IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社TATの特許一覧

<>
  • 特開-冷却具及び冷却具の製造方法 図1
  • 特開-冷却具及び冷却具の製造方法 図2
  • 特開-冷却具及び冷却具の製造方法 図3
  • 特開-冷却具及び冷却具の製造方法 図4
  • 特開-冷却具及び冷却具の製造方法 図5
  • 特開-冷却具及び冷却具の製造方法 図6
  • 特開-冷却具及び冷却具の製造方法 図7
  • 特開-冷却具及び冷却具の製造方法 図8
  • 特開-冷却具及び冷却具の製造方法 図9
  • 特開-冷却具及び冷却具の製造方法 図10
  • 特開-冷却具及び冷却具の製造方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027664
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】冷却具及び冷却具の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/10 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
A61F7/10 300E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130635
(22)【出願日】2022-08-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・令和3年12月13日に株式会社アソボラボ、令和4年4月25日に富士器業株式会社、令和4年4月28日にdogsalon82chocolate、令和4年5月12日にprincess MINIMO、令和4年5月20日にFELLOW SHIP株式会社、令和4年6月3日にSYUNA & BANI、令和4年6月9日に有限会社エースアンドエース、令和4年6月15日にスタンダードへ販売。 ・令和4年2月8日第93回東京インターナショナルギフト・ショー春2022にて公開。 ・令和4年3月11日に以下のウェブサイトのアドレスにて公開。 https://www.rakuten.ne.jp/gold/suo-life/、https://suo-life.com/、https://shopping.geocities.jp/suo-life/、https://suolife.thebase.in/、https://www.amazon.co.jp/sp?ie=UTF8&seller=A1I4GAXFL03RXZ
(71)【出願人】
【識別番号】521132820
【氏名又は名称】株式会社TAT
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】朴 晟濟
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA02
4C099CA01
4C099EA08
(57)【要約】
【課題】冷却具の収容部に適切な分量の保冷材を容易に収容できるようにする。
【解決手段】冷却具100は、熱を吸収して固相から液相に変化する保冷材2と、保冷材2を収容する複数の収容部30が形成された外装パック3とを備える。外装パック3は、平坦な第1シート5と、第1シート5に対向する第2シート6とを有する。第2シート6には、第1シート5とは反対の方へ凹んだ複数の凹部63と、隣り合う凹部63の間を仕切る畝状の仕切り64とが形成される。収容部30は、各凹部63が第1シート5により密閉されるように第1シート5と第2シート6とが互いに接合されることによって、第1シート5と凹部63とで形成される。仕切り64の端縁は、第1シート5に接合されている。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を吸収して固相から液相に変化する保冷材と、
前記保冷材を収容する複数の収容部が形成された外装パックとを備え、
前記外装パックは、平坦な第1シートと、前記第1シートに対向する第2シートとを有し、
前記第2シートには、前記第1シートとは反対の方へ凹んだ複数の凹部と、隣り合う前記凹部の間を仕切る畝状の仕切りとが形成され、
前記収容部は、前記各凹部が前記第1シートにより密閉されるように前記第1シートと前記第2シートとが互いに接合されることによって、前記第1シートと前記凹部とで形成され、
前記仕切りの端縁は、前記第1シートに接合されている冷却具。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却具において、
前記第2シートは、複数の前記仕切りを有し、
複数の前記仕切りは、前記外装パックを横断するように直線状に配列されて、前記外装パックを前記第1シートが内側になるように折り畳む際の折り目として機能する複数の折り畳み用仕切りを含み、
前記折り畳み用仕切りは、前記第1シートの方へ凸状に曲がった断面形状を有している冷却具。
【請求項3】
請求項2に記載の冷却具において、
前記折り畳み用仕切りは、隣り合う前記凹部の一方を区画する第1壁と、隣り合う前記凹部の他方を区画する第2壁と、前記第1壁と前記第2壁とを連結し、且つ、前記端縁を形成する連結部とを含み、
前記複数の折り畳み用仕切りの前記連結部は、前記外装パックを横断するように直線状に配列されている冷却具。
【請求項4】
冷却具の製造方法であって、
熱を吸収して固相から液相に変化する保冷材を準備することと、
平坦な第1シートを準備することと、
複数の凹部と、隣り合う前記凹部の間を仕切る仕切りとが形成された第2シートを準備することと、
前記各凹部に前記保冷材を充填することと、
前記第1シートと前記第2シートとを互いに接合して、前記保冷材が収容された前記各凹部を前記第1シートにより密閉することとを含み、
前記密閉することにおいては、前記仕切りの端縁と前記第1シートとを互いに接合する冷却具の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の冷却具の製造方法であって、
前記第1シートの外周縁と前記第2シートの外周縁との間に注入口が形成されるように、前記第1シートの外周縁と前記第2シートの外周縁とを互いに接合することをさらに含み、
前記各凹部に前記保冷材を充填することにおいては、前記注入口を介して前記各凹部に前記保冷材を充填し、
