(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027658
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】物品昇降装置
(51)【国際特許分類】
B66D 3/20 20060101AFI20240222BHJP
B66C 13/23 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B66D3/20 F
B66D3/20 H
B66C13/23 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130622
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大塚 洋
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA02
3F204BA05
3F204CA07
3F204GA02
(57)【要約】
【課題】ベルトの巻き取り径の変化に起因する保持部の昇降量の誤差を小さく抑えて、保持部の昇降動作の精度の向上を図ることができる技術を実現する。
【解決手段】制御部は、保持部10の下降動作及び上昇動作の少なくとも一方である昇降動作を行う場合に、当該昇降動作が行われる保持部10の高さ範囲である昇降動作範囲における、駆動モータ23の単位回転量あたりの保持部10の昇降量である単位昇降量を、ドラム21に巻き取られているベルト22の外周面の径が巻き取り及び繰り出しによって変化することに応じて求め、単位昇降量に基づいて、昇降動作のための駆動モータ23の回転量を決定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保持する保持部と、前記保持部を昇降させる昇降装置と、前記昇降装置を制御する制御部と、を備えた物品昇降装置であって、
前記昇降装置は、ドラムと、前記ドラムに巻き取り及び繰り出し自在に巻回されたベルトと、前記ドラムを回転駆動する駆動モータと、前記駆動モータの駆動力を前記ドラムに伝達する伝達機構と、を備え、前記ベルトにより前記保持部を吊り下げた状態で、前記ドラムからの前記ベルトの繰り出しによって前記保持部を下降させ、前記ドラムへの前記ベルトの巻き取りによって前記保持部を上昇させ、
前記制御部は、前記保持部の下降動作及び上昇動作の少なくとも一方である昇降動作を行う場合に、当該昇降動作が行われる前記保持部の高さ範囲である昇降動作範囲における、前記駆動モータの単位回転量あたりの前記保持部の昇降量である単位昇降量を、前記ドラムに巻き取られている前記ベルトの外周面の径が前記巻き取り及び前記繰り出しによって変化することに応じて求め、前記単位昇降量に基づいて、前記昇降動作のための前記駆動モータの回転量を決定する、物品昇降装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記昇降動作における前記保持部の目標昇降量を、前記単位昇降量で除算した値を、前記駆動モータの回転量として決定する、請求項1に記載の物品昇降装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記単位回転量に対応するパルスの数に基づき、前記駆動モータの回転量を制御するように構成され、
前記制御部は、以下の式(1)により前記単位昇降量を求める、請求項2に記載の物品昇降装置。
PR=π/(RL×PP)2×(RL×PP×DL-2×TB×UP)・・・(1)
ここで、
PRは、前記単位昇降量であり、
RLは、前記ドラムの回転量に対する前記駆動モータの回転量の比であり、
PPは、前記駆動モータの1回転に相当する前記パルスの数であり、
DLは、前記保持部が基準高さに位置する状態での、前記ドラムに巻き取られている前記ベルトのうちの最も外周側の前記ベルトの厚み中心の径であり、
TBは、前記ベルトの厚さであり、
UPは、前記保持部を前記基準高さから前記昇降動作範囲内の高さまで昇降させるための前記駆動モータの回転量に相当する前記パルスの数である。
【請求項4】
前記物品を保持していない非保持状態の前記保持部が、載置部に載置された前記物品を保持する保持動作を行うことができる位置にある状態での、上下方向における前記保持部と前記物品との相対距離を保持可能距離として、
前記保持部は、前記保持可能距離に第1距離を加算した距離だけ前記物品よりも上側の位置で前記物品を検出する第1センサを備え、
前記制御部は、前記非保持状態の前記保持部を、前記載置部に載置された前記物品に対して上側から次第に接近させ、前記第1センサにより前記物品を検出した位置から前記第1距離だけ前記保持部を下降させる第1動作を前記昇降装置に行わせ、前記第1動作を完了した前記保持部の上下方向の位置で前記保持部に前記保持動作を行わせるように構成され、
前記昇降動作には、前記第1動作が含まれる、請求項1に記載の物品昇降装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記物品の被支持部を下側から支持する支持部材と、前記支持部材により前記物品をしている支持状態であるか、前記支持部材により前記物品を支持していない非支持状態であるかを検出する第2センサと、を備え、
前記制御部は、前記物品を保持している保持状態の前記保持部を、前記物品が載置される載置部に対して上側から次第に接近させ、前記物品が前記載置部に載置されたことによって前記支持状態から前記非支持状態になったことを前記第2センサにより検出した位置から第2距離だけ前記保持部を下降させる第2動作を前記昇降装置に行わせ、前記第2動作を完了した前記保持部の上下方向の位置で、前記支持部材を前記被支持部の下側から退避させる保持解除動作を前記保持部に行わせるように構成され、
前記昇降動作には、前記第2動作が含まれる、請求項1に記載の物品昇降装置。
【請求項6】
前記物品を保持していない非保持状態の前記保持部が、載置部に載置された前記物品を保持する保持動作を行うことができる位置にある状態での、上下方向における前記保持部と前記物品との相対距離を保持可能距離として、
前記保持部は、前記保持可能距離から第3距離を減算した距離だけ前記物品よりも上側の位置に前記保持部が到達したことを特定状態として検出する第3センサを備え、
前記制御部は、前記非保持状態の前記保持部を、前記載置部に載置された前記物品に対して上側から次第に接近させている間に、前記第3センサにより前記特定状態を検出した場合に、前記第3センサにより前記特定状態を検出した位置から前記第3距離だけ前記保持部を上昇させる第3動作を前記昇降装置に行わせるように構成され、
