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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027623
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】道路用消火栓
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20240222BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A62C35/20
A62C3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130559
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅裕
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189EB02
2E189EB09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安全性と利便性とがより向上した道路用消火栓を提供する。
【解決手段】車道と前記車道と並行する通路との間に設置される道路用消火栓であって、筐体180と、筐体180の内部に設けられる収納部と、収納部の少なくとも上方における開口の開放および閉鎖に用いられる上方扉110と、前記収納部の前記車道側の側方における開口の開放および閉鎖に用いられる側方扉120と、筐体180の車道側の側面に配置され、筐体180と接続される第1の筐体接続部および上方扉110と接続される第1の上方扉接続部を有する第1のガイド部材と、筐体180の車道側の側面に配置され、筐体180と接続される第2の筐体接続部および側方扉120と接続される側方扉接続部を有する第2のガイド部材と、を備え、側方扉120は、上方扉110の開閉に伴い回転する第1の筐体接続部から伝動される力により第2の筐体接続部が回転することにより開閉する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道と前記車道と並行する通路との間に設置される道路用消火栓であって、
筐体と、
前記筐体の内部に設けられる収納部と、
前記収納部の少なくとも上方における開口の開放および閉鎖に用いられる上方扉と、
前記収納部の前記車道側の側方における開口の開放および閉鎖に用いられる側方扉と、
前記筐体の前記車道側の側面に配置され、前記筐体と接続される第1の筐体接続部および前記上方扉と接続される第1の上方扉接続部を有する第1のガイド部材と、
前記筐体の前記車道側の側面に配置され、前記筐体と接続される第2の筐体接続部および前記側方扉と接続される側方扉接続部を有する第2のガイド部材と、
を備え、
前記側方扉は、前記上方扉の開閉に伴い回転する前記第1の筐体接続部から伝動される力により前記第2の筐体接続部が回転することにより開閉する、
道路用消火栓。
【請求項2】
前記上方扉接続部は、前記上方扉の開閉に伴い前記第1の筐体接続部を軸に回動し、
前記側方扉接続部は、前記上方扉の開閉に伴い前記第2の筐体接続部を軸に回動する、
請求項1に記載の道路用消火栓。
【請求項3】
前記筐体の前記通路側の側面に配置され、前記筐体と接続される第3の筐体接続部および前記上方扉と接続される第2の上方扉接続部を有する、第3のガイド部材、
をさらに備える、
請求項1に記載の道路用消火栓。
【請求項4】
前記収納部は、前記通路を基準として上方に設けられる上方収納部と前記通路を基準として下方に設けられる下方収納部とから成り、
前記上方扉は、前記上方収納部および前記下方収納部の両方を同時に開放または閉鎖可能な形状に形成される、
請求項1に記載の道路用消火栓。
【請求項5】
前記上方収納部には、消火栓レバーおよび消火栓ノズルが収納される、
請求項4に記載の道路用消火栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路用消火栓に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、設置場所等に応じた特徴を有する様々な消火栓が開発されている。例えば、特許文献1には、前面扉と上面扉とを同時に開扉可能な道路用消火栓が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-192884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示される道路用消火栓の構成では、前面扉と上面扉とを同時に閉扉することが困難である。また、前面扉と上面扉との開扉に伴い、両扉を接続する作業が求められる。