前記密閉することにおいては、前記第1シートと前記第2シートとを互いに接合することによって、前記保冷材が収容された前記各凹部を前記第1シートにより密閉すると共に前記注入口を密閉する冷却具の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、冷却具及び冷却具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷媒ゲルからなる保冷材がチューブに収容された冷却具が開示されている。チューブは、対向する一対のプラスチックシートを互いに溶着することによって形成されている。チューブには、チューブの幅方向に延びるシールが溶着によって形成されている。チューブの内部は、シールによって、チューブの長さ方向に並ぶ複数の収容部に分割されている。各収容部には、保冷材が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4854319号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した冷却具では、冷却具の各収容部に収容される保冷材の分量を安定させることが難しく、各収容部に適切な分量の保冷材を収容することが難しい。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各収容部に適切な分量の保冷材を容易に収容できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された冷却具は、熱を吸収して固相から液相に変化する保冷材と、前記保冷材を収容する複数の収容部が形成された外装パックとを備え、前記外装パックは、平坦な第1シートと、前記第1シートに対向する第2シートとを有し、前記第2シートには、前記第1シートとは反対の方へ凹んだ複数の凹部と、隣り合う前記凹部の間を仕切る畝状の仕切りとが形成され、前記収容部は、前記各凹部が前記第1シートにより密閉されるように前記第1シートと前記第2シートとが互いに接合されることによって、前記第1シートと前記凹部とで形成され、前記仕切りの端縁は、前記第1シートに接合されている。
【0007】
ここに開示された冷却具の製造方法は、熱を吸収して固相から液相に変化する保冷材を準備することと、平坦な第1シートを準備することと、複数の凹部と、隣り合う前記凹部の間を仕切る仕切りとが形成された第2シートを準備することと、前記各凹部に前記保冷材を充填することと、前記第1シートと前記第2シートとを互いに接合することによって、前記保冷材が収容された前記各凹部を前記第1シートにより密閉することとを含み、前記密閉することにおいては、前記仕切りの端縁と前記第1シートとを互いに接合する。
【発明の効果】
【0008】
前記冷却具にあっては、各収容部に適切な分量の保冷材を容易に収容することができる。
【0009】
前記冷却具の製造方法にあっては、各収容部に適切な分量の保冷材を容易に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、冷却具の平面図である。
図2図2は、冷却具の底面図である。
図3図3は、冷却具の正面図である。
図4図4は、図1のIV-IV線断面図である。
図5図5は、折り畳まれた冷却具の側面図である。
図6図6は、保冷材が充填される前の外装パックの平面図である。
図7図7は、保冷材が充填される前の外装パックの一部の断面図である。
図8図8は、変形例1の冷却具の平面図である。
図9図9は、変形例2の冷却具の平面図である。
図10図10は、変形例3の冷却具の平面図である。
図11図11は、変形例3の冷却具が取り付けられた背負い鞄の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、冷却具100の平面図である。図2は、冷却具100の底面図である。図3は、冷却具100の正面図である。冷却具100は、生体の一部を冷却するために用いられる。生体は、例えば、人又は人以外の動物の体である。冷却具100は、例えば、座布団、枕又はマット等として用いられる。冷却具100の冷却対象となる対象部分は、例えば、生体の頭部、背中、腕、手、臀部、脚又は足等である。
【0012】
図4は、図1のIV-IV線断面図である。冷却具100は、熱を吸収して固相から液相に変化する保冷材2と、保冷材2を収容する外装パック3とを含んでいる。外装パック3は、可撓性を有している。そのため、保冷材2が液相であるとき、冷却具100は、変形し得る。冷却具100は、平板状の基本形状になり得る。以下では、特に断りが無い限り、基本形状の冷却具100について説明する。また、冷却具100の厚み方向、すなわち、後述する平坦な第1シート5の厚み方向を、単に「厚み方向」という。厚み方向と直交する所定の一方向を「第1方向」という。厚み方向と直交し、且つ、第1方向と直交する方向を「第2方向」という。
【0013】
保冷材2は、PCM(Phase Change Material)である。保冷材2は、固相及び液相のとき、対象部分から熱を顕熱として吸収する。保冷材2は、固相から液相へ変化する際、対象部分から熱を潜熱(融解熱)として吸収する。
【0014】
保冷材2は、例えば、脂肪族炭化水素を含む。脂肪族炭化水素は、例えば、パラフィン又は脂肪族飽和炭化水素である。保冷材2は、脂肪族炭化水素として、テトラデカン(C1430)、ヘキサデカン(C1634)及びオクタデカン(C1838)のうち少なくとも1つを含んでもよい。保冷材2は、テトラデカン、ヘキサデカン及びオクタデカンのうち1つだけ若しくは2つだけ含んでもよいし、全てを含んでもよい。保冷材2は、脂肪族炭化水素に加えて、高吸水性樹脂(SAP:Super Absorbent Polymer)、水、アロマ、グラファイト(Graphite)、有機物又はミネラル等をさらに含み得る。保冷材2の融点は、例えば、常温である。保冷材2の融点は、5℃以上35℃以下であることが好ましく、15℃以上35℃以下であることがより好ましい。
【0015】
外装パック3は、冷却具100の外面を形成する。すなわち、外装パック3は、全体として平板状に形成されている。図1に示すように、厚み方向から見た外装パック3の形状は、長手方向が第2方向に延びる略長方形状である。外装パック3には、保冷材2を収容する複数の収容部30が形成されている。外装パック3には、外装パック3を厚み方向に貫通する複数の通気孔39がさらに形成されてもよい。
【0016】
各収容部30は、保冷材2を個別に収容する。厚み方向から見た収容部30の形状は、略直角三角形状である。収容部30は、第1方向に延びる第1辺31と、第2方向に延びる第2辺32と、厚み方向と直交し、且つ、第1方向及び第2方向のそれぞれに対して傾斜する方向に延びる第3辺33とを有している。
【0017】
複数の収容部30は、第1方向及び第2方向に配列されている。詳しくは、外装パック3には、互いの第3辺33を介して隣り合う2つの収容部30の組が第1方向において4組並び、これら4組から形成された収容部30の列が、第2方向において4列形成されている。第1方向において隣り合う組は、互いの収容部30の第2辺32を介して隣り合っている。第2方向において隣り合う列は、互いの収容部30の第1辺31を介して隣り合っている。
【0018】
外装パック3は、2枚のシート5,6を重ね合わせて互いに接合することによって形成される。具体的には、外装パック3は、図4に示すように、第1シート5と、第1シート5に対向する第2シート6とを有している。
【0019】