前記昇降動作には、前記第3動作が含まれる、請求項1に記載の物品昇降装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記物品が載置される高さが異なる複数の前記載置部のそれぞれに応じて前記昇降動作範囲を設定し、設定した前記昇降動作範囲に応じた前記単位昇降量を求める、請求項4から6のいずれか一項に記載の物品昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を保持する保持部と、保持部を昇降させる昇降装置と、昇降装置を制御する制御部と、を備えた物品昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品昇降装置の一例が、特開2005-35770号公報(特許文献1)に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。特許文献1では、物品昇降装置が、把持部昇降式搬送装置に設けられている。この把持部昇降式搬送装置は、物品としての容器(3)を保持する把持部(20)と、把持部(20)を昇降させる昇降装置と、昇降装置を制御する制御手段(33)と、を備えている。昇降装置は、ドラム(16)と、ドラム(16)に巻回されたワイヤ(2)と、ドラム(16)を回転駆動する昇降モータ(M1)と、を備えており、ドラム(16)からのワイヤ(2)の繰り出しによって把持部(20)を下降させ、ドラム(16)へのワイヤ(2)の巻き取りによって把持部(20)を上昇させる。
【0003】
特許文献1の把持部昇降式搬送装置では、ロータリエンコーダからなる昇降量検出センサ(30)により検出される昇降モータ(M1)の回転量に基づき、把持部(20)の昇降量が制御される。そして、特許文献1の段落0009に記載されている課題を解決するために、この把持部昇降式搬送装置は、把持部(20)の過剰下降が検出された場合に、把持部(20)を設定上昇量だけ上昇させて把持部(20)の過剰下降を解消するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の段落0075にも記載されているように、ドラムに巻回される吊下げ部材として、ワイヤに代えてベルトが用いられる場合がある。この場合、ドラムに巻き取られているベルトの外周面の径である巻き取り径は、ドラムからのベルトの繰り出しによって次第に小さくなり、ドラムへのベルトの巻き取りによって次第に大きくなる。すなわち、ベルトの巻き取り径は、保持部(特許文献1では、把持部)の高さに応じて変化する。そして、このようなベルトの巻き取り径の変化は、駆動モータ(特許文献1では、昇降モータ)の回転量に基づき保持部の昇降量を制御する場合の、保持部の昇降量の誤差(目標昇降量に対するずれ)の要因となり得る。例えば特許文献1の装置のように、保持部の過剰下降が検出された場合に保持部を設定上昇量だけ上昇させる場合には、設定上昇量は比較的小さな値に設定されるため、ベルトの巻き取り径の変化に起因する保持部の昇降量の誤差を小さく抑えて、保持部の昇降動作を精度良く行えることが望ましい。
【0006】
そこで、ベルトの巻き取り径の変化に起因する保持部の昇降量の誤差を小さく抑えて、保持部の昇降動作の精度の向上を図ることができる技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る物品昇降装置は、物品を保持する保持部と、前記保持部を昇降させる昇降装置と、前記昇降装置を制御する制御部と、を備えた物品昇降装置であって、前記昇降装置は、ドラムと、前記ドラムに巻き取り及び繰り出し自在に巻回されたベルトと、前記ドラムを回転駆動する駆動モータと、前記駆動モータの駆動力を前記ドラムに伝達する伝達機構と、を備え、前記ベルトにより前記保持部を吊り下げた状態で、前記ドラムからの前記ベルトの繰り出しによって前記保持部を下降させ、前記ドラムへの前記ベルトの巻き取りによって前記保持部を上昇させ、前記制御部は、前記保持部の下降動作及び上昇動作の少なくとも一方である昇降動作を行う場合に、当該昇降動作が行われる前記保持部の高さ範囲である昇降動作範囲における、前記駆動モータの単位回転量あたりの前記保持部の昇降量である単位昇降量を、前記ドラムに巻き取られている前記ベルトの外周面の径が前記巻き取り及び前記繰り出しによって変化することに応じて求め、前記単位昇降量に基づいて、前記昇降動作のための前記駆動モータの回転量を決定する。
【0008】
本構成によれば、保持部の昇降動作を行う場合に、当該昇降動作が行われる昇降動作範囲における単位昇降量を、ドラムに巻き取られているベルトの外周面の径である巻き取り径が、ベルトの巻き取り及び繰り出しによって変化することに応じて求めることができる。そして、このように求めた単位昇降量に基づいて、保持部の昇降動作のための駆動モータの回転量を決定することができる。よって、例えば、保持部の昇降動作が行われる昇降動作範囲がその都度異なる場合であっても、その時々の昇降動作範囲に応じた単位昇降量を用いて、保持部の昇降動作のための駆動モータの回転量を適切に決定することができる。従って、ベルトの巻き取り径の変化に起因する保持部の昇降量の誤差を小さく抑えて、保持部の昇降動作の精度の向上を図ることができる。
【0009】
物品昇降装置の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る物品昇降装置及び載置部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
物品昇降装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1~
図3に示すように、物品昇降装置1は、物品2を保持する保持部10と、保持部10を昇降させる昇降装置20と、昇降装置20を制御する制御部30と、を備えている。本実施形態では、物品昇降装置1は、物品搬送車40に設けられている。物品搬送車40は、水平方向に走行して物品2を搬送するように構成されている。そのため、物品昇降装置1は、物品搬送車40の走行に伴い水平方向に移動する。このように、本実施形態では、物品昇降装置1は、水平方向に移動可能に構成されている。
【0012】
物品搬送車40は、走行経路に沿って走行して物品2を搬送する。ここで、走行経路の長手方向(走行経路が延びる方向)を経路長手方向Xとし、走行経路の幅方向を経路幅方向Yとする。経路幅方向Yは、経路長手方向X及び上下方向Z(鉛直方向)の双方に直交する方向である。
図1及び
図2に示す例では、経路長手方向Xは、経路幅方向Yと同様に、上下方向Zに直交する方向(すなわち、水平方向)である。
【0013】
走行経路は、物理的に形成されても仮想的に設定されてもよい。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、走行経路はレール4(ここでは、経路幅方向Yに間隔を空けて配置された一対のレール4)を用いて物理的に形成されている。また、本実施形態では、レール4は、天井3から吊り下げ支持されており、走行経路は、天井3に沿って形成されている。すなわち、本実施形態では、物品搬送車40は、天井3に沿って形成された走行経路に沿って走行する天井搬送車である。
【0014】
物品搬送車40は、走行経路に沿って走行する走行部41と、走行部41に連結された本体部44と、を備えている。本実施形態では、本体部44は、走行部41に対して下側Z2に配置された状態で、走行部41に連結されている。
図1及び
図2に示す例では、物品搬送車40は、走行部41を経路長手方向Xに並ぶように一対備えており、本体部44は、一対の走行部41に連結されている。
【0015】
走行部41は、レール4の走行面(ここでは、上側Z1を向く面)を転動する車輪43と、車輪43を回転駆動する走行用モータ42(例えば、サーボモータ等の電動モータ、
図2参照)と、を備えている。車輪43が走行用モータ42により回転されることで、走行部41がレール4に沿って走行する。
【0016】
本体部44は、物品2を保持する保持部10を備えている。
