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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027601
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】光学系及びカメラモジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20240222BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20240222BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240222BHJP
   G03B 17/17 20210101ALI20240222BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20240222BHJP
【FI】
G02B13/00
G03B5/00 J
G03B30/00
G03B17/17
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130518
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】321009166
【氏名又は名称】シャープセンシングテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 晃弘
【テーマコード(参考)】
2H087
2H101
2K005
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087MA07
2H087NA07
2H087PA04
2H087PA17
2H087PB04
2H087QA02
2H087QA05
2H087QA14
2H087QA22
2H087QA26
2H087QA33
2H087QA42
2H087QA46
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA34
2H087RA41
2H087RA43
2H087RA44
2H101FF00
2K005CA02
2K005CA04
2K005CA22
2K005CA23
2K005CA24
(57)【要約】
【課題】光学系及びカメラモジュールを小さく薄くする。
【解決手段】光学系は、第1レンズ群と、前記第1レンズ群より後段に配置される第2レンズ群と、前記第2レンズ群より後段に配置配置される第3レンズ群と、を備え、f:実焦点距離、f2:前記第2レンズ群の焦点距離、ih:最大像高、TTL:最も物体側に配置されるレンズの物体側の面から結像面までの距離、Fno:Fナンバー、d-OIS:光軸に垂直な方向への前記第2レンズ群の駆動距離の絶対値及びIms:前記光軸に垂直な方向への前記第2レンズ群の駆動によって生じる、像面上での前記光軸に垂直な方向への像の移動量の絶対値とした場合に、-6.0<f/f2<-2.0、ih/f<0.4、0.7<TTL/f<1.0、1.6<Fno<7.0及びImS/d-OIS>1.5を満足する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系であって、
2枚以上のレンズを備え、全体として正のパワーを有し、物体光を透過させる第1レンズ群と、
第1の少なくとも1枚のレンズを備え、全体として負のパワーを有し、前記第1レンズ群より後段に配置され、前記物体光を透過させる第2レンズ群と、
第2の少なくとも1枚のレンズを備え、全体として正のパワーを有し、前記第2レンズ群より後段に配置され、前記物体光を撮像部に集光する第3レンズ群と、
前記光学系の光軸に垂直な方向に前記第2レンズ群を駆動するレンズ駆動装置と、
を備え、
前記物体光を発する近距離物体へのフォーカシングにおいて、前記光軸に沿う方向における前記第3レンズ群と前記撮像部との間の距離が変化せず、
前記光軸に垂直な方向に前記第2レンズ群が駆動された場合に、前記光学系の像面上で前記光軸に垂直な方向に像が移動し、
f:前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群の全体の実焦点距離、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離、
ih:前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群の全体の最大像高、
TTL:前記2枚以上のレンズのうちの最も物体側に配置されるレンズの物体側の面から結像面までの距離、
Fno:前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群の全体のFナンバー、
d-OIS:前記光軸に垂直な方向への前記第2レンズ群の駆動距離の絶対値及び
Ims:前記光軸に垂直な方向への前記第2レンズ群の駆動によって生じる、前記像面上での前記光軸に垂直な方向への前記像の移動量の絶対値
とした場合に、
-6.0<f/f2<-2.0、
ih/f<0.4、
0.7<TTL/f<1.0、
1.6<Fno<7.0及び
ImS/d-OIS>1.5
を満足する光学系。
【請求項2】
前記2枚以上のレンズは、正のパワーを有する第1レンズと、負のパワーを有する第2レンズと、を含み、
前記第1の少なくとも1枚のレンズは、負のパワーを有する第3レンズを含み、
前記第2の少なくとも1枚のレンズは、正のパワーを有する第4レンズを含む
請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
a:前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群の全体の主点から前記近距離物体までの距離、及び
d-AF:無限遠から前記近距離物体へのフォーカシングのために必要な前記第2レンズ群の駆動距離
とした場合に、前記距離aが50mmと3000mmとの間である場合に、
a×d-AF/f<0.3(50<a<3000)
を満足する請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項4】
前記レンズ駆動装置は、ボイスコイルモータにより生成された駆動力により前記第2レンズ群を駆動する
請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項5】
前記レンズ駆動装置は、前記光軸と平行な方向に前記第2レンズ群を駆動し、
前記フォーカシングにおいて、前記光軸に沿う方向における前記第1レンズ群と前記撮像部との間の距離が変化しない
請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の光学系と、
前記撮像部と、
を備え、
前記撮像部は、前記物体光が集光される結像面を有し、前記物体光を光電変換する
カメラモジュール。
【請求項7】
前記第1レンズ群より前段に配置され、第1光軸に沿って進む物体光を反射して第2光軸に沿って進む物体光を生成する反射素子を備え、
前記光学系は、前記第2光軸に沿って進む物体光を前記結像面に集光する
請求項6に記載のカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学系及びカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、カメラモジュールを開示する。当該カメラモジュールは、複数の撮像レンズ、レンズバレル及びレンズ駆動装置を備える。複数の撮像レンズは、被写体像を形成する。レンズバレルは、複数の撮像レンズを保持する。レンズ駆動装置は、複数の撮像レンズ及びレンズバレルにより構成される光学部を光軸方向に駆動する。これにより、カメラモジュールは、オートフォーカス機能を発揮する(段落0052,0054及び0055)。したがって、当該カメラモジュールのフォーカシングは、複数の撮像レンズの一式を保持するレンズバレルを繰り出す全群繰り出し方式により行われる。
