(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027615
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】固定具
(51)【国際特許分類】
F16B 5/10 20060101AFI20240222BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20240222BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20240222BHJP
F16B 37/04 20060101ALI20240222BHJP
F16B 39/24 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F16B5/10 L
F16B5/02 B
F16B7/18 C
F16B37/04 K
F16B37/04 J
F16B39/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130545
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】荒木 康祐
【テーマコード(参考)】
3J001
3J034
3J039
【Fターム(参考)】
3J001FA18
3J001GA02
3J001GB01
3J001GC09
3J001GC14
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA10
3J001KA19
3J001KB04
3J034AA07
3J034BA05
3J034CA03
3J034DA04
3J039AA06
3J039BB03
3J039GA07
(57)【要約】
【課題】チャンネル部材と他の部材とを固定する時の作業性が良い固定具の実現を実現する。
【解決手段】固定具10は、チャンネル部材20の外側からチャンネル部材20のリップ部25に当接する外側挟持部材40と、チャンネル部材20の内側からリップ部25に当接する内側挟持部材50と、ボルト部材30と、内側挟持部材50とチャンネル部材20の内側面24とに当接してチャンネル部材20に対するボルト部材30の回転軸周りの内側挟持部材50の回転を規制する回転止め部材70と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リップ部を有するチャンネル部材と他の部材とを固定するための固定具であって、
ボルト挿通部を有し、前記チャンネル部材の外側から前記リップ部に当接する外側挟持部材と、
ボルト挿通部を有し、前記チャンネル部材の内側から前記リップ部に当接する内側挟持部材と、
前記外側挟持部材の前記ボルト挿通部及び前記内側挟持部材の前記ボルト挿通部に挿通されるボルト部材と、
前記内側挟持部材と前記チャンネル部材の内側面とに当接して前記チャンネル部材に対する前記ボルト部材の回転軸周りの前記内側挟持部材の回転を規制する回転止め部材と、を備える、固定具。
【請求項2】
前記回転止め部材は、前記内側挟持部材から当該内側挟持部材の長手方向の外側に突出した突出部を有し、前記突出部が変形した状態で前記チャンネル部材の前記内側面に当接する、請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記回転軸に沿う方向における前記外側挟持部材に対する前記ボルト部材の相対移動を規制するボルト保持部材を備える、請求項1又は2に記載の固定具。
【請求項4】
前記外側挟持部材における前記内側挟持部材とは反対側の面に凹状の段落とし部が設けられ、前記段落とし部に前記ボルト保持部材が保持されている、請求項3に記載の固定具。
【請求項5】
前記内側挟持部材の前記ボルト挿通部は、前記ボルト部材が螺合するナット部である、請求項1又は2に記載の固定具。
【請求項6】
前記内側挟持部材は、対向する一対の前記リップ部の間から前記チャンネル部材の内側に挿入可能な第1姿勢から、前記内側挟持部材の両方の端部が前記チャンネル部材の内側で一対の前記リップ部に当接可能な第2姿勢に、前記ボルト部材の締結方向である前記回転軸周りの一方向に回転することで姿勢が変更される、請求項1又は2に記載の固定具。
【請求項7】
前記内側挟持部材は金属製であって、前記第2姿勢において、前記内側挟持部材の前記端部が前記チャンネル部材の前記内側面に当接することにより、前記チャンネル部材に対し前記内側挟持部材が前記回転軸周りの一方向に回転することが規制され、
