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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027665
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】抗菌・抗ウイルス性組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/40 20060101AFI20240222BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240222BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20240222BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20240222BHJP
   A01N 25/10 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A01N43/40 101J
A01P3/00
A01P1/00
A01N59/16 A
A01N25/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130637
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000109657
【氏名又は名称】ディップソール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 和也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 有生乃
(72)【発明者】
【氏名】廣井 由記也
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA03
4H011AA04
4H011BA06
4H011BB09
4H011BB18
4H011BC18
4H011BC19
4H011DA13
4H011DA14
4H011DG04
4H011DH02
4H011DH05
(57)【要約】
【課題】広範囲の微生物に対して作用効果を発揮し、かつ抗菌成分を基材に固定する技術が依然として必要とされている。
【解決手段】下記の(1)~(3)を含有する抗菌・抗ウイルス性組成物。
(1)分子末端に2個のピリジン環を有し、ピリジン環の窒素原子が第4級アンモニウム基となっているビス型4級アンモニウム塩
(2)銀、銅及び亜鉛から選択される少なくとも1種の金属又は金属イオンを担持した担持体
(3)有機系バインダー、無機系バインダー及び有機-無機複合バインダーから選択される少なくとも1種のバインダー
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(1)~(3)を含有する抗菌・抗ウイルス性組成物。
(1)分子末端に2個のピリジン環を有し、ピリジン環の窒素原子が第4級アンモニウム基となっているビス型4級アンモニウム塩
(2)銀、銅及び亜鉛から選択される少なくとも1種の金属又は金属イオンを担持した担持体
(3)有機系バインダー、無機系バインダー及び有機-無機複合バインダーから選択される少なくとも1種のバインダー
【請求項2】
(1)ビス型4級アンモニウム塩が、1,1’-ジデシル-3,3’-[ブタン-1,4-ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム塩である、請求項1に記載の抗菌・抗ウイルス性組成物。
【請求項3】
(1)ビス型4級アンモニウム塩が、1,1’-ジデシル-3,3’-[ブタン-1,4-ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミドである、請求項1に記載の抗菌・抗ウイルス性組成物。
【請求項4】
(2)担持体が、銀を担持した銀担持体である、請求項1に記載の化成処理液。
【請求項5】
(2)担持体の担体が、ケイ酸塩、リン酸塩、シリカ、シリカゲル、酸化亜鉛、酸化チタン、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、溶解性ガラス、コンポジットガラス及びチタン酸カリウムから選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の化成処理液。
【請求項6】
(2)担持体の担体が、リン酸塩を含む、請求項5に記載の化成処理液。
【請求項7】
(3)バインダーが、有機系バインダーを含む、請求項1に記載の化成処理液。
【請求項8】
さらに濡れ性改善成分を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の化成処理液。
【請求項9】
溶媒としてアルコールを含まない、請求項1~7のいずれか1項に記載の化成処理液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌・抗ウイルス性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで抗菌成分を高分子樹脂(バインダー)に配合したものが知られており(例えば、特開2006-22217号公報及び特許第6792896号公報)、抗菌成分としては有機系及び無機系のものがある。有機系抗菌成分として知られている第4級アンモニウム塩は、グラム陽性菌やグラム陰性菌など多くの細菌類に対して抗菌作用を示すため、抗菌スペクトルが広い抗菌成分とされている。また、これらの有機系抗菌成分は、エンベロープ膜を持つウイルス(コロナウイルス、インフルエンザウイルス等)に対しても抗ウイルス作用を示すことが知られている。さらに、ビス型の4級アンモニウム塩については、真菌類に対しても優れた防カビ作用を示すことが知られている。一方、無機系抗菌成分として知られている銀イオンは、細菌類、真菌類など広範囲の微生物に対して抗菌及び防カビ作用を示す。また、これらの無機系抗菌成分は、エンベロープ膜を持たないウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス)に対しても抗ウイルス作用を示すことが知られている。また、銀イオンを無機担体に担持させた銀担持体を用いることで銀イオンを徐放することができ、長期にわたって持続的な効果を発揮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-22217号公報