第1シート5及び第2シート6のそれぞれは、合成樹脂から形成されている。第1シート5及び第2シート6のそれぞれは、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU:Thermoplastic Polyurethane)、ナイロン(Nylon)、ポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinylchloride)、ポリエチレン(PE:Polyethylene)及びポリプロピレン(PP:Polypropylene)等の樹脂のうち1つ又は複数の混合体から形成される。尚、第1シート5の材料と第2シート6の材料とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0020】
第1シート5と第2シート6とのそれぞれは、厚み方向から見て略長方形状に形成されている。第1シート5の外周縁と第2シート6の外周縁とは、重なり合っている。第1シート5は、平坦である。一方、第2シート6には、第1シート5とは反対の方へ凹んだ複数の凹部63が形成されている。前述した収容部30は、第1シート5と凹部63とで形成される。
【0021】
詳しくは、第2シート6には、第1シート5とは反対側に向かって凸状に曲がった複数の凸部60が形成されている。凹部63は、凸部60の内面によって区画されている。第2シート6のうち凹部63を除く全ての部分は、第1シート5に接合されている。これにより、第2シート6のうち各凹部63の周縁が全周にわたって第1シート5と接合され、第1シート5によって各凹部63が密閉される。尚、図4では、第1シート5と第2シート6とが接合された部分の境界が実線で示されているが、境界は明確に現れなくてもよい。
【0022】
第2シート6には、隣り合う凹部63の間を仕切る複数の仕切り64が更に形成されている。図1に示すように、複数の仕切り64は、互いの第1辺31を介して隣り合う凹部63の間を仕切る複数の仕切り64aと、互いの第2辺32を介して隣り合う凹部63の間を仕切る複数の仕切り64bと、互いの第3辺33を介して隣り合う凹部63の間を仕切る複数の仕切り64cとを含んでいる。仕切り64a、仕切り64b及び仕切り64cのそれぞれは、共通の構成を有している。そのため、以下では、特に断りの無い限り、仕切り64a、仕切り64b及び仕切り64cのそれぞれについては、単に「仕切り64」と称して説明する。
【0023】
仕切り64は、隣接する凹部63に沿って直線状に延びる畝状に形成されている。すなわち、仕切り64aは、第1方向に直線状に延びている。仕切り64bは、第2方向に直線状に延びている。仕切り64cは、第1方向及び第2方向のそれぞれに対して傾斜する方向に直線状に延びている。仕切り64のうち第1シート5側の端縁は、第1シート5に接合されている。図4に示すように、仕切り64は、第1シート5の方へ凸状に曲がった断面形状を有している。具体的には、仕切り64は、隣り合う凹部63の一方を区画する第1壁67と、隣り合う凹部63の他方を区画する第2壁68と、第1壁67と第2壁68とを連結し、且つ、仕切り64の端縁を形成する連結部69とを含んでいる。
【0024】
第1壁67及び第2壁68のそれぞれは、凸部60の周壁の一部である。すなわち、第1壁67及び第2壁68のそれぞれは、凹部63の外周面の一部を区画している。第1壁67及び第2壁68のそれぞれは、厚み方向と略平行な平板状に形成されている。第1壁67と第2壁68とは、対向している。第1壁67と第2壁68とは、厚み方向と直交する方向において互いに離間している。第1壁67と第2壁68との間には、第1シート5とは反対側に向かって開口する隙間が形成されている。
【0025】
連結部69は、第1壁67のうちの第1シート5側の端縁と、第2壁68のうちの第1シート5側の端縁とを互いに連結している。連結部69は、厚み方向と略垂直な平板状に形成されている。連結部69のうち厚み方向の一方の面は、第1シート5に沿い、第1シート5に接合されている。
【0026】
図5は、折り畳まれた冷却具の側面図である。図1に示すように、前述した複数の仕切り64の一部は、外装パック3を横断するように直線状に配列される。そのため、複数の仕切り64の一部は、例えば図5に示すように、外装パック3を第1シート5が内側になるように折り畳む際の折り目として利用できる。すなわち、複数の仕切り64は、折り目として機能する複数の折り畳み用仕切りを含む。以下、直線状に配列された複数の折り畳み用仕切りから形成された列を、「仕切り列」と称する。この例の第2シート6には、図1に示すように、第1方向に延びる複数の仕切り列65Aと、第2方向に延びる複数の仕切り列65Bと、厚み方向と直交し、且つ、第1方向及び第2方向のそれぞれに対して傾斜する方向に延びる複数の仕切り列65Cとが形成されている。
【0027】
仕切り列65Aは、外装パック3のうち第1方向における一端から他端にかけて、第1方向に直線状に配列された複数の仕切り64aによって形成されている。この例の第2シート6には、外装パック3を第2方向において4等分する3列の仕切り列65Aが形成あされている。3列の仕切り列65Aのうちの1つは、外装パック3のうち第2方向の中央部に位置している。仕切り列65Aを形成する複数の仕切り64aの連結部69は、外装パック3を第1方向に横断するように直線状に配列されている。これら複数の連結部69が、仕切り列65Aを境に外装パック3を折り畳む際の折り目として実質的に機能する。
【0028】
仕切り列65Bは、外装パック3のうち第2方向における一端から他端にかけて、第2方向に直線状に配列された複数の仕切り64bによって形成されている。この例の第2シート6には、外装パック3を第1方向において4等分する3列の仕切り列65Bが形成されている。3列の仕切り列65Bのうちの1つは、外装パック3のうち第1方向における中央部に位置している。仕切り列65Bを形成する複数の仕切り64bの連結部69は、外装パック3を第2方向に横断するように直線状に配列されている。これら複数の連結部69が、仕切り列65Bを境に外装パック3を折り畳む際の折り目として実質的に機能する。
【0029】
仕切り列65Cは、外装パック3のうち第2方向における一端から他端にかけて、外装パック3の対角線が延びる方向に直線状に配列された複数の仕切り64cによって形成されている。この例の第2シート6には、外装パック3の2つの対角線の一方に沿って延びる仕切り列65Cと、外装パック3の2つの対角線の他方に沿って延びる仕切り列65Cとが形成されている。複数の仕切り64cの連結部69は、外装パック3を第1方向及び第2方向のそれぞれに対して傾斜する方向に横断するように直線状に配列されている。これら複数の連結部69が、仕切り列65Cを境に外装パック3を折り畳む際の折り目として実質的に機能する。
【0030】
続いて、冷却具100の使用方法の一例について説明する。冷却具100は、使用前において、例えば、常温下に放置される。これによって、保冷材2が固相になる。尚、冷却具100は、使用前において冷蔵庫等によって冷却されてもよい。
【0031】
ユーザは、冷却具100を、例えば、椅子、布団、床又は机等に置き、この後、臀部等の対象部分を外装パック3の外面に沿わせる。これにより、対象部分の熱が外装パック3を介して保冷材2に吸収され、対象部分が冷却される。保冷材2は、対象部分の熱を吸収することによって、融解して液相に変化していく。この場合、保冷材2は、顕熱だけでなく潜熱も利用して対象部分の熱を吸収するので、対象部分は効率良く冷却される。尚、使用により保冷材2が液相になった場合、ユーザは、冷却具100を常温の環境下に放置しておくことで、保冷材2を固相に変化させ、冷却可能状態に戻すことができる。