前記回転止め部材は、前記内側挟持部材から当該内側挟持部材の長手方向の外側に突出した突出部を有し、前記第2姿勢において、前記突出部が弾性変形した状態で前記チャンネル部材の前記内側面に当接することにより、前記チャンネル部材に対し前記内側挟持部材が前記回転軸周りの他方向に回転することが規制される、請求項6に記載の固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンネル部材を固定する固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
リップ部を有するチャンネル部材と他の部材とを固定するための固定具の一例が特許文献1に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に付す符号は、特許文献1のものである。特許文献1には、C型チャンネル部材であるレール(1)と電気器具(13)のフランジとをボルト(14)で締結するための取付けナットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、取付けナットは、レール(1)のリップ部を挟み込むナット(9)と弾性体(3)とを備えることによりレール(1)に取り付けられる。しかし、ボルト(14)により固定する前に、レール(1)内で弾性体(3)が外れたり、ボルト(14)の回転に伴ってナット(9)が連れ回ったりする虞があり、作業性が悪いという問題点があった。
【0005】
そこで、チャンネル部材と他の部材とを固定する時の作業性が良い固定具の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた固定具は、リップ部を有するチャンネル部材と他の部材とを固定するための固定具であって、ボルト挿通部を有し、前記チャンネル部材の外側から前記リップ部に当接する外側挟持部材と、ボルト挿通部を有し、前記チャンネル部材の内側から前記リップ部に当接する内側挟持部材と、前記外側挟持部材の前記ボルト挿通部及び前記内側挟持部材の前記ボルト挿通部に挿通されるボルト部材と、前記内側挟持部材と前記チャンネル部材の内側面とに当接して前記チャンネル部材に対する前記ボルト部材の回転軸周りの前記内側挟持部材の回転を規制する回転止め部材と、を備える。
【0007】
この構成によれば、回転止め部材によりチャンネル部材の内側で内側挟持部材が回転することを規制できる。このため、ボルト部材を締結してチャンネル部材と他の部材とを固定する前に、チャンネル部材から固定具を外れにくくすることができ、チャンネル部材と他の部材とを固定する時の作業性が向上する。
【0008】
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0009】
一態様として、前記回転止め部材は、前記内側挟持部材から当該内側挟持部材の長手方向の外側に突出した突出部を有し、前記突出部が変形した状態で前記チャンネル部材の前記内側面に当接することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、変形した突出部とチャンネル部材の内側面との摩擦力により内側挟持部材の回転を規制することができる。このため、チャンネル部材から固定具を外れにくくできる。
【0011】
一態様として、前記回転軸に沿う方向における前記外側挟持部材に対する前記ボルト部材の相対移動を規制するボルト保持部材を備えることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ボルト保持部材によりチャンネル部材の外側にボルト部材が十分に突き出した状態を維持できるので、チャンネル部材と他の部材とを固定する時の作業性が向上する。
【0013】
一態様として、前記外側挟持部材における前記内側挟持部材とは反対側の面に凹状の段落とし部が設けられ、前記段落とし部に前記ボルト保持部材が保持されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、外側挟持部材からのボルト保持部材のはみ出しを小さく抑えることができるので、チャンネル部材に当接する外側挟持部材と他の部材との締結後の隙間を小さくすることができる。
【0015】
一態様として、内側挟持部材の前記ボルト挿通部は、前記ボルト部材が螺合するナット部であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、簡単な構造で内側挟持部材にボルト部材を固定させることができる。このため、内側挟持部材とボルト部材とを連動してボルト部材の回転軸周りに回転させることができ、チャンネル部材内に内側挟持部材を正しい姿勢で配置する作業が容易となる。また、内側挟持部材からボルト部材を外す作業も容易となる。
【0017】
