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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027683
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】相場表示システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20240222BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130677
(22)【出願日】2022-08-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】509080406
【氏名又は名称】胡 兆奇
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】胡 兆奇
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB51
(57)【要約】
【課題】 従来の相場表示方法では、複数期間の相場を直感的に把握することができなかった。本発明の目的は、今までにない直感的で分かりやすい相場表示を提供することにある。
【解決手段】 予め定めた予期間に含まれる複数の値のうち、始めの値である期間始値と、終わりの値である期間終値と、最も安い値である期間安値と、最も高い値である期間高値と、に基づいて値動きの指標を算出するシステムであって、予期間ごとに、期間安値と期間終値の差を株価正量Pとして算出し、期間高値と期間終値の差を株価負量Nとして算出する正負量算出手段と、株価正量から株価負量を引いた中間値Mを算出する中間値算出手段と、正負量算出手段によって算出された株価正量P、株価負量Nおよび中間値Mを描画する描画手段と、を備えた、相場表示システム。
【選択図】図16

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定めた予期間に含まれる複数の値のうち、始めの値である期間始値と、終わりの値である期間終値と、最も安い値である期間安値と、最も高い値である期間高値と、に基づいて値動きの指標を算出するシステムであって、
前記予期間ごとに、前記期間安値と前記期間終値の差を株価正量として算出し、前記期間高値と前記期間終値の差を株価負量として算出する正負量算出手段と、
前記正負量算出手段によって算出された前記株価正量および/または前記株価負量を描画する描画手段と、を備えた、
相場表示システム。
【請求項2】
前記正負量算出手段は、
前記期間安値と前記期間終値が異なるときに前記株価正量を算出し、
前記期間高値と前記期間終値が異なるときに前記株価負量を算出する、
請求項1に記載の相場表示システム。
【請求項3】
前記株価正量から前記株価負量を引いた中間値を算出する中間値算出手段を、さらに備え、
前記描画手段は、前記中間値算出手段によって算出された前記中間値を描画する、
請求項1または2に記載の相場表示システム。
【請求項4】
前記描画手段は、複数の前記予期間にかかる、前記株価正量と前記株価負量および/または前記中間値を、それぞれ時系列のグラフとして描画する、
請求項3に記載の相場表示システム。
【請求項5】
複数の前記予期間にかかる前記株価正量と前記中間値の和の絶対値を足し合わせた正量積と、複数の前記予期間にかかる前記株価負量と前記中間値の和の絶対値を足し合わせた負量積と、を算出する正負量積算出手段を、さらに備え、
前記描画手段は、前記正負量積算出手段によって算出された前記正量積と前記負量積を描画する、
請求項4に記載の相場表示システム。
【請求項6】
前記描画手段は、複数の前記予期間にかかる、前記株価正量と前記株価負量および/または前記中間値を、従来の酒田罫線法による相場表示と、並べてそれぞれ時系列のグラフとして描画する、
請求項4または5に記載の相場表示システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相場表示システムに関する。より詳しくは、酒田罫線法の転換理論を用いた相場表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
株や先物などの相場を表示するのに酒田罫線法(いわゆるロウソク足)が従来用いられている。これは、一定期間(例えば、1日)の始値と終値の間を太い線で描き、始値より終値の方が高ければ白く塗りつぶし(陽線)、始値より終値の方が低ければ黒く塗りつぶす(陰線)、棒グラフの一種である。さらに陽線においては始値より、陰線においては終値より、安い値をつけたときがあれば下に下ヒゲと呼ばれる1本の線を描く。陰線においては始値より、陽線においては終値より、高い値をつけたときがあれば上に上ヒゲと呼ばれる線を描く。
前述の期間を一日とするものを一日足、一時間とするものを一時間足と呼ぶ。さらに短い期間で区切った15分足や、分足などが知られている。
一般的に、始値、終値、高値および安値をまとめて四本値と呼ぶ。