【0003】
特許文献2は、カメラモジュールを開示する。当該カメラモジュールは、撮像レンズ、レンズバレル及びレンズ駆動装置を備える。レンズバレルは、撮像レンズを収納する。レンズ駆動装置は、光軸に垂直な2軸方向に撮像レンズ及びレンズバレルを一体的に駆動する。これにより、当該カメラモジュールは、手振れ補正機能を実現する(段落0021,0022,0026)。したがって、当該カメラモジュールは、光学式手振れ補正(OIS;Optical Image Stabilization)機能を有する。当該カメラモジュールにおいては、光軸に垂直な方向に撮像レンズ及びレンズバレルを一体的に駆動することにより、像面上に形成される被写体像も光軸に垂直な方向に移動させることができる。このため、当該カメラモジュールにおいては、手振れに追随するように被写体像の位置を制御することにより、OIS機能を実現することができる。
【0004】
特許文献3は、低背折り畳み式カメラモジュールを開示する。当該低背折り畳みカメラモジュールは、レンズモジュール及びレンズアクチュエーションサブアセンブリを備える。レンズモジュールは、複数のレンズ素子を備える。複数のレンズ素子は、レンズモジュールの内部で保持される。レンズアクチュエーションサブアセンブリは、光軸に平行なZ軸に沿ってレンズモジュールを移動させる。これにより、AF機能が達成される。したがって、当該低背折り畳み式カメラモジュールのフォーカシングは、複数のレンズ素子を内部で保持するレンズモジュールを繰り出す全群繰り出し方式により行われる。レンズアクチュエーションサブアセンブリは、OISのためのYモーションも生成する。これにより、OIS性能が可能になる(段落0021,0070,0071,0100及び0101)。当該低背折り畳みカメラモジュールは、反射素子を備える。反射素子は、ミラー又はプリズムである。反射素子は、光を第1光路からレンズモジュールの光軸に収束する第2光路に反射する。当該低背折り畳みカメラモジュールがスマートフォンに含まれる場合は、反射素子は、光の伝搬方向をスマートフォンの裏面の垂直な方向から当該裏面に平行な方向に傾ける。これにより、スマートフォンの厚さを小さくすることができる(段落0005,0011,0069,0071及び0075)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5611533号公報
【特許文献2】特許第5329629号公報
【特許文献3】米国特許第10371928号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたカメラモジュールにおいては、レンズ駆動装置が全群繰り出し方式による繰り出しにおける繰り出し量だけレンズバレルを光軸方向に移動するための隙間が必要である。このため、カメラモジュールが大きくなり、カメラモジュールを小さく薄くすることが困難である。この問題は、カメラモジュールが大きな焦点距離を有する望遠レンズを備え大きな繰り出し量を有する場合に特に顕著になる。
【0007】
この問題を解決するために、特許文献3に開示された低背折り畳み式カメラモジュールと同様に、全群繰り出し方式によりフォーカシングを行うカメラモジュールに反射素子が備えられた場合は、撮像装置と反射素子との間に上述した隙間が必要になる。当該隙間においては、光線が広がる。光線の広がりは、カメラモジュールの画角に応じた大きさを有する。このため、反射素子が大きくなる。このため、カメラモジュールが大きくなり、カメラモジュールを小さく薄くすることが困難である。
【0008】
また、特許文献2に開示されたカメラモジュールにおいては、光軸に垂直な方向に撮像レンズを駆動する必要がある。カメラモジュールが大きな焦点距離を有する望遠レンズを備える場合は、光軸に垂直な方向への撮像レンズの駆動量を大きくすることが必要になる。このため、カメラモジュールが大きくなり、カメラモジュールを小さく薄くすることが困難である。
【0009】
本開示は、この問題に鑑みてなされた。本開示の一態様は、例えば、光学系及びカメラモジュールを小さく薄くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様の光学系は、2枚以上のレンズを備え、全体として正のパワーを有し、物体光を透過させる第1レンズ群と、第1の少なくとも1枚のレンズを備え、全体として負のパワーを有し、前記第1レンズ群より後段に配置され、前記物体光を透過させる第2レンズ群と、第2の少なくとも1枚のレンズを備え、全体として正のパワーを有し、前記第2レンズ群より後段に配置され、前記物体光を撮像部に集光する第3レンズ群と、前記光学系の光軸に垂直な方向に前記第2レンズ群を駆動するレンズ駆動装置と、を備え、前記物体光を発する近距離物体へのフォーカシングにおいて、前記光軸に沿う方向における前記第3レンズ群と前記撮像部との間の距離が変化せず、前記光軸に垂直な方向に前記第2レンズ群が駆動された場合に、前記光学系の像面上で前記光軸に垂直な方向に像が移動し、f:前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群の全体の実焦点距離、f2:前記第2レンズ群の焦点距離、ih:前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群の全体の最大像高、TTL:前記2枚以上のレンズのうちの最も物体側に配置されるレンズの物体側の面から結像面までの距離、Fno:前記第1レンズ群、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群の全体のFナンバー、d-OIS:前記光軸に垂直な方向への前記第2レンズ群の駆動距離の絶対値及びIms:前記光軸に垂直な方向への前記第2レンズ群の駆動によって生じる、前記像面上での前記光軸に垂直な方向への前記像の移動量の絶対値とした場合に、-6.0<f/f2<-2.0、ih/f<0.4、0.7<TTL/f<1.0、1.6<Fno<7.0及びImS/d-OIS>1.5を満足する。
【0011】
本開示の他の一態様のカメラモジュールは、本開示の一態様の光学系と、前記撮像部と、を備え、前記撮像部は、前記物体光が集光される結像面を有し、前記物体光を光電変換する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1のカメラモジュールを模式的に図示する斜視図である。
図2図1に描かれた切断線A-Aの位置における実施形態1のカメラモジュールの断面を模式的に図示する断面図である。
図3】実施形態1のカメラモジュールに備えられる制御系のブロック図である。
図4A】実施形態1のカメラモジュールに備えられる光学系の無限遠焦点時の構成図である。
図4B】実施形態1のカメラモジュールに備えられる光学系の500mmフォーカシング時の構成図である。
図5A】実施形態1のカメラモジュールに備えられる正位置時の光学系の構成図である。
図5B】実施形態1のカメラモジュールに備えられる光学系の手振れ補正時の構成図である。
図6A】実施形態2のカメラモジュールに備えられる光学系の無限遠焦点時の構成図である。
図6B】実施形態2のカメラモジュールに備えられる光学系の500mmフォーカシング時の構成図である。
図7A】実施形態2のカメラモジュールに備えられる光学系の正位置時の構成図である。
図7B】実施形態2のカメラモジュールに備えられる光学系の手振れ補正時の構成図である。
図8A】実施形態3のカメラモジュールに備えられる光学系の無限遠焦点時の構成図である。
図8B】実施形態3のカメラモジュールに備えられる光学系の500mmフォーカシング時の構成図である。
図9A】実施形態3のカメラモジュールに備えられる光学系の正位置時の構成図である。
図9B】実施形態3のカメラモジュールに備えられる光学系の手振れ補正時の構成図である。
図10】実施形態4のカメラモジュールに備えられる制御系のブロック図である。
図11】比較例1のカメラモジュールを模式的に図示する斜視図である。
図12図11に描かれた切断線B-Bの位置における比較例1のカメラモジュールの断面を模式的に図示する断面図である。
