(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027581
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】カッター
(51)【国際特許分類】
B26B 27/00 20060101AFI20240222BHJP
B26B 3/08 20060101ALI20240222BHJP
B26B 13/22 20060101ALN20240222BHJP
【FI】
B26B27/00 E
B26B3/08
B26B13/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130479
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】中津 康宏
(72)【発明者】
【氏名】田畑 竜也
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 慎吾
【テーマコード(参考)】
3C061
3C065
【Fターム(参考)】
3C061AA26
3C061AA41
3C061BA03
3C061BA26
3C061EE03
3C061EE04
3C065GA01
(57)【要約】
【課題】オフィスや家庭等において好適に用いられるカッターにおいて、箱状の物体の辺に沿って切断する際の便を図る。
【解決手段】支持体であるケース2に刃部H1を支持させたカッターであるカッター機能付き鋏Sにおいて、ケース2が、刃部H1の進行方向を案内する案内手段Gを有し、この案内手段Gが、隣接する2つの面BXa、BXbにそれぞれ当接させることが可能な第一及び第二の案内面s1、s2を有する構成を採用する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に刃部を支持させたカッターであって、
前記支持体が、刃部の進行方向を案内する案内手段を有し、
この案内手段が、隣接する2つの面にそれぞれ当接させることが可能な第一及び第二の案内面を有するカッター。
【請求項2】
前記第一及び第二の案内面が直交するものである請求項1記載のカッター。
【請求項3】
前記第一及び第二の案内面が交わる線上ないし近傍に前記刃部が配されている請求項1記載のカッター。
【請求項4】
前記刃部が、前記支持体から突出した突出位置と、前記支持体内に没入した没入位置との間で移動可能である請求項1記載のカッター。
【請求項5】
前記支持体たるケースの内側面に、前記刃部を前記ケースに対して少なくとも前後方向に案内し得る案内部が設けられている請求項4記載のカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや家庭等において好適に用いられるカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状や箱状等をなす切断対象物を切断するためのカッターとして、種々のものが考えられてきている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このようなカッターを用いて段ボール箱を切断する、あるいは開口部をガムテープ等により封印した段ボール箱の封印を切断するにあたって、直方体状あるいは多角柱状に組んだ段ボール箱の辺に沿って切断する要望が存在する。
【0004】
しかして、従来のカッターによりそのような箇所を切断する際に、刃の進行方向が上述した段ボール箱の辺からずれることがある。
【0005】
このような問題は、段ボール箱に限らず、箱状の物体の辺に沿って切断する際には一般的に生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上に着目してなされたもので、箱状の物体の辺に沿って切断する際の便を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係るカッターは、支持体に刃部を支持させたものであって、前記支持体が、刃部の進行方向を案内する案内手段を有し、この案内手段が、隣接する2つの面にそれぞれ当接させることが可能な第一及び第二の案内面を有する。
【0009】
請求項2記載の発明に係るカッターは、前記第一及び第二の案内面が直交するものである請求項1記載のものである。
【0010】
請求項3記載の発明に係るカッターは、前記第一及び第二の案内面が交わる線上ないし近傍に前記刃部が配されているものである。
【0011】