一態様として、前記内側挟持部材は、対向する一対の前記リップ部の間から前記チャンネル部材の内側に挿入可能な第1姿勢から、前記内側挟持部材の両方の端部が前記チャンネル部材の内側で一対の前記リップ部に当接可能な第2姿勢に、前記ボルト部材の締結方向である前記回転軸周りの一方向に回転することで姿勢が変更されることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、チャンネル部材の内側に内側挟持部材を挿入する作業が容易となる。また、チャンネル部材の内側で内側挟持部材をリップ部に当接可能な姿勢に変化させる作業が容易となる。
【0019】
一態様として、前記内側挟持部材は金属製であって、前記第2姿勢において、前記内側挟持部材の前記端部が前記チャンネル部材の前記内側面に当接することにより、前記チャンネル部材に対し前記内側挟持部材が前記回転軸周りの一方向に回転することが規制され、前記回転止め部材は、前記内側挟持部材から当該内側挟持部材の長手方向の外側に突出した突出部を有し、前記第2姿勢において、前記突出部が弾性変形した状態で前記チャンネル部材の前記内側面に当接することにより、前記チャンネル部材に対し前記内側挟持部材が前記回転軸周りの他方向に回転することが規制されることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、ボルト部材の締結方向である一方向への内側挟持部材の回転は、金属製の前記内側挟持部材の端部により規制され、回転軸周りの他方向への内側挟持部材の回転は、弾性変形した突出部の弾性復元力により規制される。このため、チャンネル部材と他の部材とを固定する時には内側挟持部材の回転をより確実に規制しつつ、必要な場合にはより大きな外力を加えて内側挟持部材を回転軸周りの他方向へ回転させてチャンネル部材から固定具を取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】
図1の固定具であって第1姿勢の状態を示す斜視図
【
図4】
図1の内側挟持部材の第1姿勢及び第2姿勢を示す上面図
【
図5】
図1の内側挟持部材及び回転止め部材の第1姿勢を示す上面図
【
図6】
図1の内側挟持部材及び回転止め部材の第2姿勢を示す上面図
【
図7】第2の実施形態に係る固定具の回転止め部材を示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1の実施形態〕
以下では、第1の実施形態に係る固定具10について、図面を参照して説明する。
図1は、固定具10の正面図である。固定具10は、リップ部25を有するチャンネル部材20と他の部材15とを固定するためのものである。固定具10は、ボルト部材30を備えている。このボルト部材30と、それに螺合するナット16とを締結することにより、チャンネル部材20と他の部材15とが固定される。他の部材15としては、例えば、形鋼、天井スラブ、梁、柱、壁面等の構造体や、アングル材、他のチャンネル部材が挙げられる。本実施形態では、固定具10は、チャンネル部材20と他の部材15としての他のチャンネル部材とが交差状態で連結されるように、チャンネル部材20と他の部材15とを固定する。チャンネル部材20の向きは特に限定されないが、図示の例では、回転軸Xに沿う方向Zが鉛直方向であり、チャンネル部材20のリップ部25が、鉛直方向の上側を向く状態で他の部材15にナット16とボルト部材30とにより締結されている。本実施形態では、回転軸X周りの一方向X1がボルト部材30の締結方向である。
【0023】
リップ部25を有するチャンネル部材20としては、例えば断面C字型の金属部材が挙げられる。チャンネル部材20は、底板21と、底板21から立設された一対の側壁22とを有する。リップ部25は一対設けられ、一対の側壁22のそれぞれの上端から連続して内向きに延びている。以下では、チャンネル部材20の長手方向を「延在方向L」とし、底板21に沿って延在方向Lに直交する方向を「幅方向W」とする。また、側壁22におけるチャンネル部材20の外側を向く面を外側面23とし、チャンネル部材20の内側を向く面を内側面24とする。一対のリップ部25は、それぞれの先端側がチャンネル部材20の内側に向かってやや傾斜する状態で、幅方向Wに向かい合うように設けられている。
【0024】
図2は、固定具10を分解して示す斜視図である。固定具10は、ボルト挿通部41を有し、チャンネル部材20の外側からリップ部25に当接する外側挟持部材40を備えている。本実施形態では、外側挟持部材40のボルト挿通部41は通し穴である。また、本実施形態では、外側挟持部材40は、チャンネル部材20に対してボルト部材30の回転軸X周りに相対回転不能となるように設けられた回転防止壁部42を備えている。図示の例では、回転防止壁部42は、外側挟持部材40の両側端からそれぞれチャンネル部材20の外側面23に対向するように折り曲げられた一対の側壁である。また、本実施形態では、外側挟持部材40は、対向する一対のリップ部25の間に位置するように外側挟持部材40の側端から折り曲げられた側壁であるリップ間壁部43を有している。本実施形態では、外側挟持部材40は矩形の天板44を備え、天板44の4辺のうち対向する2辺に回転防止壁部42が設けられ、残る2辺にリップ間壁部43が設けられている。外側挟持部材40は金属製であることが望ましい。