【0005】
さらには、特許文献1に開示される道路用消火栓の構成では、前面扉を閉扉するために、車道における車両の走行を規制して当該車道側から前面扉を引き上げるか、通路側から車道側を見下しながら前面扉を引き上げる作業が求められる。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、安全性と利便性とがより向上した道路用消火栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車道と前記車道と並行する通路との間に設置される道路用消火栓であって、筐体と、前記筐体の内部に設けられる収納部と、前記収納部の少なくとも上方における開口の開放および閉鎖に用いられる上方扉と、前記収納部の前記車道側の側方における開口の開放および閉鎖に用いられる側方扉と、前記筐体の前記車道側の側面に配置され、前記筐体と接続される第1の筐体接続部および前記上方扉と接続される第1の上方扉接続部を有する第1のガイド部材と、前記筐体の前記車道側の側面に配置され、前記筐体と接続される第2の筐体接続部および前記側方扉と接続される側方扉接続部を有する第2のガイド部材と、を備え、前記側方扉は、前記上方扉の開閉に伴い回転する前記第1の筐体接続部から伝動される力により前記第2の筐体接続部が回転することにより開閉する、道路用消火栓が提供される。
【0008】
前記上方扉接続部は、前記上方扉の開閉に伴い前記第1の筐体接続部を軸に回動し、前記側方扉接続部は、前記上方扉の開閉に伴い前記第2の筐体接続部を軸に回動してもよい。
【0009】
前記道路用消火栓は、前記筐体の前記通路側の側面に配置され、前記筐体と接続される第3の筐体接続部および前記上方扉と接続される第2の上方扉接続部を有する、第3のガイド部材、をさらに備えてもよい。
【0010】
前記収納部は、前記通路を基準として上方に設けられる上方収納部と前記通路を基準として下方に設けられる下方収納部とから成り、前記上方扉は、前記上方収納部および前記下方収納部の両方を同時に開放または閉鎖可能な形状に形成されてもよい。
【0011】
前記上方収納部には、消火栓レバーおよび消火栓ノズルが収納されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、安全性と利便性とがより向上した道路用消火栓を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る道路用消火栓10の外部構造について説明するための図である。
図2】同実施形態に係る道路用消火栓10の内部構造について説明するための図である。
図3】同実施形態に係る道路用消火栓10の外部構造について説明するための図である。
図4】同実施形態に係る道路用消火栓10の内部構造について説明するための図である。
図5】同実施形態に係る上方扉110および側方扉120の同時開閉について説明するための図である。
図6】同実施形態に係る第1のガイド部材210および第2のガイド部材220の構成例を示す図である。
図7】同実施形態に係る第1のガイド部材210が有する筐体接続部213および第1の上方扉接続部211、第2のガイド部材220が有する筐体接続部223および側方扉接続部222について説明するための図である。
図8】同実施形態に係る上方扉110および側方扉120の同時開閉について説明するための図である。
図9】同実施形態に係る上方扉110および側方扉120の同時開閉について説明するための図である。
図10】同実施形態に係る上方扉110および側方扉120の同時開閉について説明するための図である。
図11】同実施形態に係る上方扉110および側方扉120の同時開閉について説明するための図である。
図12】同実施形態に係る第1のガイド部材210と第3のガイド部材230との配置関係について説明するための図である。
図13】同実施形態に係る上方扉110の開扉に伴う第3のガイド部材230の動作について詳細に説明するための図である。
図14】同実施形態に係る第3のガイド部材230の通路側から見た場合の側面図である。
図15】同実施形態に係る第3のガイド部材230が有する筐体接続部233および第2の上方扉接続部231の短手方向の側面図である。
図16】同実施形態に係る上方扉110の開扉に伴う第3のガイド部材230の動作について詳細に説明するための図である。