図13】比較例2のカメラモジュールを模式的に図示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
1 実施形態1
1.1 カメラモジュール
図1は、実施形態1のカメラモジュールを模式的に図示する斜視図である。図2は、実施形態1のカメラモジュールを模式的に図示する断面図である。図2は、図1に描かれた切断線A-Aの位置における断面を図示する。図2は、実施形態1のカメラモジュールの中央部を当該カメラモジュールの光軸方向に切断することにより得られる断面を図示する。
【0015】
図1及び図2に図示される実施形態1のカメラモジュール1は、物体により発せられる物体光を受け、受けた物体光に応じた電気信号を出力する。カメラモジュール1は、折り曲げ光学系を備える折り曲げ型カメラモジュールである。カメラモジュール1は、インナーフォーカス方式により物体へのフォーカシングを行う。カメラモジュール1は、光学式手振れ補正(OIS;Optical Image Stabilization)を行う。
【0016】
図1及び図2に図示されるように、カメラモジュール1は、反射素子101、光学系102、赤外線カットフィルタ103、撮像部104及び筐体105を備える。
【0017】
反射素子101は、最も物体側に配置される。反射素子101は、物体により発せられ第1光軸111に沿って進む物体光を反射して第2光軸112に沿って進む物体光を生成する。反射素子101は、生成した第2光軸112に沿って進む物体光を光学系102に向かわせる。したがって、反射素子101は、物体光を構成する光線の光路を折り曲げる。反射素子101が光線を折り曲げる角度、すなわち、第1光軸111と第2光軸112とがなす角度は、望ましくは、90°である。しかし、当該角度が90°以外の角度であってもよい。反射素子101は、望ましくは、高い加工精度を有するプリズムである。ただし、反射素子101が、プリズム以外の反射部材であってもよい。例えば、反射素子101が、反射板であってもよい。反射板は、鏡、ミラー等とも呼ばれる。
【0018】
反射素子101を備えるカメラモジュール1がスマートフォンに搭載された場合は、光軸方向を当該スマートフォンの裏面に垂直な方向から当該裏面に平行な方向に傾けることができる。このため、当該スマートフォンを薄くすることができる。
【0019】
光学系102は、反射素子101より後段に配置され、第2光軸112に沿って進む物体光を撮像部104の結像面104aに集光する。これにより、当該物体光が結像されて物体の像が結像面104aに形成される。
【0020】
赤外線カットフィルタ103は、光学系102より後段に配置され、撮像部104の結像面104aに集光される物体光から赤外線成分をカットする。赤外線カットフィルタ103は、結像面104aより前方に配置される。これにより、ゴミ等の異物が結像面104aに直接的に付着することを抑制することができる。これにより、結像面104aに集光される物体光が異物に遮られることを抑制することができる。これにより、カメラモジュール1から出力される画像信号についての画像が異物により劣化することを抑制することができる。
【0021】
撮像部104は、光学系102を経由した物体光が集光される結像面104aを有する。撮像部104は、集光された物体光を光電変換して物体光に応じた電気信号を出力するセンサである。出力される電気信号は、ソフトウェア処理されて画像に変換される。撮像部104は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS;Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、電荷結合素子(CCD;Charge Coupled Device)イメージセンサ等である。
【0022】
筐体105は、反射素子101、光学系102、赤外線カットフィルタ103及び撮像部104を直接的又は間接的に支持する。
【0023】
1.2 光学系
図2に図示されるように、光学系102は、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、開口絞りSt及びレンズ駆動装置121を備える。
【0024】
第1レンズ群G1は、物体光を受け、受けた物体光を透過させる。第1レンズ群G1は、2枚以上のレンズ131を備える。第1レンズ群G1は、全体として正のパワーを有する。
【0025】
第1レンズ群G1より前段には、反射素子101が配置される。このため、光学系102に伝達され第1レンズ群G1により受けられる物体光は、反射素子101により反射され第2光軸112に沿って進む物体光である。
【0026】
第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1より後段に配置され、第1レンズ群G1を透過した物体光を透過させる。第2レンズ群G2は、第1の少なくとも1枚のレンズ132を備える。第2レンズ群G2は、全体として負のパワーを有する。
【0027】
第3レンズ群G3は、第2レンズ群G2より後段に配置され、第2レンズ群G2を透過した物体光を透過させ、透過させた物体光を撮像部104に集光する。第3レンズ群G3は、第2の少なくとも1枚のレンズ133を備える。第3レンズ群G3は、全体として正のパワーを有する。
【0028】
第1レンズ群G1、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3は、光学系102、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3の光軸が第2光軸112に一致するように筐体105に直接的又は間接的に支持される。
【0029】
光学系102は、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3からなる3群のレンズ群を備える。光学系102が、4群以上のレンズ群を備えてもよい。
【0030】
開口絞りStは、光学系102に内包され、光学系102を透過する物体光の光線束を制限する。
【0031】
レンズ駆動装置121は、第2光軸112に平行な方向及び第2光軸112に垂直な方向に第2レンズ群G2を駆動する。レンズ駆動装置121は、ステッピングモータ、圧電素子、ボイスコイルモータ(VCM)等により発生させられた駆動力により第2レンズ群G2を駆動し、望ましくは、小型であり大きな駆動力を発生することができ低価格であるVCMにより発生させられた駆動力により第2レンズ群G2を駆動する。レンズ駆動装置121は、筐体105と第2レンズ群G2との間に配置される。
【0032】
第1レンズ群G1、第3レンズ群G3及び撮像部104は、筐体105に固定される。このため、無限遠より近い距離に位置し第1レンズ群G1により受けられる物体光を発する近距離物体へのフォーカシングにおいて、第2光軸112に沿う方向における第1レンズ群G1と撮像部104との間の距離及び第2光軸112に沿う方向における第3レンズ群G3と撮像部104との間の距離は変化しない。
【0033】
第2光軸112に平行な方向に第2レンズ群G2が駆動された場合は、第2光軸112に平行な方向にピント位置が移動する。このため、第2光軸112に平行な方向に第2レンズ群G2を駆動することにより、フォーカシングを行うことができる。また、第2光軸112に垂直な方向に第2レンズ群G2が駆動された場合は、光学系102の像面上で第2光軸112に垂直な方向に物体の像が移動する。このため、第2光軸112に垂直な方向に第2レンズ群G2を駆動することにより、OISを行うことができる。したがって、第2レンズ群G2のみを駆動することにより、フォーカシング及びOISを行うことができる。これにより、光学系102及びカメラモジュール1を小さく薄くすることができる。
【0034】
1.3 光学系が満足すべき条件式
f:第1レンズ群G1、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3の全体の実焦点距離、
f2:第2レンズ群G2の焦点距離、
ih:第1レンズ群G1、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3の全体の最大像高、