請求項4記載の発明に係るカッターは、前記刃部が、前記支持体から突出した突出位置と、前記支持体内に没入した没入位置との間で移動可能な請求項1記載のものである。
【0012】
請求項5記載の発明に係るカッターは、前記支持体たるケースの内側面に、前記刃部を前記ケースに対して少なくとも前後方向に案内し得る案内部が設けられている請求項4記載のものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、箱状の物体の隣接する2つの面の境界を構成する辺に沿って切断する際に、案内手段の第一及び第二の案内面を隣接する2つの面にそれぞれ当接させることにより刃の進行方向を案内できるので、箱状の物体の隣接する2つの面の境界を構成する辺に沿って切断する際の便を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカッター機能付き鋏を示す全体斜視図。
【
図2】同実施形態に係るカッター機能付き鋏を示す右側面図。
【
図3】同実施形態に係るカッター機能付き鋏を示す平面図及び底面図。
【
図4】同実施形態に係るカッター機能付き鋏の他の使用態様を示す右側面図。
【
図5】同実施形態に係るカッター機能付き鋏の他の使用態様を示す右側面図。
【
図6】同実施形態に係るカッター機能付き鋏を示す分解斜視図。
【
図7】同実施形態に係るカッター機能付き鋏を示す分解斜視図。
【
図8】同実施形態に係るカッター機能付き鋏を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を、
図1~
図9を参照しつつ以下に述べる。
【0016】
本実施形態に係るカッター機能付き鋏Sは、支持体たるケースAに第一、第二の刃部H1、H2を有する鋏本体Bを支持させたものであり、本発明のカッターとして機能させることが可能である。
【0017】
このカッター機能付き鋏Sは、ケースAと、ケースAに支持された鋏本体Bとを備えてなる。
【0018】
鋏本体Bは、第一の刃部H1と第二の刃部H2とを開閉動作させて当該第一、第二の刃部H1、H2間に配された被切断物を鋏み切ることができる第一位置(P)と、第一の刃部H1における刃先部分H1aを第二の刃部H2における刃峰H2x側に露出させて前記刃先部分H1aをカッター刃として使用可能な第二位置(Q)と、ケースA内に第一、第二の刃部H1、H2が没入した第三位置(R)とを採り得るようにケースAに対して前後方向にスライド移動可能に構成されている。ここで、第二位置(Q)は、第一位置(P)よりも後に設定されており、第三位置(R)は、第二位置(Q)よりもさらに後に設定されている。なお、上述した第二位置(Q)が本発明の突出位置であり、第三位置(R)が本発明の没入位置である。また、上述した第一の刃部H1が本発明の刃部である。
【0019】
以下、鋏Sの各構成について詳述する。
【0020】
ケースAは、合成樹脂製のものである。ケースAは、左右の側壁a1と、左右の側壁a1の下端部間を繋ぐ下壁a2と、左右の側壁a1の後端部間を繋ぐ後壁a3と、左右の側壁a1の上端部間を繋ぐ前上壁a4及び後上壁a5とを備えている。ケースAの内部には、鋏本体Bの少なくとも後述する動刃操作部42の一部を含む部分を収容し得る収容空間spが形成されている。
【0021】
ケースAの前部には、前向きに開口し収容空間spと外部空間とを連通させた前開口部k1が形成されている。ケースAの上部には、上向きに開口し収容空間spと外部空間とを連通させた上開口部k2が形成されている。前開口部k1は、第一、第二の刃部H1、H2が通過し得るとともに鋏本体Bが第一位置(P)に位置する場合に、動刃体4が静刃体3に対して交差し得る(第一、第二の刃部H1、H2が開き得る)大きさに設定されている。上開口部k2は、前後方向に延びており、当該上開口部k2内において動刃操作部42が前後方向に移動し得るように前端部から後端部まで略同じ左右幅寸法に設定されている。上開口部k2は、動刃操作部42が前後方向に進退可能な大きさに設定されている。ケースAの後下端部には、紐等を挿し通すことができるようにするための孔k3が設けられている。
【0022】
ケースAは、略左右半割構造をなした左ケース部材1及び右ケース部材2を連結させてなるものである。
【0023】
なお、本実施形態の鋏Sは、鋏本体Bを左ケース部材1又は右ケース部材2の何れか一方の内側面に位置決めした後に、他方のケース部材を一方のケース部材に接合することにより作られている。
【0024】
次に、左ケース部材1について説明する。