図2に示すように、本実施形態では、保持部10は、物品2の被支持部2aを下側Z2から支持する支持部材11を備えている。保持部10は、支持部材11により被支持部2aを支持することで、物品2を保持する。物品2の種類はこれに限定されないが、本実施形態では、物品2は、半導体ウェハ等の基板を収容する容器であり、被支持部2aは、物品2の上面に形成されたフランジ部である。
【0017】
本実施形態では、保持部10は、支持部材11を水平方向(ここでは、経路長手方向X)に並ぶように一対備えている。一対の支持部材11のそれぞれの支持部11aが被支持部2aの下側Z2に配置された状態で(
図7(a)参照)、被支持部2aが一対の支持部材11により下側Z2から支持される。一対の支持部材11のそれぞれの支持部11aは、被支持部2aを構成するフランジ部の下側Z2に形成された空間に挿入されることで、被支持部2aの下側Z2に配置される。
【0018】
保持部10は、保持部10による物品2の保持及び保持解除を行うための保持用モータ14(例えば、サーボモータ等の電動モータ、
図2参照)を備えており、保持用モータ14の駆動により、保持部10による物品2の保持動作及び保持解除動作が行われる。本実施形態では、保持用モータ14は、一対の支持部11aを水平方向に互いに接近及び離間させるように構成されている。保持部10による物品2の保持動作を行う場合には、保持用モータ14により一対の支持部11aが互いに接近されて、一対の支持部11aのそれぞれが被支持部2aの下側Z2に移動される(
図5(d)参照)。この状態で保持部10を上昇させることで、物品2が保持部10に保持された状態で上昇する。また、保持部10による物品2の保持解除動作を行う場合には、保持用モータ14により一対の支持部11aが互いに離間されて、一対の支持部11aのそれぞれが被支持部2aの下側Z2から退避される(
図7(d)参照)。
【0019】
図5~
図7に示すように、本実施形態では、物品2の上面(ここでは、被支持部2aの上面)に、下側Z2に窪む凹部2bが形成されている。保持部10は、物品2に対する保持部10の水平方向の位置決めのために、凹部2bに上側Z1から嵌合する嵌合部13を備えている。図示の例では、嵌合部13は、下側Z2に向かうに従って径が小さくなる円錐台状に形成されている。嵌合部13は、保持部10が備える移動部材12(ここでは、上下方向Zに延びる棒状部材)の下端に固定されている。移動部材12は、保持部10に対して上下方向Zに相対移動可能に(具体的には、保持部10の本体部分に対して上下方向Zに相対移動可能に)設けられている。ここで、保持部10の本体部分は、保持部10における後述するベルト22に連結される部分であり、別の言い方をすれば、支持部材11と一体的に昇降する部分である。嵌合部13が物品2から離間した状態では、移動部材12は、下側Z2に付勢された状態で、その上下方向Zの移動範囲の下限位置に配置される(
図5(a)参照)。また、嵌合部13が物品2と接触した状態(具体的には、嵌合部13が凹部2bに嵌合した状態)では、移動部材12は、保持部10と物品2との上下方向Zの距離が短くなるに従って、下側Z2への付勢力に抗して保持部10に対して上側Z1に相対移動する(
図5(b)、
図5(c)参照)。すなわち、保持部10と物品2との上下方向Zの距離が短くなるに従って、移動部材12の上記下限位置からの上側Z1への相対移動量が大きくなる。
【0020】
本体部44は、保持部10を昇降させる昇降装置20を備えている。
図2に示すように、昇降装置20は、ドラム21と、ドラム21に巻き取り及び繰り出し自在に巻回されたベルト22と、ドラム21を回転駆動する駆動モータ23(例えば、サーボモータ等の電動モータ)と、駆動モータ23の駆動力をドラム21に伝達する伝達機構24と、を備えている。ベルト22の一端はドラム21に固定され(
図4参照)、ベルト22の他端(ドラム21から繰り出される側の端部)は保持部10に連結されている(
図1、
図2参照)。本実施形態では、伝達機構24は、駆動モータ23の回転を減速してドラム21に伝達するように構成されている。伝達機構24は、例えば、互いに平行な2つの軸に分かれて配置されて互いに噛み合うギヤ対を備える。詳細は省略するが、昇降装置20が、ベルト22におけるドラム21から繰り出された部分の延在方向を変更するプーリを備えていてもよい。
【0021】
昇降装置20は、駆動モータ23によりドラム21を一方の回転方向に回転させることで、ドラム21からベルト22を繰り出し、駆動モータ23によりドラム21を他方の回転方向に回転させることで、ドラム21にベルト22を巻き取る。昇降装置20は、ベルト22により保持部10を吊り下げた状態で、ドラム21からのベルト22の繰り出しによって保持部10を下降させ、ドラム21へのベルト22の巻き取りによって保持部10を上昇させる。このように、昇降装置20は、駆動モータ23によりドラム21を回転させて、保持部10を昇降させる。
図2に示すように、本実施形態では、昇降装置20は、3つのドラム21を備えており、3つのドラム21のそれぞれにベルト22が巻回されている。そして、昇降装置20は、駆動モータ23によりこれら3つのドラム21を回転させて、保持部10を昇降させる。
【0022】
走行経路に沿って走行する走行動作を物品搬送車40が行う場合、保持部10は、基準高さHS(
図1、
図2参照)に配置される。基準高さHSは、例えば、昇降装置20による保持部10の昇降範囲の上限位置(言い換えれば、ドラム21にベルト22を最大限巻き取った状態での高さ)とされる。本実施形態では、基準高さHSは、保持部10に保持された物品2が本体部44に収容される高さである。基準高さHSの保持部10に保持された物品2は、本体部44が備えるカバー部45の内部空間(ここでは、少なくとも経路長手方向Xの両側が閉じられた空間)に配置される。
【0023】
保持部10と移載対象箇所6との間での物品2の移載動作を物品搬送車40が行う場合、保持部10は、移載対象箇所6に対応する目標高さH0(
図1参照)に配置される。すなわち、保持部10による物品2の保持動作や保持解除動作は、保持部10が目標高さH0に配置された状態で行われる。目標高さH0は、基準高さHSよりも低い高さとされる。また、目標高さH0は、移載対象箇所6(具体的には、移載対象箇所6に設けられて物品2が載置される載置部7)の高さに応じて設定される。
図1では、物品2が載置される高さが異なる複数の載置部7が存在し、これに応じて高さが異なる複数の目標高さH0が設定される場合を例示している。また、
図1では、載置部7の一例として、処理装置5に隣接して配置されるロードポートを示している。処理装置5は、物品2を処理対象とする装置であり、本実施形態では、物品2から取り出された基板に対して処理を行う。
【0024】
物品搬送車40の動作は、制御部30(
図3参照)により制御される。制御部30は、CPU等の演算処理装置を備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、制御部30の各機能が実現される。制御部30は、物品搬送車40に設けられても、物品搬送車40とは独立に設けられてもよい。また、制御部30が互いに通信可能に分離された複数のハードウェアを備える場合、一部のハードウェアが物品搬送車40に設けられ、残りのハードウェアが物品搬送車40とは独立に設けられてもよい。
【0025】