【0003】
酒田罫線法による相場表示を応用したチャート分析が種々提案されている。
特許文献1には、時間毎の相場情報を取得する相場情報取得手段、チャート分析を行う起点を定めたチャート分析起点情報を取得するチャート分析起点情報取得手段、チャート分析を行う前記起点からの分析時間を定めたチャート分析時間情報を取得するチャート分析時間情報取得手段、前記分析時間内における分析されたチャートを、画像表示手段に描画する期間を指定する分析チャート描画期間情報を取得する分析チャート描画期間情報取得手段、前記取得したチャート分析起点情報及び前記チャート分析時間情報をもとに、前記分析時間内における相場の高値情報を、前記取得した相場情報から抽出する高値情報抽出手段、前記取得したチャート分析起点情報及び前記チャート分析時間情報をもとに、前記分析時間内における相場の安値情報を、前記取得した相場情報から抽出する安値情報抽出手段、前記取得した分析チャート描画期間情報をもとに、前記抽出した相場の高値情報及び安値情報を、前記分析されたチャートとして、前記取得した描画期間情報で指定された期間画像表示手段に表示させる高値・安値情報出力手段、としてコンピュータを機能させるための相場チャート分析プログラムが記載されている。
【0004】
特許文献2には、長方形状の実体の中央上下に縦棒状の上影及び下影を設け、前記実体の色を白抜きにした陽線のロウソク足及び前記実体の色を黒塗りにした陰線のロウソク足を、時系列に配置することにより市場価格の始値、終値、高値及び安値を見ることのできるチャートであり、前記上影及び下影の先端を左側又は右側に直角に折り曲げることにより高値の時間的位置関係及び安値の時間的位置関係を表現したことを特徴とする市場分析用チャートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-104067号公報
【特許文献2】特開2006-72923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の相場表示方法では、複数期間の相場を直感的に把握することができなかった。
本発明の目的は、今までにない直感的で分かりやすい相場表示を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
予め定めた予期間に含まれる複数の値のうち、始めの値である期間始値と、終わりの値である期間終値と、最も安い値である期間安値と、最も高い値である期間高値と、に基づいて値動きの指標を算出するシステムであって、前記予期間ごとに、前記期間安値と前記期間終値の差を株価正量として算出し、前記期間高値と前記期間終値の差を株価負量として算出する正負量算出手段と、前記正負量算出手段によって算出された前記株価正量および/または前記株価負量を描画する描画手段と、を備えた、相場表示システム。
【0008】
前記正負量算出手段は、期間安値と期間終値が異なるときに株価正量を算出し、期間高値と期間終値が異なるときに株価負量を算出する、ものとすることもできる。
【0009】
前記株価正量から前記株価負量を引いた中間値を算出する中間値算出手段を、さらに備え、前記描画手段は、前記中間値算出手段によって算出された前記中間値を描画する、ものとすることもできる。
【0010】
複数の予期間にかかる、株価正量と株価負量および/または中間値を、それぞれ時系列のグラフとして描画する描画手段を、さらに備えた、ものとすることもできる。
【0011】
複数の前記予期間にかかる前期株価正量と前記中間値の和の絶対値を足し合わせた正量積と、複数の前記予期間にかかる前記株価負量と前記中間値の和の絶対値を足し合わせた負量積と、を算出する正負量積算出手段を、さらに備え、前記描画手段は、前期正負量積算出手段によって算出された前記正量積と前記負量積を描画する、ものとすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の相場表示システムは、複数期間の株価正量と株価負量を算出し、グラフとして出力することで、使用者に直感的で分かりやすい相場表示を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】相場表示システム全体構成図(証券会社から所得するパターン)。
図2】相場表示システム全体構成図(取引所から所得するパターン)。
図3】相場情報システムの構成図。
図4】株価正量と株価負量のあるパターン(上ヒゲと下ヒゲのある陽線)。
図5】株価正量と株価負量のあるパターン(上ヒゲのある陽線)。
図6】株価正量と株価負量のあるパターン(上ヒゲと下ヒゲのある陰線)。
図7】株価正量と株価負量のあるパターン(下ヒゲのある陰線)。
図8】株価正量と株価負量のあるパターン(上ヒゲと下ヒゲのある寄引同事線)。
図9】株価負量が0となるパターン(下ヒゲのある陽線)。
図10】株価負量が0となるパターン(ヒゲのない陽線)。
図11】株価負量が0となるパターン(下ヒゲのある寄引同事線)。
図12】株価正量が0となるパターン(上ヒゲのある陰線)。
図13】株価正量が0となるパターン(ヒゲのない陰線)。