TTL:2枚以上のレンズ131のうちの最も物体側に配置されるレンズ141の物体側の面141aから結像面104aまでの距離、
Fno:第1レンズ群G1、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3の全体のFナンバー、
d-OIS:第2光軸112に垂直な方向への第2レンズ群G2の駆動距離の絶対値及び
Ims:第2光軸112に垂直な方向への第2レンズ群G2の駆動によって生じる、光学系102の像面上での第2光軸112に垂直な方向への像の移動量の絶対値
とした場合に、光学系102は、下記の条件式(11)から(15)までを満足する。
【0035】
-6.0<f/f2<-2.0 (11)
ih/f<0.4 (12)
0.7<TTL/f<1.0 (13)
1.6<Fno<7.0 (14)
ImS/d-OIS>1.5 (15)
【0036】
条件式(11)は、第2レンズ群G2の焦点距離f2に対する光学系102の焦点距離fの比の望ましい範囲を規定する。当該比が下限値の-6.0以下である場合は、第2レンズ群G2の屈折力が大きくなる。このため、近距離物体へのフォーカシング時の光学系102の収差の変動が大きくなる。特に、光学系102の像面湾曲及びコマ収差の変動が大きくなる。一方、当該比が上限値の-2.0以上である場合は、第2レンズ群G2の屈折力が小さくなる。このため、近距離物体へのフォーカシング時の第2レンズ群G2の移動量が大きくなる。これらのため、当該比が下限値の-6.0以下又は-2.0以上であることは、望ましくない。
【0037】
条件式(12)は、光学系102の35mm換算焦点距離を決める、光学系102の焦点距離fに対する最大像高ihの比の望ましい範囲を規定する。当該比が0.4より小さい場合は、光学系102の35mm換算焦点距離が50mm以上となる。このため、カメラモジュール1を備えるカメラが例えば35mm換算焦点距離が25mmのカメラと組み合わされることにより、2倍以上のズーム比率を実現することができる。
【0038】
条件式(13)は、光学系102のテレフォト比の望ましい範囲を規定する。当該テレフォト比が下限値の0.7以下である場合は、光学系102が小さくなる。しかし、光学系102の収差が大きくなる。また、近距離物体へのフォーカシング時の光学系102の収差の変動が大きくなる。特に、光学系102の像面湾曲の変動が大きくなる。一方、当該テレフォト比が上限値の1.0である場合は、光学系102が大きくなる。これらのため、当該テレフォト比が0.7以下又は1.0以上であることは、望ましくない。
【0039】
条件式(14)は、光学系102のFナンバーFnoを規定する。FナンバーFnoが下限値の1.6以下である場合は、光学系102の厚さが大きくなる。また、光学系102の球面収差及びコマ収差が大きくなる。一方、FナンバーFnoが上限値の7.0以上である場合は、光学系102が受けることができる光の光量が小さくなる。また、回折限界により光学系102の解像性能が低くなる。これらのことから、FナンバーFnoが1.6以下又は7.0以上であることは、望ましくない。
【0040】
条件式(15)は、第2光軸112に垂直な方向に第2レンズ群G2を駆動することにより実現される光学系102のOISの性能を決める、第2レンズ群G2の駆動距離の絶対値d-OISに対する像の移動量の絶対値ImSの比の望ましい範囲を規定する。当該比が1.5より大きい場合は、第2レンズ群G2のみを駆動する場合に像を移動させるために必要な第2レンズ群G2の駆動量が、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3の全体を駆動する場合に像を同じだけ移動させるために必要な第1レンズ群G1、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3の全体の駆動量より小さくなる。このため、OISを効率的に行うことができる。また、レンズ駆動装置121を小さくすることができる。
【0041】
したがって、光学系102が条件式(11)から(15)までを満足することにより、望ましい光学性能を有する光学系102及びカメラモジュール1を小さく薄くすることができる。
【0042】
1.4 レンズ群に備えられるレンズ
第1レンズ群G1に備えられる2枚以上のレンズ131は、正のパワーを有する第1レンズL1及び負のパワーを有する第2レンズL2を含む。第1レンズL1は、2枚以上のレンズ131において最も反射素子101の近傍に位置するレンズである。
【0043】
第2レンズ群G2に備えられる第1の少なくとも1枚のレンズ132は、負のパワーを有する第3レンズL3を含む。
【0044】
第3レンズ群G3に備えられる第2の少なくとも1枚のレンズ133は、正のパワーを有する第4レンズL4を含む。
【0045】
これらにより、光学系102及びカメラモジュール1を小さく薄くすることができる。
【0046】
光学系102の光学性能は、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の各レンズの構成により調整することができる。
【0047】
1.5 第1レンズ群及び第2レンズ群が満たすべき条件式
a:第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2の全体の主点から近距離物体までの距離、
d-AF:無限遠から近距離物体へのフォーカシングのために必要な第2レンズ群G2の駆動距離、及び
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
とした場合に、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2は、距離aが50mmと3000mmとの間である場合に、下記の条件式(16)を満足する。
【0048】
a×d-AF/f<0.3(50<a<3000) (16)
【0049】
条件式(16)は、フォーカシングを行うために必要となる第2レンズ群G2の駆動量を規定する。そして、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2が条件式(16)を満足することにより、第2レンズ群G2の駆動量を小さくすることができる。これにより、第2レンズ群G2を駆動するレンズ駆動装置121を簡素化することができる。
【0050】
1.6 光学式手振れ補正
図3は、実施形態1のカメラモジュールに備えられる制御系のブロック図である。
【0051】
図3に図示されるように、カメラモジュール1は、検出部151及びコントローラ152を備える。
【0052】
検出部151は、手振れの状態を検出し、検出した手振れの状態に応じた信号を出力する。検出部151は、角速度センサ、加速度センサ等である。
【0053】
コントローラ152は、出力された信号に基づいて、レンズ駆動装置121を制御する。コントローラ152は、OISを行うために、出力された信号に基づいて、レンズ駆動装置121に、第2光軸112に垂直な方向に第2レンズ群G2を駆動させる。OISを行うためのレンズ駆動装置121の制御には、既に知られている制御を採用することができる。
【0054】
また、コントローラ152は、フォーカシングを行うために、レンズ駆動装置121に、第2光軸112に平行な方向に第2レンズ群G2を駆動させる。
【0055】
第2レンズ群G2を駆動することに加えて第2レンズ群G2以外の要素を駆動することによりOISが行われてもよい。例えば、第2レンズ群G2を駆動することに加えて反射素子101、光学系102及び撮像部104の全部又は一部を駆動することによりOISが行われてもよい。
【0056】
反射素子101を駆動することによりOISが行われる場合は、例えば、任意の軸を回転軸として反射素子101を回動させることによりOISが行われる。この場合は、カメラモジュール1は、駆動部及び保持部材を備える。駆動部は、反射素子101を回動させるための駆動力を発生する。保持部材は、反射素子101を保持し、発生させられた駆動力を反射素子101に伝えて反射素子101を回動させる。駆動部は、例えば、反射素子101と筐体105との間に配置される。