以下に説明する制御部30の種々の技術的特徴は、物品搬送車40(例えば、昇降装置20、以下同様)の制御方法や、物品搬送車40を制御するためのプログラムにも適用可能であり、そのような方法やプログラム、更には、そのようなプログラムが記録された記録媒体(光ディスクやフラッシュメモリ等の、コンピュータが読み取り可能な記録媒体)も、本明細書に開示されている。物品搬送車40を制御するためのプログラムは、例えば、当該プログラムを記録した記録媒体により提供され、或いは、通信ネットワークを介して提供され、提供されたプログラムは、制御部30(コンピュータ)が参照可能な記憶装置に記憶される。
【0026】
制御部30は、昇降装置20を制御する。具体的には、制御部30は、駆動モータ23を制御して、保持部10を下降させる下降動作や保持部10を上昇させる上昇動作を昇降装置20に行わせる。本実施形態では、制御部30は、更に、保持部10及び走行部41を制御する。具体的には、制御部30は、保持用モータ14(
図2参照、
図3では省略)を制御して、物品2を保持する保持動作や物品2の保持を解除する保持解除動作を保持部10に行わせる。また、制御部30は、走行用モータ42(
図2参照、
図3では省略)を制御して、走行経路に沿って走行する走行動作を走行部41に行わせる。
【0027】
保持部10と載置部7との間で物品2を移載する場合、制御部30は、走行動作を走行部41に行わせることで、載置部7に対応する位置まで物品搬送車40を走行させる。本実施形態では、載置部7に対応する位置は、載置部7よりも上側Z1であって、平面視(上下方向Zに沿う方向視)で本体部44が載置部7と重複する位置である。そして、保持部10から載置部7に物品2を移載する場合には、制御部30は、物品2を保持している保持状態の保持部10を基準高さHSから目標高さH0まで下降させる下降動作を昇降装置20に行わせた後、物品2の保持解除動作を保持部10に行わせ、その後、保持部10を目標高さH0から基準高さHSまで上昇させる上昇動作を昇降装置20に行わせる。また、載置部7から保持部10に物品2を移載する場合には、制御部30は、物品2を保持していない非保持状態の保持部10を基準高さHSから目標高さH0まで下降させる下降動作を昇降装置20に行わせた後、物品2の保持動作を保持部10に行わせ、その後、保持部10を目標高さH0から基準高さHSまで上昇させる上昇動作を昇降装置20に行わせる。
【0028】
駆動モータ23の回転量と保持部10の昇降量との間には相関があり、制御部30は、駆動モータ23の回転量に基づき保持部10の昇降量を制御する。すなわち、制御部30は、駆動モータ23の回転量を制御することで、保持部10の昇降量を制御する。本実施形態では、制御部30は、駆動モータ23の回転量の検出値に基づくフィードバック制御により、駆動モータ23の回転量を制御する。ここでは、駆動モータ23が単位回転量回転する毎にパルスを出力するエンコーダが、駆動モータ23に設けられており、制御部30は、エンコーダから出力されるパルスの数に基づき、駆動モータ23の回転量を検出する。このように、本実施形態では、制御部30は、単位回転量に対応するパルスの数(1パルスが単位回転量に対応するようなパルスの数)に基づき、駆動モータ23の回転量を制御する。
【0029】
ところで、
図4に示すように、ベルト22はドラム21に重ねて巻回される。そのため、ドラム21に巻き取られているベルト22の外周面22aの径(具体的には、直径)である巻き取り径は、ドラム21からのベルト22の繰り出しによって次第に小さくなり、ドラム21へのベルト22の巻き取りによって次第に大きくなる。すなわち、ベルト22の巻き取り径は、保持部10の高さに応じて変化する。なお、
図4に示すベルト中心径D(後述する)は、ベルト22の巻き取り径からベルト22の厚さTBを減算したものである。このようなベルト22の巻き取り径の変化は、上記のように駆動モータ23の回転量に基づき保持部10の昇降量を制御する場合の、保持部10の昇降量の誤差(目標昇降量に対するずれ)の要因となり得る。以下、このような保持部10の昇降量の誤差を小さく抑えるための本開示に係る技術について説明する。
【0030】
ここで、駆動モータ23の単位回転量あたりの保持部10の昇降量を「単位昇降量」とする。上述したように、本実施形態では、制御部30は、単位回転量に対応するパルスの数に基づき、駆動モータ23の回転量を制御するように構成されている。そのため、本実施形態では、単位昇降量は、パルス比(1パルスあたりの保持部10の昇降量)を表す。制御部30は、保持部10の下降動作及び上昇動作の少なくとも一方である昇降動作を行う場合に、当該昇降動作が行われる保持部10の高さ範囲である昇降動作範囲における単位昇降量を、ベルト22の巻き取り径が巻き取り及び繰り出し(具体的には、ドラム21へのベルト22の巻き取り、及び、ドラム21からのベルト22の繰り出し)によって変化することに応じて求める。単位昇降量の導出方法については後述する。そして、制御部30は、求めた単位昇降量に基づいて、昇降動作のための駆動モータ23の回転量を決定する。以下では、このように駆動モータ23の回転量が決定される昇降動作を「特定昇降動作」といい、特定昇降動作ではない昇降動作を「非特定昇降動作」という。制御部30は、保持部10が非特定昇降動作を行う場合、例えば、駆動モータ23の回転量の学習結果に基づいて、当該非特定昇降動作のための駆動モータ23の回転量を決定する。
【0031】
保持部10は、特定昇降動作及び非特定昇降動作のうちの少なくとも特定昇降動作を行う。以下に説明する
図5~
図7に示す場面では、保持部10は、特定昇降動作及び非特定昇降動作の双方を行う。
図5~
図7は、保持部10を基準高さHS(
図1、
図2参照)から目標高さH0まで下降させる場面を示している。そして、
図5及び
図6では、保持部10が第1高さH1に到達する時点までの保持部10の昇降動作が非特定昇降動作であり、当該時点以降の保持部10の昇降動作が特定昇降動作である。また、
図7では、保持部10が第2高さH2に到達する時点までの保持部10の昇降動作が非特定昇降動作であり、当該時点以降の保持部10の昇降動作が特定昇降動作である。以下、
図5~
図7に示す各場面について順に具体的に説明する。
【0032】
図5は、物品2を保持していない非保持状態の保持部10を下降させて、載置部7(
図1参照)に載置された物品2を保持部10に保持させる受取動作を行う場面を示しており、各時点での局面を、
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)、
図5(d)の順に時系列的に示している。
図5(c)及び
図5(d)は、非保持状態の保持部10が、載置部7に載置された物品2を保持する保持動作(ここでは、一対の支持部11aを互いに接近させて、一対の支持部11aのそれぞれを被支持部2aの下側Z2に移動させる動作)を行う様子を示している。このように保持動作を行うことができる位置に非保持状態の保持部10がある状態での、上下方向Zにおける保持部10と物品2との相対距離を保持可能距離Lとする。本実施形態では、支持部材11(支持部11aを含む)を物品2に接触させることなく保持動作を行うことができる位置に保持部10がある状態での、上下方向Zにおける保持部10と物品2との相対距離を保持可能距離Lとしている。保持可能距離Lは、ある程度の範囲を持った距離としてもよい。