図14】株価正量が0となるパターン(上ヒゲのある寄引同事線)。
図15】株価正量と株価負量および中間値の出力例(表)。
図16】株価正量と株価負量および中間値の出力例(折れ線グラフ)。
図17】株価正量と株価負量および中間値の出力例(棒グラフと折れ線グラフ)。
図18】酒田罫線法と株価正量と株価負量および中間値を同時に表示した例(棒グラフと折れ線グラフ)。
図19】酒田罫線法と株価正量と株価負量および中間値を同時に表示した例(折れ線グラフ)。
図20】株価正量積と株価負量積の出力例(折れ線グラフ)。
図21】相場表示システムのフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の相場表示システムの実施の一例について図を用いて説明する。
【0015】
<システムの構成>
本発明は、相場表示において一般的に用いられている四本値を元に、安値と終値の差を株価正量として算出し、高値と終値の差を株価負量として算出し、描画するシステムである。
図1および図2に示す通り、相場表示システム1は、相場表示管理者Aおよび利用者Bと証券会社Cまたは証券取引所Dによって構成され、それらはインターネットを通じて相互に通信する。言うまでもないことであるが、相場表示管理者A自身が利用者Bとなることも考えられる。また、証券会社Cが相場表示管理者Aとなることも考えられる。つまり、証券会社自身が相場表示システム1を用いて(自社の既存のシステムに相場表示システム1を組み込んで)顧客等に指標として本システムによる相場表示を提供するわけである。
【0016】
<相場表示サーバの構成>
図3に示す通り、相場表示管理者Aが管理する相場表示システム1は、演算処理装置11および記憶部12によって構成される。
演算処理装置11は、相場情報取得手段111、正負量算出手段112、中間値算出手段113、正負量力算出手段114、正負量積算出手段115および描画手段116を備える。
記憶部12は、相場情報記憶部121および算出値記憶部122を備える。
【0017】
相場情報取得手段111は、証券会社Cまたは証券取引所Dの証券会社サーバ3または取引所サーバ4から銘柄や四本値などの相場情報を取得し、相場情報記憶部121に記憶する。相場情報の取得先は、証券会社Cでも証券取引所Dでも、もしくは両方からでもよい。証券会社Cのみから取得する場合は証券取引所Dを含めない構成となり(図1)、証券取引所Dのみから取得する場合は証券会社Cを含めない構成となる(図2)。
正負量算出手段112は、相場情報記憶部121に記憶した相場情報を元に株価正量Pおよび株価負量Nを算出し、算出値記憶部122に記憶する。
中間値算出手段113は、算出値記憶部122に記憶した株価正量Pおよび株価負量Nを元に中間値Mを算出し、算出値記憶部122に記憶する。
正負量力算出手段114は、算出値記憶部122に記憶した株価正量P、株価負量Nおよび中間値Mを元に正量力PFおよび負量力NFを算出し、算出値記憶部122に記憶する。
正負量積算出手段115は、算出値記憶部122に記憶した正量力PFおよび負量力NFを元に正量積PAおよび負量積NAを算出し、算出値記憶部122に記憶する。
描画手段116は、算出値記憶部122に記憶した株価正量P、株価負量Nおよび中間値M、さらに正量積PAおよび負量積NAを描画する。
【0018】
<株価正量・株価負量の算出パターン>
四本値から株価正量Pおよび株価負量Nを算出する際の各パターンを以下に示す。
図4図5図6図7および図8は、株価正量Pと株価負量Nが共に算出される5パターンの相場を表している。
図4は、上ヒゲと下ヒゲのある陽線である。図5は、上ヒゲのみがある陽線である。図6は、上ヒゲと下ヒゲのある陰線である。図7は、下ヒゲのみがある陰線である。図8は、上ヒゲと下ヒゲのある寄引同事線である。
図4図6および図8の場合は、期間安値Lと期間終値Cの差を株価正量Pとして算出し、期間高値Hと期間終値Cの差を株価負量Nとして算出する。
図5の場合は、期間始値Oと期間安値Lが同じなので、期間始値O(期間安値L)と期間終値Cの差を株価正量Pとして算出し、期間高値Hと期間終値Cの差を株価負量Nとして算出する。
図7の場合は、期間安値Lと期間終値Cの差を株価正量Pとして算出し、期間始値Oと期間高値Hが同じなので、期間始値O(期間高値H)と期間終値Cの差を株価負量Nとして算出する。
【0019】
図9図10および図11は、株価正量Pのみが算出される3パターンの相場を表す。言い換えると、株価負量Nが0となるパターンである。
図9は、下ヒゲのみがある陽線である。図10は、ヒゲのない陽線である。図11は、下ヒゲのみがある寄引同事線である。
図9および図11の場合は、期間安値Lと期間終値Cの差を株価正量Pとして算出する。図10の場合は、期間始値O(期間安値L)と期間終値Cの差を株価正量Pとして算出する。
【0020】
図12図13および図14は、株価負量Nのみが算出される3パターンの相場を表す。言い換えると、株価正量Pが0となるパターンである。
図12は、上ヒゲのみがある陰線である。図13は、ヒゲのない陰線である。図14は、上ヒゲのみがある寄引同事線である。