【0057】
光学系102を駆動することによりOISが行われる場合は、例えば、任意の軸に平行に光学系102を移動させることによりOISが行われる。この場合は、この場合は、カメラモジュール1は、駆動部及び保持部材を備える。駆動部は、光学系102を移動させるための駆動力を発生する。保持部材は、光学系102を保持し、発生させられた駆動力を光学系102に伝えて光学系102を移動させる。
【0058】
撮像部104を駆動することによりOISが行われる場合は、例えば、任意の軸に平行に撮像部104を移動させることによりOISが行われる。この場合は、カメラモジュール1は、駆動部及び保持部材を備える。駆動部は、撮像部104を移動させるための駆動力を発生する。保持部材は、撮像部104を保持し、発生させられた駆動力を撮像部104に伝えて撮像部104を移動させる。駆動部は、例えば、撮像部104と筐体105との間に配置される。
【0059】
反射素子101、光学系102、撮像部104及び第2レンズ群G2のいずれの要素が駆動される場合でも、光学系102の像面上で第2光軸112に垂直な方向に物体の像を移動させることによりOISが行われる。このため、互いに異なる複数の駆動方向に複数の要素をそれぞれ回動又は移動させることによっても、OISを行うことができる。例えば、1軸を中心軸として反射素子101を回動させ、別の1軸に平行に第2レンズ群G2を移動させることによっても、OISを行うことができる。
【0060】
第2レンズ群G2を駆動することに加えて第2レンズ群G2以外の要素を駆動することによりOISが行われる場合は、第2レンズ群G2のみを駆動することによりOISが行われる場合と比較して、カメラモジュール1の構造が複雑になり、コントローラ152による制御が複雑になる可能性がある。このため、カメラモジュール1の生産コストが高くなる可能性がある。しかし、第2レンズ群G2を駆動することに加えて第2レンズ群G2以外の要素を駆動することによりOISが行われる場合は、カメラモジュール1を小さくすることができる可能性がある。例えば、1軸を中心軸として反射素子101を回動させ、別の1軸に平行に第2レンズ群G2を移動させることによりOISが行われる場合は、カメラモジュール1の厚さ方向についてのOISを、反射素子101を回動させることにより行うことができる。このため、カメラモジュール1の厚さ方向に第2レンズ群G2を駆動するのに必要なスペースを減らすることができる。このため、カメラモジュール1を小さくすることができる。
【0061】
1.7 構成図及びレンズデータ
図4A及び図4Bは、実施形態1のカメラモジュールに備えられる光学系の構成図である。図4Aは、無限遠焦点時の構成図である。図4Bは、500mmフォーカシング時の構成図である。
【0062】
図5A及び図5Bは、実施形態1のカメラモジュールに備えられる光学系の構成図である。図5Aは、正位置時の構成図である。図5Bは、手振れ補正時の構成図である。
【0063】
図4A図4B図5A及び図5Bに図示されるように、光学系102は、開口絞りSt、全体として正のパワーを有する第1レンズ群G1、全体として負のパワーを有する第2レンズ群G2及び全体として正のパワーを有する第3レンズ群G3からなる。光学系102においては、物体側から順に、開口絞りSt、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3が配列される。第1レンズ群G1は、正のパワーを有する第1レンズL1及び負のパワーを有する第2レンズL2からなる。第2レンズ群G2は、負のパワーを有する第3レンズL3からなる。第3レンズ群G3は、正のパワーを有する第4レンズL4からなる。
【0064】
図5Aに図示されるように、第2光軸112に垂直な方向に第2レンズ群G2が駆動されて第2レンズ群G2が0.26mm移動した場合は、光学系102の像面上で第2光軸112に垂直な方向に物体の像が0.4mm移動する。
【0065】
表1は、実施形態1のカメラモジュール1に備えられる光学系102のレンズデータを示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1においては、fは、光学系102の全系の焦点距離を示し、Fnoは、光学系102の全系のFナンバーを示し、ωは、光学系102の全系の半画角(度)を示し、ihは、光学系102の全系の最大像高を示し、TTLは、第1レンズ群G1に備えられる2枚以上のレンズ131のうちの最も反射素子101の近傍に位置するレンズ141の物体側の面141aから撮像部104までの距離を示す。また、iは、レンズ面の、物体側から数えた面番号を示し、rは、レンズ面の曲率半径を示し、tは、第2光軸112上のレンズ面間距離を示し、Ndは、d線に対する屈折率を示し、νdは、d線に対するアッベ数を示す。表1においては、非球面のレンズ面の面番号の後には、*(アスタリスク)が付加されている。
【0068】
非球面のレンズ面が有する非球面形状は、光軸方向の位置をzとし、光軸に直交する方向の高さをhとし、円錐形数をkとし、非球面係数をA4,A6,A8,A10及びA12とした場合に、式(1)により表される。この点については、下述する表2から表5までにおいても同様である。
【0069】
【数1】
【0070】
光学系102が表1に示されるレンズデータを有する場合は、光学系102の実焦点距離fが、23.0mmである。また、光学系102の35mm換算焦点距離が、約240mmである。このため、二眼カメラの望遠側のカメラがカメラモジュール1を備え、二眼カメラの広角側のカメラが35mm換算焦点距離が24mmである光学系を備えるカメラモジュールを備える場合は、二眼カメラのズーム比率を約10倍にすることができる。
【0071】
光学系102が表1に示されるレンズデータを有する場合は、実焦点距離fが、23mmである。また、焦点距離f2が、-5.87mmである。また、最大像高ihが、2.05mmである。また、距離TTLが、20.6mmである。また、FナンバーFnoが、4.4である。また、駆動距離の絶対値d-OISが0.26mmである場合に、移動量の絶対値Imsが0.40mmである。
【0072】
このため、光学系102は、上述した条件式(11)から(15)までを満足する。
【0073】
光学系102においては、第2レンズ群G2を像側に駆動することにより、無限遠撮影から近距離撮影までフォーカシングを行うことができる。光学系102が表1に示されるレンズデータを有する場合は、至近50cmの撮影距離へのフォーカシングを行うために必要な第2レンズ群G2の駆動量は、0.26mmである。この駆動量は、全群繰り出し方式により至近50cmの撮影距離へのフォーカシングを行うために必要なレンズ繰り出し量である1.1mmより小さい。
【0074】
また、光学系102においては、第2レンズ群G2を第2光軸112に垂直な方向に駆動することにより、像を移動させてOISを行うことができる。撮像部104が1/4.4型センサであり、光学系102の35mm換算焦点距離が240mmである場合は、振れ角1度の振れを補正するために必要な像の移動量は、0.40mmである。光学系102が表1に示されるレンズデータを有する場合は、振れ角1度の振れを補正するために必要な像の移動量0.40mmを実現するためには、第2レンズ群G2を0.26mm駆動すれば足りる。
【0075】
したがって、実施形態1においては、フォーカシングを行うために必要な第2レンズ群G2の駆動量を小さくすることができる。また、OISを行うために必要な第2レンズ群G2の駆動量を小さくすることができる。
【0076】
2 実施形態2
以下では、実施形態2が実施形態1と相違する点が説明される。説明されない点については、実施形態1において採用される構成と同様の構成が実施形態2においても採用される。
【0077】
図6A及び図6Bは、実施形態2のカメラモジュールに備えられる光学系の構成図である。図6Aは、無限遠焦点時の構成図である。図6Bは、500mmフォーカシング時の構成図である。
【0078】
図7A及び図7Bは、実施形態2のカメラモジュールに備えられる光学系の構成図である。図7Aは、正位置時の構成図である。図7Bは、手振れ補正時の構成図である。