【0025】
左ケース部材1の内側面には、鋏本体Bの動刃操作部42をケースAに対して前後方向及び上下方向に案内し得る案内部たる左の案内部11が設けられている。左の案内部11は、動刃操作部42に設けた左側の凸部e1が係合し得る凹溝状をなしている。左の案内部11は、前端部において第一位置(P)にある動刃操作部42を上下方向に案内し得るように上下方向に延びた上下方向案内部分11aと、上下方向案内部分11aの下端から下後方に向かって傾斜しつつ略直線状に延びた第一の前後方向案内部分11bと、第一の前後方向案内部分11bの後端から後方に向かって略直線状に延びた第二の前後方向案内部分11cとを備えている。第一の前後方向案内部分11bの後端部11beは、第二位置(Q)におけるケースAに対するロック又はロック解除を円滑に行うため、動刃操作部42の若干の上下動を許容し得るように他の部分よりも上下幅が広く設定されている。第二の前後方向案内部分11cの後端部11ceも、第三位置(R)におけるケースAに対するロック又はロック解除を円滑に行うため、動刃操作部42の若干の上下動を許容し得るように他の部分よりも上下幅が広く設定されている。そして、上下方向案内部分11aと第一の前後方向案内部分11bとの境界部の下縁には戻り止め11xを上方に突出させて設けており、鋏としての使用中に鋏本体Bが第一位置(P)から第二位置(Q)へ後退することの抑制を図っている。
【0026】
また、左ケース部材1は、内側面における左の案内部11よりも下の位置に、前後方向に直線状に延出した左ガイド溝12が設けられている。左ガイド溝12は、鋏本体Bの静刃操作部32に設けられた左の被ガイド突出部g1が係合し得る部位をなしている。左ガイド溝12に対して静刃操作部32に設けた左の被ガイド突出部g1が係合することにより、静刃体3がケースAに対して安定して前後方向にスライド移動し得るものとなっている。
【0027】
続いて、右ケース部材2について詳述する。
【0028】
右ケース部材2の内側面には、鋏本体Bの動刃操作部42をケースAに対して前後方向及び上下方向に案内し得る案内部たる右の案内部21が設けられている。右の案内部21は、動刃操作部42に設けた右側の凸部e2が係合し得る凹溝状をなしている。右の案内部21は、前端部において第一位置(P)にある動刃操作部42を上下方向に案内し得るように上下方向に延びた上下方向案内部分21aと、上下方向案内部分21aの下端から下後方に向かって傾斜しつつ略直線状に延びた第一の前後方向案内部分21bと、第一の前後方向案内部分21bの後端から後方に向かって略直線状に延びた第二の前後方向案内部分21cとを備えている。第一の前後方向案内部分21bの後端部21beは、第二位置(Q)におけるケースAに対するロック又はロック解除を円滑に行うため、動刃操作部42の若干の上下動を許容し得るように他の部分よりも上下幅が広く設定されている。第二の前後方向案内部分21cの後端部21ceも、第三位置(R)におけるケースAに対するロック又はロック解除を円滑に行うため、動刃操作部42の若干の上下動を許容し得るように他の部分よりも上下幅が広く設定されている。そして、上下方向案内部分21aと第一の前後方向案内部分21bとの境界部の下縁には戻り止め21xを上方に突出させて設けており、鋏としての使用中に鋏本体Bが第一位置(P)から第二位置(Q)へ後退することの抑制を図っている。なお、右の案内部21と左の案内部11とは、左右対称な形状を有している。すなわち、これら左、右の案内部11、21は、カッター機能付き鋏Sを側面視した場合に重なり合うように配置している。
【0029】
また、右ケース部材2は、内側面における右の案内部21よりも下の位置に、前後方向に直線状に延出した右ガイド溝22が設けられている。右ガイド溝22は、鋏本体Bの静刃操作部32に設けられた右の被ガイド突出部g2が係合し得る部位をなしている。右ガイド溝22に対して静刃操作部32に設けた右の被ガイド突出部g2が係合することにより、静刃体3がケースAに対して安定して前後方向にスライド移動し得るものとなっている。
【0030】
右ケース部材2には、後上壁a5を構成する部位の前端部分に、動刃操作部42の後端部にL字状に突設された後のロック用突起e3が係合し得る係合突起23が突設されている。この実施形態では、鋏本体Bが、第三位置(R)において後のロック用突起e3と係合突起23とが係合し得るものとなっている。後のロック用突起e3と係合突起23とが係合することにより、第三位置(R)における鋏本体Bの前方移動がロックされ得るものとなっている。