【0032】
次に冷却具100の製造方法の一例について説明する。冷却具100の製造方法は、保冷材準備工程、第1シート準備工程、第2シート準備工程、予備接合工程、充填工程及び密閉工程を含んでいる。
【0033】
保冷材準備工程は、保冷材2を準備する工程である。第1シート準備工程は、平坦な第1シート5を準備する工程である第2シート準備工程は、複数の凹部63が形成された第2シート6を準備する工程である。尚、保冷材準備工程と第1シート準備工程と第2シート準備工程とが実行される順序は、限定されない。
【0034】
予備接合工程は、保冷材準備工程、第1シート準備工程及び第2シート準備工程の完了後に実行される。予備接合工程は、第1シート5の外周縁と第2シート6の外周縁との間に注入口35が形成されるように、第1シート5の外周縁と第2シート6の外周縁とを互いに接合する工程である。予備接合工程における第1シート5と第2シート6との接合は、溶着によって実現される。
【0035】
図6は、保冷材2が充填される前の外装パック3の平面図である。尚、図6においてハッチングを付した部分は、予備接合工程において第1シート5と第2シート6とが接合された部分である。図6に示すように、予備接合工程においては、第1シート5と第2シート6とを、第1シート5の外周縁及び第2シート6の外周縁に対応する部分、並びに各仕切り64に対応する部分において互いに接合する。詳しくは、外装パック3のうち第1シート5の外周縁及び第2シート6の外周縁に対応する部分においては、注入口35に対応する一部を除いて全長にわたって接合する。この例では、2つの注入口35が形成されるように、第1シート5の外周縁と第2シート6の外周縁とを接合する。また、外装パック3のうち各仕切り64に対応する部分の接合においては、各凹部63が第1シート5によって密閉されないように、各仕切り64の長さ方向の一部に対応する部分のみを接合する。この例では、各仕切り64の長さ方向の2箇所に対応する部分において、第1シート5と第2シート6とを接合する。尚、通気孔39は、例えば、予備接合工程よりも後に形成してもよいし、第1シート準備工程において第1シート5に貫通孔を形成し、第2シート準備工程において第2シート6に貫通孔を形成し、予備接合工程において第1シート5と第2シート6とを互いの貫通孔が重なるように接合し、両貫通孔によって通気孔39を形成してもよい。
【0036】
予備接合工程において、第1シート5と第2シート6とが接合されることにより、注入口35を有する袋状のシート、即ち第1シート5と第2シート6とを含む袋状の外装パック3が形成される。この外装パック3のうち各仕切り64に対応する部分であって、第1シート5と第2シート6とが接合されていない部分は、仕切り64を介して隣り合う凹部63を互いに連通させる連通口36となる。
【0037】
充填工程は、予備接合工程の完了後に実行される。充填工程は、第2シート6の各凹部63に保冷材2を充填する工程である。
【0038】
詳しくは、充填工程では、予備接合工程によって形成された外装パック3に、注入口35から液相の保冷材2を注入する。注入された保冷材2は、直接又は連通口36を介して各凹部63に流入する。
【0039】
密閉工程は、充填工程の完了後に実行される。密閉工程は、第1シート5と第2シート6とを互いに接合して、保冷材2が収容された各凹部63を第1シート5により密閉する工程である。密閉工程における第1シート5と第2シート6との接合は、溶着によって実現される。
【0040】
具体的には、密閉工程では、第1シート5と第2シート6とが重なり合う部分のうち予備接合工程において接合されなかった部分、即ち、外装パック3のうち連通口36及び通気孔39に対応する部分を接合する。これにより、連通口36及び通気孔39が密閉される。すなわち、第2シート6のうち各凹部63の周縁に位置する部分が全長にわたって第1シート5に接合され、各凹部63が第1シート5によって密閉される。こうして、冷却具100の製造が完了する。尚、密閉工程は、保冷材2が液相であるときに行われてもよいし、保冷材2が固相であるときに行われてもよい。また、保冷材2は、各凹部63の少なくとも一部に充填されればよい。すなわち、各凹部63には保冷材2が満杯に充填されてもよいし、各凹部63の一部にのみ保冷材2が充填されてもよい。
【0041】
上述のように、冷却具100は、第2シート6に形成された複数の凹部63に保冷材2を充填し、この後、各凹部63が第1シート5により密閉されるように第1シート5と第2シート6とを互いに接合することによって、冷却具100を製造することができる。ここで、冷却具100の各収容部30に収容される保冷材2の分量は、充填工程において各凹部63に保冷材2を充填する量を調節することによって管理することができる。例えば、複数の収容部30が形成された冷却具100を製造する別の方法としては、平面状の2枚のシートの外周縁同士を互いに接合して注入口35を有する袋状シートを形成し、この袋状シートに保冷材2を注入し、この後、袋状シートの一部の対向部分を接合して袋状シートを複数の収容部30に区画することが考えられる。この場合、収容部30が形成される前の袋状シートの内部においては、保冷材2が自由に移動できるため、袋状シートには保冷材2が偏って収容されやすい。そのため、各収容部30に収容される保冷材2の分量は安定し難い。しかし、本開示の冷却具100にあっては、第2シート6のうち各収容部30に対応する位置に畝状の仕切り64によって仕切られた凹部63が形成されているため、充填工程において各凹部63に充填された保冷材2は、外装パック3の内部において移動し難い。言い換えれば、各凹部63に充填された保冷材2は、他の凹部63に移動し難い。そのため、各凹部63に適切な量の保冷材2を容易に充填することができ、この状態で第1シート5と第2シート6とを接合して各凹部63を第1シート5によって密閉することができる。したがって、各収容部30の分量が安定し、各収容部30に適切な分量の保冷材2を収容することができる。
【0042】
詳しくは、充填工程よりも前の予備接合工程において、第1シート5の外周縁と第2シート6の外周縁とを接合することにより、注入口35を有する袋状の外装パック3を形成する。そして、充填工程においては袋状の外装パック3に注入口35から保冷材2を注入することによって、各凹部63に保冷材2を充填することができる。このとき、第1シート5の外周縁と第2シート6の外周縁とは、注入口35を除いた部分が接合されているため、各凹部63に充填された保冷材2が外装パック3から流出し難い。したがって、各凹部63に保冷材2を容易に充填することができる。
【0043】
特に、予備接合工程では、外装パック3のうち第1シート5の外周縁及び第2シート6の外周縁に対応する部分だけでなく、各仕切り64に対応する部分、詳しくは、各仕切り64のうち連通口36を除く部分に対応する部分において、第1シート5と第2シート6とが接合される。そのため、各仕切り64に対応する部分において、保冷材2が第1シート5と第2シート6との間に入り込み難くなる。したがって、各凹部63には、適切な分量の保冷材2を一層容易に充填することができる。
