルシール63は、前側ハウジング32の筒状部32Bに保持される。
【0075】
スピンドル9の後部は、スピンドル後ベアリング62に回転可能に支持される。スピンドル後ベアリング62は、前後方向に2つ配置される。スピンドル後ベアリング62は、駆動ギヤ71よりも後方に配置される。スピンドル9の前部は、スピンドル前ベアリング48に回転可能に支持される。
【0076】
スピンドル後ベアリング62は、前後方向に2つ配置される。スピンドル後ベアリング62が2つ配置されることにより、スピンドル9の軸ブレが抑制される。スピンドル9の軸ブレが抑制されることにより、ピニオンギヤ47と駆動ギヤ71とが適正に噛み合う。
【0077】
スピンドル前ベアリング48は、前側ハウジング32に保持される。スピンドル前ベアリング48の外輪の前端面は、前側ハウジング32の筒状部32Bの内周面から径方向内側に突出する凸部に支持される。スピンドル9のストッパ部9Bは、スピンドル前ベアリング48の外輪の後端面に接触可能である。スピンドル9は、駆動ギヤ71よりも前方においてスピンドル前ベアリング48に回転可能に支持される。また、スピンドル9は、駆動ギヤ71よりも前方において前側ハウジング32に前後方向に移動可能に支持される。スピンドル9は、駆動ギヤ71よりも前方においてスピンドル前ベアリング48を介してギヤハウジング3に前後方向に移動可能に支持される。スピンドル9は、前進位置と、前進位置よりも後方の後退位置との間を前後方向に移動可能である。クラッチカム72は、スピンドル9と一緒に前後方向に移動する。
【0078】
クラッチカム72の従動カム部72Eは、駆動ギヤ71の駆動カム部71Dよりも前方に配置される。駆動ギヤ71の駆動カム部71Dとクラッチカム72の従動カム部72Eとは、対向する。スピンドル9は、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが接触又は離隔するように、スピンドル前ベアリング48を介してギヤハウジング3に前後方向に移動可能に支持される。従動カム部72Eは、駆動カム部71Dに接触又は駆動カム部71Dから離隔するように、スピンドル9と一緒に前後方向に移動する。スピンドル9が前進位置に配置されている状態で、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが離隔する。スピンドル9が後退位置に配置されている状態で、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが接触可能な状態になる。
【0079】
工具保持機構10は、ビット保持孔9Cに挿入されたドライバビット30を保持する。工具保持機構10は、スピンドル9の外周面とビット保持孔9Cの内周面とを繋ぐ貫通孔9Fに配置されるボール49と、ボール49よりも回転軸CXの径方向外側に配置されるリング50と、リング50の外側に配置されるスプリング51とを含む。ボール49は、スプリング51によりリング50を介して径方向内側に押圧される。ボール49の少なくとも一部がドライバビット30に設けられている凹部30Aに配置されることにより、ビット保持孔9Cからドライバビット30が抜けることが抑制される。
【0080】
ロックリング11は、ゴムキャップ13の前端面からのドライバビット30の突出量の調整のために作業者により操作される。ロックリング11は、前側ハウジング32の筒状部32Bの周囲に配置される。ロックリング11は、前側ハウジング32に対して回転することができる。ロックリング11は、回転されることにより、前側ハウジング32に対して前後方向に移動する。ロックリング11が一方向に回転されると、ドライバビット30の突出量が多くなる。ロックリング11が他方向に回転されると、ドライバビット30の突出量が少なくなる。
【0081】
アジャストスリーブ12は、ロックリング11に着脱可能に装着される。アジャストスリーブ12は、Oリング52を介してロックリング11に装着される。アジャストスリーブ12は、ロックリング11よりも前方においてスピンドル9の周囲に配置される。アジャストスリーブ12は、実質的に筒状である。アジャストスリーブ12は、前方に向かって縮径するテーパ状である。アジャストスリーブ12は、ロックリング11の回転によりロックリング11と一緒に前後方向に移動する。
【0082】