【0079】
表2は、実施形態2のカメラモジュール1に備えられる光学系102のレンズデータを示す。
【0080】
【表2】
【0081】
光学系102が表2に示されるレンズデータを有する場合は、光学系102の実焦点距離fが、38.1mmである。また、光学系102の35mm換算焦点距離が、約400mmである。このため、二眼カメラの望遠側のカメラがカメラモジュール1を備え、二眼カメラの広角側のカメラが35mm換算焦点距離が24mmである光学系を備えるカメラモジュールを備える場合は、二眼カメラのズーム比率を約16.7倍にすることができる。
【0082】
光学系102が表2に示されるレンズデータを有する場合は、実焦点距離fが、38.1mmである。また、焦点距離f2が、-6.61mmである。また、最大像高ihが、2.05mmである。また、距離TTLが、31.6mmである。また、FナンバーFnoが、4.9である。また、駆動距離の絶対値d-OISが0.33mmである場合に、移動量の絶対値Imsが0.65mmである。
【0083】
このため、光学系102は、上述した条件式(11)から(15)までを満足する。
【0084】
光学系102においては、第2レンズ群G2を像側に駆動することにより、無限遠撮影から近距離撮影までフォーカシングを行うことができる。光学系102が表2に示されるレンズデータを有する場合は、至近1mの撮影距離へのフォーカシングを行うために必要な第2レンズ群G2の駆動量は、0.24mmである。この駆動量は、全群繰り出し方式により至近1mの撮影距離へのフォーカシングを行うために必要なレンズ繰り出し量である1.3mmより小さい。
【0085】
また、光学系102においては、第2レンズ群G2を第2光軸112に垂直な方向に駆動することにより、像を移動させてOISを行うことができる。撮像部104が1/4.4型センサであり、光学系102の35mm換算焦点距離が400mmである場合は、振れ角1度の振れを補正するために必要な像の移動量は、0.65mmである。光学系102が表2に示されるレンズデータを有する場合は、振れ角1度の振れを補正するために必要な像の移動量0.65mmを実現するためには、第2レンズ群G2を0.33mm駆動すれば足りる。
【0086】
したがって、実施形態1と同様に、実施形態2においても、フォーカシングを行うために必要な第2レンズ群G2の駆動量を小さくすることができる。また、OISを行うために必要な第2レンズ群G2の駆動量を小さくすることができる。
【0087】
3 実施形態3
以下では、実施形態3が実施形態1と相違する点が説明される。説明されない点については、実施形態1において採用される構成と同様の構成が実施形態3においても採用される。
【0088】
図8A及び図8Bは、実施形態3のカメラモジュールに備えられる光学系の構成図である。図8Aは、無限遠焦点時の構成図である。図8Bは、500mmフォーカシング時の構成図である。
【0089】
図9A及び図9Bは、実施形態3のカメラモジュールに備えられる光学系の構成図である。図9Aは、正位置時の構成図である。図9Bは、手振れ補正時の構成図である。
【0090】
表3は、実施形態3のカメラモジュール1に備えられる光学系102のレンズデータを示す。
【0091】
【表3】
【0092】
光学系102が表3に示されるレンズデータを有する場合は、光学系102の実焦点距離fが、23.0mmである。また、光学系102の35mm換算焦点距離が、約240mmである。このため、二眼カメラの望遠側のカメラがカメラモジュール1を備え、二眼カメラの広角側のカメラが35mm換算焦点距離が24mmである光学系を備えるカメラモジュールを備える場合は、二眼カメラのズーム比率を約10倍にすることができる。
【0093】
光学系102が表3に示されるレンズデータを有する場合は、実焦点距離fが、23.0mmである。また、焦点距離f2が、-7.12mmである。また、最大像高ihが、2.05mmである。また、距離TTLが、20.1mmである。また、FナンバーFnoが、4.3である。また、駆動距離の絶対値d-OISが0.26mmである場合に、像の移動量の絶対値Imsが0.40mmである。
【0094】
このため、光学系102は、上述した条件式(11)から(15)までを満足する。
【0095】
光学系102においては、第2レンズ群G2を像側に駆動することにより、無限遠撮影から近距離撮影までフォーカシングを行うことができる。光学系102が表3に示されるレンズデータを有する場合は、至近50cmの撮影距離へのフォーカシングを行うために必要な第2レンズ群G2の駆動量は、0.2mmである。この駆動量は、全群繰り出し方式により至近50cmの撮影距離へのフォーカシングを行うために必要なレンズ繰り出し量である1.1mmより小さい。
【0096】
また、光学系102においては、第2レンズ群G2を第2光軸112に垂直な方向に駆動することにより、像を移動させてOISを行うことができる。撮像部104が1/4.4型センサであり、光学系102の35mm換算焦点距離が240mmである場合は、振れ角1度の振れを補正するために必要な像の移動量は、0.40mmである。光学系102が表3に示されるレンズデータを有する場合は、振れ角1度の振れを補正するために必要な像の移動量0.40mmを実現するためには、第2レンズ群G2を0.26mm駆動すれば足りる。
【0097】
したがって、実施形態1と同様に、実施形態3においても、フォーカシングを行うために必要な第2レンズ群G2の駆動量を小さくすることができる。また、OISを行うために必要な第2レンズ群G2の駆動量を小さくすることができる。
【0098】
4 実施形態4
以下では、実施形態4が実施形態1と相違する点が説明される。説明されない点については、実施形態1において採用される構成と同様の構成が第4実施形態においても採用される。
【0099】
実施形態1においては、第2レンズ群G2を像側に駆動することにより、第2レンズ群G2を第1レンズ群G1に対して相対移動させて第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを離間させ、無限遠撮影から近距離撮影までフォーカシングを行う。しかし、第2レンズ群G2を駆動することなく、第1レンズ群G1を第2レンズ群G2に対して相対移動させて第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを離間させ、フォーカシングを行ってもよい。そこで、実施形態4においては、第1レンズ群G1を物体側に駆動することにより、第2レンズ群G2を第1レンズ群G1に対して相対移動させて第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを離間させ、フォーカシングを行う。
【0100】
図10は、実施形態4のカメラモジュールに備えられる制御系のブロック図である。
【0101】
図Bに図示されるように、実施形態4においては、光学系102は、レンズ駆動装置121に加えて、レンズ駆動装置122を備える。
【0102】
レンズ駆動装置121は、第2光軸112に垂直な方向のみに第2レンズ群G2を駆動する。レンズ駆動装置122は、第2光軸112に平行な方向のみに第1レンズ群G1を駆動する。以下では、前者のレンズ駆動装置121を第1レンズ駆動装置と呼び、後者のレンズ駆動装置122を第2レンズ駆動装置と呼ぶ。
【0103】
第2レンズ駆動装置122は、ステッピングモータ、圧電素子、VCM等により発生させられた駆動力により第1レンズ群G1を駆動し、望ましくは、VCMにより発生させられた駆動力により第1レンズ群G1を駆動する。
【0104】
第2光軸112に平行な方向に第1レンズ群G1が駆動された場合は、第2光軸112に平行な方向にピント位置が移動する。このため、第2光軸112に平行な方向に第1レンズ群G1を駆動することにより、フォーカシングを行うことができる。また、第2光軸112に垂直な方向に第2レンズ群G2が駆動された場合は、光学系102の像面上で第2光軸112に垂直な方向に物体の像が移動する。このため、第2光軸112に垂直な方向に第2レンズ群G2を駆動することにより、OISを行うことができる。