【0044】
また、複数の仕切り64は、外装パック3を横断するように直線状に配列され、外装パック3を第1シート5が内側になるように折り畳む際の折り目として機能する複数の折り畳み用仕切り64a,64b,64cを含んでいる。すなわち、複数の仕切り64は、仕切り列65A,65B,65Cを含んでいる。そのため、冷却具100によって冷却される対象部分の面積が小さい場合や、冷却具100が収容されるスペースが狭い場合等には、任意の仕切り列65A,65B,65Cを折り目にして外装パック3を折り畳むことにより、冷却具100をコンパクトにすることができる。すなわち、外装パック3を折り畳むことによって、冷却具100のサイズ調整を行うことができる。例えば、図5に示すように、外装パック3のうち第2方向の中央部に形成された仕切り列65Aを折り目にして外装パック3を第1シート5が内側になるように折り畳むことによって、外装パック3の第2方向のサイズを半分にすることができる。
【0045】
また、第1シート5は平坦であるので、外装パック3を第1シート5が内側になるように外装パック3を折り畳む際には、第2シート6の複数の凸部60が互いに接触しない。すなわち、仮に凸部60が形成された第2シート6が内側になるように、仕切り列65A,65B,65Cを折り目にして外装パック3を折り畳む場合、折り目を介して隣り合う凸部60同士が接触し、外装パック3が折り畳み難い、あるいは折り目の近傍部分が大きく膨らんでしまう。しかし、平坦な第1シート5が内側になるように外装パック3を折り畳むことにより、凸部60同士の接触を回避することができ、外装パック3を容易に平坦に折り畳むことができる。
【0046】
詳しくは、折り畳み用仕切り64a,64b,64cは、隣り合う凹部63の一方を区画する第1壁67と隣り合う凹部63の他方を区画する第2壁68とを連結する連結部69を含み、複数の折り畳み用仕切り64a,64b,64cの連結部69は、外装パック3を横断するように直線状に配列されている。そのため、外装パック3を折り畳む際、複数の連結部69を折り目にすることができる。連結部69は、凹部63を区画せず、保冷材2と接触しない部分である。そのため、保冷材2を押し動かさなければ曲げることができない第1壁67及び第2壁68と比較して、連結部69は変形しやすい。したがって、このような連結部69を折り目とすることにより、外装パック3を折り畳みやすくすることができる。
【0047】
図8は、変形例1の冷却具101の平面図である。この例の冷却具101は、収容部30の形状が冷却具100と異なる。冷却具101の基本的な構成は、冷却具100と同じである。以下では、冷却具101について、冷却具100と異なる点を中心に説明する。
【0048】
外装パック3には、厚み方向から見て略菱形状の複数の収容部30aと、厚み方向から見て略二等辺三角形状の複数の収容部30bと、厚み方向から見て略二等辺三角形状に形成され、収容部30bの底辺43に対して交差する方向に延びる底辺45を有する複数の収容部30cとが形成されている。
【0049】
収容部30aは、第1方向及び第2方向のそれぞれに対して傾斜した第3方向に延びる一対の辺41と、厚み方向と直交し、且つ、第1方向、第2方向及び第3方向のそれぞれに対して傾斜した第4方向に延びる他の一対の辺41とを含んでいる。収容部30bは、第1方向に延びる底辺43と、第3方向に延びる等辺44と、第4方向に延びる等辺44とを含んでいる。収容部30cは、第2方向に延びる底辺45と、第3方向に延びる等辺46と、第4方向に延びる等辺46とを含んでいる。
【0050】
外装パック3には、第1方向に隣り合う2つの収容部30aの列が2列、第1方向に隣り合う2つの収容部30bの列が4列、及び1つの収容部30aと2つの収容部30cとが交互に位置するように第1方向に並んだ列が4列形成されている。
【0051】
複数の収容部30は、互いの辺41を介して隣り合う収容部30a、互いの底辺43を介して隣り合う収容部30b、辺41及び等辺44を介して隣り合う収容部30a及び収容部30b、辺41及び等辺46を介して隣り合う収容部30a及び収容部30c、並びに等辺44及び等辺46を介して隣り合う収容部30b及び収容部30cを含む。
【0052】
第2シート6には、複数の仕切り64e、複数の仕切り64f、複数の仕切り64g、複数の仕切り64h及び複数の仕切り64iが形成されている。仕切り64eは、互いの辺41を介して隣り合う収容部30aの間を仕切っている。仕切り64eは、第3方向又は第4方向に直線状に延びている。仕切り64fは、互いの底辺43を介して隣り合う収容部30bの間を仕切っている。仕切り64fは、第1方向に直線状に延びている。仕切り64gは、辺41及び等辺44を介して隣り合う収容部30aと収容部30bとの間を仕切っている。仕切り64gは、第3方向又は第4方向に延びている。仕切り64hは、辺41及び等辺46を介して隣り合う収容部30aと収容部30cとの間を仕切っている。仕切り64hは、第3方向又は第4方向に延びている。仕切り64iは、等辺44及び等辺46を介して隣り合う収容部30bと収容部30cとの間を仕切っている。仕切り64iは、第3方向又は第4方向に延びている。
【0053】
第2シート6には、第1方向に延びる仕切り列65D、第3方向に延びる複数の仕切り列65E及び第4方向に延びる複数の仕切り列65Fが形成されている。尚、この例の外装パック3には、第2方向に延びる仕切り列は、形成されていない。
【0054】
仕切り列65Dは、外装パック3のうち第1方向における一端から他端にかけて、第1方向に直線状に配列された複数の仕切り64fによって形成されている。外装パック3は、仕切り列65Dによって2つの領域34に区分されている。2つの領域34は、仕切り列65Dを介して第2方向に並んでいる。各領域34には、第3方向に延びる仕切り列65E及び第4方向に延びる仕切り列65Fが形成されているが、仕切り列65Dと同じ方向に延びる仕切り列は形成されていない。
【0055】
仕切り列65Eは、外装パック3のうち第1方向における一端から他端にかけて、第3方向に直線状に配列された、複数の仕切り64によって形成されている。仕切り列65Eを形成する複数の仕切り64は、複数の仕切り64e及び複数の仕切り64i、又は複数の仕切り64g及び複数の仕切り64hである。仕切り列65Fは、外装パック3のうち第1方向における一端から他端にかけて、第4方向に直線状に配列された、複数の仕切り64によって形成されている。仕切り列65Fを形成する複数の仕切り64は、複数の仕切り64e及び複数の仕切り64i、又は複数の仕切り64g及び複数の仕切り64hである。
【0056】