図17】同実施形態に係る上方扉110の開扉に伴う第3のガイド部材230の動作について詳細に説明するための図である。
図18】同実施形態に係る上方扉110の開扉に伴う第3のガイド部材230の動作について詳細に説明するための図である。
図19】同実施形態に係る上方扉110の開扉に伴う第3のガイド部材230の動作について詳細に説明するための図である。
図20】同実施形態に係るホース150を通路PW側に引き出す場合のイメージ図である。
図21】同実施形態に係るホース150を道路PW側に引き出す場合のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
また、本明細書及び図面においては、複数存在する同一の機能構成を区別して説明する場合に、符号の末尾にアルファベットを付す場合がある。一方、複数存在する同一の機能構成を区別する必要がない場合、上記アルファベットを省略し、複数存在する同一の機能構成のすべてに共通する説明がなされる場合がある。
【0016】
また、図面においては、他の図において符号が付されている構成であっても、当該構成が他の構成との位置関係等により特定可能な場合には、図の視認性を優先して符号を省略する場合がある。
<1.実施形態>
<<1.1.道路用消火栓10の構成例>>
まず、図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係る道路用消火栓10の構成例について述べる。本実施形態に係る道路用消火栓10は、上方扉110および側方扉120を備える。
【0017】
図1および図3は、主に本実施形態に係る道路用消火栓10の外部構造について説明するための図である。図1には、上方扉110および側方扉120が全閉状態である場合の道路用消火栓10の外部構造が主に示される。一方、図3には、上方扉110および側方扉120が全開状態である場合の道路用消火栓10の外部構造が主に示される。
【0018】
図2および図4は、主に本実施形態に係る道路用消火栓10の内部構造について説明するための図である。図2には、上方扉110および側方扉120が全閉状態である場合の道路用消火栓10の内部構造が主に示される。一方、図4には、上方扉110および側方扉120が全開状態である場合の道路用消火栓10の内部構造が主に示される。
【0019】
図1図4の下段右側には、本実施形態に係る道路用消火栓10の短手方向の側面図が示される。当該短手方向の側面図が示すように、本実施形態に係る道路用消火栓10は、トンネル等において、車道RWと、車道RWと並行する通路PWと、の間に設置される。
【0020】
なお、通路PWは、人が通行や作業を行うために設けられる。上記作業には、例えば、消火作業、保守作業等が含まれる。また、上記通行には、上記作業を実施するための通行の他、避難に伴う通行が含まれる。
【0021】
また、図1図4の上段には、本実施形態に係る道路用消火栓10の上面図が示される。また、図1図4の下段左側には、本実施形態に係る道路用消火栓10の長手方向の側面図が示される。
【0022】
図2および図4に示すように、本実施形態に係る道路用消火栓10は、筐体180の内部に、上方収納部192および下方収納部194から成る収納部190を備える。
【0023】
上方収納部192は、例えば、収納部190の空間のうち、通路PW(の上面)を基準として上方の空間であってもよい。一方、下方収納部194は、収納部190の空間のうち通路PW(の上面)を基準として下方の空間であってもよい。
【0024】
下方収納部194には、例えば、ホース150が収納される。一方、上方収納部192には、ホース150と接続される消火栓ノズル160、および消火栓レバー170が収納される。
【0025】
なお、上方収納部192には、消火栓ノズル160および消火栓レバー170に加え、筐体180の外部に配置される赤色表示灯、押ボタン、応答ランプ等の動作を実現するための電気部材が収納されてもよい。
【0026】
次に、本実施形態に係る道路用消火栓10が備える上方扉110および側方扉120について説明する。
【0027】
本実施形態に係る上方扉110は、収納部190の上方における開口の開放および閉鎖に用いられる。より具体的には、本実施形態に係る上方扉110は、上方収納部192および下方収納部194を同時に開放・閉鎖可能に設けられる。
【0028】
消火作業を行うユーザや、道路用消火栓10の保守作業を行う保守員は、取っ手115を把持して上方扉110を開閉することにより、上方収納部192および下方収納部194を同時に開放・閉鎖することができる。