【0031】
また、このケースAは、カッター機能付き鋏Sを本発明のカッターとして使用する際、すなわち鋏本体を第二位置(Q)とした際に第一の刃部H1の進行方向を案内する案内手段Gを有する。この案内手段Gは、隣接する2つの面にそれぞれ当接させることが可能な第一及び第二の案内面s1、s2を有する。これら第一及び第二の案内面s1、s2は直交している。そして、鋏本体Bを第二位置(Q)に位置させた状態で、これら第一及び第二の案内面s1、s2が交わる線L0の近傍に第一の刃部H1が配されている。
【0032】
鋏本体Bは、第一の刃部H1を有した静刃体3と、この静刃体3に対して回転可能に支持され第二の刃部H2を有するとともに第二の刃部H2の後部に動刃操作部を有した動刃体4と、これら静刃体3及び動刃体4を回動自在に結合する枢支軸5と、第一、第二の刃部を開く方向に付勢する付勢部材たるコイルばね6とを備えたものである。
【0033】
静刃体3は、ケースAに対して前後方向にスライド移動可能に支持されたものである。静刃体3は、前部に第一の刃部H1を有してなる金属製の静刃部材31と、静刃部材31の後端部にインサート成形により装着された合成樹脂製の静刃操作部32とを備えている。
【0034】
静刃操作部32は、第一の刃部H1よりも後の位置に設けられている。静刃操作部32における下部の両側部には、ケースAに設けた左ガイド溝12及び右ガイド溝22に係合し得る左右の被ガイド突出部g1、g2が設けられている。
【0035】
動刃体4は、静刃体3に対して枢支部材5を介して相対回転可能に支持されている。動刃体4は、枢支部材5により枢着された静刃体3とともにケースAに対して前後方向にスライド移動可能に支持されている。動刃体4は、前部に第二の刃部H2を有してなる金属製の動刃部材41と、動刃部材41の後端部にインサート成形により装着された合成樹脂製の動刃操作部42とを備えている。
【0036】
動刃操作部42は、第二の刃部H2よりも後の位置に設けられている。動刃操作部42は、前後方向に延びたブロック状をなし上面を使用者の指が当接する当接面mとした動刃操作部本体42aと、動刃操作部本体42aにおける前端部の下部に突設されケースAに設けた左右の案内部11、21に係り合う左側の凸部e1及び右側の凸部e2と、動刃操作部本体42aにおける後端部から後方に向けてL字状に突設されケースAに設けた係合突起23に係合し得る後のロック用突起e3とを備えてなる。また、動刃操作部本体42aの上面には、手指を掛けるための指掛突起42a1が設けられている。
【0037】
静刃体3と動刃体4とは、第一、第二の刃部H1、H2の後部において枢支軸5により相対回転可能に連結されている。すなわち、静刃体3における第一の刃部H1と静刃操作部32の間部分と、動刃体4における第二の刃部H2と動刃操作部42の間の部分同士が、枢支軸5により枢着されている。
【0038】
コイルばね6は、枢支軸5よりも後に位置し、静刃体3と動刃体4との間に配設されている。コイルばね6は、下端部が静刃操作部32の前上部に(形成したリテーナ32xに)支持されており、上端部が動刃操作部42の前下部に(形成したリテーナ42xに)支持されている。コイルばね6は、常時、第一の刃部H1と第二の刃部H2とが開く方向すなわち互いに離反する方向に回動し得る付勢力を付与している。
【0039】
次いで、このカッター機能付き鋏Sの使用の態様及び各部の作用について述べる。
【0040】
このカッター機能付き鋏Sを鋏として使用する際には、動刃操作部42を介して鋏本体Bを前端の第一位置(P)まで移動させる。
【0041】
このとき、動刃操作部42の凸部e1、e2は左、右の案内部11、21の前端にそれぞれ係合している。より具体的には、外部から作用を加えていない状態では、凸部e1、e2は第一の前後方向案内部分11b、21bの前端かつ上下方向案内部分11a、21aの上端に係合している。
【0042】
その上で、動刃操作部42を静刃操作部32に接近させると、動刃操作部42の凸部e1、e2は鋏切断動作案内溝に摺接しつつ下方に移動し、第二の刃部H2は上方に移動する。
【0043】
そして、第二の刃部H2が切断対称である紙葉類に衝き当たると、第一の刃部H1と第二の刃部H2とにより切断対象の紙葉類が挟まれ、紙葉類が切断される。
【0044】
このカッター機能付き鋏Sをカッターとして使用する際には、動刃操作部42を介して鋏本体Bを中間の第二位置(Q)まで移動させる。
【0045】