【特許文献2】特許第6792896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、バインダーにビス型4級アンモニウム塩を含む組成物、バインダーに銀系抗菌剤を含む組成物、及びビス型4級アンモニウム塩及び銀系抗菌剤からなる組成物が知られていた。しかしながら、広範囲の微生物に対して作用効果を発揮し、かつ抗菌成分を基材に固定する技術が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究を行った結果、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
[1]下記の(1)~(3)を含有する抗菌・抗ウイルス性組成物。
(1)分子末端に2個のピリジン環を有し、ピリジン環の窒素原子が第4級アンモニウム基となっているビス型4級アンモニウム塩
(2)銀、銅及び亜鉛から選択される少なくとも1種の金属又は金属イオンを担持した担持体
(3)有機系バインダー、無機系バインダー及び有機-無機複合バインダーから選択される少なくとも1種のバインダー
[2](1)ビス型4級アンモニウム塩が、1,1’-ジデシル-3,3’-[ブタン-1,4-ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム塩である、[1]に記載の抗菌・抗ウイルス性組成物。
[3](1)ビス型4級アンモニウム塩が、1,1’-ジデシル-3,3’-[ブタン-1,4-ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミドである、[1]に記載の抗菌・抗ウイルス性組成物。
[4](2)担持体が、銀を担持した銀担持体である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の化成処理液。
[5](2)担持体の担体が、ケイ酸塩、リン酸塩、シリカ、シリカゲル、酸化亜鉛、酸化チタン、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、溶解性ガラス、コンポジットガラス及びチタン酸カリウムから選択される少なくとも1種を含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の化成処理液。
[6](2)担持体の担体が、リン酸塩を含む、[5]に記載の化成処理液。
[7](3)バインダーが、有機系バインダーを含む、[1]~[6]に記載の化成処理液。
[8]さらに濡れ性改善成分を含む、[1]~[7]のいずれか1項に記載の化成処理液。
[9]溶媒としてアルコールを含まない、[1]~[8]のいずれか1項に記載の化成処理液。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、バインダーに特定のビス型4級アンモニウム塩と特定の金属を担持した担持体を配合することで、抗微生物作用、持続性及び耐水性に優れた抗菌・抗ウイルス性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物は、下記の(1)~(3)を含有する。
(1)分子末端に2個のピリジン環を有し、ピリジン環の窒素原子が第4級アンモニウム基となっているビス型4級アンモニウム塩
(2)銀、銅及び亜鉛から選択される少なくとも1種の金属又は金属イオンを担持した担持体
(3)有機系バインダー、無機系バインダー及び有機-無機複合バインダーから選択される少なくとも1種のバインダー
【0008】
(1)ビス型4級アンモニウム塩としては、下記一般式(1)で表されるビス型4級アンモニウム塩などが挙げられる。
ここで、R1及びR4は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖若しくは分岐の同一又は異なるアルキレン基であり、R2及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のアルコキシ基であり、R3は、炭素数2~12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基であり、R6は、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO27基(R7は、炭素数1~5のアルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である。
(1)ビス型4級アンモニウム塩は、好ましくは下記化合物(1)~(4)であり、より好ましくは下記化合物(3)である。




また、前記(1)ビス型4級アンモニウム塩は、さらに好ましくは1,1’-ジデシル-3,3’-[ブタン-1,4-ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミド、1,1’-ジデシル-3,3’-[ブタン-1,4-ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジクロリド、1,1’-ジデシル-3,3’-[ブタン-1,4-ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジアイオダイトであり、またさらに好ましくは1,1’-ジデシル-3,3’-[ブタン-1,4-ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミドである。(1)ビス型4級アンモニウム塩は、抗菌スペクトルが広く、エンベロープ膜(コロナウイルス、インフルエンザウイルス等)を持つウイルスに対しても優れた抗ウイルス作用を示し、真菌類に対しても優れた防カビ作用を示す。本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物における(1)ビス型4級アンモニウム塩の含有量は、バインダー固形分100重量部あたり、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.3~0.6重量部である。