【0029】
このため、消火作業を行うユーザ、保守員は、車道RW側からであっても通路PW側からであっても上方収納部192に収納される消火栓ノズル160に容易にアクセスでき、下方収納部194に収納されるホース150を容易に引き出すことができる。
【0030】
一方、本実施形態に係る側方扉120は、下方収納部194の車道RW側の側方における開口の開放および閉鎖に用いられる。
【0031】
消火作業を行うユーザや、道路用消火栓10の保守作業を行う保守員は、側方扉120が開扉することにより開放される、下方収納部194の車道RW側の側方における開口から、ホース150を元から巻いて収納することができる。
【0032】
図3および図4に示すように、本実施形態に係る上方扉110および側方扉120は、全開状態である場合であっても、車道RW側にも通路PW側にも突出しない。さらには、本実施形態に係る上方扉110および側方扉120は、後に詳細に説明するように、開閉時のどの段階においても車道RW側にも通路PW側にも突出しないことを特徴の一つとする。当該特徴によれば、車道RWおよび通路PWにおける通行や作業を妨げることがなく、安全性が向上する。
【0033】
また、本実施形態に係る側方扉120は、上方扉110の開閉操作と連動して上方扉110と同時に開閉することを特徴の一つとする。当該特徴によれば、利便性が向上するとともに、通路PW側から開閉操作が可能となり安全性が向上する。
【0034】
以下、本実施形態に係る上方扉110および側方扉120の同時開閉を実現する構成について詳細に説明する。なお、図1図4においては、図面の視認性を優先し、当該構成の図示は省略している。
【0035】
図5には、上方扉110および側方扉120が全閉状態にある場合の道路用消火栓10の車道RW側から見た側面図が示される。なお、図5以降の図においては、取っ手115の図示を省略する場合がある。また、図5以降の図においては、二点鎖線を省略線として用いる場合がある。
【0036】
図5に示すように、本実施形態に係る道路用消火栓10は、筐体180の車道RW側の側面に配置され、筐体180と接続される筐体接続部213(第1の筐体接続部、とも称する)および上方扉110と接続される第1の上方扉接続部211を有する第1のガイド部材210を備える。
【0037】
図5には、本実施形態に係る道路用消火栓10が2つの第1のガイド部材210Aおよび210Bを備える場合が例示される。
【0038】
また、本実施形態に係る道路用消火栓10は、筐体180の車道RW側の側面に配置され、筐体180と接続される筐体接続部223(第2の筐体接続部、とも称する)および側方扉120と接続される側方扉接続部222を有する第2のガイド部材220を備える。
【0039】
図5には、本実施形態に係る道路用消火栓10が2つの第2のガイド部材220Aおよび220Bを備える場合が例示される。
【0040】
ここで、本実施形態に係る側方扉120は、上方扉110の開閉に伴い回転する筐体接続部213から伝動される力により筐体接続部223が回転することにより開閉することを特徴の一つとする。
【0041】
図6は、本実施形態に係る第1のガイド部材210および第2のガイド部材220の構成例を示す図である。
【0042】
例えば、図6に示すように、第1のガイド部材210の筐体接続部213は歯車214を備え、第2のガイド部材220の筐体接続部223は歯車214と嵌合する歯車224を備えてもよい。
【0043】
このような構成によれば、上方扉110の開閉に伴い、第1のガイド部材210の第1の上方扉接続部211が筐体接続部213を軸に回動することで歯車214から歯車224へと力が伝動し、第2のガイド部材220の側方扉接続部222が筐体接続部223を軸に回動することにより側方扉120が上方扉110とは反対周りに回動可能となる。
【0044】
なお、第1のガイド部材210の筐体接続部213、第2のガイド部材220の筐体接続部223は、それぞれ筐体固定部材215、筐体固定部材225により、筐体180に回転可能に接続されてもよい。
【0045】
第1のガイド部材210の第1の上方扉接続部211は、上方扉固定部材216により上方扉110に回転可能に接続されてもよい。
【0046】
第2のガイド部材220の側方扉接続部222は、側方扉固定部材227により側方扉120に回転可能に接続されてもよい。
【0047】
図7は、本実施形態に係る第1のガイド部材210が有する筐体接続部213および第1の上方扉接続部211、第2のガイド部材220が有する筐体接続部223および側方扉接続部222について説明するための図である。