このとき、動刃操作部42がコイルばね6に付勢され、左、右の被ガイド突出部g1、g2はそれぞれ左右の案内部11、21における第一の前後方向案内部分11b、21bの後端部11be、21beに係合する。この状態で、鋏本体Bは前後方向への移動が規制される。
【0046】
また、この状態では、第二の刃部H2の略全体が第一の刃部H1の刃幅(静刃体の刃幅w1)内に位置し、第一の刃部H1における刃先部分H1aを第二の刃部H2における刃峰H2x側に露出するので、第一の刃部H1における刃先部分H1aをカッター刃として使用可能となる。
【0047】
このカッター機能付き鋏Sは、直方体状の箱BXを辺BXeに沿って切断する際に、その辺BXeを構成する2つの面BXa、BXbに案内手段Gの第一及び第二の案内面s1、s2を当接させれば好適に切断できるように構成されている。詳述すれば、第一及び第二の案内面s1、s2をそれぞれ切断すべき辺BXeに隣接する面BXa、BXbに衝き当てた際には、第一及び第二の案内面s1、s2が交わるL0線の近傍に第一の刃部H1が配されているので、第一の刃部H1の刃線が切断すべき辺BXeないしその近傍に衝き当たるようになっている。
【0048】
一方、シート状の紙葉類を切断すべくこのカッター機能付き鋏Sをカッターとして使用する際には、ケースAの下壁a2と前開口部k1との境界近傍部、及び第一の刃部H1の刃先部分H1aを切断対象である紙葉類に衝き当てるようにする。
【0049】
そして、カッター機能付き鋏Sを使用しないときには、動刃操作部42を介して鋏本体Bを後端の第三位置(R)まで移動させる。
【0050】
このとき、動刃操作部42がコイルばね6に付勢され、左、右の被ガイド突出部g1、g2はそれぞれ左右の案内部11、21における第二の前後方向案内部分11c、21cの後端部11ce、21ceに係合する。この状態で、鋏本体Bは前方への移動が規制され、動刃操作部42の上部を除く鋏本体Bの略全体がケースAに収納された状態を保つ。
【0051】
なお、鋏本体Bを第二位置(Q)から他の位置に移動させる際には、動刃操作部42をスライドさせる操作に先立ち、動刃操作部42を下方に押圧し、左、右の被ガイド突出部g1、g2と左右の案内部11、21における第一の前後方向案内部分11b、21bの後端部11be、21beとの係合を解除させるようにしている。また、鋏本体Bを第三位置(R)から他の位置に移動させる際には、動刃操作部42をスライドさせる操作に先立ち、動刃操作部42を下方に押圧し、左、右の被ガイド突出部g1、g2と左右の案内部11、21における第二の前後方向案内部分11c、21cの後端部11ce、21ceとの係合を解除させるようにしている。
【0052】
ここで、
図1は、本実施形態のカッター機能付き鋏Sの鋏本体Bを第一位置(P)とし鋏として使用する態様を示す全体斜視図である。
図2は、同態様を示す右側面図である。
図3の(a)は同平面図であり、同図の(b)は同底面図である。
図4は、同カッター機能付き鋏Sの鋏本体Bを第二位置(Q)としカッターとして使用する態様を示す右側面図である。
図5は、同カッター機能付き鋏Sの鋏本体Bを第三位置(R)と鋏本体BをケースA内に収納する態様を示す右側面図である。なお、
図2、
図4及び
図5において、鋏本体BのうちケースAに収納されている部分、右ケース部材2の後部及び下部における外周部に形成されたリブ、及び右の案内部21を破線で示している。
図6は、同カッター機能付き鋏Sの右上方からの分解斜視図である。
図7は、同右下方からの分解斜視図である。
図8は、同左上方からの分解斜視図である。なお、
図6~
図8において、コイルばね6は省略して示している。
図9は、
図4におけるX-X線に沿った断面図である。
【0053】
以上に述べたように、本実施形態の構成によれば、箱BXの隣接する2つの面BXa、BXbの境界を構成する辺BXeに沿って切断する際に、前述したように、案内手段Gの第一及び第二の案内面s1、S2をこれら2つの面BXa、BXbにそれぞれ当接させることにより刃部H1の進行方向を案内できる。従って、本実施形態の構成により、箱BXの隣接する2つの面BXa、BXbの境界を構成する辺BXeに沿って切断する際の便を図ることができる。
【0054】
また、第一及び第二の案内面s1、s2が直交しているので、直方体状の箱BXや立方体状の箱の隣接する2つの面の境界を構成する辺、あるいは多角柱や円柱の底面または頂面と側面との境界を構成する辺に沿って切断する際に案内手段Gの第一及び第二の案内面s1、S2を隣接する2つの面にそれぞれ接させることにより刃部H1の進行方向を有効に案内できる。