【0009】
(2)担持体は、好ましくは銀を担持した銀担持体である。また、(2)担持体の担体は、好ましくはケイ酸塩、リン酸塩、シリカ、シリカゲル、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、溶解性ガラス、コンポジットガラス及びチタン酸カリウムから選択される少なくとも1種を含む。ここで、ケイ酸塩としては、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが挙げられる。リン酸塩としては、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸亜鉛カルシウム・アルミニウム、リン酸カルシウム、水酸化アパタイト、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウムが挙げられる。好ましくは、リン酸塩はリン酸亜鉛カルシウム・アルミニウムを含む。アルカリ土類金属酸化物としては、酸化カルシウムが挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化カルシウムが挙げられる。また、(2)担持体の担体は、より好ましくはリン酸塩を含む。リン酸塩は、より好ましくはリン酸亜鉛カルシウム・アルミニウムを含む。(2)担持体は、細菌類、真菌類など広範囲の微生物に対して優れた抗菌/防カビ作用を示し、エンベロープ膜を持たないウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス)に対しても優れた抗ウイルス作用を示す。(2)担持体の平均粒子径は、好ましくは0.1~1.0μmであり、より好ましくは0.4~0.6μmである。なお、平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定される。本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物における(2)担持体の含有量は、バインダー固形分100重量部あたり、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは1.5~2.0重量部である。
【0010】
(3)バインダーの有機系バインダーは、好ましくは水系樹脂、ノニオン性樹脂、カチオン性樹脂である。水系樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル-スチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなど挙げられる。ここで、水系樹脂とは、プラスチックのような性質の物質を、水に分散させた樹脂を意味する。前記水系樹脂は、好ましくは水分散型水系樹脂である。前記水分散型水系樹脂は、好ましくはエマルション型水系樹脂である。前記エマルション型水系樹脂は、好ましくは強制乳化型エマルション型水系樹脂である。前記強制乳化型エマルション型水系樹脂としては、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、アクリル-スチレン樹脂エマルション、エチレン-酢酸ビニル樹脂エマルションなどが挙げられる。前記有機系バインダーは、好ましくはアクリル樹脂エマルションである。(3)バインダーは、好ましくは有機系バインダーであり、より好ましくはノニオン性樹脂又はカチオン性樹脂である。
(3)バインダーの無機系バインダーとしては、アルカリ金属ケイ酸塩などが挙げれる。アルカリ金属ケイ酸塩は、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどである。
(3)バインダーの有機-無機複合バインダーとしては、オルガノポリシロキサンオリゴマーなどが挙げられる。
【0011】
本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物は、さらに濡れ性改善成分を含むことが好ましい。濡れ性改善成分を含ませることにより濡れ性を向上させることができ、基材への塗布性を向上させることができる。濡れ性改善成分としては、界面活性剤、表面調整剤、湿潤剤などが挙げられる。濡れ性改善成分は、好ましくは界面活性剤を含む。前記界面活性剤としては、シリコーン界面活性剤、アセチレン系界面活性剤などが挙げられる。前記界面活性剤は、好ましくはシリコーン界面活性剤を含む。前記シリコーン界面活性剤としては、変性シリコーン界面活性剤などが挙げられる。前記変性シリコーン界面活性剤としては、非反応性変性シリコーン界面活性剤などが挙げられる。前記非反応性変性シリコーン界面活性剤としては、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤などが挙げられる。前記ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤としては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物における前記濡れ性改善成分の含有量は、バインダー固形分100重量部あたり、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは1.0~5.0重量部である。
【0012】
本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物は、さらに消泡成分を含んでもよい。前記消泡成分としては、シリコーンディスパージョンなどが挙げられる。本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物における前記消泡成分の含有量は、バインダー固形分100重量部あたり、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは5.0~10重量部である。
【0013】