【0048】
図7には、第1のガイド部材210および第2のガイド部材220が道路用消火栓10に実装された状態における筐体接続部213、第1の上方扉接続部211、筐体接続部223、側方扉接続部222の側面図が示される。
【0049】
第1のガイド部材210の筐体接続部213は、例えば、図7の上段左側に示すように、歯車214および第1のガイド部材210の一端に形成される孔を貫通する筐体固定部材215が筐体180に固定されることで実現されてもよい。
【0050】
同様に、第2のガイド部材220の筐体接続部223は、例えば、図7の下段左側に示すように、歯車224および第2のガイド部材220の一端に形成される孔を貫通する筐体固定部材225が筐体180に固定されることで実現されてもよい。
【0051】
また、第1のガイド部材210の第1の上方扉接続部211は、例えば、図7の上段右側に示すように、第1のガイド部材210の他端に形成される孔および上方扉110に形成される被固定部117を上方扉固定部材216で貫通し固定することで実現されてもよい。
【0052】
同様に、第2のガイド部材220の側方扉接続部222は、例えば、図7の下段右側に示すように、第2のガイド部材220の他端に形成される孔および側方扉120に形成される孔を側方扉固定部材227で貫通し固定することで実現されてもよい。
【0053】
以上、本実施形態に係る第1のガイド部材210および第2のガイド部材220の構成例について説明した。ただし、上記で説明した構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る第1のガイド部材210および第2のガイド部材220の構成はかかる例に限定されない。
【0054】
例えば、上記では、第1のガイド部材210の筐体接続部213が歯車214を備え、第2のガイド部材220の筐体接続部223が歯車214と嵌合する歯車224を備える場合について述べた。
【0055】
しかし、上方扉110の開閉に伴う第2のガイド部材220の筐体接続部223への力の伝動を実現する構成は、柔軟に変形可能である。
【0056】
例えば、歯車214および歯車224は直接嵌合せずに1つ以上の他の歯車を介して接続されてもよい。
【0057】
また、上方扉110の開閉に伴う第2のガイド部材220の筐体接続部223への力の伝動を実現する構成として、プーリ、ベルト等を採用することも可能である。
【0058】
続いて、図5図8図11を参照して、本実施形態に係る第1のガイド部材210および第2のガイド部材220により実現される上方扉110および側方扉120の同時開閉について詳細に説明する。なお、図5図8図11においては、道路用消火栓10が備える内部構成については図示を省略する。
【0059】
図8には、上方扉110が1/4程度開いた状態にある道路用消火栓10の車道RW側から見た側面図が示される。
【0060】
この際、上方扉110の開閉に伴い、当該開閉に係る力が、第1のガイド部材210、第2のガイド部材220、側方扉120へと伝動し、側方扉120もまた1/4程度開いた状態となる。
【0061】
図9には、上方扉110が1/2程度開いた状態にある道路用消火栓10の車道RW側から見た側面図が示される。
【0062】
この際、上方扉110の開閉に伴い、当該開閉に係る力が、第1のガイド部材210、第2のガイド部材220、側方扉120へと伝動し、側方扉120もまた1/2程度開いた状態となる。
【0063】
図10には、上方扉110が3/4程度開いた状態にある道路用消火栓10の車道RW側から見た側面図が示される。
【0064】
この際、上方扉110の開閉に伴い、当該開閉に係る力が、第1のガイド部材210、第2のガイド部材220、側方扉120へと伝動し、側方扉120もまた3/4程度開いた状態となる。
【0065】
図11には、上方扉110が全開状態にある道路用消火栓10の車道RW側から見た側面図が示される。
【0066】
この際、上方扉110の開扉に伴い、当該開扉に係る力が、第1のガイド部材210、第2のガイド部材220、側方扉120へと伝動し、側方扉120もまた全開状態となる。
【0067】
ユーザや保守員は、取っ手115を把持して上方扉110に対して図5図8図11に示す順に開扉操作を行うことで、側方扉120を同時に開扉し、また上方収納部192および下方収納部194を同時に開放することができる。
【0068】
一方、ユーザや保守員は、取っ手115を把持して上方扉110に対して図5図8図11に示す順と逆の順に閉扉操作を行うことで、側方扉120を同時に閉扉し、また上方収納部192および下方収納部194を同時に閉鎖することができる。