【0055】
さらに、刃部H1が、ケースAから突出した突出位置すなわち第二位置(Q)と、ケースA内に没入した没入位置すなわち第三位置(R)との間で移動可能であるので、非使用時には刃部H1を第三位置(R)に移動させてケースA内に収納し、このようなカッター機能付き鋏Sの収納や運搬を安全に行うことができる。
【0056】
そして、ケースAの内側面に、刃部H1をケースAに対して少なくとも前後方向に案内し得る案内部11、21が設けられているので、比較的スペースに余裕があるケースA内の空間を利用して刃部H1を第一位置(P)、第二位置(Q)及び第三位置(R)間で移動させる際の案内を行うことができる。
【0057】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0058】
例えば、カッター機能付き鋏でなく、カッターとしての機能のみを有する文具に本発明を適用してももちろんよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、直方体状(あるいは立方体状)の箱の辺に沿って切断する際の便を図るべく、第一及び第二の案内面を直交させているが、第一及び第二の案内面がなす角度は任意に設定してよい。例えば、六角柱状の箱の互いに隣り合う側面の境界をなす辺に沿って切断する際の便を図るべく、第一及び第二の案内面がなす角度を120度に設定してもよい。
【0060】
加えて、第一及び第二の案内面が交わる線上ないし近傍に刃部を配するとなおよい。
【0061】
さらに、上述した実施形態では、刃部が、支持体(ケース)から突出した突出位置(第二位置)と、支持体(ケース)内に没入した没入位置(第三位置)との間で移動可能であるが、支持体とは別に、非使用時に刃部を被覆しておくカバーを利用する態様を採用してもよい。
【0062】
刃部が突出位置と没入位置との間で移動可能なものであっても、刃部の支持体に対する相対移動の方向を案内する案内部を設けるか否か、また、このような案内部を設ける場合の案内部の構成は任意である。
【0063】
そして、カッター機能付き鋏に本発明を適用する場合であっても、そのカッター機能付き鋏の構成は以下のようなものであってもよい。
【0064】
すなわち、上述した実施形態では、支持体がケースであり、カッターとして使用する際の(第一の)刃部を含む鋏本体をケース内部に収納可能にしているが、支持体は鋏本体の静刃操作部及び動刃操作部のみを保持するものとし、鋏本体は第一位置と第二位置との間でのみ相対移動可能なカッター機能付き鋏に本発明を適用してもよい。
【0065】
また、第一位置と第二位置との位置関係は任意に設定してよい。例えば、第二位置が第一位置よりも前方である、換言すれば、第一位置にある鋏本体を、動刃操作部から刃先に向かう側に移動させることにより第二位置とすることができるカッター機能付き鋏に本発明を適用してもよい。
【0066】
さらに、上述した実施形態では、第一、第二の刃部を開く方向に付勢する付勢部材とを備えているが、このような付勢部材を有しないカッター機能付き鋏に本発明を適用してもよい。
【0067】
加えて、上述した実施形態では、支持体(ケース)の内側面に、動刃操作部を支持体(ケース)に対して前後方向及び上下方向に案内し得る案内部が設けられているが、案内部は、鋏本体の支持体(ケース)に対する第一位置と第二位置との間の相対移動を案内可能かものであれば任意の構成を採用してもよい。例えば、上述した実施形態では、案内部が、動刃操作部に設けた凸部が係合し得る溝状をなしたものであるが、案内部が、動刃操作部に設けた凹部が係合し得る凸レール状をなしたものであるであってもよい。
【0068】
さらに、上述した実施形態では、案内部に案内させつつ鋏本体を第二位置に移動させると、動刃操作部が、第一の刃部の刃先部分を第二の刃部における刃峰側に露出させ得る位置となるが、例えば、案内部に案内させつつ鋏本体を所定の途中位置まで移動可能に構成し、別途設けた押しボタン等の操作部に操作力を加えることによりに第一の刃部の刃先部分が第二の刃部における刃峰側に移動し鋏本体が第二位置を取るような構成を採用してもよい。
【0069】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0070】
S…カッター(カッター機能付き鋏)
A…支持体(ケース)
H1…(第一の)刃部
G…案内手段
11、21…案内部
s1…第一の案内面
s2…第二の案内面
(Q)…突出位置(第二位置)
(R)…没入位置(第三位置)