この例では、仕切り列65D、仕切り列65E又は仕切り列65Fを折り目として、外装パック3を第1シート5が内側になるように折り畳むことができる。また、外装パック3のうち仕切り列65Dによって区分された2つの領域34のそれぞれには、仕切り列65Dと同じ方向に延びる仕切り列が形成されていない。そのため、外装パック3の各領域34は、仕切り列65Dを折り目として折り畳まれる方向と同じ方向には折れ曲がり難く、平板状に維持されやすい。したがって、外装パック3は、仕切り列65Dを折り目として折り畳みやすい。
【0057】
図9は、変形例2の冷却具102の平面図である。この例の冷却具102は、収容部30の形状が冷却具100と異なる。冷却具102の基本的な構成は、冷却具100と同じである。以下では、冷却具102について、冷却具100と異なる点を中心に説明する。
【0058】
収容部30は、厚み方向から見て、略長方形状に形成されている。各収容部30の長手方向は、第2方向に延びている。この例の外装パック3には、第1方向に並ぶ4つの収容部30の列が、第2方向に4列形成されている。
【0059】
第2シート6には、第2方向に隣り合う収容部30の間を仕切る複数の仕切り64jと、第1方向に隣り合う収容部30の間を仕切る複数の仕切り64kとが形成されている。仕切り64jは、第1方向に直線状に延びている。仕切り64kは、第2方向に直線状に延びている。
【0060】
第2シート6には、第1方向に延びる複数の仕切り列65Gと、第2方向に延びる複数の仕切り列65Hとが形成されている。仕切り列65Gは、外装パック3のうち第1方向における一端から他端にかけて、第1方向に直線状に配列された複数の仕切り64jによって形成されている。この例の外装パック3には、外装パック3を第2方向において4等分するように3列の仕切り列65Gが形成されている。3列の仕切り列65Gのうちの1つは、外装パック3のうち第2方向における中央部に位置している。
【0061】
仕切り列65Hは、外装パック3のうち第2方向における一端から他端にかけて、第2方向に直線状に配列された複数の仕切り64kによって形成されている。この例の外装パック3には、外装パック3を第1方向において4等分するように3列の仕切り列65Hが形成されている。3列の仕切り列65Hのうちの1つは、外装パック3のうち第1方向における中央部に位置している。尚、この例の外装パック3には、厚み方向と直交し、且つ、第1方向及び第2方向に傾斜する方向に延びる仕切り列は、形成されていないが、形成されてもよい。また、この例の外装パック3には、通気孔39が形成されていないが、形成されてもよい。
【0062】
この例では、仕切り列65G又は仕切り列65Hを折り目として、外装パック3を第1シート5が内側になるように折り畳むことができる。
【0063】
図10は、変形例3の冷却具103を示した平面図である。図11は、冷却具103が取り付けられた背負い鞄8の側面図である。この例の冷却具103は、収容部30の形状が、冷却具100と異なる。また、冷却具103は、背負い鞄8の背当て81に設置されることが、冷却具100と異なる。冷却具103の基本的な構成は、冷却具100と同じである。以下では、冷却具103について、冷却具100と異なる点を中心に説明する。尚、図10では、後述する装着部7の図示を省略している。
【0064】
収容部30は、厚み方向から見て、略長方形状に形成されている。各収容部30の長手方向は、第1方向に延びている。この例の外装パック3には、第1方向に並ぶ2つの収容部30の列が、第2方向に4列形成されている。
【0065】
第2シート6には、第2方向に隣り合う収容部30の間を仕切る複数の仕切り64lと、第1方向に隣り合う収容部30の間を仕切る複数の仕切り64mとが形成されている。仕切り64lは、第1方向に直線状に延びている。仕切り64mは、第2方向に直線状に延びている。
【0066】
第2シート6には、第1方向に延びる複数の仕切り列65Iと、第2方向に延びる仕切り列65Jとが形成されている。仕切り列65Iは、外装パック3のうち第1方向における一端から他端にかけて、第1方向に直線状に配列された複数の仕切り64lによって形成されている。この例の外装パック3には、外装パック3を第2方向において4等分するように3列の仕切り列65Iが形成されている。3列の仕切り列65Iのうちの1つは、外装パック3のうち第2方向における中央部に位置している。
【0067】
仕切り列65Jは、外装パック3のうち第2方向における一端から他端にかけて、第2方向に直線状に配列された複数の仕切り64mによって形成されている。この例の外装パック3には、仕切り列65Hが一列だけ形成されている。仕切り列65Hは、外装パック3のうち第1方向における中央部に位置している。尚、この例の外装パック3には、第1方向及び第2方向のそれぞれに傾斜する方向に延びる仕切り列は、形成されていない。
【0068】
背負い鞄8は、例えば、リュックサック又はランドセルである。図11に示すように、背負い鞄8は、背当て81とショルダストラップ82とを有している。
【0069】
冷却具103は、背負い鞄8を背負った人の背中を冷却する。冷却具103は、外装パック3を背負い鞄8に装着する装着部7をさらに備えている。装着部7は、外装パック3に設けられた複数の取付具71を有している。取付具71は、背負い鞄8のショルダストラップ82に着脱自在に取り付けられる。
【0070】
ユーザは、冷却具103を使用する場合、冷却具103を背負い鞄8に取り付ける。冷却具103は、複数の取付具71がショルダストラップ82に取り付けられることによって、背当て81に設置される。
【0071】
冷却具103が取り付けられた背負い鞄8をユーザが背負ったとき、冷却具103は、ユーザの背中に沿って配置される。これにより、ユーザの背中が、冷却具103によって冷却される。
【0072】
この例では、装着部7を用いて冷却具103を背負い鞄8に取り付けることができる。また、仕切り列65I又は仕切り列65Jを折り目として、外装パック3を第1シート5が内側になるように折り畳むことができる。
【0073】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0074】
外装パック3の形状及び大きさ等は、限定されない。収容部30の形状、大きさ、数、位置及び配列等は、限定されない。保冷材2の材質及び融点等は、限定されない。保冷材2の融点は、例えば、5℃未満であってもよい。
【0075】
第1シート5及び第2シート6のそれぞれの形状、大きさ及び材質等は、適宜変更可能である。凹部63の形状及び大きさ等は、限定されない。仕切り64の形状、大きさ及び位置は、凹部63の形状、大きさ及び位置等に応じて、適宜変更可能である。例えば、第1壁67と第2壁68とのそれぞれは、第1壁67と第2壁68との間に形成される隙間が、第1シート5とは反対側の方へ行くほど大きくなるように、厚み方向に対して傾斜してもよい。第1壁67のうち第1シート5側の端縁と第2壁68のうち第1シート5側の端縁とが直接接続されてもよい。この場合、連結部69は、第1壁67と第2壁68との接続部分によって形成される。仕切り列65の数、形状及び大きさ等は、限定されない。仕切り列65は、省略可能である。
【0076】