ゴムキャップ13は、アジャストスリーブ12の前端部に装着される。ゴムキャップ13は、アジャストスリーブ12の前端部に固定される。ゴムキャップ13は、スピンドル9に装着されたドライバビット30の周囲に配置される。スクリュードライバ1を用いるねじ締め作業において、ゴムキャップ13は、被加工材に接触する。ゴムキャップ13により、被加工材が傷付くことが抑制される。
【0083】
ビット保持孔9Cに挿入され、工具保持機構10に保持されたドライバビット30の前端部は、ゴムキャップ13の前端部よりも前方に配置される。被加工材に対するねじの締め付け深さを調整する場合、作業者は、ロックリング11を回転して、ロックリング11を前後方向に移動させる。ロックリング11が前後方向に移動することにより、ロックリング11と一緒にアジャストスリーブ12及びゴムキャップ13が前後方向に移動する。これにより、ゴムキャップ13の前端面からのドライバビット30の突出量が調整される。ゴムキャップ13の前端面からのドライバビット30の突出量が調整されることにより、被加工材に対するねじの締め付け深さが調整される。
【0084】
トリガレバー14は、モータ6を起動するために作業者に操作される。トリガレバー14は、グリップ部22Aに設けられる。トリガレバー14は、グリップ部22Aの上部の前部から前方に突出する。トリガレバー14の後方にスイッチ54が配置される。スイッチ54は、グリップ部22Aに収容される。トリガレバー14は、スイッチ54に接続される。トリガレバー14が後方に移動するように引き操作されることにより、スイッチ54からコントローラ20に操作信号が出力される。コントローラ20は、スイッチ54からの操作信号に基づいて、モータ6を駆動する。トリガレバー14の操作が解除されることにより、モータ6が停止される。
【0085】
ロックボタン15は、トリガレバー14が引き操作された状態を維持するために作業者に操作される。ロックボタン15は、グリップ部22Aの左部の上部に設けられる。トリガレバー14が引き操作された状態でロックボタン15が押されることにより、作業者がトリガレバー14を離しても、トリガレバー14が引き操作された状態が維持され、モータ6の駆動が維持される。
【0086】
正逆転切換レバー16は、モータ6の回転方向を切り換えるために作業者に操作される。正逆転切換レバー16は、連結部22Bに設けられる。正逆転切換レバー16が操作されることにより、モータ6の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル9の回転方向が切り換えられる。正逆転切換レバー16が中立位置に配置された場合、トリガレバー14を操作することができない。
【0087】
ライト17は、照明光を射出する。ライト17は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む。ライト17は、連結部24の下部の前部に配置される。ライト17は、スピンドル9の前方を照明光で照明する。
【0088】
スイッチプレート18は、作業者に操作されるモード切換ボタン18Aを有する。スイッチプレート18は、バッテリ保持部23に設けられる。スイッチプレート18は、グリップ部22Aの下端部と連結部24の下端部との間のバッテリ保持部23の上面に設けられる。作業者によりモード切換ボタン18Aが操作されることにより、モータ6の動作モードが切り換えられる。実施形態において、モータ6の動作モードは、通常モードと、プッシュドライブモードとを含む。通常モードとは、トリガレバー14の引き操作によりモータ6が起動する動作モードをいう。プッシュドライブモードとは、トリガレバー14が引き操作されてもモータ6は直ちに駆動せず、ドライバビット30とともにスピンドル9が前進位置から後方に移動したことが検出されてからモータ6が起動する動作モードをいう。作業者は、モード切換ボタン18Aを操作して、通常モード及びプッシュドライブモード(Auto Startとも言う)のいずれか一方のスクリュードライバ1の動作モードを設定することができる。
【0089】
ビット位置検出部19は、モータ6の動作モードがプッシュドライブモードに設定された場合において、ドライバビット30とともにスピンドル9が前進位置から後方に移動したことが検出されるように作動する。
【0090】
ビット位置検出部19は、ベアリング90と、移動部材91と、磁石92と、モードセンサ基板93とを有する。
【0091】