図12および図14の場合は、期間高値Hと期間終値Cの差を株価負量Nとして算出する。図13の場合は、期間始値O(期間高値H)と期間終値Cの差を株価負量Nとして算出する。
【0021】
正負量算出手段112は、特に制限なく株価正量と株価負量を全ての場合において計算する(0を算出する)仕様とすることもできるし、算出結果が0となることが明らかな場合は、計算(算出)をしないものとすることもできる。
つまり、期間安値Lと期間終値Cの値が同じであれば株価正量Pは0となるので計算せず、期間高値Hと期間終値Cの値が同じであれば株価負量Nは0となるので計算しないわけである。計算をしない場合は、0を結果として、算出値と同様に算出値記憶部122に記憶する。
【0022】
<中間値の算出>
図15は、正負量算出手段112によって算出した株価正量Pおよび株価負量Nを算出値記憶部122に記憶した状態の一例を示す。
中間値算出手段113は、株価正量Pと株価負量Nを足し合わせて、中間値Mとして算出する。例えば第1の期間(1行目)では株価正量Pが40、株価負量Nが-115であるから中間値Mは-75(=40-115)として算出され、第10の期間(10行目)では株価正量Pが100、株価負量Nが-40であるから中間値Mは60(=100-40)として算出される。
算出した中間値Mは、株価正量Pおよび株価負量Nと同様に算出値記憶部122に記憶する。
さらに、複数の期間毎に算出して記憶する。図示例では、1~12の期間(例えば、12日間)について算出し、記憶している。
【0023】
図16は、算出した株価正量P、株価負量Nおよび中間値Mを描画手段116によって、折れ線グラフとして描画した図である。図17に示す通り、株価正量Pおよび株価負量Nを棒グラフとして描画することもできる。
グラフには、見やすくする為に、等間隔に目盛りを付けるとよい。図示例では、10円ごとの目盛りおよび50円ごとの目盛り線を付している。
【0024】
本システムでは、株価正量Pは相場を上げる力、株価負量Nは相場を下げる力と捉えることができる。図示例では、期間3,7,11で相場を上げる力が働いていることが見て取れる。また、期間2,8では相場を下げる力が働いていることが見て取れる。
株等は買い手と売り手がいて売買が成立しなければ値が付かずチャートには出てこない。中間値Mを算出・描画することで、上げ下げする力を視覚的に捉えることができ、その結果、売買が成立していない相場も把握することができる。
【0025】
図18および図19に示す通り、従来の酒田罫線法による相場表示(ロウソク足)と、相場表示システム1による相場表示を並べて表示することもできる。
図18は、ロウソク足とともに、その下方に株価正量P、株価負量Nおよび中間値Mの折れ線グラフを表示した例である。
図19は、ロウソク足とともに、その下方に株価正量Pと株価負量Nの棒グラフおよび中間値Mの折れ線グラフを表示した例である。
このとき、上下の両表示の期間(日時等)を同期するとよい。図示例では、8/1から8/17までの期間について描画している。酒田罫線法による相場表示と同様に、相場表示システム1による相場表示も、分足や日足や週足などの任意の期間で正負量等を表示することができる。もちろん、上下に並べるだけでなく、左右に並べるなど他の配置で同時に表示することもできる。
相場表示は、常に並べて表示することもできるし、オペレータ操作によって表示/非表示の切り替えが可能な仕様とすることもできる。
【0026】
<正負量積の算出>
図15および図16に示す通り、株価正量Pと中間値Mの和の絶対値を正量力PFと、株価負量Nと中間値Mの和の絶対値を負量力NFとして算出することもできる。例えば第2の期間(2行目)では株価正量Pが55、株価負量Nが-170、中間値Mが-115であるから、正量力PFは60(=|55-115|)として算出され、負量力NFは285(=|-170-115|)として算出される。同様に、第9の期間(9行目)では株価正量Pが100、株価負量Nが-85、中間値Mが15であるから、正量力PFは115(=|100+15|)として算出され、負量力NFは70(=|-85+15|)として算出される。
さらに、図15および図20に示す通り、複数期間の正量力PFおよび負量力NFを足し合わせて、正量積PAおよび負量積NAとして算出することもできる。グラフとして描画すると、中間値Mの折れ線グラフより上の塗りつぶしたエリアが正量積PAであり、中間値Mの折れ線グラフより下の塗りつぶしたエリアが負量積NAである。図示例では、1~3の期間について正量力PFおよび負量力NFをそれぞれ合計し、正量積PAおよび負量積NAとして描画している。例えば第4~6の期間(4~6行目)では、正量積PAが240(=85+100+55)として算出され、負量積NAが285(=130+100+55)として算出されている。
つまり、一定の期間で正負比率を計算して、その後の相場の上げ下げの判断材料とすることができる。これをコンピュータで行い売買の判断材料とさせることもできる。
【0027】
<特異点>
特定の条件に一致した箇所を検出することもできる。