図5では、物品2の上面(ここでは、被支持部2aの上面)の高さを第4高さH4とし、物品2よりも上側Z1であって物品2との相対距離が保持可能距離Lとなる保持部10の高さを目標高さH0としている。
【0033】
図5に示すように、本実施形態では、保持部10は、保持可能距離Lに第1距離L1を加算した距離だけ物品2よりも上側Z1の位置で物品2を検出する第1センサ51を備えている。ここでの「位置」は、保持部10の位置を表す。
図5では、目標高さH0よりも第1距離L1だけ上側Z1の高さを、第1高さH1としている。
図5(b)に示すように、第1センサ51は、保持部10が第1高さH1に位置する状態で、物品2を検出する。
【0034】
保持可能距離Lに第1距離L1を加算した距離を「第1対象距離」として、本実施形態では、第1センサ51は、上下方向Zにおける保持部10と物品2との相対距離が第1対象距離以下であることを検出するように構成されている。そのため、第1センサ51は、第1対象距離だけ物品2よりも上側Z1の位置と、当該位置よりも下側Z2の位置とで、物品2を検出する。なお、第1センサ51が、第1対象距離だけ物品2よりも上側Z1の位置でのみ物品2を検出する構成や、第1センサ51が、第1対象距離だけ物品2よりも上側Z1の位置と、当該位置から下側Z2に規定範囲内の位置とで、物品2を検出する構成とすることもできる。
【0035】
図5に示す例では、第1センサ51は、上下方向Zにおける保持部10と物品2との相対距離が短くなるに従って保持部10に対して上側Z1に相対移動する移動部材12を検出することで、当該相対距離が第1対象距離以下であることを検出する。第1センサ51は、例えば、移動部材12(具体的には、移動部材12に設けられた被検出部)の存否を検出する光センサとされる。
図5では、被検出部を移動部材12における上下方向Zに延びる棒状部分としているが、被検出部を移動部材12に設けられたドグ等とすることもできる。
【0036】
図5では、移動部材12を検出している状態の第1センサ51を黒塗りで表し、移動部材12を検出していない状態の第1センサ51を白抜きで表している。
図5(a)に示すように、上下方向Zにおける保持部10と物品2との相対距離が第1対象距離よりも大きい状態では、第1センサ51により移動部材12が検出されない。一方、
図5(b)に示すように上記相対距離が第1対象距離と等しい状態や、
図5(c)及び
図5(d)に示すように上記相対距離が第1対象距離より小さい状態では、第1センサ51により移動部材12が検出される。
【0037】
受取動作を行う場合、制御部30は、
図5(a)に示すように、非保持状態の保持部10を、載置部7(
図1参照)に載置された物品2に対して上側Z1から次第に接近させる。嵌合部13が凹部2bに嵌合するまでの間は、移動部材12は保持部10と一体的に下降し、嵌合部13が凹部2bに嵌合した後は、保持部10のみが下降して移動部材12は保持部10に対して上側Z1に相対移動する。
図5(b)に示すように保持部10が第1高さH1まで下降すると、第1センサ51により移動部材12が検出される(すなわち、第1センサ51により物品2が検出される)。
図5(b)に示す保持部10の位置が、第1センサ51により物品2を検出した位置である。
【0038】
制御部30は、第1センサ51により物品2を検出した位置から第1距離L1だけ保持部10を下降させる第1動作を昇降装置20に行わせる。第1動作の実行により、保持部10は、
図5(c)に示すように、第1高さH1から目標高さH0まで下降する。そして、制御部30は、
図5(d)に示すように、第1動作を完了した保持部10の上下方向Zの位置で、保持動作(ここでは、一対の支持部11aを互いに接近させて、一対の支持部11aのそれぞれを被支持部2aの下側Z2に移動させる動作)を保持部10に行わせる。図示は省略するが、保持動作の完了後、制御部30は、保持部10を目標高さH0から基準高さHSまで上昇させる上昇動作を昇降装置20に行わせる。これにより、保持部10は、物品2を保持して基準高さHSまで上昇する。
【0039】
上記の第1動作は、昇降動作(特定昇降動作)に含まれる。よって、制御部30は、第1動作が行われる昇降動作範囲における単位昇降量を求め、当該単位昇降量に基づいて、第1動作のための駆動モータ23の回転量を決定する。
図5に示す例では、目標高さH0と第1高さH1との間の高さ範囲が、第1動作が行われる昇降動作範囲である。
図1に例示するように、物品2が載置される高さが異なる複数の載置部7が存在する場合がある。本実施形態では、このような場合に、制御部30は、物品2が載置される高さが異なる複数の載置部7のそれぞれに応じて昇降動作範囲(例えば、目標高さH0と第1高さH1との間の高さ範囲)を設定し、設定した昇降動作範囲に応じた単位昇降量を求める。
【0040】
本実施形態では、制御部30は、昇降動作(特定昇降動作)における保持部10の目標昇降量を、単位昇降量で除算した値を、駆動モータ23の回転量として決定する。上述したように、本実施形態では、単位昇降量はパルス比(1パルスあたりの保持部10の昇降量)であるため、駆動モータ23の回転量は、パルス数(パルス量)で表される。
図5に示す例では、第1動作における保持部10の目標昇降量は、第1高さH1と目標高さH0との高低差であり、この高低差を単位昇降量で除算した値が、第1動作のための駆動モータ23の回転量として決定される。
【0041】
次に、
図6に示す場面について説明する。
図6は、
図5と同様に受取動作を行う場面を示しており、各時点での局面を、
図6(a)、
図6(b)、
図6(c)、
図6(d)の順に時系列的に示している。
図6では、
図5とは異なり、何らかの要因(例えば、ベルト22の経年変化等)によって、保持部10が、物品2との相対距離が保持可能距離Lとなる位置を超えて下降する場合(言い換えれば、保持部10が目標高さH0よりも下側Z2の高さまで下降する場合)を想定している。
【0042】
図6に示すように、本実施形態では、保持部10は、保持可能距離Lから第3距離L3を減算した距離だけ物品2よりも上側Z1の位置に保持部10が到達したことを特定状態として検出する第3センサ53を備えている。保持可能距離Lから第3距離L3を減算した距離を「第3対象距離」として、第3対象距離だけ物品2よりも上側Z1の位置は、支持部材11(支持部11aを含む)が物品2に接触しない位置とされる。
図6では、物品2よりも上側Z1であって物品2との相対距離が第3対象距離となる保持部10の高さを第3高さH3としている。第3センサ53は、
図6(c)に示すように保持部10が第3高さH3まで下降したことを、特定状態として検出する。
【0043】
本実施形態では、第3センサ53は、上下方向Zにおける保持部10と物品2との相対距離が第3対象距離以下であることを検出するように構成されている。そのため、第3センサ53は、第3対象距離だけ物品2よりも上側Z1の位置と、当該位置よりも下側Z2の位置とで、特定状態を検出する。なお、第3センサ53が、第3対象距離だけ物品2よりも上側Z1の位置でのみ特定状態を検出する構成や、第3センサ53が、第3対象距離だけ物品2よりも上側Z1の位置と、当該位置から下側Z2に規定範囲内の位置とで、特定状態を検出する構成とすることもできる。
【0044】