ベアリング90は、クラッチカム72の筒状部72Bの周囲に配置される。ベアリング90は、クラッチカム72を回転可能に支持する。
【0092】
移動部材91は、スピンドル9の周囲に配置される。ベアリング90は、スピンドル9と移動部材91との間に配置される。実施形態において、移動部材91は、クラッチカム72の周囲に配置される。ベアリング90は、クラッチカム72と移動部材91との間に配置される。移動部材91は、ベアリング90を介してクラッチカム72に接続される。
【0093】
上述のように、スピンドル9は、前進位置と後退位置との間を前後方向に移動可能である。クラッチカム72は、スピンドル9と一緒に前後方向に移動する。移動部材91及びベアリング90は、スピンドル9及びクラッチカム72と一緒に前後方向に移動する。すなわち、スピンドル9と、クラッチカム72と、ベアリング90と、移動部材91とは、前側ハウジング32に対して前後方向に一緒に移動する。クラッチカム72は、モータ6の前方側に配置され、モータ6により駆動される押し込みクラッチである。スピンドル9は、押し込みクラッチであるクラッチカム72の前方側に配置され、クラッチカム72により駆動される。
図5に示すように、後側ハウジング31の凹部31Bの後部には、後退位置に移動したスピンドル9の後端部が収容される収容凹部31Dが設けられる。
【0094】
移動部材91は、ベアリング90の周囲に配置されるリング部91Aと、リング部91Aから下方に突出する凸部91Bとを有する。
図8に示すように、前側ハウジング32の内周面に凹部32Gが設けられる。凸部91Bは、凹部32Gに配置される。凸部91Bが凹部32Gに配置されることにより、移動部材91と前側ハウジング32との相対回転が抑制される。すなわち、移動部材91は、凸部91Bと凹部32Gとにより回り止めされている。凸部91Bと凹部32Gとは、前側ハウジング32に対する移動部材91の回転を抑制する回り止め機構として機能する。クラッチカム72は、ベアリング90を介して移動部材91に回転可能に支持される。クラッチカム72及びスピンドル9は、移動部材91及び前側ハウジング32に対して回転可能である。凹部32Gは、前後方向に延びるように設けられる。凸部91Bは、凹部32Gの内側で前後方向に移動可能である。凹部32Gは、移動部材91を前後方向にガイドするガイド部として機能する。
【0095】
磁石92は、スピンドル後ベアリング62よりも前方に配置される。磁石92は、駆動ギヤ71よりも前方に配置される。磁石92は、スピンドル9と同期して前後方向に移動する。実施形態において、磁石92は、移動部材91の凸部91Bに固定される。磁石92は、移動部材91の内部に埋設されてもよい。前後方向において、磁石92の位置とスピンドル9の少なくとも一部の位置とは等しい。磁石92は、移動部材91と一緒に前後方向に移動する。
【0096】
モードセンサ基板93は、回路基板を含む。モードセンサ基板93に磁気センサ94が搭載される。磁気センサ94は、磁石92を検出する。磁気センサ94を含むモードセンサ基板93は、回転軸CXの径方向外側に配置される。モードセンサ基板93は、スピンドル後ベアリング62よりも前方に配置される。モードセンサ基板93は、駆動ギヤ71よりも前方に配置される。前後方向において、モードセンサ基板93の位置とスピンドル9の少なくとも一部の位置とは等しい。モードセンサ基板93の少なくとも一部は、移動部材91に固定された磁石92に対向する。モードセンサ基板93は、本体ハウジング2に支持される。モードセンサ基板93が前側ハウジング32の外側(下方)に配置されるので、スピンドル9、駆動ギヤ71、及びクラッチカム72等に塗布されているグリスがモードセンサ基板93に付着することが抑制される。また、スピンドル9、駆動ギヤ71、及びクラッチカム72等で発生した熱がモードセンサ基板93に伝達されることが抑制される。そのため、磁気センサ94を含むモードセンサ基板93が劣化したり壊れたりすることが抑制される。なお、モードセンサ基板93は、前側ハウジング32に支持されてもよい。
【0097】
モードセンサ基板93は、磁石92よりも下方に配置される。磁気センサ94は、モードセンサ基板93の下面に実装される。実施形態において、磁気センサ94は、樹脂層95で覆われる。
図6に示すように、本体ハウジング2の少なくとも一部に凹部2Aが設けられる。樹脂層95を含むモードセンサ基板93は、凹部2Aに嵌合される。なお、磁気センサ94は、モードセンサ基板93の上面に実装されてもよい。また、樹脂層95は省略されてもよい。