【0069】
本実施形態に係る第1のガイド部材210の第1の上方扉接続部211は、上記のような上方扉110に対する開閉操作に伴い、筐体接続部213を軸として上方扉110と共に回動する。
【0070】
また、本実施形態に係る第2のガイド部材220の側方扉接続部222は、上記のような上方扉110に対する開閉操作に伴い、筐体接続部223を軸として側方扉120と共に回動する。
【0071】
図11には、第1のガイド部材210Aの第1の上方扉接続部211Aの回動に係る軌道219A、第1のガイド部材210Bの第1の上方扉接続部211Bの回動に係る軌道219B、第2のガイド部材220Aの側方扉接続部222Aの回動に係る軌道229A、第2のガイド部材220Bの側方扉接続部222Bの回動に係る軌道229Bが示される。
【0072】
例えば、第1のガイド部材210Aの筐体接続部213Aと第1の上方扉接続部211Aとの間の距離が190mmである場合、軌道219Aは半径190mmの半円となる。
【0073】
同様に、第1のガイド部材210Bの筐体接続部213Bと第1の上方扉接続部211Bとの間の距離が190mmである場合、軌道219Bは半径190mmの半円となる。
【0074】
すなわち、筐体接続部213Aと第1の上方扉接続部211Aとの間の距離および筐体接続部213Bと第1の上方扉接続部211Bとの間の距離が190mmである場合、上方扉110は、半径190mmの半円を軌道として回動することとなる。
【0075】
また、例えば、第2のガイド部材220Aの筐体接続部223Aと側方扉接続部222Aとの間の距離が190mmである場合、軌道229Aは半径190mmの半円となる。
【0076】
同様に、第2のガイド部材220Bの筐体接続部223Bと側方扉接続部222Bとの間の距離が190mmである場合、軌道229Bは半径190mmの半円となる。
【0077】
すなわち、筐体接続部223Aと側方扉接続部222Aとの間の距離および筐体接続部223Bと側方扉接続部222Bとの間の距離が190mmである場合、側方扉120は、半径190mmの半円を軌道として回動することとなる。
【0078】
上方扉110および側方扉120が開扉操作時および閉扉操作時に上記のような軌道に沿って回動することにより、両扉が車道RW側にも通路PW側にも突出することがなく、通行や作業を妨げる可能性を排除することができる。
【0079】
次に、本実施形態に係る第3のガイド部材230について説明する。第1のガイド部材210および第2のガイド部材220が上方扉110および側方扉120の重量に対して十分な強度を有する場合、第1のガイド部材210および第2のガイド部材220のみでも両扉の同時開閉は実現可能である。
【0080】
一方、以下において説明する第3のガイド部材230によれば、上方扉110および側方扉120の開閉をより安定させるとともに当該開閉に要する労力を低減することが可能となる。
【0081】
図12は、本実施形態に係る第1のガイド部材210と第3のガイド部材230との配置関係について説明するための図である。図12には、道路用消火栓10の上面図が示される。
【0082】
なお、図12においては、視認性を優先し、第1のガイド部材210および第3のガイド部材230が実線で示される。また、図12には、本実施形態に係る道路用消火栓10が2つの第3のガイド部材230Aおよび230Bを備える場合が例示される。
【0083】
図12に示すように、本実施形態に係る第3のガイド部材230は、筐体180において第1のガイド部材210が配置される側面とは反対の側面に配置される。すなわち、本実施形態に係る第3のガイド部材230は、筐体180の通路PW側の側面に配置されてよい。
【0084】
本実施形態に係る第3のガイド部材230は、筐体180と接続される筐体接続部233(第3の筐体接続部、とも称する)および上方扉110と接続される第2の上方扉接続部231を有する。
【0085】
図13には、上方扉110および側方扉120が全閉状態にある場合の道路用消火栓10の通路PW側から見た側面図が示される。図13に示すように、上方扉110および側方扉120が全閉状態にある場合、第3のガイド部材230の筐体接続部233および第2の上方扉接続部231は、第1のガイド部材210の筐体接続部213および第1の上方扉接続部211と同様に水平に位置する。
【0086】
図14および図15は、本実施形態に係る第3のガイド部材230が有する筐体接続部233および第2の上方扉接続部231について説明するための図である。