【0105】
近距離物体へのフォーカシングにおいて、第2光軸112に沿う方向における第2レンズ群G2と撮像部104との間の距離及び第2光軸112に沿う方向における第3レンズ群G3と撮像部104との間の距離は変化しない。
【0106】
第1レンズ群G1は、正のパワーを有する第1レンズL1及び負のパワーを有する第2レンズL2からなる。第2レンズ群G2は、負のパワーを有する第3レンズL3からなる。第3レンズ群G3は、正のパワーを有する第4レンズL4からなる。これにより、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3を備える光学系102及びカメラモジュール1を小さく薄くすることができる。
【0107】
上述した表1は、実施形態4のカメラモジュールに備えられる光学系のレンズデータも示す。
【0108】
光学系102においては、第1レンズ群G1を物体側に駆動することにより、無限遠撮影から近距離撮影までフォーカシングを行うことができる。光学系102が表1に示されるレンズデータを有する場合は、至近50cmの撮影距離へのフォーカシングを行うために必要な第1レンズ群G1の駆動量は、0.25mmである。この駆動量は、全群繰り出し方式により至近50cmの撮影距離へのフォーカシングを行うために必要なレンズ繰り出し量である1.1mmより小さい。
【0109】
また、光学系102においては、第2レンズ群G2を第2光軸112に垂直な方向に駆動することにより、像を移動させてOISを行うことができる。実施形態1と同様に、撮像部104が1/4.4型センサであり、光学系102の35mm換算焦点距離が240mmである場合は、振れ角1度の振れを補正するために必要な像の移動量は、0.40mmである。光学系102が表1に示されるレンズデータを有する場合は、振れ角1度の振れを補正するために必要な像の移動量0.40mmを実現するためには、第2レンズ群G2を0.26mm駆動すれば足りる。
【0110】
したがって、実施形態1と同様に、実施形態4においても、フォーカシングを行うために必要な第1レンズ群G1の駆動量を小さくすることができる。また、OISを行うために必要な第2レンズ群G2の駆動量を小さくすることができる。
【0111】
第2レンズ駆動装置122に第1レンズ群G1を駆動させることに加えて、又は第2レンズ駆動装置122に第1レンズ群G1を駆動させることに代えて、第1レンズ群G1より前段に配置される可変焦点レンズの焦点距離を変化させることにより、フォーカシングが行われてもよい。これにより、さらなる近接撮影が可能になる。可変焦点レンズは、液体レンズ、ポリマーレンズ等である。
【0112】
実施形態4においては、光学系102は、表1に示されるレンズデータを有する。しかし、光学系102が、表2又は表3に示されるレンズデータを有してもよい。
【0113】
5 比較例1
図11は、比較例1のカメラモジュールを模式的に図示する斜視図である。
【0114】
図11に図示される比較例1のカメラモジュール8は、ストレート光学系を備えるストレート型カメラモジュールである。カメラモジュール8は、全群繰り出し方式により物体へのフォーカシングを行う。
【0115】
図11に図示されるように、カメラモジュール8は、光学部801、レンズ駆動装置802及び撮像部803を備える。
【0116】
光学部801は、撮像光学系である。このため、光学部801は、被写体からの光を撮像部803へ導いて被写体像を形成する。光学部801は、レンズ駆動装置802の内部に保持される。
【0117】
レンズ駆動装置802は、光学部801を駆動する。
【0118】
撮像部803は、導かれてきた光を光電変換する。
【0119】
図11に図示されるように、撮像部803は、センサ部811及び基板812を備える。
【0120】
センサ部811は、基板812に実装される。基板812上には、センサ部811及びレンズ駆動装置802が記載された順序で光軸方向に積層される。以下では、光学部801側を上方という。また、撮像部803側を下方という。
【0121】
図12は、図11に描かれた切断線B-Bの位置における比較例1のカメラモジュールの断面を模式的に図示する断面図である。図12は、比較例1のカメラモジュールの中央部を当該カメラモジュールの光軸方向に切断することにより得られる断面を図示する。
【0122】
図12に図示されるように、光学部801は、複数の撮像レンズ821及びレンズバレル822を備える。図12には、複数の撮像レンズ821が3枚の撮像レンズである形態が図示される。
【0123】
レンズバレル822は、撮像レンズ821を保持する。レンズバレル822は、レンズ駆動装置802に固定される。撮像レンズ821の光軸は、レンズバレル822の軸心と一致する。
【0124】
レンズ駆動装置802は、VCMタイプの駆動装置である。このため、レンズ駆動装置802は、電磁力により光学部801を光軸方向に駆動する。これにより、レンズ駆動装置802は、光学部801を無限遠端からマクロ端までの区間内で撮像レンズ821を上下動させる。これにより、カメラモジュール8は、オートフォーカス機能を発揮する。カメラモジュール8においては、撮像レンズ821の一式を保持するレンズバレル822が繰り出される。このため、カメラモジュール8は、全群繰り出し方式により物体へのフォーカシングを行う。
【0125】
図12に図示されるように、レンズ駆動装置802は、可動部831及び固定部832を備える。
【0126】
可動部831は、撮像レンズ821が駆動される際に光軸方向に移動して撮像レンズ821を備える光学部801を光軸方向に移動させる。可動部831は、固定部832の内部に収容される。
【0127】
固定部832は、撮像レンズ821が駆動される際に移動しない。したがって、固定部832の位置は、撮像レンズ821が駆動される際に変動しない。
【0128】
図12に図示されるように、可動部831は、レンズホルダ841及びコイル842を備える。また、固定部832は、ヨーク851、永久磁石852、カバー853及びベース854を備える。
【0129】
コイル842は、レンズホルダ841の外周端部(フランジ部)に固定される。コイル842は、レンズホルダ841の外周端部から光入射側(開口853a側)に延設される。
【0130】
ベース854は、レンズ駆動装置802の底部を構成する。ベース854の裏面上には、センサ部811が配置される。ベース854の中央部には、開口854aが形成される。開口854aは、光路を確保するために形成される。
【0131】
ヨーク851は、筒状の部材である。ヨーク851は、レンズ駆動装置802の側面部を構成する。ヨーク851の内部には、可動部831が収容される。ヨーク851は、ベース854上に固定される。ヨーク851の上方には、カバー853が配置される。カバー853は、レンズ駆動装置802の上部を構成する。このため、カバー853は、レンズ駆動装置802の上部が持つ天面を有する。
【0132】
ヨーク851の内側面上には、永久磁石852からなる磁気回路が配置される。磁気回路は、コイル842と対向する。
【0133】
レンズ駆動装置802は、コイル842及び永久磁石852により発生させた電磁力により、撮像レンズ821を光軸方向に駆動する。レンズ駆動装置802は、永久磁石852により形成される磁場中にあるコイル842に電流を流すことにより発生する力により、撮像レンズ821及びレンズホルダ841を光軸方向に駆動する。
【0134】
図12に図示されるように、レンズ駆動装置802は、板バネ861及び板バネ862を備える。
【0135】
板バネ861及び板バネ862は、レンズホルダ841の上面(天面)及び下面(底面)上にそれぞれ配置される。板バネ861及び板バネ862は、レンズホルダ841を光軸方向に押圧する。板バネ861及び板バネ862は、弾性力により、レンズホルダ841が光軸方向に可動となるようにレンズホルダ841を補助的に支持する。板バネ861及び板バネ862の各板ばねは、渦巻き状の平面形状を有する。各板ばねの一端は、可動部831に固定される。各板ばねの他端は、固定部832に固定される。