本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物は、溶媒を含んでもよい。前記溶媒としては、水、アルコールなどが挙げられる。前記溶媒は、好ましくは水である。また、本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物は、好ましくはアルコールを含まない。
【0014】
本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物には、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤( 顔料、染料など) 、紫外線吸収剤などを配合することができる。また、本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物は、種々の形態に加工することができ、例えば押出成形、射出成形、溶液流延法、紡糸法など公知の方法によって、シート状、フィルム状、板状、繊維状、立体形状に成形することができ、タイルなどの床材、壁紙などの内装材、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機など家電製品などに利用することができる。さらに、本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物は、溶媒に溶解ないし分散させ、必要に応じて顔料や架橋剤、その他の塗料用添加物を配合して、抗菌塗料とすることも可能である。また、本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物は、繊維及び紙製品の抗菌・防カビ処理用として、溶液又は水性エマルションの形態で繊維製品や紙製品に適用することも可能である。適用方法としては、浸漬法、スプレー法、パディング加工、プリント、コーティング、グラビア印刷、泡加工法などが挙げられる。本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物を適用することができる繊維及び紙製品は、限定されるものではないが、合成繊維(例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維など)、半合成繊維(例えば、アセテートなど)、再生繊維(例えば、レーヨンなど)、天然繊維(例えば、木綿、麻、羊毛、絹、パルプなど)を素材とするものなどが挙げれる。繊維及び紙製品は、フィラメント、ステープルなどの繊維、フィラメント糸、紡績糸などの糸、織物、編物、不織布などの布帛、繊維を抄いて紙状にしたもの、これらから得られる繊維製品、紙製品などであってよい。本発明の抗菌・抗ウイルス性組成物を用いて処理された繊維及び紙製品としては、寝装品、衛生加工製品、病院用リネン製品、靴下、サポーター、ぬれティシュ、ヘルメット、壁紙、調理用台所用品、トイレタリー用品、玩具類、カーペット、電気製品のフィルター類などが挙げられる。
【実施例0015】
(実施例1)
カチオン性ウレタン樹脂エマルションに1,1’-ジデシル-3,3’-[ブタン-1,4-ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミドを樹脂固形分に対して0.4重量部、酸化銀-リン酸亜鉛カルシウム・アルミニウム(平均粒子径:0.5±0.1μm)を樹脂固形分に対して2.0重量部、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを樹脂固形分に対して2.0重量部、シリコーンディスパージョンを樹脂固形分に対して5.0重量部になるように添加混合し、抗菌性樹脂塗料処理液を得た。
得られた抗菌性樹脂塗料処理液を、バーコーターを用いてPE板に乾燥膜厚で0.23μmになるように塗工し、抗菌性樹脂皮膜を得た。
得られた抗菌性樹脂塗料処理液の相溶性及び濡れ性、並びに得られた抗菌性樹脂皮膜の皮膜外観、耐久性、及び抗菌性を評価した。結果を表1に示した。
なお、表1における各試験項目は以下のようにして評価されたものである。
相溶性:混合時に凝集沈殿物の発生しなかったものを〇とし、発生したものを×とした。
濡れ性:PE板にバーコーターを用いて塗布した際に濡れハジキの発生しなかったものを〇とし、発生したものを×とした。
皮膜外観:乾燥後の皮膜の透明度を目視で評価し、均一な透明皮膜が得られたものを〇とし、造膜不良やムラがあるものを×とした。
耐久性:乾燥後の皮膜の表面を、水を含ませたキムワイプで100回吹き上げ、その後皮膜の脱落を目視で評価し、ほとんど皮膜の剥がれや脱落がない場合を〇とし、容易に剥がれてしまい、明らかに皮膜強度が弱いものを×とした。
抗菌性:JIS Z 2801(フィルム密着法)に準拠した試験を行い、寒天培地の菌の生育を目視で評価し、菌の発現がないものを〇とし、1~10個程度の菌が発現したものを△とし、多数の菌が繁殖しているものを×とした。
【0016】
(実施例2)
カチオン性ウレタン樹脂エマルションに代えてノニオン性アクリル樹脂エマルションを用いた以外は実施例1と同様にして抗菌性樹脂皮膜を作製し評価した。結果を表1に示した。
【0017】
(比較例1)
酸化銀-リン酸亜鉛カルシウム・アルミニウムを含まないこと以外は実施例2と同様にして抗菌性樹脂組成物を作製し評価した。結果を表1に示した。
【0018】
(比較例2)
1,1’-ジデシル-3,3’-[ブタン-1,4-ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミドを含まないこと以外は実施例2と同様にして抗菌性樹脂組成物を作製し評価した。結果を表1に示した。
【0019】
(比較例3)
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含まないこと以外は実施例2と同様にして抗菌性樹脂組成物を作製し評価した。結果を表1に示した。
【0020】
(比較例4)
カチオン性ウレタン樹脂エマルションに代えてアクリル酸変性ポリエチレンエマルション(アニオン性)を用いた以外は実施例1と同様にして抗菌性樹脂組成物を作製し評価した。結果を表1に示した。
【0021】
(比較例5)
カチオン性ウレタン樹脂エマルションを含まないこと以外は実施例1と同様にして抗菌性樹脂組成物を作製し評価した。結果を表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】