冷却具100の製造方法は、限定されない。例えば、予備接合工程において、外装パック3のうち各仕切り64に対応する部分の接合を行わず、第1シート5の外周縁及び第2シート6の外周縁に対応する部分のみを接合してもよい。また、予備接合工程を省略し、第1シート5と第2シート6とが重なる部分の全てを、密閉工程において接合してもよい。この場合、充填工程では、凹部63が上向きになるように第2シート6が配置された状態で、各凹部63に保冷材2を充填し、この後、密閉工程において第1シート5と第2シート6とを各凹部63が第1シート5によって密閉されるように接合する。第1シート5と第2シート6との接合は、溶着によって実現されるものに限定されない。第1シート5と第2シート6との接合は、例えば、接着によって実現されてもよい。
【0077】
本開示の技術をまとめると、以下のようになる。
【0078】
[1] 冷却具100は、熱を吸収して固相から液相に変化する保冷材2と、前記保冷材2を収容する複数の収容部30が形成された外装パック3とを備え、前記外装パック3は、平坦な第1シート5と、前記第1シート5に対向する第2シート6とを有し、前記第2シート6には、前記第1シート5とは反対の方へ凹んだ複数の凹部63と、隣り合う前記凹部63の間を仕切る畝状の仕切り64とが形成され、前記収容部30は、前記各凹部63が前記第1シート5により密閉されるように前記第1シート5と前記第2シート6とが互いに接合されることによって、前記第1シート5と前記凹部63とで形成され、前記仕切り64の端縁は、前記第1シート5に接合されている。
【0079】
この構成によれば、第2シート6に形成された複数の凹部63に保冷材2を充填し、この後、各凹部63が前記第1シート5により密閉されるように第1シート5と第2シート6とを互いに接合することによって、冷却具100を製造することができる。そのため、各収容部30に収容される保冷材2の分量は、各凹部63に保冷材2を充填する量を調節することによって管理することができる。この場合、各凹部63に充填された保冷材2は凹部63に収容されて移動し難いため、各凹部63に適切な量の保冷材2を容易に充填し、この状態で、各凹部63を第1シート5によって密閉することができる。したがって、各収容部30の分量が安定し、各収容部30に適切な分量の保冷材2を収容することができる。
【0080】
[2] [1]に記載の冷却具100において、前記第2シート6は、複数の前記仕切り64を有し、複数の前記仕切り64は、前記外装パック3を横断するように直線状に配列されて、前記外装パック3を前記第1シート5が内側になるように折り畳む際の折り目として機能する複数の折り畳み用仕切り64a,64b,64c(仕切り列65A,65B,65C)を含み、前記折り畳み用仕切り64a,64b,64cは、前記第1シート5の方へ凸状に曲がった断面形状を有している。
【0081】
この構成によれば、複数の折り畳み用仕切り64a,64b,64cを折り目として外装パック3を第1シート5が内側になるように折り畳むことができる。そのため、冷却具100のサイズ調整を行うことができる。また、第1シート5は平坦であるので、外装パック3を第1シート5が内側になるように外装パック3を折り畳む際には、第2シート6の凹部63を区画する凸部60同士が接触しない。そのため、外装パック3を容易に且つ平坦に折り畳むことができる。
【0082】
[3] [2]に記載の冷却具100において、前記折り畳み用仕切り64a,64b,64cは、隣り合う前記凹部63の一方を区画する第1壁67と、隣り合う前記凹部63の他方を区画する第2壁68と、前記第1壁67と前記第2壁68とを連結し、且つ、前記端縁を形成する連結部69とを含み、前記複数の折り畳み用仕切り64a,64b,64cの前記連結部69は、前記外装パック3を横断するように直線状に配列されている。
【0083】
この構成によれば、保冷材2と接触せず変形しやすい連結部69を折り目とすることができ、外装パック3を一層折り畳みやすくすることができる。
【0084】
[4] 冷却具100の製造方法は、熱を吸収して固相から液相に変化する保冷材2を準備することと、平坦な第1シート5を準備することと、複数の凹部63と、隣り合う前記凹部63の間を仕切る仕切り64とが形成された第2シート6を準備することと、前記各凹部63に前記保冷材2を充填することと、前記保冷材2が収容された前記各凹部63が前記第1シート5により密閉されるように、前記第1シート5と前記第2シート6とを互いに接合することとを含み、前記第1シート5と前記第2シート6とを接合することにおいては、前記仕切り64の端縁と前記第1シート5とを互いに接合する。
【0085】
この構成によれば、第2シート6に形成された複数の凹部63に保冷材2を充填し、この後、第1シート5と第2シート6とを互いに接合することによって、冷却具100を製造することができる。この場合、各凹部63に充填された保冷材2は移動し難いため、各凹部63に適切な量の保冷材2を容易に充填することができ、この状態で第1シート5と第2シート6とを接合して各凹部63を第1シート5によって密閉することができる。したがって、各収容部30の分量が安定し、各収容部30に適切な分量の保冷材2を収容することができる。
【0086】
[5]は、[4]に記載の冷却具100の製造方法において、前記第1シート5の外周縁と前記第2シート6の外周縁との間に注入口35が形成されるように、前記第1シート5の外周縁と前記第2シート6の外周縁とを互いに接合することをさらに含み、前記各凹部63に前記保冷材2を充填することにおいては、前記注入口35を介して前記各凹部63に前記保冷材2を充填し、前記密閉することにおいては、前記第1シート5と前記第2シート6とを互いに接合することによって、前記保冷材2が収容された前記各凹部63を前記第1シート5により密閉すると共に前記注入口35を密閉する。
【0087】
この構成によれば、第1シート5の外周縁と第2シート6の外周縁とを互いに接合することにより、注入口35を有する袋状の外装パック3を形成することができる。そのため、袋状の外装パック3に注入口35から保冷材2を注入することによって、各凹部63に保冷材2を充填することができる。このとき、第1シート5の外周縁と第2シート6の外周縁とは、注入口35に対応する部分を除く部分が接合されているため、各凹部63に充填された保冷材2が外装パック3から流出し難い。したがって、各凹部63に保冷材2を容易に充填することができる。
【符号の説明】
【0088】
100 冷却具
2 保冷材
3 外装パック
30 収容部
5 第1シート
6 第2シート
63 凹部
64 仕切り
64a 折り畳み用仕切り
64b 折り畳み用仕切り
64c 折り畳み用仕切り
67 第1壁
68 第2壁
69 連結部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を吸収して固相から液相に変化する保冷材と、
前記保冷材を収容する複数の収容部が形成された外装パックとを備え、
前記外装パックは、平坦な第1シートと、前記第1シートに対向する第2シートとを有し、
前記第2シートには、前記第1シートとは反対の方へ凹んだ複数の凹部と、隣り合う前記凹部の間を仕切る畝状の仕切りとが形成され、
前記収容部は、記第1シートと前記第2シートとが互いに接合されることによって、前記第1シートと前記凹部とで形成され、