図6に示す例では、第3センサ53は、上下方向Zにおける保持部10と物品2との相対距離が短くなるに従って保持部10に対して上側Z1に相対移動する移動部材12を検出することで、当該相対距離が第3対象距離以下であることを検出する。第3センサ53は、例えば、移動部材12(具体的には、移動部材12に設けられた被検出部)の存否を検出する光センサとされる。
図6では、被検出部を移動部材12における上下方向Zに延びる棒状部分としているが、被検出部を移動部材12に設けられたドグ等とすることもできる。また、
図6では、第3センサ53が第1センサ51よりも上側Z1に配置されているが、例えば、互いに同じ高さに配置された第1センサ51と第3センサ53とが、移動部材12における互いに異なる被検出部(例えば、互いに異なるドグ)を検出する構成とすることもできる。
【0045】
図6では、特定状態を検出している状態の第3センサ53を黒塗りで表し、特定状態を検出していない状態の第3センサ53を白抜きで表している。
図6(a)、
図6(b)、及び
図6(d)に示すように、上下方向Zにおける保持部10と物品2との相対距離が第3対象距離よりも大きい状態では、第3センサ53により移動部材12が検出されない。一方、
図6(c)に示すように上記相対距離が第3対象距離と等しい状態や、図示は省略するが上記相対距離が第3対象距離より小さい状態では、第3センサ53により移動部材12が検出される。
【0046】
図6(a)は、
図5(a)と同様に、非保持状態の保持部10を、載置部7に載置された物品2に対して上側Z1から接近させている状態を示している。
図6(b)は、
図5(b)と同様に、保持部10が第1高さH1まで下降して、第1センサ51により物品2が検出された状態を示している。制御部30は、
図5(c)と同様に、第1センサ51により物品2を検出した位置から第1距離L1だけ保持部10を下降させる第1動作を昇降装置20に行わせるが、ここでは、
図6(c)に示すように、保持部10が目標高さH0よりも下側Z2の高さである第3高さH3まで下降する。この結果、第3センサ53により移動部材12が検出される(すなわち、第3センサ53により特定状態が検出される)。
図6(c)に示す保持部10の位置が、第3センサ53により特定状態を検出した位置である。
【0047】
制御部30は、非保持状態の保持部10を、載置部7に載置された物品2に対して上側Z1から次第に接近させている間に、第3センサ53により特定状態を検出した場合に、第3センサ53により特定状態を検出した位置から第3距離L3だけ保持部10を上昇させる第3動作を昇降装置20に行わせる。第3動作の実行により、保持部10は、
図6(d)に示すように、第3高さH3から目標高さH0まで上昇する。そして、制御部30は、図示は省略するが、第3動作を完了した保持部10の上下方向Zの位置で保持部10に保持動作を行わせた後、保持部10を目標高さH0から基準高さHSまで上昇させる上昇動作を昇降装置20に行わせる。これにより、保持部10は、物品2を保持して基準高さHSまで上昇する。
【0048】
上記の第3動作は、昇降動作(特定昇降動作)に含まれる。よって、制御部30は、第3動作が行われる昇降動作範囲における単位昇降量を求め、当該単位昇降量に基づいて、第3動作のための駆動モータ23の回転量を決定する。
図6に示す例では、第3高さH3と目標高さH0との間の高さ範囲が、第3動作が行われる昇降動作範囲である。そして、
図6に示す例では、第3動作における保持部10の目標昇降量は、第3高さH3と目標高さH0との高低差であり、この高低差を単位昇降量で除算した値が、第3動作のための駆動モータ23の回転量として決定される。
【0049】
次に、
図7に示す場面について説明する。
図7は、物品2を保持している保持状態の保持部10を下降させて、物品2を載置部7(
図1参照)に渡す引渡動作を行う場面を示しており、各時点での局面を、
図7(a)、
図7(b)、
図7(c)、
図7(d)の順に時系列的に示している。
【0050】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、本実施形態では、保持部10は、支持部材11により物品2をしている支持状態であるか、支持部材11により物品2を支持していない非支持状態であるかを検出する第2センサ52を備えている。第2センサ52は、例えば、支持部材11の支持部11aに設けられた感圧センサとされる。
図7(a)及び
図7(b)では、支持状態であることを検出している状態の第2センサ52を黒塗りで表し、非支持状態であることを検出している状態の第2センサ52を白抜きで表している。
【0051】
引渡動作を行う場合、制御部30は、
図7(a)に示すように、保持状態の保持部10を、物品2が載置される載置部7(
図1参照)に対して上側Z1から次第に接近させる。物品2が載置部7に載置されるまでの間は、支持部材11は物品2を支持した状態で物品2と一体的に下降する。そして、物品2が載置部7に載置された後は、支持部材11のみが下降して支持部材11は物品2を支持しない状態になり、これにより、支持状態から非支持状態になったことが第2センサ52により検出される。ここでは、
図7(b)に示すように、目標高さH0よりも第2距離L2だけ上側Z1の高さである第2高さH2まで保持部10が下降すると、支持状態から非支持状態になったことが第2センサ52により検出される。
【0052】
制御部30は、物品2が載置部7に載置されたことによって支持状態から非支持状態になったことを第2センサ52により検出した位置から第2距離L2だけ保持部10を下降させる第2動作を昇降装置20に行わせる。第2動作の実行により、保持部10は、
図7(c)に示すように、第2高さH2から目標高さH0まで下降する。そして、制御部30は、
図7(d)に示すように、第2動作を完了した保持部10の上下方向Zの位置で、支持部材11を被支持部2aの下側Z2から退避させる保持解除動作(ここでは、一対の支持部11aを互いに離間させて、一対の支持部11aのそれぞれを被支持部2aの下側Z2から退避させる動作)を保持部10に行わせる。図示は省略するが、保持解除動作の完了後、制御部30は、保持部10を目標高さH0から基準高さHSまで上昇させる上昇動作を昇降装置20に行わせる。これにより、保持部10は、物品2を載置部7に残した状態で基準高さHSまで上昇する。
【0053】
上記の第2動作は、昇降動作(特定昇降動作)に含まれる。よって、制御部30は、第2動作が行われる昇降動作範囲における単位昇降量を求め、当該単位昇降量に基づいて、第2動作のための駆動モータ23の回転量を決定する。
図7に示す例では、第2高さH2と目標高さH0との間の高さ範囲が、第2動作が行われる昇降動作範囲である。そして、
図7に示す例では、第2動作における保持部10の目標昇降量は、第2高さH2と目標高さH0との高低差であり、この高低差を単位昇降量で除算した値が、第2動作のための駆動モータ23の回転量として決定される。
【0054】
詳細は省略するが、
図7に示すように引渡動作を行う場合にも、何らかの要因によって、保持部10が目標高さH0よりも下側Z2の高さまで下降し得る。この場合、制御部30が上述した第3動作を昇降装置20に行わせることで、保持部10が目標高さH0に位置する状態で保持部10に保持解除動作を行わせることができる。
【0055】
次に、単位昇降量の導出方法について説明する。本実施形態では、制御部30は、以下の式(1)により単位昇降量を求める。