【0098】
磁気センサ94は、磁石92の磁界の変化を検出することにより、移動部材91の移動状態を検出する。磁気センサ94の検出信号は、リード線96を介して、コントローラ20に送信される。磁気センサ94は、押し込みクラッチであるクラッチカム72の径方向外側に配置され、クラッチカム72が押し込まれたことを検出する押し込みセンサとして機能する。
【0099】
コントローラ20は、モータ6を制御する制御信号を出力する。コントローラ20は、バッテリ保持部23に収容される。コントローラ20は、モード切換ボタン18Aの操作により設定されたモータ6の動作モードに基づいて、モータ6を制御する。コントローラ20は、複数の電子部品が実装された回路基板20Aと、回路基板20Aを収容するケース20Bとを含む。回路基板20Aに実装される電子部品として、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ、少なくとも6個のスイッチング素子、トランジスタ、及び抵抗器が例示される。
【0100】
コントローラ20は、磁気センサ94の検出信号に基づいて、モータ6を制御する。通常モードにおいては、コントローラ20は、トリガレバー14が引き操作された操作信号受信することにより、モータ6を起動させる。プッシュドライブモードにおいては、コントローラ20は、トリガレバー14が引き操作された操作信号を受信し、且つ、移動部材91が後方に移動して磁石92がモードセンサ基板93に対して移動したことを検出した磁気センサ94の検出信号を受信することにより、モータ6を起動させる。
【0101】
[クラッチ機構]
クラッチ機構8Aは、モータ6の正転時においてスピンドル9が後退位置に移動したときに、モータ6のロータ34の回転力をスピンドル9に伝達する。クラッチ機構8Aは、駆動ギヤ71に設けられた駆動カム部71Dと、駆動カム部71Dに対向するようにクラッチカム72に設けられた従動カム部72Eとを含む。クラッチカム72は、スピンドル9の周囲に配置される。クラッチカム72は、ボール73を介してスピンドル9に結合される。また、クラッチ機構8Aは、クラッチカム72及びスピンドル9を前方に付勢するコンプレッションスプリング75を有する。
【0102】
被加工材に対するねじ締め作業を実施する場合、モータ6のロータ34が正転するように正逆転切換レバー16が操作される。ビット保持孔9Cにドライバビット30が挿入され、ドライバビット30がロッド部9Aに装着された後、作業者は、ハンドル部22を握って、ドライバビット30の先端部を被加工材の表面に当接されたねじの頭部の十字溝に挿入する。次に、作業者は、トリガレバー14を引き操作する。
【0103】
<通常モード>
以下、通常モードにおけるスクリュードライバ1の動作について説明する。通常モードにおいては、トリガレバー14が引き操作されることにより、モータ6が起動する。モータ6が起動し、ロータ34が正転すると、ロータシャフト41の回転がピニオンギヤ47を介して駆動ギヤ71に伝達され、駆動ギヤ71が回転する。ロータ34が正転する場合、駆動ギヤ71とスピンドル9との間に配置されているワンウェイニードルベアリング80の作用により、駆動ギヤ71とスピンドル9とは、相対回転する。すなわち、ロータ34が正転する場合、駆動ギヤ71が回転しても、ワンウェイニードルベアリング80の作用により、スピンドル9は回転しない。
【0104】
ロータ34が正転し、スピンドル9が前進位置に配置されている場合、駆動ギヤ71が回転しても、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとは離隔しているため、駆動ギヤ71からクラッチカム72に回転力は伝達されない。
【0105】
駆動ギヤ71が回転している状態で、作業者は、ハンドル部22を握って、スクリュードライバ1が被加工材に接近するようにスクリュードライバ1を押し込む押し込み動作を実施する。スクリュードライバ1の押し込み動作により、ドライバビット30とともにスピンドル9が、コンプレッションスプリング75の弾性力に抗して後方に移動する。
【0106】