【0025】
本実施形態では、固定具10は、回転軸Xに沿う方向における外側挟持部材40に対するボルト部材30の相対移動を規制するボルト保持部材60を備えている。また、本実施形態では、外側挟持部材40における内側挟持部材50とは反対側の面に凹状の段落とし部45が設けられ、段落とし部45にボルト保持部材60が保持されている。
【0026】
本実施形態では、ボルト保持部材60は少なくとも一対の係止爪部63を有する。この一対の係止爪部63が、段落とし部45に設けられた係合孔46に挿通されることにより、ボルト保持部材60が外側挟持部材40に係止される。図示の例では、ボルト保持部材60は二対の係止爪部63を有し、係合孔46は段落とし部45に回転軸Xを中心として相対するように2個設けられている。これにより、ボルト保持部材60が外側挟持部材40に固定される。
【0027】
また、本実施形態では、ボルト保持部材60は平板状であって、ボルト部材30のねじ山の径より大きい貫通孔であるボルト挿通部61と、一対の規制爪部62を有する。この一対の規制爪部62の間の間隔は、ねじ山の径より狭くされている。このため、回転軸Xに沿う方向における外側挟持部材40に対するボルト部材30の相対移動が規制される。好適には、一対の規制爪部62の間の間隔はボルト部材30のねじの谷の径より大きい。ボルト保持部材60は樹脂プレート製であることが望ましい。
【0028】
固定具10は、ボルト挿通部51を有し、チャンネル部材20の内側からリップ部25に当接する内側挟持部材50を備えている。本実施形態では、内側挟持部材50は、ボルト部材30と連動して回転軸X周りに回転するように構成されている。また、本実施形態では、内側挟持部材50は、回転軸Xに沿う方向Zのボルト部材30の移動を規制するように構成されている。図示の例では、内側挟持部材50のボルト挿通部51は、ボルト部材30が螺合するナット部である。これにより、内側挟持部材50とボルト部材30とを固定でき、内側挟持部材50を回転軸X周りにボルト部材30と連動して回転させることができる。また、内側挟持部材50に対し回転軸Xに沿う方向Zのボルト部材30の移動を規制できる。なお、内側挟持部材50は金属製であることが望ましい。
【0029】
ボルト部材30は、外側挟持部材40のボルト挿通部41及び内側挟持部材50のボルト挿通部51に挿通される。ボルト部材30としては、頭部を有するボルトや全ねじボルト、両ねじボルトが例として挙げられる。また、例えば、ボルト部材30と内側挟持部材50とが一体の部材であっても良い。本実施形態では、ボルト部材30は頭部31とねじ部32とを有する六角ボルトである。また、ボルト部材30の頭部31は、内側挟持部材50に対し外側挟持部材40と反対側に位置している。
図3は、固定具10の内側挟持部材50をチャンネル部材20に挿入する様子を示す斜視図である。ボルト部材30の頭部31の外径は、対向する一対のリップ部25の間隔よりも小さいことが望ましい。
【0030】
図4は内側挟持部材50の上面図であって、内側挟持部材50をチャンネル部材20に挿入した後に第1姿勢P1から第2姿勢P2に姿勢を変更した様子を示す図である。
図4では、ボルト部材30、外側挟持部材40、ボルト保持部材60、回転止め部材70は省略されている。本実施形態では、内側挟持部材50が、対向する一対のリップ部25の間からチャンネル部材20の内側に挿入可能な第1姿勢P1と、内側挟持部材50の両方の端部55がチャンネル部材20の内側で一対のリップ部25に当接可能な第2姿勢P2と、に姿勢が変更される。図示の例では、内側挟持部材50は長手状の部材である。内側挟持部材50は、内側挟持部材50の長手方向がチャンネル部材20の長手方向と略平行な第1姿勢P1の場合に、対向する一対のリップ部25の間からチャンネル部材20の内側に挿入可能であり、内側挟持部材50の長手方向がチャンネル部材20の長手方向と略直角な第2姿勢P2の場合に、内側挟持部材50の両方の端部55がチャンネル部材20の内側で一対のリップ部25に当接可能である。
【0031】
図2に示すように、内側挟持部材50は、本実施形態では、角が四角い断面U字型の長手状部材である。断面U字型の内側挟持部材50の底部52には、ボルト挿通部51が設けられている。また、断面U字型の内側挟持部材50の両側壁53は、それぞれの上端54が長手方向の中央が窪んだ斜面となっている。本実施形態では、この上端54における長手方向の両端部55が第2姿勢P2でリップ部25に当接する。