【0136】
カメラモジュール8が組み立てられた状態においては、レンズホルダ841の底面に形成された突起871が、ベース854に当接する。また、板バネ861及び板バネ862の弾性力により、レンズホルダ841が下方向に付勢される。
【0137】
ストレート型カメラモジュールであるカメラモジュール8の厚さは、撮像レンズ821の先端からセンサ部811に備えられる撮像素子881の撮像素子面までの光学長と、撮像素子881、基板812等の厚さと、フォーカシングのための撮像レンズ821の全群繰り出し量と、により決まる。当該光学長に当該全群繰り出し量を加えた値は、光学全長と呼ばれる。
【0138】
一般的に、光学長は、光学部801の焦点距離に比例する。また、全群繰り出し量は、下記の式に示されるように、当該焦点距離の二乗に概ね比例する。
【0139】
1/a+1/b=1/f⇒b=af/(a-f)
d=b-f=f/(a-f)≒f/a(ただし、f≪a)
【0140】
ここで、aは、光学部801の主点から被写体までの距離である。また、bは、当該主点から結像面までの距離である。また、fは、光学部801の焦点距離である。dは、無限遠から、当該主点から距離aの位置へのフォーカシングのために必要な光学部801の全群繰り出し量である。
【0141】
ストレート型カメラモジュールであるカメラモジュール8には、主に、広角レンズが採用される。例えば、35mm換算焦点距離が約25mmである広角レンズが採用される。カメラモジュール8に35mm換算焦点距離が約25mmである広角レンズが採用され、撮像素子が1/2型センサである場合は、光学長は、5mmとなる。また、10cmの距離へのフォーカシングを行うために必要な全群繰り出し量は、上記の式によれば、約0.2mmである。
【0142】
近年においては、複数のカメラモジュールを備えるスマートフォン等の電子機器が登場している。電子機器が複数のカメラモジュールを備えることは、多眼レンズ搭載、多眼カメラ搭載等と呼ばれる。当該電子機器には、例えば、広角レンズを備えるカメラモジュールに加えて超広角レンズ又は望遠レンズを備えるカメラモジュールが搭載される。当該電子機器は、複数のカメラにより得られる画像にデジタル補正を行うことにより、電子機器がズームカメラを備えているような使い勝手を使用者に提供する。
【0143】
2眼カメラにおいてズーム比率を4倍とする場合は、広角側のカメラモジュールに備えられる広角レンズの35mm換算焦点距離を25mmとしたときに、望遠側のカメラモジュールに備えられる望遠レンズの35mm換算焦点距離を100mmとしなければならない。望遠側のカメラモジュールに備えられる撮像素子が1/2型センサである場合は、望遠レンズの35mm換算焦点距離を100mmとするためには、光学長が19mmとなる。また、全群繰り出し量が約4.2mmとなる。このため、望遠側のカメラモジュールは、同様に1/2型センサを備える広角側のカメラモジュールの厚さの約4倍以上の厚さを有する。この問題は、望遠側のカメラモジュールの厚さを小さくするために望遠側のカメラモジュールに備えられる撮像素子のサイズが小さくされても解消しない場合がある。例えば、望遠側のカメラモジュールに備えられる撮像素子が1/4型センサである場合でも、光学長が10mmとなる。また、全群繰り出し量が約1.2mmとなる。このため、望遠側のカメラモジュールは、1/2型センサを備える広角側のカメラモジュールの厚さの約2倍以上の厚さを有する。
【0144】
6 比較例2
図13は、比較例2のカメラモジュールを模式的に図示する斜視図である。
【0145】
図13に図示される比較例2のカメラモジュール9は、折り曲げ光学系を備える折り曲げ型カメラモジュールである。カメラモジュール9が折り曲げ型カメラモジュールであることにより、カメラモジュール9が望遠レンズを備える場合であっても、カメラモジュール9の厚さを小さくすることができる。
【0146】
図13に図示されるように、カメラモジュール9は、反射素子901を備える。反射素子901は、プリズム、ミラー等である。カメラモジュール9においては、反射素子901により、光軸方向を、カメラモジュール9を備えるスマートフォンの裏面に垂直な方向911から当該裏面に平行な方向912に傾けることができる。
【0147】
しかし、折り曲げ型カメラモジュールであるカメラモジュール9が全群繰り出し方式によりフォーカシングを行う場合は、レンズバレル902と反射素子901との間に、レンズ駆動装置によるレンズバレル902の全群繰り出し量以上の大きさを有する隙間が必要である。当該隙間においては、光線が広がる。光線の広がりは、カメラモジュール9の画角に応じた大きさを有する。このため、反射素子901が大きくなる。このため、カメラモジュール9が大きくなり、カメラモジュール9を小さく薄くすることが困難である。
【0148】
また、カメラモジュール9が大きな全群繰り出し量を有するレンズ駆動装置を備える場合は、カメラモジュール9が大きくなる。このことからも、カメラモジュール9を小さく薄くすることが困難である。
【0149】
また、レンズ駆動装置が大きな全群繰り出し量を有するようにするためにレンズ駆動装置が大きくなった場合は、レンズ駆動装置の消費電力が大きくなる。このため、カメラモジュール9を搭載する電子機器の電池持続期間が短くなり、当該電子機器を小さくすることが困難になり、当該電子機器に搭載される電池のコストにも影響を与える。
【0150】
VCMタイプのレンズ駆動装置においては、当該レンズ駆動装置を備えるカメラモジュールがストレート型及び折り曲げ型のいずれの場合でも、当該レンズ駆動装置に備えられる可動部がばねにより支持されることが多い。当該ばねの反発力は、当該カメラモジュールに備えられる撮像光学系の焦点距離及び全群繰り出し量が大きくなるほど大きくしなければならない。このため、当該レンズ駆動装置が発生しなければならない推力も、当該撮像光学系の焦点距離及び全群繰り出し量が大きくなるほど大きくしなければならない。また、当該撮像光学系の焦点距離及び全群繰り出し量が大きくなるほど、ばねの変形量が大きくなり、ばねに与えられる歪が大きくなる。ばねに与えられる歪が大きくなった場合は、光軸に対するレンズ駆動装置の動作軸の傾きが誘発され、誘発された傾きにより撮像される画像の画質が低下する。
【0151】
7 比較例1及び2のカメラモジュールに対する実施形態1-3のカメラモジュールの優位性
実施例1-3のカメラモジュール1に備える光学系102が上述した構成を備えることにより、カメラモジュール1及びそれに備えられる光学系102を小さく薄くすることができ、比較例1のカメラモジュール8及び比較例2のカメラモジュール9が有する上記の問題を解決することができる。
【0152】
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0153】
1 カメラモジュール、8 カメラモジュール、9 カメラモジュール、101 反射素子、102 光学系、103 赤外線カットフィルタ、104 撮像部、104a 結像面、105 筐体、111 第1光軸、112 第2光軸、G1 第1レンズ群、G2 第2レンズ群、G3 第3レンズ群、St 開口絞り、121 レンズ駆動装置、131 2枚以上のレンズ、132 第1の少なくとも1枚のレンズ、133 第2の少なくとも1枚のレンズ、141 最も物体側に配置されるレンズ、141a 面、L1 第1レンズ、L2 第2レンズ、L3 第3レンズ、L4 第4レンズ、121 レンズ駆動装置、122 レンズ駆動装置、151 検出部、152 コントローラ、801 光学部、802 レンズ駆動装置、803 撮像部、811 センサ部、812 基板、821 撮像レンズ、822 レンズバレル、831 可動部、832 固定部、841 レンズホルダ、842 コイル、851 ヨーク、852 永久磁石、853 カバー、853a 開口、854 ベース、854a 開口、861 板バネ、862 板バネ、871 突起、901 反射素子、902 レンズバレル、911 裏面に垂直な方向、912 裏面に平行な方向。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13