前記収容部のそれぞれは、前記仕切りの端縁前記第1シートとが接合されることによって密閉されている冷却具。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却具において、
前記第2シートは、複数の前記仕切りを有し、
複数の前記仕切りは、前記外装パックを横断するように直線状に配列されて、前記外装パックを前記第1シートが内側になるように折り畳む際の折り目として機能する複数の折り畳み用仕切りを含み、
前記折り畳み用仕切りは、前記第1シートの方へ凸状に曲がった断面形状を有している冷却具。
【請求項3】
請求項2に記載の冷却具において、
前記折り畳み用仕切りは、隣り合う前記凹部の一方を区画する第1壁と、隣り合う前記凹部の他方を区画する第2壁と、前記第1壁と前記第2壁とを連結し、且つ、前記端縁を形成する連結部とを含み、
前記複数の折り畳み用仕切りの前記連結部は、前記外装パックを横断するように直線状に配列されている冷却具。
【請求項4】
冷却具の製造方法であって、
熱を吸収して固相から液相に変化する保冷材を準備することと、
平坦な第1シートを準備することと、
複数の凹部と、隣り合う前記凹部の間を仕切る仕切りとが形成された第2シートを準備することと、
前記各凹部に前記保冷材を液相の状態で充填することと、
前記第1シートと前記第2シートとを互いに接合して、前記保冷材が収容された前記各凹部を前記第1シートにより密閉することとを含み、
前記密閉することにおいては、前記仕切りの端縁と前記第1シートとを互いに接合する冷却具の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の冷却具の製造方法であって、
前記第1シートの外周縁と前記第2シートの外周縁との間に注入口が形成されるように、前記第1シートの外周縁と前記第2シートの外周縁とを互いに接合することをさらに含み、
前記各凹部に前記保冷材を充填することにおいては、前記注入口を介して前記各凹部に前記保冷材を充填し、
前記密閉することにおいては、前記第1シートと前記第2シートとを互いに接合することによって、前記保冷材が収容された前記各凹部を前記第1シートにより密閉すると共に前記注入口を密閉する冷却具の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
保冷材準備工程は、保冷材2を準備する工程である。第1シート準備工程は、平坦な第1シート5を準備する工程である第2シート準備工程は、複数の凹部63が形成された第2シート6を準備する工程である。尚、保冷材準備工程と第1シート準備工程と第2シート準備工程とが実行される順序は、限定されない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
具体的には、密閉工程では、第1シート5と第2シート6とが重なり合う部分のうち予備接合工程において接合されなかった部分、即ち、外装パック3のうち連通口36及び注入口35に対応する部分を接合する。これにより、連通口36及び注入口35が密閉される。すなわち、第2シート6のうち各凹部63の周縁に位置する部分が全長にわたって第1シート5に接合され、各凹部63が第1シート5によって密閉される。こうして、冷却具100の製造が完了する。尚、密閉工程は、保冷材2が液相であるときに行われてもよいし、保冷材2が固相であるときに行われてもよい。また、保冷材2は、各凹部63の少なくとも一部に充填されればよい。すなわち、各凹部63には保冷材2が満杯に充填されてもよいし、各凹部63の一部にのみ保冷材2が充填されてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
仕切り列65Jは、外装パック3のうち第2方向における一端から他端にかけて、第2方向に直線状に配列された複数の仕切り64mによって形成されている。この例の外装パック3には、仕切り列65が一列だけ形成されている。仕切り列65は、外装パック3のうち第1方向における中央部に位置している。尚、この例の外装パック3には、第1方向及び第2方向のそれぞれに傾斜する方向に延びる仕切り列は、形成されていない。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を吸収して固相から液相に変化し、融点が5℃以上35℃以下である保冷材と、
前記保冷材を収容する複数の収容部が形成された外装パックとを備え、 前記外装パックは、平坦な第1シートと、前記第1シートに対向する第2シートとを有し、
前記第2シートには、前記第1シートとは反対の方へ凹んだ複数の凹部と、隣り合う前記凹部の間を仕切る畝状の仕切りとが形成され、
前記収容部は、記第1シートと前記第2シートとが互いに接合されることによって、前記第1シートと前記凹部とで形成され、
前記収容部のそれぞれは、前記仕切りの端縁と前記第1シートとが接合されることによって密閉されている冷却具。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却具において、
前記第2シートは、複数の前記仕切りを有し、
複数の前記仕切りは、前記外装パックを横断するように直線状に配列されて、前記外装パックを前記第1シートが内側になるように折り畳む際の折り目として機能する複数の折り畳み用仕切りを含み、
前記折り畳み用仕切りは、前記第1シートの方へ凸状に曲がった断面形状を有している冷却具。
【請求項3】
請求項2に記載の冷却具において、
前記折り畳み用仕切りは、隣り合う前記凹部の一方を区画する第1壁と、隣り合う前記凹部の他方を区画する第2壁と、前記第1壁と前記第2壁とを連結し、且つ、前記端縁を形成する連結部とを含み、
前記複数の折り畳み用仕切りの前記連結部は、前記外装パックを横断するように直線状に配列されている冷却具。
【請求項4】
冷却具の製造方法であって、
熱を吸収して固相から液相に変化し、融点が5℃以上35℃以下である保冷材を準備することと、
平坦な第1シートを準備することと、
複数の凹部と、隣り合う前記凹部の間を仕切る仕切りとが形成された第2シートを準備することと、
前記各凹部に前記保冷材を液相の状態で充填することと、
前記第1シートと前記第2シートとを互いに接合して、前記保冷材が収容された前記各凹部を前記第1シートにより密閉することとを含み、
前記密閉することにおいては、前記仕切りの端縁と前記第1シートとを互いに接合する冷却具の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の冷却具の製造方法であって、
前記第1シートの外周縁と前記第2シートの外周縁との間に注入口が形成されるように、前記第1シートの外周縁と前記第2シートの外周縁とを互いに接合することをさらに含み、
前記各凹部に前記保冷材を充填することにおいては、前記注入口を介して前記各凹部に前記保冷材を充填し、
前記密閉することにおいては、前記第1シートと前記第2シートとを互いに接合することによって、前記保冷材が収容された前記各凹部を前記第1シートにより密閉すると共に前記注入口を密閉する冷却具の製造方法。