【0032】
また、本実施形態では、内側挟持部材50は金属製であって、第2姿勢P2において、内側挟持部材50の端部55がチャンネル部材20の内側面24に当接することにより、チャンネル部材20に対し内側挟持部材50が回転軸X周りに回転することが規制される。
図4に示す例では、内側挟持部材50は、回転軸X方向に沿う回転軸方向視で矩形であり、四つの角のうちの少なくとも1つ(図示の例では、対角に位置する2つ)が第2姿勢P2においてチャンネル部材20の内側面24に接触する。このため、ボルト部材30を締結する際に、第2姿勢P2から更にチャンネル部材20に対し内側挟持部材50が回転軸X周りに回転することが規制される。また、内側挟持部材50は、2組のうちの1組の対角が第2姿勢P2において内側面24に接触しないように面取りされた形状となっている。好適には、内側挟持部材50の長手方向がチャンネル部材20の長手方向と略直角な第2姿勢P2において、チャンネル部材20に対し内側挟持部材50がボルト部材30の締結方向である回転軸X周りの一方向X1に回転することが規制され、内側挟持部材50が回転軸X周りの他方向X2に回転することが許容されるように2組のうちの1組の対角が面取りされた形状となっている。このような面取り形状を有することで、内側面24との干渉を避けて内側挟持部材50を第1姿勢P1から第2姿勢P2へと円滑に姿勢変更することができる。
【0033】
図5は、固定具10が第1姿勢P1の場合の内側挟持部材50及び回転止め部材70を示す図である。
図6は、固定具10が第2姿勢P2の場合の内側挟持部材50及び回転止め部材70を示す図である。
図5及び
図6では、ボルト部材30、外側挟持部材40、ボルト保持部材60は、省略されている。固定具10は、内側挟持部材50とチャンネル部材20の内側面24とに当接してチャンネル部材20に対する回転軸X周りの内側挟持部材50の回転を規制する回転止め部材70を備えている。本実施形態では、回転止め部材70は、内側挟持部材50と回転軸X周りに一体的に回転するように構成されている。図示の例では、回転止め部材70は長手状であって、断面U字型の長手状部材である内側挟持部材50の内側に配置されている。これにより、回転止め部材70と内側挟持部材50とが回転軸X周りに一体的に回転する。
【0034】
本実施形態では、回転止め部材70は、ボルト部材30のねじ山の径より大きい貫通孔であるボルト挿通部71と、一対の規制爪部72を有する。この一対の規制爪部72の間の間隔は、ねじ山の径より狭くされている。また、一対の規制爪部62の間の間隔はボルト部材30のねじの谷の径より大きくされている。このため、回転止め部材70がボルト部材30に対して回転軸Xに沿う方向Zに移動することが規制される。これにより、内側挟持部材50のボルト挿通部51及び回転止め部材70のボルト挿通部71にボルト部材30を挿通させた後に、内側挟持部材50から回転止め部材70が離れることを規制できる。回転止め部材70は、弾性変形可能(具体的には、撓み変形可能)な樹脂プレート製であることが望ましい。
【0035】
本実施形態では、回転止め部材70は、内側挟持部材50から突出した突出部73を有している。この突出部73は、弾性変形した状態でチャンネル部材20の内側面24に当接する。これにより、弾性変形した突出部73の弾性復元力により内側挟持部材50の回転を規制してチャンネル部材20から固定具10を外れにくくできると共に、必要な場合にはより大きな外力を加えてチャンネル部材20から固定具10を取り外すことができる。また、本実施形態では、突出部73は、内側挟持部材50から当該内側挟持部材50の長手方向の外側に突出している。また、本実施形態では、第2姿勢P2において、突出部73が撓み変形して湾曲した状態でチャンネル部材20の内側面24に当接することにより、チャンネル部材20に対し内側挟持部材50が回転軸X周りの他方向X2に回転することが規制される。
図1及び
図6に示す例では、回転止め部材70は平板状であって、第2姿勢P2において、両端の突出部73が外側挟持部材40側(図示の例では方向Zの上側)に弾性変形した状態でチャンネル部材20の内側面24に当接している。
【0036】
本実施形態では、回転止め部材70は一対の突出部73を有し、一対の突出部73は、それぞれ内側挟持部材50における面取りされた1組の対角から突出している。また、本実施形態では、回転止め部材70において、突出部73の基端部側にくびれ部74が形成されている。本実施形態では、くびれ部74は、ボルト部材30の締結方向とは反対方向である回転軸X周りの他方向X2を向く側面がくぼむように形成されている。また、突出部73の、ボルト部材30の締結方向である回転軸X周りの一方向X1側の先端部は面取りされた形状となっている。これにより、回転止め部材70による一方向X1の回転に対する規制が、回転止め部材70による他方向X2の回転に対する規制より弱くされている。内側挟持部材50を回転軸X周りの一方向X1に回転させた時に、突出部73が円滑に上側に向かって撓み変形しつつその先端部がチャンネル部材20の内側面24に当接する状態となる。