【0087】
図14には、本実施形態に係る第3のガイド部材230の通路PW側から見た場合の側面図が示される。また、図15には、本実施形態に係る第3のガイド部材230が有する筐体接続部233および第2の上方扉接続部231の短手方向の側面図が示される。
【0088】
第3のガイド部材230の筐体接続部233は、例えば、図15の左側に示すように、第3のガイド部材230の一端に形成される孔を貫通する筐体固定部材235が筐体180に固定されることで実現されてもよい。
【0089】
また、第3のガイド部材230の第2の上方扉接続部231は、例えば、図15の右側に示すように、第3のガイド部材230の他端に形成される孔および上方扉110に形成される被固定部117を上方扉固定部材236で貫通し固定することで実現されてもよい。
【0090】
続いて、図13図16~19を参照して、上方扉110の開扉に伴う第3のガイド部材230の動作について詳細に説明する。なお、図13図16~19においては、道路用消火栓10が備える内部構成については図示を省略する。
【0091】
図16には、上方扉110が1/4程度開いた状態にある道路用消火栓10の通路PW側から見た側面図が示される。
【0092】
図17には、上方扉110が1/2程度開いた状態にある道路用消火栓10の通路PW側から見た側面図が示される。
【0093】
図18には、上方扉110が3/4程度開いた状態にある道路用消火栓10の通路PW側から見た側面図が示される。
【0094】
また、図19には、上方扉110が全開状態にある道路用消火栓10の通路PW側から見た側面図が示される。
【0095】
本実施形態に係る第3のガイド部材230の第2の上方扉接続部231は、上方扉110の開閉操作に伴い、筐体接続部233を軸として上方扉110とともに回動することを特徴の一つとする。
【0096】
図19には、第3のガイド部材230Aの第2の上方扉接続部231Aの回動に係る軌道239A、および第3のガイド部材230Bの第2の上方扉接続部231Bの回動に係る軌道239Bが示される。
【0097】
例えば、第3のガイド部材230Aが有する筐体接続部233Aと第2の上方扉接続部231Aとの間の距離が190mmである場合、軌道239Aは、半径190mmの半円となる。
【0098】
同様に、第3のガイド部材230Bが有する筐体接続部233Bと第2の上方扉接続部231Bとの間の距離が190mmである場合、軌道239Bは、半径190mmの半円となる。
【0099】
以上、本実施形態に係る第3のガイド部材230について詳細に説明した。本実施形態に係る第3のガイド部材230によれば、上方扉110および側方扉120の開閉をより安定させるとともに当該開閉に要する労力を低減することが可能となる。
【0100】
次に、本実施形態に係る道路用消火栓10を用いた消火作業について説明する。ユーザは、上方扉110を操作し、上方扉110および側方扉120を全開状態にしたのち、消火栓ノズル160を把持して図20に示すように通路PW側にホース150を引き出すか、図21に示すように車道RW側にホース150を引き出す。
【0101】
また、ユーザは、ホース150を引き出したのち、消火栓レバー170を放水方向に操作(例えば、消火栓レバー170を上から下に倒すなど)することで、道路用消火栓10とは別に設置される消火ポンプ起動スイッチをONすると同時に消火栓弁を開き、消火作業を行うことができる。
【0102】
消火作業が終了したのち、ユーザは、側方扉120の開扉により開放された、下方収納部194の車道RW側の開口からホース150を根元から巻いて収納し、上方扉110を操作し、上方扉110および側方扉120を全閉状態とする。
【0103】
<<1.2.効果>>
次に、本実施形態に係る道路用消火栓10により奏される効果についてより詳細に説明する。
【0104】
上述したように、本実施形態に係る上方扉110および側方扉120は、所定の軌道に沿って回動する。本実施形態に係る上方扉110および側方扉120は、開閉操作時に車道RW側にも通路PW側にも突出することがないため、車道RWおよび通路PWにおける通行や作業を妨げることがなく、安全性が向上する。
【0105】
また、本実施形態に係る上方扉110は、自重により閉方向または開方向に動作するよう設計されてもよい。例えば、上方扉110は、図8に示すような状態において人為的な力が掛からない場合には、自重により図5に示すような全閉状態となってもよい。また、例えば、上方扉110は、図10に示すような状態において人為的な力が掛からない場合には、自重により図11に示すような全開状態となってもよい。