スピンドル9が後退位置に移動すると、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが接触する。スピンドル9が前進位置から後退位置に移動して駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが接触したとき、クラッチカム72はスピンドル9から回転方向の抵抗力を受け、その結果、ボール73がスピンドルボール溝9Eとカムボール溝72Dとの間を転がって、スピンドル9とクラッチカム72とがボール73を介して相対回転する。ボール73が周方向においてカムボール溝72Dの一端部から他端部に移動してカムボール溝72Dの他端部て停止することにより、スピンドル9とクラッチカム72とは、一緒に回転することができる。実施形態においては、カムボール溝72Dの少なくとも一部が前後方向に傾斜しているので、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが接触して、スピンドル9とクラッチカム72とがボール73を介して相対回転することにより、クラッチカム72が後方に移動する。
【0107】
スピンドル9及びクラッチカム72が後方に移動し、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが接触した状態でモータ6が駆動されることにより、スピンドル9とクラッチカム72とは、駆動ギヤ71の回転に基づいて回転する。スピンドル9は、駆動カム部71D及び従動カム部72Eを含むクラッチ機構8Aを介して伝達された駆動ギヤ71の回転力により回転する。スピンドル9とともにドライバビット30が正転することにより、ねじが被加工材にねじ込まれる。
【0108】
ねじ締め作業において、作業者は、スクリュードライバ1の押込み動作を継続する。ねじ締め作業の進行に伴ってスクリュードライバ1が被加工材に徐々に接近し、やがてゴムキャップ13の前端部が被加工材に接触する。ゴムキャップ13の前端部が被加工材に接触した後においては、ねじ締め作業の進行に伴って、スピンドル9が回転しながら前進する。ねじ締め作業の初期においては、ねじからドライバビット30を介してスピンドル9に掛かるトルクは大きいものの、ねじ締め作業の終期においては、ねじからドライバビット30を介してスピンドル9に掛かるトルクは低下する。ドライバビット30を介してスピンドル9に掛かるトルクが低下すると、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとの接触力が低下する。駆動カム部71Dと従動カム部72Eとの接触力が低下すると、コンプレッションスプリング75の付勢力によりクラッチカム72が前方に移動する。これにより、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが離隔し、スピンドル9の回転が停止する。以上により、ねじ締め作業が終了する。
【0109】
駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが離隔して、スピンドル9の回転が停止しても、トリガレバー14が引き操作されている間は、モータ6は駆動し続ける。トリガレバー14の操作が解除されることにより、モータ6が停止する。押込み動作が解除され、ドライバビット30がねじから離れると、スピンドル9は、コンプレッションスプリング75の付勢力により前進位置に戻る。
【0110】
<プッシュドライブモード>
次に、プッシュドライブモードにおけるスクリュードライバ1の動作について説明する。プッシュドライブモードにおいては、トリガレバー14が引き操作されただけでは、モータ6は起動しない。トリガレバー14が引き操作された状態で、スクリュードライバ1の押し込み動作によりスピンドル9が後方に移動すると、移動部材91がスピンドル9と一緒に後方に移動する。移動部材91が後方に移動すると、モードセンサ基板93に対して磁石92が移動する。コントローラ20は、モードセンサ基板93の磁気センサ94が検出した磁界の変化に基づいて、モータ6を起動させる。モータ6が起動することにより、駆動ギヤ71の回転が開始される。押込み動作の継続により、スピンドル9は後退位置に向かって移動する。スピンドル9が後退位置に移動して、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが接触することにより、スピンドル9は、駆動カム部71D及び従動カム部72Eを含むクラッチ機構8Aを介して伝達された駆動ギヤ71の回転力により回転する。スピンドル9とともにドライバビット30が正転することにより、ねじが被加工材にねじ込まれる。