【0037】
〔第2の実施形態〕
以下では、第2の実施形態に係る固定具10について、
図7を参照して説明する。本実施形態では、回転止め部材70の形状が第1の実施形態と異なっている。以下では、第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、第1の実施形態と同様とする。
【0038】
図7は、内側挟持部材50が第1姿勢P1の場合の内側挟持部材50及び回転止め部材70を示す図である。
図7では、ボルト部材30、外側挟持部材40、ボルト保持部材60は、省略されている。本実施形態では、回転止め部材70は、弾性部材から構成されている。また、回転止め部材70は、一対の突出部73を有しているがくびれ部74を有していない。また、一対の突出部73は、それぞれ内側挟持部材50における面取りされていない1組の対角から突出している。本実施形態では、回転止め部材70は、チャンネル部材20の延在方向L及び幅方向Wを包含する平面内で伸縮可能な弾性部材から構成されている。好適には、本実施形態の回転止め部材70は伸縮性の合成樹脂から構成される。本実施形態の回転止め部材70の材料の例としては、エポキシ、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン等の発泡体や、天然ゴムや合成ゴム等の高分子化合物が挙げられる。
【0039】
〔その他の実施形態〕
次に、固定具10のその他の実施形態について説明する。
【0040】
(1)上記の実施形態では、内側挟持部材50が長方形状の部材である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、内側挟持部材50が回転軸X方向に沿う回転軸方向視で楕円等のその他の形状であっても良い。また、回転止め部材70が楕円等のその他の形状であっても良い。
【0041】
(2)上記の実施形態では、外側挟持部材40のボルト挿通部41が通し穴であり、内側挟持部材50のボルト挿通部51がナット部である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、外側挟持部材40のボルト挿通部41が、長孔、U字状の貫通部等であっても良い。また、内側挟持部材50のボルト挿通部51が、丸孔、長孔、U字状の貫通部等であっても良い。また、ボルト保持部材60のボルト挿通部61が、長孔、U字状の貫通部等であっても良い。
【0042】
(3)上記の実施形態では、ボルト保持部材60が規制爪部62を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、ボルト部材30のねじ部32の山の径より小さい貫通孔であって、その貫通孔から放射状に切り込みが設けられたボルト挿通部61をボルト保持部材60が備えていても良い。また、固定具10がボルト保持部材60を備えていなくても良い。
【0043】
(4)上記の実施形態では、外側挟持部材40がリップ間壁部43とは別に回転防止壁部42を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、リップ間壁部43がリップ部25に当接することにより回転防止壁部として機能するものであっても良い。
【0044】
(5)上記の実施形態では、突出部73が弾性変形した状態でチャンネル部材20の内側面24に当接することで内側挟持部材50の回転を規制する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、突出部73が塑性変形した状態でチャンネル部材20の内側面24に当接することにより、内側挟持部材50の回転を規制する構成であっても良い。
【0045】
(6)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示されている構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示されている構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 :固定具
15 :他の部材
20 :チャンネル部材
24 :内側面
25 :リップ部
30 :ボルト部材
40 :外側挟持部材
41 :ボルト挿通部
45 :段落とし部
50 :内側挟持部材
51 :ボルト挿通部
55 :端部
60 :ボルト保持部材
70 :回転止め部材
73 :突出部
P1 :第1姿勢
P2 :第2姿勢
X :回転軸