【0106】
このように、上方扉110が自重により閉方向または開方向に動作する場合、上方扉110が振動や風などの影響により自然に開扉され収納部190が開放される可能性は極めて低いことから、上方扉110を固定するための鍵等を設けずともよく、非常時に上方扉110が解錠できない等の不具合を回避することができる。
【0107】
例えば、本実施形態に係る上方扉110は4kg程度、側方扉120は2.4kg程度の重量となるように形成されてもよい。
【0108】
この場合、上方扉110および側方扉120が全閉状態の際には、第2のガイド部材220Aの歯車224Aおよび第2のガイド部材220Bの歯車224Bには、両扉を閉じる回転方向に2.4kg程度の重量が加わる。一方、第1のガイド部材210Aの歯車214Aおよび第1のガイド部材210Bの歯車214Bには、上方扉110および側方扉120を開く回転方向に2.4kg程度の重量が加わる。
【0109】
このため、上方扉110を図9に示すような可動領域の最高位まで引き上げるための力は、上方扉110の重量4kg程度から側方扉120の重量2.4kg程度を差し引いた1.6kg程度以上の力であればよく、操作負担が軽減される。
【0110】
また、上方扉110を図9に示すような可動領域の最高位から図5または図11に示すような可動領域の最低位まで引き下げる力も同様に1.6kg程度以上の力であればよく、操作負担が軽減される。
【0111】
さらには、上方扉110からユーザの手が意図せず離れるなどした場合にあっても、2.4kg程度の重量ぶん衝撃が緩和し、安全性が向上される。
【0112】
ただし、上方扉110および側方扉120の重量は上記に挙げた例に限定されず、適宜設計可能である。また、上方扉110を開閉する操作力もまた上方扉110および側方扉120の重量差により調整可能である。
【0113】
また、本実施形態に係る道路用消火栓10では、消火栓ノズル160および消火栓レバー170が、通路PWを基準として上方に設けられる上方収納部192に収納される。これによれば、ユーザが通路PW側からであっても足元より上で消火栓ノズル160の取り出し、および消火栓レバー170の操作を行うことができ、利便性と安全性が向上する。
【0114】
また、本実施形態に係る上方扉110が例えば図示するようにL字型で形成されることにより、上方収納部192および下方収納部194を同時に開放または閉鎖することが可能となり、利便性が向上する。
【0115】
なお、本実施形態に係る上方扉110は、必ずしも直角を有するL字型に形成される必要はなく、上方収納部192および下方収納部194を同時に開放または閉鎖することが可能な形状に形成されればよい。一例として、本実施形態に係る上方扉110は、例えば、一部にアール形状を有してもよい。
【0116】
また、本実施形態に係る第1のガイド部材210、第2のガイド部材220、および第3のガイド部材230を図示するように配置することで、以下のような効果が奏される。
【0117】
上方扉110および側方扉120が全閉状態にある場合において、故障の要因となり得る外部からの衝撃等から各ガイド部材を保護する。
【0118】
上方扉110および側方扉120が全開状態にある場合において、各ガイド部材がホース150の引き出し等に影響を与えない。
【0119】
上方扉110が全開状態から全閉状態、または全閉状態から全開状態に遷移するいずれの時点においても上方扉110が水平に支持される。
【0120】
誰が操作した場合であっても、上方扉110および側方扉120が同一の軌道に沿って移動し、同位置において全閉状態または全開状態となる。
【0121】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0122】
10 道路用消火栓
110 上方扉
115 取っ手
120 側方扉
150 ホース
160 消火栓ノズル
170 消火栓レバー
180 筐体
190 収納部
192 上方収納部
194 下方収納部
210 第1のガイド部材
211 第1の上方扉接続部
213 筐体接続部
220 第2のガイド部材
222 側方扉接続部
223 筐体接続部
230 第3のガイド部材
231 第2の上方扉接続部
233 筐体接続部
RW 道路
PW 通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18
図19
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図21