【0111】
ねじ締め作業の進行に伴ってスクリュードライバ1が被加工材に徐々に接近し、やがてゴムキャップ13の前端部が被加工材に接触する。ドライバビット30を介してスピンドル9に掛かるトルクが低下すると、コンプレッションスプリング75の付勢力によりクラッチカム72が前方に移動する。これにより、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが離隔し、スピンドル9の回転が停止する。以上により、ねじ締め作業が終了する。
【0112】
ねじ締め作業が終了し、押込み動作が解除され、ドライバビット30がねじから離れると、スピンドル9は、コンプレッションスプリング75の付勢力により前進位置に戻る。スピンドル9が前進位置に戻ることにより、移動部材91及び磁石92も前進位置に戻る。コントローラ20は、モードセンサ基板93の磁気センサ94が検出した磁界の変化に基づいて、モータ6を停止させる。
【0113】
[スピンドルロック機構]
スピンドルロック機構8Bは、モータ6の逆転時においてモータ6のロータ34の回転力をスピンドル9に伝達する。スピンドルロック機構8Bは、スピンドル9の周囲に配置されたワンウェイニードルベアリング80を含む。ロータ34の逆転時において、駆動ギヤ71とスピンドル9とは、ワンウェイニードルベアリング80によりロックされる。すなわち、ワンウェイニードルベアリング80は、駆動ギヤ71とスピンドル9とをロックして、駆動ギヤ71とスピンドル9との相対回転を阻止する。ロータ34の逆転時において、駆動ギヤ71とスピンドル9とは、相対回転せずに、一緒に回転する。ロータ34の逆転時において、駆動ギヤ71とスピンドル9とが一緒に回転するので、駆動カム部71Dと従動カム部72Eとが離隔していても、駆動ギヤ71の回転がスピンドル9に伝達される。被加工材からねじを外すねじ外し作業を実施する場合、モータ6が逆転される。ねじ外し作業においては、スピンドル9が前進位置から後退位置に移動しなくても、スピンドル9は回転することができる。すなわち、スクリュードライバ1が被加工材に接近するようにスクリュードライバ1を押し込む押し込み動作が実施されなくても、スピンドル9は回転する。
【0114】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、スクリュードライバ1は、ギヤハウジング3と、モータ6と、モータ6により回転するピニオンギヤ47と、ピニオンギヤ47に噛み合った状態で第1回転軸である回転軸CXと中心に回転する駆動ギヤ71と、駆動ギヤ71よりも前方においてギヤハウジング3に前後方向に移動可能に支持され、先端工具であるドライバビット30が装着された状態で回転軸CXを中心に回転可能なスピンドル9と、駆動ギヤ71により回転軸CXを中心に回転する駆動カム部71Dと、駆動カム部71Dよりも前方に配置され、駆動カム部71Dに接触又は駆動カム部71Dから離隔するように、スピンドル9と一緒に前後方向に移動する従動カム部72Eと、駆動ギヤ71を支持した状態で回転軸CXと中心に回転する支持シャフトであるスピンドル9と、駆動ギヤ71よりも後方に配置され、スピンドル9を回転可能に支持する第1ベアリングであるスピンドル後ベアリング62と、スピンドル後ベアリング62よりも前方に配置され、スピンドル9と同期して前後方向に移動する磁石92と、回転軸CXの径方向外側に配置され、磁石92を検出する磁気センサ94と、磁気センサ94の検出信号に基づいて、モータ6を制御するコントローラ20と、を備える。
【0115】
上記の構成では、磁石92及び磁気センサ94がスピンドル後ベアリング62よりも前方に配置されるので、スクリュードライバ1の全長が長くなることが抑制される。スクリュードライバ1の全長とは、モータ6の後端部とスピンドル9の前端部との前後方向の距離をいう。なお、スクリュードライバ1の全長は、モータ6の後端部とゴムキャップ13の前端部との前後方向の距離でもよい。
【0116】
実施形態において、磁石92は、駆動ギヤ71よりも前方に配置される。
【0117】
上記の構成では、磁石92及び磁気センサ94が駆動ギヤ71よりも前方に配置されるので、スクリュードライバ1の全長が長くなることが抑制される。
【0118】
実施形態において、前後方向において、磁石92の位置とスピンドル9の少なくとも一部の位置とは等しい。
【0119】