PR=π/(RL×PP)
2×(RL×PP×DL-2×TB×UP)・・・(1)
ここで、PRは、単位昇降量である。式(1)により求まる単位昇降量は、パルス比(1パルスあたりの保持部10の昇降量)である。RLは、ドラム21の回転量に対する駆動モータ23の回転量の比である。本実施形態では、駆動モータ23の回転は、伝達機構24により減速されてドラム21に伝達されるため、RLは1より大きな値(すなわち、減速比)である。PPは、駆動モータ23の1回転に相当するパルスの数である。本実施形態では、PPは、駆動モータ23が1回転する間にエンコーダから出力されるパルスの数である。DLは、保持部10が基準高さHSに位置する状態でのベルト中心径Dである。
図4に示すように、ベルト22における厚み方向の中心位置を厚み中心Cとして、ベルト中心径Dは、ドラム21に巻き取られているベルト22のうちの最も外周側のベルト22の厚み中心Cの径(具体的には、直径)である。すなわち、DLは、保持部10が基準高さHSに位置する状態での巻き取り径(ベルト22の外周面22aの径)から、ベルト22の厚さTBを減算したものである。本実施形態では、基準高さHSは、昇降装置20による保持部10の昇降範囲の上限位置である(
図1、
図2参照)。TBは、ベルト22の厚さである。UPは、保持部10を、基準高さHSから、昇降動作(特定昇降動作)が行われる昇降動作範囲内の高さまで昇降(ここでは、下降)させるための、駆動モータ23の回転量に相当するパルスの数である。ここで、上記の「昇降動作が行われる昇降動作範囲内の高さ」は、例えば、当該昇降動作範囲の上限高さ、当該昇降動作範囲の下限高さ、当該昇降動作範囲の中間の高さ(例えば、中央の高さ)、当該昇降動作の開始時の保持部10の高さ、或いは、当該昇降動作の終了時の保持部10の高さとすることができる。また、UPの値(パルスの数)は、例えば、実際の測定結果(学習結果)に基づく値とすることができる。
【0056】
上述したように、
図5に示す例での第1動作が行われる昇降動作範囲は、目標高さH0と第1高さH1との間の高さ範囲であり、
図6に示す例での第3動作が行われる昇降動作範囲は、目標高さH0と第3高さH3との間の高さ範囲であり、
図7に示す例での第2動作が行われる昇降動作範囲は、目標高さH0と第2高さH2との間の高さ範囲である。このように、昇降動作(特定昇降動作)が行われる昇降動作範囲に目標高さH0が含まれる場合、例えば、UPを、保持部10を基準高さHSから目標高さH0まで昇降(ここでは、下降)させるための駆動モータ23の回転量に相当するパルスの数とすることができる。
【0057】
上記の式(1)は、以下のように導出することができる。単位昇降量(PR)は、ベルト中心径Dを用いて、以下の式(2)で表される。
PR=π×D/(RL×PP)・・・(2)
【0058】
任意の昇降位置でのベルト中心径Dとベルト22の巻き数との関係は、ベルト22の巻き数をMとして、ドラム21の外周面21aの径(具体的には、直径)であるドラム径D0(
図4参照)と、ベルト22の厚さTB(
図4参照)とを用いて、以下の式(3)で表される。
D=D0+TB×(2×M-1)・・・(3)
【0059】
ベルト22の巻き数(M)と上記のパルスの数(UP)との関係は、保持部10が基準高さHSに位置する状態でのベルト22の巻き数をMLとして、以下の式(4)で表される。
M=ML-UP/(RL×PP)・・・(4)
【0060】
保持部10が基準高さHSに位置する状態でのベルト中心径DであるDLは、以下の式(5)で表される。
DL=D0+TB×(2×ML-1)・・・(5)
【0061】
式(3)~式(5)を用いて式(2)を変形すると、式(1)が得られる。
【0062】
上記の式(1)は、以下のように導出することもできる。ここで、ベルト中心径Dに応じて変化する、ベルト22におけるドラム21から繰り出されている部分の長さを、Sとする。この部分がドラム21に巻回されている状態での、当該部分のドラム21の回転軸心Aに直交する断面積は、π×(DL/2)2-π×(D/2)2で近似的に表され、この断面積が、当該部分の長さ(S)とベルト22の厚さTBとの積であるS×TBに等しいとすると、以下の式(6)が成立する。
S=π×(DL2-D2)/(4×TB)・・・(6)
【0063】
式(3)~式(5)を用いて式(6)を変更すると、以下の式(7)が得られる。そして、式(7)の右辺をUPで微分することで、式(1)が得られる。
S=π/(RL×PP)2×(RL×PP×DL×UP-TB×UP2)・・・(7)
【0064】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、制御部30が、エンコーダから出力されるパルスの数に基づき、駆動モータ23の回転量を制御する構成を例として説明した。しかし、制御部30が単位回転量に対応するパルスの数に基づき駆動モータ23の回転量を制御する構成はこれに限らず、例えば、入力されるパルスの数に応じた回転量だけ回転するように構成された駆動モータ23を用い、制御部30が、駆動モータ23に入力するパルスの数に基づき、駆動モータ23の回転量を制御する構成とすることもできる。この場合、1パルスあたりの駆動モータ23の回転量を「単位回転量」として、駆動モータ23に入力するパルスの数は、「単位回転量に対応するパルスの数」となる。
【0065】
(2)上記の実施形態では、物品昇降装置1が水平方向に移動可能な構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、物品昇降装置1が水平方向に移動不能な構成とすることもできる。
【0066】
(3)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0067】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品昇降装置の概要について説明する。
【0068】
物品を保持する保持部と、前記保持部を昇降させる昇降装置と、前記昇降装置を制御する制御部と、を備えた物品昇降装置であって、前記昇降装置は、ドラムと、前記ドラムに巻き取り及び繰り出し自在に巻回されたベルトと、前記ドラムを回転駆動する駆動モータと、前記駆動モータの駆動力を前記ドラムに伝達する伝達機構と、を備え、前記ベルトにより前記保持部を吊り下げた状態で、前記ドラムからの前記ベルトの繰り出しによって前記保持部を下降させ、前記ドラムへの前記ベルトの巻き取りによって前記保持部を上昇させ、前記制御部は、前記保持部の下降動作及び上昇動作の少なくとも一方である昇降動作を行う場合に、当該昇降動作が行われる前記保持部の高さ範囲である昇降動作範囲における、前記駆動モータの単位回転量あたりの前記保持部の昇降量である単位昇降量を、前記ドラムに巻き取られている前記ベルトの外周面の径が前記巻き取り及び前記繰り出しによって変化することに応じて求め、前記単位昇降量に基づいて、前記昇降動作のための前記駆動モータの回転量を決定する。
【0069】
本構成によれば、保持部の昇降動作を行う場合に、当該昇降動作が行われる昇降動作範囲における単位昇降量を、ドラムに巻き取られているベルトの外周面の径である巻き取り径が、ベルトの巻き取り及び繰り出しによって変化することに応じて求めることができる。そして、このように求めた単位昇降量に基づいて、保持部の昇降動作のための駆動モータの回転量を決定することができる。よって、例えば、保持部の昇降動作が行われる昇降動作範囲がその都度異なる場合であっても、その時々の昇降動作範囲に応じた単位昇降量を用いて、保持部の昇降動作のための駆動モータの回転量を適切に決定することができる。従って、ベルトの巻き取り径の変化に起因する保持部の昇降量の誤差を小さく抑えて、保持部の昇降動作の精度の向上を図ることができる。