図20に示す、第一特異点SP1では、中間値Mが0となっている。これは、株価正量Pと株価負量Nが拮抗していることを表す。第二特異点SP2では、中間値Mが極端に株価負量Nに近付いている。これは相場を下げる力が強く働いていることを表す。
経験的に、これらのあとには相場が上がることが多い。例えば、SP2の時点では相場が下がっており、その後上がることが予想される為、この時点で株等を買うと良い。
これらの特異点を検出した際に、すなわち、中間値Mが0(あるいは0を含む許容範囲)となったときに、あるいは中間値Mと株価負量Nとの較差があらかじめ定めた閾値以内となったときに、利用者Bに通知するものとすることができる。さらに、検出した際に自動で売買をするものとすることもできる。自動での売買は、証券会社Cが相場表示管理者Aとなって本システムを運営・利用する場合が想定される。
<処理の流れ>
【0028】
図21は、処理の流れを表すフロー図である。中央の列がシステムの処理を表し、左側が入力する情報、右側がシステムから出力されるものを表す。
相場情報である始値、終値、安値および高値を相場表示システム1に入力する。入力された相場情報を元に、正負量算出手段112が株価正量Pおよび株価負量Nを算出する。株価正量Pおよび株価負量Nを元に、中間値算出手段113が中間値Mを算出する。株価正量P、株価負量Nおよび中間値Mを元に、正負量力算出手段114が正量力PFおよび負量力NFを算出する。正量力PFおよび負量力NFを元に、正負量積算出手段115が正量積PAおよび負量積NAを算出する。算出された各結果を描画手段116によって、表またはグラフとして描画する。
【0029】
ここまで株取引の場合を例にして説明してきたが、これに限らず、本システムは、FX(Foreign exchange)や先物取引にも用いることができる。つまり、値が常時変化するものであればあらゆるものについて、相場表示を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の相場表示システムは、使用者に直感的で分かりやすい相場表示を提供する。それにより、利用者が株等の買い時または売り時の判断に役立てたり、自動的に売買をさせたりすることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 相場表示システム
11 演算処理装置
111 相場情報取得手段
112 正負量算出手段
113 中間値算出手段
114 正負量力算出手段
115 正負量積算出手段
116 描画手段
12 記憶部
121 相場情報記憶部
122 算出値記憶部
2 利用者端末
3 証券会社サーバ
4 取引所サーバ
O 期間始値
C 期間終値
H 期間高値
L 期間安値
P 株価正量
N 株価負量
PF 正量力
NF 負量力
PA 正量積
NA 負量積
M 中間値
SP1 第一特異点
SP2 第二特異点
A 相場表示管理者
B 利用者
C 証券会社
D 証券取引所

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2022-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2022-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定めた予期間に含まれる複数の値のうち、始めの値である期間始値と、終わりの値である期間終値と、最も安い値である期間安値と、最も高い値である期間高値と、に基づいて値動きの指標を算出するシステムであって、
前記予期間ごとに、前記期間安値と前記期間終値の差を株価正量として算出し、前記期間高値と前記期間終値の差を株価負量として算出する正負量算出手段と、
前記株価正量から前記株価負量を引いた中間値を算出する中間値算出手段と、
前記正負量算出手段によって算出された前記株価正量および/または前記株価負量と、前記中間値算出手段によって算出された前記中間値を、描画する描画手段と、を備えた、
相場表示システム。
【請求項2】
前記正負量算出手段は、
前記期間安値と前記期間終値が異なるときに前記株価正量を算出し、
前記期間高値と前記期間終値が異なるときに前記株価負量を算出する、
請求項1に記載の相場表示システム。
【請求項3】
前記描画手段は、複数の前記予期間にかかる、前記株価正量と前記株価負量および/または前記中間値を、それぞれ時系列のグラフとして描画する、
請求項に記載の相場表示システム。
【請求項4】
複数の前記予期間にかかる前記株価正量と前記中間値の和の絶対値を足し合わせた正量積と、複数の前記予期間にかかる前記株価負量と前記中間値の和の絶対値を足し合わせた負量積と、を算出する正負量積算出手段を、さらに備え、
前記描画手段は、前記正負量積算出手段によって算出された前記正量積と前記負量積を描画する、
請求項に記載の相場表示システム。
【請求項5】
前記描画手段は、複数の前記予期間にかかる、前記株価正量と前記株価負量および/または前記中間値を、従来の酒田罫線法による相場表示と、並べてそれぞれ時系列のグラフとして描画する、
請求項またはに記載の相場表示システム。