上記の構成では、前後方向において、磁石92の位置とスピンドル9の少なくとも一部の位置とが等しいので、スクリュードライバ1の全長が長くなることが抑制される。
【0120】
実施形態において、スクリュードライバ1は、スピンドル9の周囲に配置され、スピンドル9と一緒に前後方向に移動する移動部材91を備える。磁石92は、移動部材91に固定される。
【0121】
上記の構成では、スピンドル9と一緒に磁石92が前後方向に移動される。
【0122】
実施形態において、スクリュードライバ1は、スピンドル9と移動部材91との間に配置される第2ベアリングであるベアリング90と、ギヤハウジング3に対する移動部材91の回転を抑制する凸部91B及び凹部32Gを含む回り止め機構と、を備える。
【0123】
上記の構成では、移動部材91が回転しないので、磁気センサ94は、移動部材91に固定された磁石92を適正に検出することができる。また、ベアリング90により、スピンドル9は回転することができる。
【0124】
実施形態において、スクリュードライバ1は、スピンドル9の周囲に配置され、ボール73を介してスピンドル9に結合され、従動カム部72Eが設けられるクラッチカム72を備える。移動部材91は、クラッチカム72の周囲に配置される。ベアリング90は、クラッチカム72と移動部材91との間に配置される。
【0125】
上記の構成では、スピンドル9とクラッチカム72とベアリング90と磁石92が固定された移動部材91とが、一緒に前後方向に移動されるので、構造の複雑化が抑制される。
【0126】
実施形態において、スクリュードライバ1は、移動部材91を前後方向にガイドするガイド部として機能する凹部32Gを備える。
【0127】
上記の構成では、移動部材91は、前後方向に適正に移動することができる。
【0128】
実施形態において、駆動カム部71Dは、駆動ギヤ71に設けられる。
【0129】
上記の構成では、スクリュードライバ1の部品点数の増加が抑制される。
【0130】
実施形態において、スクリュードライバ1は、モータ6と、モータ6の前方側に配置され、モータ6により駆動される押し込みクラッチであるクラッチカム72と、クラッチカム72の前方側に配置され、クラッチカム72により駆動されるスピンドル9と、クラッチカム72の径方向外側に配置され、クラッチカム72が押し込まれたことを検出する押し込みセンサである磁気センサ74と、モータ6に給電するためのバッテリであるバッテリパック25と、を備える。
【0131】
上記の構成では、押し込み磁気センサである磁気センサ94が押し込みクラッチであるクラッチカム72の径方向外側に配置されるので、スクリュードライバ1の全長が長くなることが抑制される。
【0132】
なお、磁気センサ94は、クラッチカム72に対して直接固定されてもよいし、間接的に固定されてもよい。磁気センサ94がクラッチカム72に対して間接的に固定される場合には、別の1つ以上の部材を介して固定されることとなる。とにかく、磁気センサ94は、クラッチカム72の径方向外側に配置されていればよい。なお、磁気センサ94は、クラッチカム72の前端及び後端の間に配置されていることとなっている。
【0133】
[その他の実施形態]
図12は、変形例に係るスクリュードライバの要部を示す縦断面図である。
図12に示すように、磁気センサ94を含むモードセンサ基板93は、スピンドル前ベアリング48よりも前方に配置されてもよい。また、磁石92Aが、スピンドル前ベアリング48よりも前方に配置されてもよい。
【0134】
図13は、変形例に係るスクリュードライバの要部を示す縦断面図である。上述の実施形態においては、スピンドル9が支持シャフトを含むこととした。
図13に示すように、駆動ギヤ710は、スピンドル900とは異なる支持シャフト730に支持されてもよい。スピンドル900の少なくとも一部は、支持シャフト730よりも前方に配置される。また、クラッチカム720が駆動ギヤ710に結合されてもよい。支持シャフト730の後端部は、ベアリング620により回転可能に支持される。スピンドル900は、スピンドルベアリング480により回転可能に支持される。スピンドル900は、コンプレッションスプリング750により前方に付勢される。磁気センサ94を含むモードセンサ基板93は、ベアリング620よりも前方に配置される。磁気センサ94を含むモードセンサ基板93は、駆動ギヤ710よりも前方に配置されてもよい。