【0070】
ここで、前記制御部は、前記昇降動作における前記保持部の目標昇降量を、前記単位昇降量で除算した値を、前記駆動モータの回転量として決定すると好適である。
【0071】
本構成によれば、昇降動作における保持部の実際の昇降量が目標昇降量と同等となるように、駆動モータの回転量を適切に決定することができる。
【0072】
前記の構成において、前記制御部は、前記単位回転量に対応するパルスの数に基づき、前記駆動モータの回転量を制御するように構成され、前記制御部は、以下の式(1)により前記単位昇降量を求めると好適である。
PR=π/(RL×PP)2×(RL×PP×DL-2×TB×UP)・・・(1)
ここで、PRは、前記単位昇降量であり、RLは、前記ドラムの回転量に対する前記駆動モータの回転量の比であり、PPは、前記駆動モータの1回転に相当する前記パルスの数であり、DLは、前記保持部が基準高さに位置する状態での、前記ドラムに巻き取られている前記ベルトのうちの最も外周側の前記ベルトの厚み中心の径であり、TBは、前記ベルトの厚さであり、UPは、前記保持部を前記基準高さから前記昇降動作範囲内の高さまで昇降させるための前記駆動モータの回転量に相当する前記パルスの数である。
【0073】
式(1)の右辺のパラメータのうち、UP以外のパラメータは、物品昇降装置の構成に応じて定まる定数である。よって、本構成によれば、保持部の昇降動作が行われる昇降動作範囲における単位昇降量を求めるための演算処理の負荷を小さく抑えつつ、保持部の昇降動作の精度の向上を図ることができる。
【0074】
上記の各構成において、前記物品を保持していない非保持状態の前記保持部が、載置部に載置された前記物品を保持する保持動作を行うことができる位置にある状態での、上下方向における前記保持部と前記物品との相対距離を保持可能距離として、前記保持部は、前記保持可能距離に第1距離を加算した距離だけ前記物品よりも上側の位置で前記物品を検出する第1センサを備え、前記制御部は、前記非保持状態の前記保持部を、前記載置部に載置された前記物品に対して上側から次第に接近させ、前記第1センサにより前記物品を検出した位置から前記第1距離だけ前記保持部を下降させる第1動作を前記昇降装置に行わせ、前記第1動作を完了した前記保持部の上下方向の位置で前記保持部に前記保持動作を行わせるように構成され、前記昇降動作には、前記第1動作が含まれると好適である。
【0075】
本構成によれば、非保持状態の保持部を下降させて載置部に載置された物品を保持させる動作である受取動作を行う場合に、第1動作における保持部の実際の下降量が第1距離と同等となるように、第1動作における駆動モータの回転量を決定することができる。よって、受取動作を行う場合に、物品との相対距離が保持可能距離となる位置まで保持部を第1動作によって精度良く下降させて、物品の保持動作を保持部に適切に行わせることができる。
【0076】
また、前記保持部は、前記物品の被支持部を下側から支持する支持部材と、前記支持部材により前記物品をしている支持状態であるか、前記支持部材により前記物品を支持していない非支持状態であるかを検出する第2センサと、を備え、前記制御部は、前記物品を保持している保持状態の前記保持部を、前記物品が載置される載置部に対して上側から次第に接近させ、前記物品が前記載置部に載置されたことによって前記支持状態から前記非支持状態になったことを前記第2センサにより検出した位置から第2距離だけ前記保持部を下降させる第2動作を前記昇降装置に行わせ、前記第2動作を完了した前記保持部の上下方向の位置で、前記支持部材を前記被支持部の下側から退避させる保持解除動作を前記保持部に行わせるように構成され、前記昇降動作には、前記第2動作が含まれると好適である。
【0077】
本構成によれば、保持状態の保持部を下降させて物品を載置部に渡す動作である引渡動作を行う場合に、第2動作における保持部の実際の下降量が第2距離と同等となるように、第2動作における駆動モータの回転量を決定することができる。よって、引渡動作を行う場合に、支持部材が被支持部から下側に第2距離以上離間する位置まで保持部を第2動作によって精度良く下降させて、物品の保持解除動作を保持部に適切に行わせることができる。
【0078】
また、前記物品を保持していない非保持状態の前記保持部が、載置部に載置された前記物品を保持する保持動作を行うことができる位置にある状態での、上下方向における前記保持部と前記物品との相対距離を保持可能距離として、前記保持部は、前記保持可能距離から第3距離を減算した距離だけ前記物品よりも上側の位置に前記保持部が到達したことを特定状態として検出する第3センサを備え、前記制御部は、前記非保持状態の前記保持部を、前記載置部に載置された前記物品に対して上側から次第に接近させている間に、前記第3センサにより前記特定状態を検出した場合に、前記第3センサにより前記特定状態を検出した位置から前記第3距離だけ前記保持部を上昇させる第3動作を前記昇降装置に行わせるように構成され、前記昇降動作には、前記第3動作が含まれると好適である。
【0079】
本構成によれば、非保持状態の保持部を下降させて載置部に載置された物品を保持させる動作である受取動作を行う場合に、第3動作における保持部の実際の上昇量が第3距離と同等となるように、第3動作における駆動モータの回転量を決定することができる。よって、受取動作を行う場合に、何らかの要因によって、保持部が、物品との相対距離が保持可能距離となる位置を超えて、第3センサにより特定状態が検出されるまで下降した場合であっても、物品との相対距離が保持可能距離となる位置まで保持部を第3動作によって精度良く上昇させて、物品の保持動作を保持部に適切に行わせることができる。
【0080】
また、前記制御部は、前記物品が載置される高さが異なる複数の前記載置部のそれぞれに応じて前記昇降動作範囲を設定し、設定した前記昇降動作範囲に応じた前記単位昇降量を求めると好適である。
【0081】
物品が載置される高さが異なる複数の載置部が存在する場合、それぞれの載置部の高さに応じて昇降動作範囲が異なる。本構成によれば、そのような場合であっても、それぞれの昇降動作範囲に応じた単位昇降量を用いて駆動モータの回転量を決定することで、それぞれの載置部に対する保持部の昇降動作の精度の向上を図ることができる。
【0082】
本開示に係る物品昇降装置は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0083】
1:物品昇降装置
2:物品
2a:被支持部
7:載置部
10:保持部
11:支持部材
20:昇降装置
21:ドラム
22:ベルト
22a:外周面
23:駆動モータ
24:伝達機構
30:制御部
51:第1センサ
52:第2センサ
53:第3センサ
C:厚み中心
D:ベルト中心径(ドラムに巻き取られているベルトのうちの最も外周側のベルトの厚み中心の径)
HS:基準高さ
L:保持可能距離
L1:第1距離
L2:第2距離
L3:第3距離
TB:ベルトの厚さ
Z:上下方向
Z1:上側
Z2:下側