図13に示す例において、磁気センサ94を含むモードセンサ基板93は、支持シャフト730の径方向外側に配置される。磁石92Bは、スピンドル900の後端部の周囲に配置される。磁気センサ94は、磁石92Bを検出する。前後方向において、磁気センサ94の位置と支持シャフト730の少なくとも一部の位置とは等しい。また、前後方向において、磁石92Bの位置と支持シャフト730の少なくとも一部の位置とが等しくてもよい。
【0135】
上述の実施形態において、スピンドル9と磁石92とが前後方向に一緒に移動することとした。例えばスピンドル9の移動が開始された後に磁石92の移動が開始されてもよい。また、スピンドル9の移動距離と磁石92の移動距離とは、等しくてもよいし、異なってもよい。また、スピンドル9が後方に移動したときに、磁石92が前方に移動してもよい。磁石92は、スピンドル9と同期して移動すればよい。
【0136】
上述の実施形態において、押し込みクラッチであるクラッチカム72が押し込まれたことを検出する押し込みセンサは、磁石(92等)を検出する磁気センサ94(ホール素子)であることとした。押し込みセンサは、クラッチカム72が押し込まれたことを検出できればよく、磁気センサ94に限定されない。押し込みセンサとして、任意の非接触センサを使用することができる。また、押し込みセンサは、接触式スイッチでもよい。例えば、タクトスイッチのようなスイッチがクラッチカム72に押し込まれることにより、クラッチカム72が押し込まれたことが検出されてもよい。
【0137】
上述の実施形態において、スクリュードライバ1の電源は、バッテリパック25でなくてもよく、商用電源(交流電源)でもよい。
【符号の説明】
【0138】
1…スクリュードライバ、2…本体ハウジング、2A…凹部、2L…左側ハウジング、2R…右側ハウジング、2S…ねじ、3…ギヤハウジング、3S…ねじ、4…カバー、4A…第1カバー部、4B…第2カバー部、4C…第3カバー部、4D…第4カバー部、5…バッテリ装着部、6…モータ、7…ファン、8…動力伝達機構、8A…クラッチ機構、8B…スピンドルロック機構、9…スピンドル、9A…ロッド部、9B…ストッパ部、9C…ビット保持孔、9D…中空孔、9E…スピンドルボール溝、9F…貫通孔、10…工具保持機構、11…ロックリング、12…アジャストスリーブ、13…ゴムキャップ、14…トリガレバー、15…ロックボタン、16…正逆転切換レバー、17…ライト、18…スイッチプレート、18A…モード切換ボタン、19…ビット位置検出部、20…コントローラ、20A…回路基板、20B…ケース、21…モータ収容部、21A…凹部、22…ハンドル部、22A…グリップ部、22B…連結部、23…バッテリ保持部、24…連結部、25…バッテリパック、26…吸気口、27…排気口、29…スリーブ、30…ドライバビット、30A…凹部、31…後側ハウジング、31A…プレート部、31B…凹部、31C…筒部、31D…収容凹部、32…前側ハウジング、32A…プレート部、32B…筒状部、32G…凹部、33…ステータ、34…ロータ、35…ステータコア、36F…前側インシュレータ、36R…後側インシュレータ、37…コイル、38…短絡部材、39…コネクタ、39S…ねじ、40…ロータコア、41…ロータシャフト、42…ロータ磁石、43…回転センサ基板、43S…ねじ、44…ロータベアリング、45…ロータベアリング、46…サークリップ、47…ピニオンギヤ、48…スピンドル前ベアリング、49…ボール、50…リング、51…スプリング、52…Oリング、54…スイッチ、62…スピンドル後ベアリング(第1ベアリング)、63…オイルシール、71…駆動ギヤ、71A…リング部、71B…ギヤ部、71C…筒状部、71D…駆動カム部、72…クラッチカム、72A…支持リング部、72B…筒状部、72C…カムリング部、72D…カムボール溝、72E…従動カム部、73…ボール、75…コンプレッションスプリング、76…ワッシャ、77…ボール、80…ワンウェイニードルベアリング、90…ベアリング(第2ベアリング)、91…移動部材、91A…リング部、91B…凸部、92…磁石、92A…磁石、92B…磁石、93…モードセンサ基板、94…磁気センサ、95…樹脂層、96…リード線、480…スピンドルベアリング、620…ベアリング、710…駆動ギヤ、720…クラッチカム、730…支持シャフト、750…コンプレッションスプリング、900…スピンドル、AX…回転軸、CX…回転軸(第1回転軸)。